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「コロナ災害を乗り越えるいのちとくらしを守るQ&A 特例給付編」は

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コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る Q&A

2023年9月25日版

    
いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会


【参考になるまとめサイト等】

※1 厚生労働省「新型コロナウイルス感染症 くらしや仕事の情報」

https://www.mhlw.go.jp/stf/covid-19/kurashiyashigoto.html


※2 経済産業省パンフ「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」(R5.7.27更新)

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf


※3 困窮者支援情報共有サイト ~みんなつながるネットワーク~(厚労省通知をまとめたもの)

https://minna-tunagaru.jp/mhlw/covid19/


※4 厚生労働省「社会福祉・雇用・労働に関する情報一覧(新型コロナウイルス感染症)」(同上)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00110.html


※5 大阪弁護士会「新型コロナウイルス特設サイト」

https://www.osakaben.or.jp/corona/



【「死にたい」「気持ちがふさぎ込む」という方々の相談先】
①いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)
0120-061-338  おもい ささえる(フリーダイヤル・無料)
 実施日時

日・月・木・金 0:00~24:00(24時間)
火・水・土 6:00~24:00
※土曜6:00~火曜24:00まで、木曜6:00~金曜24:00までは連続対応


②よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)  
実施日時:24時間対応 ※FAX、チャットやSNSによる相談にも対応



Ⅰ 生活保護編
Q1 収入が減り、生活がままならなくなりました。現金の支給をしてもらえる制度はあるでしょうか。

Q2 生活保護はどんな場合に利用できますか?

Q3 福祉事務所で保護を断られたらあきらめるしかありませんか?

Q4 申請はどこにするのですか?

Q5 外国籍でも生活保護を利用することはできますか?

Q6 ホームレス状態でも生活保護は利用できますか?

Q7 役所で、「住む所がない人は施設に入ることになっている」と言われたのですが?

Q8 一時的に親戚・知人宅に居候しているのですが、私だけが生活保護を利用できますか?

Q9 申請して生活保護が開始されるまでどれ位かかりますか? 少しでも早くしてもらいたいのですが。

Q10 現金を持っていると生活保護は利用できないのですか?

Q11 給料や年金などの収入があると生活保護は利用できませんか?

Q12 生命保険は解約しなくてはいけないのですか?

Q13 学資保険を続けることはできますか?

Q14 家賃が高いと生活保護は利用できないのですか?

Q15 持ち家があるのですが生活保護は利用できますか?

Q16 住宅ローンが残っていても大丈夫ですか?

Q17 借金がありますが生活保護は利用できますか?

Q18 失業や自宅待機による減収で生活保護を利用する場合、自動車は処分しなければなりませんか?

Q19 Q18以外に自動車の保有が認められる場合がありますか?バイクの保有はどうですか?

Q20 65歳未満の若い人は生活保護は利用できないのですか?

Q21 自営業をしていますが、廃業せずに生活保護を利用できますか?

Q22 親族に連絡すると言われましたが、どういうことですか?

Q23 「扶養照会」を避けて、元夫や親族に居場所を知られない方法はありますか?

Q24 生活保護利用世帯が、令和5年に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)を受給した場合、収入認定されて保護費を減らされてしまいますか? その他、各自治体が独自に実施する給付金はどうですか?

Q25 生活保護利用世帯の子どもが通学する学校で、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン教育が始まりました。これに対応する費用を保護費から支給してもらえますか?


Ⅰ´ 求職者支援制度
(求職者支援制度)

Q1 給付金を受給しながら職業訓練を受けられる制度があると聞きましたが、どんな制度でしょうか?

Q2 職業訓練受講給付金と住居確保給付金の併給は認められますか?


Ⅱ 生活福祉資金の特例貸付編
(緊急小口資金の特例貸付)

Q1 収入が減り、光熱費の支払いもままなりません。緊急・一時的にお金を貸してもらう制度はないでしょうか?


(総合支援資金の特例貸付)
Q2 新型コロナウイルスの影響で失業し、当面の生活費の目途がありません。しばらくの間、一定の生活費を貸してもらう制度はありませんか?


(緊急小口資金と総合支援資金の併用)
Q3 緊急小口資金と総合支援資金(合わせて「特例貸付」)の両方を利用することはできますか? また、保証人がいなくても大丈夫ですか?


(特例貸付の受付期間等)
Q4 特例貸付はいつまで受け付けてもらえますか? 貸付が終わった後はどうすればいいですか?


(償還免除)
Q5 償還免除の対象となっている「償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯」とは、どのように判断されますか。


(償還猶予)
Q6 特例貸付の償還猶予は、どのような場合に受けることができますか。


Q7 特例貸付における償還猶予について、上記⑥「都道府県社会福祉協議会会長が上記と同程度の事由によって償還することが著しく困難であると認める場合」も対象とされていますが、具体的にはどのように判断されますか。


(猶予期間中の職権による償還免除)
Q8 償還猶予の期間中には、償還免除を受けられないのでしょうか。


Q9 償還猶予の終了時にも特例貸付の償還に困っている場合、償還免除を受けられないでしょうか。


(フォローアップ支援など)
Q10 特例貸付の償還に困っている方について、償還猶予や償還免除以外の支援方法はないでしょうか。


(本則の生活福祉資金)
Q11 生活福祉資金の特例貸付は終了しましたが、本則の生活福祉資金(通常貸付)はどのような制度になっていますか。


Ⅲ 住宅維持・借金整理編
(住居確保給付金:支給要件)

Q1 失業して家賃が支払えなくなりました。家賃を補助してくれる制度はありますか?


(住居確保給付金:外国人・自営業者)
Q2 外国人、フリーランス・自営業者も支給対象となりますか。


(住居確保給付金:学生)
Q3 大学生等は支給対象にならないのですか。


(住居確保給付金:支給額の改善)
Q4 最近、支給額を増額する方向での運用改善が行われたと聞きましたが、どのような改善ですか。


(家賃の滞納と立退き)
Q5 家賃を2か月分滞納したら、家賃保証会社の社員から月末までに退去するとの書面にサインするよう強く求められました。私が悪いので応じなければならないでしょうか?


(住宅ローン等の滞納)
Q6 収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなってきました。銀行は返済猶予や条件変更に応じてくれるでしょうか?


(コロナ版ローン減免制度の概要)
Q7 新たなローン減免制度が始まったと聞きましたが、どのような制度ですか?

Q8 コロナ版ローン減免制度はどうすれば利用できますか?また、詳しいことはどこに聞けばいいですか?


Ⅳ 税金・公共料金滞納編
Q1 上下水道、電気、ガス、電話の料金や公営住宅の家賃の支払いができません。待ってもらえるでしょうか?

Q2 国民健康保険料(税)が払えません。減免してもらえますか?あるいは、既に支払った保険料(税)を返してもらえないですか?

Q3 確定申告の期限に間に合いません。

Q4 確定申告をしたものの、新型コロナウィルスの消毒で在庫商品が使えなくなり、所得税や消費税を納められません。

Q5 前問で、財産に相当な損失との回答ですが、「相当」というのはどの程度ですか。

Q6 Q4の納税の猶予については、財産に相当な損失があった場合に適用されるとのことですが、売上や給料が減ったような経済的損失が生じた場合には適用されないのですか。

Q7 Q4やQ6の納税の猶予のやり方がわかりません。

Q8 新型コロナウイルスの影響で売上や所得が下がり、納税ができません。

Q9 以前、納税の猶予や換価の猶予を申請したときは担保が必要と言われましたが、新型コロナウイルスが原因でも、担保は必要なのでしょうか。

Q10 影響を受け始めて間がないので、十分な資料が揃いませんが、猶予を受けられるでしょうか。

Q11 納税の猶予(徴収猶予)、換価の猶予の手続がわかりません。

Q12 解雇(雇止め)で失業したのですが、前年所得を前提とする国民健康保険料が高くて払えません。

Q13 滞納している税金について相談をしたいのですが。

Q14 制度の区別や適用要件など、あまりよくわからないので教えてほしい。

Q15 引用された通知などに従った処理がなされていない場合はどうすればよいですか。

Ⅴ 労働編
※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」(Ver2)
※Ⅴ-2 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」
※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(使用者の方向け)」


(休業手当)
Q1 職場からコロナウイルスを理由に「当面店舗を閉めるから自宅待機するように。給料は支払えない」と言われました。

Q2 私は、飲食店等でアルバイトを繰り返して生活しているフリーターです。今の情勢ですとアルバイト先がなくなり、いつ失業してもおかしくないのですが、どこの事業主も、私のようなアルバイトを雇用保険に加入させていません。これは仕方が無いのでしょうか?

Q3 退職後、雇用主が離職票を出してくれないので、公共職業安定所に提出できず、求職者給付の受給ができません。どうしたら良いでしょうか。

Q4 就職した会社がいわゆるブラック企業だったため、違法な長時間労働で働かされ、かつ、毎日上司の叱責を受けていたため、精神的に参ってしまい、1年間もたずに会社を退職しました。職安に行きましたが、「1年以上働いていないので、失業手当は受給できない」と言われました。何とか受給できる方法は無いのでしょうか。

Q5 2~3か月の短期就労を繰り返し(途中に無職の期間があり)、その後、失業状態にあります。そこで、求職者給付の受給のために、職安に求職の申込みをし、受給資格の認定を求めました。しかし、「就労期間(被保険者期間)が11か月半で、0.5か月分足りないので、受給資格は無い」と言われました。何とか受給できる方法はないですか?

Q6 持病を抱えて体調が悪いため、仕事に就いたり辞めたりを繰り返しています。直近の離職前2年間に12か月、もしくは1年間に6か月の被保険者期間はないのですが、失業手当の受給資格はやはり難しいのでしょうか。

Q7 自己都合によって退職しました。失業給付を受けるのに3か月待たないといけないと聞きましたが、仕方ないのでしょうか?

Q8 求職者給付の給付日数が90日間しかなく、もうすぐ終了しそうですが、就職のメドは立っていません。どうしたら良いのでしょうか?




Ⅰ 生活保護編
※本編の各QAの根拠となる通達・判例等の詳細については、「必携 法律家・支援者のための生活保護活用マニュアル 2019年度版」(生活保護問題対策全国会議編)の各Qの末尾に【活用マニュアルQ●】とある箇所をご参照ください。

Q1 収入が減り、生活がままならなくなりました。現金の支給をしてもらえる制度はあるでしょうか。
 生活保護が利用できないか検討しましょう。
生活保護は、生活費・住宅費・教育費・医療費等をパッケージで給付してもらえる制度で、給料や年金などの収入があっても(Q11)、持ち家があっても(Q15・16)、車があっても(Q18)、利用できる可能性があります。

※Ⅰ-1 日弁連パンフ「『実は少ししんどい』あなたへ あなたも使える生活保護」
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatsuhogo_qa_pam_150109.pdf


 国も、今回の事態に対応して自治体に以下の通知を出し、「適切な保護の実施」や「速やかな保護決定」等を指示しています。

※Ⅰ-2 令和2年3月10日付事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等に関連した生活保護業務及び生活困窮者自立支援制度における留意点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000608930.pdf


 さらに国は、緊急事態宣言の発令を受け、申請意思がある者に対しては「生活保護の要否判定に直接必要な情報のみ聴取」し、他の情報は「後日電話等により聴取する等、面接時間が長時間にならないよう工夫されたい」とするなど、柔軟な対応で早期に保護開始するよう通知しています。(Q18、19、20も参照)

※Ⅰ-3 令和2年4月7日付事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000619973.pdf


生活保護の利用条件を満たさない場合には、貸付編(Ⅱ)、住宅維持編(Ⅲ)などを見て別の制度の活用をご検討ください。

Q2 生活保護はどんな場合に利用できますか?【活用マニュアルQ1】
 国が定めている「最低生活費(生活保護基準)」以下の収入しかなく、手持金や貯金などもわずかになり、生活に困窮している状況であれば誰でも生活保護制度を利用できます。
最低生活費は、地域や年齢で細かく決められています。神戸公務員ボランティアのHPで生活保護費の自動計算ソフト(エクセルファイル)がダウンロードできるので、ご自分の家庭の最低生活費を計算してみてください。

http://kobekoubora.life.coocan.jp/saiteiseikatuhikeisan.html



Q3 福祉事務所で保護を断られたらあきらめるしかありませんか?【活用マニュアルQ3】
 不当に追い返されている可能性もあるので、必ずしも、あきらめる必要はありません。申請権があるので、申請書を出してもらい、「申請」しましょう。あるいは、各地の相談窓口に相談をして助言を受けたり(相談料は無料です)、窓口に同行してもらいましょう。

ホームレスである(Q6)、生命保険の解約返戻金がある(Q12)、家賃が高い(Q14)、持ち家がある(Q15・16)、 借金がある(Q17)、車がある(Q 18)などの理由で 、窓口での申請を受け付けてもらえなかった場合には、あきらめず、下記の各地の相談窓口に相談をしてください。弁護士等が、無料で、あなたの事情を聴き取り、意見書を作成し、窓口に同行して、「申請」手続きを支援してもらえる場合があります。

【各地の相談窓口】
 東北 東北生活保護利用支援ネットワーク

Tel. 022-721-7011 (月・水・金 13時〜16時、祝日休業)


 関東(東京含む)・甲信越・北海道

首都圏生活保護支援法律家ネットワーク
http://seiho-lawyer.net/
Tel. 048-866-5040 (月〜金 10時〜17時、祝日休業)


 東京 認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

http://www.npomoyai.or.jp/
Tel. 03-6265-0137 (火 12時〜18時、金11時〜17時のみ)
面談相談:毎週火 11時~18時 もやい事務所にて



 北陸 北陸生活保護支援ネットワーク福井(福井・富山) 

Tel. 0776-25-5339 (火 18時〜20時、年末年始、祝日休業)


北陸生活保護支援ネットワーク石川

Tel. 076-204-9366(火 13時~15時・18時~20時、年末年始、祝日休業)


 静岡 生活保護支援ネットワーク静岡

Tel. 054-636-8611(平日 9時~17時)


 東海 東海生活保護利用支援ネットワーク (愛知、岐阜、三重)

Tel. 052-911-9290 (火・木 13時〜16時、祝日休業)


 近畿 近畿生活保護支援法律家ネットワーク 

Tel. 078-371-5118 (月・木 13時〜16時、祝日休業)


 中国 生活保護支援中国ネットワーク

https://seiho-chugoku.net/
Tel. 0120-968-905 (月〜金 9時半〜17時半、祝日休業)


 四国 四国生活保護支援法律家ネットワーク

Tel. 050-3473-7973 (月〜金 10時〜17時、祝日休業)


 九州 ・沖縄 生活保護支援九州・沖縄ネットワーク

Tel. 070-9123-1114 (月・火・木 13時〜16時 祝日休業)


 全国青年司法書士協議会 生活保護相談ダイヤル

Tel. 03-3351-4911 (月 13時〜15時、祝日休業)


Q4 申請はどこにするのですか?【活用マニュアルQ2】
 住民票に関係なく、今あなたがいる場所の市役所などの生活保護担当部署(福祉事務所)に申請できます。
「居住地」がある人は「居住地」、「居住地」がない人(ホームレス状態、一時的居候状態)は「現在地」を管轄する福祉事務所が実施責任を負います(生活保護法19条1項)。但し、外国籍の方の場合は、Q5をお読みください。
Q5 外国籍でも生活保護を利用することはできますか?【活用マニュアルQ40】
 外国籍の場合は、①「永住者」・「定住者」・「永住者の配偶者等」・「日本人の配偶者等」のいずれかの在留資格を有する方、②「特別永住者」、③入管法による難民認定を受けた方であれば生活保護を利用できます(①~③に当てはまらない外国人でも、在留資格が「特定活動」で活動に制限のない場合等は、自治体から厚労省に個別に照会することで適用される場合があります)。
 申請は在留カードまたは特別永住者証明書に記載された住居地を管轄する福祉事務所に行います。実際の居住地が住民登録地と違う場合は、生活保護申請と同時に変更するようにしてください。
 DV被害者等で住所変更届ができない場合は、その理由を福祉事務所に説明してください。住所変更ができない状態にあると認められた場合は実際の居住地で保護が適用されることになります。
Q6 ホームレス状態でも生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ35・36】
 「現在地」(今いる場所)の福祉事務所で申請できます。通常の生活費とは別に、アパート暮らしを始めるための敷金や生活用品代も支給されます。保護申請後、開始決定前にカプセルホテル等を利用した場合、その後に移った一般住宅の家賃とは別に一定の範囲で宿泊料等を支給してもらうこともできます(Q1※Ⅰ-2の通知3(3)参照)。
Q7 役所で、「住む所がない人は施設に入ることになっている」と言われたのですが?【活用マニュアルQ36】
 生活保護法30条1項は「居宅保護の原則」を定めているので、本人の希望する場所で暮らすことができます。各種の支援を受けながらでも居宅で生活することができる人は、施設を断って最初からアパート暮らしを始めることもできます。
 国も、今回、自治体に対し、一時生活支援事業のシェルター等に加え、協力してくれるビジネスホテルや旅館等を開拓し宿泊場所の確保を進めること、必要に応じて衣食の提供をすること、DV・家庭環境の破綻等の課題を抱える者については自立相談支援機関へつなぐこと、無料低額宿泊所当への入所を経ることなく居宅での保護が可能な者についてはアパート等の居宅入居を指導するよう通知しています。

※Ⅰ-4 令和2年4月14日付事務連絡「生活困窮者自立支援法における一時生活支援事業の活用等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000621870.pdf


 さらに、国は、感染拡大防止の観点から、「今般の事態に関する対応に当たって新たに居住が不安定な方の居所の提供、紹介等が必要となった場合には、やむを得ない場合を除き個室の利用を促すこと」という通知も追加して出しています。

※Ⅰ-5 令和2年4月17日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言に係る対応に当たっての留意点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000622762.pdf


