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 「自動車を持っているから」と生活保護の申請を断念するという話を、特に地方でよく耳にします。しかし、ローカル路線のバスや電車が減っている地方では、「自動車は無ければ生活ができない物」になっています。それを裏付けるように、自動車保有率は首都圏(64.4%)より地方圏(83.7%)の方が約20%高く、地方圏でも大都市(74%)、周辺部(92%)と都市規模が小さくなるほど保有率が高い傾向にあります。
 生活用品は、保有率が当該地域の全世帯の70%程度であれば「一般世帯との均衡を失することにならない」とされていること(課長通知問第3の6)からしても、自動車は、生活用品として保有が認められても良いはずです。しかし、これまで自動車はそのように取り扱われてはいないため、「生活保護か自動車か」という選択を迫られ、生活保護の利用を希望している人が申請を諦めざるを得なくなってしまっているのです。
 地方は都市部に比べて保護率が低く、とりわけ母子世帯では、最も高い東京都(18.87%)と最も低い富山県(0.61%)とでは、31倍もの格差があります。このことからも、自動車保有が生活保護申請の大きな障壁になっていることが明らかです。

 しかし、あきらめる必要はありません。現行の厚生労働省通知を前提としても、それを正しく解釈・運用することで自動車を持ったまま生活保護を利用できる場合は、かなり多くなるでしょう。少なくとも以下のことが可能です。
①公共交通機関の利用が著しく困難な場合の通勤や通院等のための保有が認められる
②通勤のための利用には保育園への送迎も含まれる
③保護を受ける際に仕事に就いていない場合でも、1年(場合によってはそれ以上)にわたって処分を保留してもらうことができる


 当会では、パンフレットにまとめ、Q&A形式で「厚労省通知の徹底活用法」を解説しています。そして、申請者が自動車保有容認の条件を満たしているかをチェックリスト方式で確認でき、そのまま福祉事務所へ提出できる「自動車保有容認を求める申立書」を掲載しています。ぜひお役立てださい。

パンフレットは、販売しております。
ぜひ、団体内や生活保護利用者への周知、相談活動などにお役立て下さい。
団体だけでなく、個人からの申込みも可能です。各地での運動にご活用下さい。

パンフレットの申込みの方法

(1)FAXで申し込む

申込用紙(PDF印刷版)に必要事項をご記入の上、072-648-3576までFAXをお送り下さい。


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自動車Q&A




自動車を持ちながら生活保護を利用するために!
Q&A


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Q1 福祉事務所から「車は『資産』だから、処分してもらう」と言われました。私の車はオンボロで売ってもお金にならないのに、「資産」と言えるのでしょうか?

A -1 いいえ、本来、処分価値ゼロのモノは「資産」ではありません。
 生活保護法4条1項は、「利用し得る資産」の活用を要件としています。この「資産」とは、「土地、家屋を始め貨幣、債権、無体財産等プラスの財産の総称」とされており、本来、処分価値ゼロのモノは「資産」ではありません※。
 次官通知第3でも、「1 その資産が現実に最低限度の生活維持のために活用されており、かつ、処分するよりも保有しているほうが生活維持及び自立の助長に実効があがっているもの」や、「4 売却代金よりも売却に要する経費が高いもの」は処分せずに保有を認めています。
※小山進次郎「生活保護法の解釈と運用」121頁

A -2「車はゼイタク」という固定観念からの脱却が必要です。
 ところが、車だけは、どんなにオンボロでも「資産」であるとして保有を認められません。その背景には、「生活保護利用者に車はゼイタク」という固定観念があります。例えば、判決②は、結論としては原告を勝たせたのですが、「『資産』としては、第一義的には処分価値のあるものを想定しているのは確かである」としつつも、「その時点の社会情勢や国民感情にもかんがみて、」「当該資産を所有するために一定の経済的支出を行うことや当該資産を利用することで一定の利益を得られることが、『最低限度の生活』として容認できるかどうか」を含めて検討すべきとし、「利用による利益を容認できるか」
(ゼイタクでないか)を問題にしていました。
 しかし、こうした「生活保護利用者に車はゼイタク」という価値観を乗り越えた判決も現れています。判決③は、「『資産』とは、基本的には処分価値を有するものを意味する」が「処分するよりも保有して活用する方が生活維持及び自立助長に実効性があり、維持費等の経済的支出が社会通念上是認できる」かという観点から保有の可否が検討されるべきとしました。判決③では、「利用による利益の享受」が容認できるかどうか(ゼイタクでないか) は問題にせず、「経済的支出により最低生活を割り込む懸念」にのみ着眼しています。この考え方からすれば、維持費の捻出が可能であれば生活に必要な車の保有は認められることになります。
 そもそも自動車の保有には移動の自由を保障するという側面があります。自動車を保有することによって、自立した生活を送ることができる、社会参加が可能になるといった面があり、その点からも保有が認められるべきものです。


車の保有が認められる場合
Q.2 自動車を保有したまま生活保護を利用したいのですが、現在の運用(厚労省通知)では、どのような場合であれば車を処分せずに生活保護が利用できますか?

