2021年10月11日に発出した、「生活保護制度に関する公開質問状」に対し、本日時点で、自民党、立憲民主党、社民党、れいわ新選組、共産党、国民民主党より、以下のとおりの回答が寄せられました。
●公開質問状の内容の確認は、こちらをどうそ。
→
総選挙に際して、各政党に「生活保護制度改革に関する公開質問状」を出しました。
【具体的な質問事項】1 貧困率の改善
2-1 生活保護の捕捉率向上
2-2 水際作戦の根絶
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保
3-2 ケースワーカー業務の外部委託
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す
4-2 級地の見直し
4-3 夏季加算の創設
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化)
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に)
6-2 自動車保有要件の緩和
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障
【各党からの回答】※画像をクリックしてください
各党からの回答一覧(理由付)はこちら
自由民主党 回答書1 貧困率の改善 → その他
〔理由〕
我が国の相対的貧困率については、近年低下が続いていますが、こうした動きを維持するため、
・新型コロナウイルス感染症に伴う対応として、ひとり親家庭等への給付金の支給
・最低賃金の全国的な引上げ
・同一労働同一賃金など働き方改革に加え、就職氷河期世代を含む全ての方が働くことや社会参加することを促進できるよう、個々人の状況に応じた支援
といった取組を進めています。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → その他
〔理由〕
いわゆる生活保護の捕捉率については、保護申請がなされなければ、保有する資産や親族からの扶養の可否等についての調査、働いて収入を得る能力の把握等が困難であるため、正確に把握することは困難であると承知していますが、生活保護が必要な方にためらわず申請いただけるように制度の普及啓発を行っていくことや、生活困窮者自立支援制度との連携により困窮者を早期発見することが重要と考えています。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
保護が必要な方に対して、確実かつ速やかに保護を行うことが重要であり、生活保護の申請権を侵害しないことはもとより、侵害していると疑われるような行為自体も厳に慎むよう、自治体への周知徹底を行うなど、適切な運用が図られることが必要と考えています。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → その他
〔理由〕
生活保護制度は、最低生活の保障を行うとともに、生活保護受給者の自立の助長を行うことを目的としており、これを担うケースワーカーについて、生活保護の受給世帯に応じて適切な配置がなされることが重要です。
このため、社会福祉法で定める被保護世帯の標準数に応じたケースワーカーの人数の配置に必要な交付税措置が行われており、引き続き適切に配置されるよう、対応していく必要があると考えています。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → その他
〔理由〕
生活保護のケースワーク業務は、国民の権利に深く関係する業務であるとともに、業務に当たっては高度な専門性が求められるものであり、生活保護受給者の生活に深く関わり、公権力の行使に当たる業務については、自治体職員が行うことが必要と考えます。
他方、ケースワーカーが真に必要な業務に重点化できるよう、ケースワーカーの業務負担軽減は重要な課題と考えています。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → 思わない
〔理由〕
これまでの生活保護基準の見直しは、厚生労働省において、生活保護基準と一般低所得世帯の消費実態との均衡が適切に図られているか否かを定期的に検証した上で、最低限度の生活を保障する観点から適正な水準となるように行ったものと承知しています。
4-2 級地の見直し → その他
〔理由〕
生活保護基準における級地制度については、令和3年6月25日から、社会保障審議会生活保護基準部会において議論が行われ、同年9月21日に、同部会において「生活保護基準における級地区分の検証に係る分析結果のまとめ」が取りまとめられ、専門的知見に基づく検証結果が示されたと承知しています。
今後、この検証結果を踏まえ、厚生労働省において、級地の在り方を検討していくものと承 知しています。
4-3 夏季加算の創設 → その他
〔理由〕
