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2013年5月29日

   生活保護法改正案の修正合意をふまえての見解


 現在、国会で審議中の生活保護法改正案(以下「改正案」という)について、私たちは、①違法な「水際作戦」を合法化し、②親族の扶養を事実上生活保護の要件とするものとして、撤回・廃案を求めてきた。厚生労働省は、いずれもこれまでの取扱いを変えるものではないと弁明してきたが、法文が変わる以上、そのような弁明は信じられないと私たちは批判してきた。

 本日、民主、自民、公明、維新、みんなの5党が、①の点については、申請書や添付書類の提出を必須の要件とはしない内容に修正することで大筋で合意したと報じられている。衆議院で安定多数を確保する自公政権も、批判の声を無視することができず、余りにも行きすぎた制度改変に若干の歯止めがかけられたことは、運動の成果であり一定の評価ができる。

 しかし、②の扶養義務の強化の点については修正合意の対象となっておらず、未だ問題は解決されていない。大阪市北区において、DV被害者である可能性のある母子が生活困窮の末に餓死するという痛ましい事件が大きく報道されているが、このような被害者が生活保護申請をした場合にも扶養義務者たる夫に通知(改正法24条8項)や調査(同28条、29条)がなされないとも限らない。また、これらの規定の存在により、夫への通知によって自分の居所が知られることを危惧したDV被害者が、困窮状態に陥っても生活保護申請さえためらうことになりかねない。

 改正案には、後発医薬品の事実上の使用義務づけ(同34条3項)、被保護者の生活上の責務(同60条)、保護金品からの不正受給徴収金の徴収(同78条の2)など、なお問題が残っているのであり、これらの規定についても削除又は修正等がなされない限り、廃案を求めざるを得ない。

 私たちは、今後の国会審議において、①現行よりも申請手続きを厳格化するものではないことがより具体的に確認され、②の点についても削除又は修正等がなされる十分な審議が行われることを期待し、国会審議の行方を注視するとともに、より一層運動を強めていく所存である。

                          以 上




 日本の生活保護制度について、国連の社会権規約委員会より、「生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう」「スティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう」という勧告がされました。
 現在、国により断行されようとしている、生活保護法改正法案(生活保護はねつけ法案)は、この国連勧告とは正反対の方向へ進もうというものです。
 反対の声を、ぜひ地元の国会議員に寄せてください。

※なお、訳文を転載・引用の際は、「日本語訳:社会権規約NGOレポート連絡会議」「社会権規約NGOレポート連絡会議訳」等の形で紹介してください。

経済的、社会的および文化的権利に関する委員会
  第50会期(2013年4月29日~5月17日)に採択された、
  日本の第3回定期報告書に関する総括所見


(訳文)
22.委員会は、締約国の高齢者、とくに無年金高齢者および低年金者の間で貧困が生じていることを懸念する。委員会は、貧困が、年金拠出期間が受給資格基準に達していない高齢女性に主として影響を与えていること、および、スティグマのために高齢者が生活保護の申請を抑制されていることをとりわけ懸念する。委員会はさらに、「国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律」で導入された改正により、多くの高齢者が無年金のままとなることを懸念する。(第9条)
 委員会は、国民年金制度に最低年金保障を導入するよう締約国に対して求めた前回の勧告をあらためて繰り返す。委員会はまた、生活保護の申請手続を簡素化し、かつ申請者が尊厳をもって扱われることを確保するための措置をとるよう、締約国に対して求める。委員会はまた、生活保護につきまとうスティグマを解消する目的で、締約国が住民の教育を行なうよう勧告する。委員会は、締約国が、性別、収入源および所得水準によって細分化された高齢者(被爆者を含む)の状況に関する情報を、次回の定期報告書で提供するよう要請する。委員会は、高齢者の経済的、社会的および文化的権利に関する一般的意見6号(1995年)および社会保障についての権利に関する一般的意見19号(2008年)を参照するよう、締約国に対して求める。(日本語訳:社会権規約NGOレポート連絡会議)

(原文)
22.The Committee is concerned at the incidence of poverty among older persons in the State party, especially among those who do not receive pensions and low-income pensioners. The Committee is particularly concerned that poverty affects primarily older women whose pension contribution did not meet the eligibility criteria and that stigma discourages older persons from applying for public welfare benefits. The Committee is further concerned that the changes introduced in the Act on Partial Revision of the National Pension Act to Support Securing of Income for Those Later in Life through National Pension and Corporate Pension leave many older persons without pension benefits. (art. 9)
The Committee reiterates is previous recommendation calling on the State party to introduce a minimum guaranteed pension in the national pension system. The Committee also calls on the State party to take measures to simplify the procedures for applying for public welfare benefits and to ensure that applicants are treated with dignity. The Committee also recommends that the State party educate the population with a view to eliminate the stigma attached to public welfare benefits. The Committee requests the State party to provide in its next periodic report information on the situation of older persons, including hibakusha, disaggregated by sex, source and level of income. The Committee refers the State party to its general comments No. 6 (1995) on the economic, social and cultural rights of older persons and No. 19 (2008) on the right to social security.

国連 経済的、社会的及ぶ文化的権利に関する委員会
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/cescrs50.htm

「日本に対する第3回総括所見」全文(原文)
http://www2.ohchr.org/english/bodies/cescr/docs/co/E-C-12-JPN-CO-3.doc



5月17日(金)に、永田町で行った〈餓死・孤立死を誘発する「生活保護法改正法案」の撤回・廃案を求める緊急アクション〉の動画です。
 ぜひ、ご覧下さい。

 生活保護制度を「改悪」するこの法案を、なんとしても廃案に!


※場所は衆議院第一議員会館前ではダメだという警察の規制が入ったため、いつも〈このまますすむと困っちゃう〉アクションを実施している首相官邸前に移動しました。





埼玉県保険医協会さんの講演会のご案内です。

チラシ
宇都宮健児氏講演会1




















(講演会)私たちのこれからを考えてみませんか
お金がないと 医療さえも受けられない?
-広がる貧困の実態- 


 政府による経済の規制緩和が進む中、自助・自立を基盤として社会保障の縮小が続いています。
 本講演会では、弁護士として貧しい生活を送る人々を支援してきた宇都宮健児氏より、近年の貧困の実態、本来の社会保障の役割について解説していただきます。また、ゲスト発言者として県内で活躍する専門家らを招き、各分野から意見を交わします。「私たちのこれから」について考える機会になれば幸いです。

【開催概要】
 日時  2013年5月26日(日)18時30分より

 場所  埼玉会館小ホール(JR浦和駅西口徒歩6分)

 講師  宇都宮 健児(弁護士)

 ゲスト発言者 吉廣 啓子(弁護士)
          藤田 孝典(NPO法人ほっとプラス代表)
          大場 敏明(埼玉県保険医協会理事長)

 入場無料 どなたでも参加できます。
       
 主催 埼玉県保険医協会

  




 当会では、毎年8月に全国公的扶助研究会と共同で、地方議会議員の方向けに、生活保護問題についての研修会を開催しております。今年の開催内容が確定しましたので、以下のとおりご案内させていただきます。

チラシ(PDF)のダウンロード 
チラシ第5回生活保護問題議員研修会
岐路に立つ生活保護
どう変わるか、どう変えるか。


 昨年のかつてない”生活保護パッシング"を経て、今年は、前例のない生活保護基準の大幅引き下げなど生活保護制度の改革が俎上にあがっています。私たちは、例年、地方議員の皆様方を対象に生活保護制度に関する研修会を開催していますが、近年になく生活保護制度が注目される今、第一線の研究者や実践者による多彩な研修を準備させていただきました。
 より一層、議員活動に役立ち内容を目指しておりますので、多数ご参加いただけますよう、ご案内申し上げます。


日 程  8月23日(金)~24日(土)