A 自動車の保有については、以下の場合に認めることができるとされています。

認められる場合1
事業用品としての自動車
 生活保護利用者が何らかの個人事業を営んでいて、その営業のために自動車が必要となる場合(例えば商品の運搬用など)です。このような事業用自動車については「当該事業が事業の種別、地理的条件等から判断して当該地域の低所得世帯との均衡を失することにならない」場合には保有が認められます(別冊問答集第1 編問3-14)。

認められる場合2
「公共交通機関の利用が著しく困難」な場合の通勤や通院・通所・通学用自動車
 この場合については、①本人が障害者か交通不便な場合か、②利用目的が通勤か通院等かによって、以下のとおり要件が異なります。
一見、非常に厳しい要件に見えますが、「保有が社会的に適当と認められるときには…その〔通知の〕要件を一定程度緩和して解釈・運用する必要がある」とされています(判例①、②・③でも同旨が述べられています)。
そのため、要件を1つ1つ細かく見過ぎて抑制的に考えるよりも、自動車保有の必要性があれば、要件を緩和して解釈するよう福祉事務所に求めていくことも大事です。

障害者交通不便な場合
通勤(課第3-9)自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することがきわめて困難であり、かつ、その保有が社会的に適当と認められるときには、「社会通念上処分させることを適当としないもの」(次官通知第3の5)として容認(交通不便な場合に課される右記(1)~ (4)の条件は求められない。)居住地もしくは勤務先が、公共交通機関利用困難地にあるか、深夜業務従事者であって、かつ(1)~(4)の全ての条件必要
(1)勤務が自立に役立つ、
(2)地域の普及率、自動車非保有低所得者との均衡
(3)処分価値が低い
(4)当該勤務の収入>維持費
通院等(課第3-12)通院、通所及び通学(以下「通院等」)のために自動車を必要とする場合(1)~(5)の全ての条件が必要
(1)定期的利用
(2)自動車利用が真にやむを得ないこと
(公共交通機関の利用が著しく困難、送迎サービス活用困難、タクシーより自動車を利用する方が妥当等)
(3)処分価値低く、2000cc以下
(4)維持費が他からの援助や他施策で賄われる
(5)本人や生計同一者が運転
公共交通機関利用困難地域に居住する者かつ(1)~(5)の条件が必要
(1)定期的利用
(2)自動車利用が真にやむを得ないこと
(公共交通機関の利用が著しく困難、送迎サービス活用困難、タクシーより自動車を利用する方が妥当等)
(3)処分価値低く、2000cc以下
(4)維持費が他からの援助や他施策で賄われる
(5)本人や生計同一者が運転



認められる場合3
就労を中断している場合の自動車保有
 生活保護の開始時において失業や傷病により就労を中断している場合の通勤用自動車について処分を求めると、そのことによって就労が困難になり、就労による自立の可能性を奪うことになりかねません。
 そこで、課長通知問第3の9-2では、「概ね6か月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれるものであって、保有する自動車の処分価値が小さいと判断されるもの」については6か月間、処分指導をしなくてもよいとしています。また、6か月が経過しても、具体的に就労による自立に向けた活動が行われていれば、概ね1年まで延長してよいとされていますし、さらにそこから延長が認められるケースも多くあります。
 ただし、これによって認められているのは処分指導を行わないことまでで、求職活動に必要な場合には利用を認めるものの、それ以外での利用を認めるものではないとされているところは問題です。

認められる場合4
保育園等の送迎のための通勤用自動車の保有
 生活保護手帳別冊問答集問3-17は、「子の託児のために保育所等を利用しており、保育所等へ送迎して勤務するためには自動車による以外に通勤する方法が全くないか、又は通勤することがきわめて困難である」場合には、公共交通機関等での利用が可能な保育所等への転入所を検討すべきとする一方で、「公共交通機関の利用が可能な保育所等が全くない場合若しくはあっても転入所が極めて困難である場合、又は転入所することが適当ではないと福祉事務所が判断する場合」には、通勤用自動車の保有を認めるとしています。ここでは「転入所することが適当ではないと福祉事務所が判断する場合」も保有が可能とされており、認められる範囲は広がっています。
 また、厚労省が新型コロナウイルス対策で出した令和2年4月7日付け事務連絡「新型コロナウイルス感染防止等のための生活保護業務等における対応について」では、求職活動のために保育園に子どもを預ける必要がある場合に自動車を利用することを認めるとしています。こういった柔軟な対応が、他の場面にも広がることが望まれます。


Q.3 「公共交通機関の利用が著しく困難」というのはどういう場合ですか?

A 障害のある方以外で、居住地もしくは勤務先が公共交通機関利用困難地にあるか、深夜業務に従事している場合です。
 この要件が課されるのは、障害のある方以外の場合です。具体的には①居住地もしくは勤務先が公共交通機関利用困難地にあるか、② 深夜業務に従事しているという場合を指します(②の場合はそもそも公共交通機関が運行していません)。
 このうち、①については、「例えば、駅やバス停までの所要時間や、公共交通機関の1日あたりの運行本数、さらには当該地域の低所得者の通勤実態等を勘案したうえで、自動車によらずに通勤することが現実に可能かどうかという観点から実施機関で総合的に判断」(別冊問答集問3-16)とされています。
 実際に福祉事務所と交渉をする際には、公共交通機関の運行本数等を調べた上で、実際にそれを利用するとどのくらい時間がかかるのかを、事前に準備しておいた方がよいでしょう。そして、季節や天候による影響、ご本人の年齢などの事情も合わせて説明し、公共交通機関を利用しての通勤や通院・通所・通学ができないことを、具体的に説明するのが望ましいでしょう。

 福岡県知事平成23年9月9日裁決(裁決DB№1555)
公共交通機関を使うとすれば、バスを8時15分に降車して、そこから1.2キロを徒歩で歩き8時半までに出勤しなければならないが、年齢(63歳)及び雨天時などを考慮すれば確実に通勤可能とは判断できない。