光熱費の経常的な生活需要が生活扶助本体に含まれていることを踏まえると、夏季加算の創設については慎重な検討が必要と考えています。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → 思わない
〔理由〕
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限度の生活を保障するものであり、世帯の収入と厚生労働大臣の定める基準で計算される最低生活費を比較して、収入が最低生活費に満たない部分について保護費を支給するという制度と承知しています。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → 思わない
〔理由〕
扶養照会を行うに当たり要保護者の同意を条件とすることについては、
・扶養の意思がある扶養義務者がいても、照会しなければその意思等を把握できないこと
・照会すれば扶養が行われ、要保護者の自立の助長の機会となりうるにもかかわらず、照会しないことで、その機会を奪う可能性があること
から、不適切であると考えています。
ただし、要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等において、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が「扶養義務履行が期待できない者」に該当するか否かという観点から検討を行うことについては、徹底すべきと考えます。
6-2 自動車保有要件の緩和 → その他
〔理由〕
障害者や公共交通機関の利用が著しく困難な地域に居住する者等が通勤、通院、通所及び通学のため必要とする場合には、一定の条件のもとに自動車の保有が容認されていると承知していますが、生活用品としての自動車は、単に日常生活の便利に用いられるのみであるならば地域の普及率の如何にかかわらず、自動車の保有を認める段階には至っていないと考えます。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → その他
〔理由〕
生活保護費を受給しながら、大学等に就学することについては、①一般世帯で高等学校卒業後に大学等に進学せずに就職する方等や、②アルバイトなどで自ら学費や生活費を賄いながら大学等に通う方とのバランスを考慮する必要があること等から、慎重に検討すべきと考えます。
立憲民主党 回答書1 貧困率の改善 → 思う
〔理由〕
相対的貧困率等の毎年の数値目標を設定すべきです。また、SDGs の国内外での達成に向けて、政策立案や政策評価に当たってはSDGs の17の目標と169 のターゲットを活用し、あらゆる政策にSDGs の視点を反映させるべきです。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → 思う
〔理由〕
貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件を分かり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず給付を受けない事態が放置されないように対応すべきです。また、生存権保障を強化する観点から、生活保護法のあり方を見直すべきです。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
生活保護が適正に運用され実施されるよう、体制整備、行政処分のチェック機能の強化と人材育成、権利擁護を強化すべきです。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → その他
〔理由〕
福祉事務所の実施体制について抜本的な見直しを行い、総合相談体制の強化と正しく法の解釈と運用がなされる環境を確保すべきです。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → その他
〔理由〕
貴会議のご意見を踏まえるとともに、福祉事務所の総合相談体制の強化、正しく法の解釈と運用がなされる環境の確保等の観点から、厚生労働省の結論を精査していく必要があると考えます。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → その他
〔理由〕
健康で文化的な最低限度の生活を保障できる生活保護基準を検討し、必要な措置を講じるべきです。
4-2 級地の見直し → 思う
〔理由〕
生活保護基準については専門的かつ客観的に評価・検証すべきであり、生活保護基準の見直しにつながる級地の見直しは専門家の審議会で検討されるべきであると考えます。
4-3 夏季加算の創設 → その他
〔理由〕
健康で文化的な最低限度の生活を保障する観点から、夏季加算の創設の是非について検討すべきであると考えます。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → その他
