10周年記念集会

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-貧困の連鎖を防げ-
生活保護でも大学に行きたい!


「高校をでたら、働きなさい」
…夢は、生まれた家庭で、諦めなければいけないのでしょうか?国はいまも、子どもが生活保護を受けながら、大学や専門学校などで学ぶことを認めていません。
「生活保護世帯の子どもの大学等進学率は33%」
 これは、一般世帯の73.2%の半分以下です。
 生活保護世帯の子どもたちの夢や希望を奪っている現状が、ここにあります。
 この間、生活保護費は大幅に引き下げられてきました。さらに、来年度は母子加算の削減などが検討されています。そうなれば、大学等進学率はさらに下がるでしょう。
 生活保護世帯の子どもたちの「進学したい!」という想いをかなえるために何が必要か。みなさんと考えたいと思います。
 

【日時】2017年10月1日(日) ※申込不要

13:30~16:30(開場13:00~)


【場所】エルおおさか 南館10階 1023号室

天満橋駅、北浜駅より徒歩10分程度
(大阪市中央区北浜東3-14) アクセスはこちら


【資料代】500円

※申込不要




全体司会

ラボルテ雅樹さん (ユニオンぼちぼち、とよなか国際交流協会)



開会あいさつ

徳武聡子 (当会議事務局次長、反貧困ネットワーク大阪事務局長)



基調講演「生活保護世帯の大学生の現状と課題~堺市実態調査から」

桜井啓太さん
名古屋市立大学講師。大阪市立大学人権問題研究センター特別研究員、元堺市ケースワーカー。大阪市立大学大学院創造都市研究科博士課程単位取得退学。博士(創造都市)。
主な著書:『〈自立支援〉の社会保障を問う』(法律文化社)、『揺らぐ主体/問われる社会』(インパクト出版会)ほか。



当事者の声

パネルディスカッション「人間らしく生きる権利を求めて」

  コーディネーター

中野冬美さん(女性のための街かど相談室ここ・からサロン共同代表)



  パネリスト 

桜井啓太さん(女性のための街かど相談室ここ・からサロン共同代表)

竹田一成さん(NPO法人あっとすくーる理事)
小学校1年生の時に両親が離婚し母子家庭で育つ。大学在学中の2010年にあっとすくーるの立ち上げに参加。現在は箕面市から委託を受けている学習支援の事業責任者を務める。

小久保哲郎(弁護士)
当会事務局長。いのちのとりで裁判(生活保護基準引き下げ違憲訴訟)大阪弁護団副団長。「間違いだらけの生活保護『改革』」(明石書店・2014年)等。


会場からの質問・意見など

閉会あいさつ

生田武志さん(反貧困ネットワーク大阪代表)



【主催】反貧困ネットワーク大阪、生保護問題対策全国会議
[本件の問い合わせ先]とくたけ司法書士事務所 司法書士 徳武聡子

TEL:072-970-2232 Fax:072-970-2233




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パネルディスカッション「なぜ助けてと言えないのか シングルマザーが語る本当のこと」

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*パネルディスカッション*
なぜ助けてと言えないのか
シングルマザーが語る本当のこと


日時
2017年8月20日(日)
14:00~17:00(開場13:30)

場所 
ドーンセンター 5階特別会議室

 アクセスはこちら

お子さん連れもOK。

これまでシングルマザー(シンママ)をめぐるいくつもの事件が起きた。
大阪市西区の2児放置死事件、大阪市北区の母子餓死事件、千葉県銚子市母子心中事件
等々…。
そして、事件後、必ず、なぜもっと早くサポートにつながらなかったのかということが
言われる。
ではなぜママ達はサポートにつながらなかったのだろうか。
このパネルディスカッションでは、シンママ大阪応援団でこの2年間につながったママ
たち自身に、「なぜ助けてと言わないのか、言えないのか」、また
「どんなサポートが必要なのか」を具体的に語っていただく。

