チラシ(PDF)
130306アクションチラシ
























 生活保護基準引き下げを含む平成25年度予算案が、いよいよ国会での審議に入ろうとしています。2度の院内集会に引き続いて、〈STOP!生活保護基準引き下げ〉アクションでは、次のとおり、厚労省前抗議アクションと国会請願デモを企画しました。

 今度は、直接、国会の前で国に対して私たちの思いを届けませんか。

 働いてる人も、
 働けない人も、
 年金で暮らしてる人も、
 病気の人も、
 障害を持っている人も、
 生活保護を利用している人も、
 生活保護を利用していない人も、
 フツーに暮らしている人、みんなが困る”生活保護基準引き下げ”に、
 「ちょっと待った!」と一緒に声をあげませんか?  

    *   *   *


【当日の流れ】
 14:45  集合(厚労省前)

 15:00  厚労省前抗議アクション

 15:40 (西幸門へ移動・準備)

 16:00~ ”いのちの最終ラインを切り下げないで!”国会請願デモ(仮称)

 17:00~ 解散・休憩


 これでは足りない!という方は…。
 18:00~ 水曜夕暮れ官邸前 このまますすむと困っちゃうアクション


【3・6アクションについての問い合わせ】
 〒162-0814 東京都新宿区新小川町8-20 こもれび荘 もやい気付
 電話:090-6159-8787(稲葉)




報道関係者 各位

記者会見のお知らせ
「不正」とは言い難いケースが少なからず含まれる「不正受給」の実態について
―大阪における3つの事例から―


 近年、生活保護制度に対する市民の関心は急速に高まっています。そうした世論に応えるべく、大阪では全国に先駆けて不正受給を取り締まる適正化チームを設け、マニュアルの作成や、警察OBを配置するなどの対応を講じています。
 しかし、「不正受給」として取り扱われる事案の中には、制度上も道義上も「不正」とは言い難い物も含まれており、受給者の「モラル」を改善するというよりは、ケースワーカーの増員と専門性強化によって、問題を解消できるものが多数含まれています。
 そこで、このたび、大阪市に対して公開質問状を送り、「不正受給」の実情やそれに対する認識を問うことにいたしました。今回の会見では、その公開質問状とともに、天王寺区、鶴見区、八尾市の事案を紹介いたします。中には行政の側が非を認めて「不正受給」ではなくなったケースもあります
私たちは本当の意味で適正な生活保護行政を実現するために、冷静に「適正化」に向けた議論をするための土台を提供したいと考えております。ぜひともご参集ください。


【概要】
 日 時  3月4日(月)14時から(質疑応答を含め、1時間程度を予定)
   ※これに先立ち、13時50分に大阪市へ公開質問状を提出します。

 場 所  大阪市政記者クラブ

 共 催  生活保護問題対策全国会議・NPO法人POSSE京都支部

【会見内容】
1 事例報告
 ①居住実態が無いとして生活保護廃止が決定された後、撤回された事案
 ②高校生のアルバイト収入が未申告であったとして、法78条による
  費用徴収決定がなされた後、決定が取り消された事案
 ③高校生のアルバイト収入が未申告であったとして、法78条による
  費用徴収が予定されている事案

2 コメント
  小久保哲郎弁護士
  尾藤廣喜弁護士

3 今後の取り組み予定について

 ①公開質問状の回答があれば公表
 ②生活保護の「不正受給」事案に関するホットラインの開催(3月下旬予定)  



                     弁護団声明

本日、さいたま地方裁判所は、被告三郷市が、原告ら世帯を生活保護の窓口で繰り返し門前払いした上、弁護士の同行により、ようやく生活保護が開始になった後も、生活保護の利用を妨げる行為に出た事実を認定し、原告らの訴えをほぼ全面的に認め、被告三郷市に対し、537万円余りの損害賠償の支払を命じる判決を言い渡した。

本件は、世帯主が白血病に倒れ、生活に困窮した原告ら家族が、幾度となく生活保護の利用を求めて三郷市役所を訪れたが,三郷市が、これを申請と認めずに1年以上生活保護の利用を拒否し続けた上,保護開始決定後わずか3か月で,原告らを転居させて保護を打ち切ったというものである。この間、前途を悲観した原告ら家族は、一家心中の瀬戸際まで追い込まれた。

本件訴訟の開始にあたり、世帯主の妻は、原告の1人として次のような意見を述べた。「夫は白血病で、今も命に関わる重い病気と闘っています。そんな状態の夫が、この裁判の原告になることを決意したのは、生活保護の仕事をしている役所の方々が、この裁判を通して、苦しんでいる人たちに救いの手をさしのべる優しさを取り戻して欲しい、これからは、私たちと同じような辛い目に遭わせないで欲しい、と思っているからです。…是非、夫が生きている間に、…私たちの訴えを認めて下さい。」。残念ながら、世帯主は判決を待つことなく白血病で早世したが、この願いが本件訴訟の出発点であり、原告らが、生活保護に関する偏見が社会に蔓延している状況の中で、勇気を奮い起こして、この裁判の原告となることを決意した理由である。

本件のように、生活保護の窓口で申請さえ受け付けない、あるいは、生活保護開始後に理由なく保護から締め出すという違法な運用は、全国各地で横行している。本件は氷山の一角である。昨年1月には、札幌市白石区で、40代の姉妹が、3回に渡り生活保護の申請させてもらえず餓死し、また、2007年の本件訴訟提起の直前には、北九州市で生活保護を打ち切られた52歳の男性が「法律はかざりか」と書き残して餓死するなど、生活保護の利用から排除された結果、餓死・孤立死するという事件が後を絶たない状況にある。

本判決は、このように、各地に違法な運用が広がっている中で、①生活保護の申請を受ける窓口の運用について、身内からの援助を求めなければ生活保護を受けることができないなどと誤解を与える説明をして申請を妨げることは申請権を侵害する行為であると断じ、②生活保護開始後に都内への転居を勧めた上で、転居先の区に原告らの転居を通知せず、また、区内で生活保護の相談に行ってはいけないと述べたことは原告らの生活保護を受ける権利を侵害するものであるとして、生活保護行政の過ちを厳しく指摘したものであり、各地の生活保護行政のあり方に警鐘を鳴らし、誤った運用の是正につながるものとして、高く評価する。

当弁護団は、本判決を受けて、被告三郷市に対し、原告らに謝罪し、控訴権を放棄して判決に従い、原告らの被った損害を直ちに賠償するよう求めるとともに、以下の再発防止のための措置を講じるよう求める。
1 生活保護の相談にあたっては、生活保護制度について十分な説明を行い、保護申請意思を確認すること
2 申請意思が確認された市民には、速やかに申請書を渡すとともに、申請手続の助言を行うこと
3 申請意思の有無については、面接記録票にチェック項目を設けるなどの方法により確実に記録すること
4 申請書は、福祉事務所カウンターなどの市民が自由に手に取ることができる場所に常備すること

2013年2月20日

三郷生活保護国家賠償請求訴訟原告弁護団
団 長  中 山 福 二
 



なお、三郷生活保護裁判を支援する会から、三郷市に対して控訴しないように求める要請の呼びかけがされています。こちらにもぜひ、ご協力下さい。

三郷生活保護裁判さいたま地裁判決に対し、控訴しないことを求める要請書


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 先日、団体賛同をお願いした「『STOP!生活保護基準引き下げ』アクション/生活保護費を大幅削減する平成25年度予算案の撤回を求める緊急声明」について、以下のとおり、幅広い分野にわたって222団体より賛同をいただきました。 賛同団体の一覧はこちらから。
 ご賛同いただきました団体の皆さま、ありがとうございました。この場を借りて御礼申しあげます。



