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 私たちは、昨年10月19日、「生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化に反対し、正規公務員ケースワーカーの増員と専門性確保等を求める意見書(案)」を公表して賛同を募るとともに、ケースワーク業務の外部委託事業を行ってきた東京都中野区の状況に関して調査を重ねてきました。

 本日、中野区に対し「生活保護行政の改善を求める要望書」を提出し、東京都と厚労省に対し同区への特別監査を要請するとともに、上記意見書を正式に公表しました。意見書に賛同いただいた方々に、この場を借りて感謝申し上げます。




2021年8月27日


中野区の生活保護行政の改善を求める要望書


中野区長 酒井 直人 様

生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾藤 廣喜

(連絡先)530-0047 大阪市北区西天満3-14-16西天満パークビル 3号館 7階
あかり法律事務所  電話 06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局 弁護士 小久保哲郎



第1 要望の趣旨
 当会議は、中野区(以下、「貴区」という。)において現在実施されている「中野区高齢者居宅介護支援事業」(以下、「本件事業」という。)について、その実態を明らかにするため、公開質問状(2021年4月2日付、同年5月17日付)に対する貴区からの回答(同年4月28日付 3中健援第642号)及び情報公開請求(同年5月14日付)に対する開示資料(同年5月31日付 3中健援第1127号, 第1040号, 第1116号)をもとに、調査と検討を重ねてきた。また、同年7月9日には貴区との意見交換を実施した。
 その結果、本件事業の制度・運用において、各種法令違反が認められ、それが生活保護利用者の人権侵害を招くなど極めて重大な問題があることが判明した。また、その背景には貴区における生活保護行政の構造的な問題が存在すると考えられる。
 そこで、当会議は、貴区に対し、以下の要望事項に沿い、具体的な改善に向けた取組みを早急に実施することを要望する。

〔要望事項〕
① 本件事業を速やかに廃止すること。
② 本件事業の受託団体に対する事務・会計監査を実施すること。
③ 諸問題の検証のために第三者委員会を設置すること。
④ 福祉事務所の人員体制の適正化(ケースワーカー、査察指導員の充足)のため、スケジュールを示した人員整備計画を策定すること。


第2 要望の理由
1 本件事業の概要
(1)事業の目的
 本件事業は、「保護開始後、一年以上経過し、かつ、安定的な生活状況にある高齢者世帯のケース管理の一部を、高齢者の処遇に専門的なノウハウや実績をもった事業者に委託する」 として、同区における生活保護高齢者世帯の総数の45%にあたる1650世帯(以下、「対象世帯」という。)のケースワーク業務を委託する目的で実施されている。

(2)事業の実施体制
 貴区は、本事業の実施にあたり福祉事務所内に専門の係(生活援護課高齢者保護係)を設けて、同係に区職員である査察指導員1名、地区担当員(ケースワーカー)5名を配置し、別に委託先職員14名(責任者1名、主任2名、専門員11名)を置いている(図1)。

図1 中野区高齢者居宅介護支援事業のイメージ図



 社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下「社会福祉法」という。)第16条第2項による標準数では、生活保護世帯80世帯に現業員(区職員のケースワーカー)を1名配置することとしている。しかし、貴区の高齢者保護係の職員ケースワーカーは1650世帯に対して5名しかおらず、区職員1名に生活保護世帯330世帯を担当させている
 実際のケースワーク業務は受託事業者の職員である「中野区高齢者ケースワーク専門員」11名(以下、「専門員」という。)がおこなっている。委託事業の「専門員」は、1人あたり150世帯を担当し、被保護者の相談対応、家庭訪問、ケース記録の作成、保護の変更決定の起案(保護決定調書の作成)、カンファレンス参加などといった本来は区の職員ケースワーカーが担うべき仕事の大部分を業務として実施している 。
 委託事業の「主任」(1〜2名)の業務内容は、訪問・記録の進捗状況の管理や、業務実績管理、専門員が起案した変更・確認文書の確認、専門員の相談、指導であり、いわゆる「査察指導員」(SV)の代替的な役割を果たしている。また、「責任者」(1名)は事業の統括役である。

(3)事業の経過、受託先
 貴区は、本件事業を2010(平成22)年度から現在まで10年以上実施している。開始当初は対象世帯500世帯程度・総事業費3200万円であったが、徐々に世帯数・事業費が拡大し、2014年度からは現在と同じ1650世帯・総事業費約7500万円(2019年度決算:74,937,499円)となっている。
 貴区は、本件事業の実施にあたり国・東京都の補助金を利用している。現在、「生活困窮者就労準備支援事業費等補助金」における生活保護適正実施推進事業「居宅介護支援点検等の充実」事業として補助率3/4(2019年度決算:18,734,000円)が貴区に交付されている。

*同補助金事業は、「居宅介護支援(ケアプラン)点検」等の充実として、介護扶助の適正化を主な目的とした趣旨の事業である。貴区事業の実態は高齢者世帯へのケースワーク業務全般の単なる委託であり、事業実態と補助金の趣旨に相当の乖離がある点も問題である。

 本件事業は、開始当初から現在まですべて同じ事業者(特定非営利活動法人新宿ホームレス支援機構(以下、「新宿ホームレス支援機構」または「受託事業者」という。))が受託している。業者選定は、2010年度は指名競争入札、2011〜2013年度は業者指定による随意契約、2014年度以降は企画提案公募型事業者選定(プロポーザル)により行われているが、受託団体はすべて新宿ホームレス支援機構である。

*なお、2021年度は、2020年12月17日に中野区健康福祉部の部内履行評価委員会において、2020年度上半期の履行状況が「良好である」と結論を得たことから、継続して同事業者に委託実施されている。

2 本件事業の問題点(総論)
 貴区の本件事業は、生活保護のケースワーク業務のすべてを受託事業者に外部委託するものであり、その帰結として、保護の決定及び実施についてまで受託事業者に丸投げするものとなっている。
 その結果、本件事業には、①生活保護法、社会福祉法等の各種法令違反(又はその疑い)が認められるとともに、②生活保護利用者に対する人権侵害や委託先職員のワーキングプア化と事業者による中抜きの疑い等の実際上の問題が生じるに至っている。
 以下、詳述する。

3 本件事業の法令上の問題点
(1)訪問調査業務をすべて丸投げ(社会福祉法第15条第4項違反・保護の実施要領違反)
 生活保護業務における訪問調査活動は、生活状況等を実地に把握することで保護を適正に実施し、生活保護利用者に的確な援助を行うための現業事務の基本とされている。「生活保護法による保護の実施要領について」(昭和38年4月1日社発第246号厚生省社会局長通知。以下、「(局)」という)第12の1の(2)のア(家庭訪問)によれば、現業員(ケースワーカー)は、年間訪問計画を策定して、「世帯の状況に応じて必要な回数、少なくとも1年に2回以上訪問すること」とされている。
 
 当初、情報公開された資料によると、高齢者保護係のケースワーカー(正規職員5名)の家庭訪問の総実績は、2019年度全体で30件、2020年度全体で15件であることが判明した 。また、聞き取り内容によると(2021年6月3日)、そのすべてが訪問計画外の臨時訪問であり、計画に基づく訪問件数は2年間を通して0件であった。
 ところが、7月9日の貴区との意見交換時になって、貴区から、上記の件数には同行訪問が入っていないので正確な件数ではないとの指摘があったため、改めて同行訪問を入れた件数の開示を求めたところ、家庭訪問の実績は、2019年度全体で129件(うち、CW単独30件、専門員との同行99件)、2020年度全体で103件(うち、CW単独15件、専門員との同行88件)であるとのことであった。

 いずれにせよ、同係のケースワーカー(正規職員5名)が1650世帯を担当していることからすると、保護の実施要領によれば、本来、年3300回(=1650世帯×2回)の定期家庭訪問が必要となる。にもかかわらず、2019年度は129件(うち単独訪問30件)、2020年度は103件(うち単独訪問は15件)しか訪問していないというのだから、本来の訪問計画数を基準にすると、2019年度は3.9%(単独訪問のみならば0.9%)、2020年度は3.1%(同前0.45%)しか実施していないことになる

 しかも、今回、貴区に対して過去の訪問実績に関する資料を開示請求等で確認したところ、貴区は、被保護世帯の居住地に赴いて実施する「家庭訪問」の回数だけでなく、家庭訪問をしたが会えずに置いて帰った「不在連絡票」を見た被保護者が、来所したり電話をかけてきた場合も訪問実績に含めて算定しているという驚きの事実が判明した(これは高齢者保護係ではなく、中野区福祉事務所全体の対応であるという)。
 当然であるが、「来所面接」や「電話」は、「家庭訪問」ではない。いたずらに訪問実績を水増しする悪質な方法であり、早急に是正すべきである。

*公開質問状(2021年4月2日付)で高齢者保護係のケースワーカー(区職員)の年間訪問計画及び年間訪問実績を尋ねたところ、貴区の回答は「いずれも未集計」というものであった(2021年4月28日付 3中健援第642号)。内容を確認したところ、「ケースワーカー(区職員)は年間訪問計画を策定していない」との回答があった(2021年6月3日)。実際に中野区は平成29年度の厚生労働省監査 、平成28年度の東京都による指導検査 において「年間訪問計画が策定されていない」として、監査指摘・勧告を受けている。
 保護の実施要領(局第12の1)において、訪問の実施にあたって年間訪問計画の策定は義務づけられており、このような運用は明らかに不適切である。なお、ケースワーカーである区職員が訪問計画を策定して、その計画に基づいた訪問を委託先職員に実施させていた場合、労働者派遣法に抵触する違反行為(偽装請負)となるおそれが高い(職員(発注者)による委託先への作業指示とみなされる)。

 今回確認できたのは、2019年度からの直近2年間であったが、貴区は上記の運用を事業開始当初(2010年度)から行っていたと述べており、10年以上に渡って生活保護世帯の家庭実態をケースワーカーの区職員が直接把握することなしに、受託事業者に丸投げして放置していたこととなる。これらは前掲の保護の実施要領上、明らかに不適切な取扱いである。
 のみならず、「現業を行う所員」が、福祉事務所長の指揮監督のもと、家庭訪問等を行い、生活保護世帯の状況を把握して保護の必要の有無・種類を判断することを規定した社会福祉法違反第15条第4項に違反している

*計画による訪問調査の例外として「自立支援プログラムの利用により必要な状況確認ができる場合、その報告や連絡を3回目(特定の高齢者世帯は2回目)以上の家庭訪問とみなすことができる」(局第12の1の(2)のア)規定がある。上記規定はあくまでケースワーカー(職員)による初回1回以上の年度内訪問を前提としており、貴区のように家庭訪問をすべて委託業者に丸投げすることを容認する規定ではない。

 そして、本件事業において委託される業務内容は大変広く、訪問調査業務のみならず、ケースワーク業務全般に及んでいる。
 本件事業の業務には、「生活保護受給者の求めに応じ、相談・助言を行う事務(生活保護法第27条の2に係る事務)」が含まれているが、通常のケースワーク業務のほとんどがこの第27条の2に位置づけられる。訪問や面談により生活保護利用者の状況を把握する相談・助言行為などが想定されるが、利用者の状況次第では相談・助言にとどまらず必要に応じて生活保護の給付をおこなうことになる。たとえば、生活保護利用者から体調不良の申し出があった場合、医療機関の受診の必要性があれば、それを助言し医療券を発行して医療扶助を決定することとなる。このように、生活保護ケースワーク業務と保護の決定・実施に係る事務は、一体的・シームレス(切れ目のない)なものであり、相談・助言行為と保護の決定・実施行為を明確に線引きすることは困難である。
 そのため、本件事業においては、ケースワーク業務全般が外部委託されたことの必然的な結果として、次項で見るとおり、保護事務の根幹である保護の決定・実施行為までも受託事業者が行うこととなっているのである。

(2)保護の決定業務を実質的に委託(生活保護法第19条第4項違反)
 生活保護法(昭和25年法律第144号。以下、「生活保護法」という。)第19条第4項は、保護の実施機関は「保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる」と規定しており、保護の決定又は実施に関する、いわゆる公権力の行使に当たる業務について、民間事業者への外部委託を行うことを禁じている。このことは、厚生労働省も最近の通知(「保護の実施機関における業務負担軽減に向けた方策について」(令和3年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)2-(1)外部委託の考え方)で改めて確認しているところである。
 本件事業の委託仕様書において、「生活保護業務のうち、決定を伴わない業務のすべてとする」(「高齢者居宅介護支援業務委託仕様書」5-(2) 業務分担の基本的な考え方)として、委託する業務から保護決定に係る業務を除外しているのは、貴区が上記法令を認識していることの表れであると考えられる。

図2 中野区作成資料:事務分担の基本的な考え方


出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2020/4/1 Ver.2020-1)」 :3頁


 しかし、貴区が作成した資料によれば、「保護の決定」は「区」であるが、「保護の実施」は「事業者」になっており、この点において既に、「保護の決定又は実施に関わる業務」を民間事業者へ委託することを禁じた生活保護法第19条第4項に違反している
 また、貴区は、形式上、「保護の決定」に係る業務を「区」が行なっているとしているが、実際は以下に見るとおり、これらの業務も民間業者に委託している。
 すなわち、委託事業の専門員(委託先職員)の業務は家庭訪問のみならず、ケース記録作成や保護の変更に関する起案文書(保護決定調書等)の作成にまで及ぶ。

*本件事業の業務報告 によると、専門員は、平成31年度は1624世帯に2回以上の家庭訪問を実施(令和2年度は1621世帯に1回以上 の家庭訪問を実施)している。ただし、この訪問は実施要領に基づく計画に基づく訪問調査にはあたらない。また、端末による事務を各年度1万件以上処理している(詳細は下表)。



出所:各年度高齢者居宅介護支援事業業務報告


 上記資料に「一時扶助」、「収入認定」、「基準変更」と記載のあるとおり、これらの端末による事務処理業務は、明らかに保護の変更決定・実施に直結する業務であり、委託先職員がこれらの業務を行っていることは、生活保護法第19条第4項に違反する。
 
 ところで、この法令違反(保護の決定・実施に係る業務の委託)を糊塗するために貴区が編み出した手法が「起案の案」、「補助業務」である(次頁・図3 中野区方式)。

図3 中野区方式



 図3のとおり、貴区は、「保護の決定に係る業務」について、委託先職員が「案の作成」を行うが、「決定」する業務は区が担っているので、委託先職員は保護の決定業務は行っていないと主張している。具体的な業務のフロー図、分担表が図4である。

図4 中野区が業務手順書で定める「事務処理の原則・基本的考え方」



出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2020/4/1 Ver.2020-1)」:4,8頁


 このフロー図及び分担表から、委託業者の専門員は、保護の決定に必要な書類(収入申告書、資産申告書等)を徴収し、内容をケース記録に記載し、保護費を算定し、入力処理を行い、保護決定調書の作成を行っていることがわかる。
 これらの業務は、保護の決定を行うために不可欠な一連の作業であり、このままでは法令違反とみなされる。そこで、貴区は、「訪問面談内容の記録(ケース記録)作成は専門員が行っているが、これはケース記録ではなく『ケース記録案』(『起案の案』)である。その後ケースワーカーが確認して押印した際に『起案の案』が『起案』に変わる。」と主張する。そして、専門員が保護費の算定、データ入力処理、決定調書の作成を行なっているが、これは「補助作業」であるという。
 また、専門員による一連の作業を、最初にチェック(内容確認)する業務は、受託事業者の「主任」が行っており、これは本来は区職員の査察指導員の業務である(このことから貴区はケースワーク業務のみならず、査察指導業務も外部委託していると言える)。
 ケースワーカーの役割は「ケース記録内容、保護費算定内容確認、起案」とあるが、実態としては、書類に印鑑を押しているだけにすぎない。むしろ、ハンコを押しているだけの区職員ケースワーカーの「業務」は、「補助業務」であるとさえ言えない。
 以上のとおり、「起案の案」、「補助業務」という貴区の主張は、詭弁、ごまかしにすぎず、実態としては保護の決定・実施に係る業務を委託先の「専門員」が担っているのは明らかである。このような方便が罷り通れば、役所の業務は公権力の行使にあたる場合であろうと、最後に職員がハンコを押しさえすれば、すべて委託可能となってしまう。
 中野区方式は、貴区が関係法令を意識していたからこそ編み出した手法であり、法令違反のみならず、公権力の行使に当たる業務の外部委託を禁じた趣旨を意図的に潜脱していると考えざるをえない。

(3)社会福祉主事資格のない委託先職員(社会福祉法第15条6項及び第19条違反)
 社会福祉法(昭和26年法律第45号。以下、「社会福祉法」という。)第15条第1項は、福祉事務所には、「指導監督を行う所員」(=査察指導員、SV)と「現業を行う所員」(=ケースワーカー)を置かなければならないと規定し、同条第6項は、上記の「所員は、社会福祉主事でなければならない」と規定している。社会福祉主事の職務については、同法第18条第4項に「生活保護法(を含めた福祉六法)に関する事務を行うことを職務とする」との規定がある。これらの規定により、生活保護の事務を行う現業員(ケースワーカー)は、社会福祉主事の資格を保持していなければならない。
 社会福祉主事の資格については、同法第19条により「都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員として、年齢二十年以上の者であつて、人格が高潔で、思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号(省略)のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない」と規定されている。すなわち、社会福祉主事は「都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員」であることが前提の任用資格であり、必要な要件を満たす自治体職員を現業員などの職務に置くことではじめて「社会福祉主事」を名乗ることができる。
 この点、公開質問状(2021年4月2日付)において、本件事業に従事する委託先職員の資格要件及び各資格取得者の人数を尋ねたところ、貴区は、「社会福祉主事2名、社会福祉士4名、精神保健福祉士0名(数字は2020年度のもの)」と回答した(2021年4月28日付 3中健援第642号)。上記のとおり、福祉事務所の職員ではない委託先職員を社会福祉主事とすることはできないにもかかわらず、委託先職員を社会福祉主事として生活保護に関する事務を行わせているならば、社会福祉法第15条第6項及び第19条に違反している

(4)偽装請負の可能性(労働者派遣法違反)
 本件事業において疑われるのが、発注者(自治体職員)から委託先職員に直接の指揮命令が行われるいわゆる「偽装請負」である。偽装請負は、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律(昭和60年法律第88号。以下「労働者派遣法」という。)に抵触する違法行為であるが、偽装請負(違法な労働者派遣事業)に該当せず、適正な請負事業と判断されるためには、①当該労働者の作業の遂行について、当該事業主が直接指揮監督のすべてを行うこと、②当該事業を自己の業務として相手方から独立して処理することが必要とされている(労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準(昭和61年労働省告示第37号)」。
 生活保護ケースワーク業務の一部を委託する場合、委託先の職員に対して直接、福祉事務所が業務指示を行うことが不適切(偽装請負)であることは、国(厚生労働省保護課)も注意喚起しているところである 。
 したがって、本件事業においても、委託先職員の業務は貴区から独立して処理する必要があり、貴区の職員が委託先職員に直接の作業指示を行うことは禁じられている。
 しかしながら、本件事業に関して貴区(高齢者保護係長、ケースワーカー5名)と事業責任者及び主任が出席する「高齢者居宅介護支援運営会議」の議事録を確認したところ、以下のような記載が見受けられた。


出所:令和2年度 第1回高齢者居宅介護支援運営会議議事録
(令和2年5月26日実施)


 同運営会議は、2020年度第1回目の開催であり、議題1で「CWと専門員それぞれの役割について」が挙げられている。ここで、「CWの役割は、専門員への指示、援助、連携をとること」と確認され、高齢者保護係の職員(ケースワーカー)が専門員に対して直接の指揮命令を行うことが当然の前提とされている。この会議録が生活援護課の課長まで供覧決裁されていることからすれば(決裁日:2020年6月2日)、貴区は、区職員による受託事業者への直接の指揮命令を組織的に認識、認容していたといえる。
 前項において、本件事業が、保護の決定・実施に係る業務を委託業者に丸投げする点において生活保護法及び社会福祉法に違反することを指摘したが、それを回避するために、区職員が保護の決定・実施を主導的に行い、現場で区職員と委託先職員が連携しようとすれば、区職員から委託先の専門員に対して指揮命令が生じる偽装請負(労働者派遣法違反)とならざるをえないのである。
 生活保護ケースワークの外部委託については、厚生労働省も現在検討をしているが、令和3年3月31日に発出された通知(「保護の実施機関における業務負担軽減に向けた方策について」(令和3年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)2-(1)外部委託の考え方)において、「現行法において、保護の決定又は実施に関わる、いわゆる公権力の行使に当たる業務について、民間事業者への外部委託を行うことは認められない」と明記し、委託可能な業務、すなわち公権力の行使に当たらない業務として、生活保護法に明記された「被保護者就労支援事業」(生活保護法第55条の7)及び「被保護者健康管理支援事業」(生活保護法第55条の8)、また「通知書類等に係る封入緘や発送の事務」、「保護費の返還金等に係る収納事務」(いわゆるコンビニ収納)を示している。貴区の本件事業がいずれにも該当せず、上記の範囲を著しく逸脱した業務であることは明らかである。

4 本件事業の実際上の問題点
(1)受託事業者の専門員による違法対応・人権侵害
 本件事業における委託先職員(専門員)による違法対応、人権侵害事例も報告されている 。
 本件事業の対象者である70代男性Aさんは、月々の保護費から少しずつ貯金をしており、自費にて中野区内で転居を行った。転居先を家庭訪問した専門員から財産の状況について確認されたため、Aさんが申告したところ、専門員は、貴区が以前に支給したアパートの更新料について、「Aさんはお金があるようだから更新料は返還してください」と述べた。その後、Aさん宅には支給済みの更新料(約10万円)の金額がマイナスで計上され、「保護変更の理由」欄に「更新料の返還」と記載された「一時扶助決定通知書」が送付された。同通知書には、区職員の名前とともに専門員の名前も記載されていた。また、納付書とともに同封されていた、保護費の返還と納付期限までの支払いを求める送付状には専門員の名前だけが記載されていた。
 上記事案は、明らかに生活保護法第56条(不利益変更の禁止)に違反する対応である。そのため、貴区も、支給済みの住宅更新料の返還を求めた福祉事務所の事実把握に誤認があり誤って返還請求をしたとして、返還請求を取り消し、本人には担当課長から謝罪を行っている 。
 本件については、Aさん宅に訪問し、資産状況を確認し、更新料の返還を指示する行為をすべて委託先職員が行っており、これは明らかに保護の決定及び実施に係る業務である。委託仕様書では「保護費の返還・徴収に係る事務」は「区が実施する業務」としているが、実態が仕様書と乖離していることは明らかである。
 これらの一連の行為が、専門員の独断で行われたのであれば、保護の決定・実施に係る業務の委託を禁じた生活保護法第19条第4項違反であり、高齢者保護係の職員(ケースワーカーや査察指導員など)の指導のもとで委託先職員が実施したのであれば偽装請負(労働者法及び労働省告示第37号の違反)となる。いずれにせよ法令違反事例であり、本事例に限らずこのような専門員の指導行為や業務運用は常態化していることが強く疑われる。
 そのほかにも専門員がAさんに対し、「そんなにお金があるのだったら、特別定額給付金も要らないのでは?」と言い、Aさんは自分が給付金を受け取ってよいのか、悩んでしまったと報告されている。
 特別定額給付金は、周知のとおり、新型コロナウイルス感染症による緊急経済対策として、2020年に実施された日本政府による施策の一環であり、原則として住民基本台帳に記載されている給付対象者1人につき10万円が支給される給付金である。これは生活保護利用の有無に関係なく等しく全世帯に給付される制度であり、生活保護における収入として認定されないことも通知されている 。専門員の発言は、通知に違反する運用であるとともに、生活保護利用者を差別する発言であり、生活保護の業務に従事している者として明らかに不適切な人権侵害である。

*同年7月9日に実施した貴区との意見交換の場において、上記事案について、貴区は、「更新料の返還」の扱いについては事実に相違なく、ケースワーカーおよび査察指導員の判断ミスであったと説明した。ただし、「特別定額給付金」の事案については、委託先職員らに「このような説明をしたか?」と尋ねたが名乗り出た職員はいなかったことを根拠に事実を否定した。しかし、事実確認は当該発言をした専門員に対して直接行うべきであり、Aさんが殊更に作り話をする動機もない。

(2)委託先職員の「官製ワーキングプア」化と受託事業者の不適切な収益構造
 本件事業は、単年度約7500万円で委託発注している事業である。中野区「歳出予算明細書」によると、令和3年度の本件事業にかかる積算内訳は次のとおりである。

出所:中野区 歳出予算明細書(令和3年度当初一般会計)


 総予算(75,625,000円)のうち、①リーダー職員(6,200,000円)、②主任(4,700,000円)、③生活保護専門員(@4,300,000円×12人=51,600,000円)として人件費計62,500,000円が事業総額の83%を占め、残り1割が④諸経費(①~③×10%)、ほか1割が⑤消費税(①~④×10%)である。本件事業は、業務に必要な執務場所・物品等の大部分を区が提供しており 、人的労働力の提供という性質が非常に強い委託事業となっている。
 なお、本件事業の事業者選定(2017年度)にあたって、貴区が事業の予算取りの目的で「新宿ホームレス支援機構」に提出を求めた見積書(別添)についても、区の予算内訳と同内容となっている(次資料)。



*新宿ホームレス支援機構が作成した上記の「見積書」は、貴区の浦野区議が2020年秋に本件事業について生活保護課に尋ねたところ、同課の課長から提出されたものの提供を受けたもの。今回、当会議が情報公開請求を行なったところ、同文書については「不存在」との回答であった 。当時の生活保護課長に確認したところ、同文書は確かに浦野区議に提出を行なったものであるが、その後すぐに「破棄」したため、「不存在」と回答したとのことであった(2021年6月10日確認)。

 上記の委託事業費の予算内訳は、消費増税の影響などを除いて毎年同内容であり、今回確認した2017年度~2021年度の5年間の歳出予算書はすべて「①~③委託人件費」、「④諸経費(①~③×10%)」、「⑤消費税(①~④×8又は10%)」で構成されている(すなわち本件事業はほぼ事業従事者の人件費で構成されている)。
 一方で、本件事業の受託事業者である新宿ホームレス支援機構の事業報告書・決算報告書(平成29年度、31年度) を確認すると(「事業別損益の状況」)、本件事業の平成29年度の経常収益が事業収益74,250,000円であるのに対して、経常費用は人件費28,418,680円のみであり、経常増減額(=法人の利益)が45,831,320円となっている。平成31年度では経常収益が事業収益74,937,499円、経常費用は人件費28,431,855円のみであり、経常増減額が46,505,644円である。
 本件事業者の決算報告書のとおりであるならば、総事業費約7500万円のうち、人件費は実際には約2800万円しか支出されておらず、約4500万円が法人の純利益となっている。もしこれが実態であれば、委託事業に従事している専門員を年収200万円程度のワーキングプア状態にとどめることによって、受託事業者が多額の「中抜き」(搾取)を行っていることになるそして、それは、本来支出する必要のない多額の税金を受託事業者に支給していることをも意味する。

*NPO法人の会計ルールを示した『NPO法人会計基準ハンドブック』 によると、「事業別損益の状況」を作成するに際しては、「明らかに特定の事業に係るものは各事業に計上し、明らかに管理部門に係る費用として特定できるものは管理費として、管理部門に計上する。事業費と管理費 を容易には判断できない場合は、合理的な按分の方法により各事業及び管理部門に割り振る」とされている(同書:38)。
 本事業の場合、事業責任者である「①リーダー職員(6,200,000円)」あるいは「④諸経費(①~③×10%:6,250,000円)」は、管理費として管理部門に割り振って算入できる可能性はあるが、合計しても15,950,000円(消費税10%含む)である。残りの人件費(61,930,000円)は、委託先の執務場所(中野区生活援護課内)でフルタイムで事業に従事する「②主任(4,700,000円)」、「③生活保護専門員(@4,300,000円×12人=51,600,000円)」の見積分であり、これらの人件費は明らかに特定事業に係るものであるため、管理部門に算定することはできない(もし管理部門に計上していた場合、不適切な会計処理といえる)。

 なお、新宿ホームレス支援機構の決算報告書に記載された内容が、同団体が提出した「見積書」、区が積算した「歳出予算額」と大きく乖離している点については、貴区の浦野区議が2020年11月27日中野区議会本会議(第4回定例会)において質問しており、岩浅英樹健康福祉部長が以下のように答弁している(同議事録より)。

○健康福祉部長(岩浅英樹) 
法人の事業報告書につきましては、今後確認をしてまいりたいと考えております。


 その後、浦野区議が2021年3月1日予算特別委員会で確認状況を質問したところ、中村生活保護担当課長(当時)から以下のように答弁があった(同議事録より)。

○中村生活保護担当課長 専門員の処遇等につきまして、委託先、NPO法人に資料の提出を求めました。資料の提出はございましたが、不明な点がございましたので、理事長に説明を求めておりまして、現在日程調整中でございます。

 今回当会議が、議会答弁後の確認状況について尋ねたところ(2021年6月10日確認)、中村生活保護担当課長(当時)から「3月下旬にNPO法人から決算報告書の記載について説明を受けた。会計士の助言に従って支給実態とは異なる記載をしているようであったため、2021年度分からはしっかりわかるように記載するように助言しておいた」との回答があった。また、2020年度までの事業経費の支出状況の具体的な確認や資料の任意提出の実施については、「中野区は公契約条例などの法的根拠がないので、そこまですることができないと思った」との回答であった。
 この回答は、3月1日議会の答弁内容(NPO法人に資料の提出を求めた)とも食い違うが、そもそも区が委託している事業について「公契約条例がなければ、委託先に事業経費の状況を確認することができない」ということはありえない。
 実際、貴区が事業者と契約している事業委託契約書の「高齢者居宅介護支援業務委託仕様書」には、次の記載がある。


出所:高齢者居宅介護支援業務委託仕様書(令和2年度)

 上記のとおり、貴区は事業の受託者(=NPO)に対して、事務・会計監査を実施する権限を有している。
 そもそも、NPO法人の弁解どおり、見積書の内容に沿う人件費を支給しているのであれば、決算報告書上もそのとおりに計上すればよいのであって敢えて人件費を過少に計上するよう会計士が助言する理由が全く不明である。弁解自体が疑わしい以上、会計士からの聴取や人件費の支給状況に関する資料の提供を受けることで、上記弁解が真実であるのか確認するのが当然である。そして、確認の結果、上記弁解が虚偽であることが判明すれば、そのような業者に長年事業を委託してきたこと自体の正当性が厳しく顧みられるべきこととなる。
 前述した貴区の一連の対応は、区議会で指摘された事業の会計上の疑義について、みずから事実を明らかにしようという真摯な態度がまったく感じられない議会軽視の対応であるだけでなく、不透明な公金の支出について隠ぺいを図ろうとしていると受け取れられてもやむを得ない
 なお、2020年11月27日に区議会本会議で事業経費に係る疑義が寄せられたにもかかわらず、貴区は、2020年12月17日に区健康福祉部の部内履行評価委員会を開催し、2020年度上半期の履行状況が「良好である」との結論を得て、2021年度の事業継続を決めている。
 また、以下は参考であるが、新宿ホームレス支援機構は、厚労省からの受託事業(ホームレスの方の技能講習事業)において、委託費の不正(水増し請求)を指摘され、現在、国から多額の返還請求を受けている(東京新聞 2020年5月18日記事 )。
 以上から、貴区は委託先の同団体の決算報告書に記載された事業経費の疑義について、早急に事務・会計監査を実施し、事業における経費等の支出実態を明らかにすべきである。

5 法令違反の本件事業を生んだ貴区の行政体質
(1)職員削減ありきの政策
 本件事業実施にあたり貴区が作成した起案・決裁文書である「令和3年度高齢者居宅介護支援事業の実施について」には、次のような記載がある。

出所:「令和3年度高齢者居宅介護支援事業の実施について」
(02中健援第5797号)

 生活保護の現業員(ケースワーカー)は、社会福祉法第16条第2項によって生活保護世帯80世帯に1名を配置することとされており、また指導監督を行う所員(査察指導員)は通達 によって現業員7名につき1名を配置することとされている。これら現業員、査察指導員は社会福祉主事(区の職員)でなければならず、委託先職員に替えることはできない。
 しかしながら、貴区の事業実施に係る決裁文書の記載では、「区職員25名(査察4名ケースワーカー21名)の配置が必要なところ、事業実施によって、区職員の配置が6名(査察1名、ケースワーカー5名)で業務の実施が可能」と記載されており、これはなんら法的根拠のあるものではない。職員削減ありきで、生活保護高齢者世帯への生活保護業務を受託事業者に丸投げしようという貴区の本音が滲みでた表現であり、このような目的をもった事業を、国の補助金を用いて実施していることは甚だ不適切である。