コーディネーター 芦田麗子(神戸親和女子大学講師・社会福祉士)
パネラー シンママ大阪応援団メンバーのシンママさんたち


【主催】 大阪社会保障推進協議会/シンママ大阪応援団
【共催】 生活保護問題対策全国会議




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 吉村大阪市長は、大阪市立大学が行った生活保護に関するビッグデータ分析を受けて、①生活保護受給審査特別チームの設置や②母子世帯に対する就労支援の強化を提言しています。しかし、吉村市長の提言は、上記データ分析を曲解し、いたずらに生活困窮者を追い詰めるものであるため、私たちは、本日、大阪市に意見書を提出しました。



2017年8月8日


生活保護ビッグデータ分析を曲解した
吉村大阪市長提案に関する意見書


生活保護問題対策全国会議,反貧困ネットワーク大阪,シンママ大阪応援団,野宿者ネットワーク,近畿生活保護支援法律家ネットワーク,全大阪生活と健康を守る会連合会,なにわユニオン,ユニオンぼちぼち,大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO),特定非営利活動法人ジョイフルさつき,一般社団法人エープラス,NPO法人多重債務による自死をなくす会コアセンター・コスモス,全国「精神病」者集団,「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会,怒っているぞ!障害者切りすて!全国ネットワーク,兵庫県精神障害者連絡会,生活保護支援九州・沖縄ネットワーク(以上18団体)

第1 はじめに
 大阪市と大阪市立大学公共データ解析プロジェクトチームは,本年7月7日,大阪市が保有する行政データを活用したビッグデータ分析における国内初の事例として,生活保護を対象としたデータ分析の結果を取りまとめ(以下,「本件報告書」という。),公表した。
 これを受けて,吉村洋文大阪市長は,大阪市の生活保護受給者数や金額は橋下市政の代から5年連続で減少しているとし,「更にもっと,やっぱり今後下げていくためには,どうしたらいいのかってことです。ほっとけばやっぱり増えますんでね…より厳しく,きちっとこの施策を進めていかないとすぐ広がってくるだろうな,という危機意識は持っています。」と生活保護削減の必要性を強調したうえで,①大阪市に転居してすぐの生活保護申請に対応するため受給審査の専門チームを立ち上げること,②受給期間が長期化している母子世帯に対する就労支援策を強化することを提案している(7月20日市長記者会見。大阪市HP)。
 しかし,吉村市長の上記提言は,生活困窮者が置かれている実情をリアルに把握することなく,本件報告書を曲解している。何の根拠もなく,生活保護の削減のみを目標として,いたずらに生活困窮者を追い詰めようとするものであって,到底容認できない。

第2 「生活保護目的で大阪市に転居してすぐの生活保護申請が多い」というデータなどない
1 吉村市長の発言内容
 前者の「大阪市に転居してすぐの生活保護申請」については,「生活保護を目的に大阪市に引っ越してきたとみられる人たちは平成27年度に男性受給者の19.8%,女性受給者の10.6%」といった報道がされ(7月8日NHKニュース),吉村市長は,「大阪市に入ってのすぐの生保申請については,原因をさらに分析調査し,受給審査の専門チームを立ち上げる(7月10日ツイッター)」,「大阪市に転入してすぐ生活保護を申請するケースが突出して多い。なんでだ?これを適正に審査するのは当たり前。だって大阪市民の税金を使うんだから(7月20日ツイッター)」と発言した(7月20日の市長会見でも同旨の発言をしている)。
 吉村市長の上記発言は,①生活保護受給を目的として②大阪市に転居してきてすぐ(6か月以内)に③生活保護を不適正に受給している者の割合(パーセンテージ)が④他都市と比較して突出して多いこと,⑤生活保護費が大阪市民の税金を原資としていることを前提にしている。しかしながら,以下述べるとおり,吉村市長の発言は,上記①ないし⑤のすべての点において,まったく根拠を欠いている(なお,上記NHKの報道にあるパーセンテージは,新規の保護開始数を分母にした数字のはずだが,生活保護受給者全体を分母と誤解させる不正確な報道である。)。