Q.4障害者の方に自動車保有が認められるための要件としての「障害」はどのように考えられていますか。

A 自動車税等が減免される障害者(中略) を標準とし、個別に判断されます。障害者手帳がなくても認められた例もあります。
 ここでいう「障害」とは、「自動車税等が減免される障害者(中略)を標準とし、障害の程度、種類及び地域の交通事情、世帯構成等を総合的に検討して、個別に判断する」とされています。(別冊問答集問3-15)
 その障害の程度については、「身体障害にあっては下肢、体幹の機能障害、内部障害等により歩行に著しく障害を有する場合、知的障害にあっては多動、精神障害にあってはてんかんが該当する」(別冊問答集問3-18)という見解が厚労省から示されています。
 ただ、上記の場合以外では認められないということではありません。また、障害者手帳が無ければ認められないということでもありません。実際に障害者手帳が無い場合でも、精神疾患(パニック障害等)や指定難病の方などで保有が認められた例もあります。
 障害者手帳の有無を問わず、公共交通機関の利用が困難な障害や疾病等があれば、自動車の保有を認めるよう交渉しましょう。そして、福祉事務所は、主治医に状態を確認し、診断書の記載等から公共交通機関の利用の困難性について柔軟に判断することが求められます。


Q.5 自動車の保有が認められる「通院・通所・通学」に含まれるのは、 どのような場合ですか?

A 生活保護利用者の生活維持及び自立助長のために必要不可欠な施設訪問の場合です。
 自動車利用が認められるのは、通勤以外では「通院・通所・通学」とされています。ただ、これらはあくまでも例示に過ぎないと考えるべきです。
 実際に判決③でも、「医療や教育を目的とする施設ではなくても、障害者の生活維持及び自立の助長のため必要不可欠な施設等への定期的な訪問が『通所』に該当する場合もある」とされています。そのため、「通院・通所・通学」の範囲を狭く捉えず、生活保護利用者の生活維持及び自立助長のために必要不可欠な施設訪問か否かという観点から検討すべきです。
 また、「定期的」かどうかについては、「通院回数や通院頻度が多いことが要件とはされておらず、通院頻度が少ないとしても定期的な通院の必要性があるといえる以上は要件①を満たすのであるから、…通院頻度の多寡を問題とすることには合理性がない」(判例③)とされています。


Q.6 どの程度の価値の自動車であれば保有が認められるのですか?

A 自動車の処分価値が小さいことが挙げられています。
 自動車保有の要件として、自動車の処分価値が小さいことが挙げられています。
 その判断基準は、「全国統一して決められる性格のものではなく、地域の実情等を勘案した上、社会通念で判断することが最も妥当な方法」で「地域の実情、世帯の状況を的確に把握した上」で保有の可否を判断すべきとされています(別冊問答集問3-13)。
 この点、日本弁護士連合会の2010年(平成22年)5月 6日付け「生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書」では、「処分価値の小さい」ことの基準として、当該世帯の6か月分の最低生活費を目安とする考え方を示しています。その理由を同意見書は「前掲課長通知第3の9-2が、『概ね6か月以内に就労により保護から脱却することが確実に見込まれる者』の通勤用自動車保有を認めていることや、『保護の停止又は廃止の取扱い基準』について定めた課長通知問第10の12が,臨時的な収入の増加等により,『以後おおむね6箇月を超えて保護を要しない状態が継続すると認められるとき』に限って保護を廃止するとしていること」としています。
 以上のような考え方を踏まえつつ、地域や家庭の個別事情を考慮して保有を容認すべきかどうかを判断すべきです。


Q.7保有を認められた目的以外で、日常的に利用することはできないのでしょうか?

A 認められるよう求めていくべきです。
 福祉事務所が自動車の保有を認める際、「保有を認めた目的以外に使用しない」ように求めることは少なくありません。
でも、保有目的以外の使用ができなければ買い物などもできず、生活に支障を来してしまいます。そもそも「保有目的以外で利用してはならない」とする規定はありません。
 判決③は、「日常生活において保有する自動車を利用することなく、費用を負担してタクシーを利用したり、第三者の介護を求めたりすることは補足性の原則(生活保護法4条1項)にも反する」とした上で、「当該自動車を通院等以外の日常生活の目的のために利用することは、被保護者の自立助長(同法1条)及びその保有する資産の活用(同法4条1項)という観点から、むしろ当然に認められるというべきである」と述べています。また、秋田県知事平成19年1月31日裁決(裁決DB№ 3217)も、生活用品として認めた自動車を通勤に使用したことを「生活保護の趣旨に反しない」とした上で、勤労収入から維持費(燃料費や車検代)の控除を認めており、参考になります。
 そこで、保有を認められた段階から、日常生活でも用いることがどれだけ必要であるかを具体的に述べて、保有目的以外の利用も容認するよう求めていく必要があります。


Q.8 自動車を借用することは許されないのでしょうか?

A 借用も「保有」に含まれるとされています。
 日常用語からすると違和感があるのですが、「借用」についても「保有」に含まれるとされているので(別冊問答集問3-20)、借用の場合にも、これまで述べてきたような保有の要件を満たす必要があるということになります。後述するように「遊興」のための保有を認めないとしていること等からすると、資力の問題と生活態度の問題を混同する解釈だといえます。
 ただ、別冊問答集問3-20では「遊興等単なる利便の ため度々使用すること」は認めないと明示する一方で、「緊急かつ妥当な理由が無いにも拘わらず」と「緊急かつ妥当な理由」がある場合の借用はやむを得ないとする表現もあり、必ずしも保有する場合と同じではありません。例えば、急病の子どもを連れて行くのに隣人の自動車を借りることは認められるべきです。
 また、判決①は、障害のあるシングルマザーが自動車を借用していたためになされた保護廃止処分が争われた事案ですが、バス停までの距離( 約1. 5キロメートル)、バスの通勤時間(片道1時間30分)、自宅を出る時刻(朝6時)という勤務先については、原告の健康状態から自転車による通勤は困難だとして、自動車の借用を理由とした保護廃止処分を取り消しています。


Q.9 自動車保険や車検などの経費はどうやって賄えばいいでしょうか?