Q8 一時的に親戚・知人宅に居候しているのですが、私だけが生活保護を利用できますか?【活用マニュアルQ32】
 居候先と「生計」(家計)が別であれば、別世帯としてあなただけで生活保護を利用できます。Q1※Ⅰ-2の通知(4)で参照されている平成21年12月25日付保護課長通知(3)も、「一時的に同居していることをもって、知人と申請者を同一世帯として機械的に認定することは適当ではない」として「適切な世帯の認定」を求めています。
 保護が開始されると、居候を解消するための新住居の敷金等の転居費用も出してもらうことができます。


Q9 申請して生活保護が開始されるまでどれ位かかりますか? 少しでも早くしてもらいたいのですが。【活用マニュアルQ14】
 申請のあった日から原則として14日以内、特別な理由がある場合には30日以内に書面で通知されることになっています。Q1※Ⅰ-2の省通知(3(2))も、「保護の決定に当たっては、申請者の窮状にかんがみて、可能な限り速やかに行うよう努めること」としていることを示して、より「速やかな保護決定」を求めましょう。
Q10 現金を持っていると生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ16】
 現金や預金の合計がQ2の最低生活費以下であれば利用できます。ただし基準の半額を超える分は最初の保護費から差し引かれるので、手持ち金が基準の半額を切ってから申請すると良いでしょう。
Q11 給料や年金などの収入があると生活保護は利用できませんか?【活用マニュアルQ16】
 年金や給料などの収入があっても最低生活費未満であれば最低生活費と収入の差額分が支給されます。保護を受けられるかどうかの判定の際には、医療費や介護費がかかる場合はその分もプラスして判定されます。
Q12 生命保険は解約しなくてはいけないのですか?【活用マニュアルQ28】
 解約したときの払戻金がQ2の最低生活費のおおむね3か月以下で、保険料が最低生活費の1割程度以下であれば解約しなくても良いことになっています。貯蓄性の高い保険などについては解約して払戻金を生活費に当てることを求められます。
ただし、2021年1月、上記に該当せず本来解約を要する保険を有している場合でも,「まずは概ね6か月を目途に処分指導を留保することとして差し支えない」とする事務連絡を発出しました。この通知は解約返戻金の額に限定を付しておらず、かなり大きな運用改善です。
 ※Ⅰ-10 令和3年1月29日付事務連絡「保護の要否判定等における弾力的な運用について」

https://www.mhlw.go.jp/content/000731221.pdf


Q13 学資保険を続けることはできますか?【活用マニュアルQ29】
 解約返戻金が50万円以下である場合は続けることができます。また生活保護を利用し始めた後で新たに加入することもできます。
 但し、Q12で述べたとおり、※Ⅰ-10の通知で、上記に該当しない保険も「まずは概ね6か月を目途に処分指導を留保することとして差し支えない」とされました。
Q14 家賃が高いと生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ31】
 支給される家賃額(住宅扶助費)に上限がありますが利用できます。保護が始まったあとに低額な家賃の住居に転宅するように言われることがありますが、その場合は転居に必要な敷金等も支給されます。家賃と住宅扶助費の差額が小さくて生活費から持ち出しても支障がない場合には転居せずに住み続けることもできます。
Q15 持ち家があるのですが生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ24】
 住むための家や活用している農地などは問題ありません。ただし資産価値が大きい土地や豪邸は処分して生活費に当てることを求められることがあります。
 国も、居住用不動産は原則保有を認めることや、処分指導を行うかどうかをケース診断会議に付する目安額を示した上で、「組織的な検討を行わずに判断することのないよう」注意喚起しています。

※Ⅰ-9 令和2年9月11日付事務連絡「現下の状況における適切な保護の実施について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000671433.pdf


Q16 住宅ローンが残っていても大丈夫ですか?【活用マニュアルQ26】
 原則として生活保護費で住宅ローンの支払いをすることはできません。例外的にローンの残金が少ない場合はローンの支払いを認められる事があります。住宅ローンが払えず家を手放さざるを得ない状態の場合も生活保護を利用できます。
Q17 借金がありますが生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ21】
 利用できます。ただし、保護費から借金を返済することは望ましくありませんので、法律家に相談して任意整理や自己破産などで借金を整理しましょう。法律家の費用は、「法テラス」で立て替えてもらい分割で払う制度(法律扶助)もあり、生活保護利用者については、分割払いも猶予・免除してもらえます。
Q18 失業や自宅待機による減収で生活保護を利用する場合、自動車は処分しなければなりませんか?【活用マニュアルQ23】
 自動車は保有も運転も原則として制限されているのが現状ですが、①概ね6か月以内(さらに6か月延長可)に就労により保護から脱却することが確実に見込まれる場合には通勤用自動車の処分指導はされません。
国は、今回、Q1Ⅰ-3の通知で、「緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合で、通勤用自動車を保有しているときは」、これに準じることとし、処分指導を留保する場合や期間を柔軟に判断することを求めていましたが、コロナ禍の長期化に伴い、令和2年4月7日以降に保護を開始した世帯については、保護開始から概ね1年を経過した場合であっても、処分指導を行わなくてもよいとの通知が出されました。

※Ⅰ-11 令和3年4月6日付保護課長通知「新型コロナウイルス感染症拡大の影響下の失業等により就労を中断している場合の通勤用自動車の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000766136.pdf


Q19 Q18以外に自動車の保有が認められる場合がありますか?バイクの保有はどうですか?【活用マニュアルQ23】
 Q18の場合以外にも、②障害者の通院・通学等に使う場合、③山間僻地など自動車を使わずに通勤することが著しく困難な地域に住んでいる場合、④保育所の送迎に使う場合、⑤事業用の場合などには自動車を持ったまま生活保護を受けることができます。
 総排気量125cc以下のオートバイ及び原動機付自転車については、自動車損害賠償保険及び任意保険に加入しており、最低生活維持に必要な場合は保有が認められます。総排気量125ccを超えるオートバイは、自動車と同様の扱いとなります。
Q20 65歳未満の若い人は生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ20】
 年齢制限はありません。働ける健康状態であっても、仕事を探しているのに就職できない場合や、働いていても収入が生活保護基準に満たない場合は生活保護を利用することが出来ます。
 そして、国は、Q1Ⅰ-3の通知で、「緊急事態措置の状況の中で新たに就労の場を探すこと自体が困難であるなどのやむを得ない場合」には、緊急事態措置期間中、働く能力を活用できているかの判断を留保できるとしています。
Q21 自営業をしていますが、廃業せずに生活保護を利用できますか?
 できます。国も、Q1Ⅰ-3の通知で、「臨時又は不特定就労収入、自営収入等の減少により要保護状態となった場合」、「緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合には、増収に向けた転職指導等は行わなくて差し支えない」とし、「自営に必要な店舗、機械器具類の資産」(自動車も含まれます)は保有を認めるよう指示しています。これは今回の事態を受けて自営業者に対する生活保護の積極的適用を促す趣旨であると考えられます。
Q22 親族に連絡すると言われましたが、どういうことですか?【活用マニュアルQ30】
 生活保護を申請すると福祉事務所は、親や兄弟に「○○さんが生活保護の申請をしましたが、経済的な援助ができますか?」と問い合わせ(扶養照会)をします。親や兄弟は出来る範囲で援助すれば良いことになっており、照会を受けた親族は、金銭的に余裕がない場合、援助を断ることができます。
Q23 「扶養照会」を避けて、元夫や親族に居場所を知られない方法はありますか?【活用マニュアルQ30】
 「扶養義務の履行が期待できない者」に対しては扶養照会をしなくてよいことになっています。具体的には、扶養義務者が、生活保護利用者、福祉施設入所者、長期入院患者、働いてない人、未成年者、70歳以上の高齢者、著しく関係不良の者、10年間音信不通の者等の場合です。その扶養義務者から虐待・DVを受けたなどの場合は、むしろ連絡してはなりません。
 国も、Q15Ⅰ-9の通知で、上記のような場合は「扶養の可能性が期待できないもの」として扶養義務者に対する直接照会をしなくて良いことについて注意喚起していました。さらに、この度、生活保護手帳別冊問答集を改正して、その考え方と判断の手順を改めて整理し明確にするとともに、「要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い」、対象となる扶養義務者が「扶養義務履行が期待できない者」に該当するか否かという観点から検討を行うべきであるとして、初めて申請者の意思を尊重する姿勢を示しました。

※Ⅰ-12 令和3年3月30日事務連絡「『生活保護問答集について』の一部改正について」
http://665257b062be733.lolipop.jp/0303301.pdf


 この運用改善を活かすには、扶養照会されたくない人は、その意思と具体的理由を記載した以下の「申出書」に予め記入して、保護の申請時に提出すると良いでしょう。
※ 書式「扶養照会に関する申出書」
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-401.html

Q24 生活保護利用世帯が、令和5年に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)を受給した場合、収入認定されて保護費を減らされてしまいますか? その他、各自治体が独自に実施する給付金はどうですか?【活用マニュアルQ49】
 令和5年に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)については、ひとり親世帯及びそれ以外の対象世帯ともに全額収入認定の対象となりません。
自治体が独自に実施する給付金については、以下の通りの扱いとなります。

ア 特別定額給付金と同様の趣旨・目的のもの(市民全体に幅広く支給されるもの)
⇒全額収入認定除外

イ 災害等によって損害を受けた見舞金と同様の趣旨・目的のもの
⇒「自立更生計画」を立て自立更生に資する経費と認められた額が収入認定除外

ウ 子育て世帯、ひとり親世帯、障害者、高齢者等の福祉を増進する趣旨・目的のもの
⇒8000円までが収入認定除外

イの自立更生経費としては、マスク・消毒液等の防疫商品や、オンライン就労・学習に対応するためのPC関連機器の購入のほか、その他の耐久消費財の買替費用等、その世帯の自立に資する経費が幅広く計上され得ます。持続化給付金等の休業補償的意味合いのある給付もイに該当すると考えられますが、その場合、店舗の家賃・光熱費等事業維持のための経費も自立更生費に計上できるでしょう。

※Ⅰ-6 令和2年5月1日付「特別定額給付金及び令和2年度子育て世帯への臨時特別給付金の生活保護制度上の取扱いについて(通知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000627228.pdf



Q25 生活保護利用世帯の子どもが通学する学校で、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン教育が始まりました。これに対応する費用を保護費から支給してもらえますか?
 オンライン教育に対応するために必要な通信費、モバイルルーター等の通信機器の購入又はレンタルに係る費用について、教育扶助(小中学校生)又は生業扶助(高校生)の「教材代」として支給してもらえます。

※Ⅰ-7 令和2年5月15日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校等における臨時休業に伴う生活保護業務における教材代の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000630849.pdf
別添2 https://www.mhlw.go.jp/content/000630851.pdf


Ⅰ´ 求職者支援制度
(求職者支援制度)
Q1 給付金を受給しながら職業訓練を受けられる制度があると聞きましたが、どんな制度でしょうか?
 求職者支援制度は、月10万円の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受けられる制度です。また、訓練前後を通じてハローワークが求職活動を支援してくれます。
 利用要件や支給額は以下のとおりです。

【訓練受講の要件】
① ハローワークに求職の申込みをしていること
雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
③ 労働の意思と能力があること
④ 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと

【訓練対象者の追加(2023年4月~)】
再就職や転職を目指して訓練を受講する方に加えて、働きながら訓練を受けて社内での正社員転換などを目指す方や、今の仕事に役立つ能力を身に付けようとする方なども訓練の対象となります(今の仕事を続けながらスキルアップを目指す方も訓練の対象となります)。ただし、雇用保険被保険者の方は対象となりません。

【給付金の支給要件】
本人収入が月8万円以下
②世帯全体の収入が月30万円以下
③世帯全体の金融資産が300万円以下
④現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
⑤全ての訓練実施日に出席する(やむを得ないにより欠席し、証明できる場合(育児・介護を行う者や求職者支援訓練の基礎コースを受講する者については証明ができない場合を含める)であっても、8割以上出席する)
⑥世帯の中で同時にこの給付金を受給している者がいない
⑦過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金受給していない
⑧過去6年以内に、職業訓練受講給付金の支給を受けていない
※①又は②を満たさない場合であっても、本人収入が月12万円以下かつ世帯収入が月34万円以下で③~⑧を満たす場合は、訓練施設への交通費(下記「通所手当」)を受給することが可能です。

【訓練期間】 2か月~6か月
※ 訓練期間や訓練時間に配慮が必要な方を対象とした訓練コースは2週間から(2024年3月末までの特例措置)

【職業訓練受講給付金の内容と支給額】
① 訓練受講手当          月10万円
② 通所手当(定期乗車券等)    月上限42500円
③ 寄宿手当(家族と別居する場合) 月1万700円

【相談・申込先】ハローワーク

※Ⅰ´-1 求職者支援制度パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/001073991.pdf


(住居確保給付金との併給)
Q2 職業訓練受講給付金と住居確保給付金の併給は認められますか?
 
以前は併給が認められず、職業訓練受講給付金を受給すると住居確保給付金の支給は停止されていました。しかし、2023年4月1日からは、職業訓練受講給付金と住居確保給付金の併給が可能とされました。
Ⅱ 生活福祉資金の特例貸付編
(緊急小口資金の特例貸付)
Q1 収入が減り、光熱費の支払いもままなりません。緊急・一時的にお金を貸してもらう制度はないでしょうか?
 新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯(主に休業した方)については、無利子で、以下の内容の「緊急小口資金」を借りることができます。

【申込先】お住まいの市町村社会福祉協議会

【貸付上限】20万円以内

※「休業等による収入の減少等で生活費用の貸付が必要な場合」も対象になったので、多くの場合20万円まで借りることができます。


【据置期間】1年以内。但し、令和4年12月末までは償還が開始しないものとされました。また、令和4年4月以降、新規に申請した緊急小口資金については、令和5年12月末まで償還が開始しないものとされました(※Ⅱ―3)。

【償還期限】2年以内。但し、令和3年度又は令和4年度の住民税非課税世帯は一括免除されます(ただし、令和4年4月以降の申請分については、令和5年度の住民税非課税世帯が一括免除されます)。また、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯については償還免除ができるとされています(詳細はQ5参照)。

 特に急を要する場合には、①市町村社協は、実印や印鑑証明を求めず、住民票等の必要書類は事後提出で対応し、②都道府県社協は、審査・決定事務は後に回し、申込書の到着と同時に送金処理を行うことで、申込時の翌々営業日までに送金が行われるようにするとされています。

※Ⅱ-1 令和2年4月27日付プレスリリース
https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000625493.pdf


※Ⅱ-2 令和2年3月18日付事務連絡「緊急小口資金等の特例措置による貸付金の送金までに係る適切な支援について(周知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000611265.pdf


※Ⅱ-3 令和4年2月25日付プレスリリース「緊急小口資金等の特例貸付、住居確保給付金及び新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の申請期間の延長等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000857235.pdf


(総合支援資金の特例貸付)
Q2 新型コロナウイルスの影響で失業し、当面の生活費の目途がありません。しばらくの間、一定の生活費を貸してもらう制度はありませんか?
 新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により日常生活の維持が困難となっている世帯(主に失業した方)については、無利子で、以下の「総合支援資金(生活支援費)」を借りることができます。(※Ⅱ-1参照)

【申込先】お住まいの市町村社会福祉協議会

【貸付上限】2人以上:月20万円以内 単身:月15万円以内

【貸付期間】

1か月ごとの分割交付で原則3か月以内。延長貸付(最大3か月)1回。自立相談支援機関の相談支援を受けることを要件として最大3か月の再貸付。但し、「延長貸付」については、令和3年3月末までに初回貸付を申請した世帯をもって終了し、「再貸付」の申請期間も令和3年12月末をもって終了しました。その結果、令和4年1月以降に特例貸付を申請した場合の最大貸付額は、緊急小口資金と総合支援資金(初回貸付)を合わせて80万円となります。


【据置期間】

初回貸付は1年以内、延長貸付は2年以内、再貸付は3年以内。
初回貸付は、令和4年12月末までは償還が開始しないものとされています(ただし、令和4年4月以降、新規に申請した初回貸付については、令和5年12月末まで償還が開始しないものとされました)(※Ⅱ-3)。
 延長貸付は、令和5年12月末まで償還が開始しないものとされており、再貸付は、令和6年12月末まで償還が開始しないものとされています。


【償還期限】

10年以内。但し、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯については償還免除ができるとされていますが、具体的な制度設計はなお検討中です(詳細はQ5参照)。


※Ⅱ-5 令和3年6月1日付社会・援護局長通知「『生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金等の特例貸付の実施について』の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000788578.pdf


(緊急小口資金と総合支援資金の併用)
Q3 緊急小口資金と総合支援資金(合わせて「特例貸付」)の両方を利用することはできますか?また、保証人がいなくても大丈夫ですか?
 両方同時に貸付を受けることができます。また、いずれも連帯保証人は不要です。

(特例貸付の受付期間等)
Q4 特例貸付はいつまで受け付けてもらえますか? 貸付が終わった後はどうすればいいですか?
A 受付期間は、2020年12月8日の事務連絡で2021年3月末まで延長され、同年3月19日の局長通知で同年6月末まで延長され、その後も事務連絡により延長が繰り返されていましたが、2022年9月末で受付終了しました。
 貸付が終了した方に対しては、必要な支援が途切れないよう、求職者支援制度や生活保護制度の利用につなぐこととされています。

(償還免除)
Q5 償還免除の対象となっている「償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯」とは、どのように判断されますか。
A 償還免除の判断は、資金種類(①緊急小口資金、②総合支援資金の初回貸付分、③同資金の延長貸付分、④同資金の再貸付分)ごとに一括して行い、①と②については令和3年度又は令和4年度の住民税非課税世帯(ただし、令和4年4月以降の新規申請分については令和5年度の住民税非課税世帯)、③については令和5年度の住民税非課税世帯、④については令和6年度の住民税非課税世帯であれば、それぞれ一括して償還免除とされます。
 借受人と世帯主が住民税非課税であれば償還免除の対象となり、そのほかの世帯員の課税状況は問いません(なお、借受人がDVのため避難していて世帯主の所得証明書が取得できない場合など、借受人のみ住民税非課税であれば足りる一定の例外も存在します)。
また、償還開始時に償還免除の要件を満たさなかった場合でも、償還開始以降に、借受人及び世帯主が住民税非課税となった場合には、償還免除申請すれば、それ以降の償還計画の対象となる残債務は一括して免除されます。

