全国「餓死」「孤立死」問題調査団が札幌市白石区に要望していた、餓死された姉妹のうち、3度も生活保護課を訪れた姉に対する応対について担当職員への事情聴取をふくむ要望事項に対し、白石区が2012年6月28日付けで回答しました。

担当職員への事情聴取にあたっての要望事項



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以下は、調査団が要望していた具体的質問事項と、白石区による担当職員への事情聴取の内容です。

平成22年6月1日(1回目)の面接時について
・調査団が要望した具体的質問事項                    ・

平成21年10月に「体調不良により」退職とあるが、具体的にどのように体調不良であるか聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
 聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。本人の健康状態の把握は重要であるとは今も考えないか(記憶がないと答えた場合も回答されたい。以下「同前」と表記する)。

その後「採用が決まり、働くも4日程度で解雇」となった原因・理由について聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
 聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。仕事が続かなかった理由は今後の稼働可能性を判断する上で重要であるとは今も考えないか(同前)。

「主名義の生命保険(住友生命)」について、解約返戻金の有無金額など具体的内容を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
 聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。保有資産の具体的状況は、相談者の今後の生計維持の可能性を判断する上で重要であるとは今も考えないか(同前)。

既に「婦人服の会社を面接、返事待ちの状況」であるのに、あえて「今後も継続して求職活動をするよう助言した」のはなぜか。

「妹は知的障害により・・現在は稼働していない」とあるが、妹の福祉サービスの活用についてどのような配慮をしたか。していないとすれば、それはなぜか。

「高額家賃について教示」とは具体的に何をどのように教示したのか。(仮に「保護受給後、住宅扶助基準額との差額は生活扶助費から自己負担してもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。

「保護の要件である、懸命なる求職活動を伝えた」とは具体的に何をどのように伝えたのか。表現方法も含めて詳細に再現されたい。(仮に「保護受給後、求職活動をしてもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。また、なぜ「保護受給後、懸命なる求職活動が必要となることを伝えた」などと記載せず、「保護の要件である、」という表記をしたのか。

「懸命なる求職活動」は「保護の要件」であると理解していたのか。どのような意味で「保護の要件」なのか。「懸命なる」との用語は法文にも通知文にもないが、このような表現をなぜ採用したのか。

「関係書類教示」をどのような理由で行ったのか。どのような書類を関係書類として列記し、具体的にどのように教示したのか。

誰でも申請権があり、相談者が今申請することもできること、申請に関係書類の提出は必要のないこと、保護は原則として申請によって開始すること、申請があれば原則として14日以内に要否判定のうえ書面をもって決定することなどについて、明確に説明したか。各項目について説明の有無を回答されたい。
 仮に説明しなかったとすれば、なぜ説明しなかったのか個別に回答されたい。上記の点を具体的に説明しなければ、真に申請意思を確認したことにならないとは今も考えないか(同前)。

生活困窮を訴えられているのに、預貯金・現金の保有状況、ライフラインの停止・滞納状況、国保等の滞納状況について聴取確認しなかったのはなぜか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

*白石区による担当職員への聴取内容                   * 
【相談者の状況把握】
・受付票記載のとおり確認したと思うが、記憶はかなり曖昧である。
・雇用保険については、離職証明が届き次第申請を行えば受給可能であるとの申立てがあったと記憶している。
・生命保険の解約返戻金については、確認したかどうか記憶していない。

【他法他施策の活用等についての助言】
・受付票記載の雇用保険、障害年金、健康保険については確認したと思うが、他の施策について確認、助言をしたかどうかについては記憶していない。

【生活保護制度の仕組みについての説明】
明確には記憶していないが、通常の面接業務の仕方から以下のとおり説明を行ったと思う。
・保護のしおりを使用して、制度の仕組みについて説明を行った。
・求職活動については、保護のしおりに基づいて説明を行っており、申請権を侵害するような説明は行っていない。
・高額家賃については、基準家賃について教示し、保護受給後に転居していただく場合があることを説明した。 


【保護申請意思の確認】
・明確には記憶していないが、通常このような生活状況であれば申請の意思を確認している。
・明確には記憶していないが、受付票に記載されているとおり相談者から後日関係書類を持参したいとの話があったものと思う。
・関係書類がなくても申請が可能であることを教示したかどうかについては記憶していない。
・後日関係書類を持参したいとの申立てがあったことから、強く申請を勧めることはしていないと記憶している。
・要保護状態にあると認識していたかどうかについては記憶していない。
・関係書類については、持参書類一覧の該当項目をチェックし交付しているが、どのような書類を教示したかについては記憶していない。
・相談者が当日申請しなかった理由については不明。

【その他】
・説明に使用した保護のしおりについては、持ち帰っていないと記憶している。
・手持金の具体的な額、ライフラインの状況、国保の加入状況について未聴取である理由については記憶していない。


平成23年4月1日(2回目)の面接時について
・調査団が要望した具体的質問事項                    ・

相談にあたり、前回の面接記録を読んだか。

ハローワークの教育訓練給付金は月額幾らであるか確認したか。

4月8日の同給付金の支給後の支給予定を確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすればなぜか。かかる事項を確認しなければ、今後の相談者の生計維持可能性を把握し的確な助言を行うことができないとは、今も考えないか(同前)。

公共料金の滞納を聞いているが、その具体的内容や金額について確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすればなぜか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

国保「未加入」の理由を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
聞いていないとすればなぜ聞かなかったのか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

支給された「非常用パン」の1食あたりのカロリー数はいくらか。一人当たり1日1食分のみを支給した根拠は何か。それで十分であると今も考えているか。

生活保護申請に至らない相談者に対して「非常用パン」を支給する例は年間何件程度か。そもそも前例はあるか。希有な例であるとすれば、何故にそのような希有な判断をしたのか。相談者の困窮状態が切迫性を認識していたからではないか。

*白石区による担当職員への聴取内容                   *
【相談者の状況把握】
・受付票記載のとおり確認したと思うが、記憶はかなり曖昧である。
・雇用保険については、離職証明が届き次第申請を行えば受給可能であるとの申立てがあったと記憶している。
・生命保険の解約返戻金については、確認したかどうか記憶していない。

【他法他施策の活用等についての助言】
・受付票記載の雇用保険、障害年金、健康保険については確認したと思うが、他の施策について確認、助言をしたかどうかについては記憶していない。