STOP!生活保護基準引き下げアクション
生活保護費を大幅削減する平成25年度予算案の撤回を求める緊急声明


第1 はじめに
 本年1月29日,政府は,2013(平成25)年度予算案で生活保護の生活扶助基準を3年間で総額670億円削減することを決めた。削減幅は平均6.5%(最大10%)で,この基準引き下げによって受給額が減る世帯は96%に上るという。現行生活保護法が制定された1950年以来,生活保護基準が引き下げられたのは,2003年度(0.9%減)と2004年度(0.2%)の2回だけであり,今回は前例のない大幅引き下げである。
併せて,政府は,就労支援の強化,医療費扶助の適正化など「生活保護制度の見直し」によって450億円を削減することを決めたと報じられている。
 しかし,一方において,20兆円規模の緊急経済対策を打ち出し,公共事業等による財政出動を行うとしながら,生活保護基準の引き下げによって生活保護利用者をはじめとする低所得者層に対して負担増(実質的な増税)を強いるのは,政策そのものが根本において矛盾している。著しく公平を欠き,国家による「弱い者イジメ」というほかない。のみならず,以下述べるとおり,提示された予算案(以下,単に「予算案」という。)の考え方そのものが著しく恣意的で大きな問題があり,到底容認できない。
そこで,私たちは,予算案の撤回を求めて本緊急声明を発表するものである。

第2 生活扶助基準の引き下げによる保護費削減について
1 突然持ち出された「デフレ論」の問題点
(1)明らかに生活保護基準部会の検証結果を逸脱している。

 予算案は,生活扶助基準の見直しによって3年間で総額670億円の削減を図るとしているが,そのうち580億円については「前回見直し(平成20年)以降の物価の動向勘案」によるものであり,「(社会保障審議会)生活保護基準部会における検証結果を踏まえ,年齢・世帯人員・地域差による影響調整」による削減は90億円にとどまっている。つまり,削減額の9割近くは,いわゆる「デフレ論」によるものである。
しかし,現在の保護基準決定方式である水準均衡方式は,もともと「当該年度に想定される一般国民の消費動向に対応するよう,毎年度の政府経済見通しの民間最終消費支出の伸びを基礎とする改定方式」(2003年12月16日生活保護制度の在り方に関する専門委員会「生活保護制度の在り方についての中間取りまとめ」)であり,物価の要素を排除して保護基準は決められてきた(ちなみに,民間最終消費支出の平成25年度見通しは,実質で1.6%増となっている。「平成25年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」平成25年1月28日閣議了解)。したがって,基準部会の報告について,物価を考慮に入れることは,これまでの保護基準設定方式である消費水準均衡方式を放棄するものであって,保護基準にかかる根本的かつ重大な方針変更である。少なくとも基準部会はもとより社会保障審議会等での審議,了解抜きにはできないはずである。
 ところで,基準部会報告書自体にもさまざまな問題はあるが,社会保障審議会の専門部会として,貧困問題に詳しい専門家が13回にわたって議論した結果をとりまとめたものであるから,生活保護基準を改定するにあたっては最も重視すべきものである。
 ましてや,「デフレ論」は上記のように保護基準設定方式から排除されている要素であり,当然一切言及していない。さらに「デフレ論」についても,基準部会が比較の対象とした第1十分位(下位10%)の消費水準はデフレの影響によって下がってきているのであり,そのうえにさらにデフレの影響を考慮するというのは,「デフレのダブルカウント」である。
いずれにせよ,基準部会報告書は,全くないがしろにされたわけであるが,それは何故であろうか。それは,基準部会の検証結果に従えば,高齢世帯については逆に第1十分位(下位10%)の消費水準よりも生活保護基準の方が低く生活保護基準を引き上げなければならないこととなって削減効果が乏しくなるからとしか考えられない。すなわち,生活扶助費1割カットを公約に掲げた自民党の意向に従い,大幅削減(削減幅最大10%)の結論を導くために「デフレ論」を持ち出してきたのである。
 今回の予算案は,基準部会の検証結果を明らかに逸脱しており,このような考え方に基づく引き下げが断行された場合には,裁判所においても,厚生労働大臣の裁量権の逸脱濫用として違法と判断される可能性が高い

(2)物価が高騰した2008(平成20)年を比較対象とすることの恣意性
 予算案は,「前回見直し(平成20年)以降の物価の動向を勘案」するとして,比較対象を平成20年の物価に置いている。しかし,別添の表1と図1に明らかなように2008年(平成20年)は,消費者物価指数(10大品目総合)が102.1と突出して高騰した年である。これは原油高の影響を受けた物価高である。
 しかも,その前年の2007年末にも今回同様,生活保護基準の引き下げが政治課題となったが,「目下の原油高が物価に与える動向を見極める必要がある」として生活保護基準の引き下げは見送られたのである。つまり,物価高を理由に生活保護基準の見直しは見送られたにもかかわらず,その年の高い物価を基準にして生活保護基準を引下げようというのであるから論理矛盾もはなはだしい。
 そもそも,「デフレ論」は「デフレで物価が下がっているのに生活保護基準は下がっていないから下げるべきだ」というものであるから,仮にこの理屈をとるのであれば比較対象とすべきは前回生活保護基準が下げられた2004(平成16)年の消費者物価指数のはずである。別添の表1のとおり,2004年の消費者物価指数(10大品目総合)は100.7であって,2011年,2012年のそれ(99.7)と比べると1ポイントしか下がっていない。
 2008年を比較対象としたのは,2.4ポイントという高い下落幅をもって大幅な基準引き下げの結論を得るためであって牽強付会の屁理屈以外の何物でもない。

(3)物価が大きく下がっているのは「ぜいたく品」であって,生活費や光熱費はむしろ上がっている
 図表







 上記の表に明らかなとおり,物価が大きく下落しているのは家具等(2004年から2012年に22.5ポイント下落)と教養娯楽(同前14.3ポイント下落。中でも電化製品等の耐久消費財の下落幅が大きい)であって,食料(同前2ポイント上昇),水道光熱費(同前14ポイント上昇),被服・履物(同前0.2ポイント上昇)などの生活費についてはむしろ上昇している。
別添の表2と図2~5のように,低所得者ほど家計の中で食費や光熱費が占める割合が高く,家具等や教養娯楽費については逆の傾向があることからすると,低所得者層の生活はむしろ厳しくなっているのが実態である。
だとすれば,仮に消費者物価指数を比較対象とするにしても,こうした傾向を考慮して,耐久消費財や教養娯楽費については除外又は比重を落とすなどするべきである。
そうすると,特に食費や水道光熱費が高騰し,低所得者層の消費生活が厳しくなっている中で,低所得者層全般の所得水準を押し下げる効果を持つ生活保護基準は引き下げるべきではないという,2007年の検証時と同様の結論になるのが当然であって,消費者物価指数を理由に保護基準を引下げるという結論になどなりようがない。
なお,既に2012年の消費者物価指数は発表されているにもかかわらず,何故か予算案は2011年の指数を比較対象としている。これは,2011年から2012年にかけて,家具等や教養娯楽費等の「ぜいたく品」の物価が下落し,食料,水道光熱費等の生活費が高騰するという傾向がより顕著になっていることによるのではないかと推察される。

