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小田原市保護課で「保護なめんな」などと書かれた揃いのジャンパーが作成・着用されていた問題について、当会は、本日以下の緊急声明を発表しました。




2017年2月9日


小田原市の生活保護行政に関する
検証委員会設置にあたっての緊急声明


生活保護問題対策全国会議

代表幹事 尾 藤 廣 喜


 小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」等の不適切な表記のあるジャンパーを作成着用していた問題に関し、同市は、本日、有識者による検証委員会を設置し、学識経験者等のみならず、生活保護利用者の権利擁護に取り組んできた森川清弁護士と元生活保護利用当事者である和久井みちる氏をその委員とすることを発表した。
 
 特に、元であれ生活保護利用当事者をこの種の委員会の委員として招き入れたのは、それ自体が画期的なことである。小田原市が本気で問題の改善に取り組もうとする姿勢の表れとして、その英断を歓迎するとともに高く評価したい。障がい分野では「私たちのことを私たち抜きで決めないで」というスローガンが定着して久しいが、生活保護分野においても、これまで全く顧みられることのなかった当事者の声が政策等に反映される大きな第一歩となることを期待する。
 
 私たちは、今般の小田原市の問題は、全国の生活保護現場で蔓延している専門性の欠如と生活保護利用者に対する差別意識が極端な形で顕在化したものであって、小田原市だけの問題であるとは考えていない。
 
 問題の改善に向けた取り組みは、その緒についたばかりである。むしろ問題は、今後どのような手法に基づき、どのような内容の検証がなされ、どのような視点から報告が出されるかである。私たちは、検証委員会において、実のある議論が重ねられ、今回の事件の発生した経過とその問題点が十分に明らかにされ、さらに、現実の生活保護現場の職員体制や運用が改善される全国的なモデルケースとなることを期待するだけでなく、そのために必要な協力は惜しまない。その立場を明らかにし、引き続き同市の取り組みを注視していく所存である。

以 上



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小田原市保護課で「保護なめんな」などと書かれた揃いのジャンパーが作成・着用されていた問題について、当会は、本日以下の公開質問状を郵送で小田原市宛てに送付しました。



2017年1月20日


生活保護行政に関する公開質問状


小田原市長 加藤憲一 殿
生活保護問題対策全国会議

代表幹事 弁護士 尾藤廣喜


当会は、弁護士、司法書士、研究者、ケースワーカー、生活保護利用当事者、その支援者等で構成され、生活保護制度の違法な運用を是正するとともに同制度の改悪を許さず、生活保護法をはじめとする社会保障制度の充実を図ることを目的として活動している市民団体です。
 今般、報道された貴市の生活保護担当部署職員らが作成・着用したジャンパーの問題について以下のとおり、意見を申し述べるとともに、質問および資料提供の要請をいたします。
御多忙中にお手数をおかけして恐縮ですが、2017年2月末日までに本書末尾記載の連絡先あてにご回答いただきますよう、よろしくお願い致します。

今回のジャンパー作成・着用の何が問題か
 本年1月17日付読売新聞の報道等によれば、貴市の生活保護担当部署の職員が「保護なめんな」「不正を罰する」などと、受給者を威圧するような文言をプリントしたジャンパーを着て各世帯を訪問していたということです。ジャンパーの背面には、「我々は正義だ」「不当な利益を得るために我々をだまそうとするならば、あえて言おう。クズである」などの文章が英語で書かれているといいます。

 もちろん不正受給は許されるべきものではなく、悪質な不正受給に対しては厳正に対処することが必要です。しかし、不正受給の割合は、金額ベース(不正受給額÷保護費全体)では0.5%程度、件数ベース(不正受給件数÷保護受給世帯数)では2%程度で推移しており、全体から見ればごく稀な現象です。ほとんどの生活保護利用者は適正に保護を利用しているにもかかわらず、このジャンパーを着て日常業務にあたるということは、すべての保護利用者に対し、不正をし、職員を騙しているかもしれないと疑い、敵視し、威嚇する姿勢で対峙するものと言わざるを得ません。