 詳細は「別紙」をご参照ください。

※Ⅱ-4 令和3年3月16日付事務連絡「緊急小口資金等の特例貸付の申請受付期限の延長及び償還免除に関する取扱について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000755463.pdf

※厚生労働省のホームページ(生活福祉資金の特例貸付)
https://corona-support.mhlw.go.jp/seikatsufukushi/index.html

※「緊急小口資金等の特例貸付」返済免除について(リーフレット)
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001019894.pdf
 
※生活福祉資金貸付相談コールセンター
0120-46-1999(受付時間 平日のみ 9:00~17:00)


(償還猶予)
Q6 特例貸付の償還猶予は、どのような場合に受けることができますか。
A 借受人又は借受人の属する世帯が以下の①から⑥のいずれかに該当する場合で、償還が著しく困難になったと認められるときは、借受人の申請に基づき、都道府県社会福祉協議会会長は、貸付元利金の償還を猶予することができるとされています。
 なお、特例貸付の償還猶予の申請は、償還開始前から可能であり、償還猶予の適用に当たっては、将来的に償還可能性が確実に見込める借受人だけを対象とはせず、特例貸付の趣旨にかんがみ、猶予後の償還可能性を厳密に求めることなく、相談時点で償還困難な状況がある場合には積極的な対応が求められています。

① 地震や火災等に被災した場合
② 病気療養中の場合
③ 失業又は離職中の場合
④ 奨学金や事業者向けのローン(ただし、住宅ローンは除かれます)など、他の借入金の償還猶予を受けている場合
⑤ 自立相談支援機関に相談が行われた結果、当該機関において、借受人の生活状況から償還猶予を行うことが適当であるとの意見が提出された場合
⑥ 都道府県社会福祉協議会会長が上記と同程度の事由によって償還することが著しく困難であると認める場合(→Q7参照)

特例貸付における償還猶予期間は原則1年間であり、償還猶予が認められた借受人は、猶予期間中、可能な限り、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の支援を受けることになります。
また、償還免除に該当する場合は、猶予期間中でも償還免除の適用を検討することとされています。

※生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の実施について
https://www.mhlw.go.jp/content/001007207.pdf (5~6頁参照)

※緊急小口資金等の特例貸付の借受人へのフォローアップ支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001019893.pdf(3~4頁参照)
(償還猶予)
Q7 特例貸付における償還猶予について、上記⑥「都道府県社会福祉協議会会長が上記と同程度の事由によって償還することが著しく困難であると認める場合」も対象とされていますが、具体的にはどのように判断されますか。
A 例えば、以下の事由を参考に個別の状況に応じて柔軟に判断することとされています。

・ 収入減少や不安定就労によって生活が安定しない(生活困窮者自立支援制度に基づく住居確保給付金の取扱いを参考に、直近3か月の収入がおおむね住民税非課税相当となっているかを目安に判断する等)
・ DV等の被害を受けて避難している。
・ 多重の債務があり、債務整理を行う可能性がある。
・ 公共料金等の滞納が続いており、生活に困窮している。 等

上記「公共料金等の滞納が続いており、生活に困窮している」については、税金や水道使用料等の滞納も含まれますので、滞納関係の書類を示して猶予申請することが考えられます。

※生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の運用に関する問答集(vol.26)
https://www.mhlw.go.jp/content/001098044.pdf(29頁参照)

※緊急小口資金等の特例貸付の借受人へのフォローアップ支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001019893.pdf(3~4頁参照)
(猶予期間中の職権による償還免除)
Q8 償還猶予の期間中には、償還免除を受けられないのでしょうか。
A 都道府県社会福祉協議会は、特例貸付の償還猶予を受けている借受人について、「償還の見込みがないと判断できる場合」には、職権により償還免除を行うことができます。
  上記「償還の見込みがないと判断できる場合」については、あくまで個々の借受人世帯の状況を総合的に考慮して判断されることとなります。下記の問答集(vol.26)で示されている具体例は下記のとおりです(あくまで例示であることに注意して下さい)。

相談支援や見守り支援の対象となる借受人について
 そもそも就労・増収や家計改善等の支援を行うことが本人に無理を強いることになるなど、極めて困難な状況にある借受人が、これに該当します。その他、以下のような事情があり、当面の間、支援の効果が現れないことが想定される場合も該当します。
・ 借受人自身のやむを得ない事情(例:精神疾患等に罹患している、本人に障害の疑いがある、ひきこもり状態にある等)
・ 借受人世帯のやむを得ない事情(例:看護や介護の必要がある、多子世帯である、 離婚や DV により住む場所を失う等)

 上記のような借受人について、猶予期間中、相談支援や見守り支援を行ったものの、当初の見立てどおり、状況が改善する見込みがなく、借受人が今後の生活を営むためには少なくとも償還免除を行うことが必要不可欠であるとき
 →上記「償還の見込みがないと判断できる場合」に該当します。

自立相談支援機関の支援の対象となる借受人について
ア 就労・増収に向けた活動に取り組んだものの、以下のような事情にあり、当面の間、支援の効果が現れないことが明らかな場合(支援の途中に以下のような事情が生じた場合も含みます) →上記「償還の見込みがないと判断できる場合」に該当します。
・ 借受人自身のやむを得ない事情(例:精神疾患等に罹患している、本人に障害の疑いがある、ひきこもり状態にある等)
・ 借受人世帯のやむを得ない事情(例:看護や介護の必要がある、多子世帯である、離婚やDVにより住む場所を失う等)

イ 家計改善を図る取組を行ったものの、生活再建につながる程度の支出の改善等の余地がない場合 →上記「償還の見込みがないと判断できる場合」に該当します。
※必要な範囲の生命保険や医療保険、学資保険等まで見直す必要はありません。また、乗用車など合理的な生活を送るために必要な財産を処分する必要もありません。
※ 借受人の支出の改善等の可能性については、猶予期間中に自立相談支援機関等で実施された家計改善支援の中で検討されていれば、償還見込みの有無を判断する際に再度の検討を行う必要はないとされています。

ウ 必要な支援を受けながら生活再建に向けて取り組み、一定の効果が現れたものの、他の債務の償還を行っている場合や、既に生活費の節約等により何とか生活を維持している場合等、償還を行うことにより、当面の間、生活に重大な支障が生じることが明らかな場合 →上記「償還の見込みがないと判断できる場合」に該当します。

※生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の運用に関する問答集(vol.26)
https://www.mhlw.go.jp/content/001098044.pdf(38頁、36頁参照)

(猶予期間終了時の意見書提出による償還免除)
Q9 償還猶予の終了時にも特例貸付の償還に困っている場合、償還免除を受けられないでしょうか。
A 特例貸付における償還猶予期間は原則1年間であり、償還猶予が認められた借受人は、猶予期間中、可能な限り、生活困窮者自立支援制度における自立相談支援事業の支援を受けることになります。
 そして、市区町村社会福祉協議会や自立相談支援機関では、猶予期間が終了する時点で、具体的な支援状況を踏まえて、

・償還猶予適用時に償還が困難であった原因が解消されたか
・今後、償還を行っても生活できるか
・猶予期間中、借受人本人が個別支援計画に沿って増収を目指したり支出を見直そうとしたりするなど、生活再建に向けて誠実に取り組んできたか

など借受人やその世帯の状況を総合的に考慮し、猶予期間終了後に償還を行っても自立した生活が可能かどうか検討することとされています。

 検討の結果、これ以上の増収や支出の見直しが困難であり、今後も償還が見込めないと判断される場合には、当該借受人への支援の実施状況、その時点における生活状況や償還が困難な状況等を記載した意見書を都道府県社会福祉協議会に提出することとされています。なお、都道府県社会福祉協議会が見守り支援を行っている場合は、意見書の提出は不要です。
ただし、償還免除の意見書を提出するためには、猶予期間が終了する時点で、少なくとも6か月以上、市区町村社会福祉協議会等や自立相談支援機関が借受人の支援を行っていることが必要です(6か月以上の支援が行われていない場合にも、意見書の提出により、償還猶予期間の延長はできます)。

 都道府県社会福祉協議会では、市区町村社会福祉協議会や自立相談支援機関から提出された意見書を踏まえ、当該借受人について、償還の見込みがないと判断できる場合には、会長の職権により償還免除を行うことができます。
具体的には、「12か月以上の償還が遅延している借受人について、償還指導を実施した上で、なお償還の見込みがない場合」とみなすことにより、償還免除が認められます。

※生活福祉資金貸付制度における緊急小口資金等の特例貸付の運用に関する問答集(vol.26)
https://www.mhlw.go.jp/content/001098044.pdf(33~35頁参照)

(フォローアップ支援など)
Q10 特例貸付の償還に困っている方について、償還猶予や償還免除以外の支援方法はないでしょうか。
A 破産や民事再生等で債務を消滅させたり、縮減したりすることが考えられます。
また、厚生労働省からは「償還免除に至らないものの償還が困難な借受人へのフォローアップ支援」も要請されており、必要に応じて、償還計画の変更や少額返済を認めるなど、個々の状況に配慮した柔軟な判断・対応も求められていますので、「償還計画の変更」や「少額返済」の実現を支援することも考えられるでしょう。

※緊急小口資金等の特例貸付の借受人へのフォローアップ支援について
https://www.mhlw.go.jp/content/12000000/001019893.pdf(3~4頁参照)
(本則の生活福祉資金)
Q11 生活福祉資金の特例貸付は終了しましたが、本則の生活福祉資金(通常貸付)はどのような制度になっていますか。
A 本則の生活福祉資金(通常貸付)は低所得者世帯(住民税非課税程度)、障害者世帯(各種手帳の交付を受けた者の属する世帯)、高齢者世帯(65歳以上の属する世帯)を貸付対象としており、総合支援資金、福祉資金、教育支援資金、不動産担保型生活資金等の種類があります。貸付条件や貸付限度額、(福祉資金のうち福祉費について)貸付上限目安額等の詳細については、下記※をご参照ください。

※生活福祉資金貸付条件等一覧(厚生労働省のホームページ) 
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/seikatsu-fukushi-shikin1/kashitsukejoken.html

※生活福祉資金(全国社会福祉協議会のホームページ)
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/seikatsu/index.html

※生活福祉資金一覧(全国社会福祉協議会)
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/seikatsu/pdf/ichiran_20160128.pdf

※福祉資金福祉費対象経費の貸付上限目安額等(全国社会福祉協議会)
https://www.shakyo.or.jp/guide/shikin/seikatsu/pdf/meyasu_20150331.pdf


Ⅲ 住宅維持・借金整理編
(住居確保給付金:支給要件)
Q1 失業して家賃が支払えなくなりました。家賃を補助してくれる制度はありますか?
 「住居確保給付金」の利用を検討しましょう。

【申請先】各自治体の福祉担当部署。自治体によって異なりますので、各自治体の自立相談支援機関(生活困窮者の相談窓口)に相談してください。

※Ⅲ-1 自立相談支援機関相談窓口一覧(令和2年5月25日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf


【支給要件】
① 主たる生計維持者が、(1)離職・廃業後2年以内であるか、(2)当該個人の責任・都合によらず給与等を得る機会が、離職・廃業と同程度まで減少している場合
(1)の要件は、要は「2年以内に離職・廃業」していればいいので、2年以内に離職・廃業後、現在は再就職して働いていてもOKです。2年以内にWワークで1日でも働いて辞める等していても、この要件は満たすので丁寧な聞き取りが必要です。
(2)の要件は、新型コロナ禍により2020年4月20日から改正されたもので、かなり多くの方が新たに対象となりました。「離職・廃業と同程度」とは、勤務日数等が全くなくなったことまでを求めるものではなく、週4~5日の仕事が2~3日になった場合等でもよいとされており(後記Ⅲ-6のQ2)、それを確認できる書類がない場合は申立書の活用も可能とされています(同Q3)。

※Ⅲ-2 令和2年4月20日付事務連絡「生活困窮者自立支援法施行規則の一部を改正する省令の施行について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000623242.pdf


② ハローワーク又は公的な無料職業紹介の窓口に求職の申込みを行い、原則として誠実かつ熱心に常用就職を目指した求職活動を行うこと。具体的には下記のとおりです。
(ア)(申請時等)公共職業安定所での求職申込み
(イ)自立相談支援機関への相談(月4回以上)
(ウ)公共職業安定所での職業相談等(月2回以上)
(エ)企業への応募等(原則、週1回)
(オ)プランに沿った活動(家計相談、自営業者向けセミナー等への参加など)

※(イ)の条件については、月1回以上「対面での相談」を行い、残りの回数は「電話等による相談」を行っても構いません。

※自営業の方で休業等から事業再生を目指される場合は、(ア)、(ウ)、(エ)の条件については、「経営相談先への相談申込み」、「経営相談先での経営相談」、「給与以外の業務上の収入を得る機会の増加を図る取組」の実施に代えても構いません。

※Ⅲ-6 住居確保給付金 住居確保給付金に関するQA(vol10)
https://www.mhlw.go.jp/content/000860680.pdf



③ 直近の月の世帯収入合計額が収入基準額(市町村民税の均等割が非課税となる額の1/12(以下「基準額」)+住宅扶助基準額を上限とする家賃額)以下であること
「基準額」は地域によって違いますが、市町村民税非課税基準と同程度で生活保護基準よりも少し高いです。住宅扶助基準額は、後述の【支給額】を参照。

④ 申請者世帯の預貯金現金の合計額が一定額(③④の「基準額」×6か月分。ただし、最大100万円)以下であること
このように一定の預貯金があっても利用できる点は生活保護よりも良い点です。
 
※ 以前は、「65歳未満」という要件もありましたが、令和2年4月1日からこの要件がなくなりました。
また、「求職者支援法に基づく職業訓練受講給付金を受けていないこと」という要件もありましたが、令和5年4月1日からこの要件もなくなりました。

【支給額】生活保護の住宅扶助基準額を上限とする家賃額(地域によって異なります)

※Ⅲ-7 住宅扶助の限度額一覧表(2021年4月現在)
http://kobekoubora.life.coocan.jp/2021juutakufujo.pdf


【支給期間】原則3か月間(延長は2回まで最大9か月間)
 支給された給付金は賃貸住宅の賃貸人や不動産媒介事業者等へ、自治体から直接支払われます(ただし、クレジットカードで賃料を支払う場合には本人に支給されるなど、一定の例外があります)。

※Ⅲ-14 令和4年10月28日付事務連絡「住居確保給付金の特例措置の申請期間の延長及び新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金の取扱について」
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28851.html


※ 生活福祉資金貸付相談コールセンター 0120-46-1999
(受付時間 : 9:00~17:00 平日のみ)
(住居確保給付金:外国人・自営業者)
Q2 外国人、フリーランス・自営業者も支給対象となりますか。
 いわゆる国籍条項は存在せず、日本国籍の方と同様、収入要件や求職活動要件等の各種要件を満たす場合であれば支給対象となります(上記Ⅲ-6のQ9)。
 フリーランス・事業者の方も同様です。
(住居確保給付金:学生)
Q3 大学生等は支給対象にならないのですか。
 学生については、QA(vol4)のQ9に昼間の大学等の学生は対象にならないとの誤解を招く記載がありました。
しかし、学生であっても、「離職等前に主たる生計維持者」等の要件を満たせば当然対象になりますし、厚労省も批判を受けてQA(vol5)では記載を改めました。その後のQAにも「常用就職を目指す場合などは、支給対象者になる」と書かれていますが、アルバイト就労を目指す場合でもかまいません(上記Ⅲ―6のQA(vol10)のQ10、Q7)。

なお、「世帯生計の維持者」とは単に生活費を自分で出しているだけでなく、税金や社会保険の扶養にも入っておらず自ら生計を立てている者をいうとされています。
(住居確保給付金:支給額の改善)
Q4 支給額を増額する方向での運用改善が行われたと聞きましたが、どのような改善ですか。
 以下のとおり、令和2年7月1日以降、生活保護の住宅扶助基準より高い家賃の家に住んでいる人にとって、支給額が増える計算式の改善がされました。

事例)A市の1人世帯住宅扶助基準(3.5万円)、収入基準額(7.8万円)
   実際の家賃額(5.5万円)、月額世帯収入(10万円)の場合・・・

【改正前】
 支給額=家賃額-(月の世帯の収入額-基準額)
 ※家賃額は、住宅扶助基準に基づく額を上限とする。
 事例では)3.5万円-(10万円-7.8万円)=1.3万円(支給額)

【改正後】
 支給額=実際の家賃額-(月の世帯の収入額-基準額)
 ※支給額は、住宅扶助基準に基づく額を上限とする。
 事例では)5.5万円-(10万円-7.8万円)=3.3万円(支給額が2万円アップ!)