場 所  名古屋市中小企業振興会館 吹上ホール
  
        会場へのアクセス   


プログラム
 1日目 8月23日(金)(12:00受付開始)          

「うまかしゅう」ミニコンサート
(自由参加)

講演1「生活保護基準引き下げ問題をどう考えるか」
    岩永 理恵さん
(神奈川県立保健福祉大学助講師)

講演2「生活困窮者支援はどうなるのか~受給者と仕事起しに取り組んで」
    櫛部 武俊さん
(釧路社会的企業創造協議会副代表)

講演3「こんなことやってます!行政による生活困窮者支援」
    生水 裕美さん
(野洲市市民生活相談課専門員)

生活保護利用当事者の声を聴く 
   生活苦、失業、病気、高齢など、さまざま問題を抱えた生活保護利用当事者が、
  つたなくとも生の言葉でお話しします。是非お聞きいただき、当事者の生活の実態を知ってください。

交流会(自由参加)  

 2日目 8月24日(土)(9:00受付、15:45終了)   
  
分科会
(いずれか1つのみのご参加です)
   第1分科会 生活保護なんでもQ&A
      觜本 郁さん
(神戸公務員ボランティア)
      谷口 伊三美さん(生活保護ケースワーカー養成講座代表)               
   第2分科会 貧困の連鎖を断つ学習支援の実践
      吉住 隆弘さん
(ささしまサポートセンター)
     行政担当者(調整中)

   第3分科会 就労支援・自立支援を考える
      櫛部 武俊さん
(釧路社会的企業創造協議会副代表)
      渡辺 ゆりかさん(草の根支えあいプロジェクト代表理事)

   第4分科会 刑務所から見た貧困とメンタルケア・DV被害者支援
      波多野 和夫さん
(佛教大学教授・精神科医)
      吉祥 眞佐緒さん(エープラス代表) 

   第5分科会 我が国の学費と奨学金を考える
      大内 裕和さん
(中京大学教授)岩重 佳治(弁護士)
      愛知県 学費と奨学金を考える会

特別講座 「生活保護と地方財政」
      藤井えりのさん

       (岐阜経済大学) ※武田公子さんから変更になりました。

まとめ  「真の生存権保障を確立するために」
      尾藤 廣喜さん
(弁護士・生活保護問題対策全国会議 代表幹事)

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スタディーツアー 
名古屋市の生活保護・ホームレス支援施設の現場を巡る
 
  藤井 克彦さん
(笹島診療所)
   定員20名(先着順)。このツアーは、朝から各施設を回るため、分科会・特別講座等にはご参加いただけません。



【定 員】 400名  

【参加費】 1万5000円
      お弁当 900円(2日目昼食)
      交流会 1000円
(1日目18:00~19:00、ソフトドリンク・軽食)
       お弁当・交流会は、希望者のみ

【参加申込】  参加申込書(ここからダウンロードできます)を、下記へ郵送・FAX・メールでお送り下さい。宿泊の手配も一緒に承ります。

㈱旅ジェットトラベルセンター(担当:熊沢、黒田)
  〒241-0802 横浜市旭区上川井町684-4
  電話 045(924)1321  FAX 045(924)1322
 メール tabi-jet@cotton.ocn.ne.jp

※講内容のお問い合せは 全国公的扶助研究会事務局
 メール zennkoku_koufukenn@yahoo.co.jp
 FAX 047-480-7702



厚生労働省は「法を改正しても、今の運用が変わるものではない」という説明をしていますが、とんでもない!

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うそつき…!






ウソ
改正法24条1項は、今でもやっている運用を法律にするだけで何も変わらない。



ホント
法律と規則・通知とは全く機能が違う

 確かに、現在、生活保護法施行規則(省令)により申請は書面を提出して行うこととされ、保護の決定に必要な書面は生活保護法施行細則準則(局長通知)により定められた要式による提出が求められています。しかし、これらの規定は、行政機関の事務処理を(事実上)拘束するものに過ぎず、法律ではない以上、いずれも国民の権利を制限し義務を課すものではありません。だからこそ、こういう規則の存在にもかかわらず、裁判例が口頭による申請も可能と繰り返し判断しているのです。
 現在、申請意思が示されたのに審査をしないのは違法ですが、規則等を法律に格上げすれば、申請書を提出しない限り申請と扱わなくても違法とはならなくなります。

自らが「申請時の書類提出義務付は申請権侵害」と指導
厚生労働省自身が、本年3月11日の主管課長会議で「住宅賃貸借契約書や預金・貯金通帳など、申請者が申請時において提出義務を負わないものの提出を求めることを内容とした書面を面接相談の際に使用し、それらの提出が申請の要件であるかのような誤信を与えかねない運用を行っている事例等、申請権を侵害、ないし侵害していると疑われる不適切な取り扱いが未だに認められているところである」と注意を促したばかりですが、疎明書類の添付の義務づけ(改正法24条2項)は、明らかにこれと矛盾します。


ウソ
必要があれば運用で、これまでどおり口頭申請も認める。


ホント
条文上口頭申請が認められる余地はない

改正法案24条は「申請は・・申請書を・・提出してしなければならない」としか規定しておらず、例外的に口頭申請が認められる場合についての規定はありません。字が書けない方の代書を認めるという趣旨であれば口頭申請ではありませんし、急迫性がある場合に保護を適用するという趣旨であれば「申請保護」ではなく「職権保護」です。具体的にどのような場合にどのような基準で口頭申請が認められるのか明らかにすべきですが、きっとできないでしょう。




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稲葉剛さん資料
相談現場から見た生活保護法「改正法案」24条1項・2項の問題点

          NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事 稲葉剛

本年5月10日、自民党厚生労働部会は生活保護法改正法案(以下、「改正法案」と略す)を了承し、政府は今週中にも「改正法案」を閣議決定する方針です。

この「改正法案」の法的な問題点については、5月15日付けの生活保護問題対策全国会議による緊急声明に譲りますが、生活困窮者の相談・支援活動をおこなっている立場から、「改正法案」が成立・施行された場合に想定される問題点について指摘します。「改正法案」の問題点は多岐にわたりますが、ここでは24条1項・2項に絞って論じます。

〈もやい〉には生活に困窮された方々から、年間約1000件の来所相談と約2000件の電話相談が寄せられています。私たちはそれぞれ世帯の生活状況を聞き取り、必要に応じて申請の同行支援(年間200~300件)や電話によるアドバイス等、生活保護制度を利用するためのサポートをおこなっています。これらは、福祉事務所の窓口が生活困窮者に適切に対応していれば、本来必要のない活動ですが、現在でも各福祉事務所において生活保護を必要としている人を窓口で追い返す「水際作戦」が横行しているため、やむをえず行なっている活動だと言えます。

「改正法案」24条1項は、生活保護の申請にあたり、氏名・住所だけでなく、要保護者の資産・収入状況、さらには「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出しなければならないとしています。また第24条2項では申請書に「要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」と定めています。これらの規定は現行法にはないものです。

私たちの電話相談窓口には、首都圏以外の地域からの電話も多くあり、その中で「福祉事務所の窓口で申請書を出してくれない」という相談も多数含まれます。その場合、近くにつなげられる支援団体がなければ、「レポート用紙でも何でもいいので、紙に氏名・住所・日付と保護の申請意思を書き、提出してください」とアドバイスをしてきました。「改正法案」により申請書類が要式化されれば、こうした方法が使えず、窓口の「水際作戦」に対抗できなくなる危険があります

