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東京都生活保護運用事例集2017年版です。
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東京都生活保護運用事例集2017-1
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 2019年8月、「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」が厚生労働省令第4号として公布されたことから、今後、無料低額宿泊所を所管する都道府県、政令市、中核市が無料低額宿泊所に関する条例を制定する動きが本格化することが見込まれています。
 制定される条例の内容によっては、無料低額宿泊所入所者の権利侵害を放置又は誘発する事態の発生も懸念されるため、当会議は、「無料低額宿泊所に関する条例制定についての意見書」を公表し、無料低額宿泊所がある50の自治体(都道府県18、政令市15、中核市17)に郵送で執行しました。



2019年11月27日


無料低額宿泊所に関する条例制定についての意見書


生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜


 無料低額宿泊所の設置・運営基準は平成15年7月31日社援発第0731008号厚生労働省社会・援護局長通知の別紙「無料低額宿泊所の設備、運営等に関する指針」(以下「ガイドライン」という)で定められていた。
 今般、社会福祉法(以下「法」という)の規定に基づく「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準」が2019年(令和元年)8月19日に厚生労働省令第4号(以下「省令」という)として公布され、2020年(令和2年)4月1日から施行されることとなった。同省令第1条で、厚生労働省令で定める基準は、都道府県、指定都市、中核市(以下「都道府県等」という)が条例を定めるに当たって標準とすべき基準ないし参酌すべき基準であるとされている。また、2019年(令和元年)9月10日には、厚労省社会・援護局長名で「無料低額宿泊所の設備及び運営に関する基準について(通知)」(以下「解釈通知」という)が発出されている。
 こうした動きをふまえ、今後、都道府県等において、無料低額宿泊所に関する条例を制定する動きが本格化することが見込まれるが、その内容によっては、無料低額宿泊所入所者の権利侵害を放置又は誘発する事態が懸念される。
 そこで、当会議は、都道府県等がかかる条例を制定するにあたって留意すべき諸点について、以下のとおり意見を述べる次第である。

第1 意見の趣旨
 都道府県等は、無料低額宿泊所に関する条例を制定するに当たって、以下の諸点に留意し、当該条例に明記するべきである。

1 居宅保護が原則であることに鑑み、利用者が希望すれば、居宅生活ができない場合、居宅生活によっては保護の目的を達しがたい場合を除き、居宅保護を行うこと。
2 介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等に基づいて提供されるサービスを利用して日常生活を営むことができる場合は、「居宅生活が可能な場合」に該当し、安易に無料低額宿泊所に入所させてはならないこと。
3 保護の実施機関及び無料低額宿泊所が、無料低額宿泊所入所後も速やかに居宅へ移行できるよう支援すべきであること。
4 無料低額宿泊所の入所期間の上限(原則3か月、最大6か月)を具体的に定めること。
5 条例に定める無料低額宿泊所の職員のうち施設長の資格要件については、少なくとも、「法第19条第1項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業等に2年以上従事した者」に限定すること。
6 条例の定める無料低額宿泊所の設備基準については、物理的水準としても居住空間として相応しい施設となるよう、居室の面積は、経過措置を設けず、少なくとも7.43平方メートル(四畳半)以上、例外なく個室とし、入居者に対し1日に1回の頻度で入浴の機会を提供しなければならないこと。
7 無料低額宿泊所が入居者の金銭管理を行ってはならないこと。
8 無届施設に対する届出勧奨を進めるとともに、最低基準を満たさない施設を無届で運営している事業者に対しては、社会福祉法72条3項に基づく事業の制限・停止命令を行い得ること。



第2 意見の理由
1 居宅生活が基本であること
(1) 居住、移転の自由、居宅保護の原則

 日本国憲法22条1項は居住、移転の自由を保障している。また、生活保護法30条1項は「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする」として居宅保護の原則を定めている(同項本文)。
居宅での生活は誰もが望むものである。と同時に地域社会で自らの意思決定に基づいて生活することこそが「自立の助長」という生活保護法の目的(同法1条)を達成するためにふさわしいからである。
 2015年(平成27年)に厚生労働省社会・援護局保護課が全国の都道府県、指定都市、中核市本庁において行った「無料低額宿泊事業を行う施設に関する調査」から明らかなように、無料低額宿泊所の入所者の大多数は生活保護利用者である(届出施設537施設、入所者総数15,600人のうち生活保護利用者14,143人)。そして、無料低額宿泊所のうち要件を満たして届出を行う社会福祉住居施設の多くが日常生活支援住居施設と位置づけられ、生活保護利用者の一時的居住の場となると予想される。
 無料低額宿泊所が社会福祉住居施設、日常生活支援住居施設という位置づけに変わったとしても、そこに入所している利用者は、あくまでも例外的に施設に入っているだけであって一日も早く居宅への移行を果たせるよう支援をしなければならない人であることに変わりはない。無料低額宿泊所が社会福祉住居施設、日常生活支援住居施設と位置づけられることによって、それがあたかも住居の1つであるかのように扱われ、居宅保護の原則が後退するようなことがあってはならない。


(2) 障害や困難があっても居宅生活は可能である

 経済的困難のみならず日常生活においても支援が必要だから無料低額宿泊所に入所しているのだと言われることがあるが、身体上または精神上の障害があっても居宅生活は可能である。介護保険法に基づく介護サービスや、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下「総合支援法」という)に基づく障害福祉サービスは、居宅生活を前提としたものも当然に存在する。そのほか、成年後見制度や、都道府県・指定都市社会福祉協議会が実施主体となって定期訪問や日常的金銭管理を行う日常生活自立支援事業(社会福祉法2条3項12号)等、様々な制度やサービスを用いて居宅生活を送ることが可能である。
 この点、解釈通知の第1の2(2)も、「介護保険法、障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律等に基づいて提供されるサービスを利用して独立して日常生活を営むことができる場合」が、「入居者が一般の居宅等において独立して日常生活を営むことができる」場合に含まれることを明記しているところである。
 したがって、かかる場合は、「居宅生活が可能な場合」に該当し、安易に無料低額宿泊所に入所させてはならないことを条例に明記すべきである。


(3) 他法の改正にみる居宅生活促進の動き

 2017年(平成29年)10月25日に施行された改正住宅確保要配慮者に対する賃貸住宅の供給の促進に関する法律(住宅セーフティネット法)では、高齢者、障害者、低額所得者等の住宅確保要配慮者に対し、民間の空き家・空き室を活用した入居を拒まない賃貸住宅の供給を促進し、併せて、入居相談や見守りなどの生活支援を充実させる方針が打ち出された。
 また、2018年(平成30年)4月1日に施行された改正総合支援法では、従前の地域移行支援・地域定着支援サービスに加え、障害者支援施設やグループホーム等から一人暮らしへの移行を希望する障害者について、本人の意思を尊重した地域生活を支援するため、一定期間、定期的な巡回訪問等の支援を行う自立生活援助というサービスを新たに創設した。
 これらは、施設ではなく居宅生活を希望する人の意思をできる限り尊重し、地域での生活を支援していこうという取り組みである。
 今回の法改正による社会福祉住居施設及び日常生活支援住居施設の創設が、これらの地域移行への動きと矛盾し、逆行する結果とならないよう留意が必要である。


(4) 入所者の居宅生活への移行支援

 省令3条3項では、無料低額宿泊所は基本的に一時的な居住の場であるとされており、同条4項では、入居者の円滑な退居のための必要な援助に努めなければならないとされている。
 したがって、仮に居宅生活ができない、あるいは、居宅生活によっては保護の目的を達しがたい、あるいは、生活保護利用者が希望した場合に該当したとして(生活保護法30条1項但書)、無料低額宿泊所に入所したとしても、保護の実施機関及び無料低額宿泊所は、入所者が可及的速やかに居宅生活に移行するための支援を行うことが重要である。



