資料作成:NPO法人POSSE

1.事案について
 大阪府茨木市の実家に住んでいた20代男性は生活苦で住居を追い出され、京都市下京区で生活保護の申請に行った。住居がない場合は現在地で申請できることに制度上なっているにもかかわらず、実家の住所と申請場所が違うことを理由に茨木市で生活保護の申請をするように言われ追い返された。実際には追い出されて所持金も少なく実家に帰れない状況であった。これは違法な水際作戦である。

2.事案の概要
(1)当事者

 ・20代男性
 ・無職(精神疾患で就労不可)
 ・所持金1000円程度

(2)経過 
 2013年7月  期間満了で派遣の仕事を退職。

 10月11日午前 実家を追い出される。
 同日午後、京都市下京区で申請、実家の住所が申請場所と違うということで追い返される。
 →その後、POSSE二人が申請に同行すると申請可能となる。
 →申請の決定が出るまでゲストハウス(一時滞在施設)で申請の決定が下りるのを待つことに決まる。

 11月上旬 保護支給が決定
 11月下旬 アパートに入居

 (3)問題点 ※資料

 ・実家の場所と申請場所が違うということで追い返されたという水際作戦 
 →水際作戦は申請権の侵害である
 →住居がない場合は、法19条1項二に当てはまり、現在地で申請できる
 →仮に居住地が明らかだという場合でも本人は急迫した状況であったのだから法19条2項で保護するべきである

・所持金がいくらか、働けるのかなども一切聞いていない。



2013年10月11日 録音テープ やり取り全て

相談者/生活保護の申請したいんですけど。
/住所はどちらの方ですか。
相談者/住所は茨木市なんですけど、ちょっと追い出されて、出てきて、こっちで受けたいんですけど。
/ちょっと今、住むところがないという状態ですか。こちらの窓口で相談してください。
(隣の窓口へ)
相談者/すみません。ちょっといいですか。生活保護の申請をしたいんですけど、ちょっと家を追い出されて、住所は茨木市なんですけど、大阪の。こちらで受けたいなと思って来たんですけど。
/茨木のほうに住んではるんですよね。であれば茨木で相談なさったらいいと思うんですけど。
相談者/でも追い出されてもう戻れないんです。
/でも住所上は茨木にあるじゃないですか。茨木の福祉事務所の方で相談されるのが普通なんですけれど。
相談者/もう家がないんですよ。こちらで受けたいんですよ。
/ちょっとお名前書いてもらっていいですか。こちら番号札持っておかけになってお待ちください。
/6番の番号札でお待ちの方。一番奥の第4面接室に入って。こちらへどうぞ。
(面接室へ)
相談者/はい。これ荷物おいて大丈夫ですか。
/はい。お名前が○○○さん。生年月日は。
相談者/昭和○○年の○月○○日。
/今朝まで茨木にいたの?
相談者/はい。
/茨木というのはもちろん大阪の茨木やな?
相談者/はい、そうです。
/ここには○○さん来たことはあるのか。
相談者/ないです。
/初めてか。
相談者/京都市には何回か来たことありますけど。
/来たことないのか。なんでここに。誰かに聞いたんか。
相談者/京都市の区役所がここしかなかったんで、とりあえずここに。
/ここしかないことはないよ。区役所は14もあるやん。
相談者/でここに来たんです。
/とりあえず、ここの区役所しかしらんかったということか。で、役所に相談に行ったらなんとかなるかと思って相談に来たと。どういう生活していたの。
相談者/僕は実家に住んでたんですけど。
/実家はどこなの。
相談者/実家は大阪の茨木市なんですけど。
/ああ、茨木なんか、実家。
相談者/で、ちょっと両親の仕事がなくなってしまって、両親が家を売るということになっていて。今、売りの段階に入っていて、僕は売られた後は連れて行ってくれなくて、出て行けということになって、出てきて。それでとりあえずこちらに来たんですけど。
/今朝までそこの実家におったわけか。それは茨木で相談してもらわな。まだ出るとか出ないとかいう話とは違うじゃない。
相談者/追い出されもう戻れない。
/戻れないことあらへん。それは茨木で相談して。もちろん住んでいるところがあって、京都でホームレスしていたとか、何日したらええという話とちゃうで。そういうような話やな。
相談者/もう戻れるところがないんですよ。
/ここに戻れるじゃん。言うても。
相談者/もう実家には戻れない。
/それはそういう話ちゃう。それは、まずは戻って。それが実際問題なくなったわけじゃないから。出ろというのは言われているのは言われてるのかもしれないけど。前もそんな似たような話があったな、あんたの話じゃないけど。似たような話があったけれども。それはそっちで相談して。
相談者/こちらでは申請できないということですか。
/住所があるなら、ここで申請という話にはならん。茨木市でしてください。
相談者/じゃあもう一回ちょっと
/帰ってまずは相談してください。そこでどういうふうになるかは分からんけど。そういう意味合いでは、ここに住所があるなら別やけどな、住居が。
相談者/じゃあ茨木市に行ってしろということですか?
/そういうことです。
相談者/分かりました。
/はい。