A 収入や援助などで賄うほか、一時扶助を求めることが考えられます。
 維持費が賄われることは、自動車の保有が認められる要件にもなっています。
通勤用自動車の場合
 給与収入から賄うことが前提とされています。そして、賄った費用は必要経費として給与収入の収入認定額から控除されます(実質的には保護費から経費を出したのと同じことになります)。
 この経費の中には、自宅から勤務先まで最短距離で算定したガソリン代、小破修理費、車検費用、自賠責保険・任意保険の保険料、自動車税が含まれます(別冊問答集問8-20)。

それ以外の場合
 課長通知問第3の12において、他からの援助、他法他施策の活用等により確実にまかなわれる見通しがあることが必要とされています。この点、障害者の方については、維持費が障害者加算(他人介護料を除く)の範囲で賄われる場合は、上記の「等」にあたるとされていて、要件を満たすことができます( 別冊問答集問3-19)。
 生活扶助の一時扶助としての移送費( 局長通知第7-2(7)ア)や通院移送費(医療扶助実施要領第3-9(2) イ)での支給を求めることが考えられ、現に支給している自治体もあります。


Q.10 オートバイや原動機付自転車の保有は認められますか?

A 自動車よりも緩和された要件で認められています。
 オートバイ及び原動機付自転車の保有については、生活保護手帳別冊問答集の問3-23で規定されています。
 それによると、総排気量125ccを超えるオートバイについては自動車の取扱いに準じて考えられることになっています。
 一方、総排気量125cc以下のオートバイと原動機付自転車については、以下の4つの要件を満たす場合は生活用品として保有が認められます。生活用品として認められるということは、通勤や通院に限らず使用できるということです。
①当該オートバイ等が現実に最低生活維持のために活用されており、処分するよりも保有している方が生活維持及び自立助長に実効があがっていると認められること
②保有を認めても当該地域の一般世帯との均衡を失することにならないと認められること
③自動車損害賠償責任保険及び任意保険に加入していること
④保険料を含む維持費についての捻出が可能であると判断されること

①②は通常満たすので、自動車の保有容認要件よりもかなり緩やかに規定されています。


Q.11 どうすれば自動車を持ったまま生活保護を利用できるでしょうか?

A 申立書を作って提出したり、支援団体に相談したりしてください。
 現在の運用では、当事者の方が「自動車の保有を認めてほしい」と口頭で交渉してもなかなか認めない自治体が多いと思います。
 そのような場合に備え、自動車保有容認を求める申立書のひな形があります。これは、これまで紹介してきた自動車保有を認める場合の要件を一枚の申立書にまとめたものです。
 この申立書を申請の際に持参し、それでも自動車の保有を認めないという回答があった場合には、裏表紙にある各地の「生活保護支援ネットワーク」や「生活と健康を守る会」などの支援団体に相談して支援を求めてください。

【申立書ダウンロードURL】
https://note.com/otashin2/n/ne63824d7c800

都道府県別自動車普及率(2014年)グラフはこちら




Q.12 『生活保護制度における自動車保有のあり方』は今後、どのように変わっていくべきですか?

A
あり方1 自治体から国への要望「自動車保有条件の緩和」
 全国市長会が国に毎年提出している「国の施策及び予算に関する要望書」の「保健福祉施策に関する要望」では、以下のように自動車保有条件の緩和を要望してきています。
●平成20年度 「自動車保有制限を緩和し、受給者の就労自立に向けた体制を強化すること」
●平成23~25年度 「地理的条件の悪い地域に居住する生活保護受給者が日常生活上の用に供する自動車の保有が可能となるよう制度の改善を図ること」
●平成26~令和2年度 「地理的条件の悪い地域に居住する生活保護受給者が日常生活上の用に供する自動車の保有条件を緩和すること」

あり方2 「生活用品」として自動車保有の容認
では、どのような点の改正が望ましいでしょうか。
 まず、自動車保有容認の基準を緩和することです。処分価値が無い場合とある場合で要件を分けて、その要件を満たせば、「生活用品」としての保有を認めるようにすべきです。

処分価値のない自動車
 「資産」に当たらないことから維持費(ガソリン代、車検代、任意保険料)の捻出が可能であれば保有を認めるべきです。

処分価値がある自動車
 以下の要件を満たせば保有を認めるべきです(この場合、借用(レンタル・リースも含まれます。)も同様の要件で認めることになります)。
①処分価値が乏しい(当該世帯の最低生活費6か月分以下)
②維持費の捻出が可能
③当該地域の自動車普及率が70%以上または、公共交通機関の利用が困難(障害・疾病等のため)

あり方3 自動車維持費の負担方法
 もう1つは維持費の負担ができない場合への対応策です。
 1つの方法として、社会福祉協議会の福祉資金貸付(現在は障がい者用自動車購入経費は貸付対象となっている)の中に自動車維持費を新設して、福祉事務所が当該世帯の自立更生に資すると認めた場合には当該貸付金を収入認定除外できるようにすることが考えられます。



 親族に「扶養照会」されるのがイヤで、生活保護の利用をあきらめる方が少なくありません。
 しかし、世論の高まりを受け、厚生労働省も、今年度から、扶養照会を拒んでいる場合には特に丁寧な聞き取りを行い、対象の扶養義務者が「扶養義務履行が期待できない者」に該当するかどうかを確認するよう求める通知を出しました。
 http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-398.html
 