〔理由〕
就労インセンティブを損なわないようにするために、生活保護の収入認定や生活保護の各扶助を単独で支給することの是非等について検討すべきです。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → その他
〔理由〕
親族による扶養は生活保護の要件ではないことを運用面で周知徹底すべきです。
6-2 自動車保有要件の緩和 → その他
〔理由〕
生活必需品である自家用車の保有を認めることを運用面で周知徹底すべきです。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → 思う
〔理由〕
生活保護世帯の子どもの大学や専門学校への進学の妨げとなっている世帯分離の運用を改善し、生活保護を受けながら大学・専門学校等へ通うことができるようにすべきです。
社会民主党 回答書1 貧困率の改善 → 思う
〔理由〕
日本の相対的貧困率は先進国35カ国中7番目に高く、G7中では米国に次いでワースト2位です(OECD調査/2014年発表)。この間、低所得者層・貧困層が拡大してきたのは、雇用制度の劣化、脆弱な社会保障制度、福祉制度の削減、不公平な税制など、政府の誤った政策が原因です。すべての人が安心、安定して暮らせるために、貧困・格差を是正することこそ政治の責任であり、貧困率の改善は急務です。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → 思う
〔理由〕
生活保護は憲法25条の生存権が保障する権利です。捕捉率の低さは、権利がありながら、それを行使できない状況に置かれている人びとが7~8割もいるということです。最後のセーフティネットである生活保護制度がその機能を果たしていないことは非常に問題です。生活保護は非常にスティグマ(負の烙印)の強い制度あり、また申請をさせないよう誘導する自治体窓口の対応、親族照会、厳しい条件など問題が山積みです。それらを是正し、捕捉率を上げる必要があります。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
「水際作戦」は生存権の侵害です。申請書式を福祉事務所に備え置くこと、自治体は申請を回避してはならないことなど、国が通達などで指導をすべきであると考えます。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → 思う
〔理由〕
生活保護制度の実効性を高めるためにはケースワーカーの人員の増強、専門性の確保などが不可欠です。社会福祉法を見直し、ケースワーカーが担当する件数の基準設定、社会福祉士や精神保健福祉士の有資格者を中心に資質を確保することなどを検討し、改正していくべきだと考えます。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → 思わない
〔理由〕
生活保護受給者また申請者らは、単に経済的な問題のみならず、職場、家族、社会との関係、健康、障害、あるいは暴力被害など、様々な問題を複合的に抱えているケースがほとんどです。極めて私的な領域に関わることから、守秘義務など公務員法のもとにある職員が責任を持って担うべきです。人権擁護、業務の不正を防止するためにも、外部委託を可能とすることに反対です。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → 思う
〔理由〕
この間、社会保障費の削減を目的に生活保護基準が不当に引き下げられてきました。生存権の侵害であり、早急に2013年時点の水準に戻すべきです。
4-2 級地の見直し → 思う
〔理由〕
級地区分の統合は、生活保護利用数が多く、保護費の基準が高い都市部の保護費を圧縮することが狙いであり、容認できません。担当の社会保障審議会・生活保護基準部会で議論をすべきです。また国の責任で必要な予算を確保すべきです。
4-3 夏季加算の創設 → 思う
〔理由〕
近年の猛暑は、天気予報士が「命にかかわる危険な暑さです」と呼びかけるほどです。自宅における熱中症死亡者の数は増加しています。エアコンがなかったり、あっても電気代を節約して利用していない場合が多く、冷房費などに充てる夏季加算の創設が必要です。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → 思う
〔理由〕
住宅が確保できれば何とかなる、医療面の不安を優先的に解決しいなど、生活保護受給に至る前に、加算部分だけでも支給されれば暮らしが成り立つ人びとがたくさんいます。早い段階の支援は予防であり、生活困窮からの脱出を早めると考えます。従来の硬直した制度ではなく、単給を可能にしセーフティネットを何層も張る柔軟な制度に改善すべきです。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → 思う
〔理由〕