2 子育て世帯への打撃が大きく「貧困の連鎖」が強化される
 予算案での生活扶助費の減少幅は,例えば,
  ①夫婦と子1人の世帯(都市部)で17.2万円から15.6万円に1.6万円減少
  ②夫婦と子2人の世帯(同上)で22.2万円から20.2万円に2万円減少
  ③母と子1人の世帯(同上)で15万円から14.1万円に0.9万円減少
となっており,子どもの数が多いほど大きく,子育て世帯に過酷な内容となっている。
生活保護世帯における「貧困の連鎖」がかねてから問題とされ,その解消のために生活支援戦略において学習支援の強化などの方策をとろうとする一方で,子育て世帯への現金支給を大幅に減額するというのは,明らかに矛盾している。こうした引き下げが実施されれば,生活保護世帯の子どもたちは,ますます厳しい状況に追い込まれ,生活保護世帯の子どもたちは長じて生活保護から脱却することができず,「貧困の連鎖」が強まることが必至である。
また,予算案では,20~40歳の単身者(都市部)については,7000円削減するとされているが,生活保護利用者にとって,7000円の減額は単身者なら1週間の生活費に相当するほどの極めて「大きな」金額である。ましてや,より費用のかかる多人数世帯で2万円にも及ぶ減額となれば,その暮らしへの影響は計り知れない。親が十分に働くことのできない事情や子どもの障害や病気の有無などに対して何ら考慮もなく,単に数字の比較だけで一律に引き下げを行えば,その先にどのような悲劇が待っているのか,過去に発生した餓死事件や心中事件を思えば火を見るよりも明らかである。段階的引き下げなどという小手先の激変緩和措置を行っても,現実の生活は確実に困窮度を増すものであり,徐々に慣らされれば生き抜けるというレベルの問題ではない。

3 生活保護利用者だけではない国民生活全般への打撃
(1)最低賃金,就学援助・地方税非課税・保険料減免等の基準も連動して下がり,低所得者層全般の収入減(負担増)となる

 言うまでもなく生活保護基準は,憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって,我が国における生存権保障の水準を決するナショナル・ミニマムである。生活保護基準が下がれば,最低賃金の引き上げ目標額が下がり,地域によっては最低賃金そのものが下がって,労働者(特に時給800円,850円で働いている低賃金労働者)の労働条件に大きな影響が及ぶ。
 また,生活保護基準は,地方税の非課税基準,介護保険の保険料・利用料や障害者自立支援法による利用料の減額基準,就学援助の給付対象基準など,福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準にも連動している。
 生活保護基準の引下げは,現に生活保護を利用している人の生活レベルを低下させるだけでなく,今や国民の多数を占めるに至っている低所得層の収入減(負担増)を招き,市民生活全体に大きな影響を与えるのである。
 低所得層には貯蓄する余裕がなく収入のほとんどを消費に回すため,低所得層の収入減少は消費の減少に直結する。そうすると,デフレを理由に生活保護基準を引き下げながら,さらなるデフレを招くという負のスパイラルに陥ることが明らかであって,経済政策としても愚策というほかない。


(2) 生活保護基準がナショナル・ミニマムである以上,他制度への波及を回避することは不可能である
 ここに来て,特に就学援助への連動に対する批判の声が強いことから,自民党は,こうした制度への波及が及ばないようにする旨言及し始めている。
 しかしながら,最も多くの人への影響があると思われる最低賃金との関係について言えば,改正最低賃金法9条3項において,地域別最低賃金を決定する場合には,労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう,生活保護に係る施策との整合性に配慮しなければならないこと(つまり,最低賃金は生活保護基準を上回るよう改善しなければならないこと)が明記されており,法改正をしない限り,最低賃金への波及効果を避けることはできない。また,地方税の非課税基準についても,法令によって,級地(地域)によって生活保護基準の1.0倍,0.9倍,0.8倍の金額を参酌して定めるべきことが明記されている(地方税法295条,同法施行令47条の3,同法施行規則9条の2の3)。
 さらに,最低生活費の計算等において生活保護基準を用いている永住帰国した中国残留邦人等への支援給付(4687世帯7230人)や,ハンセン病国家賠償訴訟で和解に応じ,国立ハンセン病療養所に入ったことのない患者の給与金(4世帯),療養所入所者とは別居している家族への生活援護費(33世帯35人)については,保護基準と連動して下がらざるを得ないことを厚生労働省自体が認めている(2013年02月1日毎日新聞朝刊)。
 田村厚生労働大臣などは,しきりに就学援助制度への波及を回避すると発言しているが,それは実際には実現不可能である。すなわち,2005年に生活保護に準じる程度に困窮している「準要保護者」についての国庫補助は廃止され,一般財源化(交付税措置)されたことによって,就学援助制度の実施は完全に地方自治体に委ねられている。そのため,就学援助制度の実施状況は地方自治体の財政状況によって相当のばらつきがあるのが実態である。国が,この国庫補助制度を復活させるのであればともかく,そのようなことはあり得ない。そうすると,国にできることは地方に「お願い」することだけであるが,平成25年度予算では,地方交付税についても2013億円(▲1.2%)削減されている中,財政状況の厳しい地方が「お願い」に応じることもあり得ない。参議院選後に生活保護基準が引き下げられた後に,「検討したが,やはり無理だった」とされることが目に見えている。現在,与党が言っていることは,他制度への波及が及ばないようにしてもらえると他制度の利用者に期待させることによって,批判を沈静化させるためのまやかしに過ぎない。
 いずれにせよ,先に述べたとおり,生活保護基準がわが国の生存権保障水準を画する岩盤(ナショナル・ミニマム)である以上,これを下げながら,連動する諸施策の水準のみを維持するということ自体が論理矛盾であって,諸施策への波及を回避することはできないのである。
 仮に,何らかの方法で当面の間,諸施策の波及効果を回避することが可能であり,それが実施されたとすれば,逆に何故そこまでして生活保護基準を下げることにこだわらなければならないのか理解に苦しむ。まさに,生活保護利用者に対する差別であり,「国家的イジメ」であると言うほかない。

第3 生活保護制度の見直しによる保護費削減について
 今回の予算案では,生活扶助基準の引き下げと併せて,就労支援の強化等の生活保護制度の見直しによって,450億円の保護費を削減するとしている。この問題点については,ほとんど報じられていないが,実は,生活扶助基準の引き下げと勝るとも劣らないほどの害悪の発生が予想される。
 生活保護基準の検証と並行して社会保障審議会に設置されていた生活困窮者の支援の在り方に関する特別部会は,本年1月25日,報告書をとりまとめた。同報告書の中には評価できる新たな取り組みに関する記載も少なくはないが,生活保護制度の見直しについては,3~6か月の期間を定めて集中的に就労支援(指導)を行い,希望の職種につけない者については地域や職種を変えて就職活動をすることや低額でもまず就労することを基本とすべきことが打ち出されている。
 この見直し案については,例えば,3か月経過しても希望の職に就職できない者に対して,本人が希望しない就職先が他地域にあるから転居して就職活動をするよう指導指示をし,これに従わないことを理由に指導指示違反で保護を廃止するような,形式的かつ厳格な運用がなされ得ることについて危惧が表明されてきていたが,上記のとおり,450億円の保護費削減という数値目標が設定されたことによって,厚生労働省や会計検査院による監査強化の中で,この危惧が現実のものとなる危険が飛躍的に高まっている。
かつて「厚生労働省の直轄地」「保護行政の優等生」と言われていた北九州市においては,2005年から2007年にかけて生活保護をめぐる餓死事件や自殺事件が連続して発生した。同市においては,保護費は年間300億円を上回らないようにするという数値目標を実現するために,「闇の北九州方式」と呼ばれる,各福祉事務所ごとにノルマを課して保護実施件数の総数管理を行った結果,こうした悲劇が頻発したのである。
450億円削減という数値目標は,稼働年齢層を生活保護の利用から排斥するという形で全国的に同様の悲劇を頻発させる危険が高く,到底容認できない。