(2)厳しい人員体制
 上記のような違法性の高い事業を現在に至るまで継続している背景には、貴区の特異な人員体制における事情があるものと推察される。
 2020年7月1日時点において、貴区の現業員配置数は、社会福祉法第16条第2項に定める標準数84名に対して、配置数73名と不足数は11名とされている。しかしながら、2017年7月1日時点における不足数は24名に及んでいたことに照らしても、この配置人員数は見かけ上のものであり、実態はより深刻である。
 すなわち、貴区は、2017年度に実施された厚生労働省監査において「生活保護制度の適正な運営のための基本的な事項に多くの問題が認められる」と指摘されたことを契機に、2018年11月からケースワーク業務の完全分業化体制を敷いている。
 いわゆる区内五つの地区を担当する「西部係・北部係・中部係・東部係・南部係」、施設保護世帯を担当する「施設保護係」、本件事業を管轄する「高齢者保護係」といった保護世帯を担当する係とはべつに、新たに移送費などの一時扶助のみを処理する「給付第一係」、収入申告の事務処理や債権管理の専任担当をする「給付第二係」、医療券の発出や重複受診の是正など医療・介護扶助に係る事務を担う「医療・介護係」、保護の新規申請世帯に対する開始時調査のみを行う「新規・調査係」を設けたのである。
 通常であれば「給付第一係」以下、担当世帯をもたない福祉事務所の職員は、社会福祉法第15条第1項第2号の定める「現業を行う所員」(ケースワーカー)ではなく、同条同項第3号の定める「事務を行う所員」(所の庶務をつかさどる)とみなされるが、貴区は、これらの職員をすべてケースワーカーや査察指導員として算定しているため、見かけ上の配置数が水増しされる。実際のところ、世帯・地区を担当して訪問面接や生活支援に取り組むケースワーカーは42名(2020年7月1日時点)しかおらず、その担当しているケースワーカーの1人当たりの担当世帯数は159.6世帯(平均)となっており、標準数の2倍である。分業化による事務軽減があったとしても、このような状況では十分なケースワークができるはずがない。このような手法は、他の福祉事務所では見られないものである。
 貴区においては、大規模な職員削減をはかるため、退職者不補充や委託化・民営化を推し進めてきた経緯がある。2001(平成13)年4月時点で3,073人いた職員は、2014(平成26)年度に2000人にまで削減されており、2020年4月時点でも2,084人である。本件事業が導入された2010(平成22)年は上記の行財政改革に基づく職員削減のただなかであり、そのような人員削減圧力のなかでの対応として本件事業が生み出されたことは想像にかたくない。
 しかしながら、だからといって違法・不適切な事業の継続が是認されるものでは当然ない。本件事業を廃止すれば、その7500万円の予算だけでも、相当数の正規職員を直接雇用することができる。今般、本件事業の問題点が明るみに出たことを契機として、職員削減政策そのものを根本的に見直し、早急に人員体制の整備を行うことが切に求められている。

6 本事業への現時点での貴区の対応
 2021年7月9日に、貴区と実施した意見交換の場において、各種法令違反の疑いが認められるとの当会議の指摘に対して、貴区は「法令違反は一切ない」との回答であった。しかしながら、これまでの指摘から、「偽装請負などの疑惑を抱かせる側面はあった」と述べ、2021年7月1日時点で、本件事業に関する要綱、手順書等を修正したとの回答があった。
 主な変更点は次の2点である。

(1)専門員の名称変更
 委託先職員の呼称を、「高齢者ケースワーク専門員」から「高齢者援護専門員」に修正している。

○変更前

出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2020/4/1 Ver.2020-1)」:15頁


○2021年7月1日付変更後

出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2021/7/1 Ver.2021-1)」:16頁


 上記のとおり、専門員の「呼び方」のみ変更したものの「業務内容」はまったく変わっていない。「ケースワークの外部委託」という批判を避けるために「ケースワーク」という箇所のみ削ったと推察されるが、小手先の対応であり、当会議が指摘した各種法令違反の根本的解決には全くなっていない。

(2)「ケース記録」を「記録」に名称変更
 本件事業においては、生活保護世帯への訪問や保護費の算定業務を専門員が実質的に担っており、その業務の一貫として「ケース記録」を専門員が直接記載していることはすでに述べた。保護費の算定、変更決定などの「保護の決定・実施に関する業務」についても、専門員が担っていたが、生活保護法違反との批判を避けるために、専門員は「ケース記録」の「起案の案」を作成していると貴区はこれまで主張していた。
 そして、貴区は、2021年7月1日付で「手順書等」の「ケース記録」の記載をすべて「記録」に変更修正している。

○変更前


出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2020/4/1 Ver.2020-1)」:7,8頁


○2021年7月1日付変更後


出所:「高齢者居宅介護支援事業手順書(2021/7/1 Ver.2021-1)」:8,9頁


上記のとおり、「ケース記録」からただの「記録」に「呼び方」のみ変更しているが、「業務内容」はまったく変わっていない。先と同様に小手先の対応に過ぎず、当会議が指摘した各種法令違反の根本的な解決には全くなっていない。

以上


○参考資料(一覧)【別添資料の該当箇所ページ番号】
1. 「令和3年度高齢者居宅介護支援事業の実施について」(02中健援第5797号)【1〜4頁】
2. 「高齢者居宅介護支援業務委託仕様書」(令和3年度)【5〜10頁】
3. 「高齢者居宅介護支援業務委託」契約の履行評価表(2020年12月17日実施)【11〜12頁】
4. 「令和3年度 中野区高齢者居宅介護支援事業 実施体制」【13頁】
5. 「中野区福祉事務所 月別訪問実績(高齢者保護係担当分)」【14頁】
6. 「平成29年度生活保護法施行事務監査の結果について」(平成30年2月21日社援発0221第3号厚生労働省社会・援護局長通知)【15〜17頁】
7. 「生活保護法施行事務に係る指導検査の結果について」(平成29年3月31日28福保生保第860号東京都福祉保健局長通知)【18〜19頁】
8. 「高齢者居宅介護支援事業手順書(2020/4/1 Ver.2020-1)」(一部抜粋)【20〜24頁】
9. 「平成31年度(令和元年度) 高齢者居宅介護支援事業業務報告」【25頁】
10. 「令和2年度 高齢者居宅介護支援事業業務報告」【26頁】
11. 「保護の実施機関における業務負担軽減に向けた方策について」(令和3年3月31日厚生労働省社会・援護局保護課事務連絡)(一部抜粋)【27〜29頁】
12. 「令和2年度 第1回高齢者居宅介護支援運営会議議事録」(令和2年5月26日実施)【31頁】
13. 「中野区 歳出予算明細書」(令和3年度当初一般会計)【32頁】
14. 「新宿ホームレス支援機構」に提出を求めた見積書【33頁】
15. 「区政情報一部公開決定通知書」(令和3年5月31日3中健援第1040号中野区長通知)【34頁】
16. 新宿ホームレス支援機構の事業報告書・決算報告書(平成29年度、31年度)(一部抜粋)【35〜40頁】

○公開質問状(2021年4月2日付、同年5月17日付)及び回答。
公開質問状(2021年4月2日付)
「東京都中野区ケースワーク業務に関する公開質問状について(回答)」(2021年4月28日付 3中健援第642号)
抗議兼再度の公開質問状(2021年5月17日付)





 中野区の生活保護行政の改善を求める要望書


 上記要望書【別添資料】1


 上記要望書【別添資料】2


 [厚生労働省] 東京都中野区の生活保護行政に関する特別監査等求める要望書


 [東京都] 東京都中野区の生活保護行政に関する特別監査等を求める要望書


【その他参考資料】
 令和元年の地方からの提案等に関する対応方針(令和元年12月23日閣議決定)


 保護の実施機関における業務負担軽減に向けた方策について(厚生労働省社会・援護局保護課・事務連絡令和 3年3月31日)


 中野区福祉事務所 月別訪問実績(高齢者保護係担当分)1


 中野区福祉事務所 月別訪問実績(高齢者保護係担当分)2


 中野区生活保護課高齢者保護係座席配置


 中野区A氏関係書類





2021年8月27日


生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化に
反対し、正規公務員ケースワーカーの増員と
専門性確保等を求める意見書


生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜


【目次】
第1 意見の趣旨
第2 意見の理由
1 はじめに
2 「地方公共団体等の意見」は根拠にならない
3 「福祉事務所の実施体制についての調査結果」も根拠にならない
4 外部委託化は生活保護法の基本原理(国家責任の原理)に反する
5 ケースワーク業務の外部委託化の可否と条件
(1) ケースワーク業務の外部委託化は必然的に「偽装請負」となる
(2) ケースワーク業務の外部委託が許され得る条件
6 ケースワーク業務の外部委託化は官製ワーキングプアの増産をもたらす
(1) はじめに
(2) 政策推進者の本音は福祉予算の削減
(3) 外部委託、非常勤化「先進都市」の実態
7 あるべき改革の方向性
(1) 正規公務員であるケースワーカーの増員と専門職採用の推進
(2) 調査事務、徴収事務の簡素化による事務負担の軽減


第1 意見の趣旨
1 「生活保護におけるケースワーク業務」の外部委託化は、生活保護法の基本原理である「国家責任」の原理に反し、必然的に偽装請負と官製ワーキングプアを生み出すものであるから、反対する。
2 ケースワーカーの業務過多と専門性欠如という問題への対応は、正規公務員ケースワーカーの増員と専門職採用等による専門性の確保、調査事務・徴収事務等の簡素化や効率的な生活保護システムの開発による負担軽減によって行うべきである。


第2 意見の理由
1 はじめに
 政府は、2019(令和元)年12月23日、閣議決定「令和元年の地方からの提案等に関する対応方針」において、「生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化」について、次のとおりの方針を示した。

・福祉事務所の実施体制に関する調査結果や地方公共団体等の意見を踏まえつつ、現行制度で外部委託が可能な業務の範囲について令和2年度中に整理した上で、必要な措置を講ずる。
・現行制度で外部委託が困難な業務については、地方公共団体等の意見を踏まえつつ、外部委託を可能とすることについて検討し、令和3年度中に結論を得る。その結果について必要な措置を講ずる。

 ここには、「現行制度で外部委託が可能な業務」については、「令和2年度中」に「必要な措置を講」じ、法改正を要する業務についても、外部委託を可能とする方向で検討し、「令和3年度中に結論を得る」という、外部委託に対して積極的な方針が示されている。
 しかしながら、上記閣議決定が根拠として挙げる「福祉事務所の実施体制に関する調査結果」や「地方公共団体等の意見」は、必ずしも外部委託化の推進を根拠づける内容ではない。そもそも、ケースワーク業務の外部委託化は、生活保護法の基本原理である「国家責任の原理」に反し、必然的に偽装請負を生み出す点において、法的に許され得るものではない。
もともと、行政の「民間委託」(外部委託)は、2000(平成12)年ごろから、行政のコスト削減とサービスの質向上を目指すという名目によって導入されるようになった。しかし、このような掛け声とは裏腹に、現実には、コストの削減が労働者の非正規化や低賃金化をもたらすとともに、専門性の欠如や職務権限を持たないことによる業務のたらいまわし、機械的処理などにより、むしろサービスの質の低下をもたらすとの指摘がなされて久しい。
 そして、コロナ禍の下、感染予防、医療・介護や雇用の保障、居住権保障、そして生活保護など、本来「公的責任」において保障すべき組織や機能が、「外部委託」・「民営化」・「統廃合」などによって、大きく後退しており、さまざまな形で機能不全を起こしていることが明らかになっている。
 今必要とされていることは、財政削減を目的とした「外部委託」や「非正規化」の推進でなく、「公的責任」の明確化・「専門性」の強化・「正規公務員」の増員であると言える。
以下、詳述する。

2 「地方公共団体等の意見」は根拠にならない
 厚生労働省は、令和元年度生活保護担当指導職員ブロック会議の事前アンケートにおいて、各自治体に対し、「ケースワーク業務の一部を外部委託することや、非常勤職員が行うことについてどのように考えますか?」を照会した。その結果は、「賛成」が55(44.0%)、「反対」が33(26.4%)、「その他」が37(29.6%)であり、これが「ケースワーク業務の外部委託化」について多くの自治体が賛成していることの根拠とされる可能性がある。
 しかし、上記の質問は、ケースワーク業務の一部を「外部委託すること」と「非常勤職員が行うこと」という全く異なる2つの事項を一つの質問で問うている。これは、アンケート調査で行ってはならない、典型的なダブルバーレル質問である。
 そこで、ブロック会議資料を、「外部委託すること」と「非常勤職員が行うこと」の各賛否に分けて、詳細に検討すると、後者(非常勤職員の活用)については、賛成28(22.4%)、反対29(23.2%)、その他68(54.4%)と賛否が拮抗しているが、前者(外部委託化)については、賛成9(7.2%)、反対56(44.8%)、その他60(48.0%)と反対が賛成の6倍以上に達している 。
 すなわち、その内容を詳細に検討すれば、多くの自治体が、「ケースワーク業務の外部委託化」に賛成していることの根拠にならないだけでなく、むしろ、反対していることを裏付ける内容となっているのである。厚生労働省の上記事前アンケートの取り方と発表の仕方は、「ケースワーク業務の外部委託化」という結論に誘導するため、恣意的になされていると言わざるを得ない。

3 「福祉事務所の実施体制についての調査結果」も根拠にならない
 日本ソーシャルワーク教育学校連名(ソ教連)は、厚生労働省の委託を受けて、「福祉事務所における生活保護業務の実施体制に関する調査研究事業」を実施し、2020年3月、その「実施報告書」を発表した。
 この調査は、①生活保護業務を14区分に分解し、さらにそれらを130区分に再分解して、現業員、事務職員(正規職)、嘱託職員(非正規職)等のうち誰がその業務を担っているのかについて、全国の福祉事務所(回収数858か所)にアンケート調査するとともに、②指定都市5か所、中核市3か所、一般市4か所にヒアリング調査をしたものである。
上記①の調査から分かるのは、ほとんどの業務を現業員(ケースワーカー)が担っていること、単純な事務作業に限って福祉事務所内部の事務職員や嘱託職員が担っている場合が少なくないことだけである。また、上記②の調査から分かるのは、現在外部委託されている事業のほとんどが、「そもそも現業員が担うことを想定していない業務(例えば学習支援事業、就労準備支援事業、就労訓練事業、求人開拓業務)」であることくらいである 。
 したがって、この調査をもって、家庭訪問、面接、生活指導等の現業(ケースワーク)事務の外部委託の必要性が根拠づけられているとは到底いえない。

4 外部委託化は生活保護法の基本原理(国家責任の原理)に反する
(1)国家責任の原理(生活保護法1条)
 生活保護法1条は、「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。」と規定する。
 その趣旨について、法案審議時の逐条説明は、「日本国憲法第二十五條に定められている国民の権利は、……国家権力の積極的な関與によって実現を保障されるべき権利」であり、「右の憲法の精神からして国民の最低限度の生活の保障は、当然に国の責務であり、そのための行政事務は国家事務でなければならない。」としている 。
 この「国家責任」の原理は、憲法25条から直接導かれる生活保護法の根本原理である。

(2)「国」から「実施機関」への権限の委任(生活保護法19条1項)
 生活保護法19条1項は、「都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長」を「保護の実施機関」と位置付けている。
 その趣旨について、同法制定時の厚生省保護課長小山進次郎は、「本法の保護は、法第1条に明瞭に規定する通り、国がその責任においてなすべきものではあるが、実際上において国が直接にその直轄の出先機関を設けて行うことは、……種々の不便、不合理があって容易になし得るものではな」いので、「保護の具体的な決定、実施の権限のすべてを都道府県知事、市長及び福祉事務所を管理する町村長をして、国の機関として委任しその事務を執行、処理させることとしたものである。」 と説明している。
 すなわち、まず、法19条1項は、国が都道府県知事等(保護の実施機関)に保護に関する事務を委任することを定めている。

(3)「実施機関」から「福祉事務所長」への権限の委任(生活保護法19条4項)
 次に、生活保護法19条4項は、「保護の実施機関」が、「保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。」と規定している。
 その趣旨について、小山は、「福祉事務所において行われるところの本法関係の現業業務と、保護の決定、実施の権限との行使とを有機的に一致させ、もつて本法の実施、運営の効率的能率化を期し、その円滑、適正を計るということ」と説明している 。小山は、別の個所でも、「(保護の実施機関が、)その職責である保護の決定、実施を能率的、効果的に行うためには、保護に関する現業事務を行う福祉事務所と一元的にすることが既に縷々述べて来た通り絶対的に必要」であり、「これが委任について特に第4項を設けて明確に規定されたのである。」と述べている。そして、法19条4項について、「本項は規定の形式が簡単であるに比して、その意義、効果は極めて大である。」 、「本法の保護の決定、実施についての実際的運営は、この法第19条第4項の委任の規定によってなされるものと云っても過言ではないのであって、本項は極めて重要な意義を有する」と、繰り返しその重要性を指摘している 。
 ここで重要なことは、「保護の決定及び実施」という保護事務の根幹部分と、「家庭訪問、指導指示、生活相談、各種調査」といった「現業業務」とを、表裏一体の不可分なもの(いわば「パッケージ」)として、一元的に福祉事務所に担わせることが「絶対的に必要」と、その重要性が強調されている点である。
 それは、「最低生活保障」と「自立助長」という法の目的を達成する、適正な保護の決定及び実施を行うためには、上記の日常的な現業業務を通じて被保護世帯の生活実態や生活上の需要(ニーズ)の変化を把握し、これを適時に「保護の決定及び実施」に反映させていくことが必要不可欠だからである。すなわち、全生活に関わる生活保護の8つの扶助を適正に実施し、障害者加算等の加算、冷暖房器具などの一時扶助、実施機関限りでできる50以上の特別基準を活用して、「必要即応の原則(生活保護法9条)」を具体化するためには、家庭訪問や面接によって被保護世帯の生活に直接触れ、これを迅速に保護の決定及び実施に結びつけることが必要なのである。

(4)実施機関が福祉事務所長に委任すべき事項と復委任の是非
 小山は、「福祉事務所長等に対する保護の決定、実施の権限の委任は、前述した通り福祉事務所の機能が真に発揮されることを目的としてなされるものであるから、その委任事項も福祉事務所等が事務の執行、現業の処理を通じて一貫して円滑になしうるようにその全部に及ぶべきであって、……都道府県知事又は市町村長は、管下全部の福祉事務所長等に対して、保護の決定、実施に関する事務の全部を、換言すれば、対象的にも又内容的にも一切の留保をせずに委任すべきである。……一定の事項に限ってその決定、実施の権限を留保するが如きは、何らの実益もなく、徒に事務手続を倍加し、行政系統をみだすばかりである。」と指摘し 、保護の実施機関は、一切の留保をつけずすべての保護に関する事務を丸ごと福祉事務所長に委任すべき旨強調している。
 また、小山は、次のとおり、福祉事務所長が委任された事務を第三者に復委任することは許されないことを明確に指摘している。
「委任は、本来職務権限を有する者が特に他の者にその権限を移転せしめる行為であるから、受任者は、自らその委任された事務を執行、処理すべき義務を負担するのであって、これを更に第三者に復委任することはできないというべきである。」 。
委任を受けた福祉事務所長等はその範囲の事務に関する限り、排他的、独占的にこれを処理する権限を有することとなり、内部におけると、外部に対するとを問わず自己の名と責任とにおいてこれを処理することができ、又処理すべき義務を負うこととなる。」 。
 ここでも、先に述べたとおり、円滑・適正な保護の実施のためには、保護の決定及び実施に関する事務と現業事務をパッケージとして一元的に福祉事務所長に担わせる必要がある、という考え方が貫かれているのである。

(5)誰が保護に関する事務を担うのか
 生活保護法21条は、「社会福祉法に定める社会福祉主事は、この法律の施行について、都道府県知事又は市町村長の事務の執行を補助するものとする。」と規定する。
 社会福祉法15条1項は、福祉事務所に「指導監督を行う所員」(いわゆる査察指導員(SV))と「現業を行う所員」(いわゆるケースワーカー)を置かなければならないとし、同条6項は、それらの所員は、「社会福祉主事でなければならない。」と規定している。そして、同条4項は、「現業を行う所員」が、家庭訪問、面接、資産、環境等の調査、保護その他の措置の必要の有無及び種類の判断、生活指導等の事務(いわゆるケースワーク)をつかさどる旨定めている。
 同法19条は、「社会福祉主事は、都道府県知事又は市町村長の補助機関である職員とし、年齢二十年以上の者であって、人格が高潔で思慮が円熟し、社会福祉の増進に熱意があり、かつ、次の各号のいずれかに該当するもののうちから任用しなければならない。」と規定し、生活保護の現業事務について、一定の質(専門性)を備えた地方公共団体の専任有給吏員に担わせることとしている。また、同法16条は、所員1人あたりの担当世帯数の「標準数」を都市部で80世帯、郡部で65世帯と定め、所員の量の確保も求めている 。
 その趣旨について、小山は、そもそも保護事務は、「その具体的処理を掌る補助職員の判断、認定、意見等に依拠することが極めて多く、その判断の如何は国民の生存権に直接影響することでもあるから、かかる生活保護の実務に当る補助職員は、これに相応しいところの一定水準以上の学識と経験を有する者でなければならないこととし、これらの者をして生活保護事務に専念、習熟させ」るものとしたこと 、「生活保護法の実施について有効、適正にしようとするならば、この専任の職員が質的に専門的な技術を持っている者であるべきなので、……これが一歩をすすめて、専門社会福祉事業職員設置という世界の趨勢に応ずる社会福祉主事の設置にまで発展してきた」ことを指摘している 。


(6)小括
 以上見てきたとおり、現行生活保護法は、保護に関する事務全体をパッケージとして福祉事務所長に委任し、その現場の最前線の現業については、十分な人員と専門性を備えた有給公務員である社会福祉主事に担わせることによって、国が市民の生存権を保障するという国家責任の原理を完遂しようとしている。その眼目は、保護の決定及び実施という保護事務の根幹部分と、家庭訪問、面接、調査、生活指導等の現業事務を、表裏一体の不可分なものとして、専門性のある有給公務員が一元的に担うことで、国家による生存権保障を実現しようとする点にある。
 先に述べたとおり、保護に関する事務の一部を都道府県知事等の保護の実施機関が留保することさえ許されないことからすれば、その事務の一部を民間団体や民間企業に外部委託することなど到底許されない。仮に、保護事務の外部委託を可能とする法改正が行われるとすれば、それは、現行生活保護法の根幹をなす「国家責任の原理」を掘り崩し、憲法25条の生存権保障を後退させるものとして、社会保障に関する権利の漸進的実現についての法的義務を定める国連社会権規約2条1項、9条等に違反し、違法であると解される。

5 ケースワーク業務の外部委託の可否と条件
(1)ケースワーク業務の外部委託は必然的に「偽装請負」となる
 いわゆる「偽装請負」(労働者派遣事業)に該当せず、適正な請負事業と判断されるためには、
① 当該労働者の労働力を当該事業主が自ら直接利用すること、すなわち、当該労働者の作業の遂行について、当該事業主が直接指揮監督のすべてを行うこと、
② 当該事業を自己の業務として相手方から独立して処理すること、すなわち、当該業務が当該事業主の業務として、その有する能力に基づき自己の責任の下に処理されること
が必要である(昭和61年労働省告示第37号) 。
 4で述べたところからすると、ケースワーク業務を外部委託するには、保護の決定及び実施に関する事務と現業事務をパッケージとして福祉事務所長に委任した趣旨を害さないことが大前提とされなければならない。
 そのためには、日常的に担当ケースワーカーと外部委託先が緊密に意思疎通することが必要不可欠であり、その過程で、ケースワーカーが委託先職員に対して指揮命令を行う場面が当然生じ得る。これでは上記①及び②の条件を満たさないこととなり、ケースワーク業務(特に、家庭訪問、面接、生活指導などの現業事務の根幹部分)の外部委託は必然的に「偽装請負」にならざるを得ない。
 この点からも、ケースワーク業務の外部委託は許されないこととなる。

(2)ケースワーク業務の外部委託が許され得る条件
 上述のとおり、保護に関する事務をパッケージとして福祉事務所長に委任した趣旨が害されないのであれば、ケースワーク業務の外部委託も許されることとなるが、その条件としては、かろうじて次のようなものが考えられる。
①適正な保護の決定及び実施は担保された上で、委託先において独立して実施できる上乗せのサービス
 現在も既に一部の自治体で行われている、子どもの学習支援、就労支援、社会保険労務士等に委託しての障害年金等の受給手続きなどは、これにあたり得る。
②裁量の余地のない純粋な事務作業
 例えば、戸籍等を取り寄せての扶養義務者調査、課税調査、扶養義務者や金融機関等に対する照会書面の発送作業などは、これにあたり得る。しかし、こうした高度にセンシティブなプライバシー情報を取り扱う作業について、福祉事務所内部において専任の嘱託職員を雇用するのではなく、わざわざ業者の選定や管理の負担が生じる外部の民間業者に委託することは個人情報保護の観点から問題がある 。
 したがって、保護のしおりやポスターの印刷などプライバシー侵害の余地のない事務作業以外は、外部委託を許すべきではない。

6 ケースワーク業務の外部委託化は官製ワーキングプアの増産をもたらす
(1)はじめに
 自治体アンケート等で外部委託化に賛成する理由としては、「ケースワーカーの業務負担を軽減し、質の高いケースワークに専念できる」というものが多い。一方、支援者や当事者の立場からは、「3科目主事」と揶揄され、福祉的専門性も熱意も持ち合わせず、単に高圧的な現在のケースワーカーよりは、民間の専門職にケースワークを任せた方が「今よりまし」ではないか、という声(「よりまし」論)も聞かれる。
 しかし、ケースワーク業務の外部委託化を推進しているのは、自民党と大阪府等の一部自治体であり、その「真の狙い」を見極めれば、上記のような考えは、「甘い」と言わざるを得ない。

(2)政策推進者の本音は福祉予算の削減
 まず、自民党は、2012年4月に発表した「『生活保護制度』見直しの具体策」において、「生活保護給付水準の10%引き下げ」、「医療扶助を大幅に抑制」、「現金給付から現物給付へ」といった提言とともに、「ケースワーカーを民間に委託し、ケースワーカーを稼働層支援に集中させること」を提言した。この政策に通底するのは徹底した「保護費削減策」である。
 また、2017年12月に開催された「生活保護制度に関する国と地方の協議」において、松井一郎大阪府知事は、上記の自民党提案を具体化し、常勤職員で換算していたケースワーカー標準数を非常勤や外部委託で代用可とするよう提案をした。その際の資料(8頁)では、高齢世帯への訪問回数を年2回から1回に減らすことで、現在36名のケースワーカーの平均担当世帯数を126世帯から156世帯に増やしても、なお7名が余分となるので、これを半分の給料で外部委託すれば14名の人員を稼働世帯層に集中投入できる、という門真市を例にあげたシミュレーションが示されている。
 このような外部委託化推進者の本音を見ると、外部委託化されてもケースワーカーの負担は何ら軽減されず、正規公務員の削減と引き換えに外部委託化による官製ワーキングプアが量産されることが必至である 。

(3)外部委託、非常勤化「先進都市」の実態
 既に外部委託化等が進んでいる以下の実例を見ると、上記のような懸念が決して杞憂ではないことが明らかである。
 ア 外部委託化の例(東京都中野区)
 東京都中野区では、「高齢者居宅介護支援事業」として、被保護高齢者世帯(約1600世帯)の訪問業務の一部をNPO法人に業務委託し、14名の委託職員が福祉事務所に配置されている(1職員当たり114世帯)。同事業の実施要綱によれば、委託事業の内容は、「居住の実態等の状況を把握するため訪問する」(家庭訪問)や「資産、収入状況、扶養義務者の調査」、「生活保護に係る事務処理の支援」とあるが、先にも述べたとおり、本来これらの事務は、福祉事務所長の指揮監督を受けて、現業員 (ケースワーカー)が執り行うものであり(社会福祉法15条4)、外部委託は法的にも認められていない。また、調査等業務において福祉事務所から委託職員に業務指示がある場合は、労働者派遣法に違反する「偽装請負」となる可能性が高い(実際の生活保護現場において、柔軟で機動的なケースワークや連携支援を福祉事務所の直接の業務指示なしに行うことは不可能に近い)。
 他方、中野区は東京23区でもっともケースワーカーの人員体制が悪い区であり、標準定数83人配置すべきところ、57人しか配置されていない(充足率67%、26人も不足。2018年4月時点)。外部委託は、ケースワーカーの人員不足解消の役には全く立っていない(詳細は、本日付「中野区の生活保護行政の改善を求める意見書」参照)。
イ 非常勤職員化の例(大阪市)
 大阪市では、2000年より高齢者世帯については、380世帯(現在は280世帯)に対してケースワーカーは1人の配置とし、訪問嘱託員2-3名が家庭訪問をする実施体制をとった。これにより、ケースワーカーは、本来1,482人配置すべきところ1,009人しか配置されず(充足率68%、423人も不足)、高齢者世帯以外の世帯も含めて、ケースワーカー1人当たりの担当世帯は、標準数80を大幅に上回る114世帯となっている(2018年)。
 高齢者世帯において、ケースワーカーが面接・訪問を行わないため、適切なアセスメントができず、必要な支援が実施できていない。訪問嘱託員が、訪問先で一時扶助などの相談を受けても、「私はケースワーカーではないので分からない」「ケースワーカーに伝えます」という対応になってしまっている。結局、利用者にとって、実質的にケースワーカー不在という状態となり、支援の後退が明らかである。
 現状は非常勤職員という形態であるため、雇用や職員配置の責任や市民とのトラブル等の場合に対応する責任は大阪市にある。しかし、非常勤職員が行っている家庭訪問などが外部委託化されれば、大阪市はその責任を直接問われなくなってしまう恐れがあり、ケースワークの形骸化は一層、進むと言わざるを得ない 。

7 あるべき改善の方向性
 現に生じているケースワーカーの人員と専門性の不足から来る業務過多や不適切なケースワークを解消するためには、業務の外部委託ではなく、以下の方策を講じるべきである。
(1)正規公務員であるケースワーカーの増員と専門職採用の推進
 ケースワーカーが業務過多となっているのは、社会福祉法が定める標準数(1人あたり都市部80世帯、郡部65世帯)を大幅に超える世帯数を担当していることに起因している。法制定時の理念どおり、有給公務員(正規職)のケースワーカーを当然の前提として、法的拘束力のない「標準数」を拘束力のある「法定数」に戻すとともに、担当世帯数の上限をまずは都市部60世帯、郡部40世帯程度に下げることが必要である。
 また、ケースワーカーの専門性が欠如している現状は、「専門社会福祉事業職員設置という世界の趨勢に応ずる社会福祉主事」という現行法制定時の法の理念が実現していないのであるから、社会福祉士等の資格保持者や福祉職経験者の専門職採用を進めるとともに、現職者に対しては研修を通じた資格取得の援助を行うことが必要である 。

(2)調査事務、徴収事務の簡素化による事務負担の軽減
 ケースワーカーの業務過多の原因は、広範で厳密に過ぎる調査事務、徴収事務にも起因しているので、効率的な業務のために簡素化が必要な事務を洗い出し、事務負担の軽減を図る必要がある。例えば、次のような対応が考えられる。
① 年1回の「資産申告書」の一律徴収(2015年度より実施)を見直し、金銭管理が困難な入院・入所者等に限定して実施する。
② 扶養照会は、生活保持義務関係にあっても「扶養の期待可能性のある扶養義務者」に限って行えばよいこととし、他の実施機関や市町村への間接照会についての規定は削除すること。
③ 福祉事務所の過誤払いや、休眠口座の預金など悪意でない少額の不申告資産・収入については徴収免除可能とする。
 また、全国の福祉事務所が使用している生活保護システムは、およそ30数年前から保護費の算定を主な目的として、各自治体が個別に開発したり、既成のソフトを使用したりしてきた。AIの活用が叫ばれる今日、多くの福祉事務所が使用する生活保護システムは陳腐化しており、非効率的である。ケースワーク業務を効率化するために国が責任をもって生活保護システムの改修に取り組むべきである。

以 上



 生活保護におけるケースワーク業務の外部委託化に反対し、
正規公務員ケースワーカーの増員と専門性確保等を求める意見書




「更なる生活扶助基準の引き下げをもたらす「級地」の見直しに反対する緊急声明」を発表しました。

【参考】

2021年6月25日第39回生活保護基準部会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19387.html

2021年6月25日第39回生活保護基準部会議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19662.html





2021年8月19日


更なる生活扶助基準の引き下げをもたらす
「級地」の見直しに反対する緊急声明


生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜


 2021年6月25日の第39回厚生労働省社会保障審議会生活保護基準部会(以下、「第39回基準部会」という。)において、厚生労働省から、生活扶助の級地について、現行6区分を3区分に見直す方向性が示された。しかし、委員から級地の見直しによる生活扶助基準の引下げを懸念する強い異論が出された結果、結論を見いだせずに部会は終了した。
 以下詳述するとおり、当会議は、厚生労働省主導の級地見直しの動きに対して、強く反対するとともに、生活保護基準部会において専門的で透明性のある検証を行うことを強く求めるものである。