【生活保護制度の仕組みについての説明】
明確には記憶していないが、通常の面接業務の仕方から以下のとおり説明を行ったと思う。
・保護のしおりを使用して、制度の仕組みについて説明を行った。
・求職活動については、保護のしおりに基づいて説明を行っており、申請権を侵害するような説明は行っていない。
・高額家賃については、基準家賃について教示し、保護受給後に転居していただく場合があることを説明した。 

【保護申請意思の確認】
・明確には記憶していないが、通常このような生活状況であれば申請の意思を確認している。
・明確には記憶していないが、受付票に記載されているとおり相談者から後日関係書類を持参したいとの話があったものと思う。
・関係書類がなくても申請が可能であることを教示したかどうかについては記憶していない。
・後日関係書類を持参したいとの申立てがあったことから、強く申請を勧めることはしていないと記憶している。
・要保護状態にあると認識していたかどうかについては記憶していない。
・関係書類については、持参書類一覧の該当項目をチェックし交付しているが、どのような書類を教示したかについては記憶していない。
・相談者が当日申請しなかった理由については不明。

【その他】
・説明に使用した保護のしおりについては、持ち帰っていないと記憶している。
・手持金の具体的な額、ライフラインの状況、国保の加入状況について未聴取である理由については記憶していない。

確認内容(平成24年5月30日)
【相談者の状況把握】
・訓練給付金、年金、手持金、食糧、ライフラインの状況、国保加入状況について、受付票記載のとおり確認したが、記載内容以上のことについては記憶していない。
・給付金については、手違いがあり、1週間後に2ヶ月分がまとめて給付されるとの申立てがあったと記憶している。
・健康状態については、確認したかどうか記憶していない。
・どのような相談ですかとの問いかけに対し、相談者からは、「生活保護の相談ではなく、給付金が支給されるまでの1週間の生活について相談したい。」との趣旨の申立て(正確な表現については記憶がなく不明)があったと記憶している。

【他法他施策の活用等についての助言】
・訓練給付金、障害年金の活用状況について確認し、社協の貸し付けについて言及したが、他の施策について、利用状況の確認、助言をした記憶はない。

【生活保護制度の仕組みについての説明】
・生活保護の相談ではないとの申立てがあったことから、あらためて仕組みの説明は行っていないと記憶している。
・保護のしおりの交付は行っていないと記憶している。
・決定までに一定の日数を要する旨の説明をした経緯については記憶になく不明。

【保護申請意思の確認】
・生活保護の相談ではないとの申立てがあり、非常食の提供の提案の前に、生活保護ではなく1週間の生活の相談であることを再度認識(正確な表現については記憶がなく不明)したと記憶している。

【その他】
・1回目の面接受付票を確認し面接を行ったと記憶している。
・1週間後の給付金と2週間後の障害年金を合わせて30数万円の収入が見込まれたが、給付金が支給されるまでの1週間の生活に困窮していたことから、可能な対応として非常食の提供について提案した。提供個数については、現物を確認してもらったうえで、相談者に決めていただいたと記憶している(これ以上の詳細については、記憶になく不明)。


平成23年6月30日(3回目)の面接時について
・調査団が要望した具体的質問事項                    ・

姉が受けていた職業訓練はいつ終了し、給付金の受領はいつ幾らが最終であるか確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

手持ち金の具体的金額を確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

「妹が体調を崩し仕事に行けない状態」になったという点につき、どのように体調を崩し、なぜ姉が仕事に行けなくなったのか、その具体的内容を聴取したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

「家賃・公共料金の滞納」の具体的内容について聴取したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

「能力・資産の活用等生活保護制度全般について説明」とは具体的にどのような説明を行ったのか。

「高額家賃について教示」とは具体的に何をどのように教示したのか。(仮に「保護受給後、住宅扶助基準額との差額は生活扶助費から自己負担してもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。

「保護の要件である、懸命なる求職活動を伝えた」とは具体的に何をどのように伝えたのか。表現方法も含めて詳細に再現されたい。(仮に「保護受給後、求職活動をしてもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。また、なぜ「保護受給後、懸命なる求職活動が必要となることを伝えた」などと記載せず、「保護の要件である、」という表記をしたのか。

国保「未加入」の理由を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
 聞いていないとすればなぜ聞かなかったのか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

誰でも申請権があり、相談者が今申請することもできること、申請に関係書類の提出は必要のないこと、保護は原則として申請によって開始すること、申請があれば原則として14日以内に要否判定のうえ書面をもって決定することなどについて、明確に説明したか。各項目について説明の有無を回答されたい。
 仮に説明しなかったとすれば、なぜ説明しなかったのか個別に回答されたい。上記の点を具体的に説明しなければ、真に申請意思を確認したことにならないとは今も考えないか(同前)。
 そうでないのであれば、なぜ「生活して行けない」として生活保護の相談に訪れた者が「申請意思は示さず退室」したのか、その合理的理由を説明されたい。また、その理由につき姉に確認したか。
 確認しなかったとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

「次回関係書類をもって相談したい」とは本人の言葉なのか。「次回」とは具体的時期を念頭に置いていたのか、時期の確認を行ったか。行っていないのならばなぜ行わなかったのか。
「関係書類をもって相談したい」というのは本人の意思であったのか。相談するよう指導したのか。
 関係書類を教示したと考えられるが、どんなものであるのか具体的に列記されたい。また「いつまでに」という時期を示しているのか。示していないのであればなぜなのかその理由を説明されたい。

*白石区による担当職員への聴取内容                   *

【相談者の状況把握】
・受付票記載のとおり確認したと思うが、記憶はかなり曖昧である。
・健康状態については、確認したかどうか記憶していない。

【他法他施策の活用等についての助言】
・受付票記載の訓練給付、障害年金、健康保険については確認したと思うが、他の施策について確認、助言をしたかどうかについては記憶していない。

【生活保護制度の仕組みについての説明】
明確には記憶していないが、通常の面接業務の仕方から以下とおり説明したと思う。
・保護のしおりを使用して、制度の仕組みについて説明を行った。
・求職活動については、保護のしおりに基づいて説明を行っており、申請権を侵害するような説明は行っていない。
・高額家賃については、基準家賃について説明し、保護受給後に転居していただく場合があることを説明した。

【保護申請意思の確認】
・明確には記憶していないが、通常このような生活状況であれば申請の意思を確認している。
・明確には記憶していないが、申請の意思を確認するに際して、申請があれば保護適用となる可能性があるとの説明は行っていないと思う。
・明確には記憶していないが、受付票に記載のあるとおり相談者から後日関係書類を持参したいとの話があったものと思う。
・関係書類がなくても申請が可能であることを教示したかどうかについては記憶していない。
・後日関係書類を持参したいとの申立てがあったことから、強く申請を勧めることはしていないと記憶している。
・要保護状態にあると認識していたと記憶している。
・関係書類については、持参書類一覧の該当項目をチェックし交付しているが、どのような書類を教示したかについては記憶していない。
・相談者が当日申請しなかった理由については不明