2 無料低額宿泊所は一時的な居住の場であること

 「宿泊所」とは「一時的な宿泊をさせる場所」とされている(社会福祉法令研究会編『社会福祉法の解説』96頁)。無料低額宿泊所が一時的な利用に供する場所であることは、厚生労働省も前提としていたところである(平成25年5月15日社援保発0515第2号厚生労働省社会・援護局保護課長通知、平成27年5月13日社援保発0513第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知)。
 社会福祉住居施設ないし日常生活支援住居施設という位置づけがあっても、無料低額宿泊所である以上「一時的な宿泊をさせる場所」であることに変わりはない。速やかに居宅へ移行するか、真に居宅生活が困難な場合は老人ホームやグループホーム等、必要な支援が整っている施設へ入所することが本人の利益に適うことである。
 特に日常生活支援住居施設は、生活保護施設となるため無料低額宿泊所の「一時的な利用の場」という性質は後退するようにも考えられるが、居宅保護が原則であり施設保護は例外であることを考えるならば、その利用は必要最小限にとどめるべきである。
 省令3条3項では、無料低額宿泊所は基本的に一時的な居住の場であるとされている。「一時的」の基準は必ずしも明確ではないが、生活困窮者自立支援法において、一定の住居を持たない生活困窮者に対し一時的な宿泊場所を供与する事業として法制化されている一時生活支援事業に鑑みれば、「原則3か月、最大6か月」とするのが妥当である(生活困窮者自立支援法施行規則7条参照)。



3 無料低額宿泊所の設備・運営基準
(1) 職員の資格要件

 省令は「無料低額宿泊所の長(以下「施設長」という。)は、法第19条第1項各号のいずれかに該当する者若しくは社会福祉事業等に2年以上従事した者又はこれらと同等以上の能力を有すると認められる者でなければならない」と規定した(6条)。これはガイドラインの定める要件と同じである。
 しかし、「これらと同等以上の能力を有すると認められる者」という判断基準は曖昧であり、資格要件を課した趣旨が没却しかねない。職員が利用者に対して適切な支援を行い、速やかに居宅移行させることが肝要であり、そのために職員とりわけ施設長の資質は担保しなければならい。
 よって、「これらと同等以上の能力を有すると認められる者」という規定は削除すべきである。


(2) 居室の床面積について

 省令は、一居室の面積は7.43平方メートル(四畳半)以上とし、地域の実情によりこれにより難い場合は、居室の床面積が1人当たり4.95平方メートル(三畳)以上確保することとしている(省令12条6項1号ハ)。これはガイドラインの基準と同じである。
 しかし、住生活基本法に基づいて2016年3月18日に定められた住生活基本計画によれば、単身者の最低居住面積水準は25平方メートルである。これと比較すると、無料低額宿泊所の基準は著しく低い。さらには、平成27年6月以前からある無料低額宿泊所の場合は3.3平方メートル(二畳)以上であれば「当分の間は」容認されるかのような基準となっている(附則3条)。そもそも、従前のガイドラインが2015年4月に改正された際にも、原則7.43平方メートル(例外4.95平方メートル)という床面積の基準に満たない施設は、段階的、計画的に基準を満たすよう整備することとされていた。それからすでに4年以上が経過している現時点においてもなお、段階的、計画的に基準を満たすことができていない施設が、この先、基準を満たせるという保証はない。
 以上から、居室の面積は少なくとも7.43平方メートル(四畳半)以上とし、経過措置は設けるべきではない。


(3) 個室について

 省令では、個室を原則とし(省令12条6項1号イ)、多人数個室及び簡易個室については3年の間に解消を図ることとするなど(附則2条)、一定の前進はみられる。しかし、経過措置が3年というのは長すぎる。
 無料低額宿泊所がときに「貧困ビジネス」と非難される主要な原因の一つが相部屋・簡易個室である。仮に2023年3月まで相部屋・簡易個室を温存する条例が制定されるとなれば、貧困ビジネス対策は「骨抜き」との批判は免れない。
 したがって、例外なく個室とし、経過措置は設けるべきではない。


(4) 入浴回数について

省令は「無料低額宿泊所は、入居者に対し1日に1回の頻度で入浴の機会を提供しなければならない。ただし、やむを得ない事情があるときは、あらかじめ、当該入居者に対し当該事情の説明を行うことにより、1週間に3回以上の頻度とすることができる」と定める(19条)。これも、ガイドラインの「入浴は、週に3回以上行うこと」という基準を踏襲したものと思われる。
 しかし、近時の夏の暑さは異常であり、真夏にも1週間に3回しか入浴できないとなると、衛生上及び健康上、多大な支障が生じる。1週間に3回の入浴しかできない施設は居住空間として不適切である。但書以下は条例に設けるべきではない。



4 金銭管理
(1) 無料低額宿泊所(社会福祉住居施設を含む)で「生活の扶助」は行えないこと

 日本弁護士連合会の2010年6月18日「『無料低額宿泊所』問題に関する意見書」で述べられているとおり、「生計困難者を無料又は低額な料金で入所させて生活の扶助を行うことを目的とする施設を経営する事業」が第一種事業であり、「生計困難者のために、無料又は低額な料金で、簡易住宅を貸し付け、又は宿泊所その他の施設を利用させる事業」が第二種事業であって、その違いを端的に言うならば施設内で「生活の扶助」を行うかどうかである。
 施設の入所者に対して「生活の扶助」を行うことは、その入所者の人格に対して非常に大きな影響を及ぼしうるため、経営の適正化を欠くようなケースが生じれば、非常に重大な人権侵害を生ずる可能性がある。そのため、第一種事業は、事業経営の適正化を確保することが不可欠であることから、強い公的規制を行うこととされているのである(社会福祉法令研究会編『社会福祉法の解説』69頁)。
 しかるところ、本来、無料低額宿泊所(社会福祉住居施設を含む)は第二種事業であるため、「生活の扶助」を行うことはできない。この基本的な規定は今般の社会福祉法改正後も変わっていない。


(2) 無料低額宿泊所と入居者は対等な契約当事者となりにくい状況があること

 無料低額宿泊所によるサービスの提供及び対価の受領は、利用者から文書で同意を得る、または入居契約とは別に契約書を作成する、ということが求められてはいるが、ほかに行く場所がなく、自力で他の居所を設定することもできない入居者(だからこそ無料低額宿泊所に来ているのである)が、施設から、金銭負担を伴うサービス(金銭管理を含む)の提供を提案されて、契約締結を拒むことが可能であるとは考えにくい。
 したがって、本来、施設側と入居者の契約の場面における力の差を考えれば、無料低額宿泊所における、入所者の金銭負担を伴うサービスの提供(生活の扶助)は禁止すべきである。省令16条が、入所者からの「基本サービス費」の受領を許容していることには問題があると言わざるを得ない。


(3) 無料低額宿泊所による入居者の金銭管理

 省令では、入居者の金銭管理について、入居者本人が行うことを原則としつつ、「金銭の適切な管理を行うことに支障がある入居者であって、無料低額宿泊所による金銭の管理を希望するもの」に対しては、入居にかかる契約とは別に金銭管理に係る契約を行うこと等を条件に、無料低額宿泊所が日常生活に係る金銭を管理することを妨げないという規定も置かれている(省令26条)。
 しかしながら、「金銭の適切な管理を行うことに支障がある」かどうかを判断するのは当該無料低額宿泊所であるから、その判断が適正になされることの担保がない。平成29年3月1日さいたま地裁判決は、生活に困窮した人を無料低額宿泊所に入所させ、生活保護を申請させて、入所者に劣悪なサービスしか提供せず、生活保護費の大半を搾取して不当な利益を得ていた事業者に対し、「生活保護法の趣旨に反し、その違法性は高い」「最低限度の生活を営む利益を侵害したものとして不法行為が成立する」として、総額約1580万円の損害賠償や支払った利用料の返還を命じた。この事案にみられるように、無料低額宿泊所が入居者の金銭管理を行うことは、生活保護費の大半を取得し、本人には少額の小遣いしか渡さないといった悪質な貧困ビジネスにつながりかねない。
 したがって、善意で入居者支援としての金銭管理を実施する無料低額宿泊所が存在するとしても、一方で悪質な貧困ビジネスの温床となっている実態がある以上、少なくとも金銭管理は例外なく禁止し、成年後見制度、社会福祉協議会の日常生活自立支援事業の活用など他の手法に委ねるべきである。