第1 本緊急声明の趣旨
 当会議は、今回の級地の見直しが生活扶助基準の引下げに直結するおそれがあること、専門家らによる科学的検証を目的とする生活保護基準部会の形骸化を招くなどことから、次の理由により反対する。
 第1に、2013年(生活扶助)、2015年(住宅扶助)、2018年(生活扶助、母子加算等)と、生活保護基準が連続して引き下げられている下で、今回の級地の見直しは、都市部の生活保護世帯を中心に、更なる保護基準引き下げとなるおそれがある。
 第2に、本級地の見直しは、厚生労働省の強引なスケジュール設定のもと、生活保護基準部会での正規の議論を十分に深められずに進められている。また、前年度に同省が実施した非公開委託研究における誘導的な調査結果が検証のベースにあり、その上、委託研究でも検証していない「枝番の廃止」が同省による一方的な提案のもとで進められようとしている。
 第3に、上記のような厚生労働省の強引な見直しは、背景に自民党における圧力(提案)があると推察される。これらによる引き下げの影響は、要保護世帯のみならず、地方税の非課税限度額など低所得者施策全般に大きな影響を与える。


第2 級地の見直しに反対する理由
1 各地域における生活保護基準の更なる引き下げを引き起こす
 生活保護基準については、2013年(生活扶助、平均6.5%、最大10%引下げ)、2015年(住宅扶助、冬季加算の引下げ)、2018年(生活扶助、平均1.8%、最大5%引下げ)と、生活保護基準が連続して引き下げられている。この結果、生活扶助費だけでも、夫婦子2人世帯(40代夫婦、小、中各1人)で24,040円減額、母子世帯子2人世帯(40代母、小、中各1人)で20,130円減額、高齢単身世帯(75歳)で4,870円減額となっている。
 今回の級地の見直しは、各地域における実質的な生活保護基準をさらに引き下げる可能性のあるものであり、具体的には、次の(1)、(2)の方法が検討されている。

(1)級地区分の統合(枝番の廃止)による実質的引き下げ
 現行の級地区分は6区分制であり、1〜3級地にそれぞれ枝番号1と2を割り振ることで、生活保護基準が最も高い1級地1から最も低い3級地2まで設定している。
 厚生労働省は、第39回基準部会において、この枝番を廃止して、3区分制に統合することを提案している(下図)。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料1:21頁


 ここで懸念されるのが、枝番廃止(統合)による実質的引き下げである。基準が高い1級地1と基準が低い1級地2をくっつけることで、1級地1の基準を引き下げる。この形では基準が低い地域(枝番2の地域)は基準引き上げとなるが、現在、いずれの級地においても、人口・被保護世帯数ともに枝番1の地域が枝番2よりも圧倒的に大きい(下表)。

1級地11級地22級地12級地23級地13級地2
市町村数584912179557849
2015年人口3515万人1751万人2555万人724万人2854万人1310万人
2018年
被保護世帯数
65万世帯27万世帯32万世帯7万世帯21万世帯10万世帯
枝番統合による
引き上げ/
引き下げ
のおそれ
引き下げ引き上げ引き下げ引き上げ引き下げ引き上げ

出所:『生活保護基準における級地制度に係る調査研究等一式報告書』図表1(9頁)、第38回社会保障審議会生活保護基準部会参考資料より作成(元データは2015年国勢調査、2018年被保護者調査)


 1級地〜3級地までの枝番1の地域を総合すると2015年人口で8924万人(全人口の70%)、2018年被保護世帯数で117万世帯(全保護世帯の73%)、枝番2の地域は3785万人(全人口の30%)、44万世帯(全保護世帯の27%)と枝番1の地域の人口の4割程度にすぎない。枝番統合により保護基準が実質的に引き下げとなる被保護世帯が圧倒的多数(7割の世帯が引き下げの可能性)であることがわかる。
 この点については、基準部会委員である山田篤裕氏(慶應義塾大学経済学部教授)も第39回基準部会のなかで次のように指摘している。

■山田委員 基準が高いところと低いところの地域をくっつけたら、高いところのほうは引下げということに当然なるわけですね。Aが高くて、Bが低い。A、Bの平均を取りましょうといった場合に、高いAよりも低くなるというのは明らかなことであり、それが変わらないとか、そこら辺がよく分からなかった。

出所:第39回基準部会議事録より抜粋


(2)自治体の級地区分入れ替え(指定替え)による実質的引き下げ
 今回の級地見直しにおいて、各自治体の級地指定を入れ替える(指定替えする)ことによって、全体として引き下げとなるおそれがある。厚生労働省は、2020年度にみずほ情報総研株式会社に委託調査(生活保護基準における級地制度に係る調査研究等)を実施し、回帰分析・クラスター分析などの統計手法を用いて級地区分の理論値を検証している。
 このなかで3区分制を実施した際に、各級地区分における市町村数の理論値を導出しているが、この理論値は、枝番統合による市町村数と大きく異なる(下表)。

○ 枝番統合による現行級地の市町村・人口
>>>>
1級地2級地3級地
市町村数1072001418
2015年人口5266万人3279万人4165万人


○ 委託調査の理論値による3区分制による市町村・人口
>>>>
1級地(第1位階層)2級地(第2位階層)3級地(第3位階層)
市町村数793871246
2015年人口3671万人5192万人3847万人

出所:『生活保護基準における級地制度に係る調査研究等一式報告書』図表23(41頁)より作成


 たとえば、1級地では、現行級地(1級地1及び1級地2)の場合、107市町村(2015年人口5266万人)が対象であるが、これが理論値では79市町村(2015年人口3671万人)にまで減少する*。もっとも基準の高い1級地の対象地域を大幅に減らすことは、実質的な生活保護基準の引き下げにつながる。

* 調査報告書では、「現行級地が1級地の市町村のうち42市町村が第2位階層または第3位階層となり、2級地の市町村のうち69市町村が第3位階層となる。また、2級地の市町村のうち13市町村が第1位階層となり、 3級地の市町村のうち 229 市町村が第1位階層または第2位階層となる」とされている(調査報告書:41頁)。

 この枝番統合後の級地と理論値の級地が異なる市町村の見直しは、厚生労働省主導で自治体の意見を聴取しながら調整・実施するとしている。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料1:21頁


(3)まとめ
 以上からわかるとおり、今回の級地の見直しは、①枝番の廃止(統合)により、対象人口が多く、保護基準が高い枝番1の基準を相対的に押し下げ、②市町村の級地指定を大幅に入れ替え、特に保護基準が高い都市部の市町村数を大きく削減するものとなるおそれが極めて高い。都市部を中心に人口・被保護世帯数が多い地域の被保護世帯・要保護世帯・低所得世帯が更なる生活苦・困窮状態に至る可能性がある(参考として、引き下げとなるおそれの特に高い「1級地(1級地1・2)」の市町村を挙げる)。




2 本検証における手続き面の瑕疵(生活保護基準部会の形骸化)
 今回の生活保護基準部会は、2021年4月27日に初回開催され、1年半の議論を経て、2022年12月をめどに最終報告書が取りまとめられる予定である(6月25日は今期2回目の開催)。通常これまでの生活保護基準部会のスケジュールでは、専門家からなる検証・議論を行い、それらを最終報告書としてまとめ、その後に報告書をもとに厚生労働省内で検討するという形が一般的である。
 しかしながら、今回は、厚生労働省が提示したスケジュール(下図)のとおり、級地の検証をたった1回で終了させ、最終報告書を待たずに検討に入るとしている(下図のスケジュール(案)のとおり、最終報告書を待たずに「級地見直し」を外出しする形にしている)。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料3


 基準部会委員からも指摘があったとおり、生活保護基準部会は、前回の基準見直しの影響分析を通常先に行うものであるが(スケジュール案では2021年7〜9月に実施予定)、級地検証をわざわざ先(6月)に持ってきている。
 また、2022年度に生活扶助基準の検証を行うとしているが、本来「生活扶助基準の検証と級地(対象地域)は、一体であり、分けて論じることができない」(基準見直しの影響、消費実態の検証、生活扶助自体の検証のためにも級地(対象地域)は重要な要素)。この点は、基準部会委員山田篤裕氏(慶應義塾大学経済学部教授)も次のように指摘している。


■山田委員 基準を決めるためには級地を先に決定する必要があるという御説明だったのですけれども、基準を決めるのはかなり先なわけです。もう一度教えていただきたいのですが、なぜこの1回で。1年以上先に決めるにもかかわらず級地をセットしてしまうのか。そしてまた後の議論でこれも議論させていただきたいのですけれども、実は級地を決めるというのと基準を決めるというのは分かちがたい部分があるのです。これは後で御説明を差し上げますけれども。
 ですから、今、級地をかちっと決めてしまうと、また後のほうで出てきますが、級地の枝番を取るというようなことをすると、実は基準額のほうの議論が縛られるというのがありまして。

出所:第39回基準部会議事録より抜粋


 このように強引なスケジュールについて、厚生労働省は「自治体との調整等に時間を要する」(森口社会・援護局保護課長補佐)と主張しているが、これは厚生労働省側の思惑なだけであって、基準部会で検証と議論が尽くされ、最終報告書として提出されたのちに自治体等との調整を行えばよいだけの話である。
 また、「1」で述べた通り、今回の級地検証は、昨年度に厚生労働省が委託した「生活保護基準における級地制度に係る調査研究報告」(みずほ総研)を元にしている。この委託調査には、基準部会委員8名中、部会長を含む5名が有識者として参加しているが、外部委託調査であるという性質上、議論の経過などは完全に非公開となっている。これまでの生活保護基準部会では、部会の下に専門家チームなどを作って検証していたが、外部委託化することによって国民の目が届かないところで厚生労働省の意向に従った調査が密室で進行することなる。実際は、厚生労働省による「委託」調査であり、検証内容などに誘導的な調査結果入る可能性は否めない(しかも、今回の「枝番の廃止」は、委託研究でも検証されていない内容である)。
 このような調査研究は、本来、基準部会から調査研究のテーマ、調査範囲等を委嘱の上、適宜基準部会へも報告の上で実施されるべきである。また、その場合も、検証内容についてはあらためて基準部会のなかで十分な議論が尽くされるものである。
 厚生労働省による、基準部会の役割を軽視したスケジュール、外部委託調査による国民の目が届かないところでの誘導的施策形成など、本検証には問題が多く見られ、専門家らによる科学的検証と議論を行う専門部会の役割を軽視し、形骸化させる。

3 厚生労働省の強引な見直しは、背景に自民党における圧力(提案)が推察される
 このように厚生労働省が、生活保護基準部会を軽視して、強引なスケジュールで級地の見直しを進めようとする背景として、政権与党である自民党の圧力が推察される。
 自民党・行政改革推進本部は、2019年12月12日に「生活保護基準の級地が、大都市に有利になっているとして、各自治体の基準の在り方を速やかに検討するべき」*という内容の提言を、当時の菅官房長官に提出している。

* 出所:「自民・行政改革推進本部 生活保護の基準見直し提言」(テレ朝news:2019年12月13日 06:17)。URLは下記。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/amp/000171541.html?__twitter_impression=true
提言は、自民党行政改革推進本部『行政事業レビューチーム提言』(2019年12月12日)

 この提言の半年後には、厚生労働省の調査研究事業がみずほ総研に委託され、今回の検証に繋がっている。上記の引用箇所からわかるとおり、これまで一連の生活保護基準引き下げを主導してきた自民党による大都市地域をターゲットとした新たな生活保護基準の引き下げが念頭にあるのではないかと疑わざるをえない。
 現在、長引くコロナ禍の下で、格差と貧困は拡大している。生活保護申請数は、2020年9月から2021年3月まで連続7カ月増加し、2020年度の保護申請数は、リーマン時の2009年から11年ぶりに増加しており、生活保護の必要度は高まっている。しかし、級地の変更によって保護基準を引き下げれば、生活保護を利用しにくくなるおそれがある。
 当然、生活保護における級地区分の見直しは、当該市町村における住民税の非課税限度額にも影響を及ぼすこととなるため、生活保護を利用していない市民生活にも影響する(地方税法施行令第47条の 3 第 1 項、地方税法施行規則第 9 条の 3 第 2 項)。このように多くの人びとの生活に係る重要な決定を、1、2回のみの形だけの議論で行ってよいはずがない。

4 最後に
 生活保護における級地区分自体は、1987年から30年以上抜本的な見直しがなされておらず、級地区分・地域の級地指定について、地域の実情や消費実態等を勘案しながら適宜見直すこと自体は必要なことである。
 しかしながら、今回の見直しは、以上に述べたとおり、専門家らの専門部会による審議・検証がなされないまま、閉鎖的で誘導的な恐れのある委託調査をベースに組み立てられた施策が、厚生労働省主導の強引なスケジュールのもとに強行されようとしている。これらの背景に推察される自民党の意向に照らしても、生活保護基準の引き下げありきの「見直し」となるおそれが極めて高く、到底容認できない。
 2013年からの史上最大の生活扶助基準引き下げにおいて、生活保護基準部会の検証を経ずに厚生労働省の独断で実行された「デフレ調整」については、「専門的知見との整合性」を欠き違法であるとの司法判断もなされたところであるが(2021年2月22日大阪地方裁判所判決)、同様の事態とならないよう、級地のあり方についても、生活保護基準そのものと直結するものである以上、生活保護基準部会において、透明性のある専門的な検証がなされることが強く求められている。

以 上



資 料
【第39回基準部会 議事録(抄)】(下線、引用者)
1 スケジュールについて(なぜ、級地の検討を急ぐのか)
○山田 ・基準についての報告書は2020年暮れとなっている。なぜ級地だけ先行して急ぐのか?(厚労省のスケジュール表では、級地区分の検証は、2021年6月となっている)    

○保護課 ・来年の12月を待たずに、級地の見直し、今後の級地区分がどうあるかとい
うことを厚生労働省のほうで検討
していく。級地に関する議論がずっと来
年の暮れまで続いていくかというと、そういうことは想定していない。

○山田 ・私、基準部会に10年間参加させていただいて、これは委託事業だと思うのですが、その結果を部会資料として踏まえて、そして報告書が出る前に何か、要するに、来年12月を待たずに級地の在り方について厚生労働省で検討ということだったのですけれども、そのような順番で検討するというのは初めてだと思うのです。
・例えば基準部会の下に専門チームを設けて、何度も親部会であるこの基準部会で議論し、そして報告書を取りまとめ、その後に具体的に厚生労働省内で検討するということが一般的だったと思うのですが、今回、来年の12月の報告書を待たずに、これを踏まえて検討を始めると。異なる決め方、もしくは非常に急いでいるように見えますが、その理由を事務局から御説明いただければと思います。

○保護課 ・今日の基準部会で統計的な検討をしていただいて、それを踏まえて厚生労働省で個別に自治体の状況を聞かせていただくのにかなり時間を要すると考えておりまして、そのスケジュールも踏まえて今回統計的な検証についてはお諮りさせていただいている。

○山田 ・40年近くぶりに級地見直しをされるということにもかかわらず、1回ほどしか議論しないということになるかと思うのですけれども、そこまで急ぐ理由というのがまだ分かりかねております。

○保護課 ・今回級地については長年の課題だというのはあるのですけれども、調査研究を何回かさせていただいていて、前年度もさせていただいた。(p8)

○山田 ・なぜこの1回で。1年以上先に決めるにもかかわらず級地をセットしてしまうのか。実は級地を決めるというのと基準を決めるというのは分かちがたい部分がある。級地の枝番を取るというようなことをすると、実は基準額のほうの議論が縛られる。

○渡辺 ・級地に関する議論が1回の部会だけでは不十分ということになれば、スケジュールの変更はあり得べしと理解しておりますし、客観的な検証を担保できる回数で級地の見直しの議論をしていくのだと理解している。

2 3区分化について
○保護課 ・仮に3区分という結論を取った場合に、現実的に制度的に実際にそこに生活する人たちに最も影響が少ないような方法で統合する場合には、これが現実的ですということで、我々どものほうで考えて、ここで検証の前提として挙げさせていただいている。

○山田 ・枝番をなくして3区分というのは厚生労働省の考え方で、委託事業の考え方ではないということを明確にさせていただいた上で、前提としては3程度ということで、必ず3つにしなくてはいけないと委託事業では述べられているわけではない
・13ページの人口重みづけのあるクラスタリング分析では、現行の1級地1のうち、市町村数で見て、58市町村あるのですけれども、たった7市町村しか第1位階層、新1級地1に分類されない(p11。ppt資料⑦)。
・人口比で見ても第1位階層に分類される1級地1、現在の1級地1の人口は約8割以上です。つまり、現在の1級地1のほとんどが第1位階層に重なることになります。
・実際のデータ分析からは、1級地1と1級地2は異なるということは言えそうだと解釈されますが、そうすると、枝番で1級地1と1級地2を統合するというのは、必ずしもミシン目の入れ方として正しいのか。これは慎重に考えたほうがいい。
・ここははっきり委託事業で分かったことと、厚生労働省が枝番をまとめたいということについては、データではそれは示せていないということを強調したい。

○保護課 ・直接的に枝番を取ることが妥当であるかということを検証しているというものではないという点が一つあると思います。検証結果を受けたときに、実際制度に現実的に反映させていくかという観点で申し上げると、先ほども御説明申し上げましたように、枝番を取るという方法は一つあり得ると考えている。

○阿部 ・グルーピングというのはあくまでも理論値で、しかも今のグルーピングとは違うグルーピングを使っているわけですから、そこでの結果というのが今の6区分の例えば1級地1と1級地2を合体するべきだというところにはつながらないのではないかなと感じております。

○山田 ・実際には市町村別の物価指数というのは存在していないわけです。ですから、ここで何を入れているのかというと、県庁所在地と政令市については物価指数がありますが、県庁所在地と政令市以外については、都道府県で同じ値を入れているわけです。つまり、本当に市町村ごとの物価をきちっと測って、それで推計しているわけではない。都道府県単位で丸め込まれている部分がある。

○小塩 ・おおむね3区分にまとめるという方向はいかがですか。それも駄目でしょうか。

○山田 ・4区分。

○山田 ・枝番をまとめるという厚生労働省のご提案で、我々のこの基準部会としてこれに賛成するとか賛成しないというのでなくて、少なくともこれまで見てきたデータに関しては1級地1と1級地2を分けよということなので、ここの部分を議論するということは、枝番をまとめるということを我々が認めるということなので、そこの議論の切り分けをどうするのかというのでちょっと難しい。
・枝番をまとめるという事務局提案だと何が起こるか。これは後の基準に影響すると冒頭で申し上げたのですけれども、要するに、地域的なメッシュを粗くせよというのが事務局のご提案なわけですね。単純におのおのの地域の平均値を取るのであれば、例えば人口規模の大きい、日本人口の4分の1を占める1級地1を1級地2と統合すべきでは「ない」というのが実証分析の結果だと思いますが、枝番をまとめると実は1級地1の基準額を引き下げることになる。2級地1と2を統合せよということになれば、2級地1の基準を引き下げることになる。3級地1と2も同様です。
 しかも、枝番の1と2と言った場合に、どの級地でも枝番の1のほうが圧倒的に人口規模が大きいわけです。多いわけです。ですから、もし単純に平均すると、これはものすごい大きい影響が出るということなので、今後の基準の話と、ここで我々が何か決めてしまうということ、我々が賛成したということであれば、その基準の話を縛ってしまうということに注意する必要があるということではないか。基準の話と切り分けが非常に難しいと申し上げたのはその点であります。

○保護課 ・議論していただきたいのは、枝番を取ることが統計的に合理的な方法ですということを裏づけていただきたいのではなくて基本的に現実可能な範囲でやろうとすると、我々からはこういう案が出ますと、そうしたときに、一方で、今回委託研究の中で出していただいた分析の結果がありますと、これと照らして、明らかにそれでも変えた方がいいというところは、示唆していただきたい。

○渡辺 ・枝番を取るかどうかについてここで検定していないと思うのです。つまりこの検定結果から、3級地にするという結論は導けない。現行の級地区分の指定を変えるかどうかという話とは別ではないか。

以上







コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る Q&A

2021年8月18日版

    
いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会


【参考になるまとめサイト等】

※1 内閣官房「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける国民の皆様へ」(全体像が一覧しやすい)

https://corona.go.jp/action/pdf/minasamahe.pdf


※2 厚生労働省パンフ「生活を支えるための支援のご案内」(R3.8.18更新)

https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000622924.pdf


※3 経済産業省パンフ「新型コロナウイルス感染症で影響を受ける事業者の皆様へ」(R3.7.29更新)

https://www.meti.go.jp/covid-19/pdf/pamphlet.pdf


※4 困窮者支援情報共有サイト ~みんなつながるネットワーク~(厚労省通知をまとめたもの)

https://minna-tunagaru.jp/mhlw/covid19/


※5 厚生労働省「社会福祉・雇用・労働に関する一覧(新型コロナウイルス感染症)」(同上)

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000121431_00110.html


※6 大阪弁護士会「新型コロナウイルス特設サイト」

http://www.osakaben.or.jp/corona/infomation.php



【「死にたい」「気持ちがふさぎ込む」という方々の相談先】
①いのちSOS(特定非営利活動法人 自殺対策支援センターライフリンク)
0120-061-338  おもい ささえる(フリーダイヤル・無料)
実施日時:毎日12時から22時

②よりそいホットライン(一般社団法人 社会的包摂サポートセンター)
0120-279-338 つなぐ ささえる(フリーダイヤル・無料)
岩手県・宮城県・福島県から 0120-279-226 つなぐ つつむ(フリーダイヤル・無料)
実施日時:24時間対応



Ⅰ 生活保護編
Q1 収入が減り、生活がままならなくなりました。現金の支給をしてもらえる制度はあるでしょうか。

Q2 生活保護はどんな場合に利用できますか?

Q3 福祉事務所で保護を断られたらあきらめるしかありませんか?

Q4 申請はどこにするのですか?

Q5 外国籍でも生活保護を利用することはできますか?

Q6 ホームレス状態でも生活保護は利用できますか?

Q7 役所で、「住む所がない人は施設に入ることになっている」と言われたのですが?

Q8 一時的に親戚・知人宅に居候しているのですが、私だけが生活保護を利用できますか?

Q9 申請して生活保護が開始されるまでどれ位かかりますか? 少しでも早くしてもらいたいのですが。

Q10 現金を持っていると生活保護は利用できないのですか?

Q11 給料や年金などの収入があると生活保護は利用できませんか?

Q12 生命保険は解約しなくてはいけないのですか?

Q13 学資保険を続けることはできますか?

Q14 家賃が高いと生活保護は利用できないのですか?

Q15 持ち家があるのですが生活保護は利用できますか?

Q16 住宅ローンが残っていても大丈夫ですか?

Q17 借金がありますが生活保護は利用できますか?

Q18 失業や自宅待機による減収で生活保護を利用する場合、自動車は処分しなければなりませんか?

Q19 Q18以外に自動車の保有が認められる場合がありますか?バイクの保有はどうですか?

Q20 65歳未満の若い人は生活保護は利用できないのですか?

Q21 自営業をしていますが、廃業せずに生活保護を利用できますか?

Q22 親族に連絡すると言われましたが、どういうことですか?

Q23 「扶養照会」を避けて、元夫や親族に居場所を知られない方法はありますか?

Q24 生活保護利用世帯が、特別定額給付金(住民基本台帳に記録されている者全員に10万円を給付)や子育て給付金(児童手当受給世帯の児童1人あたり1万円を給付)を受給した場合、収入認定された保護費を減らされてしまいますか? 令和3年4月以降に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)についてはどうですか? その他、各自治体が独自に実施する給付金はどうですか?

Q25 生活保護利用世帯の子どもが通学する学校で、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン教育が始まりました。これに対応する費用を保護費から支給してもらえますか?

Q26 緊急事態宣言が解除されましたが、緊急事態宣言期間中の生活保護に関する取扱いは変わりますか?

Ⅰ´ 求職者支援制度
(求職者支援制度)

Q1 給付金を受給しながら職業訓練を受けられる制度があると聞きましたが、どんな制度でしょうか?

Q2 新型コロナウイルスの影響を受けてシフトが減少した方や、休業を余儀なくされている方などが、在職中に給付金を受給しながら訓練を受講しやすくするための特例措置が設けられたと聞きましたが、どのような措置ですか?

Q3 職業訓練受講給付金と住居確保給付金の併給は認められますか?


Ⅱ 貸付編
(緊急小口資金)

Q1 収入が減り、光熱費の支払いもままなりません。緊急・一時的にお金を貸してもらう制度はないでしょうか?

(総合支援資金)
Q2 新型コロナウイルスの影響で失業し、当面の生活費の目途がありません。しばらくの間、一定の生活費を貸してもらう制度はありませんか?

(緊急小口資金と総合支援資金の併用)
Q3 緊急小口資金と総合支援資金(合わせて「特例貸付」)の両方を利用することはできますか?

(特例貸付の受付期間等)
Q4 特例貸付はいつまで受け付けてもらえますか? 貸付が終わった後はどうすればいいですか?

(償還免除)
Q5償還免除の対象となっている「償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯」とは、どのように判断されますか。


Ⅲ 住宅維持・借金整理編
(住居確保給付金:支給要件)

Q1 失業して家賃が支払えなくなりました。家賃を補助してくれる制度はありますか?

(住居確保給付金:外国人・自営業者)
Q2 外国人、フリーランス・自営業者も支給対象となりますか。

(住居確保給付金:学生)
Q3 大学生等は支給対象にならないのですか。

(住居確保給付金:支給額の改善)
Q4 最近、支給額を増額する方向での運用改善が行われたと聞きましたが、どのような改善ですか。

(家賃の滞納と立退き)
Q5 家賃を2ヵ月分滞納したら、家賃保証会社の社員から月末までに退去するとの書面にサインするよう強く求められました。私が悪いので応じなければならないでしょうか?

(住宅ローン等の滞納)
Q6 収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなってきました。銀行は返済猶予や条件変更に応じてくれるでしょうか?

(コロナ版ローン減免制度の概要)
Q7 新たなローン減免制度が始まったと聞きましたが、どのような制度ですか?

Q8 コロナ版ローン減免制度はどうすれば利用できますか?また、詳しいことはどこに聞けばいいですか?


Ⅳ 税金・公共料金滞納編
Q1 上下水道、電気、ガス、電話の料金や公営住宅の家賃の支払いができません。待ってもらえるでしょうか?

Q2 国民健康保険料(税)が払えません。減免してもらえますか?あるいは、既に支払った保険料(税)を返してもらえないですか?

Q3 確定申告の期限に間に合いません。

Q4 確定申告をしたものの、新型コロナウィルスの消毒で在庫商品が使えなくなり、所得税や消費税を納められません。

Q5 前問で、財産に相当な損失との回答ですが、「相当」というのはどの程度ですか。

Q6 Q4の納税の猶予については、財産に相当な損失があった場合に適用されるとのことですが、売上や給料が減ったような経済的損失が生じた場合には適用されないのですか。

Q7 Q4やQ6の納税の猶予のやり方がわかりません。

Q8 新型コロナウィルスの影響で売上や所得が下がり、納税ができません。

Q9 以前、納税の猶予や換価の猶予を申請したときは担保が必要と言われましたが、新型コロナウィルスが原因でも、担保は必要なのでしょうか。

Q10 影響を受け始めて間がないので、十分な資料が揃いませんが、猶予を受けられるでしょうか。

Q11 納税の猶予(徴収猶予)、換価の猶予の手続がわかりません。

Q12 解雇(雇止め)で失業したのですが、前年所得を前提とする国民健康保険料が高くて払えません。

Q13 滞納している税金について相談をしたいのですが。

Q14 制度の区別や適用要件など、あまりよくわからないので教えてほしい。

Q15 引用された通知などに従った処理がなされていない場合はどうすればよいですか。

Ⅴ 労働編
※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」(Ver2)
※Ⅴ-2 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」
※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(使用者の方向け)」

(休業手当)
Q1 職場からコロナウイルスを理由に「当面店舗を閉めるから自宅待機するように。給料は支払えない」と言われました。

(雇用調整助成金)
Q2 使用者に雇用調整助成金を受けるように言っても、うちは対象にならないとあきらめているようです。

Q3 自己都合によって退職しました。失業給付を受けるのに3カ月待たないといけないと聞きましたが、仕方ないのでしょうか?