                                       以 上
[添付資料]表1,図1/ 表2,図2~5

(注)
1) 基準部会報告書が第1十分位(下位10%)の消費水準と保護基準との比較を行っていることの問題点については,生活保護問題対策全国会議の下記声明等をご参照  本文に戻る
 ・2012(平成24)年11月14日「第11回社会保障審議会・生活保護基準部会を踏まえての緊急声明」http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-87.html
 ・2013(平成25)年1月16日「社会保障審議会第12回生活保護基準部会を踏まえての緊急声明」http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-95.html
2) 2013(平成25)年1月22日「子どもの貧困の連鎖を強め,市民生活全体に影響を与える生活保護基準の引き下げを行わないよう求める要請書」  本文に戻る
 http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-97.html
3) 2013(25)年1月25日日弁連
 「社会保障審議会生活保護基準部会の報告に基づく生活保護基準の引き下げに強く反対する会長声明」 本文に戻る
http://www.nichibenren.or.jp/activity/document/statement/year/2013/130125.html
4) 同報告書の問題点の詳細については,生活保護問題対策全国会議の下記意見書等をご参照。 本文に戻る
 ・2012年10月10日「「生活支援戦略」に関する厚生労働省案に対する意見書」
 http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-83.html
 ・2013年1月16日 社会保障審議会特別部会 藤田委員提出資料「報告書案についての意見
 http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r9852000002sr2w-att/2r9852000002sr5r.pdf

〈賛同団体〉
生活保護問題対策全国会議,社会福祉法人聖フランシスコ会,NPO法人多重債務による自死をなくす会コアセンター・コスモス,クオータ制の実現をめざす会ひろしま,全国借地借家人組合連合会,東京借地借家人組合連合会,NPO法人自立生活サポートセンター・もやい,ホームレス総合相談ネットワーク,ホームレス法的支援者交流会,特定非営利活動法人反貧困ネットワーク広島,きょうと夜まわりの会,生存権裁判を支援する全国連絡会,全日本民主医療機関連合会,近畿生活保護支援法律家ネットワーク,全国「餓死」「孤立死」問題調査団,反貧困ネットワーク大阪,北陸生活保護支援ネット福井,カトリック社会活動神戸センター,兵庫県精神障害者連絡会,首都圏生活保護支援法律家ネットワーク,全国クレジット・サラ金被害者連絡協議会,泉州・精神障害者倶楽部「青い鳥」,関西合同労働組合,オープンハンドまつやま,生活保護支援ネットワーク静岡,移住連貧困プロジェクト,全国クレジット・サラ金問題対策協議会,国民のための奨学金制度の拡充をめざし、無償教育をすすめる会,教育の機会均等を作る「奨学金」を考える連絡会(奨学金連絡会),首都圏なかまユニオン,怒っているぞ!障害者切りすて!ネットワーク関西,和歌山クレジット・サラ金問題対策協議会,反貧困ネットワークあいち,東海生活保護利用支援ネットワーク,反貧困ネットワーク信州,働く女性の全国センター,福岡クレジット・サラ金被害をなくす会,クレサラ被害をなくすネットワーク,大牟田しらぬひの会,特定非営利活動法人熊本クレ・サラ被害をなくす会,特定非営利活動法人大分クレジットサラ金被害者の会まなびの会,長崎あじさいの会,鹿児島くすのきの会,沖縄クレジット・サラ金被害をなくす会,レインボーの会,障害者(児)を守る全大阪連絡協議会,特定非営利法人愛知かきつばたの会,特定非営利法人西濃れんげの会,三重はなしょうぶの会,静岡ふじみの会,反貧困ネットワーク京都,一般社団法人自由と生存の家,山梨県大月生活と健康を守る会,障害者の生活と権利を守る全国連絡協議会(障全協),全国労働組合総連合,笹島診療所,生活保障ボランティアの会,平和憲法を守る荒川の会,アルバイト・派遣・パート関西労働組合神戸事務所,寿日雇労働者組合,寿炊き出しの会,神奈川県全県夜回り・パトロール交流会,日本基督教団神奈川教区寿地区センター,寿越冬実行委員会,ぎふ反貧困ネットワーク,ぎふ派遣労働者サポートセンター・結,夜まわり三鷹,生存権裁判を支援する全国連絡会,全国生活と健康を守る会連合会,特定非営利法人ろばと野草の会,新潟生存権裁判弁護団,金沢夜回りの会,行政の生活再建の充実を求める全国会議,生活保護支援九州ネットワーク,大阪クレジット・サラ金被害者の会(いちょうの会),尼崎あすひらく会,京都平安の会,和歌山あざみの会,生活困窮者連絡協議会,怒っているぞ!障害者切すて!全国ネットワーク,派遣労働ネットワーク関西,全国追い出し屋対策会議,NPO法人くまもと支援の会,全国公的扶助研究会,日本バプテスト連盟ホームレス支援特別委員会,特定非営利法人生活相談サポートセンター,NPO法人かごしまホームレス生活者支えあう会,堅川救援会,NPO法人エスエスエス,東北生活保護利用支援ネットワーク,にいがた青年ユニオン,NPO法人さんきゅうハウス,野宿者のための静岡パトロール,神戸公務員ボランティア,渋谷・野宿者の生存と生活をかちとる自由連合(のじれん),成城墨岡地域援助心理研究所,有限会社おとくに福祉研究所,日本労働者共同組合(ワーカーズコープ)連合会,全大阪生活と健康を守る会連合会,全医労京都地区協議会,SIESTA(シエスタ),港生活と健康を守る会,岸和田生活と健康を守る会,全国福祉保育労働組合,全国生活保護裁判支援連絡会,RC-NET(レイプクライシス・ネットワーク),カミイカナイト!!!,子どもの人権を考える会,子ども達の平和・人権・教育を考える会,此花生活と健康を守る会,航思社,DPI日本会議,自由労働者連合,市民の意見30の会・東京,蕗の会職員組合,反貧困みやぎネットワーク,一般社団法人クレオソーレ,嘉飯山地区精神障害者家族会いずみ会,八尾生活と健康を守る会,フリーターユニオン福岡,京都生協の働く仲間の会,首都圏青年ユニオン青年非正規労働センター,高知クレジット・サラ金問題対策協議会,こうち包摂ネットワーク「よりそいびと」,ビデオ工房AKAME,反貧困ネットワーク,カラカサン~移住女性のためのエンパワメントセンター,首都圏青年ユニオン,障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連),反貧困たすけあいネットワーク,千葉青年ユニオン,松原生活と健康を守る会,障害者生活支援センターぐっどらいふ,特定非営利活動法人ジョイフルさつき,生存権裁判を支える愛媛の会,熊本県民主医療機関連合会,フリーター全般労働組合,歯科保健研究会,釜ヶ崎講座,きょうされん大阪支部,埼玉県民主医療機関連合会,高知県商工団体連合会,NPO法人神戸の冬を支える会,高知県商工団体連合会共済会,高知県商工団体婦人部協議会,高知クレジット・サラ金問題対策協議会,よつかいどう市民ネットワーク,三多摩自由労働者組合,石川県社会保障推進協議会,貧困ビジネス対策全国連絡会,堺こころのピアズ,反貧困ネットワーク栃木,市民ネットワーク・市川,アジア女性資料センター,政治的ミニスカ党,コモン・プラス,カワセミの会,市民ネットワークちば,関西非正規等労働組合(ユニオンぼちぼち),社団法人日本精神保健福祉士協会,「なくそう!子どもの貧困」全国ネットワーク世話人会,ゆにおん同愛会,一般社団法人発達・精神サポートネットワーク,発達障害の学びと交流会,NPO法人POSSE,ホームレス支援と貧困問題を考えるこうちの会(こうちネットホップ),神奈川労働相談ネットワーク,東京災害支援ネット(とすねっと),精神障害者地域生活支援とうきょう会議,山谷労働者福祉会館活動委員会,時をみつめる会,全国「精神病」者集団,市民ネットワーク千葉県,企業組合あうん,フードバンク,隅田川医療相談会,薪の会,ハンセン病首都圏市民の会,非正規労働者の権利実現全国会議,高知県医療労働組合連合会,日本自立生活センター,高知県青年司法書士協議会,日本アルコール関連問題ソーシャルワーカー協会,大阪ダルクアソシエーション,被災地障がい者センターみやぎ,被災地障がい者センター石巻,市民ネットワーク・ふなばし,全国青年司法書士協議会,かりん燈-万人の所得保障を目指す介助者の会,市民ネットワークちば・中央,精神障害者家族会新宿フレンズ,なかまユニオン,特定非営利活動法人大阪医療ソーシャルワーカー協会,日本高齢者生活共同組合連合会,あいち社保協,NPO法人労働と人権サポートセンター・大阪,四国生活保護支援法律家ネットワーク,青森生存権裁判を支援する会,特定非営利活動法人日本障害者センター,全国肢体障害者団体連絡協議会,一般社団法人全日本視覚障害者協議会,障害者の生活と権利を守る千葉県連絡協議会,障害者と家族の生活と権利を守る都民連絡会,障害児者の生活と権利を守る神奈川県連絡協議会,愛知県障害者(児)の生活と権利を守る連絡協議会,障害者と家族のくらしと権利を守る広島連絡会,障害者の生活と権利を守る福岡県連絡協議会,愛知肢体障害者こぶしの会,愛知肢体障害者こぶしの会名古屋支部,障害者とともに歩む麦の会,大阪肢体障害者団体連絡協議会,肢体障害者二次障害検討会,広島肢体障害者の会,福岡肢体障害者の会,神奈川視覚障害者の生活と権利を守る会,福岡県視覚障害者友好協会,北陸生活保護支援ネットワーク石川,高知県民主医療機関連合会,全日本教職員組合,日本高等学校教職員組合,びわ湖あおぞら会,NPO法人女性ネットSaya-Saya,京都健康よろずプラザ(計222団体)