5 無届施設の届出勧奨
 社会福祉法68条の2第2項は、社会福祉住居施設を設置して、第二種社会福祉事業を経営しようとするときは、その事業の開始前に、同条1項各号に掲げる事項の届出を義務付けているが、周知のとおり、無料低額宿泊所に類似する施設を無届で運営している事業者も散見される。省令、ひいては社会福祉法改正の趣旨を踏まえるならば、無届施設に対しては届出を勧奨し、規制の対象に加えていくことが重要である。
 社会福祉法72条3項は、届出をせずに第二種社会福祉事業を経営する者に対してでさえ、その事業に関し不当に営利を図り、若しくは福祉サービスの提供を受ける者の処遇につき不当の行為をしたときは、その者に対し、社会福祉事業を経営することを制限し、又はその停止を命ずることができる旨を定めている。「不当に営利」、「不当の行為」の判断基準が曖昧であることが運用上の障害になっているものの、社会福祉法68条の5第1項、同規定に基づく省令1条、2条の基準を満たさずに無料低額宿泊所を運営した場合には改善命令がなされること(社会福祉法71条)に鑑みると、最低基準を満たさない施設を運営している無届事業者に対しては、社会福祉法72条3項を適用して事業の制限・停止命令を行い得ることを明記することによって、同条項の活用を図るべきである(2010年9月13日付、大阪弁護士会「大阪府被保護者に対する住居・生活サービス等提供事業の規制に関する条例(案)に対する意見書」参照)。

以 上




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目次

はじめに

第1章 申請
Q1 生活保護とは
Q2 どこに行けばよいか
Q3 福祉事務所と接するときの心構え
Q4 保護「申請」の有効性
Q5 本人申請の際の助言内容
Q6 法「改正」で申請手続はどうなったか
Q7 申請代理・同行援助
Q8 同席・代理申請を拒否されたら
Q9 申請に同行する意義
Q10 相談の際の聴取事項
Q11 法律相談と法律扶助
Q12 保護申請・審査請求援助と法律扶助

第2章 調査・決定
Q13 申請時にあるとよい書類、要否判定に必要な書類
Q14 決定までの期間
Q15 つなぎ資金
Q16 要否判定のしくみ
Q17 決定金額チェックの必要性
Q18 保護費の種類
コラム あいつぐ生活保護基準の引き下げ

第3章 生活保護申請を拒否された場合の対処法
Q19 最低生活費をわずかに上回る収入がある場合(境界層該当)
Q20保護申請時の稼働能力活用
Q21 借金と生活保護
Q22 年金担保融資利用者と生活保護
Q23 自動車の所有・借用
Q24 持ち家の取り扱い
Q25 リバースモーゲージ(不動産担保融資型生活資金制度)
Q26 住宅ローンが有る場合の取り扱い
Q27 現金、預貯金の取り扱い
Q28 生命保険等の取り扱い
Q29 学資保険の取り扱い
Q30 親兄弟や配偶者等がいる場合
Q31 高額家賃の場合の取り扱い
Q32 世帯認定
Q33「世帯分離」とは
Q34 母子生活支援施設
Q35 ホームレスと生活保護
Q36 ホームレス状態の人に対する敷金支給・居宅保護
Q37 刑務所出所者と生活保護
Q38 無料低額宿泊所等からの転居
Q39 DVの場合
Q40 外国人と生活保護

第4章 生活保護利用中によく問題になる論点
Q41 通院交通費
Q42 自助グループ参加のための交通費
Q43 ジェネリック医薬品の使用
Q44 転居と生活保護
Q45 働いた分だけ保護費は差し引かれるか(基礎控除)
Q46 就職活動関連費の支給
Q47 生活保護と大学進学
Q48 収入認定しないものの取り扱い
Q49 年金の遡及支給と法63条返還
Q50 過払金と生活保護
Q51 福祉事務所の過誤払による法63条返還
Q52 過払い金と生活保護
Q53 交通事故の賠償金と法63条返還
Q54 離婚に伴う慰謝料の取り扱い
Q55 耐久消費財購入についての給付や貸付
Q56 78条(不正受給)と63条返還の違い
Q57 保護費の「天引き」
Q58不正受給・過払保護費徴収債権の非免責債権化
Q59 認知症と障害者加算

第5章 廃止
Q60 保護廃止が許される場合
Q61 終了指導と保護廃止
Q62 辞退届
Q63 退院即保護廃止

第6章 争訟
Q64 審査請求
Q65 裁判
Q66 当面の生活の確保(再申請・執行停止・仮の義務付け)
Q67 ケース記録の情報開示

第7章 災害と生活保護
Q68避難所などの避難先での生活保護受給
Q69 被災地に残した資料や試算
Q70 避難所で受け取れる生活保護費
Q71 義援金その他の給付金と生活保護
Q72 被災者の自動車保有と生活保護
Q73 避難先との世帯認定
Q74 避難先からの住宅の確保
Q75 家具什器代、布団代、被服費

書式・資料集

執筆者(アイウエオ順)
今村雅夫(認定NPO法人大津夜まわりの会)
大口耕吉郎(全大阪生活と健康を守る会連合会)
木原万樹子(大阪弁護士会)
小久保哲郎(大阪弁護士会)
佐々木育子(奈良弁護士会)
田川英信(元世田谷区職員、社会福祉士)
谷口伊三美(大阪ダルク)
徳武聡子(大阪司法書士会)
觜本 郁(神戸の冬を支える会)
尾藤廣喜(京都弁護士会)
舟木浩(京都弁護士会)
村田悠輔(東京自治問題研究所研究員)
森川清(東京弁護士会)
横山秀昭(横浜市職員)
吉田雄大(京都弁護士会)
吉永 純(花園大学社会福祉学部教授)

監修
谷口伊三美(大阪ダルク)


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第13回総会記念集会

「地方から、生活保護の自動車保有問題を考えよう!」

を開催します。

 生活保護の現場では、どんなにオンボロの車でも「資産」とみなされ、持ったままの生活保護利用は原則として認められていません。これが、特に地方で、母子家庭をはじめとする多くの生活困窮者が生活保護の利用をあきらめ、保護基準以下の生活を余儀なくされる大きな要因となっています。
 このような運用の不当性は以前から指摘されてきましたが、厚生労働省も平成30年度ブロック会議の際、全国の福祉事務所に対して自動車保有要件の緩和についての意見聴取を行い、4分の1の自治体が「要件緩和が必要」と回答するなどの動きも見られます。
 そこで、今改めて、裁判例や運用の現状と課題、先進的な自治体の運用事例を学び、自動車保有要件の緩和に向けて、地方からどのような取り組みができるか、皆さんとともに考えたいと思います。多数ご参加ください!

【日時】2019年7月14日(日)午後1時30分~午後5時(受付開始午後1時)
【場所】仙台弁護士会4階大会議室
資料代1000円(当事者割引あり)・申込不要



第11回生活保護問題議員研修会


開会挨拶 新里宏二さん(弁護士・全国優生保護法被害弁護団共同代表)

地元からの報告「宮城県における自動車保有問題の現状」
山脇武治さん(宮城県生活と健康を守る会連合会事務局長)
太田伸二さん(弁護士・東北生活保護利用支援ネットワーク事務局次長)

基調講演「生活保護の自動車保有問題をめぐる現状と課題」

吉永純さん(花園大学社会福祉学部教授)



パネルディスカッション「先進自治体の取り組みに学ぶ」

報告1 沼田崇子さん(元岩手県二戸保健福祉環境センター福祉課長)
報告2 奥森祥陽さん(元京都府山城南保健所福祉室 査察指導員)
山脇武治さん、太田伸二さん、吉永純さん
進行役 小久保哲郎(弁護士・生活保護問題対策全国会議事務局長)



まとめの挨拶 尾藤廣喜(弁護士・生活保護問題対策全国会議代表幹事)
   
主催:生活保護問題対策全国会議

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 「立川生活保護廃止自殺事件」とは、2015年12月、就労指導違反を理由とする保護廃止直後に、利用者だった40代男性が自殺した事件です。事件を契機に調査団を結成し、東京都・立川市への申し入れ・懇談を重ねました。
 市や都が責任を認めるには至りませんでしたが、市は、再発防止策として調査団が求めた2点、すなわち、①職員研修(森川すいめい医師による軽度知的障害者への支援の実践に関する研修)を開催するとともに(2019年1月30日実施済み)、②今後万が一にも就労指導違反を理由とする停止廃止をする際には、相談機関や取りうる手段を明記した文書を交付することを約束しました。

 報告・提言書は、このような取り組みや問題点、あるべき就労指導のあり方等について提言をまとめた書面です。厚労省が数値目標の設定を指示していることから、就労指導の強化、違反を理由とする保護の停止・廃止の問題は全国でも起こっているものと思われます。
 各地での取り組みの参考にもなると思いますので、ぜひお読み下さい。

 
■立川生活保護廃止自殺事件・調査団報告書 click!