Ⅰ 生活保護編

※本編の各QAの根拠となる通達・判例等の詳細については、「必携 法律家・支援者のための生活保護活用マニュアル 2019年度版」(生活保護問題対策全国会議編)の各Qの末尾に【活用マニュアルQ●】とある箇所をご参照ください。



Q1 収入が減り、生活がままならなくなりました。現金の支給をしてもらえる制度はあるでしょうか。
 生活保護が利用できないか検討しましょう。
生活保護は、生活費・住宅費・教育費・医療費等をパッケージで給付してもらえる制度で、給料や年金などの収入があっても(Q11)、持ち家があっても(Q15・16)、車があっても(Q18)、利用できる可能性があります。

※Ⅰ-1 日弁連パンフ「『実は少ししんどい』あなたへ あなたも使える生活保護」
https://www.nichibenren.or.jp/library/ja/publication/booklet/data/seikatsuhogo_qa_pam_150109.pdf


 国も、今回の事態に対応して自治体に以下の通知を出し、「適切な保護の実施」や「速やかな保護決定」等を指示しています。

※Ⅰ-2 令和2年3月10日付事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等に関連した生活保護業務及び生活困窮者自立支援制度における留意点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000608930.pdf


 さらに国は、緊急事態宣言の発令を受け、申請意思がある者に対しては「生活保護の要否判定に直接必要な情報のみ聴取」し、他の情報は「後日電話等により聴取する等、面接時間が長時間にならないよう工夫されたい」とするなど、柔軟な対応で早期に保護開始するよう通知しています。(Q18、19、20も参照)

※Ⅰ-3 令和2年4月7日付事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000619973.pdf


生活保護の利用条件を満たさない場合には、貸付編(Ⅱ)、住宅維持編(Ⅲ)などを見て別の制度の活用をご検討ください。



Q2 生活保護はどんな場合に利用できますか?【活用マニュアルQ1】
 国が定めている「最低生活費(生活保護基準)」以下の収入しかなく、手持金や貯金などもわずかになり、生活に困窮している状況であれば誰でも生活保護制度を利用できます。
最低生活費は、地域や年齢で細かく決められています。神戸公務員ボランティアのHPで生活保護費の自動計算ソフト(エクセルファイル)がダウンロードできるので、ご自分の家庭の最低生活費を計算してみてください。

http://kobekoubora.life.coocan.jp/saiteiseikatuhikeisan.html




Q3 福祉事務所で保護を断られたらあきらめるしかありませんか?【活用マニュアルQ3】
不当に追い返されている可能性もあるので、必ずしも、あきらめる必要はありません。申請権があるので、申請書を出してもらい、「申請」しましょう。あるいは、各地の相談窓口に相談をして助言を受けたり(相談料は無料です)、窓口に同行してもらいましょう。

ホームレスである(Q6)、生命保険の解約返戻金がある(Q12)、家賃が高い(Q14)、持ち家がある(Q15・16)、 借金がある(Q17)、車がある(Q 18)などの理由で 、窓口での申請を受け付けてもらえなかった場合には、あきらめず、下記の各地の相談窓口に相談をしてください。弁護士等が、無料で、あなたの事情を聴き取り、意見書を作成し、窓口に同行して、「申請」手続きを支援してもらえる場合があります。

【各地の相談窓口】
 東北 東北生活保護利用支援ネットワーク

Tel. 022-721-7011 (月・水・金 13時〜16時、祝日休業)


 関東(東京含む)・甲信越・北海道

首都圏生活保護支援法律家ネットワーク
http://seiho-lawyer.net/
Tel. 048-866-5040 (月〜金10時〜17時、祝日休業)


 東京 認定NPO法人 自立生活サポートセンター・もやい

http://www.npomoyai.or.jp/
Tel. 03-6265-0137 (火 12時〜18時、金11時〜17時のみ)
面談相談:毎週火 11時~18時 もやい事務所にて


ホームレス総合相談ネットワーク
http://lluvia.tea-nifty.com/
フリーダイヤル0120-843-530
(電話でのお問い合わせは、月水金午前11時〜午後5時にお願いします)


 北陸 北陸生活保護支援ネットワーク福井(福井・富山) 

Tel. 0776-25-5339 (火 18時〜20時、年末年始、祝日休業)


北陸生活保護支援ネットワーク石川

Tel. 076-204-9366(火 13時~15時・18時~20時、年末年始、祝日休業)


 静岡 生活保護支援ネットワーク静岡

Tel. 054-636-8611(平日 9時~17時)


 東海 東海生活保護利用支援ネットワーク (愛知、岐阜、三重)

Tel. 052-911-9290 (火・木 13時〜16時、祝日休業)


 近畿 近畿生活保護支援法律家ネットワーク 

Tel. 078-371-5118 (月・木13時〜16時、祝日休業)


 中国 生活保護支援中国ネットワーク

https://seiho-chugoku.net/
Tel. 0120-968-905 (月〜金 9時半〜17時半、祝日休業)


 四国 四国生活保護支援法律家ネットワーク

Tel. 050-3473-7973 (月〜金 10時〜17時、祝日休業)


 九州 ・沖縄 生活保護支援九州ネットワーク


Tel. 097-534-7260 (月〜金13時〜16時30分、祝日休業)




Q4 申請はどこにするのですか?【活用マニュアルQ2】
 住民票に関係なく、今あなたがいる場所の市役所などの生活保護担当部署(福祉事務所)に申請できます。
「居住地」がある人は「居住地」、「居住地」がない人(ホームレス状態、一時的居候状態)は「現在地」を管轄する福祉事務所が実施責任を負います(生活保護法19条1項)。但し、外国籍の方の場合は、Q5をお読みください。



Q5 外国籍でも生活保護を利用することはできますか?【活用マニュアルQ40】
 外国籍の場合は、①「永住者」・「定住者」・「永住者の配偶者等」・「日本人の配偶者等」のいずれかの在留資格を有する方、②「特別永住者」、③入管法による難民認定を受けた方であれば生活保護を利用できます(①~③に当てはまらない外国人でも、在留資格が「特定活動」で活動に制限のない場合等は、自治体から厚労省に個別に照会することで適用される場合があります)。
 申請は在留カードまたは特別永住者証明書に記載された住居地を管轄する福祉事務所に行います。実際の居住地が住民登録地と違う場合は、生活保護申請と同時に変更するようにしてください。
 DV被害者等で住所変更届ができない場合は、その理由を福祉事務所に説明してください。住所変更ができない状態にあると認められた場合は実際の居住地で保護が適用されることになります。



Q6 ホームレス状態でも生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ35・36】
 「現在地」(今いる場所)の福祉事務所で申請できます。通常の生活費とは別に、アパート暮らしを始めるための敷金や生活用品代も支給されます。保護申請後、開始決定前にカプセルホテル等を利用した場合、その後に移った一般住宅の家賃とは別に一定の範囲で宿泊料等を支給してもらうこともできます(Q1※Ⅰ-2の通知3(3)参照)。



Q7 役所で、「住む所がない人は施設に入ることになっている」と言われたのですが?【活用マニュアルQ36】
 生活保護法30条1項は「居宅保護の原則」を定めているので、本人の希望する場所で暮らすことができます。各種の支援を受けながらでも居宅で生活することができる人は、施設を断って最初からアパート暮らしを始めることもできます。
 国も、今回、自治体に対し、一時生活支援事業のシェルター等に加え、協力してくれるビジネスホテルや旅館等を開拓し宿泊場所の確保を進めること、必要に応じて衣食の提供をすること、DV・家庭環境の破綻等の課題を抱える者については自立相談支援機関へつなぐこと、無料低額宿泊所当への入所を経ることなく居宅での保護が可能な者についてはアパート等の居宅入居を指導するよう通知しています。

※Ⅰ-4 令和2年4月14日付事務連絡「生活困窮者自立支援法における一時生活支援事業の活用等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000621870.pdf


 さらに、国は、感染拡大防止の観点から、「今般の事態に関する対応に当たって新たに居住が不安定な方の居所の提供、紹介等が必要となった場合には、やむを得ない場合を除き個室の利用を促すこと」という通知も追加して出しています。

※Ⅰ-5 令和2年4月17日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言に係る対応に当たっての留意点について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000622762.pdf




Q8 一時的に親戚・知人宅に居候しているのですが、私だけが生活保護を利用できますか?【活用マニュアルQ32】
 居候先と「生計」(家計)が別であれば、別世帯としてあなただけで生活保護を利用できます。Q1※Ⅰ-2の通知(4)で参照されている平成21年12月25日付保護課長通知(3)も、「一時的に同居していることをもって、知人と申請者を同一世帯として機械的に認定することは適当ではない」として「適切な世帯の認定」を求めています。
 保護が開始されると、居候を解消するための新住居の敷金等の転居費用も出してもらうことができます。



Q9 申請して生活保護が開始されるまでどれ位かかりますか? 少しでも早くしてもらいたいのですが。【活用マニュアルQ14】
 申請のあった日から原則として14日以内、特別な理由がある場合には30日以内に書面で通知されることになっています。Q1※Ⅰ-2の省通知(3(2))も、「保護の決定に当たっては、申請者の窮状にかんがみて、可能な限り速やかに行うよう努めること」としていることを示して、より「速やかな保護決定」を求めましょう。



Q10 現金を持っていると生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ16】
 現金や預金の合計がQ2の最低生活費以下であれば利用できます。ただし基準の半額を超える分は最初の保護費から差し引かれるので、手持ち金が基準の半額を切ってから申請すると良いでしょう。



Q11 給料や年金などの収入があると生活保護は利用できませんか?【活用マニュアルQ16】
 年金や給料などの収入があっても最低生活費未満であれば最低生活費と収入の差額分が支給されます。保護を受けられるかどうかの判定の際には、医療費や介護費がかかる場合はその分もプラスして判定されます。



Q12 生命保険は解約しなくてはいけないのですか?【活用マニュアルQ28】
 解約したときの払戻金がQ2の最低生活費のおおむね3ヵ月以下で、保険料が最低生活費の1割程度以下であれば解約しなくても良いことになっています。貯蓄性の高い保険などについては解約して払戻金を生活費に当てることを求められます。
ただし、2021年1月、上記に該当せず本来解約を要する保険を有している場合でも,「まずは概ね6か月を目途に処分指導を留保することとして差し支えない」とする事務連絡を発出しました。この通知は解約返戻金の額に限定を付しておらず、かなり大きな運用改善です。
 ※Ⅰ-10 令和3年1月29日付事務連絡「保護の要否判定等における弾力的な運用について」

https://www.mhlw.go.jp/content/000731221.pdf




Q13 学資保険を続けることはできますか?【活用マニュアルQ29】
 解約返戻金が50万円以下である場合は続けることができます。また生活保護を利用し始めた後で新たに加入することもできます。
 但し、Q12で述べたとおり、※Ⅰ-10の通知で、上記に該当しない保険も「まずは概ね6か月を目途に処分指導を留保することとして差し支えない」とされました。



Q14 家賃が高いと生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ31】
 支給される家賃額(住宅扶助費)に上限がありますが利用できます。保護が始まったあとに低額な家賃の住居に転宅するように言われることがありますが、その場合は転居に必要な敷金等も支給されます。家賃と住宅扶助費の差額が小さくて生活費から持ち出しても支障がない場合には転居せずに住み続けることもできます。



Q15 持ち家があるのですが生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ24】
 住むための家や活用している農地などは問題ありません。ただし資産価値が大きい土地や豪邸は処分して生活費に当てることを求められることがあります。
 国も、居住用不動産は原則保有を認めることや、処分指導を行うかどうかをケース診断会議に付する目安額を示した上で、「組織的な検討を行わずに判断することのないよう」注意喚起しています。

※Ⅰ-9 令和2年9月11日付事務連絡「現下の状況における適切な保護の実施について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000671433.pdf




Q16 住宅ローンが残っていても大丈夫ですか?【活用マニュアルQ26】
 原則として生活保護費で住宅ローンの支払いをすることはできません。例外的にローンの残金が少ない場合はローンの支払いを認められる事があります。住宅ローンが払えず家を手放さざるを得ない状態の場合も生活保護を利用できます。



Q17 借金がありますが生活保護は利用できますか?【活用マニュアルQ21】
 利用できます。ただし、保護費から借金を返済することは望ましくありませんので、法律家に相談して任意整理や自己破産などで借金を整理しましょう。法律家の費用は、「法テラス」で立て替えてもらい分割で払う制度(法律扶助)もあり、生活保護利用者については、分割払いも猶予・免除してもらえます。



Q18 失業や自宅待機による減収で生活保護を利用する場合、自動車は処分しなければなりませんか?【活用マニュアルQ23】
 自動車は保有も運転も原則として制限されているのが現状ですが、①概ね6カ月以内(さらに6ヵ月延長可)に就労により保護から脱却することが確実に見込まれる場合には通勤用自動車の処分指導はされません。
国は、今回、Q1Ⅰ-3の通知で、「緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合で、通勤用自動車を保有しているときは」、これに準じることとし、処分指導を留保する場合や期間を柔軟に判断することを求めていましたが、コロナ禍の長期化に伴い、令和2年4月7日以降に保護を開始した世帯については、保護開始から概ね1年を経過した場合であっても、処分指導を行わなくてもよいとの通知が出されました。

※Ⅰ-11 令和3年4月6日付保護課長通知「新型コロナウイルス感染症拡大の影響下の失業等により就労を中断している場合の通勤用自動車の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000766136.pdf




Q19 Q18以外に自動車の保有が認められる場合がありますか?バイクの保有はどうですか?【活用マニュアルQ23】
 Q18の場合以外にも、②障害者の通院・通学等に使う場合、③山間僻地など自動車を使わずに通勤することが著しく困難な地域に住んでいる場合、④保育所の送迎に使う場合、⑤事業用の場合などには自動車を持ったまま生活保護を受けることができます。
 総排気量125cc以下のオートバイ及び原動機付自転車については、自動車損害賠償保険及び任意保険に加入しており、最低生活維持に必要な場合は保有が認められます。総排気量125ccを超えるオートバイは、自動車と同様の扱いとなります。



Q20 65歳未満の若い人は生活保護は利用できないのですか?【活用マニュアルQ20】
 年齢制限はありません。働ける健康状態であっても、仕事を探しているのに就職できない場合や、働いていても収入が生活保護基準に満たない場合は生活保護を利用することが出来ます。
 そして、国は、Q1Ⅰ-3の通知で、「緊急事態措置の状況の中で新たに就労の場を探すこと自体が困難であるなどのやむを得ない場合」には、緊急事態措置期間中、働く能力を活用できているかの判断を留保できるとしています。



Q21 自営業をしていますが、廃業せずに生活保護を利用できますか?
 できます。国も、Q1Ⅰ-3の通知で、「臨時又は不特定就労収入、自営収入等の減少により要保護状態となった場合」、「緊急事態措置期間経過後に収入が増加すると考えられる場合には、増収に向けた転職指導等は行わなくて差し支えない」とし、「自営に必要な店舗、機械器具類の資産」(自動車も含まれます)は保有を認めるよう指示しています。これは今回の事態を受けて自営業者に対する生活保護の積極的適用を促す趣旨であると考えられます。



Q22 親族に連絡すると言われましたが、どういうことですか?【活用マニュアルQ30】
 生活保護を申請すると福祉事務所は、親や兄弟に「○○さんが生活保護の申請をしましたが、経済的な援助ができますか?」と問い合わせ(扶養照会)をします。親や兄弟は出来る範囲で援助すれば良いことになっており、照会を受けた親族は、金銭的に余裕がない場合、援助を断ることができます。



Q23 「扶養照会」を避けて、元夫や親族に居場所を知られない方法はありますか?【活用マニュアルQ30】
 「扶養義務の履行が期待できない者」に対しては扶養照会をしなくてよいことになっています。具体的には、扶養義務者が、生活保護利用者、福祉施設入所者、長期入院患者、働いてない人、未成年者、70歳以上の高齢者、20年間音信不通の者等の場合です。その扶養義務者から虐待・DVを受けたなどの場合は、むしろ連絡してはなりません。
 国も、Q15Ⅰ‐9の通知で、上記のような場合は「扶養の可能性が期待できないもの」として扶養義務者に対する直接照会をしなくて良いことについて注意喚起していました。さらに、この度、生活保護手帳別冊問答集を改正して、その考え方と判断の手順を改めて整理し明確にするとともに、「要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い」、対象となる扶養義務者が「扶養義務履行が期待できない者」に該当するか否かという観点から検討を行うべきであるとして、初めて申請者の意思を尊重する姿勢を示しました。

※Ⅰ-12 令和3年3月30日事務連絡「『生活保護問答集について』の一部改正について」
http://665257b062be733.lolipop.jp/0303301.pdf


 この運用改善を活かすには、扶養照会されたくない人は、その意思と具体的理由を記載した以下の「申出書」に予め記入して、保護の申請時に提出すると良いでしょう。
※ 書式「扶養照会に関する申出書」
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-401.html




Q24 生活保護利用世帯が、特別定額給付金(住民基本台帳に記録されている者全員に10万円を給付)や子育て給付金(児童手当受給世帯の児童1人あたり1万円を給付)を受給した場合、収入認定された保護費を減らされてしまいますか?令和3年4月以降に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)についてはどうですか?その他、各自治体が独自に実施する給付金はどうですか?【活用マニュアルQ49】
 特別定額給付金と子育て給付金は当然に収入認定除外され、自立更生計画の提出も不要です。自治体が独自に実施する給付金については、以下の通りの扱いとなります。

ア 特別定額給付金と同様の趣旨・目的のもの(市民全体に幅広く支給されるもの)
⇒全額収入認定除外
イ 災害等によって損害を受けた見舞金と同様の趣旨・目的のもの
⇒「自立更生計画」を立て自立更生に資する経費と認められた額が収入認定除外
ウ 子育て世帯、ひとり親世帯、障害者、高齢者等の福祉を増進する趣旨・目的のもの
⇒8000円までが収入認定除外
 令和3年4月以降に給付される「低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金」(児童1人5万円)については、ひとり親世帯及びそれ以外の対象世帯ともにアに準じて全額収入認定の対象となりません(後者について令和3年5月28日付保護課長通知)。
イの自立更生経費としては、マスク・消毒液等の防疫商品や、オンライン就労・学習に対応するためのPC関連機器の購入のほか、その他の耐久消費財の買替費用等、その世帯の自立に資する経費が幅広く計上され得ます。持続化給付金等の休業補償的意味合いのある給付もイに該当すると考えられますが、その場合、店舗の家賃・光熱費等事業維持のための経費も自立更生費に計上できるでしょう。

※Ⅰ-6 令和2年5月1日付「特別定額給付金及び令和2年度子育て世帯への臨時特別給付金の生活保護制度上の取扱いについて(通知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000627228.pdf




Q25 生活保護利用世帯の子どもが通学する学校で、ICT(情報通信技術)を活用したオンライン教育が始まりました。これに対応する費用を保護費から支給してもらえますか?
 オンライン教育に対応するために必要な通信費、モバイルルーター等の通信機器の購入又はレンタルに係る費用について、教育扶助(小中学校生)又は生業扶助(高校生)の「教材代」として支給してもらえます。

※Ⅰ-7 令和2年5月15日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症対策のための小学校等における臨時休業に伴う生活保護業務における教材代の取扱いについて」
https://www.mhlw.go.jp/content/000630849.pdf
別添2 https://www.mhlw.go.jp/content/000630851.pdf




Q26 緊急事態宣言が解除されましたが、緊急事態宣言期間中の生活保護に関する取扱いは変わりますか?
 「緊急事態宣言解除後においても、引き続き感染防止の取組が必要であり、直ちに元のように経済活動が行われるものではないと考えられることから」、厚労省も3月10日付事務連絡(※Ⅰ-2)や4月7日付事務連絡(※Ⅰ-3)で示した扱いを継続するよう指示を出しています。

※Ⅰ-8 令和2年5月26日付事務連絡「緊急事態宣言の解除後の生活保護業務等における対応について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000633643.pdf

Ⅰ´ 求職者支援制度


(求職者支援制度)
Q1 給付金を受給しながら職業訓練を受けられる制度があると聞きましたが、どんな制度でしょうか?
 求職者支援制度は、月10万円の給付金を受給しながら、無料の職業訓練を受けられる制度です。また、訓練前後を通じてハローワークが求職活動を支援してくれます。
 利用要件や支給額は以下のとおりです。

【訓練受講の要件】
① ハローワークに求職の申込みをしていること
雇用保険被保険者や雇用保険受給資格者でないこと
③ 労働の意思と能力があること
④ 職業訓練などの支援を行う必要があるとハローワークが認めたこと

【給付金の支給要件】
本人収入が月8万円以下
※ シフト制で働く方などは月12万円以下 (令和3年9月末までの特例) Q2参照
世帯全体の収入が月25万円以下
③ 世帯全体の金融資産が300万円以下
④ 現在住んでいるところ以外に土地・建物を所有していない
⑤ 全ての訓練実施日に出席する(やむを得ない理由がある場合も、8割以上出席する)
⑥ 世帯の中で同時にこの給付金を受給して訓練を受けている者がいない
⑦ 過去3年以内に、偽りその他不正の行為により、特定の給付金の支給を受けていない

【訓練期間】 2~6か月

【職業訓練受講給付金の内容と支給額】
① 訓練受講手当          月10万円
② 通所手当(定期券等)      月上限42500円
③ 寄宿手当(家族と別居する場合) 月1万700円

【相談・申込先】ハローワーク

※Ⅰ´-1 求職者支援制度パンフレット
https://www.mhlw.go.jp/content/000776386.pdf


 


(求職者支援制度の特例措置)
Q2 新型コロナウイルスの影響を受けてシフトが減少した方や、休業を余儀なくされている方などが、在職中に給付金を受給しながら訓練を受講しやすくするための特例措置が設けられたと聞きましたが、どのような措置ですか?
 以下のとおり、給付金の収入要件と出席要件に特例措置を設けました

【収入要件の特例】 月8万円以下→月12万円以下
【出席要件の特例】 仕事で訓練を欠席せざるを得ない日を「やむを得ない欠席」とする
【特例の期限】  令和3年9月末まで



※Ⅰ´-2 職業訓練受講給付金の特例措置について
https://www.mhlw.go.jp/content/000743189.pdf




(住居確保給付金との併給)
Q3 職業訓練受講給付金と住居確保給付金の併給は認められますか?
 住居確保給付金の支給要件に「申請者と同一世帯の者が職業訓練受講給付金を受給していないこと」があるため、本来併給は認められず、職業訓練受講給付金を受給すると住居確保給付金の支給は停止されます。
 ただし、特例措置として、令和3年9月30日までに住居確保給付金の申請をした者については、申請を受けて支給する住居確保給付金については、延長・再延長も含めて、職業訓練受講給付金と併給が可能とされました。


Ⅱ 貸付編


(緊急小口資金)
Q1 収入が減り、光熱費の支払いもままなりません。緊急・一時的にお金を貸してもらう制度はないでしょうか?
 新型コロナウイルスの影響を受け、休業等により収入の減少があり、緊急かつ一時的な生計維持のための貸付を必要とする世帯(主に休業した方)については、無利子で、以下の内容の「緊急小口資金」を借りることができます。
【申込先】お住まいの市町村社会福祉協議会
【貸付上限】20万円以内

※「休業等による収入の減少等で生活費用の貸付が必要な場合」も対象になったので、多くの場合20万円まで借りることができます。


【据置期間】1年以内。但し、令和4年3月末までは償還が開始しないものとされました(※Ⅱ―3)。
【償還期限】2年以内。但し、令和3年度又は令和4年度の住民税非課税世帯は一括免除されます。

※Ⅱ-1 令和2年4月27日付プレスリリース
https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000625493.pdf


 特に急を要する場合には、①市町村社協は、実印や印鑑証明を求めず、住民票等の必要書類は事後提出で対応し、②都道府県社協は、審査・決定事務は後に回し、申込書の到着と同時に送金処理を行うことで、申込時の翌々営業日までに送金が行われるようにするとされています。

※Ⅱ-2 令和2年3月18日付事務連絡「緊急小口資金等の特例措置による貸付金の送金までに係る適切な支援について(周知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000611265.pdf


※Ⅱ-3 令和3年2月12日プレスリリース「総合支援資金の再貸付の実施時期等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/12003000/000737984.pdf



(総合支援資金)
Q2 新型コロナウイルスの影響で失業し、当面の生活費の目途がありません。しばらくの間、一定の生活費を貸してもらう制度はありませんか?
 新型コロナウイルスの影響を受け、収入の減少や失業等により日常生活の維持が困難となっている世帯(主に失業した方)については、無利子で、以下の「総合支援資金(生活支援費)」を借りることができます。(※Ⅱ-1参照)
【申込先】お住まいの市町村社会福祉協議会
【貸付上限】2人以上:月20万円以内 単身:月15万円以内
【貸付期間】

1か月ごとの分割交付で原則3カ月以内。「延長貸付」(最大3カ月)1回。自立相談支援機関の相談支援を受けることを要件として最大3カ月の「再貸付」(※Ⅱ-3)。但し、「延長貸付」については、令和3年3月末までに初回貸付を申請した世帯をもって終了となり、その申請受付期間が令和3年6月末までとなりました。一方、「再貸付」の申請期間は令和3年8月末まで延長されたので(Q4参照)、令和3年4月以降に特例貸付を申請した場合の最大貸付額は、緊急小口資金と総合支援資金(初回貸付+再貸付)を合わせた140万円となります。


【据置期間】

1年以内(但し、再貸付は3年以内)。また、令和4年3月末までは償還が開始しないものとされています(※Ⅱ-3)。


【償還期限】

10年以内。但し、償還時においてなお所得の減少が続く住民税非課税世帯については償還免除ができるとされていますが、具体的な制度設計はなお検討中です(詳細はQ5参照)。


※Ⅱ-5 令和3年6月1日付社会・援護局長通知「『生活福祉資金貸付制度の緊急小口資金等の特例貸付の実施について』の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000788578.pdf

  



(緊急小口資金と総合支援資金の併用)
Q3 緊急小口資金と総合支援資金(合わせて「特例貸付」)の両方を利用することはできますか?また、保証人がいなくても大丈夫ですか?
 両方同時に貸付を受けることができます。また、いずれも連帯保証人は不要です。


(特例貸付の受付期間等)
Q4 特例貸付はいつまで受け付けてもらえますか? 貸付が終わった後はどうすればいいですか?
A 受付期間は、2020年12月8日の事務連絡で2021年3月末まで延長され、同年3月19日の局長通知で同年6月末まで延長されていましたが、同年5月28日の事務連絡で、さらに同年8月末まで延長され、現在は、同年8月17日の事務連絡で同年11月末まで延長されました。
貸付が終了した方に対しては、必要な支援が途切れないよう、求職者支援制度や生活保護制度の利用につなぐこととされていますが、総合支援資金の再貸付を終了した世帯又は再貸付について不承認とされた世帯で一定の要件を満たす世帯に対しては、3カ月間(月額単身6万円、2人8万円、3人以上10万円)の「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」という給付制度が創設されました(受付期間は11月末まで延長されました。詳細は特例給付編参照)。



(償還免除)
Q5 償還免除の対象となっている「償還時に所得の減少が続く住民税非課税世帯」とは、どのように判断されますか。
A 償還免除の判断は、資金種類(①緊急小口資金、②総合支援資金の初回貸付分、③同資金の延長貸付分、④同資金の再貸付分)ごとに一括して行い、①と②については償還前年度又は償還初年度が非課税、③については償還2年度目が非課税、④については償還3年度目が非課税であれば、それぞれ一括して償還免除とされます。
 借受人と世帯主が住民税非課税であれば償還免除の対象となり、そのほかの世帯員の課税状況は問いません。
 具体的な時期や書類については、なお厚労省において検討中です。

※Ⅱ-4 令和3年3月16日付事務連絡「緊急小口資金等の特例貸付の申請受付期限の延長及び償還免除に関する取扱について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000755463.pdf



※個人向け緊急小口資金・総合支援資金相談コールセンター
0120-46-1999(受付時間 平日のみ 9:00~17:00)

Ⅲ 住宅維持・借金整理編


(住居確保給付金:支給要件)
Q1 失業して家賃が支払えなくなりました。家賃を補助してくれる制度はありますか?
 「住居確保給付金」の利用を検討しましょう。

【申請先】各自治体の福祉担当部署。自治体によって異なりますので、各自治体の自立相談支援機関(生活困窮者の相談窓口)に相談してください。

※Ⅲ-1 自立相談支援機関相談窓口一覧(令和2年5月25日現在)
https://www.mhlw.go.jp/content/000614516.pdf


【支給要件】
① 離職後2年以内の者であるか、当該個人の都合によらないで収入が減少し離職又は事業廃止と同等程度の状況にある者
 前半の要件は、要は「2年以内に離職」していればいいので、2年以内に離職後、現在は再就職して働いていてもOKです。2年以内にWワークで1日でも働いて辞める等していても、この要件は満たすので丁寧な聞き取りが必要です。
 後半は、今回の事態を受けて2020年4月20日から改正されたもので、かなり多くの方が新たに対象となりました。「離職又は事業廃止と同程度」とは、勤務日数等が全くなくなったことまでを求めるものではなく、週4~5日の仕事が2~3日になった場合等でもよいとされており(後記Ⅲ5のQ2)、それを確認できる書類がない場合は申立書の活用も可能とされています(同Q3)。

※Ⅲ-2 令和2年4月20日付事務連絡「生活困窮者自立支援法施行規則の一部を改正する省令の施行について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000623242.pdf


② 離職前に世帯の生計を主として維持していたこと

③ 熱心に求職活動を行うこと
「月2回以上の公共職業安定所での職業相談等」及び「週1回以上の応募又は面接」等の厳しい条件が定められていますが、※Ⅲ3の事務連絡で「回数を減ずる又は免ずることができる」とされ、「柔軟な対応」が求められています。特に、①の要件緩和で新たに対象となった減収した者(=失業していない者)に対して求職活動を求めることは不適切な場合が多いと考えられます。

※Ⅲ-3 令和2年3月9日付事務連絡「新型コロナウイルスに関係した生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の活用について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000605807.pdf


また、従来要件とされていた「公共職業安定所への求職申込み」と「常用就職を目指すこと」が、令和2年4月30日の省令改正で当分の間不要とされていました。

※Ⅲ-4 令和2年4月30日付「生活困窮者自立支援法施行規則の一部を改正する省令」
https://www.jil.go.jp/kokunai/mm/hourei/syourei/20200430c.html


ところが、受給期間を12カ月に延長するにあたって、2021年1月からは、離職・廃業や再々延長中(10か月目以降)の者については、厳しい求職活動要件が復活されてしまいました。具体的には、以下の通りです。
受給月数受給者の状態必要とされる求職活動要件
(申請時等)ハローワーク求職申込自立相談支援機関との相談(月1回以上)ハローワーク相談(月2回以上) 企業応募(週1回以上)その他の活動(バイト、家計管理支援等)
1か月目~9か月目離職・廃業必須必須必須必須任意
休業等任意必須任意任意必須
10か月目以降(再々延長中)全員必須必須必須必須任意
再支給(本則・特例)離職・廃業必須必須必須必須任意
休業等任意必須任意任意必須

※Ⅲ-5 令和2年12月8日付事務連絡「生活困窮者住居確保給付金の支給期間の延長に係る今後の就労支援等について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000703259.pdf


ただ、令和2年12月28日付「生活困窮者住居確保給付金の支給期間の延長にかかる今後の就労支援等について(その2)」において、感染防止のため外出が困難である、感染不安からハローワークへの来所を希望しない等の場合は、電話による職業相談・職業紹介が可能なので、個々の事情をふまえた柔軟な対応が指示されています。
また、3回目の緊急事態宣言発出に伴い、同宣言が発令されている都道府県においては、宣言が解除されるまでの間、自治体等が必要と認めた時は、再々延長期間中の者も含め、求職活動要件を再度緩和してもよいこととされました。
さらに、職安の電話が混雑していてつながらない場合には、月2回の電話による職業相談の要件の確認は柔軟に行うこととされています(下記Q&Avol8のQ24)。

※Ⅲ-14 和3年4月23日付「新型コロナウイルス感染症に関する緊急事態宣言に係る対応について②(住居確保給付金の求職活動要件について)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000772959.pdf


※Ⅲ-6 住居確保給付金 今回の改正に関するQA(vol8)
https://www.mhlw.go.jp/content/000789223.pdf


④ 申請者世帯収入の合計が収入基準額(以下の基準額+住宅扶助基準額を上限とする家賃額)以下であること
基準額は地域によって違いますが、住民税非課税基準と同程度で生活保護基準よりも少し高いです。住宅扶助基準額は、後述の【支給額】を参照。

(単位:万円)
世帯人数1級地2級地3級地
1人8.48.17.8
2人13.012.311.5
3人17.215.714.0
4人21.419.417.5


⑤ 申請者世帯の預貯金現金の合計が一定額(④の基準額×6で最大100万円)以下であること
このように一定の預貯金があっても利用できる点は生活保護よりも良い点です。
但し、支給期間の再々延長に伴い、10カ月目以降の支給については、資産要件が(住民税均等割非課税収入額の3カ月分で最大50万円)に厳格化される見込みです。

⑥ 離職者支援法に基づく職業訓練受講給付金等を受けていないこと
  この要件については、新型コロナウイルス感染症対応の特例として、令和3年9月末までに申請があった場合には、住居確保給付金と職業訓練受講給付金との併給を可能とすることとされました(令和3年6月4日プレスリリースと事務連絡。省令改正予定)。 
 
※ 以前は、「65歳未満」という要件もありましたが、2020年4月1日からこの要件がなくなりました。

【支給額】生活保護の住宅扶助基準額を上限とする家賃額(地域によって異なります)

※Ⅲ-7 住宅扶助の限度額一覧表(平成31年4月現在)
http://kobekoubora.life.coocan.jp/2019juutakufujokijun.pdf


【支給期間】原則3カ月(最長9カ月)でしたが、令和2年度中に申請した者については、Ⅲ-5の通知で最長12カ月に延長されました。
 また、従前は一生に1回限りの利用しか認められていませんでしたが、令和3年1月22日付事務連絡で、住居確保給付金の支給が終了した方に対し、解雇以外の離職や休業等に伴う収入減少等の場合でも、3カ月に限り「再支給」が可能となりました(同年6月30日までとされていた申請期限は、令和3年5月28日プレスリリースと事務連絡で9月末まで延長)。

※Ⅲ-15 令和3年1月22日付事務連絡「緊急事態宣言をふまえた経済支援策(住居確保給付金の再支給)について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000725923.pdf


※Ⅲ-16 令和3年6月4日付事務連絡「生活困窮者自立支援法に基づく住居確保給付金の再支給の申請期間の延長及び職業訓練受講給付金との併給について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000789222.pdf


※ 住居確保給付金相談コールセンター 0120ー23-5572
(受付時間 : 9:00~21:00 (土日・祝日含む))


(住居確保給付金:外国人・自営業者)
Q2 外国人、フリーランス・自営業者も支給対象となりますか。
 いわゆる国籍条項は存在せず、日本国籍の方と同様、収入要件や求職活動要件等の各種要件を満たす場合であれば支給対象となります(上記Ⅲ6Q8)。
 フリーランス・事業者も同様ですが、求職活動要件については、自立相談支援機関と月1回程度のやりとりをしながら自立に向けた活動を行えば足り、現在の就業を断念する必要はないとされています(上記Ⅲ6Q7)。


(住居確保給付金:学生)
Q3 大学生等は支給対象にならないのですか。
 学生については、上記Ⅲ-6のQA(vol4)のQ9に昼間の大学等の学生は対象にならないとの誤解を招く記載がありました。
しかし、学生であっても、「離職等前に主たる生計維持者」等の要件を満たせば当然対象になりますし、厚労省も批判を受けてQA(vol5)では記載を改めました。新しいQAでも「常用就職を目指す場合などは、支給対象になる」と書かれていますが、Q1の③で述べたとおり、「常用就職を目指す」との要件は当面廃止されていることからしても、アルバイト・パート就労を目指す場合でもかまいません。
なお、「世帯生計の維持者」とは単に生活費を自分で出しているだけでなく、税金や社会保険の扶養にも入っておらず自ら生計を立てている者をいうとされています。


(住居確保給付金:支給額の改善)
Q4 支給額を増額する方向での運用改善が行われたと聞きましたが、どのような改善ですか。
 以下のとおり、令和2年7月1日以降、生活保護の住宅扶助基準より高い家賃の家に住んでいる人にとって、支給額が増える計算式の改善がされました。同年6月分の住居確保給付金の支給を受けていた方は3カ月を上限として遡って追加支給もされます。

事例)A市の1人世帯住宅扶助基準(3.5万円)、収入基準額(7.8万円)
   実際の家賃額(5.5万円)、月額世帯収入(10万円)の場合・・・
【改正前】
 支給額=家賃額-(月の世帯の収入額-基準額)
 ※家賃額は、住宅扶助基準に基づく額を上限とする。
 事例では)3.5万円-(10万円-7.8万円)=1.3万円(支給額)
【改正後】
 支給額=実際の家賃額-(月の世帯収入額-基準額)
 ※支給額は、住宅扶助基準に基づく額を上限とする。
 事例では)5.5万円-(10万円-7.8万円)=3.3万円(支給額が2万円アップ!)