 生活保護利用者のほとんどは、高齢、障害、傷病、ひとり親などのハンディを抱えており、福祉事務所のケースワーカーには、その困難に寄り添った福祉的な支援が求められています。ジャンパーの記載内容は、そうした姿勢とはおよそかけ離れており、唖然とせざるを得ません。家庭訪問に来た職員の胸に「保護なめんな」「×悪」と書かれたエンブレムがあるのを見た生活保護利用者たちは、どのような思いを抱いてきたでしょうか。そこに信頼関係に基づくケースワークが成立するはずがありません。「利用者のウェル・ビーイング を支援する」というソーシャルワーク共通の価値観にも真っ向から反するものです。

 また、生活保護の利用は権利ですが、2012年春以降の「生活保護バッシング」の影響もあり、生活保護制度とその利用者に対しては偏見が根強くあります。そのため、利用者の多くは、生活保護の利用を周りに知られたくないという思いを強く持っています。この点は、生活保護手帳別冊問答集(問13‐31)も、「今日においても、できれば保護は受けたくないという気風も残っており、こうした状況の下では、被保護者であるということを他人に知られたくないと考えることは社会常識に反するとはいえないであろう」として、被保護者の秘密保持に配意すべきとしているところです。揃いのジャンパーや制服を着て家庭訪問をすることは、生活保護を利用していることを近隣に広報することに等しく、福祉事務所においては一般的には厳禁とされています。

貴市の組織的・構造的な問題であること
 報道(NHK、毎日新聞)によれば、ジャンパーは10年前に作られ、これまでに64人が購入し、現職33人のうち28人が持っているといいます。10年の長きにわたって、誰からも問題が指摘されることなく脈々と引き継がれてきて、現在も職員のほとんどが所有していることからすると、これは一部の職員の問題行動ではなく、貴市の保護担当部署が抱える組織的構造的問題と言わざるを得ません。
 このことは、今回の問題発覚後、指摘を受けて既に是正されたとはいえ、貴市HPの「生活保護制度について」に数々の違法な記載がなされていたことにも表れています。すなわち、是正前の貴市HPには、まず求められる記載である生活保護制度が、どのような場合に利用できる制度であるか、そして、これが憲法25条に基づく権利であるとの基本的な記載がなく、「生活保護よりも民法上の扶養義務(特に親子・兄弟間)の方が優先されますので、ご親族でどの程度の援助ができるか話し合ってください。」という一文から記載が始まっており、親族による扶養が保護適用の前提条件であると誤解させる内容になっていました。これに続く文章も、生活保護が受けられない場合や、受けることによるデメリットのみが羅列されていて、生活保護の利用を抑制しようという姿勢が顕著でした。
 また、貴市は、上司ら7人を厳重注意とし、1月17日、福祉健康部長等による謝罪会見を開きましたが、会見で同部長は、「受給者に差別意識を持っている職員はいません。そう断言したい」と発言し、他の幹部も、不人気な生活保護職場の中でみんな頑張っていることを訴えたかったと職員を擁護する姿勢に終始しました。これでは、何が問題なのか、その本質を理解しておらず、謝罪や注意は批判の鎮静化を図るためのポーズに過ぎないのではないかとの疑念を抱かざるを得ません。

要望及び質問事項
 そこで、当会は、貴市に対し、何ゆえに10年前にこのようなジャンパーを作成・着用することになったのか、何ゆえにその後10年の長きにわたって問題が是正されることなく続いてきたのか、ジャンパー問題以外に保護行政の歪みはないのか等について、学識経験者、支援者、生活保護利用当事者等による検証委員会を設置するなどして、徹底した検証を行い、上記の組織的構造的問題を根本的に改善することを求めます。
 また、当会としても、今回の事件の背景に何があるのか、貴市における生活保護利用者の憲法上の権利を実現するために何が必要か、ともに考えたいと思っておりますので、以下の事項について質問させていただきます。

1 何ゆえに10年前にこのようなジャンパーを作成・着用することになったのか、その具体的な経過を明らかにしてください。
また、その後10年の長きにわたってなぜジャンパー問題が是正されることなく続いてきたのか、さらに、この10年間に、ジャンパー問題の問題点を指摘する職員、生活保護利用当事者、支援者などは、いなかったのかどうかを明らかにしてください。