 そこで、私たちは、あらかじめ扶養照会を拒否する、チェック式の申出書式をつくりました。
 親族への扶養照会をして欲しくないと思う方は、1枚目の申出書の該当欄にチェック、記入をし、添付シートに扶養義務者である親族の氏名と関係を書き、扶養照会して欲しくない個別の理由についてチェックと記入をしてください。
 最終的には、「扶養義務履行(=仕送り)が期待できない」のであれば、扶養照会しなくてもよいこととなっているので、その具体的事情を一番下の欄に書き込んで、1枚目とセットで福祉事務所に提出しましょう。


扶養照会に関する申出書(書式)
扶養照会に関する申出書添付シート(書式)




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2016(平成28)年5月18日


Q&A 震災と生活保護

【2016年 熊本地震版】


作成:生活保護問題対策全国会議


 生活に困ったとき、被災の現場で生活保護制度が活用されることを願って、震災と生活保護をめぐる主な論点について、改めて整理しました。
 このQ&Aは、引用・配布など、どうぞご自由にご活用ください。  
(2016年5月18日)

Q1(厚生労働省の主な通知)
 震災時の生活保護の取扱いについて、国は、どのような通知を出していますか?

A 国は、熊本地震においても東日本大震災時の取扱いに準じるとしています。

 厚生労働省は、東日本大震災のとき、生活保護の取扱いについて、次の3つの通知を出しています。
 ① 平成23年3月17日付け社会・援護局保護課長通知「東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて」(以下、「通知①」といいます)
 ② 平成23年3月29日付け社会・援護局保護課長通知「東北地方太平洋沖地震による被災者の生活保護の取扱いについて(その2)」(以下、「通知②」といいます)
 ③ 平成23年5月2日付け社会・援護局保護課長通知「東日本大震災による被災者の生活保護の取扱いについて(その3)」(以下、「通知③」といいます)

 そして、今般の熊本地震を受けて、厚生労働省は、平成28年4月27日付け社会・援護局保護課保護係長事務連絡「平成28年熊本地震による被災者の生活保護の取扱いについて」を出し、東日本大震災の際の上記3つの保護課長通知に「準じて取り扱う」としています。

厚生労働省HP
http://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000123912.html
上記通知類PDF
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10600000-Daijinkanboukouseikagakuka/0000123911.pdf



Q2(避難所等の避難先での生活保護受給)
 私は、今、避難所で生活しています。生活保護の申請に行ったら、炊き出し、配給等によって最低生活が確保されているし、居住地(被災地)と離れているからダメと言われました。避難所で生活保護は受けられないのでしょうか。

A そんなことはありません。避難所でも生活保護は受けられます。
 通知①は、「今般の地震により本来の居住地を一時的に離れて遠方に避難している場合、本来の居住地に帰来できない等被災者の特別な事情に配慮し、避難先の保護の実施機関が実施責任を負い現在地保護を行うものとすること。」とし、さらに「被災者の状況を十分配慮し、生活保護の申請意思が確認された場合においては、申請権の侵害がないよう留意の上、迅速に対応すること。」と注意が呼び掛けられています。
 通知②も、避難所で生活保護が受けられることを当然の前提としています。
 つまり、居住地を離れた避難所で避難している場合、避難所を管轄する役所で生活保護を受けることができます。



Q3(被災地に残した資料や資産)
 被災地から着のみ着のまま避難してきました。通帳など資産を証明する書類が手元に何もありませんし、地元に残した自動車や自宅がどうなっているかも分かりませんが、生活保護を受けることができますか。

A 資産を証明する書類がなくても生活保護を受けることができます。
 通知②も、「避難所において保護費を支給する場合、必要な保護費を遺漏なく支給すること。被災状況によっては、生活実態の把握が十分できない場合も考えられるが、被災者の特別な事情に配慮し、不足が生じることのないよう配慮すること」として、手持ち資料等が不十分で生活実態や財産状況が不明確であっても、まずは保護を適用すべきことを明確にしています。
 また、通知①は、「被災者が本来の居住地に資産を残さざるを得ない場合等については、被災者の特別な事情に配慮し、『生活保護法による保護の実施要領について』(略)第3の3に掲げる『処分することができないか、または著しく困難なもの』として取り扱うこととすること。」としており、被災地に処分困難な資産があっても生活保護は適用し得ることを明確にしています。
 ただし、被災地に残した自動車、不動産その他の資産について、後日、処分可能となって資産が現実化した場合には、生活保護法63条によって、それまで受給した保護費の費用返還義務を負う可能性がありますので、その点注意が必要です。



Q4(避難所で受け取れる生活保護費)
 避難所で生活保護を受ける場合、生活保護費はいくら受け取れますか。炊き出し等の実費分を差し引かれたりするのでしょうか。

A 炊き出し等の実費分を生活保護費から差し引かれることはありません。
 避難所等において災害救助法による「炊き出しその他による食品等の給与」等を受けていたとしても、これは緊急時の給与という性格で、被災による新たな需要のごく一部を補うものに過ぎないこと、実額の算出が事実上不可能であることなどから、収入認定すべきではありません。
 通知②が、「体育館・公民館等の避難所における最低生活費の算定に当たり、生活扶助は居宅基準を計上すること。ただし、避難所の代わりに旅館・ホテル等を借り上げた場合については、具体的な事例に即し、個別に判断すること」としているのは、上記と同一の見解に立ち、少なくとも,「体育館・公民館等の避難所」については、炊き出し等の食品等の給与を受けていても収入認定することなく居宅基準の生活扶助費を支給すべきとしているものです。
 なお、阪神淡路大震災の際にも避難所で供与された食品等についての収入認定は行われませんでした。