【その他】
・1、2回目の面接受付票を確認し面接を行ったと記憶している。
・説明に使用した保護のしおりについては、持ち帰っていないと記憶している。
・手持金の具体的な額、ライフラインの状況(滞納分支払後の状況)について未聴取である理由については記憶していない。



 全国「餓死」「孤立死」問題調査団が、2012年5月17日に札幌市に要望した「白石区姉妹餓死事件をふまえて生活保護行政の改善を求める要望書」に対し、札幌市から回答がありました。

白石区姉妹餓死事件をふまえて生活保護行政の改善を求める要望書

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(回答内容)

・要望事項(1)                                ・
 生活保護の受付面接時における申請権侵害を根絶するため、以下の事項を徹底されたい。
 ① 全ての福祉事務所の窓口の誰もが手に取れる場所に生活保護申請書を
   備えおくこと。 
 ② 相談にあたって、まず最初に保護申請書を示し、生活保護は誰でも無条
   件に申請する権利があること、原則として申請に基づいて開始される
   ものであること、申請があれば原則として14日以内(例外的に30日以内)
   に要否判定をし書面による決定がなされることなどを記載した説明文書を
   交付したうえで助言、教示すること。
*要望事項(1)への回答                           *
 保護の相談があった場合は、国の実施方針に則り、可能な限り丁寧に申請者の状況を聴取し、生活保護の仕組みについて十分な説明を行っております。
 さらに、生活保護のしおりに沿って、誰でも申請可能であることや保護の仕組みなどについて説明を行い、保護の申請の意思が確認された方に対しては、速やかに保護申請書を交付しております。

・要望事項(2)                                ・
 生活保護を担当するケースワーカーを増員するとともに、社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を持つ者を福祉専門職として積極的に採用するなど生活保護事務の実施体制を強化・改善されたい。
*要望事項(2)への回答                           *
 生活保護を担当するケースワーカーについては、被保護世帯数の増加に伴い増員しており、特に近年は急激な増加傾向あるが、今後も被保護世帯数の動向を見極めながら検討してまいります。
 また、福祉の専門性を有する職員の配置については、保護課のみならず各福祉関係職場でそのニーズが高まっていることから、全体のバランスを見極めながら、必要な配置を行っていきたいと考えております。

・要望事項(3)                                ・
 白石区は当調査団に対して、姉妹孤立死事件の面接担当職員に対する詳細な事情聴取を実施し事実確認を行うことを約したが、内実ある再調査が行われるよう、同区に対する指導を行われたい。
*要望事項(3)への回答                           *
 面接担当職員に対する再調査は、5月30日、31日に実施いたしました。結果については白石区から報告いたします。

・要望事項(4)                                ・
 姉妹孤立死事件の事実関係を徹底的に解明し、再発防止策を提言することを目的とした、弁護士、学識経験者等の第三者による事件の検証委員会を設置されたい。
*要望事項(4)への回答                           *
 本市においては、今回の孤立死が判明した後、このようなことが2度と起こらないよう関係部局が横断的に検討を重ね、6項目にわたる対応策を策定しております。
 現在、この6項目の対応策の実施に取り組んでいるところであり、第三者委員会の設置の予定はありません。

・要望事項(5)                               ・
 指定都市市長会や社会保障審議会の部会などの場を通じて、国に対して、生活保護制度の充実のために必要な諸事項を要求されたい。
*要望事項(5)への回答                           *
 今後とも、生活保護制度の改善に向けた提言を指定都市市長会等を通じて行ってまいります。
 


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2012年6月7日

「餓死」「孤立死」根絶のための提言

                        全国「餓死」「孤立死」問題調査団

 2012年初頭から、我が国において餓死・孤立死が頻発する異常な事態となっている(新聞報道確認されただけでも、2012年1月~4月の間で13件。末尾【参考】参照)。
 本提言は、GDP世界第3位を誇る経済大国において、このような事態が起きる原因を可能な限り明らかにし、餓死・孤立死を根絶するための提言を行うものである。

第一 提言の趣旨(骨子)

1 全事件に関する徹底した調査の実施
2 生活保護の漏給防止策の徹底(水際作戦の根絶と広報の強化)
3 ライフライン業者等との連携強化による緊急対応
4 リスク層に対する積極的アプローチ
5 行政内部での連携の強化と十分な要員配置・専門性の向上


第二 提言の趣旨(詳細)

1 全事件に関する徹底した調査の実施    

 当調査団は、餓死・孤立死が発生した6自治体(①札幌市白石区、②さいたま市北区、③立川市、④東京都台東区、⑤釧路市、⑥南相馬市)に対して公開質問状を発し、各自治体の回答を得た(別紙参照)。各事件は、それぞれの形態(家族構成、高齢者の有無、障害の有無程度、行政との関わり、生活保護申請の有無等)も異なり、個別の事件特有の要因もあると考えられる。しかし、共通する特徴として、いずれのケースも複数世帯(その多くは稼働年齢層を含む)であり、従来、孤立死のリスクが高いと見られていた単身高齢世帯以外にも餓死・孤立死のリスクが高まっていることが窺われる。
 厚生労働省は、これまでも地域社会から孤立死を生み出さないことなどを目的として、「孤立死防止推進事業(孤立死ゼロ・プロジェクト)」、「地域福祉活性化事業」、「地域福祉等推進特別支援事業」、「安心生活創造事業」などを実施している。にもかかわらず、餓死・孤立死の悲劇が後を絶たないことからすれば、これらの施策においては、住民によるコミュニティ活動の活性化や、住民による新たな支え合いなどの「共助」が強調され、国や自治体の責任が曖昧にされていることから、事業の質や量に問題がある疑いも強い。
 いずれにせよ、同種の悲劇を繰り返さないためには、国が所管自治体と連携をし、全事件について徹底した調査を行い、それを踏まえて再発防止策を構築するべきである。

2 必要とする人が漏れなく生活保護を受けられるようにすること
  (生活保護の漏給防止策の徹底)