※Ⅲ-8 令和2年7月3日事務連絡「生活困窮者住居確保給付金の支給額に係る生活困窮者自立支援法施行規則等の改正について」~イメージ図を見ると分かりやすいです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000646522.pdf


※住居確保給付金の支給手続等に関する詳細

令和2年7月3日事務連絡「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアルの改訂について」 
https://www.mhlw.go.jp/content/000646672.pdf
※住居確保給付金の詳細はp48から


令和2年4月20日事務連絡「「生活困窮者自立支援制度に関する手引きの策定について」の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000623740.pdf


(家賃の滞納と立退き)
Q5 家賃を2か月分滞納したら、家賃保証会社の社員から月末までに退去するとの書面にサインするよう強く求められました。私が悪いので応じなければならないでしょうか?
 滞納家賃の支払義務はありますが、立ち退く義務があるわけではないので、応じてはなりません。
 家主が賃借人を強制的に立ち退かせるためには、賃貸借契約を解除し、明渡訴訟を起こして判決を得た上で強制執行を申し立てなければなりません。そして、賃貸借契約を解除するためには、信頼関係を破壊するような重大な契約違反が必要で(信頼関係破壊の法理)、2か月の滞納だけでは契約解除は認められません。法務省も「新型コロナウイルス感染症の影響により3か月程度の賃料不払が生じても」契約解除が認められないケースも多いと考えられる旨のQAを発表しています。

※Ⅲ-9 法務省「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた賃貸借契約の当事者の皆様へ」
http://www.moj.go.jp/content/001320302.pdf


仮に書面にサインしてしまっても、法律家に委任して交渉してもらえば状況を打開できることも多いです。
(住宅ローン等の滞納)
Q6 収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなってきました。銀行は返済猶予や条件変更に応じてくれるでしょうか?
 金融庁からの要請等をふまえ、銀行等は、住宅ローン等の返済猶予や条件変更の相談に対して、迅速かつ柔軟に応じるものとされており、まず6か月間元金を据え置く等の事例を金融庁が取りまとめて公表しています。こうした事例を示して銀行等に相談してみましょう。
また、住宅ローン等の悩みについては、下記の専用相談ダイヤルもあります。

〔新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル〕
0120-156811(フリーダイヤル)【平日10時~17時】

※Ⅲ-10 令和2年3月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた住宅ローン等の返済猶予等について(周知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000617817.pdf


※Ⅲ-11 令和2年5月18日付「住宅ローン等でお困りの方に対する金融庁における支援策について(情報提供)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000631583.pdf


(コロナ版ローン減免制度の概要)
Q7 新たなローン減免制度が始まったと聞きましたが、どのような制度ですか?
 「自然災害による被災者の債務整理ガイドライン」の新型コロナウイルス特則(以下「コロナ版ローン減免制度」)が2020年12月1日から始まりました。

【対象者】
新型コロナウイルスの影響による失業・減収等で、債務の返済が困難になった個人・個人事業主

【対象債務】
2020年2月1日以前に負担していた債務に加え、同年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務
※なお、「特例貸付」等を行っている都道府県社会福祉協議会も対象債権者です。

【メリット】
①特別定額給付金等の差押禁止財産に加え、一定の「自由財産(99万円プラスα)」を手元に残せる。
②信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されないので、その後の借入の可能性がある。
③弁護士・不動産鑑定士などの専門家の支援が無償で受けられる。
④住宅を手放さずに、住宅ローン以外の債務だけ減免することができる。
⑤原則として保証人への請求はされない。

【概要】
債務者の財産価値の額から「自由財産」を差し引いた残額を一括又は分割で債権額に按分して支払う(差し引きがゼロであれば免除)。
弁護士会が紹介する弁護士の支援を受けて返済計画を立て、全債権者の同意が得られたら、簡易裁判所に特定調停を申し立て調停調書を作る。
(コロナ版ローン減免制度の利用法)
Q8 コロナ版ローン減免制度はどうすれば利用できますか?また、詳しいことはどこに聞けばいいですか?
 Q7で述べたメリットがあるので、破産や個人再生の前にコロナ版ローン減免制度の利用の可否を検討する必要があります。
制度を利用するためには、一番大口の債権者から「着手同意書」を発行してもらい(債務者が暴力団登録されている等明らかに制度を利用できない場合を除き発行しなければなりません)、これを弁護士会に提出して、登録支援弁護士を紹介してもらう必要があります。詳しい手続は最寄りの弁護士会に相談してください。

※Ⅲ-12 金融庁 説明チラシ
※Ⅲ-13 日弁連 説明チラシ(10のQ&A)
※ 各都道府県の弁護士会の相談窓口はコチラから検索(日本地図の都道府県をクリックしてください)
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/shinsai/covid19-soudan.html
日弁連HPトップページの上の方「新型コロナウイルスでお悩みの方へ」→「個人の方」「全国の弁護士会の相談窓口のご案内」
https://www.nichibenren.or.jp/index.html


Ⅳ 税金・公共料金滞納編
Q1 上下水道、電気、ガス、電話料金NHK受信料、や公営住宅の家賃の支払いができません。待ってもらえるでしょうか?
 待ってもらえる場合があります。各種料金の支払困難な方に対し、その置かれた状況に配慮して、支払猶予や料金未払いによるサービス停止の猶予等、迅速かつ柔軟に対応するようにとの要請が国からなされており、多数の電力会社、ガス会社等が応じる方針を明らかにしています。各種料金の支払いにお悩みの方は、まずは一度、契約している事業者に相談するようにして下さい。
 
電気料金に関する対応事業者一覧(対応予定を含む)
https://www.enecho.meti.go.jp/coronavirus/pdf/list_electric.pdf
ガス料金に関する対応事業者一覧(対応予定を含む)
https://www.enecho.meti.go.jp/coronavirus/pdf/list_gas.pdf
NHK受信料に関する相談窓口
https://pid.nhk.or.jp/jushinryo/corona_jushinryo.html

※令和2年3月18日付 「生活不安に対応するための緊急措置」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kinkyutaiou3_corona.pdf
 また、市営住宅等に入居中の方で、病気や解雇、倒産による失業、新型コロナウイルス感染症の影響などにより収入が著しく減少し、家賃の支払いが困難と認められる方については、家賃の減免や徴収猶予の対象となる場合があります。詳細については、お住まいの自治体担当課へお問い合わせください。
Q2 国民健康保険料(税)が払えません。減免してもらえますか?あるいは、既に支払った保険料(税)を返してもらえないですか?
 以下の要件を満たす場合、保険料(税)を減免してもらえます。また、減免対象期間中に既に保険料(税)を支払ってしまった場合でも、減免申請ができなかったやむを得ない理由がある場合は、遡って減免してもらえます。減免の結果、すでに納付した保険料については、遡って還付される場合もありますので、自治体にご相談ください。

【要件】
1 新型コロナにより主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った世帯
☛全部免除
2 ①新型コロナの影響で主たる生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入のいずれかが前年の当該事業収入等の3割以上減少し、②総所得金額が1000万円以下で、③減少見込みの収入以外の所得の合計額が400万円以下の世帯
☛所得に応じて2割~全部免除

【減免対象】
 令和4年度分の保険料(税)であって、令和4年4月1日から令和5年3月31日までの間に普通徴収の納期限が設定されているもの

※ 令和4年3月14日付 「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者等に係る 国民健康保険料(税)の減免等について」https://www.mhlw.go.jp/content/000914294.pdf


Q3 確定申告の期限に間に合いません。
 新型コロナウイルス感染症の影響により、期限までに申告・納付等することができないやむをえない事情がある場合には、所轄税務署に「災害による申告、納付等の期限延長申請書」を作成、提出してください。税務署の承認が下りると、新たに指定された日まで申告期限が延長されます。

※令和5年5月7日までの国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(国税庁HP)
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/kansensho/pdf/0023004-072.pdf


Q4 確定申告をしたものの、新型コロナウイルスの消毒で在庫商品が使えなくなり、所得税や消費税を納められません。
 新型コロナウイルスにより納税者がその財産に相当な損失を受けたことの申し出があった場合に、納税を猶予してもらえる余地があるので、所轄の税務署に相談してください(国税通則法46条1項)。なお、この手続については地方税には適用はありません。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm


Q5 前問で、財産に相当な損失との回答ですが、「相当」というのはどの程度ですか。
 その事業にかかる全財産の20%以上とされています。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/04/01/46.htm#a-02
※2項を参照


Q6 Q4の納税の猶予については、財産に相当な損失があった場合に適用されるとのことですが、売上や給料が減ったような経済的損失が生じた場合には適用されないのですか。
 令和2年4月30日に制定された納税の猶予(地方税においては「徴収の猶予」)に関する特例は、現在は廃止されていますので、売上や給料が減った場合に延滞税の負担なく納付を延長する制度はなくなりました。
しかし、売上や給料が減った場合には、延滞税率の一部免除を受けることのできる納税の猶予(徴収の猶予)や換価の猶予(いずれも特例ではなく、従前から存在する制度)を利用することにより、延滞税を大幅に減らすことができますので、これらの制度の適用をご検討ください。

Q7 Q4やQ6の納税の猶予のやり方がわかりません。
 以下のホームページを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100011.htm

Q8 新型コロナウィルスの影響で売上や所得が下がり、納税ができません。
 まず、Q6の納税の猶予(徴収の猶予)が使えないかを検討してください。納期限をすでに過ぎていたような場合、国税や事業者が納める社会保険料については、納税の猶予、換価の猶予を検討してください。詳細は以下のホームページをご参照ください。なお、地方税の徴収猶予及び換価の猶予についても、柔軟に取り扱われるよう、総務省から各自治体に通知がなされています。

(国税)https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
(地方税)https://www.soumu.go.jp/main_content/000676891.pdf


Q9 以前、納税の猶予や換価の猶予を申請したときは担保が必要と言われましたが、新型コロナウィルスが原因でも、担保は必要なのでしょうか。
 新型コロナウィルスの関係で納税の猶予や換価の猶予を求める場合には、担保提供できる資産が明らかに存在する場合を除いて、不要とされています。
※国税庁パンフ「納税が困難な方には猶予制度があります」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf


Q10 影響を受け始めて間がないので、十分な資料が揃いませんが、猶予を受けられるでしょうか。
 書類が揃わなくても、口頭での申述でも認められることがあるので、とりあえず納付先に相談をしてみてください。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000676891.pdf


Q11 納税の猶予(徴収猶予)、換価の猶予の手続がわかりません。
 以下のホームページでご確認ください。なお、地方税についても、同様の手続で対応されることが通例です。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm


Q12 解雇(雇止め)で失業したのですが、前年所得を前提とする国民健康保険料が高くて払えません。
 世帯内に、離職した方で次の①又は②に該当する方がいる場合には,届出により,対象者の前年の給与所得を30/100とみなして,(1)国民健康保険料を計算するとともに,(2)高額療養費等の限度額区分の判定を行います。これは、コロナ禍とは関係ない制度です。

① 特定受給資格者
 倒産,解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方
 (雇用保険受給資格者証の離職理由欄が11,12,21,22,31又は32の方)

② 特定理由離職者
 期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した方
 (雇用保険受給資格者証の離職理由欄が23,33又は34の方)

※ 離職日時点で,65歳以上の方は対象外
Q13 滞納している税金について相談をしたいのですが。
 全国対応できるのは、以下の4団体です。各地で個別に相談にあたっている団体も紹介します。

【全国対応可能な団体】
●滞納相談センター
 (滞納処分対策全国会議代表の角谷啓一税理士会長を務める専門家集団)
 TEL 03-6805-6330

●中央社会保障推進協議会(中央社保協)
 中小・零細事業者および一般市民を幅広く対象にしています
 住所 〒110-0013 東京都台東区入谷1-9-5 日本医療労働会館5階
 TEL 03-5808-5344

●全国商工団体連合会(全商連)
 中小・零細事業者を対象にしています
 住所 〒171-8575 東京都豊島区目白2-36-13
 TEL 03-3987-8575

●全国生活と健康を守る会(全生連)
 一般勤労者はこちらに
 住所 〒160-0022 東京都新宿区新宿5-12-15 KATOビル3F
 TEL 03-3354-7431

【各地での相談】
北海道 釧路はまなすの会

〒085-0841 北海道釧路市南大通3-3-6ミナミハイツ102号
電話 0154-43-2885 火・木 10:00~16:00 土 18:00~20:00


宮城県 宮城あおばの会

〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町1-17-20 グランドメゾン片平502号
電話 022-711-6225  月・水・金 13:00~16:00


秋田県 秋田なまはげの会

〒018-0951 秋田県秋田市山王町22-16 ラポール山王郷A-1
電話 018-862-2253  月・水・土 随時


群馬県 NPO法人消費者支援群馬ひまわりの会

〒376-0011 群馬県桐生市相生町3-120-6
電話 0277-55-1400  月~木 13:00~17:00 金 13:00~21:00


東京都 玉川 雑草の会

〒158-0091 東京都世田谷区中町5-17-3 玉川民商内
電話 03-3703-5371  第1日曜 19:00~22:00


大阪府 大阪クレ・サラ貧困被害をなくす会いちょうの会

(大阪いちょうの会)
〒530-0047 大阪市北区西天満4-5-5 マーキス梅田301号
電話 06-6361-0546  月~金 13:00~19:00


兵庫県 尼崎あすひらく会

〒661-0021 兵庫県尼崎市名神町1-9-1尼崎民主共同センター内
電話 06-6426-7243  日 10:00~15:00


和歌山県 あざみの会

〒640-8212 和歌山県和歌山市杉ノ馬場1丁目11
電話 073-424-6300  月~金 14:00~18:00 月曜日は夜間も相談 18:30~21:00


広島県 クレジットサラ金被害・生活支援センター福山つくしの会

〒720-0052 広島県福山市東町2丁目3番23号
電話 084-924-5070  月~金 10:00~17:00


広島県 呉つくしの会

〒737-0051 広島県呉市中央3-2-27島崎法律事務所ビル1階
電話 0823-22-7265  月、水、金 10:00~18:00


香川県 高松あすなろの会

〒760-8081 香川県高松市成合町559-15
電話 087-897-3211 0120-39-0476  月~金 10:00~17:00


高知県 高知うろこ(鱗)の会(高知クレ・サラ金被害をなくす会)

〒780-0870 高知県高知市本町4-1-37
高知県社会福祉センター3階-4
電話 088-822-2539 0120-565-275
火・土10:00~16:00 木10:00~20:00


福岡県 ひこばえの会(福岡クレ・サラ被害をなくす会)

〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-2-51 第一吉田ビル501
電話 092-761-8475  月~金 13:00~17:00


Q14 制度の区別や適用要件など、あまりよくわからないので教えてほしい。
 滞納処分対策全国会議のホームページに、詳しい解説つきで掲載されているので、そちらをご覧ください。

https://tainoutaisaku.zenkokukaigi.net/


Q15 引用された通知などに従った処理がなされていない場合はどうすればよいですか。
 滞納処分対策全国会議の事務局あてに、メールまたはFAXでご連絡ください。なお、内容によっては対応致しかねる場合もありますのでご了承ください。

滞納処分対策全国会議 事務局長
弁護士 佐藤靖祥(さとう法律事務所)
電話022-722-6435  FAX022-722-6436
メール ysato@peach.ocn.ne.jp


Ⅴ 労働編
※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」(Ver5)(R3.12.1時点)

http://roudou-bengodan.org/covid_19/


※Ⅴ-2 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q2-1


※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(使用者の方向け)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-7


(休業手当)
Q1 職場からコロナウイルスを理由に「当面店舗を閉めるから自宅待機するように。給料は支払えない」と言われました。
 使用者は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合(不可抗力による休業ではなく、自発的な休業の場合)、休業期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければなりません(労働基準法26条)。
 「不可抗力による休業」と言えるためには、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であることのいずれも満たす必要があります。
 緊急事態宣言が出されても指定対象外の地域であれば、店舗閉鎖等は自主的判断なので休業手当の支払義務が認められる場合がほとんどと考えられます。
 一方、厚労省はQAで、緊急事態宣言の指定地域内で営業自粛の協力依頼や要請を受けた場合は、①の要件を満たすとしたうえで、なお②休業回避のための具体的努力を最大限尽くしているといえる必要があるとしました。(上記※Ⅴ3のQ4-7)
 しかし、指定地域内でも休業を要請されていない業種はもちろん、指定業種であったとしても休業(施設の使用制限等)が新型インフルエンザ等特措法に基づく指示・公表の段階に至らない協力要請にとどまる場合には、なお休業手当の支払義務があるという考え方も十分成り立ちえると考えられます。

※ 厚労省QAに異議!全国に緊急事態宣言、それでも休業手当は支払わねばなりません

https://news.yahoo.co.jp/byline/shimasakichikara/20200426-00175291/


(雇用保険)
Q2 私は、飲食店等でアルバイトを繰り返して生活しているフリーターです。今の情勢ですとアルバイト先がなくなり、いつ失業してもおかしくないのですが、どこの事業主も、私のようなアルバイトを雇用保険に加入させていません。これは仕方が無いのでしょうか?
A
【条件を満たせば、アルバイトも雇用保険の被保険者】
労働者であって、①週の所定労働時間が20時間以上、②同一の事業主に継続して31日以上雇用される見込みがあるなどの条件を満たせば、雇用主や労働者の意思に拘わらず、当然に雇用保険の被保険者となります(雇用保険法4条1項、6条1号・2号等。以下、雇用保険法を「法」という。)。このことは、いわゆるアルバイトであっても同じです(ただし、学生アルバイトは、雇用保険の適用除外になっています。法6条4号)。
31日以上の雇用見込みには、期間の定めがなく雇用される場合も含みます。また、当初は1か月で終了する予定のアルバイトであっても、雇入れ後に、31 日以上雇用されることが見込まれることとなった場合には、その時点から被保険者となります(雇用保険事務取扱要領20303(3))。

【労働者による被保険者資格の確認請求】
事業主は、被保険者となる労働者を雇用した場合、その月の翌月10日までに、雇用保険被保険者資格取得届を職安に提出する義務があります(法7条、雇用保険法施行規則6条1項。以下、雇用保険法施行規則を「規則」という。)。しかしながら、特にアルバイト労働者については、事業主が被保険者資格取得届の提出を懈怠し、被保険者として扱われていない事例が多く存在します。
そこで、雇用主が届出しない場合、労働者から公共職業安定所(以下、「職安」という。)に対して被保険者資格の確認請求(法8条)をしてみてください。職安が調査の上で、被保険者資格を認定することとなります。被保険者資格の確認請求は、当該職場を既に離職済みであっても可能です。
就職から確認請求まで時間が経過していても、過去に遡って被保険者資格が認定されます。ただし、被保険者資格の遡及認定は、原則として確認請求前2年間が限度となります。それより遡って認定されるには、給与明細から雇用保険料が控除されていた(それにもかかわらず資格取得届の未提出を労働者が知らなかった)との条件が必要となります(法14条2項2号、22条5項。規則33条、33条の2)。

【事業主による被保険者資格取得届の提出懈怠についての罰則】
事業主が法7条に違反して被保険者資格取得届を提出しない場合、刑事罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)の対象となります(法83条1号)。Q3の場合、刑事罰の適用を求めていくことも検討対象となります。