2 訂正前の貴市HPの「生活保護制度について」には、数々の違法な記載がなされていましたが、この記載内容について、問題はないと考えていたのかどうかについて、
記載内容の項目ごとに明らかにしてください。
また、貴市の上記HPは、最近訂正されましたが、その訂正理由と、訂正後の内容で問題はないと考えているかどうかについて、明らかにしてください。

3 今回の事態を受けて、貴市では、生活保護制度の運用について、具体的にどのよう
 な改革をする予定でしょうか。その内容を明らかにしてください。

4 貴市における過去10年間の以下のデータをご提供ください。
(1)生活保護行政全般
① 保護費総額
② 被保護世帯数
③ 被保護人員数
④ 保護率(③÷市人口)
⑤ 高齢、障害・傷病、母子、その他世帯の各割合
⑥ 相談件数
⑦ 申請件数
⑧ 申請率(⑦÷⑥)
⑨ 開始件数
⑩ 開始率(⑨÷⑥)
⑪ 申請から14日以内に決定した件数、30日以内に決定した件数、それ以上要した件数
⑫ 文書による指導指示件数、それに基づく停廃止処分の件数
⑬ 廃止件数
⑭ 廃止理由の内訳及び内訳別件数
(2)職員体制について
 ① 生活保護査察指導員、同ケースワーカーの各人数
 ② ①のうち社会福祉主事、社会福祉士、精神保健福祉士、臨床心理士の各資格取得者の人数
 ③ ①の年齢別、在職年数別人数の内訳、平均在職年数、平均年齢
 ④ ケースワーカー一人あたりの持ちケース数
 ⑤ 貴市職員の男女比率と貴市の生活保護担当部署職員の男女比率
 ⑥ 生活保護担当部署職員に対して実施した研修の具体的な内容

5 貴市において作成している以下の資料類があれば、過去10年分について、開示、ご提供ください。
① 生活保護実務運用のための年度別生活保護運営方針または計画書面
② 県の監査における指摘事項書面及び県に対する回答書面
各種自立支援プログラムの実施要領等書面

ウェル・ビーイング・・・個人の権利や自己実現が保障され、身体的、精神的、社会的に良好な状態にあること。最低限度の生活保障だけでなく、人間的に豊かな生活の実現を支援し、人権を保障するためのソーシャルサービス



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 生活保護基準部会では、本年5月から、2018(平成30)年度の基準見直しに向けての検証が再開されています。私たちは、75団体もの方々の賛同を得て、本日、厚生労働省に「今般の生活保護基準の検証にあたっての要望書」を提出しました。
 賛同をいただいた団体の方々、本当にありがとうございました(なお、個人でご賛同いただいた方については、今回は掲載を見合わせておりますので、ご容赦いただけますよう、お願い致します。)。

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2016年10月26日

厚生労働大臣 塩崎 恭久 殿


今般の生活保護基準の検証にあたっての要望書


生活保護問題対策全国会議

ほか75団体(別紙)


 去る本年5月27日,2018(平成30)年度に予定される5年に1度の生活保護基準の見直しに向けた生活保護基準部会が再開されました。

基準部会による検証の無視・軽視
 前回の見直しについての基準部会報告書は2013年1月にまとめられましたが,貴省は,同報告書の検証結果をふまえた数値について,基準部会に何ら諮ることなく独断で,減額となる世帯だけでなく増額となる世帯についても2分の1としました(資料1・北海道新聞2016年6月18日朝刊,資料2・保護課作成「取扱厳重注意」文書)。さらに,貴省は,基準部会では全く検討されなかった「物価」下落を考慮し,しかも,「生活扶助相当CPI」なる通常のCPIとは全く異なる偽装数値を用いて,最大10%・平均6.5%という保護世帯の96%に対する生活扶助基準の引き下げを強行しました(資料3・中日新聞2013年4月10日朝刊)。

集団違憲訴訟における国の不誠実な態度
 これに対しては,約2万人が審査請求を提起し,さらに現在,全国27都道府県において900名を超える原告が違憲裁判を提起して争っています(資料4・朝日新聞2015年11月3日朝刊)。しかし,訴訟の場においても被告国は,引き下げの具体的な過程やデータを明らかにすることなく,時に必ずしも基準部会の意見を踏まえる必要はないという一方,時に基準部会の了解を得たという,不誠実な態度に終始しています。