また、24条2項に定める添付書類とは、賃貸住宅の契約書や預金通帳、給与明細、年金関連書類などが想定されます。しかし、私たちの相談窓口に来られる方の中には、ドメスティックバイオレンスや親族による虐待に遭い、着の身着のままで逃げてきた人や、入居していた賃貸住宅から「追い出し屋」の被害にあってロックアウトされた人、路上生活中に荷物をすべて盗まれた人も少なくありません。関連書類の添付が法律で義務付けられれば、こうした人々が「添付すべき書類を持参していない」という理由で申請できなくなる恐れがあります生活の拠点を失うくらい困窮度の高い人ほど、申請が困難になるという状況が生まれかねません

「改正法案」には扶養義務の強化も盛り込まれており、これも「親族に養ってもらえ」という口実による「水際作戦」を強化するものです。また、「自分が申請すれば、将来にわたって親族の収入・資産等が丸裸にされる」という想いから申請抑制をする人も確実に増えるでしょう

報道各社は「現在でも水際作戦が常態化している」という状況を踏まえた上で、違法な「水際作戦」を法制化させる「改正法案」の問題点を報道していただきたいと思います。

以上

NPO法人自立生活サポートセンター・もやいのHPへ

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3/11 厚労省社会・援護局関係主管課長会議資料より抜粋

添付書類の提出を申請前や申請の要件として徴求することは、申請権の侵害になりうる不適切な運用であると厚労省自身が指摘しています。
基本データは、同会議における社会・援護局 自立推進・指導監査室の担当資料(厚労省HP)

(3頁目/重点指示事項/面接相談について)
3/11 厚労省全国課長会議資料①


「⑤例えば住宅賃貸借契約書や預金・貯金通帳など、申請者が申請時において提出義務を負わないものの提出を求めることを内容とした書面を面接相談の際に使用し、それらの提出が申請の要件であるかのような誤信を与えかねない運用を行っている事例等、申請権を侵害、ないし侵害していると疑われる不適切な取り扱いが未だに認められているところである。」








(16頁目/生活保護法施行事務監査事項)

3/11 厚労省全国課長会議資料②


「申請の意思が表明された者に対しては、保護申請にあたって事前に関係書類の提出を求めることなく、申請書を交付しているか。」

















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生活保護法改正法案 新旧条文対照表(一部)

生活保護法改正法案対照表①
第24条1項
 保護の開始の申請は、第7条に規定する者が、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出してしなければならない。
 一 要保護者の氏名及び住所又は居所
 二 申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所又は居所並びに要保護者との関係
 三 保護を受けようとする理由
 四 要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
 五 その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項

24条2項
 前項の申請書には、要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な書類として厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない。


生活保護法改正法案対照表②
24条8項
 保護の実施機関は、知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において、保護の開始の決定をしようとするときは、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、当該扶養義務者に対して書面をもって厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。ただし、あらかじめ通知することが適当でない場合として厚生労働省令で定める場合はこの限りではない。


生活保護法改正法案対照表③
28条2項
 保護の実施機関は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のため必要があると認めるときは、保護の開始又は変更の申請書及びその添付書類の内容を調査するために、厚生労働省令で定めるとおりにより、要保護者の扶養義務は若しくはその他の同居の親族又は保護の開始若しくは変更の申請の当時要保護者若しくはこれらの者であった者に対して、報告を求めることができる。

29条1項
 保護の実施機関及び福祉事務所長は、保護の決定若しくは実施又は第77条若しくは第78条の規定の施行のために必要と認めるときは、次の各号に掲げる者の当該各号に定める事項につき、官公署、日本年金機構もしくは国民年金法(略)第3条第2項に定める共済組合等(次項において、「共済組合等」という。)に対し、必要な書類の閲覧若しくは資料の提出を求め、又は銀行、信託会社、次の各号に掲げる者の雇主その他の関係人に報告を求めることができる。
 一 要保護者又は被保護者であった者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況、健康状態、他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況その他政令で定める事項(被保護者であった者については、氏名及び住所又は居所、健康状態並びに他の保護の実施機関における保護の決定及び実施の状況を除き、保護を受けていた期間における事項に限る。)
 二 前号に掲げる者の扶養義務者 氏名及び住所又は居所、資産及び収入の状況その他政令で定める事項(被保護者であった者の扶養義務者については、氏名及び住所又は居所を除き、当該被保護者であった者が保護を受けていた期間における事項に限る。)

29条2項
 別表第一の上覧に掲げる官公署の長、日本年金機構又は共済組合等は、それぞれ同表の下欄に掲げる情報につき、保護の実施機関又は福祉事務所長から前項の規定による求めがあったときは、速やかに、当該情報を記載し、若しくは記載した書面を閲覧させ、又は資料の提供を行うものとする。


生活保護法改正法案対照表④
34条3項
 前項に規定する医療の給付のうち、医療を担当する医師又は歯科医師が医学的見地に基づき後発医薬品(薬事法(略)第14条又は第19条の2の規定による製造販売の承認を受けた医薬品のうち、同法第14条の4第1号各号に掲げる医薬品と有効成分、分量、用法、用量、効能及び効果が同一性を有すると認められたものであって厚生労働省令で定めるものをいう。以下この項において同じ。)を使用することができると認めたものについては、被保護者に対し、可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。


生活保護法改正法案対照表⑤
60条
 被保護者は、常に、能力に応じて勤労に励み、自ら、健康の保持及び増進に努め、収入、支出その他の生計の状況を適切に把握するとともに支出の節約を図り、その他生活の維持及び向上に努めなければならない。


生活保護法改正法案対照表⑥
78条の2
 保護の実施機関は、被保護者が、保護金品(金銭給付によって行うものに限る。)の交付を受ける前に、厚生労働省令で定めるところにより、当該保護金品の一部を前条第1項の規定により保護費を支弁した都道府県または市町村の長が徴収することができる徴収金の納入に充てる旨を申し出た場合において、保護の実施機関が当該被保護者の生活の維持に支障がないと認めたときは、厚生労働省令で定めるところにより、当該被保護者にたいして保護金品を交付する際に当該申し出に係る徴収金を徴収することができる。



その他の資料 クリックしてダウンロードしてください。

 ・扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために〔概略版〕
 ・日弁連チラシ「あなたの暮らしも危ない?誰が得する?生活保護基準引き下げ」



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書類の添付の必要性等を理由として行われた「水際作戦」の実例

1 事案の概要
(1)申請者
   (内縁の夫妻)
    夫(50歳台) 網膜剥離、白内障等 
    妻(30歳台) うつ状態、体調悪化
(2)状況 
    当面無職無収入、多重債務あり。
    医療費、就職活動のための交通費等も支出不能
    電話・ガス停止、入浴できず、食事は友人の差し入れ等に頼る
    両名とも精神状態が悪化~友人らに自死をほのめかす
(3)家賃
    月額11万円~滞納中

2 問題のポイント(前提知識)
(1)申請→審査応答義務

    ・次官通知第9
    ・局長通知第9の1
  ・申請書に添付書類不要
   生活保護申請権訴訟 大阪高裁平成13年10月19日判決
    ⇒申請意思が客観的に明確であれば、口頭による申請も可
(2)住宅扶助基準額(厚労省告示)の意味
   ・「支給できる限度」の基準
   ・「実際の家賃が基準を超えたら不可」との根拠なし
   ・申請時に実際に困窮→保護要件あり
(3)敷金・転居費用の支給が可能
    局長通知第7の4(1)カ、問第7の30の答2
   ・まず保護申請受け付け、適用
     →保護費で生活できる住居へ転居可能となるように
      敷金・転居費用を支給が「正解」


3 経緯 
   6.20 最初に福祉事務所を訪問・相談
       「まず基準内家賃の居宅を確保せよ」と申請書交付せず
   6.27 福祉事務所再訪(友人が同行)      (録音)