Q5(義援金その他の給付金と生活保護)
 震災後、生活保護を受給していますが、このたび、義援金を受け取りました。義援金は収入認定されて、その分保護費は減らされてしまうのでしょうか。
 日本財団や熊本市等の見舞金や、災害救助法等に基づく給付金の場合はどうでしょうか。

A 「自立更生計画書」を出すことで、生活用品、家具、家電等の生活基盤の回復に直接必要なものはもちろん、生業、教育、住家(建築・補修)、介護等当該世帯の自立更生に必要な費用は幅広く収入認定除外されます。

 本来、生活保護を受給している者が受領した義援金については、次官通知第8-3(3)アの「臨時的に恵与された慈善的性質を有する金銭」として、自立更生計画書の提出を要せず収入認定の対象にならないものと解すべきです。
 通知③は、次官通知第8-3(3)オの「臨時的に受ける補償金、保険金または見舞金」に該当し、「自立更生計画書」を提出することによって、「当該被保護世帯の自立更生のために当てられる額」については収入認定しないという立場ですが、以下のとおり、かなり柔軟な取扱いを指示しています。

1)第1次義援金等について
 まず、第1次義援金のように緊急的に支給される義援金等については、費目・金額を積み上げずに包括的に自立更生計画に計上すればよく、使途の確認も必要ないとしています。つまり、第1次義援金については、自立更生計画書を出しさえすれば、生活再建に関わる支出なら事実上自由に使うことができます。

2)その他の義援金等について
 その他の義援金等についても、自立更生計画書に、生活用品・家具、家電等の生活基盤の回復に直接必要なものはもちろん、生業、教育、住家(建築・補修)、介護等の当該世帯の自立更生に必要な費目と金額を明記すれば、収入認定除外されます。同通知は、「被災者の被災状況や意向を十分に配慮し、一律・機械的な取扱いとならないよう留意するとともに、(略)被災者の事務負担の軽減に努めること。」として、自立更生計画の内容や疎明の程度については柔軟かつ弾力的に対応することを求めています。
通知③に「自立更生計画書」の様式が示されていますので活用してください。

3)経費が計画を下回り余りが生じた場合について
 通知③は、実際の経費が計画を下回り残余が生じた場合についても、「計上額と購入額との差額分の範囲内で、別途、自立更生のために充てられる費用として認定して差し支えな」く、このような場合、差額分の使途を事前に報告するなどすれば、「自立更生計画を再度策定する必要はない」としています。
 つまり、事前に報告さえすれば、再度自立更生計画をつくらなくても、余った差額分を自立更生のために使うことが認められるのです。

4)その他の見舞金や災害救助法の給付金について
 熊本地震では、日本財団が「全壊」「大規模半壊」の世帯に20万円、熊本市が「全壊」の世帯に5万円、「半壊」の世帯に3万円の見舞金を支給するとしています。これらの金銭については、金額の規模と見舞金という性格から、上記1)の第1次義援金と同様に包括的記載で良いものと取り扱われるべきです。
 被災者生活再建支援法による支援金、災害弔慰金法による弔慰金等については、金額の規模が比較的大きいので、上記2)と同様に取り扱われることになると思われます。
 また、災害を受けたことにより臨時的に必要となる経費として社会福祉協議会から生活福祉資金を借りた場合や、災害弔慰金法に基づいて災害援護資金を借りた場合には、それらが自立更生に充てられるのであれば、貸付金は収入認定せず、また、その償還金は生活保護の収入認定にあたって収入から控除される取扱いになっています〔保護課長通知第8-11〕。つまり、その両方が認められれば、事実上給付を受けたのと同じ効果を持つこととなります。



Q6(被災者の自動車保有と生活保護)
 生活保護の申請に行きましたが、自動車は処分するように言われました。被災地の交通の便が悪く、今後の生活基盤の再建のためにも自動車は手放したくないのですが認められないのでしょうか。

A 行方不明の家族を捜す等の特別事情があれば自動車を処分せずに生活保護を受ける余地があります。

 生活保護受給者の自動車保有については、運用上厳しく制限されて来ましたが、2011年4月19日の参議院厚生労働委員会における川田龍平議員の質問に対して、清水美智夫厚生労働省社会・援護局長(当時)は、通知①に言及しながら、「行方不明のご家族をお捜しになるためであるとか、そういった特別な事情がある場合の自動車といったものはこの通知に該当しますので、処分されなくとも生活保護の適用というものが十分考えられると思ってございます。」と答弁しました。
 なお、生活保護受給者の自動車保有を厳しく制限する従来の通知の問題点については、日本弁護士連合会の2010年5月6日付「生活保護における生活用品としての自動車保有に関する意見書」(日弁連HPhttp://www.nichibenren.or.jp/activity/document/opinion/year/2010/100506.html)をご参照ください。
 


Q7(避難先との世帯認定)
 震災後、実家に避難して生活しているのですが、両親も年金暮らしで余裕がないため出ていきたいと思っています。生活保護申請に行くと、両親と同一世帯なので全体として保護の要否を判定すると言われました。私だけ生活保護を受けて出ていく方法はないのでしょうか。