2 吉村市長の発言内容の問題点
 まず,①については,本件ビッグデータ分析からは何を目的に大阪にやってきたのかという「主観」は全く読み取れない。また,②について,本件報告書は,「市民日(=住民登録日)」を起点としており,「大阪市に転居してきた日」を起点としているわけではない。支援の現場感覚では,地元に住民票を残したまま仕事を求めて来阪したものの,仕事が見つからず,あるいは,しばらく仕事をしたものの失業し,やむを得ず生活保護を利用するに至る人が多い。上記の数字にはこうした人々も多数含まれていることが当然に想定される。なお,本件報告書も,受給が長引かず,「短期に廃止にいたることも多いので,必ずしも増加要因を形成しているとは言い難い。」としている。
 ③については,仮に来阪してすぐに生活保護申請をしたからといって,それ自体が不適正な生活保護受給であるということにはならない。かつて言われた大阪行きの片道切符を渡すような自治体の扱いは非難されてしかるべきであるが,そのような扱いをされた当事者についても,生活保護の要件を満たす限り保護を適用するのが当然である。また,吉村市長自身,そのような事例が最近はあまりない旨述べている(7月20日市長記者会見)。
 ④については,本件報告書も,「全国でも初めて数値としてはじき出したので,比較事例はない」と明記しているとおり,来てすぐの生活保護受給が「他都市と比較して突出して多い」という根拠は全くない。
 ⑤については,生活保護費の4分の3は国庫負担である(生活保護法75条)。残りの4分の1は地方負担ではあるが,地方交付税交付金で裏打ちされており,大阪市の「持ち出し」はごく一部に過ぎない。むしろ,保護費の大部分は国費が投入されており,そのほぼ全額が消費に回るので地域経済の活性化に役立っている面があることも見逃してはならない。

3 小括
 以上のとおり,吉村市長の発言は,事実の根拠を全く欠く無責任な思い付きというほかない。しかも,市長は,特別の審査チームを各区に置くのは人員上無理なので,問題の多い区には常駐させるが,その他の区は本庁にチームを置き,必要に応じて各区に派遣する旨述べている(7月20日市長会見)。しかし,こうした体制を実効的に稼働させることは実務上困難と思われる。来阪後,あるいは,住民登録後間もない申請者に対する審査をいたずらに長期化・厳格化し,生活困窮者を排斥し追い詰めるおそれが強い。「闇の北九州方式」と言われたかつての北九州市のように「水際作戦」を強化するものであって到底容認できない。

第3 母子世帯の母親に対するさらなる就労強化は母子を苦しめることになる
1 吉村市長の発言内容
 次に,吉村市長は,ひとり親世帯の生活保護利用期間が長期化している対応策として,「就労支援策の強化」を打ち出している。
 しかし,今回のビッグデータ調査では,ひとり親世帯がどのような困難を抱えて生活しているのか,なぜ生活保護利用期間が長期化しているのか,その実態については何ら明らかとなっていない。母子世帯が抱える疾病その他の就労阻害要因に何ら目を向けることなく,「就労支援の強化」といったお題目を唱えても効果は限定的であるばかりか,困難を抱えた母子世帯の母親と子どもをさらに追い詰めることとなる。

2 母子世帯が置かれている状況
(1)被保護母子世帯の7割がDV被害を受け精神疾患の割合が高い
 厚生労働省の調査(平成21年12月11日付「生活保護母子世帯調査等の暫定集計結果~一般母子世帯及び被保護母子世帯の生活実態について~」)によれば,被保護母子世帯の7割がDV被害の経験を持ち,そのうち8割の母親が精神的不調を来たし,6割の子どもがDV被害の影響を受けている(18頁)。
 被保護母子世帯のうち,病気やけがなどによる体の具合に対する自覚症状があるとする母親は72.9%に達し,一般母子世帯の37.1%の2倍に及ぶ(11頁)。現在通院をしている母親の傷病の種類についても,うつ病等の精神疾患の割合が3割と一般母子世帯の3倍に及んでいる(13頁)。
 こうした母親の精神状態へのケアを抜きに就労指導のみを強化することは,その精神状態をさらに悪化させるおそれが強い。