4 やり取りの詳細

職員:(前回から)もう一週間くらい経っているけど、(転居の件は)どの辺で話しを進めてもらっているかな。
本人:結局、食事代もあれなんで…どないしたらいいか…
職員:どないしたらじゃなくて、まず自分たちで考えなあかんことがあるやろ。とにかく今のままでは住められへんやろ。ここ。
本人:今の生活費とかでは、どうもならん?
職員:あそこで、無条件では受けられへん。
本人:どんな条件ですか。
職員:だからそれは、あなた達はまず出ていかなあかんやろ。まず出ていくことを必死で努力して、引越先見付けて来ないと、何も話前にすすめへんよ。
本人:不動産屋通したら、敷金もいるし礼金もいりますやんか。
職員:(敷金礼金が)ないとこもあるよ。
本人:どないしたら、そんなとこ何処…紹介してくれるんですか。
職員:それは、周旋屋さんに行ったら、色々と考えてはって、みんなそういう形で見つけている人もあるわけや。まあ、現実的に部屋が狭くなったりで荷物捨てていかなあかん場合もあるけど、本当に行き詰まって苦しなったら、いろんな工夫して家見つけて来はります。
本人:引っ越しせえへんかったら100%無理なんですか。
職員:だってあのままあそこに居って保護受けてもらうわけに行かないから、
本人:引っ越しは、引っ越しすんのやけども、
職員:だから、見つけてくれんと。
本人:だから一生懸命探してんけどね、結局お金なんですよ。
職員:それは、生活保護が救済する問題ちゃうからな。
本人:ああそうですか…。
友人:いや、ただ、電話は止められてる、ガスも止められているということで、餓死してしまうから、食事、米を差し入れてたりしてたわけなんですね。
私自身も失業保険もらってる身分でですね、それがもうさすがに私のほうもできなくなったし、こうやって、本人たち精神的にも追い詰められているの分かりますし、ちゃんとした…
職員:あのね、勘違いしてはんのは、役所にね、何でも相談して、役所の言うとおりするんかという話やろ。どうしたらいいんですか言うけどね、私こうしたいんです、そやけどここで困ってますねん言われたら、いろんな制度があるから、あなたはここで救済できるよと。だけど今私が一番嫌なのは、どないしたらいいんですと、そんなことに、人の指図受けて生きて行くのが本来の人生じゃないやろし、あなたが自分でどないして生きて行きたいんか、ほな家決めなあかん。何処に済むか、家に住むことは、生活保護が決めることでもないし、お手伝いすることでもないよ。
本人:だから、今こういう状態やから、家を探すにも、当たったけど、お金がなくて探されない状態やから、生活が現実に困ってるから、
職員:家がなかったら生活保護受けられへん。
本人:これ、申請しても受けられへんですか。
職員:今、家賃が高くて、そこに1ヶ月しかおれませんという場合、今のままやったら却下されると思います。
友人:とりあえず生活保護の申請をしたいんですけど、申請用紙は頂けますか。
職員:で、申請して、却下されて、どないするの。
友人:いや、却下されても一応まあ構わないですから。
職員:西成区で割り切るんや、と言わはって、周旋屋さん飛びこんでいったら、敷金のいらんとこ、教えてくれはりますわ。実際に、一杯…。ものすごい条件悪いよ、そのかわり。
本人:だから勿論安いところ探してるんですけど、高いところから安いところにかわるのに、そういうのも生活保護の関係じゃないんですか。
職員:だから、もともと高かったら、緊急性がなければ保護受けられへんから。まだ…
友人:いや、かなり緊急なんですよ。
職員:それはあなた方が自分を見て思ってるだけで、周りの人間と役所は緊急性が高いと思ってない。緊急性いうのはね、例えば今日もう倒れちゃって放っときゃ命に関わると。ドクターが入院、だから入院してるんやと。そしたらとにかく治療せなあかんから家賃が高いとか言っててもしゃあないから…。
本人:だから、とりあえず申請させてもらって、また判断してもらったらよろしいやんか。
職員:いや、出す言わはんのやったら、私は、あなた方の権利やけど、却下されるから、私は保護受けれる要件がないということをお教えしてあげなあかん訳や。
友人:とりあえず分かりましたんで、あの、申請だけしたいんですけど。
職員:それは、そんな無駄なことしたい言わはんのやったら、私はあなたの権利やから、ただ申請書には病気の診断書つけなあかん、それから、家の契約書持ってこなあかん、通帳とか、いろんな書類をつけて出さなあかんから、あなた自身がそこまで手間暇かけたい言わはんのやったら、出さはることはあなたの権利として私は拒否も勧めもしません。ただ無意味なことに近いですよと。一杯書類集めて出して。
職員:生活保護申請したら、すぐ住民票移して来いいうことになるよ。
本人:よろしいわ別に。
職員:申請今日出したら、今日中に住民票持ってこなあかんよ。
本人:あ、今日は無理ですわ…
友人:今から行っても5時までやし…
職員:うん、だからその辺も出てくるよと。だから、契約書も持ってこなあかんことになってるし…。


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保護申請権侵害による餓死、衰弱死等の主な被害事例 2013.5.15
<目次>
1 北九州市餓死事件(2006年5月遺体発見)
2 札幌市白石区姉妹餓死事件(2012年1月遺体発見)
3 三郷市保護申請権侵害事件(2013年2月20日さいたま地裁判決)
4 小倉北区・申請拒否自殺事件(2011年3月29日福岡地裁小倉支部判決)


1 北九州市餓死事件(2006年5月遺体発見)
(1)事案の概要

 2006年5月23日、北九州市門司区の市営住宅の一室で一人暮らし、無職のAさん(56歳)のミイラ化した遺体が発見された。Aさんは、下半身が不自由なため身体障害者4級の手帳を所持しており、仕事を辞めた2005年8月以来収入はなく、水道も止められ、市内で別居する二男のパン等の細々とした差し入れによって生活していた。家賃も滞納するに至り、同年9月末、市の水道局、住宅供給公社の職員が訪問したとき自宅内で衰弱し脱水状態となっていたAさんは、二男とともに福祉事務所を訪れ生活保護の申請意思を示したが、福祉事務所は二男らに援助を求め生活保護を受付しなかった。その後、保健師が週1回家庭訪問して様々な相談に乗っていたが、二男の細々とした差し入れも困難となり、再度同年12月上旬に福祉事務所を訪れ生活保護の申請意思を示したが、この時も、福祉事務所は長男と話し合うように求め、またも生活保護を受付しなかった。9月末から12月上旬までの間、ライフラインは止まったままであり、Aさんは二男からの食物の差し入れで細々と命をつないでいた。Aさんはその後福祉事務所を訪れることはなく、前述のように翌年5月に遺体となって発見された。

(2)問題点
ア 面接票(福祉事務所での面接の記録を記した行政側の文書)で、保護申請意思が確認されているにもかかわらず保護申請を拒否(申請権侵害)。
イ 扶養を理由に拒否(扶養は保護の開始要件ではない)。
ウ 急迫状況・職権保護の可能性もあった(法4条3項、25条)。
 なお、2007年に北九州市が自ら設置した、第3者による検証委員会でも、市の対応は「不適切」と認定されている。


2 札幌市白石区姉妹餓死事件(2012年1月遺体発見)
(1)事案の概要

 札幌市白石区に住む42歳と40歳の姉妹(いずれも死亡時年齢。妹は知的障害者)の姉が、就職活動をするも就職できなかったため、3回(2010年6月1日、2011年4月1日、2011年6月30日)にわたり福祉事務所に生活相談に行ったが、いずれも「申請すると表明されなかった」という理由で保護申請が拒否され、死亡に至った事件。
 1回目には、姉の体調不良により退職。その後再就職したが4日で解雇され生活不安になり来所しており、求職活動中であったところ、面接員は「(姉が)仕事も決まっておらず、手持金も僅かとのことで、後日関係書類を持って再度相談したいとして、本日の申請意志は示さず退室となった(関係書類教示済み)。」として保護申請には至っていない。
 2回目は、「手持金が少なく、食料も少ないため、それまでの生活の相談に来た」「預貯金;1千円、ライフライン;滞納あり、国保;未加入」と記録されているにもかかわらず、保護申請には至らず、非常用パン14缶(7日×1食×2人)を支給して終わっている。
 3回目は、「求職活動しているが決まらず、手持金も少なくなり、生活していけない」、「「…妹が体調を崩し、仕事に行けない状態になり、研修期間で辞める」(給料なし)その後アルバイトするも続かず、現在求職中」とあるにもかかわらず、>「保護の要件である懸命なる求職活動を伝え」「手持金も少なく、次回は関係書類を持って相談したいとのことで本日に申請意思は示さず退室となった」 