今般の検証によるさらなる生活保護基準引下げの懸念
 今般,貴省が基準部会において示した「平成29年検証における検討課題(案)」には,「有子世帯の扶助・加算の検証」,「級地区分の在り方の検討」等があげられていますが,前回検証後の経過を踏まえると,貴省は,民主党政権下で復活された母子加算の再度の廃止等子どものいる世帯の扶助基準の引き下げや,1級地等都市部の扶助基準の引き下げを既定路線とし,基準部会の検証を,その免罪符として都合よく利用しようとしているのではないかと強く懸念されます。
 ナショナル・ミニマムである生活保護基準が安易に引き下げられれば,最低賃金,住民税非課税,国民健康保険,介護保険,保育料,就学援助等のさまざまな基準にその影響が及び,市民生活全般に重大な被害を与えることは必至です。
 
 そこで,私たちは,貴省に対し,以下の諸点を十分に考慮したうえで,基準部会の事務局運営をするよう強く要望いたします。

1 生活扶助基準引き下げの経過の検証
2013年8月からの生活扶助基準の引き下げに際し,基準部会に諮ることなく独断で,同部会の検証結果を踏まえた数値を2分の1とした点,及び,生活扶助基準相当CPIという独自の統計数値の捏造の上に成り立つ大幅な物価下落を考慮した点について,基準部会の議題として取り上げて検証すること。

2 各種生活保護基準引き下げの影響の検証
2013年8月からの生活扶助基準の引き下げ,2015年7月からの住宅扶助基準の引き下げ,同年10月からの冬季加算の引き下げについて,以下の影響を検証すること
(1) 生活保護世帯にどのような影響を及ぼしたか,世帯類型ごとの影響額,保護廃止世帯数,減額によって支出を抑制した経費などを検証すること。
(2) 生活保護基準と連動している他の制度(地方税,最低賃金,就学援助等の低所得者対策等)への影響の有無及び内容を検証すること

3 検証方法について
生活扶助基準を検証するにあたっては,問題が多い第1十分位(下位10%)との比較という手法は止め,何が健康で文化的な生活なのかを具体的に検討する手法を開発し,その新たな手法によって今回の検証を行うこと。

4 有子世帯への扶助・加算
一般低所得世帯の子どもとの均衡から安易に基準を引き下げることはあってはならず,子どもの貧困対策の推進に関する法律が求める,貧困の連鎖・貧困の固定化を防ぐ観点から,子どもの最低生活費がどうあるべきかを検証すること。

5 基準部会の審議内容及び検証結果の最大限の尊重
 2013年8月からの生活扶助基準引き下げや2015年7月からの住宅扶助基準引き下げの際のように,基準部会による検証を事実上無視するようなことはあってはならず,生活保護基準の改定にあたっては,基準部会の審議内容及び検証結果を最大限尊重すること。