Q3 退職後、雇用主が離職票を出してくれないので、公共職業安定所に提出できず、求職者給付の受給ができません。どうしたら良いでしょうか。
A
【通常の離職票入手と受給資格認定の流れ】
 本来、事業主は、労働者の離職後10日以内に、「雇用保険被保険者離職証明書」(離職証明書)を添付して、「雇用保険被保険者資格喪失届」を職安に提出する義務を負います(雇用保険法7条、同規則7条)。離職証明書が提出された場合、職安は、離職証明書の情報が転写された「離職票」を返付し、これが雇用主を経由して労働者に交付されます(規則17条1項1号、2項)。
また、離職者が事業主に離職証明書の交付を求め(規則16条)、直接、これを職安に提出して離職票の交付を受けることも可能です(規則17条1項2号・3号)。
 離職者が求職者給付を受けるには、離職票を添えて職安に出頭し、求職の申込みをする必要があります。その際に、職安は、求職者給付の受給資格の該当性につき判断します(法15条2項、規則19条)、よって、離職票は求職者給付の受給に必須となります。

【職安に直接離職票の交付を求める方法】
事業主が離職票を出さない本問のようなのような場合は、「その者を雇用していた事業主の所在が明らかでないことその他やむを得ない理由があるとき」に該当するものとして、労働者は、直接、職安に対して、離職証明書を添えずに、離職票の交付を求めることができます(規則17条3項)。この場合、職安が独自に調査の上で離職票を作成し、労働者に交付することになります。ですので、離職証明書がなくても、すみやかに職安に行って、職安に離職票を作成してもらうようにしてください。

【事業主の離職証明書不交付等についての罰則】
事業主は、離職者が求職者給付の受給のために必要な証明書(離職証明書を含む)の交付を請求した場合、交付義務を負います(法76条3項)。そして、事業主が法7条や法76条3項に違反して届出や証明書の交付をしない場合には、刑事罰(6か月以下の懲役又は30万円以下の罰金)の対象となります(法83条1号・4号)。本問の事例の場合、刑事罰の適用を求めていくことも検討対象となります。そして、本問のような場合、罰則の存在を背景に、職安から事業主に対して離職証明書の提出ないし交付を促してもらえる場合もあります。

【受給資格の仮決定手続】
なお、「求職の申込の際にやむを得ない理由により離職票を提出できない」として、「受給資格の仮決定」を求め、手続を進めることも可能です(「雇用保険事務取扱要領 50202」に基づく運用なので、応じてもらえない職安もあります)。ただし、この場合の受給は、離職票の提出後となりますので、いずれにせよ、前述したような方法により離職票を得る必要があります。

Q4 就職した会社がいわゆるブラック企業だったため、違法な長時間労働で働かされ、かつ、毎日上司の叱責を受けていたため、精神的に参ってしまい、1年間もたずに会社を退職しました。職安に行きましたが、「1年以上働いていないので、失業手当は受給できない」と言われました。何とか受給できる方法は無いのでしょうか。
A
【受給資格の要件】
 原則として、求職者給付の受給には、離職前2年間に12か月以上の被保険者期間が必要です(法13条1項)。
ただし、法13条1項により受給資格を満たさない場合であっても、「特定受給資格者」「特定理由離職者」に該当する場合には、離職前1年間に6か月間以上の被保険者期間があれば、受給資格を有することになります(法13条2項)。
 なお、受給資格の認定に際して被保険者期間の算定対象となる期間(離職前2年間または1年間)のことを、「算定対象期間」と言います。

【特定受給資格者該当性の検討】
 そこで、本件の離職理由により「特定受給資格者」等に該当しないかを検討します。
 「特定受給資格者」は、以下の理由により離職した者を指します(主なもののみ挙げています。正確な定義は法令を参照。)(法23条2項、規則34条・35条・36条)
 ①雇用主の倒産  ②事業所の廃止  ③事業所の移転のため通勤が困難
 ④解雇(自己の責めに帰すべき重大な理由によるものを除く)
 ⑤有期雇用の雇用期間満了(雇用期間合計3年以上)
 ⑥有期雇用の雇用期間満了(更新されることが明示されていたのに不更新の場合)
 ⑦退職勧奨  ⑧明示された労働条件との著しい相違  ⑨賃金不払
 ⑩違法な長時間労働  ⑪安全配慮義務違反  ⑫育休等への不利益取扱
 ⑬雇用主・同僚による就業環境を著しく侵害する言動
 ⑭事業主都合の3か月以上の休業   ⑮事業の法令違反
 本問の事例の場合、⑩や⑬に該当する可能性が十分にあります。また、残業代不払が一定以上となると⑨に該当する可能性もありますし、⑧に該当する可能性もあります。
ただし、これらの事実を事業主が否定した場合、証拠がなければ特定受給資格者と認定されません。⑬の場合、録音等の証拠確保が必要となり得ます。また、⑧⑨⑩の場合も、証拠確保に注意が必要です。

【特定理由離職者該当性の検討】
 「特定理由離職者」は、以下の理由により離職した者を指します(法13条3項、規則19条の2)。
① 有期雇用の雇用期間満了(特定受給資格者に該当する場合を除く。その者が更新を希望したにもかかわらず、更新についての合意が成立するに至らなかった場合に限る。)
② 「正当な理由のある自己都合退職」
「正当な理由」は、具体的に以下のものが例示され、比較的広く認められています(詳細は、雇用保険事務取扱要領50305-2 (5-2)を参照)。
a 結婚・妊娠・出産に伴い退職する慣行があるなど退職せざるを得ない状況に置かれた
b 体力の不足・心身の障害・疾病・負傷・視力や聴力の減退
c 親族の要介護状態などの家庭の事情の急変
d 結婚・転勤命令等の事情により通勤不可能・困難となったこと
本問の事例については、仮に「特定受給資格者」として認定されるのが証拠上難しい場合であっても、心身の傷害・疾病による「正当な理由のある自己都合退職」として「特定理由離職者該当性」に認定されないのか、特に検討すべきです。

Q5 2~3か月の短期就労を繰り返し(途中に無職の期間があり)、その後、失業状態にあります。そこで、求職者給付の受給のために、職安に求職の申込みをし、受給資格の認定を求めました。しかし、「就労期間(被保険者期間)が11か月半で、0.5か月分足りないので、受給資格は無い」と言われました。何とか受給できる方法はないですか?
A【以前の就労に関する被保険者期間の合算の可否の検討】
算定対象期間において、以前に受給資格認定の対象とされていない被保険者期間がある場合には、当該被保険者期間を新たな受給資格認定の算定対象とする被保険者期間に合算することが可能です(法14条2項1号)。
そこで、職安に求職申込みをして受給資格の認定を求める際に、従前の短期就労に関する離職票を含めて複数の離職票を提出し、短期就労を合算して、離職前2年間に12か月以上の被保険者期間(これが満たされなくとも、特定受給資格者・特定理由離職者の場合は離職前1年間に6か月以上の被保険者期間)があれば、受給資格を満たすことになります。
その際、従前の短期就労について、被保険者資格取得の手続がなされていない場合には、被保険者資格の確認請求をして被保険者資格を認めてもらいます(Q2参照)。また、被保険者資格取得の手続がなされていても、離職票の交付を受けていない場合は、元の雇用主に離職証明書の交付を求めます(規則16条。Q3参照)。
 以上のようにして、受給資格が満たされないのか、検討してください。

Q6 持病を抱えて体調が悪いため、仕事に就いたり辞めたりを繰り返しています。直近の離職前2年間に12か月、もしくは1年間に6か月の被保険者期間はないのですが、失業手当の受給資格はやはり難しいのでしょうか。
A【離職前に疾病等により就労できなかった期間がある場合】
 離職前に疾病、負傷、出産、育児、親族の看護、事業所の休業などのやむを得ない事情により30日以上賃金の支払を受けられなかった被保険者については、当該日数につき算定対象期間が最大4年間まで延長されます(法13条1項括弧書き)。算定対象期間が延長されれば、受給資格が満たされやすくなります。
 本問の事例においては、算定対象期間を体調不良による就労不可期間の分だけ延長すれば、受給資格が認められる可能性があります。この点は、職安で受給資格を確認する際に申し出て、受給資格の判定をしてもらうようにしてください。

Q7 自己都合によって退職しました。失業給付を受けるのに3か月待たないといけないと聞きましたが、仕方ないのでしょうか?

【給付制限の期間】
「正当な理由がなく自己の都合によって退職した場合」には、給付制限の対象となります(雇用保険法33条1項)。給付制限期間は3か月とされてきましたが、行政の運用変更により、2020年10月1日以降に離職した方は2か月に短縮されました(但し、5年間のうち3回目以降は3か月となります)。
https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/LL020617-H01.pdf

【「自己都合退職」について「正当な理由」の有無の検討】
 給付制限は、「自己都合退職」に「正当な理由」がない場合が対象です。「一身上の都合」などと記載して辞職届を提出して退職した場合であっても、それに至った事情により、「正当な理由」が認められる場合があります。
 そして、特定理由離職者(及び特定受給資格者)については、「正当な理由」が認められます。そこで、これらに該当するか否かを検討してください(Q4を参照)。「自己都合退職」だからと言って諦めず、「正当な理由」の有無について十分に検討してください。

【「正当な理由」を裏付ける証拠の確保】
 「正当な理由」は、証拠が不十分だと職安には認められません(特にパワハラや退職勧奨を事業主が否定した場合)。退職に至った事情について、客観的に証明できるように退職前から証拠の確保に努める必要があります。

【不服申立】
 不当にも給付制限処分がなされた場合、処分を知ってから3か月以内に雇用保険審査官に対する審査請求をすることを検討することになります。
Q8 求職者給付の給付日数が90日間しかなく、もうすぐ終了しそうですが、就職のメドは立っていません。どうしたら良いのでしょうか?
 特定受給資格者、特定理由離職者(雇用期間満了による離職者に限る)に該当する離職者の場合、所定給付日数は最大330日まで増やされています(それら以外の受給資格者の場合は、90~150日)。ですので、特定受給資格者、特定受給資格者(雇用期間満了による離職者に限る)に該当しないか、まずは十分に検討してください(Q4を参照)。
 
 公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける受給資格者について、訓練等を受けている期間(最大2年間)、求職者給付の給付日数が延長される訓練延長給付制度もあります(法24条)。大幅に給付が延長されるかなり有利な制度ですので、職業能力を高めてから就職したいという方は、職安と相談されると良いと思います。


労働問題の相談先
※ 日本労働弁護団 (HPで最新情報を確認)
【全国】03-3251-5363・5364

月火木15時~18時(都度変更あり)、土13時~16時(都度変更あり)


【女性専用】03-3251-5364 毎月第2・4水曜 15時~17時

【北海道】011-261-9099 火木18時~20時、土13時~15時

【東北】022-261-5555 水15時~19時

【東京・三多摩】042-528-1494 月木12時~14時

【埼玉】048-837-4821 火木土12時~14時

【神奈川】045-651-6441 月火水金11時~13時、17時~18時30分 

【神奈川西部】0465-24-5051 木16時~17時30分

【千葉】043-221-4884 水金13時~16時

【群馬】027-251-5707 火木17時~19時

【栃木】028-643-7711 水11時30分~13時30分、土10時~12時

【山梨】070-2675-7885 水11時30分~13時30分

【愛知・岐阜・三重】080-3650-5225 火17時~19時

【三重】059-351-6510 木17時~19時

【岐阜】080-4525-0503 水17時~19時

【福井】0776-25-7727 水18時~20時

【京都】075-256-3360 火15時~18時

【大阪】(民主法律協会)06-6361-8624 金18時~20時

(大阪労働者弁護団)06-6364-8620 火18時~20時


【広島】080-5629-6010 火金 正午~15時

【福岡】092-721-1251 水13時30分~15時30分

【北九州市】093-581-1890 水13時30分~15時30分

【長崎】0120-41-6105 随時 10時~22時

【佐賀】080-8381-6405 火17時~19時30分

【大分】097-536-1221 水13時30分~15時30分

【熊本】096-325-5700 水15時~17時

【宮崎】090-8915-6010 水18時~20時

【鹿児島】099-239-4545 水13時30分~15時30分

※ 全労連 労働相談ホットライン 0120-378-060 平日10時~17時
(地域の労働センターにつながります。)
全労連HPよりメール相談も可

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2023/9/26




コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る Q&A(特例給付編)

2023年9月25日版

    
いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会


Ⅰ 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金
Q1 低所得の子育て世帯に対する特別給付金について教えてください。
 ひとり親だけでなく、それ以外の養育者を含めて以下の低所得の子育て世帯対象の特別給付金の支給が始まります。

【給付額】対象児童1人あたり一律5万円

ひとり親世帯分
【対象者】

① 令和5年3月分の児童扶養手当受給者(申請不要)
② 公的年金等(遺族年金、障害年金、老齢年金、労災年金、遺族補償など)を受給していることにより、令和5年3月分の児童扶養手当の支給を受けていない者(児童扶養手当の支給制限限度額を下回る者に限る)
③ 令和5年3月分の児童扶養手当は受給していないが、食費等の物価高騰の影響を受けて直近の家計が急変している、児童扶養手当を受給している者と同じ水準の収入の者


【支給スケジュール】

①の対象者には可能な限り速やかに支給(申請不要)
②③の対象者についても可能な限り速やかに支給(要申請)


ひとり親世帯以外分
【対象者】

①令和4年度「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金(その他世帯分)」を受給した者(申請不要)
② ①のほか、令和5年3月31日時点で18歳未満の児童(障害児の場合、20歳未満。令和5年4月以降令和6年2月までに生まれる新生児も対象。)を養育する父母等であって、直近の家計が急変している、住民税非課税相当の収入の者


【支給スケジュール】

①の対象者には可能な限り速やかに支給(申請不要)
②の対象者についても可能な限り速やかに支給(要申請)


※厚生労働省のサイト  https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_32193.html

Q2 低所得の子育て世帯に対する特別給付金は、生活保護受給世帯には支給されますか。また、生活保護の収入認定はされますか。
 生活保護を受けている方であっても、給付金の支給対象者の要件を満たせば、支給対象者となります。なお、給付金は、生活保護制度上、収入として認定しない取扱いとなります。

Ⅱ 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急(重点)支援給付金
Q1 電力・ガス・食料品等価格高騰緊急(重点)支援給付金の概要について、教えてください。
A 電力・ガス・食料品等の価格高騰を踏まえ、特に家計への影響が大きい低所得世帯(住民税非課税世帯等)に対する給付金が支給されることになりました。

【対象者】
自治体によって異なりますが

① 基準日(令和5年6月1日)において世帯全員の令和5年度分の住民税「均等割」(自治体によっては住民税「所得割」)が非課税である世帯(生活保護世帯を含む。また、この給付金は収入認定除外となる)(原則として申請は不要だが、世帯の中に令和5年1月2日以降に現住所に転入した方がいる場合は申請が必要
※住民税が課税されている者の扶養親族等のみからなる世帯を除く。
② ①のほか、予期せず令和5年1月から8月までの家計が急変したことで収入が減少し、世帯全員が住民税非課税相当となった世帯(家計急変世帯)(この場合には申請が必要


上記②の世帯を支給対象としていない自治体もありますのでご注意ください

【給付額】 1世帯あたり3万円

【支給実施自治体】(下記②の世帯を支給対象としていない自治体もあります

① 住民税非課税世帯:基準日(令和5年6月1日)時点で住民基本台帳に記録されている市町村(原則として申請は不要だが、世帯の中に令和5年1月2日以降に現住所に転入した方がいる場合は申請が必要
② 家計急変世帯 :申請時点の住所地市町村(この場合には申請が必要

※1 DV等避難者、虐待等による児童福祉法等の措置入所者で、現在の居住地(措置先)に住民票を移していない場合には、独立した世帯とみなされ、所得要件を満たす場合には、居住地市町村・施設所在市町村等において給付対象となります。
※2 ホームレスの方等で、いずれの市町村の住民基本台帳にも記録されていない場合には、基準日の翌日以降、居住市町村において住民基本台帳に記録されたときは、当該居住市町村において申請・給付対象となります。


【申請期限】 自治体によって異なっており、令和5年9~12月頃とされている場合が多いようです(各自治体にご確認ください)。

Q2 家計急変世帯への給付は、どのような支給要件になりますか。
A 住民税非課税世帯に対する給付の対象となる世帯以外の世帯のうち、次の①及び②の要件を満たす世帯です。

① 予期せず家計が急変したことにより収入が減少したこと
※ 予期せず家計が急変したことには、例えば定年退職による収入の減少は含まれません。

② 令和5年度分住民税均等割が課されている世帯員全員のそれぞれの年収見込額(令和5年1月以降令和5年8月までの任意の1か月収入×12倍)が市町村民税均等割非課税(相当)水準以下であること

Ⅲ その他(地方独自の給付金制度や国の動きなど)
Q1 都道府県、市町村など地方独自の支援策にはどのようなものがありますか?
A すべてを把握することは困難ですが、「j-net21」のサイトにまとめがありますので参考にしてください。
https://j-net21.smrj.go.jp/support/tsdlje00000085bc.html

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自宅で死亡した生活保護利用者を3カ月間放置していたことが問題になっている東京都江戸川区に対して、私たちは、2023年8月21日、「生活保護行政に関する公開質問状」を提出しました。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-489.html

これに対して、同区からは、同年9月4日付で以下の回答書が届きました。
回答書

しかし、同区の検証方法には、
1 当事者的立場にある区議会副議長を含む「検証・検討委員会」内に「第三者専門委員会」を設置し、これにまさに当事者である同区幹部らで構成する「内部検討委員会」が終始伴走するという異例の三層構造で、検証委員会としての中立性・独立性に疑問があること
2 原則公開といいながら原則非公開であって、公開部分の傍聴にも制限が多いこと
などの疑問があります。

そこで、私たちは、9月19日、改めて江戸川区に対し、以下の「生活保護行政に対する公開質問状(2)」を提出しました。





2023年9月19日


生活保護行政に関する公開質問状(2)


東京都江戸川区長
斉藤 猛 殿
生活保護問題対策全国会議
代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(連絡先)530‐0047大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所
電話06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局長 弁護士 小久保 哲郎