(1)「水際作戦」の根絶

 ①の札幌市白石区のケースでは、姉が、平成22年6月、平成23年4月及び6月の3回にわたって福祉事務所に生活保護の相談に訪れているにもかかわらず、生活保護の受給に至っていない。
 当該世帯の最低生活費は184,720円であるのに対し、少なくとも3回目の相談時点の収入は妹の障害年金月額66,008円のみである。約12万円も最低生活費を下回っているうえ、家賃・公共料金の滞納もある明らかな要保護世帯であった。生活保護申請をする者は申請意思を明確に示すことすらできないこともままあるから、「申請する」という直接的な表現によらなくとも申請行為があったと認められる場合があるところ(福岡地裁小倉支部平成23年3月29日判決)、姉は「生活していけない」と生活保護の相談を持ちかけている以上、申請行為はあったと言える。
 一般に福祉事務所職員には、生活保護の相談に訪れた者に対して、保護申請権の存在を助言・教示のうえ、申請意思を確認すべき法的義務があるが、本件の面接員は、当該世帯が要保護であることを明確に認識している以上、より高度の保護申請権の助言・教示義務、申請意思確認義務が認められる。
にもかかわらず、「高額家賃について教示。保護の要件である懸命なる求職活動を伝えた」と記録されていることからすると、①本来保護を否定する理由とはならない住宅扶助基準額を超えたアパートに居住していることを問題視し、②保護の開始要件でもない「懸命なる求職活動」を要件であると説明したものと推認される。
 そうすると、姉から生活保護の申請があったにもかかわらず、職員は、当該世帯の要保護性の高さを十分に認識しながら、上記①②の点について法的に誤った教示・説明を行い、保護の要件を欠くものと誤信させ、保護申請を断念させたものと言える。申請権侵害があったことが明らかであり、しかも、その違法性の程度は極めて高いと言わざるを得ない。
 同様の悲劇の再発を防ぐためには、違法な申請権侵害があったことを率直に認めたうえで、①すべての福祉事務所の窓口の誰もが手に取れる場所に生活保護申請書を備え置くこと、②相談の最初に保護申請書を示し、生活保護は誰でも無条件に申請する権利があること、原則として申請に基づいて開始されるものであること、申請があれば原則として14日以内に要否判定をし書面による決定がなされることなどを記載した説明文書を交付したうえで助言・教示するなどの再発防止策を講じるべきである。

(2)生活保護制度の広報の強化
 情報が限られているため、厳密な判定は困難であるが、その余のいずれのケースも、ライフラインの利用料や家賃の未払いを経ていることからすると、生活保護の利用要件を満たす困窮家庭であった可能性が高いのではないかと思われる。生活保護制度の利用によって、経済的な生活の基盤が確保されていれば最悪の事態は防げた可能性が高いと思われる。
 しかし、⑥では実際に生活保護の窓口に相談に赴いているが受給につながっておらず、それ以外のケースでは相談にさえ行っておらず、生活保護が利用できることを知らなかったか、利用することに対する抵抗感があったのではないかと推察される。
 日本の生活保護の捕捉率は2~3割程度と極めて低く、その利用率(1.6%)も先進諸外国(独9.7%、英語9.3%、仏5.7%)と比べると異常に低い。悲劇の背景には、本来利用すべき人が生活保護制度を利用できていないという、膨大な「漏給」層の存在があると言わざるを得ない。
近時、生活保護制度を巡っては、不正受給防止のキャンペーンのみが強調される傾向にあるが、生活保護制度が誰もが生活に困った場合の有力な救済手段であることについても、市民に広報を徹底し、その利用を促進すべきである。

(3)適切な「生活支援戦略」(2012年秋)の策定 
 国が2012年2月17日に閣議決定した「社会保障・税一体改革大綱」では、生活困窮者対策と生活保護制度の見直しについて、総合的に取り組むための「生活支援戦略」を2012年秋を目途に策定することとされている。そのうち後者については、①不正受給対策を強調し警察官OBを福祉事務所に積極配置すること、②生活保護基準を引き下げること、③稼働年齢層に対して期間を定めた集中的な就労指導を行うことなど、財政的観点からの給付抑制策が目立つ。
 しかし、上記のように現状でさえ、必要とする人々に生活保護制度が全く行きわたっていないのに、さらに制度を切縮める方向での改革が実施されれば、ますます餓死・孤立死などが増えるという悲劇的な結果を招くことが明らかである。
 「生活支援戦略」の策定にあたっては、上記のような生活保護制度を切縮める方向での検討や取りまとめは断じて行うべきではない。社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の検討課題にあがっている、生活困窮者・孤立者の早期把握、伴走型支援、多様な就業機会の確保等の諸施策の充実こそが図られるべきである。

3 ライフライン業者などとの連携強化による緊急対応
 餓死・孤立死に至る過程では、ほとんどの場合、ライフラインの途絶という経過をたどっている。この点について、厚生労働省は、生活困窮から電気・ガス・水道料金等の滞納により、ライフラインが止められ、死亡に至るという事態の発生を防ぐため、電気等の供給停止に際して、電気・ガス等の事業者と福祉事務所が連携を強化し、要保護者の発見・把握に努めるよう促す通知を5回にわたって発出し(平成12年4月13日付、平成13年3月30日付、平成22年10月1日付、平成23年7月8日付、平成24年2月23日付)、資源エネルギー庁も事業者に対して同種の通知を発出しているが(平成14年4月23日付)、今回の事態をみると、ほとんど実効性が上がっていないと言ってよい。 
 個人情報保護法が「壁」になっているという見方も示されているが、「個人情報」の保護を理由に「人命」が失われるような事態は、本末転倒であって法の趣旨に反する。
 個人情報保護法上の問題点については、①標準約款や標準契約書に同意条項を入れ込むことによって、同法16条1項、23条1項の「あらかじめの同意」を得ること、②一定の要件を満たす場合(例えば、滞納が数か月続き、近々供給停止が見込まれる場合等)には、同法16条3項2号、23条1項2号にいう「人の生命、身体又は財産の保護のために必要がある場合であって、本人の同意を得ることが困難であるとき。」に該当すると解釈すること、③同法第23条2項(オプトアウト制度)を活用することなどによって、クリアすることが十分に可能と解される。
 そして、こうした情報の提供については、電気、ガス、水道等のライフライン事業者だけでなく、不動産賃貸業者、介護保険事業者、郵便配達員、新聞配達業者、ヤクルト配達業者、配食業者等との連携の構築も重要である。
 この点、消費者庁は、本年4月26日付け事務連絡において、上記②の点について自治体消費者行政担当課等に対して通知したが、具体的な解釈指針は示されていない。①③の点も含めて、事業者の不安を払拭しうる具体例も例示した指針を通知等の形式で発出することが必要不可欠である。