以 上


[賛同団体]
公益社団法人日本社会福祉士会,認定NPO法人自立生活サポートセンター・もやい,特定非営利活動法人ほっとポット,全国生活と健康を守る会連合会,生存権裁判を支援する全国連絡会,沖縄県子ども総合研究所,有限会社おとくに福祉研究所,兵庫県精神障害者連絡会,個人社会福祉士事務所フリーダム,特定非営利活動法人自立生活センターたいとう,救護施設高槻温心寮,青年法律家協会弁護士学者合同部会,生存権がみえる会,住まいの貧困に取り組むネットワーク,ゆにおん同愛会,生活保護基準引き下げ違憲訴訟を支える大阪の会,きょうされん大阪支部,港合同南労会支部,怒っているぞ!障害者切りすて!ネットワーク関西,にいがた青年ユニオン,関西合同労働組合,生活保護引下違憲訴訟岡山弁護団,生存権アクションぎふ,生活保護基準引下げ違憲訴訟富山弁護団,近畿生活保護支援法律家ネットワーク,特定非営利活動法人大津夜まわりの会,秋田県生活と健康を守る会連合会,全京都生活と健康を守る会連合会,沖縄県社会保障推進協議会,自由法曹団,「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラム実行委員会,特定非営利活動法人ガチャバンともに生きる会,生存権裁判を支える愛媛の会,ささしまサポートセンター,生活保護改悪に反対する人々の会,怒っているぞ!障害者切りすて!全国ネットワーク(怒りネット),特定非営利活動法人ジョイフルさつき,なかまユニオンなかま大阪分会,反貧困ネットワークとやま,沖縄憲法25条を守るネットワーク(沖縄25条の会),中弘南黒社会保障推進協議会,青森民主医療機関労働組合,青森県医療労働組合連合会,中弘南黒地区労働組合総連合,自立障害者グループペンギン,NPO法人ペンギン,全国「精神病」者集団,京都山科生活と健康を守る会,生活保護支援九州・沖縄ネットワーク,生活保護支援ネットワーク静岡,NPO法人くまもと支援の会,NPO法人神戸の冬を支える会,生活保障支援ボランティアの会,反貧困ネットワーク大阪,八尾生活と健康を守る会,平野生活と健康を守る会,住之江生活と健康を守る会,吹田生活と健康を守る会,枚方交野生活と健康を守る会,門真・守口生活と健康を守る会,富田林生活と健康を守る会,松原生活と健康を守る会,住吉生活と健康を守る会,東住吉生活と健康を守る会,岸和田生活と健康を守る会,此花生活と健康を守る会,浪速生活と健康を守る会,摂津生活と健康を守る会,愛媛・人間らしく生きたい裁判弁護団,安心できる介護を!懇談会,全国金属機械労働組合港合同,全国金属機械労働組合港合同田中機械支部,全国金属機械労働組合港合同大熊鉄工支部,地域でつくる子どもの居場所・はぐくみ,フードバンク滋賀(以上75団体)



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設立イベントチラシ
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「いのちのとりで裁判全国アクション」
設立記念イベント


2013年から2015年まで3度にわたって最大10%もの生活扶助基準引き下げが行われました。これに対しては、全国27都道府県で900名を超える原告が違憲訴訟を提起して立ち上がっています。
このたび、原告同士の交流や社会へのアピールなど訴訟支援を通じて、普遍的な社会保障制度の実現をめざすため、「いのちのとりで裁判全国アクション」を設立します。
誰もが人間らしく生きられる社会をめざして、集い、声をあげましょう。


日時 2016年11月7日(月)

13:30~16:00(開場13:00)


※13:00から衆議院第1議員会館ロビーにて通行証を配布します。



場所 衆議院第一議員会館大会議室
東京都千代田区永田町2-2-1
※東京メトロ「国会議事堂前駅」3番出口、有楽町線「永田町駅」1番出口から徒歩5分

  
入場無料・事前申込不要

総合司会 本田宏さん(外科医)

開会あいさつ 井上英夫さん(金沢大学名誉教授)

基調報告 小久保哲郎(弁護士)

原告からの訴え・国会議員あいさつ

ミニシンポジウム

コーディネーター:雨宮処凛さん(作家)


稲葉剛さん(住まいの貧困に取り組むネットワーク)


藤川里恵さん(AEQUITAS/エキタス)


佐藤晃一さん(やどかりの里)


介護現場で働く方



集会アピール

まとめ 尾藤廣喜さん(弁護士)


主催:「いのちのとりで裁判全国アクション」準備会

[本件の問い合わせ先] 平日9時~18時
〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16 西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所 担当弁護士 小久保 哲郎
TEL 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320





2018(平成30)年度の生活保護基準見直しに向けて、本年5月から、社会保障審議会・生活保護基準部会の審議が再開されています。当会は、本日、同基準部会と部会委員の方々に対して、質問及び要望書を発送し提出しました。



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社会保障審議会 生活保護基準部会 御中
同 生活保護基準部会委員 各位