(2)問題点
ア 申請権侵害
 行政側は「申請がなかったから保護できなかった」と弁明している。しかし、「申請」という言葉さえ知らない市民が多い中、裁判例も、「申請行為があるというには、申請意思を内心にとどめず、これを実施機関(福祉事務所のこと)に表示することが必要であるが、しかし、生活保護申請をする者は、申請する意思を「明確に」示すことすらままできないことがあるということも十分考えられるところである。場合によっては、「申請する」という直接的な表現によらなくとも申請意思が表示され、申請行為があったと認められる場合があると考えられる」という判断を示している(小倉北自殺事件 福岡地裁小倉支部平成23年3月29日判決〔後述4の判例〕)。

イ 説明・教示義務違反による最低生活侵害
 姉妹の最低生活費は、184,720円。確実な収入は妹の障害年金約66,000円程度であり、
10万円以上最低生活費を下回っている明らかな要保護状態であった。このような場合、行政は、「あなたは保護を受けられます」と説明して、保護申請を援助すべきであるが、このような説明はなされていない。

ウ 過度な就労の努力を求めている
 姉の死因は、脳内血腫であった。生前から疾患が窺われ、それでも仕事を懸命に探していたにもかかわらず、さらに懸命なる就職活動を求めるという、過度な就労努力を求め、保護に至らせていない。病気の者に就労せよというのは違法である。
 

3 三郷市保護申請権侵害事件(2013年2月20日さいたま地裁判決 賃金と社会保障1585号52頁)
(1)事案の概要

 埼玉県三郷市の職員が生活保護の請求を門前払いしたなどとして、市内に住んでいた元トラック運転手の男性2008年に50歳で病死=と妻(54)ら遺族が市を相手に、生活保護費など約950万円の損害賠償を求めた訴訟で、さいたま地裁(中西茂裁判長)は20日、市側の対応の違法性を認め、約537万円の支払いを市に命じる判決を言い渡した。
 判決によると、男性は2004年に急性骨髄性白血病を発症し、勤め先の会社を退職。妻と長男、当時中学生の次女の4人暮らしだったが、入退院を繰り返す生活で収入はほとんどなくなった。妻は生活保護を申請しようと、2005年3月~06年5月に市の福祉事務所を数回訪問。自身は夫の世話などで週の半分を病院通いしなければならず、アルバイトの長男の月収も約十万円しかないなどと、生活が苦しい状況を説明した。だが福祉事務所の職員は、妻に「働けるのであれば働いてほしい」「まず身内に相談してほしい」などと求め、申請を断念させ又は申請したにもかかわらず審査・応答義務を怠った。

(2)2013年2月20日さいたま地裁判決 賃金と社会保障1585号52頁(原告勝訴確定)
 「親族らに援助を求めなければ申請を受け付けない」などの誤解を与えた場合は「職務上の義務違反」にあたると指摘し、福祉事務所の職員の対応を「原告らの就労による収入を増やし、身内からの援助もさらに求めなければ生活保護を受けることができないと原告に誤信させ、生活保護の申請権を侵害した」と判断。「拒否したことはない」という市の主張を退けた。男性と妻は2007年7月に提訴したが、男性は08年3月に白血病で亡くなり、3人の子どもが訴訟を継承していた。

(3)評価
「最後のセーフティーネットとして、制度の適正な運用を自治体に求めた点で判決は意義がある。親族による援助や就労を求めて保護を受けさせないことが違法だと明らかにした」(首都大学東京・岡部卓教授)
・口頭での申請の成立を小倉北自殺事件判決に続いて認めた。

4 小倉北区・申請拒否自殺事件(2011年3月29日判決 賃金と社会保障1547号42頁)
(1)事案の概要
 北九州市小倉北区の61歳の男性が、就労を始めたことを理由に収入が保護基準以下であるにもかかわらず「辞退届」により保護が廃止となったが、その後ふたたび生活に困窮し、保護の申請をしたものの申請が受け付けられずに自殺した。遺族が市を相手に慰謝料の支払いを求める国家賠償訴訟を提起した。

(2)2011年3月29日福岡地裁小倉支部判決 賃金と社会保障1547号42頁(原告勝訴確定)
 判決は、保護廃止処分についての違法性を認めるともに、保護の再申請を受け付けなかった点についても、「再申請の意思を口答で表明しているのに、さらに求職活動が必要との誤った説明をしていた」として違法性を認定した。すなわち、保護申請を受けつかなかった点は、生活保護の実施機関は生活保護制度を利用できるかについて相談する者に対し、その状況を把握した上で、利用できる制度の仕組について十分な説明をし、適切な助言を行う助言・教示義務、必要に応じて保護申請の意思の確認の措置を取る申請意思確認義務、申請を援助指導する申請援助義務(助言・確認・援助義務)が存するにもかかわらず、再就職が困難である原告に就職活動を強く求め、申請意思を確認せず、保護の適用に向けた援助をせず、申請を断念させたものとして、違法性を認め慰謝料の支払いを命じた。
 さらに、「生活保護申請をする者は、申請をする意思を「明確に」示すことすらままできないことがある…。法は申請が口頭によって行われることを許容しているものと解されるし、場合によっては「申請する」という直接的な表現によらなくとも申請意思が表示され、申請意思があったと認められる場合がある」として、申請意思の表示を幅広く認める見解を示した。

(3)判決のポイント
ア 口頭での申請を認めた
イ 申請を認めず、さらなる求職活動を求めたことが違法であることを認めた。

以上

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 改正法案の廃案を求める緊急声明概要版















   

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                           2013(平成25)年5月15日

違法な「水際作戦」を合法化し、親族の扶養を事実上生活保護の要件とする
「生活保護法改正法案」の撤回・廃案を求める緊急声明
                     

                           生活保護問題対策全国会議
                           (代表幹事 弁護士 尾藤廣喜)

第1 はじめに
 現在,国会において審議されている平成25年度予算案では,「生活保護制度の見直し」によって450億円の財政効果を果たすとしていた。そして,いよいよ自民党厚生労働部会は,本年5月10日,生活保護法改正法案(以下,「改正法案」という。)等を了承し,政府は,これを受け,増え続ける保護費を抑制する狙いで,今国会での成立を目指していると報道されている。
 しかしながら,本改正法案は,これまで違法とされてきた「水際作戦」を合法化・法制化し,保護の要件ではない扶養義務者の扶養を事実上保護の要件化するという,現行生活保護法の根本を前近代的復古的内容に変更する驚愕すべき内容を含んでいる。
これらの内容は,生活保護制度の見直しについて諮問されていた社会保障審議会の「生活困窮者の生活支援の在り方に関する特別部会」の報告書にも全く触れられておらず,これまで議論の対象にさえなっていない。
 しかも,配布されているポンチ絵や法律案要綱にも,全く触れられておらず,こっそりと隠されている。
 わが国の生活保護の利用率,捕捉率は,ただでさえ先進国中で異常に低い状況にあるが,仮に,本改正法案が成立し施行されることとなれば,より一層,生活保護を必要とする生活困窮者が生活保護を利用できなくなり,餓死者,自殺者,親族間殺人等の犯罪の多発という戦慄すべき事態を招くことが必至である。
   本改正法案は,何としても廃案とされなければならない。