生活に困窮しているにもかかわらず、生活保護の申請をためらう大きな理由は親族への扶養照会です。困窮や障害などの問題を「本人のせい」「身内で面倒を見ろ」と個人や親族に責任を負わせる考え方は転換すべきです。社会的な支援を整え、自立生活を可能にすべきです。扶養照会は申請者の同意がある場合に限定し、厚労省は自治体にそのことを徹底すべきだと考えます。
6-2 自動車保有要件の緩和 → 思う
〔理由〕
今や自動車は富裕層の贅沢品ではなく、生活していくための移動手段として必要です。過疎化等で公共交通が衰退している地方においては必需品です。生活用品として保有を認めるべきです。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → 思う
〔理由〕
子どもが等しく教育を受ける権利を優先し、進学を保障すべきです。進学時に世帯分離とする扱いは止め、世帯内就学と就学等に必要な費用の収入認定除外を認めるべきです。
れいわ新選組 回答書1 貧困率の改善 → 思う
〔理由〕
相対的貧困率(OECD・2018年)では、日本は米国や韓国よりは下の13位ですが、ひとり親の相対的貧困率では逆に米韓を上回る全体第4位になっており、ひとり親貧困が深刻です。貧困とは生活に必要なものやサービスを買えない状態です。貧困率が改善すれば、日本全体にプラスになります。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → 思う
〔理由〕
生活保護の「濫給」は厳しくチェックするのに、「漏給」に対しては鈍感で、生活保護が必要な状態の人が行政に捕捉されずにいる現状が放置されてきたことは大いに問題です。憲法で定められた生存権保障が実現できているのかどうか、捕捉率の算定方法を研究協議し、定期的に調査・公表する仕組みをつくり、大幅に高める必要があります。
捕捉率の低さの背景には、生活保護利用を「恥」と言い切る政治家の発言や、「不正受給」キャンペーン、生活保護利用をためらわせる窓口の対応があります。このような生活保護に対するスティグマを払拭するため、他の社会保障制度同様、わかりやすい周知・広報をすることが必要です。また、窓口での「水際作戦」をなくすために相談・申請受付・調査・決定のプロセスにかかわる面接相談員、ケースワーカーの慢性的な人員不足を解消し、専門性のある職員を増員すること、生活保護利用は権利であることへ意識を変える必要があります。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
自治体の水側作戦を禁止し、他の社会保障制度のように、生活保護申請の手引きを窓口に置き、誰でも申請できるような環境をつくることが必要です。申請の意思表示をしているのに、書類が不備だとか住所がないとか理由を付けて申請を受け付けない言動は違法です。そもそも、生活に困って生活保護利用の相談に来た人への面接相談とは、相談者が抱えている問題の整理と解決に役立つ制度・施策の案内・助言であり、申請のための要件ではありません。申請の意思を確認することこそ必要なことです。申請を受け付けてもいないのに、保護の要否に関して、プライバシーにかかわることを調査・審査する権限はありません。こうした相談時点で門前払いをする事例が多いことが、生活保護に対するスティグマや捕捉率の低さにつながっていると考えます。申請受付自体には職員の恣意的判断は入るべきではありません。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → 思う
〔理由〕
90年代以降の長引く不況や非正規化が進行したことで、雇用保険・医療保険、年金などの社会保障施策から漏れる人が増大し、それにさらにコロナ禍が追い打ちをかけました。コロナ対策として様々な貸し付けや給付金が用意されましたが弥縫策に過ぎず、最後のセーフティネットとしての生活保護の役割はますます増大しています。
ケースワーカー1人当たりの担当世帯数数が大幅に増え、単なる経済的困窮だけでなく様々な複雑な背景をもった利用者が増え、業務量は質量ともに格段と増加しています。
ケースワーカーの担当する標準世帯数を見直し、人員を増加するとともに、他法他施策に精通し、生活保護の権利性をきちんと理解した専門職公務員として配置することが極めて重要と考えます。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → 思わない
〔理由〕
保護費の給付(経済保障)と自立支援(社会福祉援助)、不正受給の防止と罰則適用を、すべて一人のケースワーカーが担当する仕組みは、保護利用者へのパワハラの温床となり、ケースワークと保護費の支給決定業務を切り分ける必要があります。ただし、ケースワーク業務については、安易に民間委託を進めるのではなく、正規公務員であるケースワーカーの専門性を高めた上で業務過多にならないように、必要な人員を確保していきます。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → 思う