一人ひとりに寄りそう生活保護をめざして

~立川市生活保護廃止自殺事件調査団活動報告と提言~


2019年3月28日


[目次]

はじめに

第1 事件発覚の経緯と調査団の結成
1 事件発覚の経緯
2 調査団の結成と活動の概要

第2 調査団の活動より判明した事実関係
1 判明した事実の詳細
2 真相究明のために実施した調査活動

◆「立川生保廃止自殺事件」M さんの死府中緊急派遣村髙見俊司

第3 問題の所在
1 立川における就労指導・就労支援の実態
2 法的観点からの問題点の整理
3 本件の背景にある問題点~立川市の不当な廃止の目標値の設定~
4 他自治体でも明らかになった就労指導の問題点

◆立川市の生活保護の現状立川市議会議員上條彰一

第4 東京都及び立川市に対する調査団の活動と成果
1 東京都に対する申し入れ
2 記者発表
3 立川市に対する申し入れ
4 研修会の開催
5 就労指導違反による保護の停止・廃止時の文書交付の運用
6 調査団の活動を振り返って-成果と残された課題

おわりに── 実情にあわない「就労指導」「自立促進」と生活保護制度の矛盾
就労指導のあり方等に関する調査団の提言
調査団の主な活動一覧
添付資料一覧
「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」参加団体・参加者一覧



はじめに
 2015年12月、立川市で生活保護を利用されていた40代の男性(Mさん)が、就労指導に違反したとして保護を停止され、さらに廃止され、自殺するという大変痛ましい事件が起こりました。昨今の生活保護制度に対する締め付け、とりわけ厚生労働省が就労指導による自立に力を入れていることからすると、立川市に限らず、日本全国の自治体においても同種の事件が発生する危険性があります。
 「立川市生活保護廃止自殺事件調査団」は、この事件の真相の究明と、同種の事件を再発させないという二つの目的のために結成されました。
 調査団は本事件を記者発表し、東京都及び立川市に対して事実経過の説明と再発の防止を要請しました。事件のニュースは新聞報道やネットニュース、SNSを通じて拡散され、反響を呼びました。
 しかし、東京都及び立川市は、真相を明らかにすることなく、自殺と保護廃止の因果関係を否定しています。調査団の懸命な活動にも関わらず、保護廃止に至る経緯の真相は最後まで明らかにされませんでした。それでも、調査の結果、不完全ながらも事件像が浮かび上がりました。Mさんは、懸命に働き、「自立」を目指しながらも、「軽度」の障害のために職場に定着することができずに苦悩していた青年でした。他方で、立川市の就労指導は、こうしたMさんのパーソナリティへの配慮を欠いた、画一的・形式的なものだったと感じさせるものです。調査団としては、生活保護法を逸脱する違法な就労指導があり、これがMさんを自殺に追い込んだ可能性が高いという認識に到達しました。
 調査団の粘り強い活動の結果、立川市は、2019年1月30日、生活福祉課職員に対して、「軽度」の知的障害等をかかえる方への支援のあり方について、専門的な知見を有する森川すいめい医師(精神科医)の研修会を実施するに至りました。また、今後、就労指導違反を理由とする保護の廃止・停止を行なう際には、相談機関等を記載した文書を交付する運用の実施を約束しました。これらは調査団の活動の重要な成果といえ、立川市において同様の事件の再発を防止するために、一定の効果が期待できるものといえます。
 調査団の活動は、上記2つの目的を十分に達成することはできなかったかもしれませんが、同種事件の再発防止、ひいては、軽度の障害をかかえた方にも寄り添った生活保護制度の確かな運用を実現するうえで、今後の取り組みの足がかりとなる成果を残すことができたのではないかと考えます。
 本書面は、こうした調査団の活動報告と本件の教訓を踏まえた就労指導のあり方等に関する提言を行うものです。
 Mさんのご冥福を祈りつつ、この調査団に参加した諸団体、個人、そしてこの報告書をお読みになった全ての方が、本件の教訓と成果を活かし、それぞれの持ち場でますます奮闘されることを期待します。



立川市生活保護廃止自殺事件調査団共同代表
弁護士宇都宮健児




「報告書」のダウンロードはこちらから click!


第11回生活保護問題議員研修会

地方から生活保護行政は変えられる!


いのちを守る自治体に


例年、ご好評いただいている地方議員の皆さま方を対象とする生活保護制度に関する研修会を今年も開催いたします。
各分野の専門家を講師として迎え、制度を必要とする人が漏れなく利用できるようにするために、地方から生活保護行政をどう変えられるのかを考えます。
是非、多数ご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。


【新潟駅と会場を結ぶバス便のお知らせ】

※新潟駅 万代口バスターミナル11番乗り場から乗車し、「県立大学前」で下車
http://www.niigata-kotsu.co.jp/~noriai/brt/brt/noriba/ekimae.pdf

※臨時バスも出ますので、ぜひご活用ください。

バス時刻表

第11回生活保護問題議員研修会



★リーフレット(PDF/2.2MB)をダウンロード
★申込み書(PDF)のみダウンロード


【日時】8月23日(金)~8月24日(土)

【場所】新潟県立大学  アクセス


◆参加申し込みについて◆

【対象者】 地方議会議員

【定員】300名
(請求書を送付し、ご送金の順にお席を確保し領収書をお送りいたします。)

【参加費】1万5000円
(キャンセル料:8月1日以降 1万円、8月10日以降 1万5000円)

【お弁当】900円
(2日目昼食 ※8月15日以降のキャンセルはご遠慮ください)

【交流会】1日目 8月23日(金)18時から、研修会場で交流会を行います。
参加費1000円(茶菓・ソフトドリンク付き)

【問合せ先・申込先(宿泊先の手配も承ります)】
㈱国際ツーリスト・ビューロー 担当:大村・倉長
 電話:078-351-2110 FAX:078-351-2140
 E-mail:ktb-info@jupiter.ocn.ne.jp
 ①申込書をFAX、②メールを送信、の方法によりお申し込み下さい。
 ※会場の新潟県立大学では申し込みを受け付けておりませんのでご注意ください。



【主催】生活保護問題対策全国会議
    全国公的扶助研究会

【協力】にいがた公的扶助研究会




 プログラム・1日目(12:00 受付開始) 

13:00~14:15 基調報告

「生活保護の現状と改革の論点~地方は何ができるか」
吉永 純さん(全国公的扶助研究会会長・花園大学教授)


14:35~16:45 ミニシンポ

「地方から、生活保護行政は変えられる!」
桜井 啓太さん(立命館大学准教授)
加藤 和永さん(小田原市企画部企画政策課)
塚田 崇さん(小田原市健康福祉部福祉政策課)
和久井 みちるさん(元生活保護利用者・小田原市生活保護行政のあり方検討会委員)
コーディネーター 小久保 哲郎さん(弁護士、生活保護問題対策全国会議事務局長)


指定報告

「新潟県における福祉事務所のあり方に関するアンケート調査結果報告」
小澤 薫さん(新潟県立大学子ども学科准教授)


17:00~17:30 特別報告

「福祉事務所における自立支援の取組み」
箕輪 亜由美さん(新潟県見附市教育委員会こども課元気子育て係、社会福祉士、にいがた公的扶助研究会役員)


18:00 交流会(自由参加)

 プログラム・2日目(8:45 受付開始) 
9:00 分科会

第1分科会 生活保護基礎講座+なんでもQ&A
第2分科会 生活困窮者自立支援制度の現状と課題~子どもへの支援を中心に
第3分科会 地方から自動車保有要件の緩和をめざす!
第4分科会 進む居住支援と縮む公営住宅。これからの住宅政策を考える
第5分科会 地方税の滞納処分に対する実践的対応
13:20~14:20 講演