第2 違法な「水際作戦」の合法化(改正法案24条1項2項)
1 現行法,確立した裁判例と厚生労働省通知の内容

 現行生活保護法は,保護の申請は,書面によることを要求しておらず,申請時に要否判定に必要な書類の提出も義務づけていない(現行法24条1項)。口頭による保護申請も認められるというのが確立した裁判例注iであり,保護の実施機関が,審査応答義務を果たす過程で,要否判定に必要な書類(通帳や賃貸借契約書等)を収集することとされている。
 しかし,実際の実務運用においては,要保護者が生活保護の申請意思を表明しても申請書を交付しなかったり,申請時には必要ない疎明資料の提出を求めて追い返す事例が少なからず見受けられたが,これらの行為は,申請権を侵害する違法な「水際作戦」と評価され,数々の裁判例においても違法であると断罪されてきた。注ⅱ
 そのため,厚生労働省も,「保護の相談に当たっては,相談者の申請権を侵害しないことはもとより,申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこと。」として(実施要領次官通知第9),繰り返し現場に警鐘を鳴らしてきた。
 
2 改正法案24条1項2項の内容
 ところが,改正法案24条1項は,「要保護者の氏名及び住所」等だけでなく,「要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況,扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む)」のほか「厚生労働省令で定める事項」を記載した申請書を提出してしなければならないとし,同条2項は,申請書には要否判定に必要な「厚生労働省令で定める書類を添付しなければならない」としている。
 すなわち,改正法案は,これまで口頭でも良いとされていた申請を必要事項を記載した書面の提出を要する「要式行為」とした上で,要否判定に必要な書類の提出までも必須の要件としている。
 
3 改正法案24条1項2項の効果(=「水際作戦」の合法化) 
 改正法案24条1項及び2項が成立すると,必要とされる事項をすべて申請書に記載し,必要とされる書類をすべて提出しない限り,申請を受け付けないことが合法となる。つまり,これまでは,申請意思が表明されれば,まずはこれを受け付けて,その後に実施機関の側が調査権限を行使して,保護の要否判定を行う義務を負っていたものが,逆に,要保護者の側が疎明資料を漏れなく提出して自身が要保護状態にあることを事実上証明しなければならなくなる。
 これは,これまで違法であった「水際作戦」を合法化・法制化することによって,多くの生活困窮者を窓口でシャットアウトする効果をもつ。
 「生活保護は、憲法25条に定められた国民の基本的人権である生存権を保障し、要保護者の生命を守る制度であって、要保護状態にあるのに保護を受けられないと、その生命が危険にさらされることにもなるのであるから、他の行政手続にもまして、利用できる制度を利用できないことにならないように対処する義務がある」(後記注2小倉北自殺事件判決)にもかかわらず、生活保護を必要とする状況にある生活困窮者に申請時に今回の法改正案のような負担を課せば、客観的には生活保護の受給要件を満たしているにもかかわらず申請を断念に追い込まれる要保護者が続出する危険性が高い。
 また、自治体の福祉事務所が誤った説明で要保護者を追い返す違法行為が後を絶たない現状で、書面を提出しなければ申請と認められないことになれば、後で争いになっても違法行為を行った行政側が「書面で申請書が提出されていない以上申請とは認められない」と強弁する口実を与えることになる。

第3 扶養義務の事実上の要件化(改正法案24条8項,28条2項,29条)
1 現行法と厚生労働省通知の内容

 現行生活保護法は,扶養義務者の扶養は保護の要件とはせず,単に優先関係にあるものとして(現行法4条2項),現に扶養(仕送り等)がなされた場合に収入認定してその分保護費を減額するに止めている。
 しかし,実際の実務運用においては,あたかも親族の扶養が保護の要件であるかのごとき説明を行い,別れた夫や親子兄弟に面倒を見てもらうよう述べて申請を受け付けずに追い返す事例が少なからず見られ,札幌市や北九州市などにおいては,追い返された要保護者が餓死死体で発見され社会問題となってきた(別紙link参照)。
 これらも,明らかに違法な「水際作戦」であるため,厚生労働省は,「『扶養義務者と相談してからではないと申請を受け付けない』などの対応は申請権の侵害に当たるおそれがある。また,相談者に対して扶養が保護の要件であるかのごとく説明を行い,その結果,保護の申請を諦めさせるようなことがあれば,これも申請権の侵害にあたるおそれがあるので留意されたい」との通知を発出して(実施要領課長通知問第9の2),現場に警鐘を鳴らしてきた。
 
2 改正法案24条8項,28条2項,29条の内容
 しかし,改正法案28条2項は,保護の実施機関が,要保護者の扶養義務者その他の同居の親族等に対して報告を求めることができると規定している。
また,改正法案29条1項は,生活保護を申請する「要保護者の扶養義務者」だけでなく過去に生活保護を利用していた「被保護者の扶養義務者」について,「官公署,日本年金機構若しくは共済組合等に対し,必要な書類の閲覧若しくは資料の提出を求め,又は,銀行,信託会社・・雇主その他の関係人に,報告を求めることができる」と規定している。
 つまり,生活保護を利用しようとする者や過去に利用していた者の扶養義務者(親子,兄弟姉妹)は,その収入や資産の状況について,直接報告を求められたり,官公署,年金機構,銀行等を洗いざらい調査され,さらには,勤務先にまで照会をかけられたりすることとなるというのである。
 さらに,改正法案24条8項は,「保護の実施機関は,知れたる扶養義務者が民法の規定による扶養義務を履行していないと認められる場合において,保護の開始の決定をしようとするときは,厚生労働省令で定めるところにより,あらかじめ,当該扶養義務者に対して厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。」と規定されている。厚生労働省令でいかなる事項が定められるのかは現時点において定かではないが,本声明の末尾に添付した文書例のような通知が想定される。すなわち,扶養義務者に対し,上記の関係機関や雇主等への調査権限の存在(改正法案29条1項)や,十分な扶養が行われていない場合には事後的に要保護者本人に支弁された保護費の支払い(徴収)を求められる場合があること(現行法77条1項)を告知したうえで,その収入,資産状況と扶養の可否や程度の報告を求める(改正法案24条8項)という内容である。端的に言えば,正直に収入や資産状況を告白し,できうる限りの扶養(仕送り等)を行わなければ,官公署・銀行,さらには勤務先にまで洗いざらい調査をかけ,事後的に本人に支弁した保護費の支払いを求めることがあるぞと受け取れる「脅し」の文書が想定されるのである。

3 改正法案24条8項,28条2項,29条の効果(=扶養の事実上の要件化)
 上記のとおり,親子,兄弟等の親族が生活保護の申請をすれば,その扶養義務者は,その収入や資産状況を勤務先も含めて洗いざらい調査され得る立場に立つことになる(仮に,本人が生活保護から自立しても,生活保護を利用していた期間については生涯調査の対象となる)。そして,保護の開始決定前にその旨の警告を受けるのであるから,扶養義務者としては,無理をしてでも扶養を行うよう努力するか,保護の申請をした本人に申請を取り下げるよう働きかけるであろう。
 これは,扶養を事実上保護の要件とするのと同じ効果を持つことが明らかである。
 生活保護を利用しようとする者の親族もまた生活に困窮していることが多く,仮にそうでなくても,関係が悪化したり疎遠になっていることが多い。扶養を事実上強制されることとなれば,生活に困窮する者の大多数が生活保護の利用を断念せざるを得ず,さらには,親族間の軋轢を悪化させる事態が容易に想像できる。