〔理由〕
安倍政権で実施された根拠のない生活扶助基準の引き下げを白紙に戻し、「健康で文化的な最低限度の生活」にふさわしい保護基準を新しく定めます。また、保護基準は厚生労働大臣が決めることとされていますが、その決定プロセスが開示されていません。老齢加算・母子加算が十分な議論もなく段階的に削減・廃止され、母子加算は民主党政権で復活しましたが、また引き下げが行われています。生活保護基準は、就学援助、住民税非課税限度額、最低賃金の基準にも連動し、国民生活安定の基礎であり、通常の事業予算以上にその決定プロセスに透明性が求められます。決定プロセスには利用者の意見を反映させる仕組みを新設します。
4-2 級地の見直し → 思う
〔理由〕
級地の見直しについては、枝番の廃止(統合)により、対象人口が多く、保護基準が高い枝番1の基準を相対的に押し下げ、市町村の級地指定を大幅に入れ替え、特に保護基準が高い都市部の市町村数を大きく削減するものとなるおそれが指摘されています。要するに国の財政支出を減らすために、全体を「底下げ」するものになる可能性があり、問題があると考えます。専門家の議論により見直すことで「底上げ」になるような改善策であれば歓迎します。
4-3 夏季加算の創設 → 思う
〔理由〕
地球温暖化の影響などにより、暖房よりも冷房の有無が生命にかかわる自体が熱中症の増加などにより懸念される。憲法の保障する生存権のためには夏季加算は不可欠です。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → 思う
〔理由〕
今の生活保護は、完全に生活が困窮・沈没してからしか使えない(所持金の保有は最低生活費の半額以下しか認められない)問題があり、何もかも失ってからでは、立ち直りに時間がかってしまいます。また、最低生活費以下かぎりぎりの収入で、生活保護を利用していない場合、突然の入院や子どもの進学、引っ越し等で生活が立ち行かなくなることもあります。単給化は日弁連も提案していますが、一部の扶助については最低生活費より少し上の収入で受けられるようにすることが重要です。基準は現行のままで単に単給にすると、最低生活費以下で生活する人が増えてしまうことが危惧されるからです。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → 思う
〔理由〕
照会は申請者の意思に基づいて行うべきですし、扶養照会に回答することが法的義務であることがごとき運用は改善するべきです。
一方で、通知を改正するだけでは、現行の生活保護法第4条(扶養義務の優先)は残ります。この場合、家族関係にトラウマを抱えている人にとって、相談場面で扶養できる親族がいるかどうか尋ねられることだけでストレスを感じ、相談にすら行けなくなることもあり得ます。
現在の家族関係・世帯構成を考慮しますと、明治以来の家族制度に基づく扶養義務自体を見直す必要があると考えます。そのため党では生活保護法第4条を改正し、18歳未満の子に対する扶養義務のみ優先にするべきと提案することを検討しています。
6-2 自動車保有要件の緩和 → 思う
〔理由〕
都市部はともかく地方では自動車がなければ買い物にも行けないし、生活保護から抜け出すための職探しにも支障が出ます。自動車の保有を認めない通知は即刻改正し、駐車場などの維持費用についても一定額までは扶助すべきです。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → 思う
〔理由〕
貧困家庭の子どもが大学進学できない要因の一つになっていると考えます。世帯分離をすれば保護費が減額される、ということになれば、家族全体の生活が苦しくなる。世帯内就学と必要費用の収入認定除外と認めるべきです。
日本共産党 回答書1 貧困率の改善 → 思う
〔理由〕
相対的貧困率以外にも、子どもの貧困率は13.5%でOECD加盟国平均を上回り、先進国でワーストレベルです。とくに、ひとり親家庭の貧困率は50.4%と断トツの高さとなっています。自公政権が長年とってきた弱肉強食と自己責任おしつけの新自由主義の政治のもとで、国民が痛めつけられてきたことが、貧困率にもあらわれています。
SDGsはすべての国に適用され、「人類の貧困の恐怖及び欠乏の専制から解き放ち…」と前文で述べている通り、17ある目標の1番目の課題が「貧困をなくすこと」です。日本でも政治の転換と一体に、貧困をなくすための具体的なとりくみをすすめていきます。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → 思う
〔理由〕
日本の生活保護の捕捉率は2~3割とあまりにも低く、多くの生活に困窮する人に手が差し伸べられていません。国として捕捉率を向上させる年次目標を設定し、生活保護法にも違反した行為や無法な指導をやめさせ、必要な人がきちんと保護を受けられるようにすべきです。