チラシのダウンロードはこちらから




緊急院内集会 第2弾
「生活保護の引き下げに正義はあるのか!?」


 政府は、1月29日、生活保護費を6.5%大幅削減する平成25年度予算案を取りまとめました。この案は、生活保護基準を「10%カット(最大)」という結論を導くために、専門家による社会保障審議会の生活保護基準部会の報告書では触れてさえいない「デフレ論」を持ち出した極めて恣意的なものです。
また、政府は、批判の高まりを受けて、就学援助等の他制度への波及を回避するといい始めています。しかし、生活保護基準がナショナル・ミニマムである以上、そのようなことができるはずがなく、批判をかわすための「まやかし」に過ぎません。
はたして、このような生活保護の引き下げが許されるのでしょうか。

 影響をうける当事者の方々の声を聞きながら、一緒に考えませんか。



開催概要
【日 時】 2013年2月19日(火)12:00~13:30

【場 所】 衆議院第1議員会館 多目的ホール

【プログラム】
 ■ 基調報告 「平成25年度予算案の問題点」 小久保 哲郎(弁護士)
        
 ■ 特別報告 「就学援助から見た子どもの世界に広がる格差と貧困」
         青砥 恭さん
         (NPO法人さいたまユースサポートネット代表・明治大学講師)

 ■ 影響をうける当事者の方々の声

【司会進行】雨宮処凛(作家)
      稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい)


一般参加の方へ・おことわりとお願い
 ・一般参加の方は11:45から上記1階ロビーで通行証を配布します。
 ・定員は300名です。用意した通行証がなくなった場合、中に入れません。
 ・多くの方に参加していただくため、会場は椅子席のみとさせていただきます。
 ・おそれいりますが、あらかじめ、ご了承下さい。運営にご協力願います。


【主催】「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション http://nationalminimum.xrea.jp/







いのちの最終ラインをまもろう。      *

生活保護費削減のH25年度予算案撤回を求める
緊急記者会見等のお知らせ


*               「STOP!生活保護基準引き下げ」アクション


マスコミ 各位
                        
 政府は、生活保護費を6.5%大幅削減する平成25年度予算案を取りまとめました。この案は、最大10%カットの結論を導くために、基準部会報告書が触れてさえいない「デフレ論」を持ち出した極めて恣意的なものです。
 また、政府は、批判の高まりを受けて、就学援助等の他制度への波及を回避すると言い始めていますが、生活保護基準がナショナル・ミニマムである以上、そのようなことができるはずがありません。
 ついては、下記のとおり、記者会見と署名(1月22日の提出後に集まった分)の提出を予定しておりますので、是非、ご参集いただけると幸甚に存じます。
 

1 記者会見
  【日 時】 2013年2月13日(水)13時~
  【場 所】 厚生労働記者会
  【内 容】 1 生活保護費を大幅削減するH25年度予算案撤回を求める緊急声明の発表
        2 当事者・支援者の声
  【発言者】
    ○ 稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事) 
    ○ 尾藤廣喜(弁護士)
    ○ 基準引き下げにより影響を受ける当事者の方    ほか


2 厚生労働大臣宛署名(追加分)の提出
  【日 時】上記会見終了後
  【場 所】厚生労働省保護課

   ※ 面談のうえ提出する場の設定をお願いしておりましたが、課員対応含め
    一切できないとのことでした。
     署名の受取を拒否する趣旨ではないとのことでしたので直接持参させて
    いただきます。



賛同団体の募集は終了いたしました。
最終的に222団体より賛同をいただきました。ご協力に御礼申し上げます。
なお、緊急声明の提出版は賛同団体222団体の連名による「生活保護費を大幅削減する平成25年度予算案の撤回を求める緊急声明」のページをご覧下さい。



当会では「STOP!生活保護基準引き下げ」アクションとして、以下のとおりの共同声明を2月13日発表する予定です。
これに賛同連名してくださる団体を募集します。


以下の点について、ご了承ください。
※ 「団体」賛同のみ募集しており,「個人」の賛同については集約・発表いたしません。
(個人の方は、署名にご協力下さい→署名ページ
※ 現時点における「案」であり、2月13日の正式発表までの間に修文される可能性があります。
※ ご意見があればお寄せ頂ければと思いますが、修文内容はご一任いただきますよう、お願い致します。




本論稿は、賃金と社会保障編集部および執筆者より許可を得て、当会ブログに転載したものです。
転載にあたり、漢数字をアラビア数字にするなど一定の変改をしております。
 →賃金と社会保障の掲載記事のPDFファイル



賃金と社会保障 №1573(2012年11月上旬号)
特集2 生活保護改革への意見



消費者物価指数と生活保護基準
        デフレを理由に生活保護基準を引き下げてよいのか
         

 筑紫女学園大学人間科学部教授     池田 和彦 氏(当会会員)



目 次
 はじめに jump
 1 生活保護制度見直し論と生活保護基準 jump
 2 消費者物価指数と生活保護基準 jump
 3 生活保護基準引き下げの狙いと影響 jump
 おわりに jump


はじめに
 2008年のリーマンショック以降、生活保護受給者はいっそう増加し、2012年6月現在、被保護者は211万5477人、被保護世帯も154万2784世帯を数えるに至った。また、世帯類型上「その他の世帯(1)」が急増していることも指摘されており、それがそのまま稼働能力を有する世帯の急増に等値されることによって、働けるのに働こうとせず生活保護に依存して暮らす稼働年齢層が多いとの誤ったイメージ(2)も拡散されている。さらには、本年4月、芸能人の母親が生活保護を受給していたと週刊誌が報道したことに端を発する常軌を逸した生活保護バッシング(3)とも重なり合いながら、不正受給が後を絶たないといったイメージもマスコミ報道等を通じて広められている(4)
 そして、マスコミを総動員しての生活保護バッシングを最大限に利用しつつ、生活保護制度の見直しに向けた各種の論点が提示され、具体的な提言がなされていることも周知の通りである。
 本稿では、それら論点のうち生活保護基準引き下げを要請する議論、とりわけデフレによる物価下落をその根拠としているものを取り上げ、批判的検討を加えることに課題を限定しておきたい(5)