4 「リスク層」に対する積極的アプローチ
 本来は、ライフライン等の料金滞納等に至る前段で、そのようなリスクの高い市民に対して、行政機関の側が積極的にアプローチし、生活保護をはじめ関連する福祉サービス情報を個別に提供し、諸制度の活用による安心、安全な生活を保障することが必要である。
 この意味で、東京港区での取り組みは注目される。同区では、一人暮らし高齢者の中から、介護保険や区の福祉サービスの認定は受けているが利用がない方、生活保護を受けていない方(港区では生活保護水準未満の一人暮らし高齢者が32%を占めている)、後期高齢者の中で1年以上の未受診者、ライフライン停止などの緊急性のある方を対象にして、2012年度から区を5地区に分け、各地区の「ふれあい相談室」に各2名配置された「ふれあい相談員」が対象世帯を訪問して必要なサービスにつなぐ活動を行っている。孤立した市民を行政の側が発掘して福祉サービスなどにつなげるシステムを構築したすぐれた取組といえよう。

5 行政内部での連携の強化とケースワーカー等福祉関係職員の十分な配置と専門性の向上
(1)行政内部での連携の強化(情報の共有化と迅速な対応)
 一連の事件のほとんどにおいて、世帯員の中に障害者(児)がいたり(①③)、高齢者がいて(③④⑤⑥)、障害に係る年金や手当を受給していたり、要介護認定を受けたりしている。こうした世帯においては、その困窮状態を行政内の障害所管部署や地域包括支援センターが把握できた可能性があり、行政内部において情報の共有化と連携が行われて、たとえば生活保護所管課において生活保護の適用がなされていれば悲劇を防げたと思われる。
 「縦割り行政」の弊害に加え、個人情報保護を口実にした情報の非共有化や、もともとの生活保護などのサービス抑制が、事件を引き起こしたり深刻化させている可能性があり、行政内部における連携の強化と、生活保護の積極的な適用が必要不可欠である。

(2)生活保護ケースワーカーをはじめとする十分な職員配置と専門性の向上
ア 生活保護ケースワーカー

 生活保護の運用を改善するためには、ケースワーカーの増員、専門化の推進を進め、ケースワーカーが迅速かつ効果的に生活保護の来談者および利用者の問題に対処できる体制づくり等も進めるべきである。
 厚生労働省の『平成21年 福祉事務所現況調査』によれば、生活保護担当現業員(ケースワーカー)の配置標準数に対する配置状況は、89.2%、特に「市部」については88.2%とかなり低くなっている。つまり、全国でケースワーカーが1688人も不足している。福祉事務所の人員不足のために、実際に働いているケースワーカーの負担が過重となり、生活保護利用者の生活問題に十分な対応や支援が行うことができない背景要因となっている。
 また、同調査結果から、現業員の最低限必要とされている社会福祉主事(社会福祉の一定の講習を受けた者等)取得率は、生活保護担当現業員で74.2%、査察指導員で74.6%であった。近年、社会福祉の専門職として認められている社会福祉士取得率はそれぞれ4.6%、3.1%、精神保健福祉士はそれぞれ0.5%、0.3%でしかなかった。ここから、多くの生活保護担当現業員が、社会福祉の専門的な知識や技術がないままに生活保護業務を担っていることが明らかになっている。
 さらに、生活保護担当現業員の経験年数としては、「1年未満」が25.4%、「1年以上3年未満」が37.9%、「3年以上5年未満」が20.8%であった。全国的に、生活保護担当現業員は、3~5年で異動することが多いようで、生活保護法やその運用に精通した経験者が育たない現状がある。
したがって、生活保護担当現業員は、専門的な教育訓練を受けず、また経験を積み重ねることができないうえに、人員不足の状態で多忙を極め、生活困窮者・生活保護利用者に対して十分なかつ丁寧なケースワーク業務ができない状態にあると言える。
 そのために、①ケースワーカーの増員、②社会福祉の専門職採用および配置、③他方他施策を含めた生活保護・社会福祉全般の研修の充実、④生活保護業務の経験蓄積ができる人事異動の展開などを図る必要がある。

イ アウトリーチ(ソーシャルワーク)の専門行政職員
 3で述べた事業者からの通報や5(1)で述べた行政内部での情報共有などによって、リスク世帯が発見されたとしても、訪問をし、当該世帯の信頼を得て必要な行政サービスにつなげるためには、専門性のある根気強い働きかけが必要である。
 現状では、先に述べたふれあい相談員(港区)やコミュニティソーシャルワーカー(大阪府)などがこうした役割を担う先進事例や、国がモデル事業として実施しているパーソナル・サポート(PS)・サービス事業などがあるが、中長期的には、各制度領域の連携を組織化できる立場にあり、常勤で自由に動くことができるソーシャルワークの専門的職種を行政内部に設置することが必要である。

(3)『「餓死・孤立死」ゼロ・プロジェクト』を自治体レベルにつくること
 人権を守り実効ある『「餓死・孤立死」ゼロ・プロジェクト』を自治体レベルにつくることを検討すべきである。実効性を担保するために一定の権限を持たせ、構成は行政、議会を含めて構成し、市民や地域の事業者の参加を基本とする。
 現在、各都道府県に多重債務問題の根本解決を目的として多重債務者対策協議会が設置されているが、同様の発想に基づき、各地域における生活困窮者・孤立者の発見、支援の仕組み作りを目的とする協議会的な場を設置することが考えられる。また万が一「餓死・孤独死」が発見された場合には、徹底した調査のうえで問題点を明らかにし、再び同様なことを起こさないために、「検証会議」を開き検証結果を公開するべきである。



【参考】
1 餓死・孤独死の発生状況
・2012年  (日付は発見日)
  1月12日 釧路市 84歳の夫と72歳の妻
  1月20日 札幌市 42歳の姉(病死)と40歳の障害を持つ妹(凍死) 
  2月13日 立川市 45歳の母親と4歳の障害を持つ息子 
  2月20日 さいたま市 60歳代の夫婦と30歳代の息子
  2月20日 台東区 90歳代の父親と60歳代の娘
  3月 7日 立川市 都営アパート 95歳の母と63歳の娘
  3月 11日 足立区 73歳の男性と84歳の女性
  3月14日 川口市 92歳の母と64歳の息子
  3月23日 埼玉県入間市 75歳の母(死亡)、45歳の精神疾患の息子が助け出されていた。
       母の死後10日後の発見。
  3月25日 世田谷区 都営アパート 93歳の父(白骨遺体)、62歳の息子(自殺)
  3月27日 福島県南相馬市 69歳の母と47歳の息子、凍死(母は認知症、息子は病気)
  3月30日 秋田県鹿角市 90歳代の母と60歳代の息子
  4月11日 茨城県守谷市で、生活保護受給中の無職男性(63歳)が、死後約3ヶ月後に発見