生活保護法を「生活保障」法に改め、権利性を明確にし、生存権保障にふさわしい制度に改革をすすめます。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
生活困窮者を自治体の窓口で追い返す、「水際作戦」の横行がコロナ禍のなかでも大問題となりました。「水際作戦」は違法行為です。各自治体の保護行政の状況を調査し、違法行為の根絶に向けた指導を強めることが必要です。
生活保護の申請権の不可侵を法律に明記し、申請の門前払いを絶対に許さない国の立場を明確にすべきです。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → 思う
〔理由〕
国の責任でケースワーカーを大幅に増員し、過重な担当件数を減らすなど待遇改善をはかるべきです。保護の申請者・受給者のなかには、生活困難や社会的孤立、さまざまな悲惨な体験から、精神的に追い込まるなど、緊急の対応が必要な人もいます。ケースワーカーの専門性を高め、生活困窮者にきめ細かな支援ができる体制を構築するべきです。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → 思わない
〔理由〕
生活保護のケースワーク業務には『保護の決定・実施』という『公権力の行使』を含むため、委託業者である非公務員が行うことは生活保護法で禁じています。委託によって自治体職員が委託先職員に直接の指揮命令する『偽装請負』などの違法・脱法行為の横行も危惧されます。
そもそもこの外部委託化は、パソナ会長の竹中平蔵氏が産業競争力会議で強く要望し、政府、自民党、民間派遣業界が一体となり、「公的サービスの市場化」の旗のもとですすめられてきました。
生存権保障は国民の基本的権利です。国が責任をもち地方自治体と力をあわせて運営すべき生活保護制度が、企業のもうけ口を広げるためのお墨付きを与える法の改悪など許されません。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → 思う
〔理由〕
2012年12月の総選挙で自民党は政権復帰しましたが、選挙公約は生活保護の給付水準の「10%引き下げ」でした。10%削減が先にありきで、厚労省は自民党に忖度し、引き下げる根拠にした物価などの数字を都合よく操作して、生活扶助費削減を強行しました。さらに2018年からは5%削減を実行しています。
10円20円を気にしながら必死で生活している生活保護利用者にとって、15%もの扶助費削減がどんなに厳しいものか、政権や国は利用者たちの怒りを受け止めるべきです。
生活保護費削減と生活扶助費を2013年の水準に復元し、物価上昇や生活実態を反映させながら、憲法に規定された生存権の保障にふさわしい水準に引き上げるべきです。
4-2 級地の見直し → 思う
〔理由〕
級地の統合によって、保護費を低い方の基準に合わせれば、生活保護予算を大幅に削減することになります。
級地は住民税の非課税限度額の基準にもなっており、級地の見直しは市民生活に大きな影響を与えるものです。社保審部会では、部会として枝番廃止の結論を出していないことの確認を求める意見や、生活保護利用世帯の生活実態を十分考慮するとの意見書への記述を追加するよう求める意見が相次ぎました。専門家による慎重な検討がおこなわれるべきであり、厚労省と自治体の密室調整で級地見直しを決めることは許されません。
4-3 夏季加算の創設 → 思う
〔理由〕
地球温暖化により、早い時期から気温が暑くなることが常態化しています。エアコンの電気代を気にして暑さに耐えている状況は、健康で文化的な生活とは言えません。ぜひ夏季加算を実現させるべきです。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → 思う
〔理由〕
単給を利用できれば、生活が楽になる、救われる生活困窮層は多数います。教育・住宅・医療・自立支援扶助を対象にし、最低生活費の1・3倍以下なら利用できるという日本弁護士連合会などの基準提案をもとに、早急に検討・具体化すべきです。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → 思う
〔理由〕
今年1月、日本共産党の小池晃書記局長が参院予算委員会において、田村憲久元厚労相は「扶養照会は義務ではない」との答弁を引き出しました。本来、申請者が「扶養請求権」を持っていて、扶養を求めるかどうかは申請者の意思で決まるものです。本人の意思を無視して親族に扶養照会の書類を送ることは適切ではなく、扶養照会を保護開始の条件とすることも間違いです。
厚生労働省は2月26日、運動におされて家庭内暴力や虐待がある場合は扶養照会を行わないよう各福祉事務所などに通知しました。しかし、それでは不十分であり、あくまでも申請者に意思を確認して同意を得られた上で扶養照会が行われるべきです。