今般の生活保護基準の検討にあたっての質問及び要望書


生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾藤 廣喜


 第1 はじめに
 去る本年5月27日,2018(平成30)年度に予定される5年に1度の生活保護基準の見直しに向けた生活保護基準部会が再開されました。

基準部会による検証の無視・軽視
前回の見直しについての基準部会報告書は2013年1月にまとめられましたが,厚生労働省は,同報告書の検証結果をふまえた数値について,同部会に何ら諮ることなく独断で,減額となる世帯だけでなく増額となる世帯についても2分の1としました(資料1・北海道新聞2016年6月18日朝刊
資料2・厚生労働省保護課作成「取扱厳重注意」文書参照)。さらに,厚生労働省は,基準部会では全く検討されなかった「物価」下落を考慮し,しかも,「生活扶助相当CPI」なる通常のCPIとは全く異なる偽装数値を用いて,最大10%・平均6.5%という保護世帯の96%に対する生活扶助基準の引き下げを強行しました(資料3・中日新聞2013年4月10日朝刊参照)。
集団違憲訴訟における国の不誠実な態度
これに対しては,約2万人が審査請求を提起し,さらに現在,全国27都道府県において900名を超える原告が違憲裁判を提起して争っています(資料4・朝日新聞2015年11月3日朝刊参照)。しかし,後述するとおり,訴訟の場においても被告国は,引き下げの具体的な過程やデータを明らかにすることなく,時に必ずしも基準部会の意見を踏まえる必要はないという一方,時に基準部会の了解を得たという,不誠実な態度に終始しています。
今般の検証によるさらなる生活保護基準引下げの懸念
今般,厚生労働省が基準部会に示した「平成29年検証における検討課題(案)」には,「有子世帯の扶助・加算の検証」,「級地区分の在り方の検討」等があげられていますが,前回検証後の経過を踏まえると,民主党政権下で復活された母子加算の再度の廃止等子どものいる世帯の扶助基準の引き下げや,1級地等都市部の扶助基準の引き下げが既定路線とされ,基準部会の検証が,その免罪符として都合よく利用されることが強く懸念されます。

 そこで,私たちは,貧困問題に深い見識をもつ専門家によって構成される基準部会が,その本来的役割を果たすことを念願し,以下のとおり質問をするとともに,以下の諸点をご考慮のうえ審議されることを要望いたします。

第2 質問事項及び説明
1 基準部会の検証の目的について
上記集団違憲訴訟において,国は,「基準部会においては,当初,年齢・人員・級地の3要素を踏まえた相対的な不公平さの是正と生活扶助基準の絶対水準の適正化を同時に検証する予定であったが,第11回部会における複数の委員の異論を踏まえて,絶対水準の検証までは行わないこととなった」旨主張していますが,そのような事実はありますか。
【説明】
(1)被告国の主張
上記集団違憲訴訟において,国は,「前2回の検証(生活保護制度の在り方に関する専門委員会と平成19年の生活扶助基準検討会の検証)は,生活扶助基準が高いか低いかという絶対水準の妥当性を評価し,絶対値としての給付水準を適正化することを目的としていた。しかし,平成25年の基準部会における検証は,かかる絶対値としての給付水準の適正化は目的としておらず,年齢体系,世帯人員体系及び地域(級地)体系における生活保護利用世帯間での相対的な不公平さの是正(ゆがみ調整)のみを目的としていた。」と主張しています。
(2)原告の反論
これに対し,原告側は,第10回基準部会資料2(4頁)に「体系の検証と水準の検証も一体的に行ってはどうか」等の記載があること,同部会において岩田委員が「今回の方法は,(略)単純にモデルで数字比較をするだけではなくて,同時にこの体系検証を行いながらそれをしようとした」と発言していること等から,基準部会の検証は,上記の絶対水準の検証と相対的不公平さの検証を一体的に(同時に)行った点に特徴があったと反論しました。
(3)被告の再反論
これに対し,被告側は,第11回基準部会において,厚生労働省事務局が,「前回の部会におきまして,今回の検証は年齢及び人員並びに級地の3つの要素(略)に焦点を当て,詳細な消費実態の分析に基づく評価検証を行い,その結果を踏まえたうえで水準の検証を行うといったことを基本方針として御了解いただいたところでございます」と発言したのに対し,岩田委員と栃本委員から異論が唱えられたことから,結果的に「絶対水準の検証」までは行わないこととされたと再反論しています(資料6・大阪訴訟における被告第2準備書面14頁)。