生活保護の申請権・支給決定時期に関する規定(抜粋、傍線部は転載者)back

(1)生活保護法 第19条 (実施機関) 
都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和26年法律第45号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者  
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であつて、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であつても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。


(2)生活保護法 第25 条(職権による保護の開始及び変更)
 保護の実施機関は、要保護者が急迫した状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて保護の種類、程度及び方法を決定し、保護を開始しなければならない。
2 保護の実施機関は、常に、被保護者の生活状態を調査し、保護の変更を必要とすると認めるときは、すみやかに、職権をもつてその決定を行い、書面をもつて、これを被保護者に通知しなければならない。前条第2項の規定は、この場合に準用する。
3 町村長は、要保護者が特に急迫した事由により放置することができない状況にあるときは、すみやかに、職権をもつて第19 条第6項に規定する保護を行わなければならない。

(3)平成25年度 生活保護法による保護の実施要領について 
第9 保護の開始申請等
次官通達 第9
 生活保護は申請に基づき開始することを原則としており、保護の相談に当たっては、相談者の申請権を侵害しないことはもとより、申請権を侵害していると疑われるような行為も厳に慎むこと。

局長通達 第9
1 保護の相談における開始申請の取り扱い
 生活保護の相談があった場合には、相談者の状況を把握したうえで、他法他施策の活用等についての助言を適切に行うとともに生活保護制度の仕組みについて十分な説明を行い、保護申請の意思を確認すること。また、保護申請の意思が確認された者に対しては、速やかに保護申請書を交付するとともに申請手続きについての助言を行うこと。

問(第9の1) 生活保護の面接相談においては、保護の申請意思はいかなる場合にも確認しなくてはならないか。
答 相談者の保護の申請意思は、例えば、多額の預貯金を保有していることが確認されるなど生活保護に該当しないことが明らかな場合や、相談者が要保護者の知人であるなど保護の申請権を有していない場合等を除き確認すべきものである。なお、保護に該当しないことが明らかな場合であっても、申請権を有する者から申請の意思が表明された場合には申請書を交付すること。


資料作成:NPO法人POSSE

1.本事案について
 武蔵野市福祉事務所で生活保護を申請しようとした男性が、「別の制度を利用してください」、「診断書がないと申請できない」などの理由をつけられ、申請権を侵害された事案。

2.事案の概要
(1)本人

・40代前半
・IT業界で働いていた時の事業所は、換気が不十分で二酸化炭素濃度が高かった。そのような劣悪な労働環境により、中枢神経に影響が及んだ恐れがあり、他人との意思疎通が困難に。病院では「うつ状態」「強迫性障害」との診断が下された。
・事件当時は武蔵野市のアパートに住んでいた。

(※西垣裁判…同じIT業界で、過労死ラインを超えた長時間労働や、二酸化炭素濃度が高く換気の悪い事業所で働き続けたことにより、うつ病を発症。その後、休職と復職を繰り返すようになり、治療薬を過量服用して2006年1月、27歳で亡くなる(急性薬物中毒)。川崎北労基署に労災の申請をするが、2007年12月に不支給処分となり、その後も行政不服審査を請求したが認められなかった。そして2009年2月、東京地裁に提訴し、労災認定が認められ勝訴した。)