(2)被保護母子世帯の子どもの健康状態も悪い
 被保護母子世帯のうち,病気やけがなどによる体の具合に対する自覚症状があるとする子どもの割合は34.1%もあり,一般母子世帯の24.8%よりもかなり高い(20頁)。実際に通院している子どもの傷病の種類についてみると,「うつ病やその他こころの病気」は12.2%で,一般母子世帯の1.3%と比較すると約10倍に及んでおり,被保護母子世帯の子どもの心の病気の割合は著しく高い(22頁)。
 実務感覚からしても,被保護母子世帯の子どもは,発達障害等の障害を抱えていたり,学校でイジメにあって不登校となっているなど,母親の就労阻害要因となっていることが少なくない。こうした子どもへの支援を抜きに,いたずらに母親の就労時間を増加させることは,子どもが抱える問題をより悪化させるおそれが強い。

(3)働ける母親はすでに働いている
 上記のとおり,被保護母子世帯は,一般母子世帯の中でも特にDV被害経験やうつ病等の精神疾患等の多重の困難を抱えているにもかかわらず,42.2%が働いている(2頁)。一般母子世帯の有職率81.4%(同前2頁)と比較するとかなり低いが,職がないと回答した理由は,一般母子家庭では「健康に自信がない」とする回答が37.4%であるのに対し,被保護母子世帯は64.7%となっており(3頁),前述のとおりの精神疾患を初めとする健康状態の悪さが背景にあることがうかがえる。また,現在就業中の母親の健康状態については,被保護母子世帯では29.9%が「よくない」又は「あまりよくない」と回答しており(一般母子世帯では14.3%),健康状態が悪い中,無理をおして働いている様子がうかがわれる(6頁)。
 一方,実態により近いと思われる毎年の全数調査の結果によれば,被保護母子世帯のうちの稼働世帯の構成比は,1995(平成7)年以降一貫して5割前後(平成26年12月速報値では49.4%)で推移している。これは,高齢者世帯4.2%,傷病者・障害者世帯13.1%,その他の世帯39.3%と比較しても突出して高い。
 このように,多重の困難を抱えた被保護母子世帯のうち,働ける者は皆,かなり無理をしながら働いている。それでも生活保護から脱することができないのは,低賃金の不安定雇用にならざるを得ない現実(女性の平均賃金は男性の約7割,非正規女性社員の平均賃金は正規女性社員の7割程度)があるからである。
 十分な収入が得られる就労場所の提供なくして就労指導だけを強化しても生活保護基準を上回る収入を得ることは期待できない。

3 小括
 以上のとおり,厚生労働省の調査によれば,被保護母子世帯の7割がDV被害の経験をもち,そのうち8割の母親が精神的不調をきたしている。被保護母子世帯の母親,子どもともに健康状態が悪く,特にうつ病等心の病気の罹患率が高い。そして,働ける母親はすでに働いている。
 こうした実情を何ら考慮することなく,単純に「就労支援策の強化」のみを打ち出すことは,多重の困難(特に心の病気)を抱えた被保護母子世帯の母親と子どもをさらに追い詰め,貧困の連鎖を増幅することにつながりかねないことに思いを致すべきである。


(連絡先)
 〒530-0047 大阪市北区西天満3丁目14番16号 西天満パークビル3号館7階
 あかり法律事務所 電話06-6363-3310 fax06-6363-3320
 生活保護問題対策全国会議 事務局長 弁護士 小久保 哲郎





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 大阪市の4区で生活保護利用者の顔写真付きの「確認カード」の作成・交付が事実上強要されていることが発覚しました。私たちは、本日、この「確認カード」の問題点を指摘するとともに事実関係について質問する公開質問状を大阪市に提出しました(4区には郵送執行)。(回答期限:2017年8月末日)