「元福祉事務所長が語る、議会質問10の心得」
今井 伸さん(十文字学園女子大学人間生活学部教授)


14:20~15:00 まとめ

「地方から、どう生活保護行政を変えるか」
尾藤廣喜さん(弁護士・生活保護問題対策全国会議代表幹事)


 

 各プログラムの内容ご紹介 
【1日目】
基調報告「生活保護の現状と改革の論点~地方は何ができるか」
2013年からの生活保護基準引き下げに関する裁判が山場を迎える中、さらなる引下げが、2018年から3年かけて実行されています。また、自動車保有や稼働能力活用の要件、大学進学問題などの個別論点の運用について、どのように変えていくべきか、地方には何ができるかを検討します。

講師:吉永純さん
全国公的扶助研究会会長・花園大学教授。福祉事務所20年、生活保護ケースワーカー12年の経験を生かして、貧困問題、生活保護等を研究。著書に「生活保護『改革』と生存権の保障」(2015年)、編著に「生活保護手帳の読み方、使い方」(2017年)いずれも明石書店など。



ミニシンポ 「地方から、生活保護行政は変えられる!」
神奈川県小田原市は、「保護なめんなジャンパー事件」を契機として、保護行政の改善を進めています。大阪府堺市は、福祉職採用の若手ケースワーカーらの発案で生活保護世帯の大学生等の実態調査を行い、国の制度改善につながっています。こうした取り組みの報告をふまえ、地方から生活保護行政を変えるために何が必要か考えます。

講師:桜井 啓太さん
立命館大学准教授。堺市でケースワーカーなど生活保護業務に10年間従事。専門は貧困、生活保護。著書に「〈自立支援〉の社会保障を問う」(2017年、法律文化社)など。

講師:加藤 和永さん
小田原市企画部企画政策課。同課において、2017年1月のジャンパー問題に係る「生活保護行政のあり方検討会」の事務局として、検討会の運営、報告書のとりまとめ等を担当

講師:塚田 崇さん
小田原市健康福祉部福祉政策課。2017年4月から同課にて、生活支援課職員の生活保護行政の改善に向けた取り組みをサポートするとともに、地域共生社会の実現に向けた施策を担当

講師:和久井 みちるさん
元生活保護利用者・小田原市生活保護行政のあり方検討会委員。著書に「生活保護とあたし」(2012年、あけび書房)、共著に「生活保護で生きちゃおう・崖っぷちのあなた!死んだらダメです」(2013年、あけび書房)。

コーディネーター:小久保 哲郎さん
弁護士。生活保護問題対策全国会議事務局長。1995年大阪弁護士会登録。野宿からの居宅保護を求めた佐藤訴訟、障害者の自動車保有を認めた枚方訴訟などを担当。編著に「これがホントの生活保護改革-『生活保護法』から『生活保障法』へ」(明石書店)など。



指定報告
「新潟県における福祉事務所のあり方に関するアンケート調査結果報告」

小澤 薫さん
新潟県立大学子ども学科准教授。にいがた公的扶助研究会副会長。新潟市東区の学習支援事業を産官学共同で運営。専門は、社会政策、社会保障。関係論文に「生活保護ケースワーカーの業務と意識:新潟における福祉事務所調査の結果から」(中央大学経済研究所年報、49号、2017年)など。



特別報告「福祉事務所における自立支援の取組み」
福祉事務所が行う意欲喚起としてのボランティア活動、農作業(居場所)を活用した日常生活自立支援・社会生活自立支援の取組みについて紹介します。

箕輪 亜由美さん
新潟県見附市教育委員会こども課元気子育て係。社会福祉士。にいがた公的扶助研究会役員。2008年見附市役所入庁。見附市社会福祉事務所にて生活保護CWとして10年勤務。現在は、教育委員会こども課にて要保護児童対策協議会、こども支援に従事。



【2日目】
分科会
■第1分科会 生活保護基礎講座+なんでもQ&A
生活保護の運用を知り尽くした講師による初級講座。生活保護とはどのような制度なのか、各自治体の保護行政が正しく運用されているかのチェックポイントを概説します。Q&Aの時間では、議員の皆さんの困りごと・悩みごとにもその場で回答。議会の質問にも役立ちます。

講師:田川 英信さん
社会福祉士。生活保護問題対策全国会議事務局次長。世田谷区でケースワーカー・保護係長を15年間経験。共著に「子どもの貧困ハンドブック」「『生活保護なめんな』ジャンパー事件から考える」「これがホントの生活保護改革『生活保護法』から『生活保障法』へ」。


講師:大山 典宏さん
社会福祉士。埼玉県で生活保護利用者、児童養護施設退所者の自立支援事業等を担当。児童福祉司のスーパーバイザーとして勤務。著書に「生活保護VSワーキングプア」「生活保護VS子どもの貧困」「隠された貧困」など。

講師:森 弘典さん
弁護士。1999年弁護士登録。司法修習中から野宿労働者の生活保護訴訟(林訴訟)に関与。2002年、愛知県弁護士会人権擁護委員会に生活保護問題チームを立ち上げ、2003年以降、野宿者総合法律相談を実施。2010年から日弁連貧困問題対策本部セーフティネット部会で活動(現在、同部会長)。



■第2分科会
生活困窮者自立支援制度の現状と課題~子どもへの支援を中心に

2018年、生活困窮者自立支援法と生活保護法が改正され、あらためて両制度の一体的運用が強調されました。また、子どもへの支援では学習支援とあわせて生活支援が位置付けられました。各地の実践を参考に、様々な課題を抱えている子どもたちやその家庭への支援のために生活困窮者自立支援制度をどのように活用すればいいのか考えます。

講師:仲野 浩司郎さん
社会福祉士。全国公的扶助研究会運営委員。2009年に社会福祉専門職として羽曳野市に入庁。生活保護ケースワーカーを経験し、現在は生活困窮者自立支援制度を担当。課題を抱える子ども達の居場所支援のために「ちるさぽ」を運営している。

講師:星野 哲也さん
新潟県新発田市社会福祉課生活支援係長。主任相談支援員。社会福祉士。にいがた公的扶助研究会幹事。2001年新発田市役所入庁。2009年から生活保護ケースワーカーを4年、査察指導員を2年務める。生活困窮者自立支援事業の立ち上げに携わり、2015年の本制度開始とともに現職。




■第3分科会 地方から自動車保有要件の緩和をめざす!
自動車の保有を厳しく制限する運用のため、特に地方で、母子家庭をはじめとする多くの生活困窮者が、生活保護の利用から排除されています。厚生労働省が全国の福祉事務所に自動車保有要件の緩和についての意見聴取を行う動きも見られる中、実務運用や裁判例の現状と課題を学び、要件緩和に向けて、どのような取組みが必要かを考えます。

講師:藤原 千沙さん
法政大学大原社会問題研究所教授。専門は社会政策・労働問題。地方自治体とひとり親世帯に関する調査多数。関連論文に「地方における母子世帯の暮らしと生活保護―自動車の保有・使用の視点から」(『月刊自治研』59巻694号、2017年)など。

講師:髙野 正秀さん
新潟県南魚沼市福祉事務所査察指導員。社会福祉士、精神保健福祉士、介護支援専門員。にいがた公的扶助研究会幹事。土木畑から30代で福祉に開眼。生活保護業務6年、地域包括支援センター業務7年。ライフワークは依存症支援に取り組む仲間づくり。

講師:小久保 哲郎さん
※ミニシンポ参照



■第4分科会 進む居住支援と縮む公営住宅。これからの住宅政策を考える
新たな住宅セーフティネット制度のもとで、NPO法人など民間が中心となった居住支援が各地で進んでいます。一方、公営住宅の戸数は抑制され、入居にあたっての保証人問題などがハードルとなっています。各地での民間の実践を紹介するとともに、公営住宅を含めた住宅政策のあるべき姿について考えます。

講師:稲葉 剛さん
一般社団法人つくろい東京ファンド代表理事。立教大学大学院特任准教授。1994年より生活困窮者支援に従事。2014年、つくろい東京ファンドを設立し、低所得者向け住宅支援事業に取り組んでいる。住まいの貧困に取り組むネットワーク世話人。生活保護問題対策全国会議幹事。著書に『ハウジングファースト』(共編著、山吹書店)等。