 当会の2023年8月21日付け「生活保護行政に関する公開質問状」に対する、貴殿の令和5年9月4日付け回答を拝受しました。ご多忙中にご対応いただいたことにつき感謝申し上げます。
 しかしながら、貴殿の回答書及びその後の検証・検討委員会の推移を拝見していますと、当会が上記公開質問状で示した懸念点が全く解消されないだけでなく、むしろ、あらたな懸念点や疑問が生じましたので、本書において、改めて意見を申し述べるとともに質問事項に回答されたく要請致します。
 御多忙中に短い時間設定で恐縮ですが、2023年9月29日までに上記連絡先あてに書面にてご回答いただきますよう、よろしくお願い致します。回答内容は当会HPなどで公表させていただきますので予めご承知おき下さい。
 なお、本書面については、検証・検討委員会の委員の方々にも事前に配布していただけますよう、お願い致します。

1 異例の三層構造による検証スキームと手順について
 第1回検証・検討委員会で配布された資料(15頁)によれば、今般の検証作業にあたっては、区議会副議長を含む「検証・検討委員会」内に学識経験者3名、医師、弁護士の5名からなる「第三者専門委員会」を設置し、それとは別に副区長2名を正副委員長として福祉部をはじめとする関連部署の幹部で構成する「内部検討委員会」が終始伴走するという、異例の三層構造のスキームとなっています。
 しかし、第1に、このような検証スキームでは、本来検証の対象とされるべき貴区幹部が検証の内容及び結果に大きな影響を与え、これを歪めるおそれが極めて大きいと言わざるを得ません。
 特に、第1回の専門委員会と検証・検討委員会が開催された本年9月5日に先行して、本年8月7日から28日にかけて、既に関係職員111名中103名の内部検討委員会によるヒアリングが終了しているということですが(上記資料21頁)、本来検証の対象とされるべき貴区幹部が主体となって行われるヒアリングでは、現場の職員が事実や意見を率直に述べることができないばかりか、第三者たる専門委員がヒアリングを行う段階では、既に貴区幹部にとって都合のいいストーリーに沿った「供述がため」が行われているおそれが否定できません。
 第2に、事実認定や評価、本件に関する検証作業は「第三者専門委員会」のみで行うとのことですが、貴区の「検証・検討委員会」設置要綱には「第三者専門委員会」の役割や権限について特段の定めもないだけでなく、肝心の再発防止策の検討については「検証・検討委員会」において行うとのことです。これでは、前の公開質問状で指摘した、当事者的立場にある区議会副議長が検証作業に関与するという問題が解消されたものとはいえません。
 以上のとおり、貴区が構築した検証スキームは、検証委員会の独立性・第三者性に大きな疑問が残ります。専門家からなる「第三者専門委員会」が真に独立して主体的に検証作業のすべてを行うことができるよう、検証スキームそのものを再構築するか、少なくともそれに近い運用となるよう格段の配慮が必要であると考えます。
 ついては、以下の点についてご回答ください。
1-1 当会は、行政機関の第三者検証委員会において、上記のような三層構造の検証スキームが採用された例を寡聞にして知りませんが、貴区が上記検証スキームを採用するにあたって参考にされた前例があればご教示ください。仮に、そうした前例がないのであれば、どなたがどのような意図で発案されたのかご回答ください。
1-2 検討委員会の開催前に関係職員に対するヒアリングを先行させることについて、上記のような懸念点があることを検討されましたか。また、上記のような懸念に及ばないということであれば、その根拠をご教示ください。
1-3 事実関係の解明のためには、第三者専門委員会が、貴区幹部の影響を受けない状況下で、直接関係職員等からのヒアリングを十二分に行う必要があると考えますが、いかがお考えでしょうか。

2 検討過程の公開について
 貴殿の回答書によれば、検証・検討委員会の審議については、「公開することを原則」としつつ、①情報公開条例にいう不開示情報を取り扱う場合、②公開することで率直な議論を妨げ又は審議の公正を害するおそれがある場合には非公開とするとのことですが、実際には、内部検討委員会での検討内容はもちろん、専門委員会での審議内容は非公開とされ、検証・検討委員会の審議もその一部は非公開とすることを前提としているようです。これでは、原則非公開であって、原則公開とは到底いえません。そもそも、検証委員会の議論は市民の目からの批判に耐えうるものでなければならず、検証委員会において「公開することで率直な議論を妨げ又は審議の公正を害する」議論が行われているとすれば、その議論の信頼性自体に疑問が生じかねません。
 また、第1回検証・検討委員会で配布された資料についても、当会の要請によって、ようやくHPに掲載されたものの、議事録については本書発出時点においても掲載されておらず、いつ掲載されるかの目途も不明です。
 さらに、第1回検証・検討委員会(9月5日18時開始)の傍聴についても、当日の午前8時30分から午後3時までの間に電話で申込む方法しかなく、1回の電話で複数人の申込みはできず、報道関係者でさえ1社につき原則1名(撮影のための補助員1名のみ追加可)と極めて制限的であって、出来る限り傍聴されたくないという隠蔽の意図を疑わざるを得ません。
 神奈川県小田原市の「保護なめんなジャンパー事件」後に設置された検証委員会では、傍聴希望者に対する万全の配慮と資料や議事録の速やかな公開等によって、検証過程が完全に公開された中で充実した議論が行われることで保護行政に対する市民の信頼を取り戻していきました。貴区においても、こうした先例にならった真摯な取り組みが期待されています。
 ついては、以下の点について、ご回答ください。
2-1 非公開とする検証過程については、いかなる意味で「公開することで率直な議論を妨げ又は審議の公正を害するおそれがある」のか、より具体的に明らかにしてください。
2-2 傍聴については、一定期間オンラインを含めた申込みを可能とし、マスコミ関係者については自由に膨張できるようにすべきと考えますが、いかがですか。
2-3 公開とする検証過程については、小田原市のようにHPに特設ページをつくり、資料や議事録等をすみやかに掲載すべきだと考えますが、いかがですか。
2-4 非公開とする検証過程についても、検討の概要その他可能な範囲でその内容を明らかにすべきだと考えますが、いかがですか。
2-5 「検証・検討委員会」の運営方法や再発防止策の検討の参考とするため、小田原市において検証作業に従事した方の経験や意見を聴く機会をもつことが有益ではないかと考えますが、いかがですか。

以 上

質問状
2023/9/19


東京都江戸川区では、本年1月に生活保護利用者が自宅で死亡していることを担当職員が把握したものの、死亡による事務処理を行わずに放置し、3月27日に一部白骨化した状態で第三者により発見されてこれが顕在化するという事案が発生しました。同区が、本年8月15日、外部専門家等による委員会の設置を公表したことを受け、当会は、本日、同区に「生活保護行政に関する公開質問状」を、同区が設置した検証及び検討委員会に「要望書」をそれぞれ提出しました。




2023年8月21日


生活保護行政に関する公開質問状


東京都江戸川区長
斉藤 猛 殿
生活保護問題対策全国会議
代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(連絡先)530‐0047大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所
電話06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局長 弁護士 小久保 哲郎


 当会は、弁護士、司法書士、研究者、ケースワーカー、生活保護利用当事者、その支援者等で構成され、生活保護制度の違法な運用を是正するとともに同制度の改悪を許さず、生活保護法をはじめとする社会保障制度の充実を図ることを目的として活動している市民団体です。
 今般、2023年3月に発覚した保護利用者の死後放置事件(以下「本件」といいます。)につき、「江戸川区生活保護業務不適切事案の検証及び再発防止対策検討委員会」(以下「検討委員会」といいます。)が設置されることをホームページ等で知りました。
 本件は、以下にも述べますとおり、生活保護法の運用上のみならず、憲法25条で保障されている「生存権」保障の点から見て、極めて重要な事件であり、検討委員会の設置の経過、委員の構成、検証・検討内容について、看過できない点がありますので、以下のとおり、意見を申し述べるとともに、これにつき、回答されたく要請致します。
 なお、御多忙中にお手数をおかけして恐縮ですが、2023年9月1日までに連絡先あてに書面にてご回答いただきますよう、よろしくお願い致します。回答内容は当会HPなどで公表させていただきますので予めご承知おき下さい。

1 委員に「区議会副議長」が含まれている点について
 今回の検討委員会については、貴区のホームページ上、「外部専門家等による委員会の設置」とありますとおり、第三者委員会として設置して、調査にあたるものと理解しております。
 行政における第三者委員会の委員は、適法かつ適正な行政の執行を確保するため、公正・中立な立場から、対象事案につき事実関係を把握・認定し、必要に応じて意見等を形成し、これを報告することを目的とするという設置の趣旨にふさわしい者が選任されるべきであり、対象事案につき、識見を持ち、予断と偏見を排することができる者であり、かつ、利害関係を有しない者でなければならないことは当然のことであります。
 ところが今回の検討委員会では、「区議会議委員代表委員」として、「区議会副議長」が構成委員とされています。「区議会副議長」は、貴区の関係者であり、明らかに第三者ではありません。
 日本弁護士連合会では、2021年3月19日付けで「地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について」と題するガイドラインを公表しています(注)が、これには、「事案の関係者が調査の主体となり、又はこれに加わって調査の主体の一部となることを想定していない。事案の関係者がこのように調査に関与する場合は、公正性・中立性を疑われるおそれがあるからである。」として、「利害関係者」の具体例として、「第三者調査委員会を設置した地方公共団体において職員(非常勤特別職員を除く。)や議員の職にある場合」をあげています。
 したがって、検討委員会においては、「区議会副議長」を構成委員とすべきではなく同委員から排除すべきものと考えますが、この点につき、どのように考え、どうされるおつもりなのかにつき明らかにされるよう求めます。

2 事案の違法性の有無についての検証・検討がないこと
 今回の事案は、今年1月に生活保護利用者が自宅で死亡していることを担当職員が把握したものの、死亡による事務処理(保護の廃止、葬祭業者への連絡、葬祭扶助の手続きと支給等)を行わずに放置し、3月27日に一部白骨化した状態で第三者により発見されて顕在化したというもので、前代未聞の事態です。人間の尊厳を守り、生存権を保障する立場にある自治体(保護の実施機関)が、遺体が白骨化するまで放置するなどということは到底許されないところであります。
 特に、葬祭扶助の受給権は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」という生活保護法(以下「法」といいます。)1条の定め、そして、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。」との法2条の定めを受けた法18条の定めにより、権利として保障されています。そして、死後の葬祭については、まず、葬祭を行うべき扶養義務者がいるかどうかの調査とその結果に基づき葬祭の打診を行い、扶養義務者がいないときは、葬祭を行う者に葬祭扶助を行なうことになっています(法18条1項、2項)。ところが、本件では、上記のとおり、死亡による事務処理(保護の廃止、葬祭業者への連絡、葬祭扶助の手続きと支給等)を行わずに2か月以上放置し、第三者の発見により死亡が顕在化したという事案であり、単に「不適正な処理」であったのではなく、法1条、2条、そして18条に違反した違法な処理というべきであります。
 また、法26条では、「保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなつたときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。」とされていますが、これもなされておらず、法26条にも違反しております。
 以上の点についての真摯な検証・検討がなければ、真の意味での再発防止は図れません。
 よって、本件事案の検証・検討内容に「本件の処理について違法な処理があったかどうか。また、違法な処理があった場合には、その具体的な内容」を加えるべきと考えますが、その点、どのように考え、どうされるおつもりなのかにつき明らかにされるよう求めます。

3 検証・検討内容の補充と明確化について
 既述のとおり、本件は①担当職員が、生活保護利用者の死亡後に行うべき事務を行わず、2か月以上放置した後、遺体が一部白骨化した状態で第三者に発見されたこと、さらに、②発見された後、事案の公表まで、約3か月が経過していること、③その後の区議会に対する説明が、審議や議決は行わない全員協議会で、しかも、議員からの要請であるとはいえ非公開でなされたことなど、経過自体に極めて不自然な点、情報公開にもとる点が多々あります。
 この点についての究明が、再発防止、市民への情報公開による違法な処理の防止の観点から重要であると考えますが、現在の検証・検討内容では、その点が検証・検討内容になっているのかどうか必ずしも明らかではありません。
 よって、①担当職員が生活保護利用者の死亡後に行うべき事務を行わず2か月以上放置した後、遺体が一部白骨化した状態で第三者に発見されたことの経過と原因、さらに、②発見された後、事案の公表まで約3か月が経過している理由、③その後の区議会に対する説明が、全員協議会で、しかも非公開でなされたことの妥当性について、本件事案の検証・検討内容に明確に補充するべきと考えますが、その点、どのように考え、どうされるおつもりなのかにつき明らかにされるよう求めます。

4 本件検証委員会を公開すること
 行政における第三者委員会は、適法かつ適正な行政の執行を確保するため、公正・中立な立場から、対象事案につき事実関係を把握・認定し、意見等を形成し、これを報告することを目的とするものであり、市民としても、その審理過程と内容について、重大な関心を持っているところであり、その公開は不可欠です。
 過去、生活保護制度の問題点について第三者委員会で検討した「北九州市」の事案、そして、「小田原市」の事案は、いずれも審議過程が公開されてきました。
 したがって、本件検証委員会についても審理を公開するべきだと考えますが、その点、どのように考え、どうされるおつもりなのかにつき明らかにされるよう求めます。

 私たちは、貴区における今回の事態は、単に保護担当者による事務懈怠だけでなく、そもそも保護の実施機関が十分な進行管理を行う体制になっていたのかどうか、また、事件発覚後の事後処理として適切な処理がおこなわれていたのかが問われている事件であると考えています。
 また、これは、全国の生活保護現場で蔓延している専門性の欠如と生活保護利用者に対する差別意識が極端な形で顕在化したものでないかとの懸念を抱いています。その意味では、貴区だけの問題ではないと考えています。
かつて、小田原市は、「保護なめんなジャンパー事件」を契機とし、第三者委員会による徹底的な検証と提言を受けて、制度運用の理念と基本方向を根本的に改めることで、市民に寄り添う生活保護行政に生まれ変わりました。
 本件検証委員会において、実のある議論が重ねられ、それが同様の事件の再発防止、生活保護制度の根本的運用改善の大きな力になりますよう、切に願って質問させていただいた次第です。

(注)「地方公共団体における第三者調査委員会調査等指針について」は、https://www.nichibenren.or.jp/library/pdf/document/opinion/2021/210319.pdfを参照。

以 上

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2023年8月21日


江戸川区生活保護業務不適切事案の検証及び
再発防止対策検討委員会の審議にあたっての要望書


江戸川区生活保護業務不適切事案の検証及び
再発防止対策検討委員会御中

生活保護問題対策全国会議
代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(連絡先)530‐0047大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所
電話06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局長 弁護士 小久保 哲郎


 当会は、弁護士、司法書士、研究者、ケースワーカー、生活保護利用当事者、その支援者等で構成され、生活保護制度の違法な運用を是正するとともに同制度の改悪を許さず、生活保護法をはじめとする社会保障制度の充実を図ることを目的として活動している市民団体です。
 今般、2023年3月に発覚した江戸川区での保護利用者の死後放置事件(以下「本件」といいます。)につき、「江戸川区生活保護業務不適切事案の検証及び再発防止対策検討委員会」(以下「検討委員会」といいます。)が設置されることをホームページ等で知りました。
 本件は、以下にも述べますとおり、生活保護法の運用上のみならず、憲法25条で保障されている「生存権」保障の点から見て、極めて重要な事件であり、公表された検討委員会の審議項目、検証・検討内容について、さまざまな問題点があります。
 そこで、当会は、貴検討委員会に対し、以下のとおり、要望致します。
 是非ともご検討のうえ、貴検討委員会における審議・検証に反映していただきたくお願い致します。

1 事案の違法性の有無についての検証を要望します
 今回の事案は、今年1月に生活保護利用者が自宅で死亡していることを担当職員が把握したものの、死亡による事務処理(保護の廃止、葬祭業者への連絡、葬祭扶助の手続きと支給等)を行わずに放置し、3月27日に一部白骨化した状態で第三者により発見されてこれが顕在化したというもので、前代未聞の事案です。人間の尊厳を守り、生存権を保障する立場にある自治体(保護の実施機関)が、生活保護利用者の遺体が白骨化するまで放置するなどということは到底許されないところであります。
 特に、葬祭扶助の受給権は、「日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障する」という生活保護法(以下「法」といいます。)1条の定め、そして、「すべて国民は、この法律の定める要件を満たす限り、この法律による保護(以下「保護」という。)を、無差別平等に受けることができる。」との法2条の定めを受けた法18条の定めにより、権利として保障されているものです。そして、死後の葬祭については、まず、葬祭を行うべき扶養義務者がいるかどうかの調査とその結果に基づき葬祭の打診を行い、扶養義務者がいないときは、葬祭を行う者に葬祭扶助を行なうことになっています(法18条1項、2項)。ところが、本件では、上記のとおり、死亡による事務処理を行わずに2か月以上放置し、第三者の発見により死亡が顕在化したという事案であり、単に「不適正な処理」であったのではなく、法1条、2条そして18条に違反した著しい違法が認められるというべきです。
 また、法26条では、「保護の実施機関は、被保護者が保護を必要としなくなったときは、速やかに、保護の停止又は廃止を決定し、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。」とされていますが、これもなされておらず、法26条にも違反しています。
 本件においては、以上の点についての真摯な法的検証・検討がなければ、真の意味での再発防止は図れません。
 よって、本件事案の検証・検討内容にあたっては、「本件の処理について、違法な処理があったかどうか。また、違法な処理があった場合には、その具体的な内容」の検討とその結果の指摘を行っていただきたく要望致します。