2 公開質問状 →こちらから

3 各市町村からの回答状況
 →こちらから


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2012年5月28日

担当職員の事情聴取にあたっての要望書

札幌市白石区長 殿

                    全国「餓死」「孤立死」問題調査団
                       団 長  井 上 英 夫  


 去る本年5月16日の懇談の席に置いて、改めて受付面接を担当した2名の職員に対する事情聴取を行い、その結果をご連絡いただくことになりました。
 当該聴取にあたっては、下記具体的質問事項を踏まえて実施していただきたく、聴取結果については、6月末日までに書面でご回答いただきますようお願いします。



第1 聴取日時、所要時間、聴取担当職員の氏名及び役職を明らかにされたい。


第2 下記の具体的質問を担当者にされたい。

1 両担当者について
① 職歴。職員としての福祉現場へのこれまでの配置歴(福祉事務所での面接員、地区担当員、福祉関係職場などでの経歴等)。

② 社会福祉主事の資格の有無。その他、社会福祉士等の資格の有無。

③ 当該相談や相談者について記憶があるか。

2 平成22年6月1日の面接について
① 平成21年10月に「体調不良により」退職とあるが、具体的にどのように体調不良 であるか聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
  聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。本人の健康状態の把握は重要であるとは今も考えないか(記憶がないと答えた場合も回答されたい。以下「同前」と表記する)。

② その後「採用が決まり、働くも4日程度で解雇」となった原因・理由について聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
  聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。仕事が続かなかった理由は今後の稼働可能性を判断する上で重要であるとは今も考えないか(同前)。

③ 「主名義の生命保険(住友生命)」について、解約返戻金の有無金額など具体的内容を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
  聞かなかったとすればなぜ聞かなかったか。保有資産の具体的状況は、相談者の今後の生計維持の可能性を判断する上で重要であるとは今も考えないか(同前)。

④ 既に「婦人服の会社を面接、返事待ちの状況」であるのに、あえて「今後も継続して求職活動をするよう助言した」のはなぜか。

⑤ 「妹は知的障害により・・現在は稼働していない」とあるが、妹の福祉サービスの活用についてどのような配慮をしたか。していないとすれば、それはなぜか。

⑥ 「高額家賃について教示」とは具体的に何をどのように教示したのか。(仮に「保護受給後、住宅扶助基準額との差額は生活扶助費から自己負担してもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。

⑦ 「保護の要件である、懸命なる求職活動を伝えた」とは具体的に何をどのように伝えたのか。表現方法も含めて詳細に再現されたい。(仮に「保護受給後、求職活動をしてもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。また、なぜ「保護受給後、懸命なる求職活動が必要となることを伝えた」などと記載せず、「保護の要件である、」という表記をしたのか。

⑧ 「懸命なる求職活動」は「保護の要件」であると理解していたのか。どのような意味で「保護の要件」なのか。「懸命なる」との用語は法文にも通知文にもないが、このような表現をなぜ採用したのか。

⑨ 「関係書類教示」をどのような理由で行ったのか。どのような書類を関係書類として列記し、具体的にどのように教示したのか。

⑩ 誰でも申請権があり、相談者が今申請することもできること、申請に関係書類の提出は必要のないこと、保護は原則として申請によって開始すること、申請があれば原則として14日以内に要否判定のうえ書面をもって決定することなどについて、明確に説明したか。各項目について説明の有無を回答されたい。
  仮に説明しなかったとすれば、なぜ説明しなかったのか個別に回答されたい。上記の点を具体的に説明しなければ、真に申請意思を確認したことにならないとは今も考えないか(同前)。

⑪ 生活困窮を訴えられているのに、預貯金・現金の保有状況、ライフラインの停止・滞納状況、国保等の滞納状況について聴取確認しなかったのはなぜか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

3 平成23年4月1日の相談について
① 相談にあたり、前回の面接記録を読んだか。

② ハローワークの教育訓練給付金は月額幾らであるか確認したか。

③ 4月8日の同給付金の支給後の支給予定を確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
確認していないとすればなぜか。かかる事項を確認しなければ、今後の相談者の生計維持可能性を把握し的確な助言を行うことができないとは、今も考えないか(同前)。

④ 公共料金の滞納を聞いているが、その具体的内容や金額について確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
  確認していないとすればなぜか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

⑤ 国保「未加入」の理由を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
聞いていないとすればなぜ聞かなかったのか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

⑥ 支給された「非常用パン」の1食あたりのカロリー数はいくらか。一人当たり1日1食分のみを支給した根拠は何か。それで十分であると今も考えているか。

⑦ 生活保護申請に至らない相談者に対して「非常用パン」を支給する例は年間何件程度か。そもそも前例はあるか。希有な例であるとすれば、何故にそのような希有な判断をしたのか。相談者の困窮状態が切迫性を認識していたからではないか。

4 平成23年6月30日の相談について
① 姉が受けていた職業訓練はいつ終了し、給付金の受領はいつ幾らが最終であるか確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

② 手持ち金の具体的金額を確認したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

③「妹が体調を崩し仕事に行けない状態」になったという点につき、どのように体調を崩し、なぜ姉が仕事に行けなくなったのか、その具体的内容を聴取したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

④「家賃・公共料金の滞納」の具体的内容について聴取したか。確認したとすれば、どのように聞いたか。
 確認していないとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

⑤「能力・資産の活用等生活保護制度全般について説明」とは具体的にどのような説明を行ったのか。

⑥「高額家賃について教示」とは具体的に何をどのように教示したのか。(仮に「保護受給後、住宅扶助基準額との差額は生活扶助費から自己負担してもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。

⑧「保護の要件である、懸命なる求職活動を伝えた」とは具体的に何をどのように伝えたのか。表現方法も含めて詳細に再現されたい。(仮に「保護受給後、求職活動をしてもらうことになる」との説明をしたとの回答であれば、)なぜ申請書も受け付けておらず、保護開始の見込みもない者に対してわざわざ受給後のことを説明したのか。また、なぜ「保護受給後、懸命なる求職活動が必要となることを伝えた」などと記載せず、「保護の要件である、」という表記をしたのか。