第4 改正法案のその他の問題点
1 後発医薬品の使用促進(改正法案34条3項)
  改正法案34条3項は,「被保護者に対し,可能な限り後発医薬品の使用を促すことによりその給付を行うよう努めるものとする。」と規定している。
 法文上,後発医薬品の使用を義務づけるとはされていないものの,敢えて明文化することによって事実上使用を強制する効果を持つ危険が高い。

2 被保護者の生活上の責務(改正法案60条)
 改正法案60条は,被保護者に「健康の保持及び増進に努め,収入,支出その他生計の状況を適切に把握する」という「生活上の責務」を負わせている。
生活保護利用者の中には,精神的又は知的な障がいや依存症(アルコール,ギャンブル)等のために健康管理,家計管理に支障を来す人も一定数存在する。求められているのは専門的個別的な治療や支援であるが,一方的に被保護者に責務を課すことは,本人を追い込み,問題をこじらせる危険が高い。

3 保護金品からの不正受給徴収金の徴収(改正法案78条の2)
 改正法案78条の2は,不正受給の徴収金(法78条)を保護金品から徴収することを認めている。
法文上,本人の申し出を前提とはしているが,敢えて法文化されることによって,事実上強制され,保護金品の差押え禁止(法58条)規定に違反する結果となる危険が高い。
                                         以 上


【扶養義務者への通知文書例】

                           平成26年○月○日

甲 野 太 郎 様
                            ○○市福祉事務所長


 このたび,あなたのご親族(親・子・兄弟・姉妹)である乙野花子さんが,当福祉事務所に生活保護の申請をされましたが,あなたは,民法の規定による扶養義務を履行していない可能性がありますので,生活保護法24条8項に基づき通知します。

○ 直系血族(親子等)及び兄弟姉妹は,互いに扶養する義務があります(民法877条)。

○ 保護の実施機関は,保護の決定等のため必要があると認めるときは,要保護者の扶養義務者若しくはその他の同居の親族等に対して,報告を求めることができます(生活保護法28条2項)。

○ 保護の実施機関等は,保護の決定等のため必要があると認めるときは,要保護者又は被保護者であった者の扶養義務者の資産及び収入の状況等について,官公署,日本年金機構,共済組合等に対し,必要な書類の閲覧若しくは資料の提供を求め,又は,銀行,信託会社,雇人(勤務先)その他の関係人に報告を求めることができます(生活保護法29条1項)。

○ 保護費を支給した都道府県又は市町村長は,被保護者の扶養義務者から,その義務の範囲内において,支給した保護費の全部又は一部を徴収することができます(生活保護法77条1項)。
  この場合,扶養義務者の負担すべき額について,保護の実施機関と扶養義務者の間に協議が調わないとき等には,保護の実施機関は家庭裁判所に家事審判を申し立て,家庭裁判所が額を定めることになります(同条2項)。

以上を前提として,当福祉事務所は,あなたに対し,生活保護法28条2項に基づき報告を求めますので,あなたの収入及び資産の状況,乙野花子さんを扶養することができるかどうか,できるとしてどの程度の扶養が可能かについて,別紙回答書に詳しくご記入のうえ,平成26年○月○日までに回答してください。

                                  以 上


【注】
i 大阪高裁平成13年10月19日判決 本文に戻る
「申請書の提出は生活保護開始申請の要件ではなく、一般論としては口頭による保護開始申請を認める余地も存在するものと認められる。」
小倉北自殺事件 福岡地裁小倉支部平成23年3月29日判決賃金と社会保障1547号42頁
「生活保護申請をする者は、申請をする意思を『明確に』示すことすらままできないことがあるということも十分考えられるところである。法は申請が口頭によって行われることを許容しているものと解されるし、場合によっては、『申請する。』という直接的な表現によらなくとも申請意思が表示され、申請行為があったと認められる場合があると考えられる。」
三郷事件 さいたま地裁平成25年2月20日判決 賃金と社会保障1585号52頁
「生保法は生活保護の開始の申請を書面で行わなければならないとするものではないから、口頭での申請も認められると解すべきである(被告もこの点を争わない。)。」

上記・小倉北自殺事件福岡地裁小倉支部判決 本文に戻る
「生活保護は、憲法25条に定められた国民の基本的人権である生存権を保障し、要保護者の生命を守る制度であって、要保護状態にあるのに保護を受けられないと、その生命が危険にさらされることにもなるのであるから、他の行政手続にもまして、利用できる制度を利用できないことにならないように対処する義務があるというべきである。すなわち、生活保護制度を利用できるかについて相談する者に対し、その状況を把握した上で、利用できる制度の仕組について十分な説明をし、適切な助言を行う助言・教示義務、必要に応じて保護申請の意思の確認の措置を取る申請意思確認義務、申請を援助指導する申請援助義務(助言・確認・原助義務)が存するということができる。」
生活保護の実施機関は誤った説明によって「保護の申請を断念させたりすることのないよう配慮する職務上の注意義務」を負っている。
上記・三郷事件さいたま地裁判決
「申請行為が認められないときでも、相談者の申請行為を侵害してはならないことは明らかであり、生活保護実施機関は、生活保護制度の説明を受けるため、あるいは、生活保護を受けることを希望して、又は、生活保護の申請をしようとして来所した相談者に対し、要保護性に該当しないことが明らかな場合等でない限り、相談者の受付ないし面接の際の具体的な言動、受付ないし面接により把握した相談者に係る生活状況等から、相談者に生活保護の申請の意思があることを知り、若しくは、具体的に推知し得たのに申請の意思を確認せず、又は、扶養義務者ないし親族から扶養・援助を受けるよう求めなければ申請を受け付けない、あるいは、生活保護を受けることができない等の誤解を与える発言をした結果、申請することができなかったときなど、故意又は過失により申請権を侵害する行為をした場合には、職務上の義務違反として、これによって生じた損害について賠償する責任が認められる。」



【記者会見配付資料】 資料名をクリックしてと印刷用を表示できます。
※ 一度「ダウンロード」して印刷してください。
① "声明別紙「保護申請権侵害による餓死、衰弱死等の主な被害事例」 
② 書類の添付の必要性等を理由として行われた「水際作戦」の実例
③ 生活保護法改正法案条文新旧対照表(一部)
④ 扶養義務と生活保護制度の関係の正しい理解と冷静な議論のために〔概略版〕
⑤ 日弁連チラシ「あなたの暮らしも危ない?誰が得する?生活保護基準引き下げ」
⑥ 添付書類の申請前の提出を求めるのは不適切~3/11 厚労省社会・援護局関係主管課長会議資料より
⑦ 稲葉剛さん:相談現場から見た生活保護法「改正法案」24条1項・2項の問題点


 5月10日、自民党の厚生労働部会で生活保護法の「改正法案」が了承されました。
 この「改正法案」には、生活困窮者を窓口で追い返す「水際作戦」を法制化・合法化させ、親族扶養を事実上、要件化させるという時代錯誤の内容が含まれています。

 政府は5月17日にこの「改正法案」を閣議決定し、今国会に提出する方針です。
「改正法案」が成立・施行してしまえば、今でも低い生活保護の捕捉率がさらに下がり、餓死・孤立死が頻発しかねません。

 私たちはこのような暴挙を許すことはできません。
 緊急に集まって、「改正法案」の撤回・廃案を求めて一緒に声をあげたいと思います。
 ぜひご参集ください。


*  *  *  *  *  *  *  *  *  *  *  

【日時】 5月17日(金)昼12時30分~13時30分

【場所】 衆議院第一議員会館前
     
(地下鉄「国会議事堂前」駅①番出口すぐ)周辺図

※それぞれアピールしたいことを紙などに書いて持ち寄ってください。
※終了後、残れる方で一緒に議員会館まわりをおこなう予定です。

 