講師:坂庭 国晴さん
NPO住まいの改善センター理事長、日本住宅会議理事、建設政策研究所副理事長。日本住宅公団(現・UR都市再生機構)入社。団地施設・建築設備設計などに従事。同公団労働組合書記長、同中央執行委員長を歴任。2009年に稲葉剛氏らと住まいの貧困に取り組むネットワークを結成し、世話人を務める。

講師:觜本 郁さん
社会福祉士、精神保健福祉士。元神戸市職員。阪神・淡路大震災の支援活動の中で生まれたNPO法人神戸の冬を支える会(野宿生活者支援)等の立ち上げに関わり、以降相談活動に従事。現在、同会は一時生活支援事業を13自治体から受託し、居住支援法人の指定も受けている。



■第5分科会 地方税の滞納処分に対する実践的対応
地方税滞納処分は全国的に著しく強化され、その多くが、問答無用で差押という強制処分によって徴収しています。そうした中でも、税滞納を生活困窮の表れとしてとらえ、まず、滞納者の生活再建を支援していくという自治体が少数ながら存在します。当分科会では、皆さんから出された事例も含め、その対応についての検討を行ないます。

講師:角谷 啓一さん
税理士。滞納処分対策全国会議代表、滞納相談センター代表。国税の職場を定年退職するまで40年余り滞納整理事務に従事。並行して、全国税組合員として定年まで活動。2004年以降は、税理士業務のかたわら、納税者の視点に立った徴収実務の研究・相談活動に従事。共著に「差押え:滞納処分の対処法」

講師:柴田 武男さん
滞納処分対策全国会議副代表。東京大学大学院経済学研究科第二種博士課程満期退学。財団法人日本証券経済研究所主任研究員を経て、聖学院大学政治経済学科教授。2018年3月定年退職。現在、同大学講師。



講演 「元福祉事務所長が語る、議会質問10の心得」
生活保護制度については、「制度の運用」と「実施体制(現業員の不足)」が重要な課題となっています。つまり、福祉事務所における「サービスの質」と「実施体制の量」双方の確保が必要です。福祉事務所の運営に直接影響する自治体の姿勢に、地方議会でどう切り込ことができるのか。その方向性を検討します。

講師:今井 伸さん
十文字学園女子大学人間生活学部教授。大学で福祉を学び、東京都練馬区へ入区。障がい者施設、生活保護現業員、地域包括支援センター所長、福祉事務所長等を経て大学教員に。介護支援専門員。社会福祉士。共編著に「地方自治問題解決事例集」(ぎょうせい)、「わかる・みえる社会保障論」(みらい)他



まとめ 「地方から、どう生活保護行政を変えるか」
生活保護基準の引き下げ、法63条による費用返還請求の強化など、制度の交代が進む中で、自立支援の充実、保護のしおりの改善など、地方からどう生活保護行政を変えていくべきかを提案します。

講師:尾藤 廣喜さん
弁護士、生活保護問題対策全国会議代表幹事。70年、厚生省入省。75年、京都弁護士会に弁護士登録後、数々の生活保護裁判を勝利に導いてきた。日弁連・貧困問題対策本部副本部長。共著に「これが生活保護だ」「社会保障レボリューション」など。




<これまでの参加者の声>

  • 第1回目から参加していますが、参加するたびに、生保・生活困窮に関する運動の広がりを感じます。

  • 充実した2日間でした!ありがとうございました。また次回も参加したいです。

  • 今後の議会論戦に活かせる研修会でした。





本日、呼びかけ人6名、賛同者164名の合計170名の研究者による、以下の共同声明が発表されました。
厚生労働省の「物価偽装」を根拠として引き下げられた生活保護基準の、引き下げ撤回を求めるものです。
声明の内容については、以下をご覧下さい(2019年2月27日)。

印刷板(PDF)はこちらをクリック CLICK!


厚生労働省の「物価偽装」による生活保護基準引下げの撤回等を求める研究者共同声明

1 毎月勤労統計問題以上に悪質な生活保護基準引き下げにおける「物価」の考慮
 毎月勤労統計問題に端を発し、厚生労働省の杜撰な作業が次々と明るみに出ていますが、同省は、生活保護の給付水準の決定に際して一段と悪質な意図的操作を行っています。そこには、公的統計は、科学的に確立された「適切かつ合理的な方法により、かつ、中立性及び信頼性が確保されるように作成されなければならない」(統計法3条2項)という大原則を疎かにする同省の共通した姿勢がうかがえます。

2 厚生労働省が用いた「生活扶助相当CPI(消費者物価指数)」の問題点
 生活保護制度の生活扶助基準は、2013年8月から2015年4月まで段階的に引き下げられましたが、削減率(最大10%)も総削減額(670億円)も史上最大でした。
削減額の約9割を占める580億円は、物価の考慮によるものでした。1984年から採用されている生活扶助基準の改定方式(水準均衡方式)は、民間最終消費支出の伸びを勘案するものであり、物価を考慮したことは一度もありません。にもかかわらず、厚生労働省は、総務省統計局や社会保障審議会生活保護基準部会等の意見を全く聞かずに独断で「生活扶助相当CPI」という独自の消費者物価指数を使用しました。
総務省統計局は、ラスパイレス方式という多くの国々で採用されている計算方式を採用しています。しかし、「生活扶助相当CPI」は、2010年~2011年がラスパイレス方式、2008年~2010年がパーシェ方式という2つの異なる方式で算出され、計算方法がまったく異なる指数を比較し変化率を求めるという、統計処理としてありえない計算をしています。また、2010年を比較年としてパーシェ方式で計算すると下落率が大きくなります。
その結果、2008年~2011年の物価下落率は、ラスパイレス方式で計算されているCPI総合指数では2.35%なのに、「生活扶助相当CPI」では2倍以上の4.78%と異常な乖離となっています。厚生労働省は、下落率を大きくするために敢えて前例のない独自の計算方式を作出したとしか考えられないのです。「物価偽装」ともいうべき統計の濫用です。

3 「物価偽装」によって生じている多くの低所得世帯の被害の回復が必要
「物価偽装」によって、200万人を超える生活保護利用者だけでなく、多くの低所得者が被害を被りました。生活保護基準がナショナル・ミニマムとして、就学援助制度や各種減免制度など47以上の低所得者施策に連動していることからすれば、被害の規模は毎月勤労統計を上回ると推測されます。
 私たちは、「物価偽装」について第三者による検証に付すること、これを根拠とする生活扶助基準引下げを撤回すること、不利益を受けた低所得者の被害回復の措置をとることを強く求めるものです。

190227物価偽装
 


呼びかけ人(五十音順)
井上英夫(金沢大学名誉教授/社会保障法)
上藤一郎(静岡大学教授/統計学)
笹沼弘志(静岡大学教授/憲法)
柴田武男(聖学院大学元教授/金融市場論)
布川日佐史(法政大学教授/公的扶助、社会保障論)
吉永純(花園大学教授/公的扶助論)