※Ⅲ-8 令和2年7月3日事務連絡「生活困窮者住居確保給付金の支給額に係る生活困窮者自立支援法施行規則等の改正について」~イメージ図を見ると分かりやすいです。
https://www.mhlw.go.jp/content/000646522.pdf



※住居確保給付金の支給手続等に関する詳細

令和2年7月3日事務連絡「生活困窮者自立支援制度に係る自治体事務マニュアルの改訂について」 
https://www.mhlw.go.jp/content/000646672.pdf
※住居確保給付金の詳細はp48から


令和2年4月20日事務連絡「「生活困窮者自立支援制度に関する手引きの策定について」の一部改正について」
https://www.mhlw.go.jp/content/000623740.pdf




(家賃の滞納と立退き)
Q5 家賃を2ヵ月分滞納したら、家賃保証会社の社員から月末までに退去するとの書面にサインするよう強く求められました。私が悪いので応じなければならないでしょうか?
 滞納家賃の支払義務はありますが、立ち退く義務があるわけではないので、応じてはなりません。
 家主が賃借人を強制的に立ち退かせるためには、賃貸借契約を解除し、明渡訴訟を起こして判決を得た上で強制執行を申し立てなければなりません。そして、賃貸借契約を解除するためには、信頼関係を破壊するような重大な契約違反が必要で(信頼関係破壊の法理)、2カ月の滞納だけでは契約解除は認められません。法務省も「新型コロナウイルス感染症の影響により3カ月程度の賃料不払が生じても」契約解除が認められないケースも多いと考えられる旨のQAを発表しています。

※Ⅲ-9 法務省「新型コロナウイルス感染症の影響を受けた賃貸借契約の当事者の皆様へ」
http://www.moj.go.jp/content/001320302.pdf


仮に書面にサインしてしまっても、法律家に委任して交渉してもらえば状況を打開できることも多いです。


(住宅ローン等の滞納)
Q6 収入が減り、住宅ローンの返済が難しくなってきました。銀行は返済猶予や条件変更に応じてくれるでしょうか?
 金融庁からの要請等をふまえ、銀行等は、住宅ローン等の返済猶予や条件変更の相談に対して、迅速かつ柔軟に応じるものとされており、まず6カ月間元金を据え置く等の事例を金融庁が取りまとめて公表しています。こうした事例を示して銀行等に相談してみましょう。
また、住宅ローン等の悩みについては、下記の専用相談ダイヤルもあります。

〔新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル〕
0120-156811(フリーダイヤル)【平日10時~17時】
※Ⅲ-10 令和2年3月31日付事務連絡「新型コロナウイルス感染症の影響拡大を踏まえた住宅ローン等の返済猶予等について(周知)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000617817.pdf


※Ⅲ-11 令和2年5月18日付「住宅ローン等でお困りの方に対する金融庁における支援策について(情報提供)」
https://www.mhlw.go.jp/content/000631583.pdf



(コロナ版ローン減免制度の概要)
Q7 新たなローン減免制度が始まったと聞きましたが、どのような制度ですか?
 「自然災害による被災者の債務整理ガイドライン」の新型コロナウイルス特則(以下「コロナ版ローン減免制度」)が2020年12月1日から始まりました。

【対象者】新型コロナウイルスの影響による失業・減収等で、債務の返済が困難になった個人・個人事業主

【対象債務】2020年2月1日以前に負担していた債務に加え、同年10月30日までに新型コロナ対応のために負担した債務
※なお、「特例貸付」等を行っている都道府県社会福祉協議会も対象債権者です。

【メリット】①特別定額給付金等の差押禁止財産に加え、一定の「自由財産(99万円プラスα)」を手元に残せる。
②信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されないので、その後の借入の可能性がある。
③弁護士・不動産鑑定士などの専門家の支援が無償で受けられる。
④住宅を手放さずに、住宅ローン以外の債務だけ減免することができる。
⑤原則として保証人への請求はされない。

【概要】債務者の財産価値の額から「自由財産」を差し引いた残額を一括又は分割で債権額に按分して支払う(差し引きがゼロであれば免除)。
弁護士会が紹介する弁護士の支援を受けて返済計画を立て、全債権者の同意が得られたら、簡易裁判所に特定調停を申し立て調停調書を作る。


(コロナ版ローン減免制度の利用法)
Q8 コロナ版ローン減免制度はどうすれば利用できますか?また、詳しいことはどこに聞けばいいですか?

Q7で述べたメリットがあるので、破産や個人再生の前にコロナ版ローン減免制度の利用の可否を検討する必要があります。
制度を利用するためには、一番大口の債権者から「着手同意書」を発行してもらい(債務者が暴力団登録されている等明らかに制度を利用できない場合を除き発行しなければなりません)、これを弁護士会に提出して、登録支援弁護士を紹介してもらう必要があります。詳しい手続は最寄りの弁護士会に相談してください。

※Ⅲ―12 金融庁 説明チラシ
※Ⅲ―13 日弁連 説明チラシ(10のQ&A)
※ 各都道府県の弁護士会の相談窓口はコチラから検索(日本地図の都道府県をクリックしてください)
https://www.nichibenren.or.jp/activity/human/shinsai/covid19-soudan.html


 日弁連HPトップページの上の方「新型コロナウイルスでお悩みの方へ」→「個人の方」「全国の弁護士会の相談窓口のご案内」

Ⅳ 税金・公共料金滞納編


Q1 上下水道、電気、ガス、電話の料金や公営住宅の家賃の支払いができません。待ってもらえるでしょうか?
 待ってもらえる場合があります。支払猶予等、迅速かつ柔軟に対応するようにとの以下の内容の国からの要請に対し、大手の電力会社、ガス会社等は応じる方針を明らかにしています。
 社会福祉協議会に緊急小口資金又は総合支援資金の貸付相談をしたうえで(Ⅱ貸付編のQ2をご参照)、電気・ガス会社等に支払猶予を申し出てください。

【要請内容】支払期日を1ヵ月繰り延べ、その後も状況に応じて柔軟に対応すること
【対象者】緊急小口資金又は総合支援資金の貸付を受けた方であって、一時的に電気・ガス料金の支払いに困難を来している方。これらの貸付を受けようとする方についても対象とみなすなど柔軟な対応を要請。

※令和2年3月18日付 「生活不安に対応するための緊急措置」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/novel_coronavirus/th_siryou/kinkyutaiou3_corona.pdf


 また、市営住宅等に入居中の方で、病気や解雇、倒産による失業、新型コロナウイルス感染症の影響などにより収入が著しく減少し、家賃の支払いが困難と認められる方については、家賃の減免や徴収猶予の対象となる場合があります。詳細については、お住まいの自治体担当課へお問い合わせください。



Q2 国民健康保険料(税)が払えません。減免してもらえますか?あるいは、既に支払った保険料(税)を返してもらえないですか?
 以下の要件を満たす場合、保険料(税)を減免してもらえます。また、減免対象期間中に既に保険料(税)を支払ってしまった場合でも、減免申請ができなかったやむを得ない理由がある場合は、遡って減免(還付)してもらえます。
【要件】
1 新型コロナにより主たる生計維持者が死亡または重篤な傷病を負った世帯
☛全部免除
2 ①新型コロナの影響で主たる生計維持者の事業収入、不動産収入、山林収入または給与収入のいずれかが前年の当該事業収入等の3割以上減少し、②総所得金額が1000万円以下で、③減少見込みの収入以外の所得の合計額が400万円以下の世帯
☛所得に応じて2割~全部免除
【減免対象】
 令和元年度分及び令和2年度分の保険料(税)であって、令和2年2月1日から令和3年3月31日までの間に普通徴収の納期限が設定されているもの

※ 令和2年4月8日付 「新型コロナウイルス感染症の影響により収入が減少した被保険者に係る国民健康保険料(税)の減免に対する財政支援について」https://www.mhlw.go.jp/content/000620361.pdf




Q3 確定申告の期限に間に合いません。
 令和2年度同様令和3年度についても申告期限等の延長がされています。申告所得税,個人事業者の消費税,贈与税の申告期限・納付期限は令和3年4月15日まで,申告所得税の振替日は令和3年5月31日まで,個人事業者の消費税の振替日は同年同月24日まで延長されています。

※令和3年2月2日付国税庁報道発表資料
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0021002-018_1.pdf




Q4 確定申告をしたものの、新型コロナウィルスの消毒で在庫商品が使えなくなり、所得税や消費税を納められません。
 新型コロナウィルスにより納税者がその財産に相当な損失を受けたことの申し出があった場合に、納税を猶予してもらえる余地があるので、所轄の税務署に相談してください(国税通則法46条1項)。なお、この手続については地方税には適用はありません。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm




Q5 前問で、財産に相当な損失との回答ですが、「相当」というのはどの程度ですか。
 その事業にかかる全財産の20%以上とされています。

https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/tsusoku/04/01/46.htm#a-02
※2項を参照




Q6 Q4の納税の猶予については、財産に相当な損失があった場合に適用されるとのことですが、売上や給料が減ったような経済的損失が生じた場合には適用されないのですか。
 令和2年4月30日に制定された、納税の猶予(地方税においては「徴収猶予」)に関する特例では、売上や給料が前年比で20%以上減少した月がある場合には、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに発生した税金については、令和3年2月1日までに申請をすることにより、延滞税を課されない納税の猶予(徴収猶予)が認められていました。現在でも、申請書を提出できなかったことについてやむを得ない相当な理由がある場合には、受け付けられる余地があります。ただし、あくまでも、令和2年2月1日から令和3年1月31日までに発生した税に限ります。
なお、給料が減少した方については、確定申告により納付すべき税額がある場合に限ります。詳細については、納付先に確認してください。

(国税)
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
(地方税)
https://www.soumu.go.jp/menu_kyotsuu/important/kinkyu02_000399.html




Q7 Q4やQ6の納税の猶予のやり方がわかりません。
 以下のホームページを参照してください。
https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu/24100011.htm




Q8 新型コロナウィルスの影響で売上や所得が下がり、納税ができません。
 まず、Q6の納税の猶予(徴収猶予)が使えないかを検討してください。納期限をすでに過ぎていたような場合、国税や事業者が納める社会保険料については、納税の猶予、換価の猶予を検討してください。詳細は以下のホームページをご参照ください。なお、地方税の徴収猶予及び換価の猶予についても、柔軟に取り扱われるよう、総務省から各自治体に通知がなされています。

(国税)https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm
(地方税)https://www.soumu.go.jp/main_content/000676891.pdf




Q9 以前、納税の猶予や換価の猶予を申請したときは担保が必要と言われましたが、新型コロナウィルスが原因でも、担保は必要なのでしょうか。
 新型コロナウィルスの関係で納税の猶予や換価の猶予を求める場合には、担保提供できる資産が明らかに存在する場合を除いて、不要とされています。
※国税庁パンフ「納税が困難な方には猶予制度があります」

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/kansensho/pdf/0020003-044_02.pdf




Q10 影響を受け始めて間がないので、十分な資料が揃いませんが、猶予を受けられるでしょうか。
 書類が揃わなくても、口頭での申述でも認められることがあるので、とりあえず納付先に相談をしてみてください。

https://www.soumu.go.jp/main_content/000676891.pdf




Q11 納税の猶予(徴収猶予)、換価の猶予の手続がわかりません。
 以下のホームページでご確認ください。なお、地方税についても、同様の手続で対応されることが通例です。

https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm




Q12 解雇(雇止め)で失業したのですが、前年所得を前提とする国民健康保険料が高くて払えません。
 世帯内に、離職した方で次の①又は②に該当する方がいる場合には,届出により,対象者の前年の給与所得を30/100とみなして,(1)国民健康保険料を計算するとともに,(2)高額療養費等の限度額区分の判定を行います。これは、コロナ禍とは関係ない制度です。
① 特定受給資格者
  倒産,解雇等の理由により再就職の準備をする時間的余裕がなく離職を余儀なくされた方
 (雇用保険受給資格者証の離職理由欄が11,12,21,22,31又は32の方)
② 特定理由離職者
  期間の定めのある労働契約が更新されなかったことその他やむを得ない理由により離職した方
  (雇用保険受給資格者証の離職理由欄が23,33又は34の方)
※ 離職日時点で,65歳以上の方は対象外



Q13 滞納している税金について相談をしたいのですが。
 全国対応できるのは、以下の4団体です。各地で個別に相談にあたっている団体も紹介します。

【全国対応可能な団体】
●滞納相談センター
 (滞納処分対策全国会議代表の角谷啓一税理士会長を務める専門家集団)
 TEL 03-6268-8091

●中央社会保障推進協議会(中央社保協)
 中小・零細事業者および一般市民を幅広く対象にしています
 住所 〒110-0013 東京都台東区入谷1-9-5 日本医療労働会館5階
 TEL 03-5808-5344

●全国商工団体連合会(全商連)
 中小・零細事業者を対象にしています
 住所 〒171-8575 東京都豊島区目白2-36-13
 TEL 03-3987-8575

●全国生活と健康を守る会(全生連)
 一般勤労者はこちらに
 住所 〒160-0022 東京都新宿区新宿5-12-15 KATOビル3F
 TEL 03-3354-7431

【各地での相談】
北海道 釧路はまなすの会

〒085-0841 北海道釧路市南大通3-3-6ミナミハイツ102号
電話 0154-43-2885 火・木 10:00~16:00 土 18:00~20:00


宮城県 宮城あおばの会

〒980-0811 宮城県仙台市青葉区一番町1-17-20 グランドメゾン片平502号
電話 022-711-6225  月・水・金 13:00~16:00


秋田県 秋田なまはげの会

〒018-0951 秋田県秋田市山王町22-16 ラポール山王郷A-1
電話 018-862-2253  月・水・土 随時


群馬県 NPO法人消費者支援群馬ひまわりの会

〒376-0011 群馬県桐生市相生町3-120-6
電話 0277-55-1400  月~木 13:00~17:00 金 13:00~21:00


東京都 玉川 雑草の会

〒158-0091 東京都世田谷区中町5-17-3 玉川民商内
電話 03-3703-5371  第1日曜 19:00~22:00


大阪府 大阪クレ・サラ貧困被害をなくす会いちょうの会

(大阪いちょうの会)
〒530-0047 大阪市北区西天満4-5-5 マーキス梅田301号
電話 06-6361-0546  月~金 13:00~19:00


兵庫県 尼崎あすひらく会

〒661-0021 兵庫県尼崎市名神町1-9-1尼崎民主共同センター内
電話 06-6426-7243  日 10:00~15:00


和歌山県 あざみの会

〒640-8212 和歌山県和歌山市杉ノ馬場1丁目11
電話 073-424-6300  月~金 14:00~18:00 月曜日は夜間も相談 18:30~21:00


広島県 クレジットサラ金被害・生活支援センター福山つくしの会

〒720-0052 広島県福山市東町2丁目3番23号
電話 084-924-5070  月~金 10:00~17:00


広島県 呉つくしの会

〒737-0051 広島県呉市中央3-2-27島崎法律事務所ビル1階
電話 0823-22-7265  月、水、金 10:00~18:00


香川県 高松あすなろの会

〒760-8081 香川県高松市成合町559-15
電話 087-897-3211 0120-39-0476  月~金 10:00~17:00


高知県 高知うろこ(鱗)の会(高知クレ・サラ金被害をなくす会)

〒780-0870 高知県高知市本町4-1-37
高知県社会福祉センター3階-4
電話 088-822-2539 0120-565-275
火・土10:00~16:00 木10:00~20:00


福岡県 ひこばえの会(福岡クレ・サラ被害をなくす会)

〒810-0041 福岡県福岡市中央区大名2-2-51 第一吉田ビル501
電話 092-761-8475  月~金 13:00~17:00




Q14 制度の区別や適用要件など、あまりよくわからないので教えてほしい。
 滞納処分対策全国会議のホームページに、詳しい解説つきで掲載されているので、そちらをご覧ください。

https://tainoutaisaku.zenkokukaigi.net/




Q15 引用された通知などに従った処理がなされていない場合はどうすればよいですか。
 滞納処分対策全国会議の事務局あてに、メールまたはFAXでご連絡ください。なお、内容によっては対応致しかねる場合もありますのでご了承ください。

滞納処分対策全国会議 事務局長
弁護士 佐藤靖祥(さとう法律事務所)
電話022-722-6435  FAX022-722-6436
メール ysato@peach.ocn.ne.jp





Ⅴ 労働編
※Ⅴ-1 日本労働弁護団「新型コロナウイルス感染症に関する労働問題Q&A」(Ver4)(R3.5.31時点)

http://roudou-bengodan.org/wpRB/wp-content/uploads/covid-19_faq_20210531.pdf


※Ⅴ-2 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(労働者の方向け)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00018.html#Q2-1


※Ⅴ-3 厚生労働省「新型コロナウイルスに関するQ&A(使用者の方向け)」

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/dengue_fever_qa_00007.html#Q4-7



(休業手当)
Q1 職場からコロナウイルスを理由に「当面店舗を閉めるから自宅待機するように。給料は支払えない」と言われました。
 使用者は、「使用者の責に帰すべき事由」による休業の場合(不可抗力による休業ではなく、自発的な休業の場合)、休業期間中の休業手当(平均賃金の6割以上)を支払わなければなりません(労働基準法26条)。
 「不可抗力による休業」と言えるためには、①その原因が事業の外部より発生した事故であること、②事業主が通常の経営者としての最大の注意を尽くしてもなお避けることができない事故であることのいずれも満たす必要があります。
 緊急事態宣言が出されても指定対象外の地域であれば、店舗閉鎖等は自主的判断なので休業手当の支払義務が認められる場合がほとんどと考えられます。
 一方、厚労省はQAで、緊急事態宣言の指定地域内で営業自粛の協力依頼や要請を受けた場合は、①の要件を満たすとしたうえで、なお②休業回避のための具体的努力を最大限尽くしているといえる必要があるとしました。(上記※Ⅴ3のQ4-7)
 しかし、指定地域内でも休業を要請されていない業種はもちろん、指定業種であったとしても休業(施設の使用制限等)が新型インフルエンザ等特措法に基づく指示・公表の段階に至らない協力要請にとどまる場合には、なお休業手当の支払義務があるという考え方も十分成り立ちえると考えられます。
※ 厚労省QAに異議!全国に緊急事態宣言、それでも休業手当は支払わねばなりません

https://news.yahoo.co.jp/byline/shimasakichikara/20200426-00175291/



(雇用調整助成金)
Q2 使用者に雇用調整助成金を受けるように言っても、うちは対象にならないとあきらめているようです。
 2020年4月1日から新型コロナウイルスの影響を受ける全国の全業者に対して、雇用調整助成金の特例措置が拡大され、雇用保険被保険者以外の労働者も含め休業手当の助成等(大企業最大3/4・中小企業最大10/10、大企業でも、①緊急事態宣言が出されている都道府県の飲食業・イベント開催等の営業時間の短縮等に協力したら100%、②売上高等の生産指標が3カ月平均で前年または前々年同期に比べ30%減少していたら最大100%)が行われます。(問合先は最寄りの都道府県労働局)。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/kyufukin/pageL07.html




Q3 自己都合によって退職しました。失業給付を受けるのに3カ月待たないといけないと聞きましたが、仕方ないのでしょうか?
 2020年10月1日以降に離職した方は、正当な理由がない自己都合退職であっても、給付制限期間は2カ月に短縮されました(但し、5年間のうち2回まで)。

https://jsite.mhlw.go.jp/ibaraki-roudoukyoku/content/contents/LL020617-H01.pdf



労働問題の相談先
※ 日本労働弁護団 (HPで最新情報を確認)
【全国】03-3251-5363・5364

月火木15時~18時(都度変更あり)、土13時~16時(都度変更あり)


【女性専用】03-3251-5364 毎月第2・4水曜 15時~17時

【北海道】011-261-9099 火木18時~20時、土13時~15時

【東北】022-261-5555 水15時~19時

【東京・三多摩】042-528-1494 月木12時~14時

【埼玉】048-837-4821 火木土12時~14時

【神奈川】045-651-6441 月火水金11時~13時、17時~18時30分 

【神奈川西部】0465-24-5051 木16時~17時30分

【千葉】043-221-4884 水金13時~16時

【群馬】027-251-5707 火木17時~19時

【栃木】028-643-7711 水11時30分~13時30分、土10時~12時

【山梨】070-2675-7885 水11時30分~13時30分

【愛知・岐阜・三重】080-3650-5225 火17時~19時

【三重】059-351-6510 木17時~19時

【岐阜】080-4525-0503 水17時~19時

【福井】0776-25-7727 水18時~20時

【京都】075-256-3360 火15時~18時

【大阪】(民主法律協会)06-6361-8624 金18時~20時

(大阪労働者弁護団)06-6364-8620 火18時~20時


【広島】080-5629-6010 火金 正午~15時

【福岡】092-721-1251 水13時30分~15時30分

【北九州市】093-581-1890 水13時30分~15時30分

【長崎】0120-41-6105 随時 10時~22時

【佐賀】080-8381-6405 火17時~19時30分

【大分】097-536-1221 水13時30分~15時30分

【熊本】096-325-5700 水15時~17時

【宮崎】090-8915-6010 水18時~20時

【鹿児島】099-239-4545 水13時30分~15時30分

※ 全労連 労働相談ホットライン 0120-378-060 平日10時~17時
(地域の労働センターにつながります。)


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コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る Q&A(特例給付編)

2021年8月18日版

    
いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会


Ⅰ 中小法人・個人事業者のための月次支援金
Q1 持続化給付金の小型版のような、中小法人・個人事業者のための一時支援金制度ができたと聞きましたが、どのような制度ですか?

A 2021年1月~3月の売上に関する「一時支援金」(5月末申請期限)の継続版。概要は以下のとおりですが、詳細は、特設HPやコールセンター(0120-211-240、8:30~19:00無休)で確認してください。各地に申請サポート会場もあります。

【申請期間】2021年4月分・5月分:2021年6月16日~8月15日
      2021年6月分    :2021年7月1日~8月31日
      2021年7月分    :2021年8月1日~9月30日
      2021年8月分    :2021年9月1日~10月31日

【給付対象】①と②を満たす事業者は、業種や所在地を問わず給付対象となり得ます。
 ① 緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴う飲食店の休業・時短営業または外出自粛等の影響を受けていること※
 ② 2019年比または2020年比で同じ月の売上が50%以上減少
※2021年4月以降に実施される緊急事態措置又はまん延防止等重点措置に伴い、同措置が実施される地域において、休業または時短営業の要請を受けて、休業又は時短営業を実施している飲食店と直接・間接の取引があること、または、同措置が実施される地域における不要不急の外出・移動の自粛による直接的な影響を受けていること
※営業時短要請による協力金の支給対象となっている飲食店は対象外
【給付額】〈中小法人等〉上限20万円/月 〈個人事業者等〉上限10万円/月
 2019年または2020年の基準月の売上額 − 2021年の対象月※の売上×3
※上記給付要件②の該当月
※特設HP https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/index.html
※概要チラシ  https://www.meti.go.jp/covid-19/getsuji_shien/pdf/leaflet.pdf
 
Q2 給付要件①の「緊急事態宣言に伴う飲食店時短営業または外出自粛等の影響を受けていること」は具体的にどのように判断されますか?

A 申請時に、代表者又は本人が自署した「宣誓・同意書」(内容は検討中)を提出する必要がありますが、一時支援金においては必要とされていた「宣言地域」に所在する対象飲食店と直接又は間接に取引していることによる影響や、主に対面で個人向けに商品の販売又はサービスの提供を行っていることによる影響(BtoC事業者、旅行関連事業者)を受けていることを申告したうえで、原則として売上が大きい取引先2者の名称、住所、電話番号等を記載した「取引先情報一覧」の提出はなくなったようです。一時支援金の利用(申請件数38万件)が想定(160万件)を大幅に下回ったことを考慮したと思われます。
 また、申請時に提出は不要ですが、「取引先が、宣言地域内で時短営業の要請を受けた飲食店または宣言地域の消費者であることを示す書類」(宣言地域内で消費者向けの事業を行っていることを示す、商品・サービスの一覧表、店舗写真及び賃貸借契約書等)をいつでも提出できるよう準備し7年間保存することが求められています。


Ⅱ 新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金

Q1 休業手当が支払われない労働者に対して、国が、直接、休業支援金を給付する制度ができたと聞きました。どういう要件で支給されますか?
 厚生労働省のHPやコールセンター(0120-221-276 月~金 8:30~20:00/土日祝 8:30~17:15)で情報の確認ができます。

【給付対象者】
 ① 一定の期間に、事業主の指示により休業した中小企業の労働者で、
 ② その休業に対する賃金(休業手当)が支払われない方
【支給額】休業前賃金の8割(日額上限11,000円)
【算定方法】
休業前賃金の1日当たり平均賃金×80%×(各月の日数(30日又は31日)―就労した又は労働者の事情で休んだ日数)
【手続内容】
 ① 申請方法:郵送またはオンライン申請
 ② 必要書類:ⅰ申請書、ⅱ支給要件確認書、ⅲ本人確認書類、ⅳ口座確認書類、ⅴ休業開始前賃金及び休業期間中の給与を証明できるもの
【給付の方法】
 申請者本人名義の銀行口座への振込みにより行う。
【申請の締切】本年5月28日プレスリリースで以下のとおり、申請対象期間が延長されました。
申請対象期間申請期限
中小企業 令和2年10月~令和3年4月令和3年7月31日(土)
令和3年5月~6月 令和3年9月30日(木)
令和3年7月 令和3年10月31日(日)
大企業令和2年4月~6月 令和3年7月31日(土)
令和3年1月8日~4月
令和3年5月~6月 令和3年9月30日(木)
令和3年7月 令和3年10月31日(日)


※ 厚労省特設HP
https://www.mhlw.go.jp/stf/kyugyoshienkin.html


※ 令和3年7月28日付「新型コロナウイルス感染症対応休業支援金・給付金」のご案内
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000811764.pdf


※ 厚労省「新型コロナウィルス感染症対応休業支援金・給付金Q&A」(R3.7.28更新)
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000811791.pdf



Q2 学生アルバイト、外国人・技能人実習生は対象となりますか。
 雇用保険に加入していない昼間学生のアルバイトの方でも、また、国籍を問わず、日本国内で働く労働者であれば対象となります。

Q3 新たに雇い入れられたばかりですが、対象となりますか。
 令和2年4月1日以降に新たに雇い入れられた労働者については、雇い入れ日から当該日の属する月の翌月末までの間の休業は対象となりませんが、それ以降であれば対象となるとされています(例えば、4月15日採用であれば、6月1日以降が対象)。

Q4 新卒として4月から採用されましたが、対象となりますか。
 新規学卒者等は、入社時期が繰り下げられた結果、1日も勤務していなかったとしても、対象となります。その場合、予定されていた給与額で算定することになるので、雇用契約書・労働条件通知書等の賃金額が分かる書類を添付することになります。

Q5 休業していた事業所を既に離職していても、対象となりますか。
 対象となります。

Q6 大企業で働く場合は支給を受けられないと聞きました。支給を受けられる中小企業の範囲について、教えてください。
 産業分類毎に、「資本金の額・出資の総額」と、「常時雇用する労働者の数」のいずれかが下記の条件を満たしていれば、「中小事業主」となり、支給を受けられます。

小売業 (飲食店を含む) /5000万円以下/50人以下
サービス業/5000万円以下/100人以下
卸売業/1億円以下/100人以下
その他の業種/3億円以下/300人以下



逆に、両方を満たしている場合は大企業となり、支給を受けられず、不公平な制度であると批判されていましたが、以下のとおり、対象が拡大されました。
〇 対象となる労働者
 大企業に雇用されるシフト労働者等(シフト制、日々雇用、登録型派遣等、労働契約上、労働日が明確でない方)であって、事業主が休業させ、休業手当を受け取っていない方
〇 対象となる休業期間及び支給額
  令和3年1月8日以降の休業 ※     休業前賃金の80%
  令和2年4月1日から6月30日までの休業  休業前賃金の60%
※令和2年11月7日以降に時短要請を発令した都道府県は、要請の始期以降の休業も含む

※リーフレット「大企業の一部の非正規労働者も対象となります」
https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000745177.pdf

Q7 事業主の指示により休業していることをどうやって確認するのですか。
 申請の際、労使共同で、「支給要件確認書」を作成することにより確認します。

Q8 事業主が休業証明に協力してくれない場合、個人からのみの申請は可能ですか。
 申請にあたって、事業主が休業証明を拒んだことを「支給要件確認書」に記載して申告します。これにより、労働局が事業主に報告を求めます。事業主から回答があるまでは審査できないことになるので、その分、申請から支給まで時間がかかってしまいます。

Q9 日々雇用・登録型派遣・シフト制の労働者なども新たに対象になったと聞きましたが本当ですか?
 そのとおりです。支給要件確認書で休業の事実が確認でる場合のほか、以下のケースは対象となりました。以前に不支給決定を受けた方も、改めて申請することも可能です。
① 労働条件通知書に「週●日勤務」などの具体的な勤務日の記載がある、申請対象月のシフト表が出ているといった場合で、事業主にその内容に誤りがないことが確認できる
② 給与明細等により、過去6か月以上の間、原則として月4日以上の勤務がある事実が確認可能で、かつ、事業主に対し、新型コロナの影響がなければ申請対象月において同様の勤務を続けさせていた意向が確認できる

Q10 学生支援緊急給付金を受け取っていても、休業支援金・給付金を受給できますか。
 制度の趣旨・目的が異なるので、受給できます。

Q11 支給申請後、支援金・給付金が支払われるまで、どれくらいかかりますか。
 厚労省は、「申請後、支援金集中処理センターで審査を行い、書類が整っている場合には、概ね2週間程度で支給決定(支給完了)又は不支給決定を行います」と説明しています。

Q12 不支給となった場合に不服申立てはできますか。
 厚労省は、「支給金・給付金の支給・不支給の決定は行政処分ではないため、不服申立てはできません。」と説明しています。

Q13 複数の事業所で働いており、複数の事業所がいずれも休業している場合、それぞれの事業所の分で支給を受けられるのですか。
 複数事業所の休業について支給を受けられます。ただし、申請時に、複数事業所分の情報をまとめて申請する必要があります。別々に申請すると、あとから申請した分は無効となってしまいますので、注意してください。


Ⅲ 低所得の子育て世帯に対する子育て世帯生活支援特別給付金

Q1 低所得の子育て世帯に対する給付金が支給されると聞きましたがどのような制度ですか?
A ひとり親だけでなく、それ以外の養育者含めて以下の低所得の子育て世帯対象の特別給付金の支給が決まっています。

【給付額】対象児童1人あたり一律5万円

ひとり親世帯分
【対象者】
① 令和3年4月分の児童扶養手当受給者(申請不要)
② 公的年金等を受給していることにより、令和3年4月分の児童扶養手当の支給を受けていない者(児童扶養手当の支給制限限度額を下回る者に限る)
③ 令和3年4月分の児童扶養手当は受給していないが、新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、収入が児童扶養手当受給者と同じ水準となっている者

【支給スケジュール】
①の対象者には可能な限り5月末までに支給(申請不要)
②③の対象者についても可能な限り速やかに支給(要申請)

※リーフレット 
https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000797823.pdf
※コールセンター(ひとり親世帯分) 0120-400-903(平日9時~18時)


ひとり親世帯以外分
【対象者】
① 令和3年4月分の児童手当又は特別児童扶養手当の支給を受けている者であって、令和3年度分の住民税均等割が非課税である者(申請不要)
② ①のほか、対象児童(令和3年3月31日時点で18歳未満の子(障害児については20歳未満)、令和3年4月以降令和4年2月末までに生まれる新生児も対象)の養育者であって、以下のいずれかに該当する者(要申請)
ア 令和3年度分の住民税均等割が非課税である者
イ 新型コロナウイルス感染症の影響を受けて家計が急変し、令和3年度分の住民税均等割が非課税である者と同様の事情にあると認められる者
【支給スケジュール】
①の対象者には令和3年度分の住民税均等割が非課税である者の判明以降、可能な限り速やかに支給(申請不要)
②の対象者についても可能な限り速やかに支給(要申請)

※リーフレット https://www.mhlw.go.jp/content/11920000/000783519.pdf
※コールセンター(ひとり親世帯以外分) 0120-811-166(平日9時~18時)

Ⅳ 新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金
Q1 社協の総合支援資金を借り切った世帯に対する給付金の制度が創設されると聞きましたが、どんな制度ですか。
 社協の特例貸付の利用が終了した世帯の生活を支援するための給付金ですが、収入・資産要件が住居確保給付金と同じで低すぎるため、活用に積極的な自治体でも利用が特例貸付終了世帯の1割程度にとどまり低迷しているようです。

【対象】
総合支援資金の再貸付を終了した世帯、再貸付について不承認とされた世帯で〔再貸付等終了要件〕あって、以下の収入要件、資産要件、求職活動要件等を満たす世帯(生活保護受給中の世帯を除く)