2 生活保護世帯のサンプルからの除去について
生活保護受給世帯のサンプルが第1・十分位のデータから除外されなかったことを知っておられましたか。
比較対象をもって比較する(トートロジーになってしまう)という問題点は相対水準の調整にあたっても同様に妥当する以上,上記1における国の主張を前提としても,生活保護受給世帯のサンプルは除外すべきではないでしょうか。
【説明】
 第9回基準部会における議論の結果,生活保護受給世帯と考えられる世帯のサンプルを除去することになりましたが,被告国は,今回の検証にあたって「第1・十分位のデータから生活保護受給世帯と考えられるサンプルは除外していない」と回答しています。そして,それが妥当である理由としては,「データから生活保護受給世帯と考えられるサンプルを除外するか否かは,結果として行わなかった生活扶助基準の絶対水準の検証に関する論点」であるからと主張しています(資料5・大阪訴訟における被告求釈明に対する回答書(2)10頁)。

3 物価の考慮について
 基準部会は,物価を考慮すること,特に,今回厚生労働省が採用したような「生活扶助相当CPI」を考慮することについて了承し,お墨付きを与えたのでしょうか。
【説明】
被告国は,基準部会報告書に「他に合理的な説明が可能な経済指標などを総合的に勘案する場合には,それらの根拠についても明確に示されたい。」との記載があることから,「厚生労働大臣が根拠を明示して物価などの経済指標を活用すること自体については,平成25年基準部会の委員全員の了承を得たものとみることができる」と,あたかも今回の物価考慮について基準部会委員全員のお墨付きが得られているかの如き主張をしています(資料6・同上12頁)。

4 基準部会の検証結果の2分の1について
 基準部会の検証結果を踏まえた数値を,増額も減額も2分の1にすることについて,事前事後を問わず,厚生労働省から説明を受け了承をしたことはありますか。
 「激変緩和」を理由とするのであれば,減額となる世帯のみを2分の1にすればよく,増額となる世帯も2分の1にする理由がないと思いますが,いかがでしょうか。
【説明】
「取扱厳重注意・生活保護制度の見直し」についてと題する文書(資料2)は,基準部会報告書とりまとめ直前の世耕弘成内閣官房副長官に対する説明資料として厚生労働省保護課が作成したものですが,基準部会の検証結果を踏まえた数値を減額となる世帯だけでなく,増額となるはずの世帯についても2分の1にしています。
その結果,本来,7万3000円から7万7000円に4000円増額になるはずであった高齢単身世帯や,10万6000円から10万8000円に2000円増額になるはずであった高齢夫婦世帯についても増額が半減され,さらにその後に物価を考慮した引き下げがされたため,結果的には,それぞれ7万1000円(▲2000円),10万3000円(▲3000円)に減額されました。

第3 要望事項及び理由
1 生活扶助基準引き下げの経過の検証
2013年8月からの生活扶助基準の引き下げに際し,生活保護基準部会に諮ることなく独断で,同部会の検証結果を踏まえた数値を2分の1とした点,及び,生活扶助相当CPIという独自の統計数値の捏造の上に成り立つ大幅な物価下落を考慮した点について,基準部会の議題として取り上げて検証し,基準部会または同部会委員としての見解を表明すること。
 【理由】
   前記のとおり,被告国は,訴訟の場において,物価考慮について基準部会委員全員の了承を得ていた旨の主張をする一方,「生活扶助基準の見直しは必ずしも専門家によって構成される審議会等の検討結果に従って実施しなければならないものではない」とも主張し(資料6・同上7頁),基準部会の検証結果をまさしく都合よく如何様にでも利用すればよいとの姿勢を露わにしています。私たちとしては,専門機関である生活保護基準部会として,また,同部会委員として,このような国・厚生労働省の姿勢を容認しないとの姿勢を明らかにされることを強く期待します。