賛同者(順不同)
阿部敦(九州看護福祉大学・社会保障論)/伊藤周平(鹿児島大学・社会保障法)/井原哲人(白梅学園大学・児童福祉論)/井口克郎(神戸大学・社会保障)/井口秀作(愛媛大学・憲法)/磯野博(日本医療総合研究所(障害者政策)/稲正樹(国際基督教大学・憲法)/稲葉剛(立教大学大学院(居住福祉論)/稲葉奈々子(上智大学・社会学)/宇城輝人(関西大学・社会学・社会思想史)/永山茂樹(東海大学・憲法学)/塩崎賢明(神戸大学・住宅政策)/塩満卓(佛教大学・精神保健福祉)/横山壽一(佛教大学・社会福祉学部)/岡崎利治(川崎医療福祉大学・医療福祉学部医療福祉学科)/岡田健一郎(高知大学・憲法)/岡本祥浩(中京大学・居住福祉)/岡本多喜子(明治学院大学・社会福祉)/岡﨑祐司(佛教大学・福祉・医療政策論)/加美嘉史(佛教大学・貧困問題研究)/河合克義(明治学院大学・社会福祉論)/河合隆平(金沢大学・障害者教育学)/垣内国光(明星大学・子ども家庭福祉)/角崎洋平(日本福祉大学・社会福祉政策論)/掛川直之(日本学術振興会・司法福祉学)/丸山亜子(宮崎大学・労働法)/岩佐和幸(高知大学・地域経済論)/岩崎晋也(法政大学・現代福祉学部)/岩田美香(法政大学・子ども家庭福祉・教育福祉論)/岩本健良(金沢大学・社会学)/菊地洋(岩手大学・憲法)/吉崎祥司(北海道教育大学・社会哲学)/吉田央(東京農工大学農学研究院(環境経済学(経済統計学)/玉村公二彦(奈良教育大学・特別支援教育)/金川めぐみ(和歌山大学・社会保障法)/桑畑洋一郎(山口大学・社会学)/堅田香緒里(法政大学・社会福祉学)/原口剛(神戸大学・人文学研究科・地理学)/原昌平(大阪府立大学・立命館大学・社会福祉学)/原田佳子(美作大学・生活科学部食物学科)/伍賀一道(金沢大学・社会政策論)/後藤広史(日本大学・社会福祉学)/後藤道夫(都留文科大学・社会哲学・現代社会論)/香山リカ(立教大学・現代心理学部臨床精神医学)/高田清恵(琉球大学・社会保障法)/高畑明尚(琉球大学国際地域創造学部・経済学・社会政策論・生活経済)/高木恒一(立教大学・社会学)/高木博史(岐阜経済大学・公的扶助論)/黒岩晴子(佛教大学・医療ソーシャルワーク)/今井伸(田園調布学園大学・行政福祉・公的扶助)/根岸弓(慶應義塾大学・児童福祉)/根森健(新潟大学・埼玉大学・憲法)/佐々木宏(広島大学・福祉社会学)/佐藤順子(佛教大学・社会福祉学)/佐藤和宏(東京大学・社会学)/嵯峨嘉子(大阪府立大学・社会福祉学)/砂脇恵(龍谷大学・公的扶助論)/桜井啓太(名古屋市立大学・公的扶助論)/三宅裕一郎(日本福祉大学・憲法学)/三輪隆(埼玉大学・憲法)/山田壮志郎(日本福祉大学・公的扶助論)/山内太郎(札幌国際大学短期大学部・社会福祉学)/山本忠(立命館大学・(社会保障法)/山本かほり(愛知県立大学・社会学)/山野良一(沖縄大学・子ども福祉)/志賀信夫(長崎短期大学・児童福祉・公的扶助)/志藤修史(大谷大学・地域福祉論)/芝田英昭(立教大学・社会保障論)/若尾典子(佛教大学・憲法学)/朱然(北京理工大学・財政学)/小松浩(立命館大学・憲法学)/小川栄二(立命館大学・社会福祉援助技術論)/小沢修司(京都府立大学・社会政策学)/小尾晴美(名寄市立大学・社会政策論)/小淵港(愛媛大学・財政学)/小林武(沖縄大学・憲法学)/小澤薫(新潟県立大学・社会政策・社会保障論)/松崎喜良(神戸女子大学・公的扶助論)/松本伊智朗(北海道大学・教育学研究院)/松本一郎(大正大学・人間学部社会福祉学科)/松木宏史(滋賀短期大学・社会福祉学)/新井康友(佛教大学・社会福祉学部)/新倉修(青山学院大学・刑事法・国際人権法)/森茂(金沢大学・化学工学)/森山治(金沢大学・社会福祉論)/深井英喜(三重大学・経済学)/申惠手(青山学院大学・国際人権法)/清水雅彦(日本体育大学・憲法学)/清末愛砂(室蘭工業大学大学院・憲法・家族法)/青木紀(元北海道大学・ケア論・社会福祉学)/斉藤雅茂(日本福祉大学・社会福祉学部)/石倉康次(立命館大学・福祉社会学)/川崎航史郎(三重短期大学・社会保障法)/川野英二(大阪市立大学・社会学)/川﨑孝明(尚絅大学短期大学部・社会福祉)/前原清隆((元)日本福祉大学・憲法)/前田達男(金沢大学・社会法)/曽我千春(金沢星稜大学・社会保障政策)/早川佐知子(広島国際大学・経営学)/村上博(広島修道大学・行政法)/村上慎司(金沢大学・社会保障論・経済哲学)/村澤真保呂(龍谷大学・社会学)/村瀨博(三重短期大学・社会福祉行財政論)/多田一路(立命館大学・憲法)/多田庶弘(神奈川工科大学・刑事法学)/大山小夜(金城学院大学・社会学)/大西広(慶應義塾大学・マルクス経済学)/大内裕和(中京大学・教育学・教育社会学)/大日方聰夫(日本大学・原子核物理学)/大澤真平(札幌学院大学・児童福祉論)/瀧澤仁唱(桃山学院大学・社会福祉法・障害法)/丹波史紀(立命館大学・社会福祉学)/池田和彦(筑紫女学園大学・社会保障・社会福祉)/池本薫規(佛教大学福祉教育開発センター・福祉教育)/竹信三恵子(和光大学・労働社会学)/中川律(埼玉大学・憲法学)/中島明子(和洋女子大学・居住学)/中野加奈子(大谷大学・社会福祉学)/中澤秀一(静岡県立大学短期大学部・社会保障論)/長友薫輝(三重短期大学・社会保障論)/鳥山まどか(北海道大学・教育福祉論)/鳥畑与一(静岡大学・国際金融論)/田中明彦(龍谷大学・社会保障法)/田中純一(北陸学院大学・災害社会学)/田中智子(佛教大学・社会福祉学)/田中武士(三重短期大学・社会福祉学)/田尾直樹(立命館大学・産業社会学部人間福祉専攻)/田邊浩(金沢大学・社会学)/嶋田佳広(佛教大学・社会保障法)/藤井伸生(京都華頂大学・現代家政学科・社会福祉原論)/藤岡惇(立命館大学・経済学)/藤松素子(佛教大学・社会福祉論)/藤田孝典(聖学院大学・社会福祉学・公的扶助論)/藤澤宏樹(大阪経済大学・憲法)/日田剛(九州保健福祉大学・社会福祉学部)/馬場啓丞(三重短期大学・民法)/梅田康夫(金沢大学・日本法制史)/萩沢友一(西南学院大学・地域福祉論)/白藤博行(専修大学・行政法学)/板倉香子(洗足こども短期大学・社会福祉学)/尾﨑恭一(東京薬科大学・生命倫理)/浜岡政好(佛教大学・社会学)/武井寛(甲南大学・労働法)/武内一(佛教大学・社会福祉学部)/福地潮人(中部学院大学・福祉ガバナンス論)/福島利夫(専修大学・経済統計学)/片平洌彦(東洋大学大学院福祉デザイン研究科・社会福祉学)/豊島明子(南山大学・行政法学)/北村香織(三重短期大学・社会福祉学)/牧野忠康(日本福祉大学・保健医療福祉学)/堀場純矢(日本福祉大学・社会福祉学)/木下光生(奈良大学・歴史学)/木下武徳(立教大学・社会福祉政策)/友常勉(東京外国語大学・日本思想史)/鈴木宗徳(法政大学・社会学)/鈴木勉(佛教大学・福祉政策論)/鈴木靜(愛媛大学・社会保障法)/脇山園恵(秋田看護福祉大学・公的扶助・社会保障論)/脇田愉司(津市立三重短期大学・公的扶助論ほか)/脇田滋(龍谷大学・労働法・社会保障法)/濱畑芳和(立正大学・社会保障法・権利擁護論)/髙木佳世子(筑紫女学園大学・公的扶助論)/髙木和美(岐阜大学・社会福祉学)/安原陽平(沖縄国際大学・教育法学・憲法学)/以上164名


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基準引き下げに対して6000件を超える審査請求が提起されたことをふまえ、厚生労働省に要望書を提出しました。




2019年1月15日

厚生労働大臣 根本 匠 殿


いのちのとりで裁判全国アクション
生活保護基準引き下げにNO!全国争訟ネット
             生活保護問題対策全国会議


生活保護基準引き下げの撤回等を求める要望書



第1 要望の趣旨

1 根拠のない一連の生活保護基準の引き下げを直ちに撤回するとともに,インフレを考慮して,むしろ引き上げてください。
2 生活保護基準部会が設置を強く求めた新たな検証手法の検討・開発を継続的に行う体制を可及的速やかに整備してください。
3 猛暑に備えて夏季加算を創設してください。