〔収入要件〕
「市町村民税均等割が非課税となる収入額の1/12」と「生活保護の住宅扶助基準額」の合計額を超えないこと

〔資産要件〕
世帯の預貯金の合計額が上記収入要件の前者の6月分を超えないこと(但し、100万円を超えないこと

〔求職活動等要件〕
以下のいずれかを満たすこと
ア 職安に求職の申込をし、誠実かつ熱心に求職活動を行うこと
イ 就労による自立が困難であり、本給付終了後の生活の維持が困難と見込まれる場合には、生活保護の申請を行うこと



【支給額】
単身世帯:月額6万円
2人世帯:月額8万円
3人以上世帯:月額10万円
※住居確保給付金、ひとり親世帯臨時特別給付金、低所得子育て世帯生活支援特別給付金との併給は可能とする。但し、職業訓練受講給付金との併給は認められない。

【支給期間】
7月以降の申請月から3カ月(申請受付は8月末まででしたが、8月17日付事務連絡で11月末まで延長されました。

【実施主体】
福祉事務所設置自治体



※新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金Q&A
https://www.mhlw.go.jp/content/000804134.pdf


Ⅴ 学生支援緊急給付金

Q1 経済的困難を抱える学生に対する給付金が創設されたと聞きましたがどのような制度ですか?
 申請窓口は各大学等であり、要件該当性の最終判断も各大学等に委ねられているので、詳細は所属する大学等に確認しましょう。

【対象学生】国公私立大学(大学院含む)・短大・高専・専門学校(日本語教育機関含む)
【給付額】住民税非課税世帯の学生20万円
     上記以外の学生     10万円
【手続】 各学生は、所属する各大学等に申請し、大学が審査した上で日本学生支援機構にリストを提出します。
【要件】 家庭から自立してアルバイト収入で学費を賄っている、アルバイト収入が大幅(50%以上)に減少しているなど6つの要件が設定されていますが、最終的には大学側が学生の状況を総合的に判断します。



Q2 現在も募集されていますか?
 2020年5月に制度が開始され、同年7月に追加配分が、同年12月に再追加配分が実施されましたが、その後の対応は現在のところ不明です。

※ 文部科学省HP(よくある質問等)
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/mext_00686.html



Ⅵ その他(地方独自の給付金制度や国の動きなど)

Q1 都道府県、市町村など地方独自の支援策にはどのようなものがありますか?
 すべてを把握することは困難ですが、「j-net21」のサイトにまとめがありますので参考にしてください。

https://j-net21.smrj.go.jp/support/tsdlje00000085bc.html




印刷版(PDF)のダウンロードはこちらから


アップが遅くなりましたが、いのちとくらしを守る何でも相談会実行委員会が2021年6月12日に実施した相談会(第8弾)の集計です。

相談集計PDF版はこちらからダウンロードできます。


「過去8回の件数・割合の推移表」はこちらからご覧いただけます。
相談者や相談種別の変化の傾向がお分かりいただけると思います。

貧困研究会の方々のご協力で、相談内容の傾向を分析していただきました。
「なんでも相談会2021.6.12実施分分析結果速報値(貧困研究会)」はこちらからご覧いただけます。



コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る 何でも電話相談会【第8弾】
集計報告


1.実施
・日時 6月12日(土)10時~22時
 (地域により終了時刻は異なります)
・開催地域 29都道府県・38会場
・電話回線 93回線
・相談員数 延べ313名 

2.相談件数 954件

3.分野別相談件数

生活費問題 567件
うち、生活保護に関する相談 213件
給付金・助成金に関する相談 365件


住宅問題 54件
うち、家賃滞納に関する相談 19件 
住宅ローンに関する相談 14件


債務問題 41件
労働問題(被用者) 61件
事業問題(事業者) 26件
家庭問題 19件
健康問題 29件
他 142件



4.相談者の年代別件数

10代 1件
20代 14件
30代 37件
40代 71件
50代 176件
60代 212件
70代以上 261件



5.相談者の性別件数

男性 559件
女性 389件
他  3件



6.職業・地位別相談件数

自営業者 90件
家族従事者 4件
フリーランス(個人事業主) 39件
会社などの役員 1件
正規職員、従業員 54件
パート、アルバイト 20件
契約社員 118件
派遣 22件
嘱託 4件
その他 23件
不明 81件
非該当(無職) 418件


 
7.月収別相談件数

~10万 274件
~20万 99件
~30万 11件
~40万 10件
~50万 9件
51万~ 3件



8.所持金別相談件数

ない 68件
~1000円 70件
~5000円 13件
~1万 9件
~10万 46件
~20万 14件
21万~ 65件



9.アンケート「国の施策を評価しますか」

全く評価しない 96件
評価しない 91件
どちらともいえない 99件
評価する 29件
高く評価する 5件




■相談概要
1.生活に関する相談
(1)生活保護
ア.忌避感

・生活保護を受給したいが兄弟に知られたくない。子どもはよい。
・80代女性。4か月入院していた。医療費が大変で困っている。退院したが借家を更地にしたいと言われ住むところを失いそう。生活保護は考えていない。
・コロナで外国人観光客が減ってガイドのアルバイトがなくなった。生活が苦しい。緊急小口資金、総合支援資金借り切った。生活保護は受けたくない。(70代男性)
・シルバーセンター就業後、直接雇用されてアルバイトで働いて来たが週4勤務が2日になって生活が困窮している。小口は年金が年間150万あるので出ないと言われた。生保は受けずに何とかしたい。80代 男性。
・食堂経営。小口の緊急貸し付けを18万受けた。2年で返済できる見込みがない。自分は70代で、売り上げがないと食べていけない。生保はためらいがある。他に道はないか。70代 男性
・自営業者、65歳で体調不良となり、生活困窮。生活保護は絶対に受けたくない。
・80代。美容室の自営。現在は娘が店を継承しているがコロナ禍で売り上げが減り、生活が苦しい。年金も3万/月程度。社協の貸付や生活保護は娘から反対される。
・60代女性。デパートでの催事の仕事。今年2月からコロナで仕事がない。年金も少なく、手持金もわずか。生活保護以外で支援制度はないか。
・特例貸付は利用済みで住居確保給付金は最近申請した。生活保護は相談に行ったが金額が少なく「なぜこんなに少ないのか」と聞いたら「年寄りは余り食べなくていいから」と言われ衝撃を受けた。生活保護は受けずに自分で何とかしたい。(70代・独居女性)
・80代夫婦。家電小売業だがコロナで収益がゼロに。持ち家で月7.5万円の年金収入のみ。税金や借金の滞納もかなりあるが、生活保護は恥なので受けたくない。
・70代女性。自営でカラオケスナックを30年間やってきたが限界。大阪府に協力金を申請したが3ヶ月経ってももらえない。借金もある。生活保護は絶対に嫌だ。

イ.水際作戦
・70代男性 独居。糖尿病で右目が弱視。4年前に生保申請断られた。車は手放す。申請同行のお願い。
・30代女性。収入が減って家賃・光熱水費が払えていない。生活保護の相談に行ったが「若いから働きなさい」など2回追い返された。
・50代女性 母子家庭。子どもが18歳未満の時は扶養手当やいろいろな制度があったが、大学生(18歳)になったらほとんどの支援がなくなった。生活保護の相談に行ったら断られた。
・50代男性。コロナ禍で仕事を失った。社協の貸し付けは2つとも利用済み。生活保護の相談に行ったが「若いからダメ」「もっと求職活動を」と断られた。
・自分が亡くなった後の葬祭費用等のため掛け捨ての生命保険を契約しているが、生活保護について市役所に相談したら、生活保護を受けるためには生命保険も解約する必要があると言われた。掛け捨ての生命保険でも本当に解約しなければいけないのか。(60代女性)
・緊急小口資金、総合支援資金を限度額いっぱいまで借りた。預貯金なし。自家用車があるので生活保護を受けられないと言われた。(60代女性)
・失業中で1年くらいまともに食べていない。以前生活保護の相談に行ったが、いろいろ条件をつきつけられて申請しなかった。保険証もなく病院にもいけない。現金がなく食べ物に困っている。(50代男性)
・警備員をしていたが月10日しか仕事がなくなった。お金を貸してほしいと社協にいったが、締め切ったと言われた。父が認知症、娘に頼んで仕事に出ていた。父は入院したが費用が高い。切りつめても厳しい。生保は税金の滞納があるから受け付けてもらえず。預金を食いつぶした。父と死のうと思った。70代 男性。
・60代女性。持ち家で母と姉と年金で生活。固定資産税の通知が来たが支払えない。生活保護の相談に行くと「車があるとダメ」と言われた。
・80代独居女性。持ち家で年金月4万円で生活。貯金は数百円。生活保護の相談に行ったら「車(10年ものの軽)があるから」と断られた。
・50代男性 2人世帯 持ち家がある。派遣でいろいろな工場を転々として、2020年秋に怪我をしてその後解雇になり、その後、仕事が見付からない。生活保護の申請に行ったが不動産を売ってからでなければなどと言われてダメだった。
・40代男性。両親亡くなり母名義のマンションに独居。発達障害で思うように働けない。年金は月65,000円、他の収入無し。相続人は他に妹2人(別世帯)。生保申請したが、マンションの処分をするよう言われた。税金、管理費など払えない。
・50代 対面事業の委託従事者。コロナで対面できずほとんど収入ゼロ。アパート引き払い知人のアパートで共同生活(住民票は世帯主2人)。生活保護相談したが「同住居の世帯合算収入が上限超え」のため対象外と言われた。小口資金等も5月で終了。

ウ.その他
・60代男性。土木関係で4月頃まで働いていた。今は仕事がない。同居者無し。子(成人)別居。障害2級、月5万円程度の障害年金。生活保護受けられるか?
・60代男性。前回も相談。無職。預金を取り崩し、残り50万円程度。いろんなところに相談したが、生活保護をすすめられる。市役所に行ったら、1か月分程度の生活費になったら再度申請するよう言われた。その時でも大丈夫か。
・50代男性 1週間前からアルバイト。1500円/時間。体調悪く続けられるか不安。預金を取り崩して生活。社協で借りたくない。返せるか不安。生活保護を受けたいが扶養照会されると困る。役所の対応悪い。
・50代男性。仕事を失い貯金もなくなった。母親に財産があり母親の後見人から「生活保護を申請するな」と言われている。家賃を3か月滞納。自動車保険も払えていない。
・緊急小口資金、総合支援資金を借り切った。持ちマンションに住んでいるので生活保護は受けられないか。(60代男性)
・コロナ前に失業し、求職中にコロナ禍になり仕事に就けない。住宅ローンが払えなくなった。確定拠出年金があるが、生活保護は受けられないのか。(50代男性)
・生活保護を受けたいが、自己破産が必要とか、引越が必要と言われた。(50代男性)
・1年半仕事を探してやっと見つけたが、コロナに感染し3月で倒産した。小口も借りた、年金が少ない。貯金も減り始めた。生活保護を受けたい。60代女性。
・夫婦年金で200万。生活が苦しい。生活保護は対象にならないと言われた。70代男性。
・障害基礎年金+生活保護。車椅子1級。家賃が溜まった。携帯も滞納。60代 男性。
・生保受給で食糧支援を受けていた。4月から担当者が変わり、対応が変わり受けられなくなった。食べるものがなくて困っている。70代男性。
・生保受給中。接種券が来ない。80代 男性。
・海外との貿易で生計していたが、コロナで仕入れが出来ず1年前から収入なし。生活保護を受けたい。60代男性。
・生活保護世帯への支援はないか。70代男性。
・日雇いの仕事をやりつつ、友人から生活費を借りて生活している。生活保護申請はめんどくさい。70代男性。
・60代男性。コロナの影響で失業。年金少なくようやく生活保護を受けることができた。しかし、借金や滞納もあり大変。
・年金とパート(週3日勤務)で生計維持、腰痛手術後に働けなくなり年金だけでは生活困窮。小口資金等を利用したが終了となり、生活保護申請するが「資産要件」で対象外と言われている。
・70代夫婦、自宅を売却して「格安マンション」を購入して生活。夫婦ともに持病が悪化して就労不可。小口資金等利用、貴金属も売却、生活保護は「持ち家があるとダメ」と聞いているので相談もしていない。
・法63条返還等により生活できるレベルになくなり死ぬしかない。
・完全歩合制のタクシー運転手。給付金や貸付金で考えられるものは全て利用している。生活保護申請を考えているが、24時間勤務で帰りが夜中になり通勤に車が必要。今回は車の処分をしなくて良くなったと聞いたが本当か。(70代・独居男性)
・年収は年金だけ153万円(月12万7500円)。病院代や通院の交通費など多額になっている。食事も切り詰めている。生活保護利用したいと市にいったら、役所の方が来て「無理ですね」と言われた。
・シングルマザーになって5年。療養手帳を持つ5年生と自立支援を受けている2年生を抱え、ダブルワークしていたが、体に限界を感じる。精神疾患のためB型事業所で働いてる。障害年金を受給。生活保護も考えたが車を保有(子どもをデイサービス必要)と公務員の姉のため、躊躇。
・50代男性。生活保護申請中。生活が苦しい。心筋梗塞で治療中。生活保護費を上げて。
・70代男性。夫70代で、妻70代を介護(要介護4)。娘と一緒に介護しているが、生活保護を申請したい。息子の家に同居。
・単身男性、所持金3000円。5月16日に生活保護申請をしたが、間もなく1か月だが、未だ決定が出ておらず、所持金がなくなってきているが、どうすればいいか。
・不動産(1Kのマンション)を所有しているが、生活保護を申請したら福祉事務所に売却が必要であるといわれたが、生活費がなく、緊急小口資金も総合支援支援金の利用もできないので、生活保護を申請するしかないのか、また本当に不動産は必ず売却しなければならないのか。
・車を持っていても生活保護を利用させてほしい。市役所の職員から「タクシー代を使いすぎている。減らしてください」と言われて腹立つ。

(2)給付金・助成金
ア.特例貸付

・コロナの影響で失業。職業訓練を経たものの仕事がなく総合支援資金を利用。再貸付の審査が下りなくて困っている。
・コロナの前にパワハラが原因で失業。そのため、コロナが原因で収入減でないため総合支援資金などの審査が通らない。
・男性。緊急小口資金、総合支援資金で200万円借りている。さらに借りられる方法ができたと聞いた。
・60代女性。 介護施設の調理で働いている。緊急小口資金、総合支援資金など200万円借りたがもうなくなる。
・緊急小口資金や総合支援資金を返すときの条件が不安。(60代男性)
・60代女性。夫婦二人暮らし。夫が病気で働けなくなった。経済的に苦しい。貸付は借金だから返さないといけない。でも返すあてがない。
・70代女性。年金が少なく家賃が払えない。特例貸付は過去に借りた分の返済が終わっていないため認められなかった。
・年齢不詳男性。社協の特例貸付を2回うけたが3回目は却下された。理由がわからない。
・70代女性。4月に総合支援資金の申請をして月15万円を6月分までもらっているが、引き続き貸付を受けることは可能か。厚労省のコールセンターに何度も電話しているがつながらない。
・40代女性 単身。離婚し保育園で働いている。借金もあるので風俗のアルバイトもしてきたがコロナで収入が減り、やりくりができなくなっている。借金があるが、特例貸付は利用できないか。

イ.生活困窮者自立支援金
・80代の親と2人暮らし。ともに無職。緊急小口資金を借りている。預貯金切り崩しているが、底をつきそう。生活困窮者自立支援金について知りたい。(50代男性)
・コロナ前は契約社員だったが定年で辞めてアルバイトになり、給料少なく生活が苦しい。生活困窮者自立支援金は要件を全て満たさないと受けられないのか。条件が厳しすぎる。(60代女性)
・小口は借りた。自立支援金のことを聞きたい。コロナに感染したあと体調が良くない。60代男性。
・小口、支援金をフル活用。飲食業で仕出しをやっているが、市役所等の取引先で売り上げが下がっている。新たな支援金は対象になるか。60代男性。
・小口20万、支援資金を使っている。5月に仕事の見込みがあったが、結局なくて生活が苦しい。自立支援金を使いたい。80代女性。
・夫・妻とも精神障害者2級。就労できない。小口も総合支援金も受けられなかった。今回の自立支援金は受けられるか。40代男性。
・50代女性。旅館でパート勤務。休館が続き、収入減となり生活が苦しくなったので社協の貸付を利用。それも底をついたので相談したところ自立支援金を案内された厚労省に問い合わせる様、言われたため連絡するも繋がらず。詳細を教えてほしい。
・支援金の申請をしたが3回不支給の回答があった。理由は教えてくれない。昨年、脳溢血で倒れ仕事を辞めた。緊急小口資金は受給した。50代男性
・生活困窮者自立支援金をTVで見た。どういう制度か、生活保護は受給しているがダブルでももらえるか。50代女性。
・最大30万円の生活困窮者自立支援金のことが知りたい。
・50代女性。2人世帯。社協の緊急小口資金、総合支援資金を借り切った。今、国が言っている生活困窮者自立支援金は受けられるか。社協や役所に聞いてもはっきりしない。
・50代女性。社協の貸付は全て利用した。現在、Wワークもしている。生活困窮者自立支援金はいつから、どうなるのか。まだ、働けるし生保は扶養照会があるからダメ。
・60代女性。総合支援金の貸付を受け4月末の支給が最後だったが、新設の「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の支給は受けられるのか。
・70代女性。イベント業をやっていた夫の収入が昨年から一気に減少し、特例貸付を利用してきた。8月が最終借入月だが、新設の「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の支給は受けられるのか。
・50代男性 タクシー運転手。コロナ前に比べて収入が半減。特例貸付をフルに使ってしまった。新設の「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」の支給は受けられるのか。
・男性単身。特例貸付を使い切った。「新型コロナウイルス感染症生活困窮者自立支援金」について教えてほしい。
・70代男性 3人世帯。妻が弁当の製造等の自営業、私はその手伝い。息子は障害があり無職。コロナで弁当の納入先が営業自粛となり売上が激減している。月に5~6万円の自営業収入と、私の月3万6000円の年金収入しかなく、この間、特例貸付を満額利用、5月の振込で最後。住居確保給付金のことは知らず使ってこなかった。生活困窮者自立支援金について教えてほしい。
・70代女性。2020年3月から休業。4月に会社が倒産した。住居確保支援金・緊急小口資金・総合支援資金は利用した。仕事を探しているが見つからない。生活困窮者自立支援金について知りたい。

ウ.住居確保給付金
・住居確保助成金は延長はあるか。40代女性。
・派遣の仕事がなくなる。妻は家出した。住宅確保給付金の申請に行ったが妻の収入がわからないので受け付けてもらえず。30代男性。
・60代男性 単身 月収9万円。埼玉県内の市の窓口に住宅確保給付金の申請に行ったら、あまりにひどい扱いをされた。

エ.その他
・30代女性。甥っ子が交際者宅に同居していたが追い出された。住所がないため貸し付けを受けられない。身近に相談できる人がいない。
・国民年金は2月で8~10万。小口利用。パート週4日。借りられる給付金はないか。60代男性。
・民泊の清掃業務の請負。昨年は収入が以前の50%減となった。小口も支援金も使い切った。40代 女性。
・5月末で生保終了。6月末までに家賃の支払いが必要だが給料日までに何か公的支援はないか。男性。
・持病がある。家族の介護の為に仕事を退職し無職に。貯金があるので生活保護も使えない。コロナ禍で何か使える支援はない。50代男性。
・ブティック店の経営。コロナ禍で経営が悪化の一途を辿っている。国が実施している施策は飲食店支援が主でアパレル業界などは蚊帳の外の状態にあり、このままでは廃業は必至である。
・40代男性。加工工場を経営。コロナで売り上げ減が続く。社協の貸付利用したが、まだまだ苦しい。さらに利用できる制度はないか。
・60代男性。飲食業。以前は生活保護受給。自営はじめて直ぐコロナ禍に。給付金申請をしているが下りるのが遅く、出ても固定費や水光熱費でなくなる。生活が大変。
・60代男性、単身。特例貸付を200万円まで枠いっぱい借りた。5月7日に最後の入金があり、手持ちがわずか。利用できる制度はないか。住宅確保給付金制度は知らず、利用してこなかった。生活保護は以前利用したことがあるがケースワーカー対応に傷付いたので利用したくない。
・50代男性 無職 3人世帯。特例貸付を枠一杯借りた。何か他に制度がないか教えてほしい。
・70代男性 2人世帯。収入が半減し、生活がどんどん苦しくなる。特例貸付、住居確保給付金も利用してしまった。他にも何か制度はないか。
・60代女性 2人世帯。夫はホテルのフロントで働いていたが今年の4月に仕事を失った。特例貸付をフルに借りた。何か利用できる制度はないか。

(3)失業者
・持病がある。家族の介護の為に仕事を退職し無職に。貯金があるので生活保護も使えない。コロナ禍で何か使える支援はないか50代男性
・一人親方の大工。仕事がなく、生命保険を切り崩して生活している。
・60代男性。2カ月前に退職。8月から失業給付を受けられるがそれまでのお金がない。なにか支援してもらえる制度はないか。
・60代女性 2人暮らし。2~3年前まで働いていたが失業中。同居の兄弟は収入あるも生保基準以下。
・60代男性 2人暮らし。パートで働いていたが失業。収入は年金3~4万円/月のみ。車手放せない。
・60代男性。病院の設備などの委託で働いていたがクラスターが増え感染が怖くて2020年10月に退職。仕事が見つからない。生活に困っている生活を支える制度はないか。
・アルバイトをしていた飲食店が閉店。ハローワークに通うが再就職先が見つからない。再就職先が決まるまでの間、支援をうける制度はあるか。(60代女性)
・コロナ禍で失業し、収入が途絶えて高齢の父母の国民年金しかなく生活が苦しい。父母とも認知症で介護の負担も重い。(60代女性)
・働いていない。貯金は50万円くらいしかない。どうすればよいか。50代女性。
・DVで他県から転居。仕事も失った。70代女性。
・個人タクシー廃業して生活に困難。8月からの家賃払えない。抗がん剤治療中。70代男性。
・職を失ったため収入が途絶えた中で、借家(アパート)のリフォームの必要から退去を求められ、生活費のことや居住場所のことで困窮化している。
・50代男性。6年前に失業。その後は両親の年金で生活も昨年死亡。求職活動をしているが条件が厳しく見つからない。現在は個人年金と残っていた退職金で生活しているがこの先が不安。
・70代女性。昨年まで漁業をしていたが夫の入院で廃業。船を売りに出しているがなかなか買い手がいない。持続化給付金も使ってしまい、年金も少なく今後が不安。
・現在、求職活動中だが仕事がみつからない。
・40代男性 無職。親からの仕送りで生活。預貯金が数万円。1年前に国保が失効。
・無職。職安に行っているが若い人が多く自分に仕事は回ってこない。緊急小口資金、総合支援資金は全て援助受けているが生活できない。どうすればいいか。(50代・独居男性)
・40代女性。昼は会社で夜はスナックバイトでダブルワークしてきたが、社長が亡くなり会社は廃業、バイト先のスナックも1月から休業で収入がゼロに。生活がしていけないし、娘の高校の費用が払えない。
・仕事がなく、アパートの家賃払えず、電気、ガス、水道停止。50円しかない。
・40代男性。コロナの半年前から無職の両親と同居しているが、両親との関係が断絶しており、口もきかず、両親には年金収入があるが金額も分からない。仕事を探しても一向に見つからず、親からは食事以外には援助してもらえず、困っている。特例貸付等は「コロナで減収」が条件になっているので窓口ではじかれてしまい、使える制度が全くない。
・70代男性 無職。仕事をしたいが見つけるのがとても難しい。生活保護は抵抗がある。
・70代男性 2人世帯。2020年6月に失職し、その後、ハローワークにも行ったがなかなか仕事がなく、妻の年金収入のみで生活が苦しく、借金が300万ほどある。
・50代女性 単身。2020年6月にコロナで仕事を失い、特例貸付を2021年5月までで枠一杯利用した。毎日ハローワークに通っているが、仕事が見つからない。
・50代男性 単身。アルバイト収入が月5、6万。特例貸付はフルに使った。家族を失い、ハローワークに行って仕事は探しているが、ダメで死にたい。
・50代男性 単身。2020年3月に腰を痛め、派遣会社やめた。その後仕事見つからず。合間に小さなバイトをしてつないでいるが、とにかく仕事が見つからない。今は、米はあるので、それで食いつないでいる。総合支援資金は借りられるか。

(4)高齢者
・70代男性。緊急小口資金20万借りたが生活できない。市民税の滞納もある。車のローンもあり月10万円の年金では暮らせない。
・コロナの影響で小売業のパートなくなった。病気で働けない子と同居。他県にいる家族が病気で手術をし、入院費が必要。何か使える制度はないか。(70代女性)
・製造業を営んでいるが、売上げがなく、預金もなく生活に困っている。(80代女性)
・配偶者が他界したが、遺族年金がもらえず、国民年金月5万円では生活が厳しい。子のところに居候しているので生保も難しいのではないか。医療費支払い困難により受診を控えている。目が悪く、耳も聞こえにくい。(80代女性)
・高齢を理由に4月に解雇され、配偶者も5月で仕事がなくなった。年金なし。去年の特別定額給付金は、自分はコロナとは関係ないと思いもらわなかった。どうしたらいいか。(80代男性)
・年金暮らしで生活が苦しい。別居の子がいるが援助は受けられない。(70代女性)
・自営業をしていたがコロナの影響で閉めた。年金で借入を返済しているが厳しい。(80歳)
・生活に困窮している。独身で年金10万とアルバイト8~9万。バイト先のレストランが廃業した。総合資金と自立支援金をもらった。2回のワクチンが終わったら仕事を探したい。70代男性。
・新しい支援金で上限が80万支給を受けられるとNHKで放送された。緊急小口は借りた。 男性70代。
・歯が全然ない。長男は週3日の仕事、病院に行くお金がない。お金を借りられないかと電話した。80代女性。
・コロナの前は1人親方で月20万円、今は1日2時間で月17日。手取り3万円と年金9万。生活保護は断られた。小口は返済を考えると利用をためらう。70代男性。
・新しい支援金制度は使えるか。小口は借りれなかった。昨年11月に心筋梗塞も発症で仕事を辞めた。ワクチン接種が終わったので仕事を探したい。70代男性。
・今後、預貯金が減ったら生活ができない。70代男性。
・80代の妻が4年前から施設。年間130万の費用がかかる・自分は年間70万の年金で生活している。カードで借金が160万円ある。妻が6月に手術。お金がかかるので貸し付けを受けたい。子どもにはこれ以上援助を頼めない。
・年金とパートで月10万円。家賃4.5万で貯金100万を取り崩している。仕事を探すが、この歳では雇ってくれない。70代女性。
・年金は2月で23万円だが、税の滞納のため、半額を年金から引かれた。お金が尽き、6月7日から何も食べていない。70代男性。
・8ケ月前に年金の申請をしたが、6月15日から初回支給。その間は無収入。生活費の足しになる施策はないか。60代男性。
・年金生活で苦しい。貸付制度など利用できるものはないか。社協にTELしたが交付にならないだろうと言われた。60代男性。
・70代男性。年金だけでは足りずタクシー運転手をしてきたが仕事が激減した。生活が苦しい。
・60代男性。夫婦で派遣労働者として働いてきた。いま仕事がなくなり困っている。借金もある。こんな状態では将来が不安。
・70代夫妻。タクシー運転手だったが、コロナ感染が怖くて今年の第4波から仕事に行けなくなり、収入が夫婦の年金月12万円だけになった。生活保護も以前ダメと言われたので、こうなれば臓器を売って自分の葬儀代を出したい。臓器が売れるところを教えて欲しい。
・85歳の夫と2人暮らし。年金収入のみ。夫が病気で入退院繰り返す。借り入れが必要。区役所・社協に相談したら、保証人必要と言われた。
・70代女性。80代の夫が病気になり、仕事を休まなければならなくなった。生活できない。
・60代女性 単身。ホテル厨房で皿洗いの仕事などをしているが、2020年10月から給料が6割減り、月2万5000円の年金と合わせて月額9万円の収入しかなく生活が苦しい。

(5)その他
・コロナで収入が減ったため実家に避難している。養育費の支払いが生活費を圧迫しており困っている。
・シルバー人材センターの仕事が打ち切られた。緊急事態宣言で入浴困難世帯が増えている。公民館で100円で入れたが休止。自宅にはシャワーしかない。70代女性。
・60代女性。パート仕事が減ってしまい生活が苦しい。同居している子どもも仕事が減ってしまったようで頼れない。

2.労働に関する相談
(1)解雇・退職勧奨(雇止め含む)
・女性 非正規で10年勤務。無期転換を申し入れたらコロナ禍を理由に雇止めされた。
・もうすぐ雇い止めになる予定。転職先が見つからないかもしれない。債務の返済も苦しい。(40代男性)
・7月6日に雇い止めとなる。入社してわずか6カ月。30代男性。
・派遣で働いていたが今月末に解雇される。7月末に最後の給料が振り込まれる。今後は貯金と月10万円の年金だけで生活しなければならない。60代男性。
・派遣で5月8日退職を言い渡された。離職票は自己都合になっていた。休業支援金も認められない。50代男性。
・社協から60万を借りた。返済が始まる。植物園に就職したが冬は閉園、半年で雇い止め。就職活動をしているが、10社以上面接したが不採用。50代男性。
・50代女性。雇止めから現在無職。中学生の子どももいるが生活が大変。
・50代男性。工場で派遣労働をしていたが期間満了で雇用契約が更新されなかった。今は預貯金と社協の貸付で食いつないでいる。困窮者自立支援金はいつから申請可?
・50代男性。会社が来月、倒産することになった。これから先、どうしたらいいか。
・年齢不詳男性。コロナが話題になり始めた頃、病を患い1年ほど入院。その後、解雇。
・60代女性。パート勤務だったが昨年7月に体調崩し入院。10月退院するも解雇を言い渡される。7月で失業保険が終わる。仕事を探しているが見つからず。将来が不安。
・70代女性。昨年5月にコロナで解雇。僅かな年金と子供の援助で生活中。
・60代男性。無職。元タクシー運転手。コロナが不安で休みを申し出ると解雇。年金は6万/月程度。手持金5万。仕事探すも無し。
・20代の息子のこと。スポーツジムでアルバイトをしていたがコロナでジムが閉鎖となり失業。家を無くしてネットカフェなどで生活しているようす。100万円を超える借金の訴訟も起こされている。生活を立て直す方法はあるか。
・コロナの影響で、3月末に解雇。失業保険をもらっているがあと2回で終了。UR住宅に入居しているが、家賃減免の対象でないと言われた。さらに3ヵ月滞納したら、退去してもらうと言われた。
・パート先で解雇となり、生活が苦しい。支援金のことを聞きたい。
・50代女性 単身。大手タクシー会社で働いていたが4月で雇い止めになった。失業手当が、自己都合扱いとされ納得できない。
・女性 単身。失業保険申請中。会社都合の退職だが自己都合となってしまった。ハローワークで会社に対して対応してくれているが、会社からの連絡が遅い。

(2)休業手当(休業支援金含む)
・タクシー運転手。3日に1回くらいしか乗務できず、給与が月数万円しかない。休業手当は払われず、会社は雇用調整助成金の申請をしようとしない。いろいろなところに相談したがたらいまわしにされている。(50代男性)
・パン屋で働き始めた。4月~5月まで休業。休業支援金を申請しようとしたら、書類を改ざんされた。女性。
・派遣の仕事がなくなる。休業支援を受給していたが1月から再申請が通らない 50代男性。
・60代男性。タクシー会社で運行管理。昨年から一部休業を求められ給与が減った。会社に休業手当の支払いを求めたが運転手の方の給与減が大きいため内勤者は出来ないと拒否。運転手の休業手当は支給済み、雇調金も申請されている様。
・70代男性。正社員(ガードマン)だが、仕事がなく月収3~4万円。会社が休業手当を出してくれないが労働者から申請して給付される制度はないか。緊急小口と総合支援資金は借り切ってしまった。
働いている居酒屋が休業になり、休業手当の支払いを求めているが支払ってくれそうにない。
・カフェのバイトのシフトが減り大幅減収。休業支援金の申請をしたが、会社が「支給要件確認書」の作成に協力しないどころか「自分で休んだ」と主張。最終的には「事業主が社会保険に加入していないため」という理由で不支給決定が届いたが、悪質な事業主のツケを労働者に負わせるのはおかしいと思う。(20代・独居女性)
・女性。息子がコロナ感染し、自身も自宅待機。会社は保障してくれない。支援金を使いたいと言ったが、「無理だ」と言われた。
・女性。休業支援金はいつまでもらえるのか。
・60代男性 パート。職場でクラスターが発生、リスクの高い高齢者は2週間休むように言われ休んでいるが、休業手当の支給はなく、有給休暇を使うように言われている。強く反発すると次回の雇用契約更新を断られる可能性があるので心配。
・50代男性。タクシー会社に勤務しているが、昨年6月末までは会社が雇用調整金を申請し、6割の手当をもらっていたが、現在休業の指示がなく、出勤しても売り上げが少ないから収入が3~4割減って困っている。