⑨ 国保「未加入」の理由を聞いたか。聞いたとすればどのように述べていたか。
  聞いていないとすればなぜ聞かなかったのか。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

⑩ 誰でも申請権があり、相談者が今申請することもできること、申請に関係書類の提出は必要のないこと、保護は原則として申請によって開始すること、申請があれば原則として14日以内に要否判定のうえ書面をもって決定することなどについて、明確に説明したか。各項目について説明の有無を回答されたい。
  仮に説明しなかったとすれば、なぜ説明しなかったのか個別に回答されたい。上記の点を具体的に説明しなければ、真に申請意思を確認したことにならないとは今も考えないか(同前)。
  そうでないのであれば、なぜ「生活して行けない」として生活保護の相談に訪れた者が「申請意思は示さず退室」したのか、その合理的理由を説明されたい。また、その理由につき姉に確認したか。
  確認しなかったとすれば何故か。かかる事項の確認が重要であるとは今も考えないか(同前)。

⑪「次回関係書類をもって相談したい」とは本人の言葉なのか。「次回」とは具体的時期を念頭に置いていたのか、時期の確認を行ったか。行っていないのならばなぜ行わなかったのか。
 「関係書類をもって相談したい」というのは本人の意思であったのか。相談するよう指導したのか。
  関係書類を教示したと考えられるが、どんなものであるのか具体的に列記されたい。また「いつまでに」という時期を示しているのか。示していないのであればなぜなのかその理由を説明されたい。

5 両担当者に対して
① 3回の相談後、状況確認のために連絡をとったか。
  連絡をとらなかったとすれば、生活がしていけているか心配にならなかったか。心配にならなかったとすれば何故か。心配になったとすれば何故連絡をとらなかったのか。

② 姉妹が「餓死」「孤立死」したことについて、どのように受け止めているか。担当職員としての対応に反省すべき点はないか。あるとすればどのような点か。ないとすれば何故そのように考えるか。

以上


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2012(平成24)年5月17日

白石区姉妹餓死事件をふまえて生活保護行政の改善を求める要望書


札幌市長 上 田 文 雄 様
 
                       全国「餓死」「孤立死」問題調査団
                             団長 井 上 英 夫

第1 要望の趣旨

1 生活保護の受付面接時における申請権侵害を根絶するため、以下の事項を徹底されたい。
 ① 全ての福祉事務所の窓口の誰もが手に取れる場所に生活保護申請書を
   備えおくこと。 
 ② 相談にあたって、まず最初に保護申請書を示し、生活保護は誰でも無条
   件に申請する権利があること、原則として申請に基づいて開始される
   ものであること、申請があれば原則として14日以内(例外的に30日以内)
   に要否判定をし書面による決定がなされることなどを記載した説明文書を
   交付したうえで助言、教示すること。

2 生活保護を担当するケースワーカーを増員するとともに、社会福祉士・精神保健福祉士等の資格を持つ者を福祉専門職として積極的に採用するなど生活保護事務の実施体制を強化・改善されたい。

3 白石区は当調査団に対して、姉妹孤立死事件の面接担当職員に対する詳細な事情聴取を実施し事実確認を行うことを約したが、内実ある再調査が行われるよう、同区に対する指導を行われたい。

4 姉妹孤立死事件の事実関係を徹底的に解明し、再発防止策を提言することを目的とした、弁護士、学識経験者等の第三者による事件の検証委員会を設置されたい。

5 指定都市市長会や社会保障審議会の部会などの場を通じて、国に対して、生活保護制度の充実のために必要な諸事項を要求されたい。



第2 要望の理由

1 はじめに

 2012年1月20日、札幌市白石区において、「餓死」「孤立死」した40代の姉妹が発見された。この事件は、現代社会における都市部のマンションで「餓死」「孤立死」が発生した点で衝撃的であるだけでなく、姉が3回にわたって福祉事務所に生活保護の相談に訪れているにも関わらず、生活保護の受給に至らず死亡しているという点において、極めて深刻な問題を含んでいる。
 同区においては、1987年1月にも、3人の子どもをもつ母子家庭の母親が、再三福祉事務所に保護申請をしたにもかかわらず、「働けば何とか自活できるはず」「離婚した前夫の扶養意思の有無を書面にしてもらえ」などと述べて保護申請として処理せず放置した結果、餓死するという事件が発生している。それから25年を経て、同様の悲劇が繰り返されたのは、決して突発的な事象ではなく、同区の保護行政が抱える根深い問題が象徴的に表れたものと考えられる。
 しかし、残念ながら、同区の回答や対応を見ると、本件に関する真摯な分析や反省がなされているとは到底言い難く、事の重大性を認識しないまま(あるいは故意に目をつぶり)、本質的ではない対応で事態の収拾を図ろうとしていると言わざるを得ない。
 当調査団としては、調査をふまえ、貴市に対し、以下のとおり要望をするので、意のあるところを汲んで是非とも真摯にご対応いただきたい。なお、本要望書に対して貴市がどのように対応されるかについては、6月末日までに書面で回答をいただきたい。

2 受付面接時の申請権侵害
 前述のとおり、本件では、姉が、平成22年6月、平成23年4月及び6月の3回にわたって福祉事務所に生活保護の相談に訪れているにもかかわらず、生活保護の受給に至っていない。
当該世帯の最低生活費は184,720円であるのに対し、収入は妹の障害年金月額66,008円のみである。約12万円も最低生活費を下回っているうえ、家賃・公共料金の滞納もある明らかな要保護世帯であった。白石区保護課も、2012年5月16日の当調査団との懇談の席において、当該世帯に要保護性があり申請があれば生活保護開始となった可能性が高いことを認めている。
 ところで、生活保護申請をする者は申請意思を明確に示すことすらできないこともままあるから、「申請する」という直接的な表現によらなくとも申請行為があったと認められる場合があるところ(福岡地裁小倉支部平成23年3月29日判決)、少なくとも3回目の相談時、姉は「生活していけない」と生活保護の相談を持ちかけている以上、申請行為はあったと言える。
 一般に福祉事務所職員には、生活保護の相談に訪れた者に対して、保護申請権の存在を助言・教示のうえ、申請意思を確認すべき法的義務があるが、本件の面接員は、当該世帯が要保護であることを明確に認識している以上、より高度の保護申請権の助言・教示義務、申請意思確認義務が認められる。
にもかかわらず、「高額家賃について教示。保護の要件である懸命なる求職活動を伝えた」と記録されていることからすると、①本来保護を否定する理由とはならない住宅扶助基準額を超えたアパートに居住していることを問題視し、②保護の要件でもない「懸命なる求職活動」を要件であると説明したものと推認される。
そうすると、姉から生活保護の申請があったにもかかわらず、職員は、当該世帯の要保護性の高さを十分に認識しながら、上記①②の点について法的に誤った教示・説明を行い、保護の要件を欠くものと誤信させ、保護申請を断念させたものと言える。申請権侵害があったことが明らかであり、しかも、その違法性の程度は極めて高いと言わざるを得ない。
 同様の悲劇の再発を防ぐためには、違法な申請権侵害があったことを率直に認め、二度と申請権侵害が起こらないような具体的な対応策を講じるべきであるから、要望の趣旨1項記載の通り要望する次第である。