第2 要望の理由
1 度重なる生活保護基準引き下げとこれに対する集団審査請求

 国は,生活保護基準を3年かけて平均1.5%,最大5%引き下げ,年間160億円(国費のみ)削減する方針を決め,2018年10月から引き下げを開始しました。
2013年からの史上最大(平均6.5%,最大10%)の生活扶助基準の引き下げに対し,全国29都道府県で1000名を超える原告が違憲訴訟を闘っているさなかのさらなる引き下げに対して,生活保護利用当事者からは,「これ以上何を切り詰めればよいのか」,「いつまで引き下げが続くのか」,「国から死ねと言われている気がする」といった悲痛な声が寄せられています。
そして,この度の生活保護基準引き下げに対しては,現時点で私たちが把握する限りで6000件を超える審査請求(不服申立て)が提起されています。

2 今般の生活保護基準引き下げに根拠がないこと

(1)下位10%の最貧困層との比較は際限ない引き下げを招く

今般の生活保護基準引き下げは,第1・十分位(下位10%)の一般低所得世帯の消費実態に生活保護基準を合わせる形で行われました。しかし,生活保護の「捕捉率」(生活保護の利用要件を満たす人のうち実際に利用している人が占める割合)が2割程度といわれ,非常に低いわが国では,第1・十分位層の中には,生活保護基準以下の生活をしている人々が多く含まれています。
 こうした最貧困層の生活水準と比較すれば際限ない生活保護基準の引き下げを招くことが必定です。国には,生活保護基準の引き下げではなく,生活保護基準以下の生活を強いられている最貧困層の生活水準の底上げこそが求められているはずです。



(2)生活保護基準部会も引き下げを是とはしていない

生活保護基準の見直しのための検証作業を行った社会保障審議会・生活保護基準部会も,第1・十分位層の消費水準に生活保護基準を合わせることを是とはしていません。
 すなわち,同部会の報告書には,「今回は,夫婦子1人世帯について,生活扶助基準額と年収階級第1・十分位の生活扶助相当支出額の均衡を確認しただけであり,そこから展開した様々な世帯類型における生活扶助基準額と一般低所得世帯の生活水準の均衡を確認するまでには至らなかった。」(24頁),「今回の検証においては,…夫婦子1人世帯では,展開により機械的に得られる基準額が年収階級第3・五分位の生活扶助相当支出額の6割を超える見込みである一方,高齢世帯では,この割合が5割台となる見込みであ」る(27頁)と記載されています。
 現行の生活扶助基準の改定方式は,一般国民の消費実態の6割以上の水準で生活扶助基準との均衡を図る「水準均衡方式」です。上記の基準部会報告書の指摘は,一般国民と措定される第3・五分位の消費水準と比較した生活扶助基準と第1・十分位の消費水準が,夫婦子1人世帯については,いずれも6割を超えて均衡している(つまり,現行の保護基準が妥当である)一方で,高齢単身世帯については,いずれも5割程度にとどまっている(つまり,現行の保護基準が低すぎるし,保護基準を第1・十分位に合わせることも適当ではない)ということを意味しています。
 そして,むしろ,基準部会報告書は,「単に消費水準との均衡を図ることが最低生活保障水準を満たすものと言えるのか,水準均衡方式のあり方が問われる本質的な課題である」(24頁),「一般低所得世帯との均衡のみで生活保護基準の水準をとらえていると,比較する消費水準が低下すると絶対的な水準を割ってしまう懸念がある」(27頁)とまで述べて,第1十分位との安易な比較に警鐘を鳴らしているのです。



(3)デフレは考慮するがインフレは考慮しないご都合主義

2013年からの生活保護基準引き下げに際して,国は,「生活扶助相当CPI(消費者物価指数)」という学説上も実務上も前例のない特異な指数を用い,2008年から2011年にかけて4.78%の物価下落があったとし,同率の生活保護基準の引き下げの根拠としました。
 ところが,第34回基準部会資料4(11頁)に記載された試算によると,2011年から2016年にかけての「生活扶助相当CPI」は,5.2%上昇しています。2014年に消費増税対応で生活保護基準が2.9%増額されたことを考慮しても,2013年の時と一貫した考え方をとれば,生活保護基準を2.3%は引上げなければならないはずです。しかし,国は,今回は一切物価を考慮しませんでした。これは,首尾一貫性を全く欠く,「引き下げありき」のご都合主義というほかありません。
 現在,「毎月勤労統計」の不適切調査が問題となっていますが,「生活扶助相当CPI」問題は,それ以上に悪質な「統計の偽造・悪用」ともいうべき問題です。



3 新たな検証手法を開発するための継続的な体制整備の必要性

 生活保護基準部会は,その報告書において,「最低限度の生活を送るために必要な水準とは何か,本質的な議論を行った上で,単に消費の実態に合わせるとの考え方によらず,理論的根拠に基づいた複雑ではない検証手法を開発することが求められる」(28頁),「いずれにしても,新たな検証方法の開発に,早急かつ不断に取り組むために,データの収集・分析や新たな検証手法の検討を継続的に行う体制を厚生労働省として整備する必要があり,そのために,年次計画を立てて計画的かつ不断に検討を進めていくことを強く求めたい。」(29頁)と指摘しています。
 つまり,同部会は,2(2)で述べたとおり,低所得世帯との均衡のみでは絶対的な水準を割り込む危険があることから,新たな検証手法を開発するための継続的な体制を整備すべきことを繰り返し強く求めているのです。
 国が,こうした専門部会の強い要請を無視するとすれば,それは,専門家の部会を生活保護基準引き下げのために都合よく利用するだけという国の姿勢を露呈するものと言わざるを得ません。



4 夏季加算の創設を

 2018年7月26日付け「厚労省通知の改善・周知と夏季加算創設等を求める緊急要望書」でも述べたとおり,この間のあいつぐ生活保護基準の引き下げのため,生活保護利用者の多くは,エアコン等の家電製品の買替費用を貯蓄する余裕を失い,仮にエアコンが自宅にあったとしても,電気代を節約するためにほとんど使わないようにしています。
 毎年過酷さを増す猛暑の夏はすぐにやってきます。悲劇が起きる前に,国は,一連の生活保護基準引き下げを撤回して元に戻し,夏季加算を創設すべきです。



以 上





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190217生活保護の自動車保有問題を考える公開学習会

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 生活保護行政の現場では、どんなにオンボロの自動車であっても「資産」であるとみなされ、持ったままの生活保護利用は原則として認められていません。そのため、特に地方で、母子家庭をはじめとする多くの生活困窮者が生活保護の利用をあきらめ、保護基準以下の生活を余儀なくされる事態を招いています。

 資産価値のない自動車も「資産」とみなす、このような運用の不当性は以前から指摘されてきましたが、厚生労働省も平成30年度ブロック会議の際、全国の福祉事務所に対して自動車保有要件の緩和についての意見聴取を行うなどの動きが見られます。

 そこで、今改めて、この問題の運用や裁判例の現状と課題を学び、自動車保有要件の緩和に向けて、どのような取り組みが必要か、議論をする場をもうけることとしました。

思いをともにする方々とともに考えたいと思います。多数ご参加ください。


日時  2月17日(日)13:30~16:30
     (受付開始 13:00)

場所  エル・おおさか南館南734号室
        (大阪市中央区北浜東3-14)


資料代 1000円
     (申告により無料)

申込  不要・定員74名

【プログラム】
DVD上映
「弱い人が車に乗れるようになった日~佐藤キヨ子さんの闘いの記録」

特別対談
「生活保護の自動車保有をめぐる裁判を闘って」
佐藤キヨ子さん(枚方自動車保有訴訟原告)
森田みち子さん(枚方・交野生活と健康を守る会事務局次長)


特別報告
「地方都市の実情~福井からの報告」
茂呂信吾さん(弁護士・北陸生活保護支援ネットワーク福井事務局)

基調講演
「生活保護の自動車保有問題をめぐる現状と課題」
吉永純さん(花園大学教授)

質疑・意見交換


主催:生活保護問題対策全国会議/反貧困ネットワーク大阪


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