1 生活保護制度見直し論と生活保護基準
 生活保護基準引き下げについては、2007年にも政策課題として取り上げられ、厚生労働省社会・援護局長の下に「生活扶助基準に関する検討会」が設置された。異例のスピードで立て続けに5回開催された会議の結論は、「全国消費実態調査」をもとに、低所得世帯の生活扶助相当支出額と生活扶助基準を比較し、後者が高い場合があることを「専門的、かつ、客観的に評価・検証」したというものであった。これにより、翌年度からの生活保護基準引き下げが懸念されたが、反対運動の抵抗を受けた厚生労働省は基準改定を先送りせざるを得なかった(6)
 そして今般、2011年2月10日、社会保障審議会に生活保護基準部会が設置され、4月19日には第1回会合が開催される運びとなったのである。同部会は、本年10月5日、5月8日以来となる第10回会合を開催し、この年末を目途に結論をまとめることが予定されている。
 本稿においては、この部会での議論を検討する紙幅はないため、こうした状況のなか提起されている典型的な生活保護基準削減論を取り上げ、検討を行うこととしたい。
 本年4月9日、自由民主党(以下「自民党」)は生活保護制度に関する政策を発表した(7)The jimin NEWS No160 へリンク
 その冒頭に置かれた項目は「生活保護給付水準の10%引き下げ」であり、そこには、「東京都の生活保護費は、標準3人世帯で約24万円(月額)となってい」る1方「最低賃金で働いた場合の月収は約13万円ほどであり、国民年金は満額で6万5541円というのが実情」である、「こうした勤労者の賃金水準や年金とのバランスに配慮して、生活保護給付水準を10%引き下げ」ると宣言されている。
 また、この政策の前提をなす「自民党は、自助・自立を基本に生活保護を見直し、制度の信頼を取り戻」すとの政治的立場から民主党の政策を批判して、「国民を自立させるのではなく、『公助』を前面に出して『誰でも助ける』という」「社会保障の考え方」を採った「民主党政権になって、生活保護制度に対する国民の不公平感・不信感が高まって」おり、財政面でも、「生活保護世帯が増加し、生活保護費は、既に3・7兆円に急増。この3年間で8000億円も膨らん」だのだと指摘している。
 そして、「自民党の社会保障政策は、まず自助・自立が基本で」あり、「個々人が国に支えてもらうのではなく、額に汗して働く人が報われる社会を目指してい」る、そのため「生活保護政策についても、自助・自立を基本に共助・公助を付加するという視点から、生活保護の見直しを実現」し、「生活保護を最後の安全網として真に必要な人に行きわたる制度として機能させ、国民の信頼を取り戻」すと主張されているのである。
 「額に汗して働く人が報われる社会」、「真に必要な人に行きわたる制度」など、おなじみの文言が並んでいるが、これらは次のように翻訳して理解する必要がある。すなわち、「不安定雇用労働者が『額に汗して』低賃金・長時間過密労働に従事しているのだから、生活保護制度から『真に必要な人』以外を徹底的に排除することをもって不安定雇用労働者層に組み込みつつ、『真に必要な人』に給付する生活保護費についても10%カットして、低賃金で働く労働者の不満を逸らすことが政治的に得策である」と。
 これでいったい誰が「報われる社会」が実現されるというのであろうか。


2 消費者物価指数と生活保護基準
 それでも昨今、一部の研究者からも、物価が下落しているのだから生活保護基準は引き下げるべきであるとの提言がなされることがある。
 鈴木亘は、自民党政策調査会・生活保護に関するプロジェクトチーム勉強会(2012年3月15日、自民党本部で開催)において、「生活保護の現状・問題点と今後の在り方について」と題する講演を行い、「デフレ下、賃金が減少する中で、10年以上もまったく保護費が減らないために、相対的に不公平感・労働意欲減」といった問題が起こっており、「保護費は、まずある程度のカットの必要あり。少なくとも10年間のデフレ分はすぐにカット」すべきであると述べている。
 その理由については、同勉強会で講演したことを報告する鈴木本人のブログ(8)において、次のように説明されている。長くなるが引いておきたい

 「生活保護予算のカットというと如何にも非道なことをするような印象を持たれてしまうが、デフレがずっと続く中で、生活保護費の名目金額が10年以上変わらない状況が続いている。物の値段が下がる中で、生活保護費が変わらないということは、買える物の量が増えるということである。これは不公平である。もし、10年前の生活保護費が正しい最低生活費であったならば、現在の金額は明らかに最低生活費の定義とは矛盾していることになる。」

 「もちろん、水準均衡という考え方からは、一般労働者の賃金は減少を続けているのだから、それに合わせてデフレよりももっと生活保護費を下げるべきという理屈もあるが、これは議論の余地のあることである。」

 「年金の特例水準も3年かけて引き下げてデフレに対応することになったのだから、私は生活保護費も少なくともデフレ分はカットする余地があると思う。もちろん、激変緩和で3年ぐらい時間をかけてやるのがよいと思うし、老齢加算がなくなった分だけ、高齢者の保護費引き下げは今回は緩和すべきと思う。一方で、母子加算は復活したのだから、母子家庭にはその分の対応があってよいだろう。」

 「いずれにせよ、民主党野田政権は、自民党が生活保護費のカットというこれまでの『不人気政策』に乗り出したことの意味をよく考えるべきだ。デフレが続き、賃金減少・失業が続く中で、国民の少なくない割合が現在の生活保護制度に強い不公平、不満を感じていることの反映なのである。勉強会には、大物も含めて議員やその秘書が100人ぐらい集まっていたが、選挙区でそのような声が上がっているからこその人数なのだと思われる。」

 あくまでもブログに記載された文章であって、学術論文からの引用ではない。その意味では、鈴木にとってあるいは不服であるかもしれないが、しかし、考えてもいないことを記載したわけでは無論あるまい。鈴木は10%という数字は出していないし、そこまで大きな下げ幅を想定してはいないのかもしれない。だが、デフレによる物価の下落状況における賃金減少・失業とのバランスを図るために、割合はともかく生活保護基準をカットすべきであると主張していることは間違いないであろう。
 論ずるべき点は多いが、以下、デフレによる物価の下落を根拠に生活保護基準を引き下げることの妥当性について検討することとしたい(9)
 物価が下落しているという一般的なイメージがあるとしても(鈴木とは異なり、筆者には10年前と比べて同額で多くの商品を購入できるようになったという実感もないが)、生活必需品から嗜好品等まであらゆる商品価格が一律に下落しているわけではない。厚生労働省の解釈によれば現状では最低生活を保障するものではないとされる年金はひとまず置くとしても(10)、最低生活を最終的に保障する生活保護基準引き下げの根拠を、はたしてそこに求め得るだろうか
 総務省が公表している「消費者物価指数(11)」によると(以下、下の表「消費者物価指数 年平均の推移」参照)、