A 避難が一時的であれば、避難者だけが生活保護を受けて転居先の敷金等の支給を受けることができます。

 この点、平成21年12月25日付厚生労働省社会・援護局保護課長通知「失業等により生活に困窮する方々への支援の留意事項について」は、「失業等により住居を失い、一時的に知人宅に身を寄せている方々から保護の申請がなされた場合には、一時的に同居していることをもって、知人と申請者を同一世帯として機械的に認定することは適当ではないので、申請者の生活状況等を聴取したうえ、適切な世帯認定を行うこと」としています。ここで書かれていることは、震災で住居を失った方にも当然にあてはまりますし、知人宅のみならず、生活保持義務関係(夫婦や親と未成熟子の関係)にない親族、きょうだい、親子宅であっても、一時的な避難先として居住している場合には、形式的に同一世帯と見ることなく、適切な世帯認定を行うべきです。
 そして、被災者の単身世帯として生活保護が開始された場合には、局長通知第7の4(1)カの「転居に際し、敷金等を必要とする場合」の解釈に関する課長通知第7の30の答12「住宅が確保できないため、親戚、知人宅等に一時的に寄宿していたものが転居する場合」に該当するものとして、転居先の敷金や引っ越し代等の支給を認めるよう申請するとよいでしょう。



Q8(避難先からの住宅の確保)
 避難所や仮設住宅から一般の民間賃貸住宅に転居する場合、新住居の敷金その他の転居費用を生活保護から支給してもらうことはできますか。

A 避難所や仮設住宅で生活保護の適用を受けると新住居の敷金等の転居費用を支給してもらえます。

 前出の課長通知第7の30の答6「宿所提供施設、無料低額宿泊所等を一時的な起居の場として利用している場合」または同8「火災等の災害により現住居が消滅し、又は居住に耐えない状態になったと認められる場合」に該当するものとして、敷金、保証金や引っ越し代等を支給してもらうことができます。



Q9(家具什器費、布団代、被服費)
 地震で住宅が全壊し、家財道具、布団、服等がほとんど使えなくなってしまいました。これらの費用を生活保護から支給してもらうことができますか。

A 家財道具、布団、衣服等の費用を保護費で支給してもらうことができます。

 局長通知第7の2では、「災害にあい、災害救助法が発動されない場合において、当該地方公共団体等の救護」もない場合には、炊事用具、食器等の家具什器費として27,800円(特別基準44,400円)の支給が認められます。しかし、2000年までは、「限度額を超えて費用を必要とする特別の事情があると認められ、都道府県知事が承認した場合」は7万円とされており、阪神淡路大震災の際には家具什器費として7万円まで認められていました。現在は特別基準設定の権限は厚生労働大臣にしかないことになっていますので、今回も同様の対応が強く求められます。
また、同様に「布団類」に18,800円、「平常着」や「学童服」に13,600円、おむつ代に20,100円なども支給が認められます。


7月1日から施行された「改正」生活保護法に関し、いろいろ懸念されている点について、簡単に解説したパンフレットを発行しています。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-210.html

生活保護「改正」法Q&Aパンフレット

このパンフレットを、当会で印刷業者に追加発注する予定ですが、刷り増しにあたって、各団体・個人の方からの印刷依頼をお請けしてまとめて印刷することにしました。
ぜひ、団体内や生活保護利用者への周知、相談活動などにお役立て下さい。なお、団体でなく、個人からの申込みも可能です。

なお、恐縮ですが、印刷協力金として費用のご負担(1口50部:1500円)をお願いしております。
改正法を口実にした水際作戦などを防止・対抗するためにも、なるべく多く印刷して、広げていきたいと思いますので、ご協力の程、よろしくお願いします!


 ※口数10口以上の場合は、費用のご相談に応じます。
 ※送料のご負担をお願いします。
 ※生活保護利用者のみの団体の方は、協力金は不要です。


申込みの方法
(1)ネットから申し込む 
   申込みフォーム→http://my.formman.com/form/pc/4yGeACW4HMu3isGg/
(2)FAXで申し込む
   ①申込み口数、②申込者名、③郵便番号、④住所、⑤連絡先を明記の上、072-970-2233までFAXをお送り下さい。
(3)メールで申しこむ
   メール(seihokaigi@hotmail.co.jp)にて①申込み口数、②申込者名、③郵便番号、④住所、⑤連絡先を、お送り下さい。
 

Q1 生活保護はどんな場合に利用できますか?

国が定めている「最低生活費(生活保護基準)」以下の収入しかなく、手持金や貯金などもわずかになり、生活に困窮している状況であれば誰でも生活保護制度を利用できます。最低生活費は、地域や年齢で細かく決められています。神戸公務員ボランティアのウェブサイトで生活保護費の自動計算ソフト(エクセルファイル)がダウンロードできるので、ご自分の家庭の最低生活費を計算してみてください。http://kobekoubora.life.coocan.jp/saiteiseikatuhikeisan.html

Q2 福祉事務所で保護を断られたらあきらめるしかありませんか?

不当に追い返されている可能性もあるので、あきらめる必要はありません。申請権があるので、申請書を出してもらい、「申請」しましょう。

Q3 申請はどこにするのですか?

住民票に関係なく、今あなたがいる場所の市役所などの生活保護担当部署(福祉事務所)に申請できます。外国籍の方の場合は、Q4をお読みください。

Q4 外国籍でも生活保護を利用することはできますか?

外国籍の場合は、①「永住者」・「定住者」・「永住者の配偶者等」・「日本人の配偶者等」のいずれかの在留資格を有する方、②「特別永住者」、③入管法による難民認定を受けた方であれば生活保護を利用できます(①~③に当てはまらない外国人で保護の対象とならないのか疑義のある事例は自治体から厚労省に個別に照会することとされていますので、相談窓口http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-154.htmlにご相談下さい。)。申請は在留カードまたは特別永住者証明書に記載された住居地を管轄する福祉事務所に行います。

Q5 申請して生活保護が開始されるまでどれ位かかりますか?