2 検証・検討内容の補充と明確化を要望します
⑴ 既述のとおり、本件は①担当職員が、生活保護利用者の死亡後に行うべき
  事務を行わず、2か月以上放置した後、遺体が一部白骨化した状態で第三者に発見されたこと、さらに、②発見された後、事案の公表まで約3か月が経過していること、③その後の区議会に対する説明が、審議や議決は行わない全員協議会で、しかも非公開でなされたことなど、経過自体に極めて不自然な点、情報公開にもとる点が多々あります。
 この点についての究明が、再発防止あるいは市民への情報公開による違法な処理の防止の観点から、重要であると考えますが、今回の検証・検討内容では、「事案の背景・原因」とあるだけで、その点が検証・検討内容になるかどうか、必ずしも明らかではありません。
 よって、①担当職員が、生活保護利用者の死亡後に行うべき事務を行わず、2か月以上放置した後、遺体が一部白骨化した状態で第三者に発見されたことの経過と原因、さらに、②発見された後、事案の公表まで、約3か月が経過している理由、③その後の区議会に対する説明が、全員協議会で、しかも非公開でなされたことの妥当性について、検証・検討内容に補充あるいは付加して検討し、その検討結果を明確にされることを要望致します。
⑵  本件の経過にみるとき、これが担当職員の偶発的な任務懈怠によるものとは考えられません。担当者の課内あるいは福祉事務所全体に問題があるのではないかとの疑いを払拭しきれません。
 よって、福祉事務所における担当職員の数、一人当たりの担当利用者数、申請等の平均処理日数、14日以内の処理割合の各項目について、少なくともここ5年間の推移について分析する必要があると考えます。また、葬祭扶助が死亡後何日以内に給付されているか、さらに、葬祭扶助について、長期間支給がなされなかった事案が他にもないのかについても調査の必要があると考えます。
 これらの事項については、検証・検討内容のうち、「事案の背景・原因」として、当然に分析をお考えとは思いますが、検証・検討事項の一端に加えていただきたく要望致します。

3 本件検証委員会の公開を要望します
 行政における第三者委員会は、適法かつ適正な行政の執行を確保するため、公正・中立な立場から、対象事案につき事実関係を把握・認定し、意見等を形成し、これを報告することを目的とするものであり、市民としても、その審理過程と内容について、重大な関心を持っているところであり、その公開は不可欠です。
 過去、生活保護制度の問題点について第三者委員会で検討した「北九州市」の事案、そして、「小田原市」の事案は、いずれも審議過程が公開されてきました。
 したがって、本件検証委員会についても、傍聴を認め議事録を公開することで審理を公開されることを要望致します。

 江戸川区における今回の事態は、単に保護担当者による偶発的な事務懈怠だけでなく、そもそも保護の実施機関が十分な進行管理を行う体制になっていたのかどうか、また、事件発覚後の事後処理として適切な処理がおこなわれていたのかが問われている事件であると考えています。
 また、私たちは、これは、全国の生活保護現場で蔓延している専門性の欠如と生活保護利用者に対する差別意識が極端な形で顕在化したものでないかとの懸念を抱いています。その意味では、江戸川区だけの問題ではないと考えています。
かつて、小田原市は、「保護なめんなジャンパー事件」を契機とし、第三者委員会による徹底的な検証と提言を受けて、制度運用の理念と基本方向を根本的に改めることで、市民に寄り添う生活保護行政に生まれ変わりました。
 貴委員会において、実のある議論が重ねられ、それが同様の事件の再発防止、生活保護制度の根本的運用改善の大きな力になりますよう、切に願って要望させていただいた次第です。

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2023/8/21


「エアコン設置費用を生活保護世帯に柔軟に支給できるよう厚生労働省通知の改正等を求める要望書」を提出しました。



2023(令和5)年8月10日


エアコン設置費用を
生活保護世帯に柔軟に支給できるよう
厚生労働省通知の改正等を求める要望書


厚生労働大臣 加藤 勝信 殿
生 活 保 護 問 題 対 策 全 国 会 議
全国クレサラ・生活再建問題対策協議会


第1 要望の趣旨
1 生活保護世帯にエアコンの持ち合わせがなく、その設置が必要と認められる場合には柔軟にエアコン設置費用を支給できるようにするとともに、支給上限額を10万円に引き上げるよう、厚生労働省通知を改正すべきである。
2 故障したエアコンの修理費用を「住宅維持費」として支給できることを明確にする厚生労働省通知を発出すべきである。
3 夏季加算を創設し、生活扶助基準を引上げる厚生労働大臣告示を発出すべきである。

第2 要望の理由
1 記録的猛暑の更新による熱中症等の増加

 本年(2023年)7月の平均気温は25.96度で日本の観測史上最も平均気温が高く、同月25日以降は1日の平均気温が28度を上回る例のない暑さが続いたが、8月はより高くなるおそれがある。2000年ごろから顕著に暑い日が続いており、2018年には猛暑日(最高気温が35度以上)が59日、熱帯夜が146日を記録し、昨年(2022年)もそれぞれ16日と129日あった(朝日新聞8月2日朝刊1面、2面)。地球温暖化が進む中、この傾向は年々さらに悪化していくことが容易に推測される。
 温暖化に伴い、1996年から2000年に年平均179人だった熱中症による死亡者は、2017年から2021年には年平均1145人に大幅に増加しており、昨年(2022年)東京23区内の熱中症死亡者206人のうち65歳以上の高齢者が87%で、屋内の死亡者194人のうち85%がエアコン不使用か不所持だったという(朝日新聞7月31日朝刊3面)。

2 生活保護世帯の8割以上が熱中症リスクの高い高齢者、障害・傷病者世帯であること
 熱中症にならずとも「暑さ」自体が基礎疾患に悪影響を与えることは自明であるところ、生活保護世帯のうち高齢者世帯(男女とも65歳以上の者のみで構成されている世帯か、これに18歳未満の未婚者が加わった世帯)が55.6%、障害・傷病者世帯(世帯主が重い障害や傷病を負っているか働けない者である世帯)が24.8%を占めており(被保護者調査(令和5年5月分概数))、その合計は80.4%に及ぶ。「その他世帯」や「母子世帯」にも高齢者や障害・傷病者は多く含まれており、生活保護世帯は、熱中症等による死亡や健康悪化のリスクが特に高い集団である。
 したがって、上記の熱中症による死亡者の中には、生活保護世帯が相当程度含まれていることが推察される。

3 厳しすぎるエアコン設置費用支給に関する厚生労働省通知
(1) 支給要件緩和の必要性
 この点、厚生労働省は、近年、熱中症による健康被害が数多く報告されていることを踏まえ、2018年6月27日に発表した社会・援護局長、保護課長通知で保護の実施要領を改正し、一定の条件を満たす場合にエアコン等の冷房器具購入費と設置費用の支給を認めることとした。
 しかし、研究者らでつくる「生活保護情報グループ」によると、2018年から2019年に全国でエアコン購入費が支給されたのは9025件にとどまり、保護世帯1千世帯あたりの件数を自治体ごとに計算すると政令指定都市では最少0.7件から最多11件とバラつきがあったという。
 これは、上記厚生労働省通知が定める支給要件が厳格に過ぎ、分かりにくいことに起因していると考えられる。すなわち、エアコン購入費の支給要件としては、以下のⒶⒷの両要件を満たす必要があるとされている。

Ⓐ 2018年4月1日以降に以下の5つのいずれかに該当すること
(ア)保護開始された人でエアコン等の持ち合わせがない
(イ)単身者で長期入院・入所後の退院・退所時にエアコン等の持ち合わせがない
(ウ)災害にあい、災害救助法の支援ではエアコン等をまかなえない
(エ)転居の場合で、新旧住居の設備の相異により、新たにエアコン等を補填しなければならない
(オ)犯罪等により被害を受け、又は同一世帯に属する者から暴力を受けて転居する場合にエアコン等の持ち合わせがない
          
Ⓑ 世帯内に「熱中症予防が特に必要とされる者」がいる場合

 しかしながら、Ⓐについていえば、2018年度以降の保護開始、退院・退所、転居等の場合にかかわらず、持ち合わせがない場合には設置費用を支給すべきである。とりわけ、近年の相次ぐ生活保護基準の引下げや記録的な物価高によって、生活保護世帯がこうした費用を貯蓄することは極めて困難になっていることからすれば、その必要性は切実である。
 また、Ⓑの「熱中症予防が特に必要とされる者」(局長通知第7の2の(6)のウ)については、課長通知問100が、「体温の調節機能への配慮が必要となる者として、高齢者、障害(児)者、小児及び難病患者並びに被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者が該当する。」との判断基準を示している。
 この判断基準は、「被保護者の健康状態や住環境等を総合的に勘案の上、保護の実施機関が必要と認めた者が該当する」とされていることからすれば、実施機関の判断で柔軟に支給する余地もある一方、「高齢者、障害者、小児、難病患者」が例示されていることからこうした者が世帯内にいない場合の適用が避けられるおそれも強い。
すなわち、この要件の存在が上記の自治体間格差を生んでいる可能性が高いのであり、日本全国が灼熱列島となっている今日においては、この要件は削除すべきである。

(2) 支給上限額引上げの必要性
エアコン購入費と設置費用の支給上限は、当初5万円とされていたが、その後徐々に増額され、本年(2023年)4月からは6万2千円とされている。
 しかしながら、総務省統計局が実施している「小売物価統計調査(動向編)」によれば、「ルームエアコン」の大都市部(東京23区、横浜市、川崎市、名古屋市、京都市、大阪市、堺市、広島市、福岡市)における年平均価格(2022年)は7万7399円であり、「ルームエアコン取付け料」の大都市部(東京23区、横浜市、名古屋市、京都市、大阪市、広島市、福岡市)における年平均価格(調査終了時である2016年)は2万1321円であって、その合計は9万8720円であるから、6万2千円ではエアコンの購入・設置費用として不十分である。
 したがって、その上限は10万円に引上げるべきである。

4 エアコン修理費支給の必要性
 既に設置されているエアコンが故障したが、その修理費が賄えないという相談も多い。
 上記厚生労働省通知によって、エアコンは最低生活維持のために必要とされる家具什器であることが明確になっていることからすれば、エアコン等の修理費は、「被保護者が現に居住する家屋の…従属物の修理…のために経費を要する場合」の「住宅維持費」(実施要領局長通知第7-4(2)ア)に該当するものとして支給できることを通知の発出によって明確にすべきである。

5 夏季加算の創設と生活扶助基準引上げの必要性
 先にも述べたとおり、この間、生活保護基準の引下げが相次いでいる。すなわち、2013年には生活扶助基準の引下げ(平均6.5%、最大10%、削減額670億円)、2015年には住宅扶助基準と冬季加算の引下げ(削減額220億円)、2018年には生活扶助基準の引下げ(平均1.8%、最大5%)と母子加算等の削減(削減額160億円)が行われた。2013年からの引下げの違法性を争う「いのちのとりで裁判」では、これまでに言い渡された22の判決のうち11の判決が引下げを違法と断罪している。にもかかわらず、国はさらなる生活扶助基準引下げ(高齢単身世帯は8%等)や級地の見直しによる都市部の生活扶助基準の引下げの方針を示しており、現在物価高で凍結されているものの2025年からは引下げが断行される可能性が高い。
 相次ぐ引下げと記録的物価高で、生活保護世帯の生活は極めて厳しい状況であり、エアコン設置費用等を貯蓄する余裕がないことはもちろん、エアコンがあっても光熱費の節約のため使わないという者も多い。 
 もはや冬の暖房代以上に夏の冷房代の方が生命・健康の維持のためには切実に必要なのであり、冬季加算だけでなく夏季加算を早急に創設すべきである。 
 また、これ以上の生活扶助基準の引下げは止め、生活扶助基準本体も引き上げるべきである。

6 厚生労働省の施策がまったく不十分であること
 厚生労働省社会・援護局保護課は、令和5年6月1日付けで「生活保護世帯におけるエアコン購入費用に関する取扱い等について(周知)」と題する事務連絡を発出した。この事務連絡は、「国内の熱中症による死亡者数は増加傾向が続いており、近年では年間1000人を超える年が頻発していることから、「熱中症対策を強化するための気候変動適応法(略)」が令和5年6月1日付けで一部施行され、熱中症対策に係る政府一体となった取組を強化するため、熱中症対策実行計画(令和5年5月30日閣議決定)の策定等の措置が講じられ」たことを踏まえて発出されたものである。
 しかしながら、上記事務連絡は、「生活保護制度においては、エアコンも含め日常生活に必要な生活用品については、保護費のやりくりによって計画的に購入していただくものである」という従前からの原則論を強調したうえで、3で述べた通知を周知するだけのものである。
 また、厚生労働省社会・援護局地域福祉課生活困窮者自立支援室は、令和5年8月7日付けで「生活保護世帯に対するエアコン購入に係る生活福祉資金の貸付について」と題する事務連絡を発出したが、これも「猛暑日が続いていることから生活保護世帯からエアコン購入に係る生活福祉資金の貸付申請が増加することが見込まれ」ることから、貸付にあたって「迅速な対応」を依頼するものに過ぎない。
 いずれも2018年からの極めて制限的な施策を所与のものとして繰り返すだけであって、熱中症対策強化のための新法まで制定された深刻な現状に対応したものとは到底いえない。したがって、本要望書で要望するとおり、エアコンの購入・設置・修理に要する費用の支給をしやすくする抜本的な施策を速やかに実施することが切実に求められている。

以 上

【連絡先】〒530-0047 大阪市北区西天満 3 丁目 14 番 16 号
西天満パークビル 3 号館 7 階あかり法律事務所
電話 06‐6363-3310 fax06‐6363-3320
生活保護問題対策全国会議 事務局長 弁護士 小久保 哲 郎




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2023/8/10


第14回 生活保護問題議員研修会

地方から 生活保護をあたり前の権利に


コロナ禍による生活困窮に物価高が追い打ちをかけているのに、忌避感などから生活保護の利用に結びつかない状況が続いています。一方、司法の場では、保護基準引下げの違法性を認める判決が相次ぐなど前向きの成果が見られます。
最新の情報を共有し、地方から、生活保護をあたり前の権利にしていくため、本研修会に多数ご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。

第14回生活保護問題議員研修会


★リーフレット(PDF)をダウンロード


【日時】
2023年8月2日(水)・7日(月)・10日(木)
完全オンライン(zoom)
8月19日(土) ハイブリッド(リアル+zoom)

【参加費】

地方議会議員
Ⅰ 通し券 【+全体資料】 1万5000円
全ての企画・講座を自由に受講可能です。全体資料付き。

Ⅱ 1回券 3,000円
①~⑦の講座・企画のうち1つが受講可能です。
資料は、紙でなくPDFデータで提供します。全体資料を希望の方は別途ご購入ください。

Ⅲ 全体資料 1,000円(紙でなくPDFデータで提供します)

一般(学者・法律家・その他)
Ⅰ 通し券 1万円 【+全体資料】
全ての企画・講座を自由に受講可能です。全体資料付き。

Ⅱ 1回券 3,000円
①~⑥3,000円/⑦1,000円
資料は、紙でなくPDFデータで提供します。全体資料を希望の方は別途ご購入ください。

Ⅲ 全体資料 1,000円(紙でなくPDFデータで提供します)


【参加のお申込み】

下記のURL又はQRコードから入力フォームに入力してください。

※締切:各講座1週間前まで。(但し、通し券参加あるいは全体資料のご注文は、なるべく7月26日までにお願いします。)

問い合わせ seihokaigi@gmail.com
申込フォーム https://pro.form-mailer.jp/lp/d32f3c1e221548

第14回生活保護問題議員研修会



【方式】オンライン(Zoom)※8月19日のみハイブリッド

①メールでの連絡
講座参加のための各連絡は、基本的にメールを通じて差し上げる予定です。

②推奨環境
機器:できるだけパソコンをご利用ください。(スマートフォンでは資料が見にくい可能性があります)
通信回線:個別のWi-Fi契約、優先LAN(フリーWi-Fiでは通信が途切れる可能性があります)

③後日の動画配信
申込された講座については、後日、インターネット上で動画を配信する予定です。見逃した場合にご活用下さい。


8月19日 リアル会場はCIVI研修センター新大阪東 E604号室
先着50名定員

〒533‐0033 大阪市東淀川区東中島1丁目19‐4
LUCID SQUARE SHIN-OSAKA(ルーシッドスクエア新大阪)6階
JR「新大阪駅」東口から50ⅿ
大阪メトロ御堂筋線「新大阪駅」から徒歩5分


【共催】生活保護問題対策全国会議・全国公的扶助研究会



■8月2日(水)
① 基調講演「今こそ、生活保護をあたり前の権利に!」(13:00~15:00)

コロナ禍による生活困難が癒えない中、物価急騰が市民生活を襲っています。一方、司法の場では、2013年からの保護基準引下げの取消しを認める判決が相次ぎ、生活保護世帯・若者の学ぶ権利や自動車をめぐる前向きの判断が出るなど、憲法25条を生かす市民の反撃が成果をあげています。こうした情勢の下での議員活動のあり方を考えます。


吉永 純さん

花園大学教授、全国公的扶助研究会会長。
福祉事務所24年、ケースワーカー12年の経験を生かし、貧困と生活保護について研究。


② 講座A「大学、専門学校(看護学校等)への進学は贅沢ですか」(16:00~18:00)

大学や専門学校を合わせた進学率は80%を超えていますが、生活保護世帯の若者は進学すると保護が廃止され、生活費や学費を自力で賄わなければなりません。虐待を受け、親からの支援が無くても、休学しないと生活保護は助けてくれません。一方で、多少でも稼げば元の世帯の収入とみなされ、保護が廃止された事案は裁判となっています。生活保護と若者の学ぷ権利について考えます。

  
桜井 啓太さん

立命館大学准教授、堺市でケースワーカー等10年間従事し、名古屋市立大学准教授を経て現職。専門は貧困、生活保護。


飛田 桂さん

弁護士。虐待を受けた子どもの支援に関わっている。NPO法人子ども支援センターつなっぐ共同代表。


高木 百合香さん

弁護士。熊本県(処分行政庁:玉名福祉事務所)を被告とする生活保護廃止処分取消請求事件の弁護団で主任を務めている。


儚さん(仮名)

生活保護世帯から進学した大学生。自身の経験を踏まえて大学生への生活保護の適用を求める活動をしている。


進行:太田伸二さん

弁護士。山形県で生活保護ケースワーカー経験があり、現在は仙台で弁護士として生活保護利用者の支援に当たっている。東北生活保護利用支援ネットワーク事務局次長。



■8月7日(月)
③ 講座B『「生活保護と自動車保有」の意味を考える』(13:00~15:00)