2017年8月8日


「本人確認カード」に関する公開質問状


大阪市長    吉村 洋文 殿
同市浪速区長  榊  正文 殿
同市福島区長  大谷 常一 殿
同市東住吉区長 上田 正敏 殿
同市港区長   筋原 章博 殿

 生活保護問題対策全国会議,全大阪生活と健康を守る会連合会,大阪府保険医協会,大阪府歯科保険医協会,大阪民主医療機関連合会,自由法曹団大阪支部,反貧困ネットワーク大阪,引き下げアカン!大阪の会(生活保護基準引き下げ違憲大阪訴訟を支える会),近畿生活保護支援法律家ネットワーク,野宿者ネットワーク,なにわユニオン,ユニオンぼちぼち,大阪子どもの貧困アクショングループ(CPAO),特定非営利活動法人ジョイフルさつき,全国生活と健康を守る会連合会,アルバイト・派遣・パート非正規等労働組合(略称/あぱけん神戸),個人社会福祉士事務所フリーダム,有限会社おとくに福祉研究所,きょうと福祉倶楽部,NPO法人多重債務による自死をなくす会コアセンター・コスモス,夜まわり三鷹,生存権がみえる会,全国「精神病」者集団,特定非営利活動法人 出発のなかまの会,「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会,怒っているぞ!障害者切りすて!全国ネットワーク,兵庫県精神障害者連絡会,NPO法人ささしまサポートセンター,全京都生活と健康を守る会連合会,生活保護支援九州・沖縄ネットワーク(以上30団体)

第1 はじめに
 今般,貴市の浪速区,福島区,東住吉区において,生活保護担当職員が,生活保護利用者に対し,申請時等に写真撮影を行った上で,顔写真付きの「確認カード」なるもの(以下「確認カード」といいます。)を作成・交付していることが判明しました(その後,港区においても「確認カード」の作成・交付がなされていることが分かりました。)。この点について,以下のとおり,意見を申し述べるとともに,質問及び資料提供の要請をいたします。
 ご多忙中にお手数をおかけして恐縮ですが,2017年8月末日までに本書末尾記載の連絡先あてにご回答いただきますようお願いいたします。なお,回答内容については,申入れ団体のHP等で公開する場合がありますので,予めご承知おき願います。

第2 「本人確認カード」の問題点
1 生活保護行政において「確認カード」による本人確認が全く不要であること
 貴市は,顔写真付きの「確認カード」の必要性について,「窓口での保護費の支払い時などに本人確認に活用することにより,保護費の誤支給や不正受給(なりすまし)を防止すると共に,保護費の支給日の混雑緩和にも活用することで実施機関の事務の軽減に寄与する」旨説明しています。
 しかしながら,まず,「誤支給」というのは,職員側の事務ミスによって保護費の袋や医療券を間違えて別の生活保護利用者に渡してしまう場合なので,そもそも「確認カード」によって防止できるものではありません。
 次に,「なりすまし」による不正受給ですが,そもそも,当該生活保護利用者と面識のある職員が窓口にいて発覚するリスクが相当あるのに,わざわざ他人になりすまして保護費や医療券を取りに来る者がいるとは考えられません。
 生活保護費の支給は原則口座振込みとされており,窓口支給とされるのは極めて例外的な場合です(口座振込みの手続が間に合わない新規ケースや保護費からの返還金があるケースなど)。窓口での生活保護費の支給に際しては,通常,本人と直接面識のある担当ケースワーカー等が対応をするため,「確認カード」による本人確認の必要性は全くありません。
 また,医療機関の受診については,定期的継続的に同一の医療機関に受診する場合には,本人に医療券が交付されることはなく,生活保護利用者のかかりつけの医療機関と福祉事務所が直接やり取りをします。生活保護利用者のかかりつけの病院に別人がなりすまして行けば,医師等に発覚するので,そのようなことは考えられません。突発的単発的な受診の場合には,通常,生活保護利用者がケースワーカー等に事前に電話等で相談のうえ,窓口では生年月日等で本人確認をして医療券を渡してもらいます。先にも述べたとおり,窓口で当該生活保護利用者と面識のある職員に見破られるリスクがあるのに,わざわざ他人になりすまして医療機関を受診しようとする者はいません。したがって,医療券の発行にあたっての不正受給(なりすまし)も考えられません。
 事務処理の迅速化による「混雑緩和」についても,一般に行われている生年月日,住所等の通常本人しか知り得ない個人情報の聴取による確認と「確認カード」による本人確認とで,所要時間にさしたる差が生じるとも考えられません。
 以上のとおり,生活保護費の支給や医療券の発行の際の,誤支給,不正受給(なりすまし)を防止するためにも,窓口の「混雑緩和」のためにも,「確認カード」によって本人確認をする必要は全くありません。
 私たちが知る限り,全国的にもこのような「確認カード」を作成しているのは,貴市の4区だけです。生活保護制度が始まって以来今日に至るまで,他の地域において特段問題が生じていないことからしても,「確認カード」が無用の長物であることは明らかです。