3 担当職員の専門性の欠如
 本件の担当職員は、1回目の相談時、2回目の相談時ともに家賃や公共料金が滞納していることを聞きながら滞納の具体的状況を確認せず、預貯金等が残り少ないことを聞きながら残金額を確認せず、体調不良で退職したことを聞きながら疾病の状況や通院状況を確認していない。もっとも基本的な情報を確認することさえ怠っており、ケースワークの基本を欠いていると言わざるを得ない。
札幌市における生活保護「包括外部監査結果」(2012年3月30日)の指摘にもあるように、ケースワーカーの人員配置の見直し、専門化の推進等を進め、ケースワーカーが迅速、効果的に問題に対処できる体制作り等も進めるべきである。
 2012年3月に公表された『札幌市包括監査報告書』によれば、(1)ケースワーカーの業務量が過重になっており、扱う制度が複雑になってきているにも関わらず、(2) ケースワーカー担当経験年数が「1年未満」が23%、「1年以上3年未満」が48%と、3年未満の経験しかないケースワーカーが71%(全国63.3%)も占め、十分な経験を積むことができないことに加えて、(3)社会福祉の専門性のある職員が配置されておらず、業務が滞留し、効果的効率的な生活保護運用ができていないことが明らかになっている。
 また、この報告書には記載されていないが、札幌市は「一般事務(福祉コース)」の採用枠があり、福祉職員への一定の配慮をしているように思われるが、実際には報告書にあるように、生活保護業務の改善にはつながっていない。
 したがって、(1)ケースワーカーの増員、(2)人事異動におけるCW及び福祉業務経験者の割合の増加、(3)社会福祉の専門家(社会福祉士、心理療法士等)の採用、および他法他施策を含めた社会福祉・生活保護の研修の充実が必要である。特に、「福祉コース」採用については、社会福祉士等の有資格者等を優先的に採用し、生活保護業務の専門性に資するよう対策を図る必要がある。

4 白石区による内実ある再調査の履行確保
 白石区は、当調査団の公開質問状に対して、「白石区保護課におきましては、これまでも相談に来られた方に対しまして、生活実態を十分に聞き取り、生活保護制度の説明を行ったうえで、生活保護申請の意思を必ず確認しております。今回のケースにつきましても、白石区といたしましては通常の生活保護相談の同様の対応を行ったものと認識しております」と回答した。同区保護課は、2012年5月16日、当調査団との懇談の席においても、同様の回答をし、申請権侵害等の問題はなかったとの認識を示した。
 その根拠として、2名の担当係長から聴取をしたが記憶が曖昧で面接記録票に記載されている以上の事実関係は確認できなかったこと、一般に相談者に対して生活保護制度の説明と申請意思の確認を行っているので本件でも行っているはずであること、「高額家賃について教示」というのは、住宅扶助は基準額までしか支給されず実際の家賃との差額は生活扶助費からまかなわなければならないことなどを教示したと推測されること、「保護の要件である懸命なる求職活動を伝えた」とは、懸命なる求職活動が保護開始の要件であると伝えたものではなく、保護開始後求職活動が必要であると伝えたものと推測されることなどを挙げた。
 しかし、申請が受け付けられていない者に対して、保護開始後の注意点についての説明を行うというのは不自然であるし、「保護の要件である懸命なる求職活動」という表記からすれば、「懸命なる求職活動」が「保護の受給開始要件」であると説明したと理解するのが素直である。実際、同区保護課は、担当係長からの事情聴取内容について記録化しておらず、上記回答は、係長から確認した事実に基づくものではなく単なる「推測」に過ぎないことが露呈された。
 同区保護課は、調査団に対して、再度担当者から詳細な事情聴取を行ったうえで回答することを約した。貴市におかれても、同区が実のある再調査を実施するよう適切な指導をしていただきたい。

5 第三者検証委員会による徹底した調査の必要性
 上記のとおり、同区保護課は、調査団に対して、面接担当者に対する再調査を約したものの、同時に、「古いことであるから記憶に限界がある」と早速に予防線を張っている。
同区のこれまでの対応を見れば、同区としては「申請権侵害はなかった」という結論先にありきで具体的事実関係についてはできる限り不明確なままにしておき、現場の対応に大きな問題はなかったという形で事態の収拾を図ろうとしていると考えられる。
 同区自身による事実調査は、こうした立場から進められ、客観的事実が歪められる恐れが強い。真実を明らかにするためには、担当係長等の担当者に対する聴取を弁護士、学識経験者等の第三者が行い、中立公正な立場から検証を行うことが必要不可欠である。
 したがって、要望の趣旨4記載のとおり、事実の究明と再発防止策の提言を目的とする第三者検証委員会の設置を求めるものである。

6 生活保護制度の充実のために必要な措置の国に対する要望の必要性
 貴殿は、基本的人権の擁護と社会正義の実現をその使命とする弁護士資格をもつ首長として、公契約条例の実現などに積極的に取り組んでおられ、その姿勢については当調査団としても敬意を表している。 
ところで、生活保護制度の充実と真に適正な実施は、地方自治体の努力のみでは実現が困難な面もあり、国が必要な法改正を行い、実務運用の指針を示し、財政上の措置を講じることによって、よりよく実現することができる。
例えば、保護費の全額国庫負担を実現すること、ケースワーカーの増員のために現在「標準」数となっているケースワーカーの配置基準を以前のように「法定」数に戻すこと、ケースワーカーの専門職採用を促進するために運用指針を示すこと、保護費や人件費に関する地方交付税の算定基準を是正することなどを国に対して求めることが必要である。
 指定都市市長会の副会長であり、社会保障審議会に2012年4月設置された「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の委員でもある貴殿が、国に対して、こうした諸要求をし、生活保護制度の充実のために積極的な役割を果たすことを当調査団としては期待するものである。

                                 以 上


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