消費者物価指数年平均推移 ※クリックするとPDFファイルがダウンロードできます。

2010年を100とした場合、2011年の総合指数は99・7と、0・3%の下落がみられた(そのため2012年度の年金額は0・3%カットされた)。「10年間のデフレ分はすぐにカット」という鈴木に倣って2002年の101・0と比較しても、少なくとも自民党が主張する10%生活保護基準引き下げの根拠になるほど物価が大幅に下落しているとは言えない(変化率1・3ポイント下落)(12)
 しかも、あらゆる商品等の物価が均一に変動するわけではない。たとえば、教養娯楽用耐久財の下落幅はかなり大きく、2010年と2011年の1年間でも、テレビ30・9%、ビデオレコーダー40・0%、パソコンはデスクトップ型が39・9%、ノート型で24・0%、カメラ28・0%の下落となっている。その反面、衣食住に要する費用は、同じ1年間で、食料が0・4%、住居が0・2%、被服及び履物は0・3%とその下落幅はきわめて小さく、そればかりか衣食住に並んで日常生活に欠かせない光熱・水道は3・3%、交通・通信では1・2%物価が上昇してさえいるのである。
 2011年と2002年との比較では、食料97・0→99・6(変化率2・7ポイント上昇)、住居101・0→99・8(同1・2ポイント下落)、被服及び履物101・6→99・7(同1・9ポイント下落)、光熱・水道94・1→103・3(同9・8ポイント上昇)、交通・通信101・4→101・2(同0・2ポイント下落)と、食料や光熱・水道費のように上昇している品目もあり、下落しているものもその下げ幅は小さい。さらに表にみられる通り、これらの品目では毎年一貫して下落もしくは上昇しているのではなく、前年比はプラスになったりマイナスになったりしており、少なくとも最低限度の生活を保障するという性格を有する生活保護基準改定の根拠として使用できる数字であるとは、筆者には思われない(13)
 そしてこのように、いかなる品目に着目するかによって物価変動についての評価が異なってくることにも留意しておかなければならない。一定の余裕があり、頻繁にパソコンやテレビ等を買い替えることができる層にとっては物価が下落していると感じられる状況であっても、後にみるように、日々の食費や光熱水費を節約しながら生活を維持している生活保護受給者など貧困層の生活実態からみれば事情はまったく異なるのである。物価の下落を根拠に生活保護基準引き下げを主張する議論は、意識的にか無意識的にか、こうした実態を無視したものだと言わざるを得ない(14)
 また、先述した2007年、生活保護基準改定を断念した際の厚生労働省による理由説明は「現下の原油価格の高騰が消費に与える影響等を見極めるため(15)」ということであった。現在、電気代、ガス代など光熱・水道の物価指数は上昇し続けている(16)。この10年間、光熱・水道の物価上昇が大きかったことは前述の通りだが、その傾向がいっそう強まっているのである(2010年を100とした場合の2012年8月の指数は、電気代が110・0、ガス代107・8、光熱・水道全体で107・6となっている)。これらの動向が「消費に与える影響等を見極める」必要性だけからみても、近い将来に生活保護基準を引き下げることなど、到底不可能なはずである。
 さらに言えば、この物価指数は政策的に変動させることも可能である。一例をあげれば、2010年の総合指数は前年比0・7%下落と、今回よりも下落幅が大きかったが、ガソリンや灯油などの高騰にも関わらずこの数字となったのは、同年4月からの公立高校授業料無償化制度導入によるところが大きい(17)。この例のように、一見すると多額の国家予算を投入することによって財政を圧迫するかに思われる政策であっても、それが国民の支持を集めることにつながると同時に物価を下落させ、それを根拠に年金など法定されたもの以外にも生活保護基準などまで削減できるとするなら、政治的にはもちろん、経済的にも「元は取れる」ということになるであろうか。

3 生活保護基準引き下げの狙いと影響
 しかし、そもそも現在の生活保護基準は高きに過ぎるのであろうか(18)
 生活保護基準算定方式の変遷を丹念にたどった岩永理恵は、その研究の「総括」として、「生活保護が抱える問題の根源は、最低生活概念の狭さと不明さにあ」り、「保護基準が最低生活であることの根拠として明らかなのは、『日常生活の起居動作』を保障する栄養充足である」として、「その内実の“貧しさ”は否定しようもない」、加算や特別基準、勤労控除など「他のさまざまな措置は、最低生活概念が貧弱であるがゆえ必要とされる」のだと述べている(19)
 また、マーケットバスケット方式を採用して最低生計費を算出した金澤誠一の研究によれば、それを生活保護基準と比較した場合、「若者単身世帯」、「中年夫婦と子ども世帯」、「高齢者単身世帯」、「高齢夫婦世帯」のすべてのモデルにおいて、生活保護基準が算定された最低生計費に及ばないばかりか、社会保険料や税金などの免除を考慮に入れた生活保護基準の1・4倍額でさえ最低生計費に届かないとの結論が示されている(20)
 次に、京都市の生活保護ケースワーカーのうち19世帯が最低生活費で1ヶ月間、実際に生活してみたという報告にこの点を尋ねてみよう。19世帯のうち、8世帯は赤字となり、11世帯は基準額以下の生活ができたとのことである。「まとめ」として、「最低生活水準では、食べることはできても、教育費、交際費などの支出が困難であ」り、「長期にわたる生活は困難である」と報告されており、前にふれた岩永の研究を裏づける実態であるといえよう。また、「1番削りやすい費目」は「食費」であるとか、「保護基準では毎日の入浴は困難」といった指摘もなされており、生活保護基準では健康を維持することさえ容易ではないことがうかがわれる(21)
 これらの研究や報告からは、少なくとも生活保護基準が高すぎて、なんとか引き下げなければならないような水準にあるとは考えにくい。
 そして、以上の検討に明らかなことは、少なくとも自民党がいう生活保護基準10%削減の根拠になるような数字や理論的根拠、もしくは生活実態はどこにもないということである。しかも、その説明において生活保護基準額は3人世帯額を使用しながら、それと比較する最低賃金額や年金額は1人分の額を使用するなど、あまりにも恣意的に過ぎることも付け加えておかなくてはならない(22)。それではいったい、この10%という具体的な数字はどこから出てきたものと考えればよいであろうか。
 それは、消費税率を10%に引き上げた際に、消費税導入時、5%への消費税率アップ時と同じようにその税率相当分に見合う生活扶助基準アップをせざるを得なくなったとしても、現在の基準に戻るにすぎない状態をつくっておきたいということであろう。少なくとも現状以上に生活保護基準を上げることを避け、あわよくば現状よりも基準を下げる、その数字が10%なのだと考えればわかりやすいのではないだろうか。
 そのような理由で、もし、デフレを根拠に生活保護基準を10%削減するようなことを実行したらどうなるであろうか。吉永純らが繰り返し指摘しているように、生活保護基準引き下げの影響を受けるのは生活保護受給者だけではない。低賃金や低年金にあえぐ不安定雇用労働者や高齢者は、生活保護基準が引き下げられれば、いったんは溜飲が下がるのかもしれない。しかし、気づいた時には自身の生活水準も、引き下げられた生活保護基準によって押し下げられることになる(23)。それはデフレを加速させるとともに生活保護を必要とする貧困層を拡大させることとなり、結果的には保護率をさらに高めることにもなるであろう。

おわりに
 生活保護バッシングが主張するところを信じ込まされている人々の多くは知らないのかもしれないが、生活保護制度に支出されている金額は、社会保障給付費全体の3%に過ぎない(24)。そしてその中で不正受給は0・3%台にとどまる(25)
。 にもかかわらず、生活保護制度がこれほどの攻撃を受けるのはなぜであろうか。財政的には、吉永らが明示した通り、生活保護基準が課税最低限や賃金水準、各種社会保障制度の給付水準を規定しているため、ここに手をつければ自動的に賃金や社会保障の水準を低下させることができるからであろう。
 そしてそのこととも関わって、政策的には生活保護バッシングを梃子として自己責任観を強化・徹底させることが狙われているものと思われる。怠惰や身勝手な生活態度が貧困を生むといった前近代的な思想を強化・徹底し拡散させることを通して、国民年金制度における無年金・低年金や、国民健康保険制度における被保険者資格証明書発行による実質的な被保険者証の剥奪なども、保険料を納めなかった者が悪いのだから国家の責任ではない、安心して医療や介護を受けたいのなら保険料を支払え、さらに医療や社会福祉サービスを利用する際に自己負担が求められるのも当然である、といったムードをこの社会に蔓延させようとしているのである。
 しかしながら、生活保護法第1条に規定されている通り、生活保護基準は、日本という国における健康で文化的な最低限度の生活水準として設定されているものであり、実際にも賃金や社会保障給付水準を規定している。その生活保護基準を引き下げることは、国際社会に向けても、日本という国のレベルが、政治的にも経済的にも、全体として低下したのだと宣言することを意味するのではないだろうか。