2 生活保護に対するスティグマを強め,保護申請を萎縮させること
 私たちの調査によれば,貴市浪速区では,まだ生活保護の受給が決まっていない生活保護申請時に面談室において,写真撮影を行っているようです。また,生活保護利用中の者については,来庁者が行き来する場所の壁に立たせて写真を撮影しているようです。上記のとおり,必要性がないのにわざわざ「確認カード」を作成・交付するのは何のためなのでしょうか?
 本来,申請保護の原則がとられている生活保護においては,申請権の保障は極めて重要であり,「申請保護の原則を生かすためには,一般の国民から見て申請がしやすいように保護の実施機関側でも工夫すべきであ」るとされています((小山進次郎「改訂増補 生活保護法の解釋と運用」165頁)。
 仮に,「確認カード」の作成・提示を義務付け,それがなされない限り保護費の支給や医療券の交付を行わないとすれば,法的根拠なく保護請求権を制限するものであって明らかに違法です。したがって,かかる制度が許容されうるのは,あくまでも当事者の真摯な同意がある場合に限られます。
 しかし,生活保護申請時において,申請者は,保護決定がなされるかどうかによって今後の生活,ひいては生命・健康が大きく影響される立場にあります。このような立場にある申請者が,写真撮影の同意を求められた場合,保護決定への影響を恐れ,これを拒否することは極めて困難です。
 また,確認カードの作成について,医療券の交付や生活保護費の支給の際に必要であるとの説明がなされていた場合,生活保護利用者にとってこれらの交付・支給が生存のために必要不可欠であることから,カードの作成や,写真の撮影を,拒否することは極めて困難です。
 したがって,写真撮影が形式的には当事者の同意のもとに行われているとしても,それは事実上の強制によるものと言わざるを得ません。
 刑事訴訟法218条2項は,「身体の拘束を受けている被疑者の…写真を撮影するには,被疑者を裸にしない限り,前項の令状によることを要しない」と規定しており,警察に逮捕・勾留された被疑者は写真を撮影されます。生活保護を申請する者の顔写真の撮影を事実上強制することは,生活保護を利用する者を犯罪者のように扱うものです。
 このように,法律上の根拠も,実質的な必要性もないのに,顔写真を撮影され,管理番号で管理された「確認カード」の携帯や提示を事実上強制されることは,通常,少なからぬ不快感・屈辱感を与えるものであり,生活保護に対するスティグマ(「恥の意識」「偏見」)を強め,保護申請を萎縮させる効果があると考えられます。