本来は申請のあった日から原則として14日以内に書面で通知されることになっていますが、実際には30日程かかることが多い状況です。また30日を過ぎれば却下されたとみなして不服申し立てもできます。

Q6 現金を持っていると生活保護は利用できないのですか?

現金や預金の合計がQ1の最低生活費以下であれば利用できます。ただし基準の半額を超える分は最初の保護費から差し引かれます。

Q7 収入があると生活保護は利用できませんか?

収入があっても最低生活費未満であれば最低生活費と収入の差額分が支給されます。保護を受けられるかどうかの判定の際には、医療費や介護費がかかる場合はその分もプラスして判定されます。

Q8 生命保険は解約しなくてはいけないのですか?

解約したときの払戻金がQ1の最低生活費のおおむね3ヶ月以下で、保険料が最低生活費の1割程度以下であれば解約しなくても良いことになっています。貯蓄性の高い保険などについては解約して払戻金を生活費に当てることを求められます。

Q9 学資保険を続けることはできますか?

解約返戻金が50万円以下である場合は続けることができます。また生活保護を利用し始めた後で新たに加入することもできます。

Q10 野宿生活でも生活保護は利用できますか?

今いる場所の福祉事務所で申請できます。通常の生活費とは別に、アパート暮らしを始めるための敷金や生活用品代も受け取れます。

Q11 住む所がないと最初は施設に入るのですか?

本人の希望する場所で暮らすことができます。施設を断って最初からアパート暮らしを始めることもできます。

Q12 家賃が高いと生活保護は利用できないのですか?

支給される家賃額に上限がありますが利用できます。保護が始まったあとに低額な家賃の住居に転宅するように言われることがありますが、その場合は転居に必要な敷金等も支給されます。

Q13 持ち家があるのですが生活保護は利用できますか?

住むための家や活用している農地などは問題ありません。ただし資産価値が大きい土地や豪邸は処分して生活費に当てることを求められることがあります。

Q14 住宅ローンが残っていても大丈夫ですか?

原則として生活保護費で住宅ローンの支払いをすることはできません。例外的にローンの残金が少ない場合はローンの支払いを認められる事があります。住宅ローンが払えず家を手放さざるを得ない状態の場合も生活保護を利用できます。

Q15 借金がありますが生活保護は利用できますか?

利用できます。ただし、保護費から借金を返済することは望ましくありませんので、法律家に相談して任意整理や自己破産などで借金を整理しましょう。法律家の費用は分割で払う制度もあります。
※ 借金の整理については相談窓口http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-154.htmlにご相談ください。

Q16 自動車やバイクは持てないのですか?

自動車は保有も運転も原則として制限されているのが現状ですが、障害者の通院・通学に使う場合、山間僻地など自動車を使わずに通勤することが著しく困難な地域に住んでいる場合、保育所の送迎に使う場合、概ね1年以内に就労により生活保護から脱却することが見込まれる場合などには自動車を持ったまま生活保護を受けることができます。
総排気量125cc以下のオートバイ及び原動機付自転車については、自動車損害賠償保険及び任意保険に加入しており、最低生活維持に必要な場合は保有が認められることがあります。総排気量125ccを超えるオートバイは、自動車と同様の扱いとなります。

Q17 65歳未満だと生活保護は利用できないのですか?

年齢制限はありません。18歳~64歳は働ける年齢とされていますが働ける健康状態であっても、仕事を探しているのに就職できない場合や、働いていても収入が生活保護基準に満たない場合は誰でも生活保護を利用することが出来ます。

Q18 どうすれば本気で仕事を探していると認められますか?

求人情報誌や新聞の求人欄を見たり、ハローワークに行ったり、電話をしたり、面接に行ったりした日時や内容をメモに残して福祉事務所で確認してもらいましょう。

Q19 親族に連絡すると言われましたが、どういうことですか?

生活保護を申請すると福祉事務所は、親や兄弟に「○○さんが生活保護の申請をしましたが、経済的な援助ができますか?」と問い合わせをします。親や兄弟は出来る範囲で援助すれば良いことになっており、金銭的に余裕がない場合は自由に断ることができます。

Q20 親族に居場所を知られない方法はありますか?

虐待を受けたなどの場合は連絡しないように福祉事務所に伝えれば、居場所を知られないようにしてもらえます。

Q21 生活福祉資金貸付制度とはどんな制度ですか?

社会福祉協議会が、急にお金が必要になった場合や修学資金を一時的に貸してくれる制度です。返済しなくてはなりませんから、収入の見込みがはっきりしない場合は生活保護制度を利用するべきでしょう。なお住民票と連帯保証人が必要です。

Q22 生活保護が認められない場合はどうすれば良いですか?

もう一度申請することも不服審査請求をすることもできますのであきらめることはありません。福祉事務所で「生活保護申請の取下げ」をする様に言われる事がありますが応じる必要はありません。

Q23 生活保護は打ち切られることがありますか?

生活保護基準を上回る収入を継続して得られるようになれば生活保護は打ち切られます。また、働ける状態で求職活動をしない場合などは、文書による指導指示や弁明の機会の付与などの手続きを経て保護が打ち切られることがありますが、「〇月までに就職すること」など本人の努力だけでは実現できない指示は無効とされています。保護の打ち切り(停止・廃止)には都道府県知事に不服申し立てができます。

Q24 保護辞退届けにはどういう意味があるのですか?

生活保護の無理な打ち切りを隠すために、自分から生活保護はいらないと申し出たことにする「保護辞退届け」に署名・捺印をするように求められる事があります。辞退届を書く義務はありません。



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