三重県鈴鹿市が自動車利用を理由として2世帯の生活保護停止を行い、訴訟になっています。また、厚労省も自動車の利用目的を制限する事務連絡を出すなど、自動車保有に逆風が吹いています。今こそ、自動車保有がどのような意味を持っているのか、それをどう後押ししていくべきか、考えたいと思います。


芦葉 甫さん

弁護士。四日市インスリン事件等の生活保護事件を担当。鈴鹿市自動車保有事件の弁護団でも主任を務めている。


鈴鹿市自動車保有禁止事件原告の方

長谷 英史さん

和歌山生協病院サポートセンター課長。医療相談を担当。法人内居宅支援事業所の管理者も兼任。社会福祉士、介護支援専門員、介護福祉士。


太田 伸二さん

弁護士。山形県で生活保護ケースワーカー経験があり、現在は仙台で弁護士として生活保護利用者の支援に当たっている。東北生活保護利用支援ネットワーク事務局次長。


④ 講座C「モノ言う議員へのバッシングに抗して」(16:00~18:00)

生活保護の申請時の同席を禁止する議会の申し合せについて質問した議員への出席停止処分の強行や、市教委後援の講演会で司会をした議員への嫌がらせなど、議員として当然の行動へのいわれなき抑圧が強まっています。議会の懲罰問題での初の全国調査(朝日新聞)を踏まえ、その背景と対応方法を考えます。


青木 恒子さん

奈良県香芝市議会議員(1期目、日本共産党)。生活保護の議員同席問題の質問が発端で議会への出席停止処分を受け、現在裁判闘争中。


古川 雅朗さん

弁護士。香芝市議市議会出席停止処分国賠訴訟弁護団員、奈長県の生活保護行政をよくする会代表等。


村上 さとこさん

北九州市議会議員(2期日、無所属)。講演会の司会を務めたことを契機に脅迫文を送りつけられる等の被害にあったが、臆することなく発信を続けている。


山下 寛久さん

【録画による報告】朝日新聞記者。横浜地裁担当などを経て、名古屋市政担当。21年にはリコール署名偽造事件も取材した。


進行:吉永純さん

花園大学教授、全国公的扶助研究会会長。福祉事務所24年、ケースワーカー12年の経験を生かし、貧困と生活保護について研究。



■8月10日(木)
⑤ 講座D「生活保護基礎講座+なんでもQ&A」(13:00~15:00)

生活保護の運用を知り尽くした講師陣による定番の初級講座。生活保護とはどのような制度なのか、各自治体の保護行政が正しく運用されているのかのチェックポイントや、扶養照会や申請権保障など、地域の生活保護を真の権利とするために議会で質問していただくと効果的な質問項目を概説し、皆さまの質問にも回答します。


谷口 伊三美さん

社会福祉士。大阪市で長年、生活保護業務を担当。退職後は依存症回復支援施設のスタッフや専門学校の講師。

   
小久保 哲郎さん

弁護士。生活保護問題対策全国会議事務局長。大阪で生活保護利用者をはじめとする生活困窮者の相談や裁判に取り組んできた。


進行:田川英信さん

社会福祉士。生活保護問題対策全国会議事務局次長、元世田谷区の生活保護担当。



⑥ 講座E「より良い生活保護行政をめざす自治体の取組みに学ぶ」(16:00~18:00)

生活保護の申請が権利であることを知らせるチラシを全戸配布した京丹後市、生活保護の支給漏れなど不適正事務処理の検証から大きく運用の改善を図った国立市など先進自治体の取り組みに学ぶとともに、県下全自治体の「保護のしおり」を利用者目線でチェックし改善を進める民間の活動を紹介し、より良い生活保護行政をどうつくるか考えます。


藤村貴俊さん

京丹後市健康長寿福祉部生活福祉課長補佐。2006年から現課で生活保護ケースワーカー、生活困窮者自立支援制度、現在は重層的支援体制や地域福祉計画を担当。


左川倫乙さん

国立市福祉総務課生活福祉担当課長。平成20年国立市入職、ケースワーカー、査察指導員を経て現職。前職は千葉市公立の男性保育士第1号。保育士、社会福祉士、公認心理師。


赤山泰子さん

吉田病院相談員。奈良市通院移送費裁判、奈良いのちのとりで裁判を支援。奈良県の生活保護行政をよくする会事務局。社会福祉士、精神保健福祉士。


進行:吉永純さん

花園大学教授、全国公的扶助研究会会長。福祉事務所24年、ケースワーカー12年の経験を生かし、貧困と生活保護について研究。



■8月19日(土)ハイブリッド
⑦ 特別企画(13:30~16:30)
今こそ、「生活保護法」から「生活保障法」へ

史上最大の保護基準引下げの違法を認める司法判断が相次ぐ一方、どれだけ生活に困っても「生活保護だけは受けたくない」という市民意識はなかなか変わりません。こうした状況を打破するためには、今こそ、「生活保護法」を権利性の明確な「生活保障法」へと改正することが必要です。
当事者の声を聴き、生活困窮者支援の最前線からの報告を踏まえて、今何が求められているかを皆さんとともに考えたいと思います。
※生活保護問題対策全国会議の第17回設立記念集会を兼ねるので一般の方も参加されます。


当事者の声を聴く

森絹子さん(生活保護基準引下げ京都訴訟原告)
Aさん(三重県鈴鹿市自動車保有禁止訴訟原告)
儚さん(生活保護世帯から進学した大学生)


報告とパネルディスカッション
「コロナ禍であらわになった貧困の実情と生活保護制度の課題」 

瀬戸大作さん(一般社団法人反貧困ネットワーク事務局長)
寺内順子さん(一般社団法人シンママ大阪応援団代表理事)


「いのちのとりで裁判の到達点と意義」

尾藤廣喜さん(生活保護基準引下げにNO!全国争訟ネット共同代表)



2023/5/




特別企画 生活保護問題 オンライン研修会

生活保護制度の基本、その問題点を学ぶ

-地方議員・支援者ができること-


 不況と急激な物価高騰で生活困窮者が広がっているにも関わらず、生活保護の利用はあまり増えていません。その背景には、生活保護に対する忌避感が根強いこと、生活保護制度の周知が足りていないこと、そして「水際作戦」と呼ばれる違法・不適切な制度運用があること、などがあります。
 生活保護問題対策全国会議では、全国公的扶助研究会との共催で、毎年8月に「生活保護問題議員研修会」を開催しています。その研修会で本格的に学ぶ前に、「生活困窮の相談を受けることがあるが、どのように対応したら良いかが分からない」「生活保護について基本的な知識が欲しい」とのご相談があり、特別企画としてオンライン研修会を実施することにいたしました。
 生活保護制度の基本を概説するとともに、地方議員の皆さんや支援者の皆さんの実践に役立つような知識、議会や地域でできることについても提起いたします。ぜひ、お申込みください。

日時 2023年6月17日(土) 16~18時

方式 Zoomオンライン
(見逃し配信もいたします ※後日メールで録画URLを送信)

講師 田川 英信
(生活保護問題対策全国会議事務局次長、元ベテラン福祉事務所職員)
 ※進行・助言
   尾藤 廣喜 (弁護士、同会議代表幹事)
   小久保 哲郎 (弁護士、同会議事務局長)

参加費 議員2,000円 ・ その他1,000円

支払い方法  以下の金融機関の口座にお振り込みください。
<金融機関>
ゆうちょ銀行 0九九支店
当座 0319553 生活保護問題対策全国会議
<お願い>
お振り込みの際に、振込名義人の前に「0617」をつけてください。

参加申込URL
https://us02web.zoom.us/webinar/register/WN_6UEyvqgbQUSWsixQCiENsQ





2023/5/22


 奈良県香芝市では、生活保護申請時の議員の同席を巡る発言に対して2022年12月に議会への出席停止処分が強行されるとともに、その後もこの問題での議会での議員の質問が禁止されるなど異常な事態となっています。
 そこで、香芝市生活保護問題調査団を結成し、香芝市の生活保護に関する調査を行ったところ、奈良県内15福祉事務所中同席を認めていないのは香芝市だけであること(資料1)、香芝市の生活保護率〔生活保護利用者の人口比〕が人口1000人に対して4.65人というこれも奈良県内15福祉事務所中最低であること(資料2)が判明しました。

 こうした調査結果もふまえて、調査団は、去る2月14日、香芝市長に対し、「市会議員の同席についての貴市の対応、及び生活保護行政についての申し入れ」を行うとともに、香芝市議会議長に対し、「生活保護相談申請時における市会議員の同席に関する質問を禁止する貴市議会の対応についての申し入れ」を行いました。
 香芝市長に対する申し入れでは、生活保護相談申請時の議員の同席に関しては、同席を認めない事実の存否、また同席を認めないように議会に働きかけた事実の存否について、「いずれも答えられない」と事実上の回答拒否という対応でした。また生活保護行政に係る問題では、「事実であれば申し訳ない」という対応でした。いずれについても、3月25日までには調査の上文書で回答することを確認しました。
 香芝市議会議長への申し入れについては、事前の面談申入れに対して応答なく、申し入れ文を議会事務局に渡しました。
 調査団としては、香芝市の生活保護行政についての分析を進め、生活保護を当たり前の権利とするための取り組みを引き続き強化していく所存です。




2023年2月14日

香芝市長
福岡憲宏 様
香芝市生活保護問題調査団
団長 吉永 純(花園大学教授)
事務局連絡先
奈良県橿原市八木町1-8-15ヤマトー八木店4階
奈良民主医療機関連合会気付
奈良社会保障推進協議会
Tel:0744-21-3101/Fax:0744-21-3102
担当 中嶋、飯尾


生活保護相談申請時の市会議員の同席についての貴市の対応、及び生活保護行政についての申し入れ


 貴市は、生活保護の相談、申請時に、市議会議員の同席について、また、貴市の生活保護行政運用に関する申し入れを行いますので貴市の見解をお示しください。

1 生活保護相談申請時の、市議会議員の同席について
⑴ 貴市が、生活保護の相談、申請時に、市議会議員の同席を認めていないというのは事実ですか。

⑵ 貴市が、これまで、香芝市議会に対して、生活保護相談申請時に市議会議員の同席を認めないように市議会に働きかけをしたことはありますか。

2 貴市の生活保護行政について
⑴ 貴市の生活保護率は、奈良県下15福祉事務所中最下位です(4.65‰〔パーミル〕、2020年、別紙の通り)。その理由についての貴市の考えをお示し下さい。

⑵ 貴市の生活保護の運用について、下記のような意見が寄せられました。下記のような対応は生活保護行政の実施上、不適切と考えられます。貴市の見解をお示し下さい。

ア 生活保護の新規調査時に、財布の中身1円まで出すように言われた。

イ ある程度安定した就労収入であるにもかかわらず、毎月、給与明細の提出を求められる。

ウ 一人で生活保護の相談に行ったら、「無理です」「働きたくなくても簡単にもらえるものではない」「もっと頑張って」「世の中の人もっと頑張っている。頑張りが足らない」などと言われ、保護申請を受け付けてくれない。
以 上


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2023年2月14日

香芝市議会議長 
川田 裕 様
香芝市議会教育福祉委員会委員長 
中谷 一輝 様
香芝市生活保護問題調査団
団長 吉永 純(花園大学教授)
事務局連絡先
奈良県橿原市八木町1-8-15ヤマトー八木店4階
奈良民主医療機関連合会気付
奈良社会保障推進協議会
Tel:0744-21-3101/Fax:0744-21-3102
担当 中嶋、飯尾


生活保護相談申請時における市会議員の同席に関する質問を禁止する貴市議会の対応についての申し入れ


 貴市議会は、2022年12月13日の福祉教育委員会に於いて、委員長は「議員の質問は、係争中の裁判に係りますので、質疑を禁止いたします。」として議員の質問を禁止しました。しかしこの質問禁止は以下の理由により根拠がありませんので、禁止について反省し、議員を質問権を保障してください。

○申し入れの趣旨(質問禁止に根拠がない理由)
1 市議会における議員の質問は、市民の要望や要求を実現するための基本的かつ根幹的活動です。そのため議員の質問に対しては市長並びに職員には説明義務が課されており(香芝市議会基本条例第20条4項)、質問に対する市当局の見解をただすきわめて重要なものです。
 このような質問の重要性に鑑み、市議会委員長は「秩序を乱し、又は会議を妨害する」場合に注意喚起ができるだけです(同条5項)。また、市議会委員会条例20条においても、「委員会の秩序を乱す委員があるときは、委員長は、これを制止し、又は発言を取り消させることができる。」だけです。
 したがって、議員は質問に関してはこれらの規定に反しない限り、自由に質問を行うことができるものです。

2 「係争中の裁判にかかること」について質問することが委員会の秩序を乱すとは考えられません。また、そもそも、裁判で問題とされているのは議員に対する懲罰の合法性であり、議員の窓口同行が違法であるかは直接の争点ではありません。

以上のように、市議会が、窓口同席に関する質問を禁止する根拠はまったくありません。

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2023/2/21




「2023年度の生活保護基準額改訂(据置と一部増額)の一刻も早い実施と大幅な増額等を求める要望書」を提出しました。




2023年2月20日


2023年度の生活保護基準額改訂(据置と一部増額)の
一刻も早い実施と大幅な増額等を求める要望書

生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜
〒530-0047 大阪市北区西天満 3 丁目 14 番 16 号
西天満パークビル 3 号館 7 階あかり法律事務所
電話 06‐6363-3310 fax06‐6363-3320
事務局長 弁護士 小久保 哲 郎


1 国の対応策
 当会議は、2023年度からの生活保護基準の在り方を検討した生活保護基準部会の報告書が2022年11月に出された際、また、2023年度からの生活扶助基準額の減額を見送る政府方針が2022年末に公表された際、それぞれ緊急声明を発し(2022年12月5日と同年同月21日、当会議ブログ参照)、現下の異常な物価急騰を踏まえた生活保護基準の引き上げ、低所得者の消費水準と比較する検証方法からの脱却、級地の統合についての専門的検証を求めてきた。
 その後、国は、次の通り、2022年度からの生活保護基準の据え置きと一部増額の方針を示した。


2023~2024年度の生活扶助基準額の「見直し」内容
⑴ 生活保護基準部会の検証結果の反映
①夫婦子1人世帯では、2%増額。年齢・級地・世帯人員別の較差体系の見直し
②ただし、年齢別較差は2分の1を反映。第2類額の級地間の較差は設けない。

⑵ 足下の社会経済情勢を踏まえた当面の臨時的・特例的対応(2023~2024年度の2年間)
①2019年当時の消費水準(検証結果反映後)に一人当たり月額1,000円を特例的に加算
②①の措置をしても現行基準が減額となる世帯については、現行の基準額を保障

⑶ 2025年度以降の生活扶助基準額の検討
○2025年度の予算編成過程において改めて検討。上記検証結果を適切に反映の上、これまでの基準見直しにおける配慮を参考にしつつ、その時の社会経済情勢を勘案。

⑷実施時期 2023年10月 財政影響額 130億円(2023年度は60億円)

 しかし、上記の国の方針は、第2次オイルショック以来の40年ぶりの物価急騰が収まらない下で、昨年来の物価高に苦しめられている生活保護世帯の厳しい生活に対処するための対応策としては、不十分というほかないため、当会議は、国に対し、改めて以下の対策を求めるものである。

2 問題点
⑴ 実施時期 
 実施時期が2023年10月からとされていることからすると、生活保護世帯は、同年9月迄現行基準での生活を強いられる。2022年の物価高騰(3%)について丸1年間手当されないまま、さらに半年待たされることになる。

⑵ 改訂案では現下の物価急騰には到底追いつかない
 令和5年度政府経済見通し(2022年12月22日)によれば、2022年度の消費者物価は3%上昇したとされており、2023年度は1.7%の上昇が見込まれている。今後の状況も極めて厳しく、2023年値上げが予定される食品や飲料は7000品目を超える見込みである(2022年12月30日NHK)。引き上げ幅も少なくとも3%(2022年度分)+1.7%(2023年度分)=4.7%が必要となる。この点からすれば、表において、4.7%を超えるのは、夫婦子1人世帯(2級地の1)をはじめ表の27類型のうち2、3級地の5類型だけある。逆に1級地1の高齢者世帯では高齢単身世帯(65歳)、高齢夫婦世帯(75歳夫婦)、高齢単身世帯(75歳)では増額無く、若年単身世帯(50代)も増額なしとなっており保護世帯のうち8割を占める単身世帯では増額がないおそれがある。
 結局、今回の改定案では、生活保護世帯の生活水準は実質的に悪化が不可避と言わざるを得ない。

⑶ 基準部会報告の反映結果と低所得者との比較方法の破綻
 厚労省は、年齢格差を2分の1とした上で、標準世帯(夫婦子1人)では、標準世帯では基準額を2%アップする方針としたが、世帯類型ごとの具体化の結果、65歳高齢世帯では1級地の1で減額、75歳以上の高齢世帯は全級地で減額改定となる見込みであった。また、1級地の1が、9類型中7類型で減額となる上、増額となる2類型でも増額幅は他の2つの級地より少ない。
 結局、基準部会の検証結果について年齢格差を2分の1として反映させても、生活保護世帯の半分を超える高齢者世帯と、同じく4割を占める大都市部居住世帯(1級地の1)において、引き下げとなるものであったことになる。
 このことは、年金の減額などによって収入の減少が続く低所得高齢者等との比較を始めとする低所得層との比較という現行の手法が破綻していることを示すものである。

3 要望事項
 そこで、当会議は、国に対し、以下の項目を要望するものである。
⑴ 改訂基準額の実施時期については、2023年10月を待たず可及的速やかに実施すること
⑵ すべての世帯に対して、最低4.7%の生活扶助基準の増額を行うこと
⑶ 低所得層の消費水準との比較による検証を止め、現行基準を維持しつつ、MIS手法などの新たな検証手法を期限を決めて早急に開発すること

以上

【表】 世帯類型ごとの生活扶助基準額(「令和5年度厚生労働省所管予算関係」より)


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2023/2/20


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