3 個人情報保護条例上の問題
 貴市個人情報保護条例6条1項は,「実施機関は,個人情報を収集しようとするときは,個人情報を取り扱う事務の目的を明確にし,当該明確にされた事務の目的の達成に必要な範囲内で,適正かつ公正な手段により収集しなければならない。」と規定しています。
 1で述べたとおり,「確認カード」の事務目的に合理性はなく「明確」とはいえませんし,仮に事務目的が明確であるとしても,生活保護の利用が決まっていない申請段階の者の写真を撮影することは「事務の目的の達成に必要な範囲内」を逸脱していることが明らかです。
 仮に,生活保護利用者本人に作成交付された「確認カード」以外に予備の写真や画像データを保管したり,「確認カード」の写しをケース記録に編綴するなどして,「生活保護利用者の容ぼう」という個人情報を「収集」しているとすれば,個人情報保護条例に違反する違法行為であると言わざるを得ません。

4 肖像権侵害の問題
 個人の私生活上の自由の一つとして,承諾なしにみだりにその容ぼう・姿態を撮影されない自由(いわゆる肖像権)を有するところ,貴市による確認カード作成のための写真撮影は,形式的な同意の下に行われていたとしても,この自由を侵害している恐れがあります。
 2で述べたとおり,申請者や生活保護利用者が写真撮影を拒否することが困難な立場にあることから,形式的な同意があったとしても,それは任意かつ真摯な同意とはいえない場合が多いと考えられます。そして,前述のとおり,「確認カード」の必要性がないことも合わせて考えると,写真撮影を正当化する理由も乏しく,肖像権の侵害にあたる恐れがあります。

5 別の目的(生活保護利用者に対する尾行調査等への利用目的)で利用される危険性
 貴市においては,各区に警察官OBが配置され,不正受給が疑われる生活保護利用者の尾行や張り込みが行われているところ,保管されている顔写真が,こうした活動の際の「面割り」写真として利用されているのではないか,私たちは危惧を抱いています。
 万一仮に,現にこうした使い方がされているとすれば,個人情報保護条例上明らかに違法であるだけでなく,極めて重大な人権侵害であると言わざるを得ません。

第3 要望事項
1 「確認カード」は有害無益なものですので直ちに制度を廃止してください。
2 各区において保管している生活保護利用者の顔写真を当事者に返却するとともに,容ぼう情報を廃棄してください。

第4 質問事項
1 「確認カード」の作成・交付の経緯について
 (1) 生活保護費の窓口支給や医療券の交付に際して,「人違い」による誤支給や「なりすまし」による不正受給が発生したことはありますか。ある場合は,その詳細(時期,具体的内容等)をすべて明らかにしてください。
 (2) 「確認カード」を作成・交付していない行政区において,窓口での本人確認はどのような方法で行っているか,明らかにしてください。
 (3) なぜ顔写真付きの確認カードを作成・交付することになったのか,その具体的な経緯(誰がいつ発案したか等)を明らかにしてください。
 (4) 貴市において現在までに「確認カード」の作成・交付を行っている行政区について,その①導入開始時期,②導入の経緯,③年度ごとの交付率(カード交付枚数÷生活保護利用者数)を明らかにしてください。
 (5) あるいは今後確認カードの導入を予定している区があれば,その具体的経緯と予定時期を明らかにしてください。
 (6) 「確認カード」の作成・交付を現に行い,または,今後導入を予定している区における直近の生活保護利用者数と,口座振込みでなく窓口で保護費を支給している者の数を明らかにしてください。

2 各区の「確認カード」の運用について
 (1) 「確認カード」を作成・交付している各行政区において,①「確認カード」の作成・交付は任意であるか,強制であるか,②「確認カード」の作成を求められたが,これを拒否した保護申請者または利用者がいるのか(いる場合はその人数)を,それぞれ明らかにしてください。
強制である場合には,それが正当化される根拠を併せてお答えください。
任意である場合には,同意を撤回し,「確認カード」の利用を拒否することは当然許されるものと解されますが,そのような理解でよいかお答えください。
 (2) 「確認カード」を作成・交付している各行政区において,窓口での保護費の支給や医療券の交付の際に「確認カード」の提示がない場合,①保護費の支給や医療券の交付を行わないものとされているのか,②現に保護費の支給や医療券の交付が行われなかった事例があるのか,明らかにしてください。仮に保護費の不支給等があり得るとする場合には,それが正当化される根拠も併せてお答えください。
 (3) 仮に,上記(1)において強制ではなく,上記(2)において「確認カード」がなくても保護費の支給等がなされるとすれば,そのような説明を「確認カード」作成前に生活保護利用者に対して明確に行っていますか。行っていないとすればなぜですか。
 (4) 「確認カード」を作成・交付している各行政区において,生活保護開始決定前の申請者の写真撮影を行っているかどうか,写真撮影を行っている場合は,なぜ申請者についても写真撮影を行うのか明らかにしてください。また,申請者に対し,写真撮影をする理由や撮影に応じなかった場合どうなるのかについて,どのような説明をしていますか。