(3)パート・アルバイト
・フリーターで収入が8万に下がる。急ぎ病院に行く予定はないが保険証がない。様々な制度は家族のいない自分につかえるものではなく、生活保護は遠い親戚まで連絡が行くと思っていた。
・居酒屋アルバイトをしていたが緊急事態宣言で勤務がほとんどなくなり生活できない。何か利用できる制度はないか。(60代男性)
・娘がスーパーでアルバイト、店長からコロナが感染したら大変なので休んでほしいと言われた。4月から店長が代わり、暇なので休んでほしいと言う。お店に休業補償を請求できるか。70代女性。
・旅館で調理士。先月の給料は6万、6月は2回出勤しただけ。客が6人以上だと当日、出勤の電話がある。シフト表はない。60代男性。
・寿司屋の皿洗い。週3日が1日になった。女性。
・コロナでシフトを減らされ休業手当はあるが月5万円。夫は一切生活費を渡さない。昨年暴力を振るわれて警察を呼んでから食事は作らなくなった。作っても食べない。家に居場所がなくパートのない日でも家を出て車で過ごす。別居にも踏み切れない。女性。
・コロナで失業したので、派遣登録し、紹介先に行ってみたら業務内容が全く異なり、話が違うので更新しないと言うと即日辞めさせられた。派遣元もかばうどころか口外禁止の誓約書を書くよう求められ、契約満了までの休業手当も支払ってくれず、次の仕事も紹介してくれない。(30代・独居女性)
・40代女性。派遣先企業までの会社の送迎用自動車内で、運転手からコロナ感染した。会社は保障なし。今後、労災申請、傷病手当金、会社の安全配慮義務違反で損害賠償を検討。

(4)その他
・正社員だが給与が下がって住宅ローンの支払に窮している。子の学費もあり苦しい。(50代男性)
・タクシー運転手。給与がどんどん切り下げられ、基本給すら出ていない。(男性)
・60代男性。障害者の作業所に通っているが仕事が減ってしまった。

3.事業者からの相談
(1)時短・休業要請
・70代男性。飲食スナック経営、まん延防止で夜間営業できない。自治体に営業禁止されるものではない。
・食堂経営。経営が苦しい。組合で100万の融資を申し込んだが通らなかった。店を開けると電気代もかかるし大家に家賃を払わなければならない。70代男性。
・お好み焼き店自営。時短協力金が4カ月経ってもまだ振り込まれない。総合支援資金の再貸付も申し込んだが3週間以上待たされる。生活が成り立たないので本当に闇金に手を出すしかないと思っている。もう心が折れそう。
・スナック経営していたが、コロナで休業していて大変。昨年6月夫死亡。昨年4月から、緊急小口資金を借りた。就職先を探したがなく、今は収入がまったくない。

(2)支援制度
・60代男性。支援金、協力金の支払いが遅い。申請から何か月もかかっている。それなのに税金や年金、保険の納付を求めるのはおかしい。
・ハウスクリーニング業をしているが、コロナで仕事が減り、預金と給付金でつないできたが限界。NHK受信料の支払いが困難。何か方法はないか。新型コロナ感染症生活困窮者自立支援金について教えて欲しい。(60代男性)
・個人事業主だが確定申告しておらず持続化給付金は使えないと思っていた。使える制度はないか。(50代男性)
・ピアノ教室。昨年からまったく収入がない。年金のみ。何か支援はないか。70代女性。
・コロナで化粧品の販売が半分以下に。社協に相談し、緊急小口貸付制度の利用を試みるも、どうせ返せないだろうと言われた。80代女性。
・70代女性。屋台の自営。コロナでイベントへの出店が全く無くなり生活が苦しい。協力金の申請をしたが何度も書類の不備を指摘され、未だ受け付けてもらっていない。
・工務店を経営する夫の妻から。昨年から仕事がなくて赤字。妻は新聞配達で生活費を賄っている。持続化給付金を利用したが足りない。
・陶芸教室を経営しているが、コロナ禍で経営難。持続化給付金(事業者向け)、緊急小口資金等を受けているが、これ以上の助成金等はないのか。

(3)その他
・手持ち現金10万円。3日後に妻の入院費を支払うと手持ち現金が尽きる。自営業だが仕事もなくどうしたらいいのか分からない。
・固定資産税の支払いが難しい。(自営業者男性)
・塗装業。1社依存の下請け。仕事がなくて困っている。60代男性。
・生花販売業。昨年2月~イベントがなくなり収入なし。70代男性。
・運送業自営。廃業した同業者もいる。生命を絶つ人もいる。支援金をもらい息をつく。60歳から年金をもらうこととした。風呂は週1回。50代男性。
・塗装屋。売り上げが減少。生活ができない。70代男性。
・中小企業主の新型コロナ支援策は何か活用ができないか。70代男性。
・50代男性。飲食業者への支援策は多いが他の業者は少ない。公平に支援すべき。
・年齢不明男性。2年前に脱サラして事業を立ち上げたが直後にコロナ禍となり業績不振。
・持続化給付金は前年実績がないため対象外。今は預貯金取り崩しで何とか生活している。
・40代女性。輸出業の自営。コロナ禍で売り上げが半減。従業員も雇っており人件費やその他、固定費等の経費がかかる。何か経済的支援はないか。
・60代男性 自営業。貸しビルのテナントが出て行ってしまい、2020年秋から家賃収入がゼロになってしまった。アルバイトで月20万円の収入を得ているが、家のローンなど借金があり、固定資産税、国保税などを滞納しており、生活が苦しい。

3.住まいに関する相談
(1)家賃滞納
・飲食店業従業員。緊急事態宣言のためまったく仕事をしていない。このままだと家賃が支払えない。
・パートの仕事がなくなり、家賃が支払えない。
・20代女性。コロナの影響でコンビニのシフトがゼロになり生活できない。そのため家賃を2か月滞納している。仕事を探しているが見つからない。夜の仕事をするようになったが月10万円くらいにしかならず生活は苦しい。緊急小口と総合支援金を借りたい。
・家賃を滞納し、来月アパートを出ないといけない。(30代男性)
・5月に警備会社に就職したが、仕事がない。社会保険に加入できるかは不明。家賃は5万円で滞納あり。生活・食費なんとかならないか。今回の小口は不支給だった。60代男性。
・年齢不明女性。大家からの相談。借主が家賃を10ケ月滞納中。母と息子の2人世帯。息子がコロナでずっと仕事ができていない様子。母親の年金は少額の様。息子とやり取りをしているが最近は連絡も途切れがち。家賃滞納も困るがこの世帯の生活を何とかしてあげたい。アドバイスを。
・美容室で25年働いている。フルタイムで働いていたが、コロナ拡大の中で、予約が入ったときのみの出勤となり、今年に入ってからは半日勤務や1日おきの勤務となり、収入が大幅減。5月の家賃を滞納し、6月の支払も近づいている。引きこもりの子との2人暮らしで、子の生活の面倒もみている。

(2)その他
・正社員をしているが、給料が減り、固定資産税などの税金や住宅ローンが支払えない。
・就職が決まったがコロナ陽性者が出て2週間の休業となった。家賃の支払いであてにしていたが、収入の目処がなくなった。どうしたらよいか。貯金なし。20代男性。

4.債務に関する相談
・空港勤務。仕事がなくローン返済に困っている。
・50代男性。精神障害2級+A型作業所の収入。年金担保貸付で月3万円返済。携帯4か月分18万円を7月末までに支払わなければならない。家は親名義、一人で住んでいる。他に消費者金融からの借り入れ有り。
・20代男性 大学生。コロナでアルバイト無くなり、親からの仕送りなく、公共料金と携帯電話滞納中。
・40代女性 2人暮らし。うつ病で障害年金2級。家のローン月5.5万円。カードローン返済月2万円。
・50代男性 業務委託の不動産業。コロナで訪問できなく収入ゼロ。子ども知的障害者。債務344万円。
・失業して失業手当申請中。債務が返済できない。(30代女性)
・60代女性。リフレクソロジー治療院を自営。事業資金4000万円のほか、特例貸付200万円を借りたが、この先、いずれも返済がしんどい。アルバイトも探したが見つからない。
・70代独居女性。自己所有の土地でコインパーキングを自営しているが収入が減少。設備資金1000万円のほか、家賃や税金の支払いも滞納している。
・元正社員で750万円の年収があったが過労で心不全で倒れて身障3級に。短時間で割のいいキャバクラの送迎運転手で月20万円程度あったが、コロナによる休業で収入がゼロになった。社協の特例貸付を満額借りたが、それも尽き、住宅ローンの返済が困難。(40代男性)
・70代夫婦。コロナでバイト収入がゼロになって夫婦で月7万円の年金だけで生活。子どもや兄弟の援助で何とか生活しているが、住宅ローンも4か月滞納している。生活保護の相談に行ったら、住宅ローンがあるから無理と言われる。家は売りたくない。
・リラクゼーション・整体の自営。月25万円程度あった収入がコロナで10万円程度に減少。1000万円近い負債があり月15万円程度返済しているが、社協の貸付は借り終わり、今後の生活が不安で仕方がない。
・70代男性。3月まで働いていた。年収320万円。まだ滞納してないがローン返済があと3年。
・30代男性。930万円の借金あり。毎月14万3千円を返している。また、月2万円の国保料を支払っている。住民税112,400円の請求が来た。6月30日にボーナスが出るが、支払えるかどうか。緊急小口融資を申し込んだがダメだった。

5.健康に関する相談
(1)心の健康(希死念慮等)
・20代女性。コロナ禍で疲れた。死にたい。クローゼットに首吊る用意してある。何か月もこの状態が続いている。病院にも行ったが意味がないのでやめた。時々売春している。今妊娠しているかもしれない。
・気分が沈む。一人暮らしで話し相手がいない。(女性)
・昨年12月に転職したが、賃金が大幅に下がった。時給980円で手取り13~15万円。クレジット返済月5万円、家賃6万円。食費も十分でない。うつ症状があるが医療費が心配で受診していない。このままではダメとわかっているが気力がない。50代男性。
・妹が教員。昨年11月から仕事に行けなくなった。朝7時から夜8時まで仕事をしていた。心が病んでしまった。8月まで休職だが9月から復帰は難しい。70代女性。
・消防の設備点検の仕事を42年してきたが、昨年12月から総合支援資金を借りている。収入大変で、自殺も考えたが怖いからやめた。

(2)コロナ感染・ワクチン
・コロナワクチンを接種する際に、疾患があり抵抗感がある。80代男性。
・6月5日から体がだるく、耳が痛い。息子も食欲がない。コロナだと思う。70代女性。
・ワクチン接種の電話がつながらない。市への不満。
・ワクチンを受けたいがどうすれば良いのか。(70代女性、60代男性)
・いつになったらワクチンを受けられるのか。(50代男性)
・日々雇用のアルバイト。配偶者がコロナに感染し、自分は陰性だったが、会社から自宅待機するように言われ、その間無給で生活が苦しい。(60代男性)
・コロナに感染し、療養中給与がなく生活が苦しい。(運送業男性)
・早くワクチンを接種したい。そういう情報はどこで教えてもらえるのか。(50代男性)
・早くワクチンを接種したいが予約がとれない。(女性)
・大規模ワクチン接種会場の予約方法がわからない。
・夫がコロナ感染し、後遺症で働けなくなり退職した。住宅ローンやその他の負債の返済が苦しい。総合支援資金を借りているが、返すときのことが気になり延長はためらっている。(30代女性)
・ワクチンの整理券を盗まれた。60代男性。
・コロナワクチン接種を希望したが行政から返事がない。80代男性。
・ADHD。ワクチン接種が不安。どうしたら良いか。30代男性。
・いつになったらワクチンが接種できるのか。60代男性。
・長女が感染し、その後家族全員に感染。長男は退院したが、近所の目が不安。長女の会社はあたたかく迎え入れてくれたが、その家は・・と悪口を言われそう。コロナは本当に怖い病気だとみんなに知らせてほしい。70代女性。
・コロナワクチンの接種券が届かない。70代男性。
・コロナワクチン接種で副反応あり。大丈夫か。70代男性。
・80代男性。コロナワクチン1回目で副反応あり。2回目も接種しないといけないか。
・70代男性。パソコンなく直接ワクチン接種の予約に役所に行ったが、5人/1日の予約枠しかなく受け付けてもらえなかった。
・60代女性。ワクチンを打つか打たないか迷っている。一人暮らし。
・80代女性 単身。コロナワクチンの予約申込み電話がつながらなくて困っている。高齢の独り暮らしで申込みを手伝ってくれる人は周りにいない。
・70代男性 単身。ワクチンのクーポンが届いたが、予約できず困っている。基礎疾患があるので、東京の自衛隊の会場まではリスクがあっていけない。何度電話してもつながらない。
・70代女性。夫がコロナに感染し、病状が悪化し医師から死を覚悟するように言われたが、奇跡的に持ち直した。ただ夫は仕事ができないので、今後の生活が不安。ローンも残っている。
・家族が濃厚接触者になったため子どもが2週間学校に行けず授業に遅れが出て学校でも孤立している。

6.その他の相談
・10年前に内縁の夫の借金を立て替えたが、本人は死亡した。その弟に返済をお願いしたが借金の証明できなければ払わないと。50代女性。
・仕事をしている娘と同居しているが交流がない。コロナ禍で外出できずに関係修復の機会がない。
・視覚障害。運動で外出したいがヘルパー不足で外出ができない。障害者自立支援法の趣旨に反しないか。60代男性。
・80代男性。市行政への不満、高齢の独居老人に対して、話し相手・相談体制を要望。

■国への要望

1.支援策に関する要望
・緊急事態宣言が解除されるまでの期間、税金や保険料などの納付期間を延長してほしい。
・ダメージを受ける人が多いので補償を充実させて
・災害弱者(視覚障害者等)に対する支援の強化を要望
・必要な情報が届いていない。ちゃんと届けてほしい。
・支援情報が不足している。
・制度の詳細や手続きが確定してからマスコミに情報を流せ。役所に問い合わせても「詳細決まっていない」、制度創設後に要件緩和で対象外の人が対象となることがあるが、対象外と回答した人に「要件緩和で対象となった」と案内をしないなら、最初から対象を広げて創設すべき。生活困窮者の実態を知らないからそういうことが起きる。
・協力金や支援金などの支給が遅い。
・休業支援金で「支給要件確認書」の提出を求めるのは、悪質な事業主の都合を優先し、困っている労働者の権利をないがしろにしているのでやめるべきだ。
・時短協力金を早く払って欲しい。補償がなければ休めない。
・昨年に比べて今年の対応薄い。
・濃厚接触者の2週間待機期間の生活保障を。
・国のきびしい財政の中で、よくやってくれているが、店子だけでなく、大家に対する対する、支援がほしい。うちのように店子が一軒だけのビルは出て行かれると、とたんに収入がゼロに。
・失業が長期化している人へも使える制度を整備してほしい。社協の窓口の対応がひどすぎる。
・会社から休業を命じられていないが歩合なのではっきり減収している。休業支援金を請求できない。減収をもってシンプルに支援金を給付する制度を作ってほしい。
・貸付ではなく、全て給付にしてほしい。
・給付金をもう少し長くやってほしい。
・困窮者の税金、せめて延滞金を免除してほしい。

◆特に追加の給付を求める声
・特別定額給付金のような給付金を再度お願いしたい。女性の非正規雇用率5割の救済措置を願いたい。
・不公平のないようにしてほしい。再度の定額給付金支給。
・給付金を下さい。
・特別定額給付金をもう一度支給して欲しい。
・生活が苦しいので給付金を増やして欲しい。
・もう一回定額給付金を出して欲しい。
・中間層に対する支援がない。今こそ特別定額給付金がほしい。
・一時金(10万)の2回目の支給
・低所得者に10万円ずつでも給付金を!
・更なる給付金の支給を望む。
・10万円の給付金を再度お願いしたい。
・一律の給付金必要。格差が生まれてしまいます。
・支援資金の要件をもう少し緩和してもらいたい。
・もう少し個人事業主にお金を欲しい。
・総合支援資金をもう3か月受けられるようにしてほしい。
・住民税非課税者にお金を出してほしい。
・要件の緩やかな借入金、給付金の制度をつくってほしい。
・給付制度を拡充してほしい。そして早く、すすめてほしい。
・ひもじい思いをしている人のためにお金を使って欲しい。商売している人もみんな困っている。持続化給付金のようなものが必要。
・夜の仕事をやっている人や困っている人に支援して欲しい。

◆特に支援の不公平感を訴える声
・現に国は飲食店支援(例 時短協力金等)に限らず、広く中小企業・個人事業主のための支援策を実施して欲しい。
・全業種に平等な支援をしてもらいたい。
・平等に配るべき。子どもばかり優遇している。
・全体を見て欲しい。飲食店への支援はあるがタクシードライバーにはない。
・飲食店にばかり支援して左うちわの人もいたのに、貸店舗で生活している人の支援もして欲しい。
・葬儀屋もコロナ感染の大きなリスクがあるので葬儀屋に対して焦点をあててほしい。

◆特に生活困窮者自立支援金についての声
・自立支援金の要件が厳しすぎる。生活保護は受けたくないのに受けろと言われるのは不快。もっと手厚くしてほしい。
・生活困窮者自立支援金について、早く制度の詳細を発表してほしい。
・生活困窮者自立支援金について、対象世帯には個別に知らせてほしい。
・生活困窮者自立支援金の給付要件は納得できない。自助でがんばってきた人が報われない。
・真面目に働いてるのに基準から1万オーバーしただけで受けられない一方、フラフラしている者が満額もらえるような支援金の制度はやめて欲しい。
・7月から30万円の制度は6月になっても申請の仕方がわからないので全くなっていない。

2.生活保護制度に関する要望
・生活保護費を上げてほしい。(複数)
・生活保護費を一律に決めるではなく、各世帯の実情をきちんと把握したうえで個別に決定してもらいたい。
・生活保護受給者の自動車保有ができないという硬直的な運用を緩和して欲しい。

3.国の施策に関する要望
・短期雇用→正式雇用できるケースを増やしてほしい。電話の通信量を安くもしくは無料にしてほしい。
・消費税を減らしてほしい。大会社を地方へ移すなどの地方活性。
・発達障害や感覚過敏の人に対する住居確保支援が必要。単身の精神疾患のフォローが少ない。
・オリンピック中止してほしい。性暴力被害。ワンストップセンターの力量がない。障害年金を引き上げてほしい。生理用品を無料にしてほしい。
・消費税を3%にして欲しい。
・国会議員を減らすべき。
・政治家が国民を同じ人間だと思って対応してほしい。
・生活保護の前段階にあって将来が不安な人のための制度を作って欲しい。
・まん延防止措置と緊急事態宣言の違いがわからない。
・オリンピックは中止か延期にすべき。
・自治体窓口の対応が厳しい。こちらは気力をふりしぼり、恥をさらして相談に行っているのに。気持ちよく利用できるよう市民の声を拾ってほしい。
・困窮者対策がまったくできていない。もっと支援を充実させてほしい。
・私達(生活困窮者)のことを知って欲しい。
・総理大臣変わってほしい。後手後手の対応ばかり。
・もっと国から支援して欲しい
・菅総理は五輪のことしか考えていない。
・消費税を上げた分、社会保障に回していない。コロナの対策が飲食店中心になっている。
・経済を回して暮らせるようにしてほしい。
・自治体の支援は早いが国は遅い
・制度がすべて世帯単位で、配偶者が受け取れるものがない
・とにかく情報がほしい。
・国や行政は生活に困っている人の立場になって考えてほしい。
・ネット環境ない、できない人のことも考えろ。
・政府の方へ国民が困っている現状がなかなか届かない。
・コロナ対応がとにかく遅い。すべてを迅速にやってほしい。
・とにかく様々な救済を進めてほしい。そのためにも政府のトップを変える必要あり。
・医療費が高いので何とかしてほしい。
・政府は国民の生活をきちんと見てほしい。
・今の政府では国民は救われない。腐りきっている。政権から自民・公明は退陣を。野党共闘政権を実現してほしい。
・現政府は本当に苦しんでいる人の気持ちが分かっていない。
・とにかくコロナを早く終息させてほしい
・地方に丸投げしているように思えるので、もっと国が動いて欲しい。
・オリンピック実施のことばかり考えていておかしい。
・直接長期雇用につながるように派遣法を改正して欲しい。
・税金は所得の高い人から取って、細々と暮らしている人からは取らないで欲しい。
・この状況でオリンピックをすることが信じられない。
・困っている人が安心して生活できるようにしてほしい。1日勤めてボーナスが出る政治家を許せない。
・今の自民党政治では良くならない。
・「国民のために働く」という言葉だけでなく人命優先で動いてほしい。
・新型コロナウイルス対策だけではなく、経済対策を求める。
・国は自分のような生活困窮者の実情や気持ちは全然分かっていないと思う。何とか生保にならないように必死で頑張っている。もう死ぬしかないのか?
・賃金を上げてほしい。仕事を出来るようにしてほしい。
・オリンピックのために「命を守る」と言っているだけ。毎日亡くなってる人がいる。まず本当に国民の生命を守ってほしい。
・コロナ対策は見込み違いであった。港区や足立区のようにエアコンの補助金を出してほしい。年金食堂や年金住宅等、年金受給者のための制度を整えてほしい。
・私のように生活に困っている人をよく見てもらいたい。助けてもらいたい。
・オリンピックより生活で苦しんでる人の支援を優先してほしい。
・言ってることとやっていることが違う。政治家に年齢制限をしてほしい。現実が見えていない。見ようとしないから全て後手後手になっている。
・オリンピックのことばかりで本当に困っている人の現状をきちんと知って欲しい。
・オリパラ中止してほしい、なぜやるのか疑問。
・ひとり親等以外にも困った人がいることに目を向けてほしい。

◆特に高齢者に関する施策について
・60歳から年金を受け取ると3割も引かれるのはおかしいので、このような制度は止めてもらいたい。
・高齢者、非課税世帯を優先的にすくい上げるようなきめ細やかな対応をして欲しい。
・年金受給直前世代は就業も大変なので、もっと助けてほしい。
・高齢者向けの入浴施設、安価なものの提供。緊急事態宣言でも入れる銭湯利用補助。
・誰もが安心して暮らせる世の中に。(年令に関係なく仕事がみつかるように)

4.コロナ対策に関する要望
・安心してコロナワクチンを接種できるアプリを開発してほしい。国外に行くことを把握できるGPS機能のあるアプリを開発してほしい。
・ワクチン接種の電話がスムーズにつながるように。
・ワクチンを早く打ってほしい。
・感染症対策をしっかりしてほしい。
・ワクチンの供給が遅れているからもっと速くしてほしい。
・新型コロナ変異株について、水際対策をもっときちんとすべきだった。
・50代なのでワクチンを早く打てるようにして欲しい。
・接客業にはワクチンを早く打たせてほしい。
・感染拡大に関してしっかりやれていない。怒りがこみ上げる。



2021年8月14日


メンタリストDaiGo氏のYouTubeにおけるヘイト発言を受けた緊急声明


生活保護問題対策全国会議
一般社団法人つくろい東京ファンド
新型コロナ災害緊急アクション
一般社団法人反貧困ネットワーク


1 DaiGo氏の発言内容
 DaiGo氏は、本年8月7日に公開されたYouTubeの動画の中で、「僕は生活保護の人たちに、なんだろう、お金を払うために税金を納めてるんじゃないからね。 生活保護の人に食わせる金があるんだったら猫を救ってほしいと僕は思うんで。生活保護の人が生きてても僕は別に得しないけどさ、猫は生きてれば得なんで」、「自分にとって必要のない命は、僕にとって軽いんで。だからホームレスの命はどうでもいい。」と述べました。DaiGo氏が猫を大切に思う気持ちは尊重されるべきとしても、猫と生活保護利用者やホームレスの人の命を比べて、後者について「どうでもいい」と貶めることは、明らかに一人一人のかけがえのない命を冒瀆するものです。
 さらに、DaiGo氏は、「どちらかというといない方がよくない、ホームレスって?」「いない方がよくない?」と繰り返し視聴者に問いかけ、「正直。 邪魔だしさ、プラスになんないしさ、臭いしさ、ねぇ。治安悪くなるしさ、いない方がいいじゃん。」とホームレスの人に対する差別と偏見に満ちた認識を示したうえで、「もともと人間はね、自分たちの群れにそぐわない、社会にそぐわない、群れ全体の利益にそぐわない人間を処刑して生きてきてるんですよ。犯罪者を殺すのだって同じですよ。犯罪者が社会の中にいるのは問題だしみんなに害があるでしょ、だから殺すんですよ。同じですよ」と述べて、社会からの排除や抹殺まで示唆しました。

2 DaiGo氏の発言の問題点

 ホームレスの人や生活保護利用者の命は要らないとする、DaiGo氏の一連の発言は、人の命に優劣をつけ、価値のない命は抹殺してもかまわない、という「優生思想」そのものであり、断じて容認できるものではありません。これらの発言は、差別を煽動する明確な意図に基づいて行われたものであり、現に、路上生活者に対する差別に基づいた襲撃事件が後を絶たない中、さらなるヘイトクライムを誘発する危険のある、極めて悪質な発言と言わざるを得ません。
 また、貧困や生活困窮に陥ることについては、社会的な要因があり、これを社会全体で支え、生存権を保障するための制度として生活保護制度があるということについて、根本的な理解を欠いた発言であると言えます。
 今、コロナ禍が長期化する中、生活に困窮する人々が増えているにもかかわらず、被保護実人員は、2020年2月の206.4万人から2021年4月の204.3万人へとむしろ減っており、生活保護の利用に結び付いていません。私たちの相談活動の中でも、「生活保護だけは死んでも受けたくない」という強い忌避感を示す人が極めて多いのです。これは、2012年春、片山さつき氏らの一部自民党国会議員らが主導した“生活保護バッシング”によって、生活保護を忌避する“国民感情”が深く広く浸透していることによると考えられます。
 著名なテレビタレントであり、YouTubeチャンネル登録者数が250万人にも及ぶ「インフルエンサー」であるDaiGo氏による今般の発言は、ホームレス状態の人に対する実態をみない偏見をさらに助長し、排除を誘導するものであり、さらに、生活保護に対する市民の忌避感をより一層強め、命をつなぐ制度から人々を遠ざけ、生活困窮者を間接的に死に追いやる効果を持つものです。
 なお、批判を受けて、DaiGo氏は8月13日夜、今回の発言を「謝罪」する動画を配信しました。長年ホームレス支援をしているNPO抱樸の奥田知志氏と連絡をとり、近々、現地に赴いて支援者や当事者から話を聞いて学びたいとしつつも、しばしば笑顔を見せながら、「ホームレスの人とか生活保護を受けている人は働きたくても働けない人がいて、今は働けないけど、これから頑張って働くために、一生懸命、社会復帰を目指して生活保護受けながら頑張っている人、支援する人がいる。僕が猫を保護しているのとまったく同じ感覚で、助けたいと思っている人、そこから抜け出したいと思っている人に対して、さすがにあの言い方はちょっとよくなかった。差別的であるし、ちょっとこれは反省だなということで、今日はそれを謝罪させていただきます。大変申し訳ございませんでした」と謝罪の言葉を述べたのです。
 しかし、ここで示された考え方は、他者を評価する基準を「頑張っている」(と自分から見える)かどうかに変えただけであり、他者の生きる権利について自分が判定できると考える傲岸さは変わりません。しかも、貧困や生活困難を社会全体で支え、生存権を保障するために、権利としての生活保護制度があることについて、根本的な理解を欠いていることに変わりがありません。少なくとも現時点においては、DaiGo氏が、自らの発言の問題点を真に自覚していると評価することはできず、その反省と謝罪は単なるポーズの域を出ていないと言わざるを得ません。

3 私たちの提案

 今回の発言では生活保護利用者とホームレスの人たちがターゲットにされていますが、生産性や自らの好みにより、他者の命に優劣をつける発言を野放しにしていると、さまざまな生活上の困難を抱えている他の人たちも、いつ攻撃の的にされ、生存を否定されてもおかしくありません。すべての人の命は等しく尊重されるべきであるという近代社会の前提を棄損する発言を私たちは絶対に許してはなりません。
 DaiGo氏の発言に対しては、幅広く多様な方々が批判の声を挙げています。厚生労働省も、8月13日、「生活保護の申請は国民の権利です。生活保護を必要とする可能性はどなたにもあるものですので、ためらわずにご相談ください」と生活保護の利用を呼び掛けるツイートをしました。これは、2012年春の“生活保護バッシング”の際にはなかった動きであり、市民の側にも、行政の側にも、「生存権」の重みを踏まえた対応が見られることに、希望が見えると評価できます。
 私たちは、私たちの社会を守るため、DaiGo氏の一連の差別扇動を許さないという姿勢を、より明確に社会全体で示す必要があると考え、以下の5点を求めます。


1 DaiGo氏は、形だけの反省・謝罪にとどまらず、この動画がヘイトスピーチに該当する内容であることについて真の理解に至ったうえで、改めて発言を真摯に反省・撤回し、生活保護利用者、ホームレス状態にある人々に謝罪すること。また、「処刑」や「殺す」という言葉を用い、特定の人たちを社会から排除・抹殺することを正当化することは、ヘイトクライムやジェノサイドを誘発しかねない反社会的行為であることを認識し、この点についても明確に発言を撤回し、謝罪すること。

2 「最後は生活保護がある」と述べた菅首相は、DaiGo氏の発言が許されないものであることを明言したうえで、生活保護の申請が国民の権利であることを率先して市民に呼び掛けること。

3.厚生労働省も、公式サイトにおける「新型コロナウイルス感染症の影響により生活にお困りの皆さまへ」のページにおいて、生活保護制度の案内を大きく取り上げる等、制度利用を促す発信に力を入れること。福祉事務所が追い返しなどしないように、周知徹底をはかること。

4.マスメディアは、DaiGo氏の起用を差し控え、その発言の問題点を報道し、このような発言を許さない姿勢を明確にすること。

5.私たち市民は、今回のDaiGo氏の発言を含め、今後ともこのような発言は許されないことを共に確認し、これを許さない姿勢を示し続けること。

以 上


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相談会



コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る何でも相談会【第9弾】

~住まい・生活保護・労働・借金・学費etc…~

新型コロナウイルスの影響が全国に広がっています。
弁護士、司法書士、社会福祉士、労働問題の専門家などが
無料で相談にお答えします。
お困りの方、お気軽にご相談を!

例えば、

コロナを理由に雇止めにあった。
売り上げが激減して、営業が続かない。
家賃が払えず、追い出されないか心配。
収入がなくなり、生活保護を受けたい。
補助制度を使いたいが、どうすれば。
バイトを切られ学費を払えない。



【実施日時】

2021年8月21日(土)
10時~22時


【電話番号】

0120-157930(ひんこんなくそう)
フリーダイヤル(全国どこからでも上記時間帯通話料無料でつながります)



主催:「コロナ災害を乗り越える いのちとくらしを守る何でも相談会」実行委員会、生存のためのコロナ対策ネットワーク

(社)反貧困ネットワークなど、多くの個人・団体からの寄付に支えられて実施しています。

印刷版(PDF)のダウンロードはこちらから


 2020年2月、八尾市で生活保護を利用している母子が餓死するという痛ましい事件が起きました。
 調査団を結成して調査を重ね、2021年2月16日、同市に対して、「母子餓死事件をふまえて生活保護行政の改善を求める要望書」を提出したところ、八尾市からは、同年3月31日付で簡素な回答書が届きました。
 また、大阪府も八尾市に対する事務監査を実施し、これを受けて八尾市は、3月25日、大阪府に報告書を提出しています。

■令和3年2月25日付 大阪府の八尾市に対する「生活保護法施行事務監査の結果について(令和2年度)
■令和3年3月25日付 八尾市の大阪府に対する「令和2年度 生活保護法施行事務監査の措置結果について(報告)
安否確認マニュアル・辞退チェックシート

 私たちは、こうした書面を検討したうえで、2021年7月28日朝、八尾市役所の門前でチラシを配布するとともに、改めて「生活保護行政に関する意見書」を提出し、意見交換を行いました。
 意見交換において、八尾市側は、事件については内部で十分に検証していると言いながら、「確認できる事実関係を整理した書面は今つくっているところで、いつ完成するかは明確には言えない」と述べるなど、事実解明に消極的な態度に終始しました。残念ながら、事件を真摯に分析し反省する姿勢は全く見られず、このままでは第二、第三の悲劇が起きかねません。
 
■チラシ「二度と悲劇を起こさないためにもケースワーカーの増員が必要です!