2 各種生活保護基準引き下げの影響の検証
2013年8月からの生活扶助基準の引き下げ,2015年7月からの住宅扶助基準の引き下げ,同年10月からの冬季加算の引き下げについて,以下の影響を検証すること。
(1) 生活保護世帯にどのような影響を及ぼしたか,世帯類型ごとの影響額,保護廃止世帯数,減額によって支出を抑制した経費などを検証すること。
(2) 生活保護基準と連動している他の制度(地方税,最低賃金,就学援助等の低所得者対策等)への影響の有無及び内容を検証すること。
【理由】
上記の度重なる生活保護基準の引き下げによって,生活保護利用世帯はその生活に多大な影響を受けています。実際,2015年9月から2016年1月にかけて,原告ら653人を対象にして,厚生労働省が2010年に実施した「家庭の生活実態及び生活意識に関する調査」と同じ質問をしたところ,食生活,衣類,親族・近隣との付き合い等の面で明らかに水準の低下が見られます(資料7・山田壮志郎日本福祉大学准教授による2016年6月11日引下げアカン!関西交流集会における報告レジュメ「生活保護基準引下げ違憲訴訟原告アンケート分析報告」)。国においても,同様に,2010年と同じ調査をすることで,生活保護基準引き下げの影響の有無を検証すべきです。

3 検証方法について
生活扶助基準を検証するにあたっては,問題が多い第1十分位(下位10%)との比較という手法は止め,何が健康で文化的な生活なのかを具体的に検討する手法を開発し,その新たな方法によって今回の検証を行うこと。
【理由】
  第1・十分位世帯の中には,膨大な漏給層(生活保護基準以下の生活水準の層)が含まれており,前回の部会報告書においても,「第1・十分位の等価可処分所得の平均は92万円,最大では135万円となっている。これは第1・十分位に属する世帯の大部分はOECDの基準では相対的貧困線以下にあることを示している」と指摘されています。このような所得水準の層と比較すれば,生活保護基準引き下げの方向に導かれることが目に見えています。
  本来,水準均衡方式とは,「一般国民の消費水準(全世帯の平均的消費水準)」と比較し,それの6割程度に達していることをもって生活扶助基準の相当性を判断する方式です。基準部会報告書においても,「全所得階層における年間収入総額に占める(略)構成割合の推移をみると,中位所得階層である第3・五分位の占める割合及び第1・十分位の占める割合がともに減少傾向にあり」,全世帯の平均的消費水準との対比における第1・十分位層が占める位置が相対的に低下していることから,「これまで生活扶助基準検証の際参照されてきた一般低所得世帯の消費実態については,なお今後の検証が必要である。」と指摘されていることからしても,今回の検証に際して,第1・十分位を比較対象とすることは許されないと考えます。

4 有子世帯への扶助・加算
一般低所得世帯の子どもとの均衡から安易に基準を引き下げることがあってはならず,子どもの貧困対策の推進に関する法律が求める,貧困の連鎖・貧困の固定化を防ぐ観点から,子どもの最低生活費がどうあるべきかを検証すること。
【理由】
  私たちは,今般の検証において,母子加算の再度の廃止等有子世帯の扶助・加算の削減が既定路線とされているのではないかと強く懸念しています。
実際,5月27日の基準部会において,鈴木保護課長は,「全体として世帯としては子どもの育成をしていただくということでありますので,そういう意味で,高さを切り離して議論をしてはいけないのではないかと」,「高さ,家計全体を見なければいけない」,「生活保護世帯の中で今の加算が本当にフェアなのかとか,(略)そういう意味では予断なく見直しの検討をする」と母子加算等有子世帯の扶助基準全体の「高さ」を問題にし,引き下げに誘導したい意向をにじませています。

以 上

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E-mail tk-akari@wmail.plala.or.jp
生活保護問題対策全国会議 事務局長 弁護士 小久保 哲 郎


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資料1・北海道新聞2016年6月18日朝刊
資料2・厚生労働省保護課作成「取扱厳重注意」文書
資料3・中日新聞2013年4月10日朝刊
資料4・朝日新聞2015年11月3日朝刊
資料5・大阪訴訟における被告求釈明に対する回答書(2)
資料6・大阪訴訟における被告第2準備書面
資料7・山田壮志郎日本福祉大学准教授による2016年6月11日引下げアカン!関西交流集会における報告レジュメ「生活保護基準引下げ違憲訴訟原告アンケート分析報告」

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