3 写真撮影後の写真データ等の保存・処分方法について
 (1) 複数枚プリントアウトされる機器で撮影される場合に利用されなかった写真や,デジタルカメラで撮影された場合の画像データについては,速やかに廃棄していますか。仮に,保管している場合には,その具体的な保管方法と保管している理由を回答してください。
 (2) 上記(1)のような,画像データや予備の写真を保管する以外の方法(例えば「確認カード」の写しをケース記録に貼付または編綴する等)によって,生活保護利用者の容ぼう情報を保管していることはありますか。仮に,保管している場合には,その具体的な保管方法と保管している理由を回答してください。
 (3)「確認カード」を作成・交付している各行政区において,保管している予備の写真や画像データを張り込み・尾行等の不正受給対策に活用している事例はないか,明らかにしてください。また,万一にもそのような活用をしないよう周知徹底すべきと考えますが,かかる予定はあるか,明らかにしてください。

(連絡先)
 〒530-0047 大阪市北区西天満3丁目14番16号 西天満パークビル3号館7階
 あかり法律事務所 電話06-6363-3310 fax06-6363-3320
 生活保護問題対策全国会議 事務局長 弁護士 小久保 哲郎



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2017(平成29)年8月


大阪市の生活保護利用者「確認カード」と
ビッグデータ分析を曲解した吉村市長提案
に関する記者会見のお知らせ


大阪市の4区において生活保護利用者の顔写真付きの「確認カード」の作成・交付が事実上強要されていることが発覚しました。私たちは、この「確認カード」の問題点を指摘するとともに事実関係について質問する公開質問状を大阪市等に対して提出します。

また、大阪市は大阪市立大学と共同で生活保護に関するビッグデータ分析を行いましたが、この分析結果を受け吉村市長が、①来阪後すぐの生活保護受給を審査する特別チームの設定、②受給期間が長期化する母子世帯に対する就労支援強化に言及しています。しかし、市長の提案は分析結果を曲解した根拠のないもので、いたずらに生活困窮者を追い詰め
るおそれが大です。

この2点について大阪市に公開質問状・意見書を提出後、説明のための会見を開催しますので、取材・報道いただければ幸いです。

【日時】
8月8日(火)14時~
大阪市保護課に書面提出・懇談

場所:本庁2階保護課会議室

15時30分~ 記者会見
※前の会見が長引けば遅れる可能性があります。
場所:大阪市政記者クラブ


【参加者】
○ 冨田慎平(弁護士)
○ 円山直子(浪速生活と健康を守る会顧問)
○ 大口耕吉郎(全大阪生活と健康を守る会連合会会長)
○ 中山直和(元大阪市ケースワーカー)
○ 井上賢二(大阪府保険医協会副理事長・姫島診療所医師)
○ 生田武志(野宿者ネットワーク代表)
○ 芦田麗子(シンママ大阪応援団サポーター・大学講師・社会福祉士)
○ 浪速区の生活保護利用当事者 複数名



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会員には年1~2回の会報をお送りするほか、メーリングリストで生活保護問題についての情報交換をしています。
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年会費
○弁護士・司法書士 5,000円
○団体      5,000円
○一般      2,000円
(生活保護利用者、それに準じる所得の方は1,000円)

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 りそな銀行 柏原支店
 普通 0096268
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