6-2 自動車保有要件の緩和 → 思う
〔理由〕
全国青年司法書士協議会が今年の1月に実施した「全国一斉生活保護相談会」において、初めて生活に困窮する人の自動車保有についてのアンケートをおこないました。「自動車保有が生活保護申請をためらう大きな要因になっている。申請のハードルが上がり、生活保護を利用すべき人が利用できないでいる」ことが鮮明になったそうです。
公共交通機関が乏しく、稼働本数が減り、運賃も高騰しています。一部の大都市を除いて車がなければ生活が不便な地域だらけになっています。もはや処分の価値の乏しい車はぜいたく品とはいえず、生活の実態から保有を認めるべきです。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → 思う
〔理由〕
貧困の連鎖から抜け出すためにも、大学などの進学を保障し、世帯分離はやめて世帯内就学を認めるべきです。また、就学等に必要な費用の収入認定除外をおこない、学ぶ権利を保障すべきです。
国民民主党 回答書1 貧困率の改善 → 思う
〔理由〕
持続可能な世界を残すために、国際社会が2030 年を目標として取り組む国連の「持続可能な開発目標( SDGs )」を推進します。
2-1 生活保護の捕捉率向上 → 思う
〔理由〕
貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件をわかり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず、給付を受けない事態が放置されないように対応します。
2-2 水際作戦の根絶 → 思う
〔理由〕
貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。生活保護受給資格の要件をわかり易く提示し、要件を満たした場合は適切に受給資格を付与するとともに、受給資格があるにもかかわらず、給付を受けない事態が放置されないように対応します。
3-1 ケースワーカーの増員と専門性確保 → 思う
〔理由〕
真に支援が必要な人に、生活保護認定を行えるよう、体制の整備を検討します。
3-2 ケースワーカー業務の外部委託 → その他
〔理由〕
現状でも低い待遇の改善を図ることや専門的知識を持つ人材の増員が重要であり、真に支援が必要な人に、生活保護認定を行えるよう、体制の整備を検討します。
また、望まない孤独・孤立の対策とし相談ダイヤル「よりそいホットライン」の大幅拡充や、ソーシャルワーカーによる対面相談、社会とのつながりを持てるようにするための居場所づくりなど、個々の課題解決のためのサポート体制を強化します。
4 生活保護基準を2013年の段階に戻す → その他
〔理由〕
生活保護制度は、生活に困窮する方に対し、その困窮の程度に応じて必要な保護を行い、健康で文化的な最低限の生活を保障するものです。
そこで、そうした状況を踏まえ、人生において様々なリスクに直面する局面に際し、基礎的な所得を保障していくため、「給付と所得税減税」を組み合わせた「給付付き税額控除」を導入します。
さらにマイナンバーと銀行口座もひも付けし、スピーディーかつ確実な支援 に繋がるものと考えます。真に支援が必要な人に、生活保護認定を行えるよう、体制の整備を検討
します。
4-2 級地の見直し → 思う
4-3 夏季加算の創設 → 思う
〔理由〕
貧困が命に関わる危険な状態を招く事例も少なくありません。
気候変動や社会的な環境を踏まえ、制度の見直しについて検討する必要があると考えます。
5 一歩手前の困窮層への支援(一部扶助の単給化) → その他
〔理由〕
就労インセンティブを損なわないようにするために、生活保護の収入認定や生活保護の各扶助を単独で支給することの是非等について検討します。
6 利用しやすい生活保護制度に
6-1 扶養照会の原則廃止(申請者の同意を要件に) → 思う
〔理由〕
真に支援が必要な人に、生活保護認定を行えるよう、体制の整備が重要であり、また望まない孤独・孤立に苦しむ方々に対しては相談ダイヤル「よりそいホットライン」の大幅拡充や、ソーシャルワーカーによる対面相談、社会とのつながりを持てるようにするための居場所づくりなど、個々の課題解決のためのサポート体制を強化します。
一方で、不正受給を防止し、医療扶助に関する電子レセプ ト点検の強化や後発医薬品使用の促進など適正化を進めます。不正受給への罰則を強化します。
6-2 自動車保有要件の緩和 → 思う
〔理由〕
自動車は生活必需品であり、役所への各種申請、通院、ハローワークに行く際欠かせません。生活困窮者への自立に繋げていくためにも制度の運用に関して不断の見直しが必要と考えます。
6-3 生活保護世帯の子どもの大学等への進学保障 → 思う
〔理由〕
貧困による子どもの不登校、引きこもり、ひとり親家庭の生活困窮の状況、フリーターなどを含む非正規労働者の生活実態などについて、縦断調査を含め詳細な調査と分析を進めます。