2021年7月28日


母子餓死事件を踏まえた生活保護行政に関する意見書


八尾市長 大松 桂右 殿
       

八尾市母子餓死事件調査団
共同代表 井上 英夫(金沢大学名誉教授)
同    尾藤 廣喜(生活保護問題対策全国会議代表幹事)
同    矢部あづさ(八尾社会保障推進協議会会長)
 
(連絡先)530‐0047大阪市北区西天満3-14-16 西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所 電話06(6363)3310 FAX06(6363)3320
事務局 弁護士 小久保 哲郎



 2020年2月,貴市で生活保護を利用していた女性(当時57歳)及び同居の長男(当時24歳)が居室内において死体で発見された件(以下,「本件餓死事件」といいます。)について,当調査団が本年2月16日付で提出した要望書に対して,貴市からは令和3年3月31日付回答書による回答をいただきました。また,大阪府が貴市に対して令和3年2月25日付で通知した「生活保護法施行事務監査の結果について」に対して,貴市は,大阪府に対し,令和3年3月25日付で「令和2年度 生活保護法施行事務監査の措置結果について(報告)」を提出しました。
 当調査団は,これらの書面を検討しましたが,貴市の対応策は,本件餓死事件についての真摯な分析と反省を欠いたまま,的外れで表面的な弥縫策を列記するにとどまっています。本件のような餓死事件が発生するという事態の深刻さに対する自覚がないため,本質的な改善策とは程遠いものと言わざるを得ません。
 以下,問題点を具体的に指摘しますので,改めてご検討のうえ,対応方法について,本年8月末日までに書面にて,ご回答いただけますよう,お願い致します。


第1 本件餓死事件の事実関係解明と検証委員会設置について
1 当調査団の要望内容
 「貴市において発生した母子餓死事件の事実関係を徹底的に解明し,再発防止策を提言することを目的とした,学識経験者及び当事者等の第三者による検証委員会を設置してください。」

2 貴市の回答内容
 「内部で当該事案の事実確認を行うとともに,民生委員・児童委員と協力しながら安否確認マニュアルを作成し,組織としてしっかり対応しながら,職員自らも主体的に業務改善に取り組んでいるところであり,第三者委員会の立ち上げについては,考えておりません。」

3 評価
(1)  本件餓死事件についての真摯な反省と分析を欠いていること
 そもそも貴市は,事件発覚当初から「個人情報」を盾として本件餓死事件の事実関係の解明に消極的で,当調査団が要望書を提出した当初から,第三者による検証委員会の設置はしない旨断言するなど,事件を真摯に反省した上で再発防止策を構築するという姿勢が全く見られません。
 当調査団は,要望書において,本件餓死事件の問題点として,①長男がいるのに母親単身世帯としての保護費しか支給していなかったこと,②厚労省が示す目安の4倍である月2万円もの保護費の返還をさせていたこと,③2カ月にわたり保護費を受け取りに来なかったのに安否確認を怠ったこと,④安易かつ杜撰な「失踪」を理由とする保護廃止決定を行ったことを指摘しました。
 しかし,当調査団への回答書や大阪府への報告書を見ても,上記の諸点を問題であると自覚した上での具体的な改善策の記載は全く存在せず,大阪府への報告書では,「実施機関としての対応の統一化」「ケース診断会議による組織的検討」「訪問調査活動の充実強化及び組織的進行管理」といった表面的な対応策が列記されるにとどまっています。
 本質的な反省を欠いたまま形式を整えることに汲々としていることからすれば,様々な書類の作成や形式的な診断会議が増えることによって,より一層実質的なケースワークが行えなくなるリスクさえあります。

(2)  全く的外れの「安否確認マニュアル」
 唯一上記③に対する具体策として策定された「安否確認マニュアル」は,「安否確認が取れない事態が発生した場合」に,「可能な範囲で被保護者宅の室内及び居宅の様子を窺う」,「電気メーター,ガス使用量,水道メーターをそれぞれ確認し,記録する」,「現在の状況を迅速に査察指導員に報告し,今後の対応を協議する。」等の“言わずもがな”のごく当たり前の事柄を何度も重複しながら9ページにもわたって列記する内容となっています。
 本来,安否確認を行わなければならないような深刻な事態に陥らないために日常的にどのような支援をする必要があったのかという点こそ,反省し解明しなければならないことのはずです。こうした基本的視点を欠いたまま,「安否確認マニュアル」を策定したことをもって「組織としてしっかり対応」している旨強調するのは,「最悪の死亡事例さえ回避できればよい」という前提に立っているものであり,的外れの対応というほかありません。

第2 実施体制について
1 当調査団の要望内容
 「ケースワーカーの人員を増やして「標準数」を満たすとともに,福祉専門職採用を進め,外部の専門家による研修を充実させるなどして,その専門性を強化してください。」

2 貴市の回答内容
 「生活保護制度の適正な運営を図るためにも,実施体制を整備することの必要性は十分に認識しておりますが,未だ現業員は社会福祉法に定める標準数に比して著しく不足している状況となっており,現業員の増員等については,検討してまいりたいと考えております。
 また,現業員等の研修については,さらなる充実や改善を図るため,その内容や方法等を検討して参ります。」

3 評価
(1) 却って悪化している実施体制~1人あたり133世帯、大阪府内最悪の配置数
 貴市におけるケースワーカーの人員配置については,大阪府の監査でも,平成27年には27人,平成28年と平成29年には23人,平成30年には25人,令和元年には27人の人員不足を指摘されていましたが,令和2年も27人が不足しています。
 府の監査でも,毎年,訪問計画に沿った訪問頻度が確保されていない事例,長期未訪問の事例等が指摘され,訪問実績等に何らかの問題があると判断されたケースの割合(訪問問題率)は,令和元年度で47.9パーセントに及びます。また,令和2年度の監査でも,「今回の監査において,是正改善が必要であると認められた事項については,実施体制の未整備が少なからず影響しているものと思われ,このことは,現業員及び査察指導員に対し過度の負担を強いることとなり,結果として効果的な指導援助ができず,ケースワークの停滞を招くことになります。」と指摘されているところです。
 都市部のケースワーカー一人当たりの担当ケース数の「標準数」は80世帯ですが,貴市のそれは,「標準数」を大きく上回るだけでなく,平成24年4月の120世帯から令和2年4月の128世帯へと悪化していました。これは、大阪府内の自治体で最悪の配置数です。他の中核市も、豊中市(116世帯)、高槻市(106世帯)、寝屋川市(101世帯)、東大阪市(110世帯)と、決して褒められるべき配置数ではありませんが、その中でも八尾市の担当世帯数の多さが突出していることが分かります(2020年度大阪社保協自治体キャラバン資料130頁)。
 今般の母子餓死事件をふまえて、さすがに人員増加が図られることが期待されていましたが、蓋を開けてみると、令和3年4月においては133世帯と更に悪化し、大阪府内最悪の配置数を更新している始末です。

ケースワーカー数被保護世帯数1人当たり世帯数
平成28年4月475,657120
平成29年4月475,714121
平成30年4月465,744124
平成31年4月455,797128
令和2年4月465,905128
令和3年4月45(実質)5,987133


 専門職である社会福祉士については3名から7名に増員されたことは評価できますが,肝心の担当世帯数がより悪化しているようでは,専門職が専門性を発揮して充実したケースワークを行う前提条件を欠くと言わざるを得ません。第1で述べたとおり,形式的な書類作成や会議の業務が増えることとなれば,より一層ケースワークの崩壊が進むことが危惧されます。

(2) 求められる,首長をはじめとする貴市幹部の決断
 「実施体制を整備することの必要性は十分に認識しており,従前から人事担当課等に対しては現業員等の増員を強く要求してまいりました。」等の大阪府に対する報告内容も合わせ検討すると,貴市生活保護部局としては増員の必要性を十分に認識しつつも,人事担当部局の理解が得られず増員に至っていない状況がうかがえます。
 その意味では,貴市生活保護部局だけの責任ではなく,首長をはじめとする貴市幹部の理解と決断が強く求められるところです。

(3) 職員研修について
 大阪府への報告書には,「職場研修を抜本的に拡充し,現業員,査察指導員,管理職全ての職員に対して,生活保護法の制度改正及びその内容,様々な援助困難ケースへの対応経過,関係部署の業務内容等から月1回テーマを決めた上で,研修を実施します。」と記載されていることからすると,基本的に講師も含めて職場内での研修実施を想定されているようです。
 しかし,本件餓死事件に表れた貴市の対応から見ると,貴市職員が生活保護制度や保護の実施要領等に関する十分な理解をしていると評価することは困難であり,内部研修のみでは限界があると考えられます。
 法の基本理念や争訟の具体例,他の自治体における運用事例なども踏まえた外部講師による研修を行うことが強く望まれます。面談時にも申し上げたとおり,当調査団としては,研修内容の検討や講師の派遣等について協力する用意がありますので,ぜひご相談ください。

第3 組織的検討体制の確立
1 当調査団の要望内容
 「被保護者の安否不明等の重大事態が発生した場合や,保護の停廃止等の重要な判断を行う場合には,組織内で情報共有し,適時にケース診断会議を開催できるよう,組織的な検討体制を確立してください。」

2 貴市の回答内容
 「特に複雑困難な問題を有するケースについての援助方針や措置内容等について検討審査を要する場合や,安否不明など緊急的な対応が求められる場合等において,組織的な情報共有を図り,管理職を含め係長以上の職員が出席するケース診断会議等に諮り,速やかに具体的対応について,組織的検討を行う体制を確立します。」

3 評価
 組織的検討を行う体制を確立する姿勢を示されたこと自体は一歩前進ではあります。しかし,第1及び第2で指摘したとおり,本件餓死事件に関する真摯な反省を欠いたまま,人員体制はむしろ悪化し,管理職を含めて専門性を確保するための研修が担保されていない状況では,形式的な会議が増えて新たな業務負担となったり,会議をしても正しい方針が出せずにむしろ組織的に迷走を深めるおそれがあります。
 組織的検討も,人員体制の改善と専門性の確保と車の両輪で行わなければ,効果がないことが明らかであり,後者の点の改善策を緊急に講じることが求められています。

第4 辞退廃止の乱発を止めること
1 当調査団の要望内容
 「本来,極めて例外的にしか認められない辞退廃止の乱発を直ちに改めるとともに,稼働年齢層に対して保護の適用を抑制する姿勢を速やかに是正してください。」

2 貴市の回答内容
 「保護受給中の者から辞退届が提出された場合には,(略)辞退届が任意かつ真摯な意思に基づく有効なものかを確認するとともに,自立の目途を十分に聴取し,保護を廃止することで直ちに急迫した状況に陥ることのないよう留意し,組織的検討の上,決定を行っております。」

3 評価
(1) 辞退廃止の異常な多さについての振り返りと反省を欠いていること
 当調査団が要望書で問題を指摘したのは,貴市における保護廃止総数に占める「親類縁者の引取り」「他市転出」「辞退」の件数と割合の異常な多さです。これらは,いずれも要保護性の消滅が確認できていない場合であり,特に辞退廃止の異常な多さは,貴市職員側から不適切な辞退の働きかけが行われていることが強く疑われるのであり,こうした実務運用の問題の重大性に対する振り返りと反省を欠いたままでは,不適切な運用が改善されるとは到底考えられません。

(2) 全く改善されていない不適切な「辞退チェックシート」
 貴市は,「辞退チェックシート」を「改善」したとしていますが,上記のとおり,問題の本質を理解していないため,新シートも以下のとおり問題だらけです。
・そもそも「架電」による確認を可としている。
・肝心の「辞退理由」の確認がない。
・保護を継続利用する権利があることの教示をすることとされていない。
・最低生活費と今後の収入見込みの具体的金額を記入し,教示することとなっていない。保護廃止後の生活の見通しについても,その具体的内容を記載する欄がない。
 これでは,以前からの不適切な辞退廃止を温存強化することとなる恐れがあると言わざるを得ません。
 
以 上






 「自動車を持っているから」と生活保護の申請を断念するという話を、特に地方でよく耳にします。しかし、ローカル路線のバスや電車が減っている地方では、「自動車は無ければ生活ができない物」になっています。それを裏付けるように、自動車保有率は首都圏(64.4%)より地方圏(83.7%)の方が約20%高く、地方圏でも大都市(74%)、周辺部(92%)と都市規模が小さくなるほど保有率が高い傾向にあります。
 生活用品は、保有率が当該地域の全世帯の70%程度であれば「一般世帯との均衡を失することにならない」とされていること(課長通知問第3の6)からしても、自動車は、生活用品として保有が認められても良いはずです。しかし、これまで自動車はそのように取り扱われてはいないため、「生活保護か自動車か」という選択を迫られ、生活保護の利用を希望している人が申請を諦めざるを得なくなってしまっているのです。
 地方は都市部に比べて保護率が低く、とりわけ母子世帯では、最も高い東京都(18.87%)と最も低い富山県(0.61%)とでは、31倍もの格差があります。このことからも、自動車保有が生活保護申請の大きな障壁になっていることが明らかです。

 しかし、あきらめる必要はありません。現行の厚生労働省通知を前提としても、それを正しく解釈・運用することで自動車を持ったまま生活保護を利用できる場合は、かなり多くなるでしょう。少なくとも以下のことが可能です。
①公共交通機関の利用が著しく困難な場合の通勤や通院等のための保有が認められる
②通勤のための利用には保育園への送迎も含まれる
③保護を受ける際に仕事に就いていない場合でも、1年(場合によってはそれ以上)にわたって処分を保留してもらうことができる


 当会では、パンフレットにまとめ、Q&A形式で「厚労省通知の徹底活用法」を解説しています。そして、申請者が自動車保有容認の条件を満たしているかをチェックリスト方式で確認でき、そのまま福祉事務所へ提出できる「自動車保有容認を求める申立書」を掲載しています。ぜひお役立てださい。

パンフレットは、販売しております。
ぜひ、団体内や生活保護利用者への周知、相談活動などにお役立て下さい。
団体だけでなく、個人からの申込みも可能です。各地での運動にご活用下さい。

パンフレットの申込みの方法

(1)FAXで申し込む

申込用紙(PDF印刷版)に必要事項をご記入の上、072-648-3576までFAXをお送り下さい。


(2)ネットから申し込む

申込フォーム→https://my.formman.com/form/pc/RvirpT8MO57v69hV/


費用:1セット(50部) 5,000円(消費税込) ※送料別




自動車Q&A




自動車を持ちながら生活保護を利用するために!
Q&A



Q1 福祉事務所から「車は『資産』だから、処分してもらう」と言われました。私の車はオンボロで売ってもお金にならないのに、「資産」と言えるのでしょうか?

A -1 いいえ、本来、処分価値ゼロのモノは「資産」ではありません。
 生活保護法4条1項は、「利用し得る資産」の活用を要件としています。この「資産」とは、「土地、家屋を始め貨幣、債権、無体財産等プラスの財産の総称」とされており、本来、処分価値ゼロのモノは「資産」ではありません※。
 次官通知第3でも、「1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており、かつ、処分するよりも保有しているほうが生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの」や、「4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの」は処分せずに保有を認めています。
※小山進次郎「生活保護法の解釈と運用」121頁

A -2「車はゼイタク」という固定観念からの脱却が必要です。
 ところが、車だけは、どんなにオンボロでも「資産」であるとして保有を認められません。その背景には、「生活保護利用者に車はゼイタク」という固定観念があります。例えば、判決②は、結論としては原告を勝たせたのですが、「『資産』としては、第一義的には処分価値のあるものを想定しているのは確かである」としつつも、「その時点の社会情勢や国民感情にもかんがみて、」「当該資産を所有するために一定の経済的支出を行うことや当該資産を利用することで一定の利益を得られることが、『最低限度の生活』として容認できるかどうか」を含めて検討すべきとし、「利用による利益を容認できるか」
(ゼイタクでないか)を問題にしていました。
 しかし、こうした「生活保護利用者に車はゼイタク」という価値観を乗り越えた判決も現れています。判決③は、「『資産』とは、基本的には処分価値を有するものを意味する」が「処分するよりも保有して活用する方が生活維持及び自立助長に実効性があり、維持費等の経済的支出が社会通念上是認できる」かという観点から保有の可否が検討されるべきとしました。判決③では、「利用による利益の享受」が容認できるかどうか(ゼイタクでないか) は問題にせず、「経済的支出により最低生活を割り込む懸念」にのみ着眼しています。この考え方からすれば、維持費の捻出が可能であれば生活に必要な車の保有は認められることになります。
 そもそも自動車の保有には移動の自由を保障するという側面があります。自動車を保有することによって、自立した生活を送ることができる、社会参加が可能になるといった面があり、その点からも保有が認められるべきものです。


車の保有が認められる場合
Q.2 自動車を保有したまま生活保護を利用したいのですが、現在の運用(厚労省通知)では、どのような場合であれば車を処分せずに生活保護が利用できますか?

A 自動車の保有については、以下の場合に認めることができるとされています。

認められる場合1
事業用品としての自動車
 生活保護利用者が何らかの個人事業を営んでいて、その営業のために自動車が必要となる場合(例えば商品の運搬用など)です。このような事業用自動車については「当該事業が事業の種別、地理的条件等から判断して当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならない」場合には保有が認められます(別冊問答集第1 編問3-14)。

認められる場合2
「公共交通機関の利用が著しく困難」な場合の通勤や通院・通所・通学用自動車
 この場合については、①本人が障害者か交通不便な場合か、②利用目的が通勤か通院等かによって、以下のとおり要件が異なります。
一見、非常に厳しい要件に見えますが、「保有が社会的に適当と認められるときには…その〔通知の〕要件を一定程度緩和して解釈・運用する必要がある」とされています(判例①、②・③でも同旨が述べられています)。
そのため、要件を1つ1つ細かく見過ぎて抑制的に考えるよりも、自動車保有の必要性があれば、要件を緩和して解釈するよう福祉事務所に求めていくことも大事です。

障害者交通不便な場合
通勤(課第3-9)自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することがきわめて困難であり、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときには、「社会通念上処分させることを適当としないもの」(次官通知第3の5)として容認(交通不便な場合に課される右記(1)~ (4)の条件は求められない。)居住地もしくは勤務先が、公共交通機関利用困難地にあるか、深夜業務従事者であって、かつ(1)~(4)の全ての条件必要
(1)勤務が自立に役立つ、
(2)地域の普及率、自動車非保有低所得者との均衡
(3)処分価値が低い
(4)当該勤務の収入>維持費
通院等(課第3-12)通院、通所及び通学(以下「通院等」)のために自動車を必要とする場合(1)~(5)の全ての条件が必要
(1)定期的利用
(2)自動車利用が真にやむを得ないこと
(公共交通機関の利用が著しく困難、送迎サービス活用困難、タクシーより自動車を利用する方が妥当等)
(3)処分価値低く、2000cc以下
(4)維持費が他からの援助や他施策で賄われる
(5)本人や生計同一者が運転
公共交通機関利用困難地域に居住する者かつ(1)~(5)の条件が必要
(1)定期的利用
(2)自動車利用が真にやむを得ないこと
(公共交通機関の利用が著しく困難、送迎サービス活用困難、タクシーより自動車を利用する方が妥当等)
(3)処分価値低く、2000cc以下
(4)維持費が他からの援助や他施策で賄われる
(5)本人や生計同一者が運転



認められる場合3
就労を中断している場合の自動車保有
 生活保護の開始時において失業や傷病により就労を中断している場合の通勤用自動車について処分を求めると、そのことによって就労が困難になり、就労による自立の可能性を奪うことになりかねません。
 そこで、課長通知問第3の9-2では、「概ね6か月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれるものであって、保有する自動車の処分価値が小さいと判断されるもの」については6か月間、処分指導をしなくてもよいとしています。また、6か月が経過しても、具体的に就労による自立に向けた活動が行われていれば、概ね1年まで延長してよいとされていますし、さらにそこから延長が認められるケースも多くあります。
 ただし、これによって認められているのは処分指導を行わないことまでで、求職活動に必要な場合には利用を認めるものの、それ以外での利用を認めるものではないとされているところは問題です。

認められる場合4
保育園等の送迎のための通勤用自動車の保有
 生活保護手帳別冊問答集問3-17は、「子の託児のために保育所等を利用しており、保育所等へ送迎して勤務するためには自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することがきわめて困難である」場合には、公共交通機関等での利用が可能な保育所等への転入所を検討すべきとする一方で、「公共交通機関の利用が可能な保育所等が全くない場合若しくはあっても転入所が極めて困難である場合、又は転入所することが適当ではないと福祉事務所が判断する場合」には、通勤用自動車の保有を認めるとしています。ここでは「転入所することが適当ではないと福祉事務所が判断する場合」も保有が可能とされており、認められる範囲は広がっています。
 また、厚労省が新型コロナウイルス対策で出した令和2年4月7日付け事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について」では、求職活動のために保育園に子どもを預ける必要がある場合に自動車を利用することを認めるとしています。こういった柔軟な対応が、他の場面にも広がることが望まれます。


Q.3 「公共交通機関の利用が著しく困難」というのはどういう場合ですか?

A 障害のある方以外で、居住地もしくは勤務先が公共交通機関利用困難地にあるか、深夜業務に従事している場合です。
 この要件が課されるのは、障害のある方以外の場合です。具体的には①居住地もしくは勤務先が公共交通機関利用困難地にあるか、② 深夜業務に従事しているという場合を指します(②の場合はそもそも公共交通機関が運行していません)。
 このうち、①については、「例えば、駅やバス停までの所要時間や、公共交通機関の1日あたりの運行本数、さらには当該地域の低所得者の通勤実態等を勘案したうえで、自動車によらずに通勤することが現実に可能かどうかという観点から実施機関で総合的に判断」(別冊問答集問3-16)とされています。
 実際に福祉事務所と交渉をする際には、公共交通機関の運行本数等を調べた上で、実際にそれを利用するとどのくらい時間がかかるのかを、事前に準備しておいた方がよいでしょう。そして、季節や天候による影響、ご本人の年齢などの事情も合わせて説明し、公共交通機関を利用しての通勤や通院・通所・通学ができないことを、具体的に説明するのが望ましいでしょう。

 福岡県知事平成23年9月9日裁決(裁決DB№1555)
公共交通機関を使うとすれば、バスを8時15分に降車して、そこから1.2キロを徒歩で歩き8時半までに出勤しなければならないが、年齢(63歳)及び雨天時などを考慮すれば確実に通勤可能とは判断できない。



Q.4障害者の方に自動車保有が認められるための要件としての「障害」はどのように考えられていますか。

A 自動車税等が減免される障害者(中略) を標準とし、個別に判断されます。障害者手帳がなくても認められた例もあります。
 ここでいう「障害」とは、「自動車税等が減免される障害者(中略)を標準とし、障害の程度、種類及び地域の交通事情、世帯構成等を総合的に検討して、個別に判断する」とされています。(別冊問答集問3-15)
 その障害の程度については、「身体障害にあっては下肢、体幹の機能障害、内部障害等により歩行に著しく障害を有する場合、知的障害にあっては多動、精神障害にあってはてんかんが該当する」(別冊問答集問3-18)という見解が厚労省から示されています。
 ただ、上記の場合以外では認められないということではありません。また、障害者手帳が無ければ認められないということでもありません。実際に障害者手帳が無い場合でも、精神疾患(パニック障害等)や指定難病の方などで保有が認められた例もあります。
 障害者手帳の有無を問わず、公共交通機関の利用が困難な障害や疾病等があれば、自動車の保有を認めるよう交渉しましょう。そして、福祉事務所は、主治医に状態を確認し、診断書の記載等から公共交通機関の利用の困難性について柔軟に判断することが求められます。


Q.5 自動車の保有が認められる「通院・通所・通学」に含まれるのは、 どのような場合ですか?

A 生活保護利用者の生活維持及び自立助長のために必要不可欠な施設訪問の場合です。
 自動車利用が認められるのは、通勤以外では「通院・通所・通学」とされています。ただ、これらはあくまでも例示に過ぎないと考えるべきです。
 実際に判決③でも、「医療や教育を目的とする施設ではなくても、障害者の生活維持及び自立の助長のため必要不可欠な施設等への定期的な訪問が『通所』に該当する場合もある」とされています。そのため、「通院・通所・通学」の範囲を狭く捉えず、生活保護利用者の生活維持及び自立助長のために必要不可欠な施設訪問か否かという観点から検討すべきです。
 また、「定期的」かどうかについては、「通院回数や通院頻度が多いことが要件とはされておらず、通院頻度が少ないとしても定期的な通院の必要性があるといえる以上は要件①を満たすのであるから、…通院頻度の多寡を問題とすることには合理性がない」(判例③)とされています。


Q.6 どの程度の価値の自動車であれば保有が認められるのですか?

A 自動車の処分価値が小さいことが挙げられています。
 自動車保有の要件として、自動車の処分価値が小さいことが挙げられています。
 その判断基準は、「全国統一して決められる性格のものではなく、地域の実情等を勘案した上、社会通念で判断することが最も妥当な方法」で「地域の実情、世帯の状況を的確に把握した上」で保有の可否を判断すべきとされています(別冊問答集問3-13)。
 この点、日本弁護士連合会の2010年(平成22年)5月 6日付け「生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書」では、「処分価値の小さい」ことの基準として、当該世帯の6か月分の最低生活費を目安とする考え方を示しています。その理由を同意見書は「前掲課長通知第3の9-2が、『概ね6か月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれる者』の通勤用自動車保有を認めていることや、『保護の停止又は廃止の取扱い基準』について定めた課長通知問第10の12が,臨時的な収入の増加等により,『以後おおむね6箇月を超えて保護を要しない状態が継続すると認められるとき』に限って保護を廃止するとしていること」としています。
 以上のような考え方を踏まえつつ、地域や家庭の個別事情を考慮して保有を容認すべきかどうかを判断すべきです。


Q.7保有を認められた目的以外で、日常的に利用することはできないのでしょうか?

A 認められるよう求めていくべきです。
 福祉事務所が自動車の保有を認める際、「保有を認めた目的以外に使用しない」ように求めることは少なくありません。
でも、保有目的以外の使用ができなければ買い物などもできず、生活に支障を来してしまいます。そもそも「保有目的以外で利用してはならない」とする規定はありません。
 判決③は、「日常生活において保有する自動車を利用することなく、費用を負担してタクシーを利用したり、第三者の介護を求めたりすることは補足性の原則(生活保護法4条1項)にも反する」とした上で、「当該自動車を通院等以外の日常生活の目的のために利用することは、被保護者の自立助長(同法1条)及びその保有する資産の活用(同法4条1項)という観点から、むしろ当然に認められるというべきである」と述べています。また、秋田県知事平成19年1月31日裁決(裁決DB№ 3217)も、生活用品として認めた自動車を通勤に使用したことを「生活保護の趣旨に反しない」とした上で、勤労収入から維持費(燃料費や車検代)の控除を認めており、参考になります。
 そこで、保有を認められた段階から、日常生活でも用いることがどれだけ必要であるかを具体的に述べて、保有目的以外の利用も容認するよう求めていく必要があります。


Q.8 自動車を借用することは許されないのでしょうか?

A 借用も「保有」に含まれるとされています。
 日常用語からすると違和感があるのですが、「借用」についても「保有」に含まれるとされているので(別冊問答集問3-20)、借用の場合にも、これまで述べてきたような保有の要件を満たす必要があるということになります。後述するように「遊興」のための保有を認めないとしていること等からすると、資力の問題と生活態度の問題を混同する解釈だといえます。
 ただ、別冊問答集問3-20では「遊興等単なる利便の ため度々使用すること」は認めないと明示する一方で、「緊急かつ妥当な理由が無いにも拘わらず」と「緊急かつ妥当な理由」がある場合の借用はやむを得ないとする表現もあり、必ずしも保有する場合と同じではありません。例えば、急病の子どもを連れて行くのに隣人の自動車を借りることは認められるべきです。
 また、判決①は、障害のあるシングルマザーが自動車を借用していたためになされた保護廃止処分が争われた事案ですが、バス停までの距離( 約1. 5キロメートル)、バスの通勤時間(片道1時間30分)、自宅を出る時刻(朝6時)という勤務先については、原告の健康状態から自転車による通勤は困難だとして、自動車の借用を理由とした保護廃止処分を取り消しています。


Q.9 自動車保険や車検などの経費はどうやって賄えばいいでしょうか?

A 収入や援助などで賄うほか、一時扶助を求めることが考えられます。
 維持費が賄われることは、自動車の保有が認められる要件にもなっています。
通勤用自動車の場合
 給与収入から賄うことが前提とされています。そして、賄った費用は必要経費として給与収入の収入認定額から控除されます(実質的には保護費から経費を出したのと同じことになります)。
 この経費の中には、自宅から勤務先まで最短距離で算定したガソリン代、小破修理費、車検費用、自賠責保険・任意保険の保険料、自動車税が含まれます(別冊問答集問8-20)。

それ以外の場合
 課長通知問第3の12において、他からの援助、他法他施策の活用等により確実にまかなわれる見通しがあることが必要とされています。この点、障害者の方については、維持費が障害者加算(他人介護料を除く)の範囲で賄われる場合は、上記の「等」にあたるとされていて、要件を満たすことができます( 別冊問答集問3-19)。
 生活扶助の一時扶助としての移送費( 局長通知第7-2(7)ア)や通院移送費(医療扶助実施要領第3-9(2) イ)での支給を求めることが考えられ、現に支給している自治体もあります。


Q.10 オートバイや原動機付自転車の保有は認められますか?

A 自動車よりも緩和された要件で認められています。
 オートバイ及び原動機付自転車の保有については、生活保護手帳別冊問答集の問3-23で規定されています。
 それによると、総排気量125ccを超えるオートバイについては自動車の取扱いに準じて考えられることになっています。
 一方、総排気量125cc以下のオートバイと原動機付自転車については、以下の4つの要件を満たす場合は生活用品として保有が認められます。生活用品として認められるということは、通勤や通院に限らず使用できるということです。
①当該オートバイ等が現実に最低生活維持のために活用されており、処分するよりも保有している方が生活維持及び自立助長に実効があがっていると認められること
②保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと認められること
③自動車損害賠償責任保険及び任意保険に加入していること
④保険料を含む維持費についての捻出が可能であると判断されること

①②は通常満たすので、自動車の保有容認要件よりもかなり緩やかに規定されています。


Q.11 どうすれば自動車を持ったまま生活保護を利用できるでしょうか?

A 申立書を作って提出したり、支援団体に相談したりしてください。
 現在の運用では、当事者の方が「自動車の保有を認めてほしい」と口頭で交渉してもなかなか認めない自治体が多いと思います。
 そのような場合に備え、自動車保有容認を求める申立書のひな形があります。これは、これまで紹介してきた自動車保有を認める場合の要件を一枚の申立書にまとめたものです。
 この申立書を申請の際に持参し、それでも自動車の保有を認めないという回答があった場合には、裏表紙にある各地の「生活保護支援ネットワーク」や「生活と健康を守る会」などの支援団体に相談して支援を求めてください。

【申立書ダウンロードURL】
https://note.com/otashin2/n/ne63824d7c800

都道府県別自動車普及率(2014年)グラフはこちら




Q.12 『生活保護制度における自動車保有のあり方』は今後、どのように変わっていくべきですか?

A
あり方1 自治体から国への要望「自動車保有条件の緩和」
 全国市長会が国に毎年提出している「国の施策及び予算に関する要望書」の「保健福祉施策に関する要望」では、以下のように自動車保有条件の緩和を要望してきています。
●平成20年度 「自動車保有制限を緩和し、受給者の就労自立に向けた体制を強化すること」
●平成23~25年度 「地理的条件の悪い地域に居住する生活保護受給者が日常生活上の用に供する自動車の保有が可能となるよう制度の改善を図ること」
●平成26~令和2年度 「地理的条件の悪い地域に居住する生活保護受給者が日常生活上の用に供する自動車の保有条件を緩和すること」

あり方2 「生活用品」として自動車保有の容認
では、どのような点の改正が望ましいでしょうか。
 まず、自動車保有容認の基準を緩和することです。処分価値が無い場合とある場合で要件を分けて、その要件を満たせば、「生活用品」としての保有を認めるようにすべきです。

処分価値のない自動車
 「資産」に当たらないことから維持費(ガソリン代、車検代、任意保険料)の捻出が可能であれば保有を認めるべきです。

処分価値がある自動車
 以下の要件を満たせば保有を認めるべきです(この場合、借用(レンタル・リースも含まれます。)も同様の要件で認めることになります)。
①処分価値が乏しい(当該世帯の最低生活費6か月分以下)
②維持費の捻出が可能
③当該地域の自動車普及率が70%以上または、公共交通機関の利用が困難(障害・疾病等のため)

あり方3 自動車維持費の負担方法
 もう1つは維持費の負担ができない場合への対応策です。
 1つの方法として、社会福祉協議会の福祉資金貸付(現在は障がい者用自動車購入経費は貸付対象となっている)の中に自動車維持費を新設して、福祉事務所が当該世帯の自立更生に資すると認めた場合には当該貸付金を収入認定除外できるようにすることが考えられます。



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