マスコミ 各位
                               
5月10日、自民党の厚生労働部会で了承され、閣議決定予定の「生活保護法改正要綱案」には、「水際作戦」の法制化・合法化、親族扶養の事実上の要件化という、生活保護制度を根幹から変質させて戦前の救護法時代に逆戻りさせる前近代的・復古的な戦慄・驚愕すべき内容が含まれています。

 こうした内容は、生活保護制度の見直しを検討していた社会保障審議会の特別部会において議論されたことさえなく、しかも、今般配布されているポンチ絵や法律要綱案にも記載がなく隠されているため、殆ど気づかれていません。

 そこで、この問題点をメディアの方にも広く知っていただき報じていただくため、緊急声明を発表しますので、是非多数ご参加ください。

 
【日時】5月15日(水)13時~

【場所】厚生労働記者会

【内容】生活保護法改正法案の問題点の説明と緊急声明の発表
  (含・書類の添付を求めて申請を受け付けない「水際作戦」の録音の再生)

【発言者】
 ○ 藤田孝典(NPO法人ほっとプラス代表理事・社会保障審議会「生活困窮者
      の生活支援の在り方に関する特別部会」委員)
 ○ 稲葉剛(NPO法人自立生活サポートセンター・もやい代表理事)
 ○ 田川英信((元)生活保護ケースワーカー)
 ○ 尾藤廣喜(弁護士)
 ○「水際作戦」を経験した生活保護利用当事者(調整中)


「賃金と社会保障」1585号に、
当会議会員でもあるジャーナリストの安田浩一さん(『ネットと愛国』の著者)の小野市福祉給付制度適正化条例についてのルポや
中日新聞編集委員の白井康彦さんの生活扶助相当CPIについての分析、
三郷市生活保護国賠訴訟についての論文が掲載されています。

発行元の賃社編集室(発売元の旬報社ではなく)に直接注文すれば定価2100円のところを1200円で販売するそうです。

↓ ご注文先
-------------------------------------------------------------------------------
有限会社賃社編集室
〒162-0065東京都新宿区住吉町8-5 曙橋コーポ2A
TEL03-6380-4103
FAX03-6380-4312
yamabuki@za.wakwak.com
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※ 当会の書籍注文フォームからはご注文いただけません。
  ご注文は必ず上記にお願いいたします。


賃金と社会保障 No.1585 2013年5月上旬号

特集:生活保護バッシングの果てに/三郷市生活保護国家賠償訴訟
安田浩一+白井康彦+吉廣慶子+村田悠輔

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目次
◎特集/生活保護バッシングの果てに
*小野市「適正化条例」と民意[ジャーナリスト 安田浩一]
・小野市福祉給付制度適正化条例の制定に関する小野市市長コメント
・小野市福祉給付適正化条例に反対する広島弁護士会会長声明

*生活扶助相当CPIの謎を解く―「物価下落」を理由にした基準引き下げはやはりおかしい![中日新聞名古屋本社編集局生活部編集委員 白井康彦]

◆資料
・生活扶助基準の見直しに関する福島みずほ議員の質問主意書と政府の答弁書
・生活保護基準の大幅引下げに反対する会長声明(日本弁護士連合会、岐阜県弁護士会)
・物価下落を理由にした生活保護基準引き下げはやはりおかしい!という、ここまでの検証のまとめ(作成:山田壮志郎 日本福祉大学准教授)

◎特集/三郷市生活保護国家賠償請求訴訟
*三郷市生活保護裁判の勝訴報告[弁護士 吉廣慶子]
*口頭による生活保護申請と行政の「水際作戦」による申請権侵害の国家賠償訴訟による救済―三郷市生活保護国家賠償請求事件判決について[東京自治問題研究所研究員 村田悠輔]
・生活保護窓口における違法な運用の是正を求める日弁連会長談話
・三郷市生活保護国家賠償訴訟さいたま地裁判決に対する埼玉弁護士会会長談話
・三郷市生活保護国家賠償請求訴訟 弁護団声明
◇社会保障・社会福祉判例/三郷市生活保護国家賠償請求事件・さいたま地方裁判所判決(平成25年2月20日)
埼玉県三郷市の福祉事務所職員らが、原告らが生活保護の開始申請をしたにもかかわらず申請として扱わず又は生活保護の申請を妨害し、生活保護の開始決定後も住宅扶助費を支給しなかった上、原告らが市外に転居した際に転居先自治体の福祉事務所への移管通知を怠り、転居後は生活保護を受けずに生活することを強要して転居先自治体での保護申請を禁止したとして、原告らが本来なら得られるはずであった生活保護費相当額の損害及び慰謝料等の国家賠償請求が認容された事案。

本文訂正
45頁二段目三行目、六行目、九行目、三段目三行目
誤:二〇〇六年三月二二日
正:二〇〇五年三月二二日


枚方市の控訴断念を踏まえた弁護団声明

1 本日、枚方市は、両股関節全廃の障害を持つ原告が自動車を保有していることを理由に生活保護を廃止され、再度の保護開始申請も却下された事案について、大阪地方裁判所第2民事部(山田明裁判長)が本年4月19日に言い渡した原告完全勝訴の判決(廃止処分及び却下処分の違法性を認め、却下処分を取消すとともに、国家賠償法上も違法であるとして、被告枚方市に対して約172万円の損害賠償の支払いを命令)を受け入れ、控訴しないことを表明した。

2 弁護団が上記課長通知は違法であると主張したのに対し、本判決は、同通知に「一応の合理性」を認めたものの、その前提として、一般的な行政解釈とは異なり、「通院等」の保有目的はあくまでも「第一次的な基準」であって、医療や教育を目的としない施設への定期的な訪問も「通所」に該当する場合もあり、目的等の要件が欠ける場合でも「特段の事情」があれば保有を容認する余地があるなど、保有目的や保有の必要性を柔軟に解釈運用すべきことを明らかにした。
 さらに、保有要件を満たした場合の自動車の利用目的を通院等に限定する実務運用についても、直接の争点ではなかったにもかかわらず「なお」書きでわざわざ言及し、「生活保護を利用する身体障害者がその保有する自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められる」として、本件のみならず全国的に蔓延している実務運用を厳しく批判した。
 このように、裁判所が、上記課長通知のあるべき解釈について踏み込み、行政庁の処分につき明確に違法であるとの判断を示したのは初めてのことであり、障害者の完全参加と平等の意義を実質化する画期的な判断であった。

3 このたび、枚方市が、厚生労働省とも協議のうえ、控訴を断念したことは、遅きに失したとはいえ、これ以上の負担から原告を解放する判断として歓迎する。
 枚方市は、これまで長きにわたって無用の争訟に原告を巻き込み、苦しめたことを真摯に反省するとともに、本判決の趣旨を十分に踏まえ、自動車の保有を不当に制限する生活保護行政の運用を直ちに改善するべきである。
 また、上記課長通知の存在ゆえに、原告同様に自動車保有そのものを不当に制限されたり、保有を認められても使用目的を不当に制限されている例が全国的に蔓延している現状も速やかに改められなければならない。原告と同じ境遇にある人々を救済するため、厚生労働省は、上記課長通知の柔軟な解釈適用を求めた本判決の趣旨を踏まえ、同通知そのものを改正するか、少なくとも解釈指針を示す新たな通知を速やかに発出するべきである。
  
          2013年5月2日
                      枚方生活保護自動車保有訴訟弁護団一同
                      佐藤キヨ子さんを支援する会一同




 「私と同じような境遇の人の救済につながれば」という原告の思いに答えるためにも、厚生労働省は、上記課長通知そのものを改正するか、少なくとも、解釈指針を示す新たな通知をすみやかに発出すべきです。

 皆さまにお願いです。
 厚生労働省に対して、保護課長通知を改正するよう求める声を、ぜひ、たくさん寄せて下さい。

  →→厚生労働省「国民の皆さまの声」へはこちらから!




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