(1) 2010年度における世帯類型別被保護世帯の構成比は、高齢者世帯42・9%、母子世帯7・7%、傷病者世帯21・9%、障害者世帯11・2%、その他の世帯16・2%となっている(国立社会保障・人口問題研究所ホームページ参照)。 戻る
(2) 生活保護制度上の世帯類型分類方法との関連もあり、こうした意図的な喧伝と「その他の世帯」の実態との間には大きな隔たりがある。その年齢構成においても、世帯主で60歳以上が40・3%、実際には就職困難な場合が多い50歳以上では74・1%、世帯員も60歳以上が30・5%、50歳以上に19歳以下を加えると72・6%(平成21年度 被保護者全国一斉調査による)と、稼働年齢層とは言い難い。また、世帯主が働けないほどの重度障害、重病でないと障害者世帯、傷病者世帯には分類されないため、「その他の世帯」にも中軽度の障害や傷病をかかえる世帯主や、重度障害、重病をもつ世帯員が含まれている。 戻る
(3) この間、各方面から指摘されたように、このケースは少なくとも不正受給ではない。また、扶養義務を求められる範囲が日本では異常に広く法定されていることを割り引いても、これらの実名をあげた報道は明らかな人権侵害であり、これがヨーロッパ諸国など普通の人権感覚が定着した社会であれば、その点こそがバッシングの対象となったはずである。 戻る
(4) これも指摘されている通り、不正受給は、件数で2%に満たず、金額ベースでは0・4%にも届かない。さらにその中には、高校生のアルバイト代未申告など悪意が認められないものも少なからず含まれている(注(25)も参照)。 戻る
(5) 生活保護基準の問題を含め、この間の生活保護制度の見直しに向けた各種の論点については、日本弁護士連合会や生活保護問題対策全国会議、全国生活保護裁判連絡会、反貧困ネットワーク等の諸団体が意見書や声明を発表し、その問題点を明確にしている。
http://www.nichibenren.or.jp/(日本弁護士連合会ホームページ)、http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/(生活保護問題対策全国会議ブログ)などを参照 戻る
(6) この問題を含む生活保護制度改革の動向とその政策的位置づけについて、池田和彦・砂脇恵『公的扶助の基礎理論』(ミネルヴァ書房、2009年)の第7章および第8章を参照されたい。 戻る
(7) 以下、その内容は「The Jimin NEWS No.160」(2012年4月16日)による。http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/062.pdf参照。 戻る
(8) http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/36165078.html参照。前半の引用箇所は、同ブログからリンクしている講演会当日のパワーポイントのスライド記載による。 戻る
(9) 失業・低賃金などと生活保護基準の関係については、注(5)でふれた諸団体の意見書等を参照されたい。鈴木の議論は、生活保護受給者を最低賃金法の適用除外とする旨の提案をするなど、生活保護制度における稼働能力活用要件と「就労支援」のあり方をめぐっても批判的検討の俎上にのせるべき論点は多いが、それらについては他日を期したい。また、これらの点に関する筆者の基本的認識については、池田・砂脇、前掲書の第3章および第10章を参照されたい。 戻る
(10) 厚生労働省が「生活保護と公的年金の役割が異なることから、生活保護の基準と公的年金の給付額は単純に比較できるものではないことに留意」(第1回生活保護基準部会資料)との認識を示していることを確認しておきたい。 戻る
(11) http://www.stat.go.jp/data/cpi/参照。掲載した表もここに提供されている数字から作成した。なお、時系列データは、年平均と年度平均の両方が公表されているが、公表時期との関連で公的年金額改定には年平均の数値が使用されている。生活保護基準に関する議論においても、注(10)に示した厚生労働省の見解にも関わらず、年金との「比較」がなされることも多く、また、生活保護基準改定に直接使用されることがあれば、その際にも比較対象とされることになる年平均値を本稿でも採用する。 戻る
(12) 変化率の計算方法については、注(11)に示したURLからリンクしている「消費者物価指数のしくみと見方」などを参照 戻る
(13) それでも基準改定の根拠として使用できるのだと強弁するのなら、例えば2011年平均において、灯油は前年比18・4%という上昇幅であったが、これをもって冬季加算の増額が検討の俎上にのぼるであろうか。また、物価一般を分析するのであれば、他の品目、例えば保健医療や教育、家具・家事用品などにしても考慮に入れる必要はあろう。しかしここでは、生活保護制度において医療と教育には生活扶助が対応しているわけではないため除外した。また、家具・家事用品については、直近1年間の下落幅が5・6%と相対的に大きく見えるが、その内訳をみると、一般家具の下落幅は2・2%に過ぎず、頻繁に購入する必要性が低い家事用耐久材19・6%や冷暖房用器具10・1%といったところの下落幅が大きい。 戻る
(14) 収入による消費傾向の相違と物価変動が与える影響につき、http://www.e‐stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001087650&disp=Other&requestSender=searchから「16‐1 勤労者世帯年間収入5分位階級別中分類指数(全国)―年平均指数」を参照されたい。収入が低い世帯ほど「食料」や「光熱・水道」の費用が家計全体に占める「ウエイト」が重く、「被服及び履物」や「教養娯楽」の費用はその逆であることなどが読み取れるであろう。 戻る
(15)『生活と福祉』第626号(全国社会福祉協議会、2008年5月)3頁 戻る
(16) http://www.e‐stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001100832から「1 中分類指数(全国)」、「10 勤労者世帯年間収入5分位階級別中分類指数」を参照されたい。 戻る
(17) 注(11)に示したURLからリンクしている「年報(平成23年度報告書)」には、「平成22年は、ガソリン、灯油、たばこ、傷害保険料などが上昇したものの、4月から公立高校授業料及び私立高校授業料が大幅に下落したこと、耐久消費財が引き続き下落したことなどにより、総合指数は0・7%の下落となった」とある。 戻る
(18) 以下、この点に関する代表的な研究を取り上げるが、紙幅の都合上、ごく簡単にふれることしかできない。各研究の詳細は、それぞれ注に示す文献を参照されたい。 戻る
(19) 岩永理恵『生活保護は最低生活をどう構想したか』(ミネルヴァ書房、2011年)291~292頁 戻る
(20) 金澤誠一「『構造改革』の下での『生活崩壊』と最低生計費」(本誌第1421号、2006年7月)参照 戻る
(21) 以元榮一・吉永純「生活保護基準って何?」(尾藤廣喜・松崎喜良・吉永純編著『これが生活保護だ[改訂新版]』高菅出版、2006年12月)参照 戻る
(22) 反貧困ネットワークと生活保護問題対策全国会議が2012年6月18日、自由民主党・生活保護に関するプロジェクトチーム宛てに出した「貴党の生活保護制度の見直し案に関する公開質問状」は、7月9日までの回答を求めていた。しかし、期限後、回答意思の有無を問う連絡まで行ったにも関わらず、10月6日現在、同党からの回答はない(生活保護問題対策全国会議事務局長・小久保哲郎弁護士に確認)。提示された質問に回答することさえできない政策提言だったことを自ら暴露する不誠実さであると言わざるを得ない。 戻る
(23) 詳細は、吉永純『生活保護の争点』(高菅出版、2011年)、同「ナショナルミニマムとしての生活保護基準」(本誌第1459号、2008年2月)、森川清『権利としての生活保護法[増補改訂版]』(あけび書房、2011年)、三塚武男『部落解放のまちづくり』(部落問題研究所、1988年)などを参照されたい。 戻る 戻る
(24) 国立社会保障・人口問題研究所『平成21年度 社会保障給付費』(平成23年10月)参照。その後、生活保護費の額は上がっているが、社会保障給付費全体も上がっているので、社会保障給付費に占める生活保護費の割合がさほど大きく変化しているとは思われない。 戻る
(25) 2012年3月1日、厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料(保護課)、70頁参照 戻る


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