(2)経緯
・大学卒業後、建設業界で正社員就職。
・1年後退職し、その後IT業界に正社員就職。
・仕事中に体調を崩し、退職。その後、別のIT業界に正社員就職。偽装請負で働く。     
  過労死ラインを超える長時間労働や、二酸化炭素濃度が高く換気の悪い環境の下で働く。
・他人との意思疎通が困難となり、病院へ何度も行き、「強迫性障害」「うつ状態」の診断が下りた。その当時は劣悪な労働環境の影響で冷静な判断ができず、明確な主張が困難だった。そのため、会社の責任が曖昧になり、私傷病扱いとなった。
・2005年に休職。私傷病扱いのため、傷病手当金で生活することに。
 いったん復職するも、仕事が続かず、2009年の年末に自己都合で退職する。
・その後、雇用保険を8か月分受給。
・所持金が尽きてきた頃、生活保護申請を決意。

(3)生活保護申請
2010年11月  生活保護の相談に行ったが、ケースワーカー(以下、CW)に「まずは他の制度を利用してください。」と言われ、窓口でいきなり紙を渡される。そして社協(社会福祉協議会)を紹介された。
(※ 生活保護の申請自体には要件は無く必ず可能であり、他の制度の活用は申請時には必要とされない。よってこの対応は、申請権の侵害に当たり違法となる。)
  →その後社協に相談する。しかし、裁判を継続するために生活費が必要、との趣旨の内容を書いたところ、就職活動をするという内容を明記していないという理由で、支給は認められなかった。

2011年7月頃 社協からの生活福祉資金(18万4000円/月)を9か月間利用し、借金をすることになった。額は約164万円。

2012年6月 社協の貸付が終了するので、福祉事務所に何度か電話で相談する。
 福祉事務所の窓口で、CWに「診断書がないと申請はできない。」という理由で申請権を侵害される。
 その後、同年7月から12月までは、求職者支援制度により、職業訓練校に通い、訓練手当を受給することに。その際に、労金(全国労働金庫協会)の貸付けも利用したため、合計194万円ほどの借金をすることになった。

その後は、父親からの仕送りで生活する。

2013年12月19日 父親からの仕送りが限界に達したため、再度申請。同月26日に決定済み。27日より受給開始。

退職後は、裁判に集中するために生活を安定させる必要があったが、生活が困窮したため、どっちつかずの状態だった。

(4)まとめ
・過労死ラインを超える長時間労働に加え、二酸化炭素の濃度が高い事業所内での労働というブラックな働き方により、健康を害し、生活保護受給に至ってしまった。
・さらに、生活保護の申請権を幾度となく侵害され、生活保護を受給できなかったために、多額の借金をすることになった。


資料作成:NPO法人POSSE

1.本事案について
 住居を喪失した状態で目黒区福祉事務所において生活保護を申請しようとした男性が、申請にあたって無料低額宿泊所への入所を強要された事案。結局、施設への入居は回避できたが、生活保護受給までの間に出される法外貸付の金額が低く、受給開始までの期間に男性は路上生活をする日もあった。生活保護の早急な決定と法外貸付の再請求に対して、福祉事務所は、「施設に入ればいい」の一点張りであった。このような対応は、居宅保護が原則であり施設入所は本人の意思に反して強制することはできないという生活保護法の趣旨に反していると考えられる。

2.事案の概要
(1)本人

・40代男性。
・内縁の妻と同居していた。

(2)経緯
・高校卒業後、正社員や契約社員として働いてきたが、一つの会社に留まりたくないと思い、何度も転職をしてきた。この10年間は日雇い派遣で働く。
・12~13年前から一緒に暮らしている内縁の妻に生活費をもらっていた。
・一度事業を立ち上げた際に失敗して自己破産している。
・内縁の妻に世話になり続けるのが嫌なので、自立したいと思い、生活保護申請を決意。

(3)生活保護申請と急迫保護の再請求
9月30日 目黒区福祉事務所にて一人で生活保護申請へ
 →無料定額宿泊所に入らなければ申請はできないという対応。課長など3人に囲まれる。
 →本人は施設への入所を拒否したが、なおも施設入所を迫ってくるため、POSSEも同行。
 →目黒区では決定までの待機期間(2週間弱)に7000円しか出せないという理由で、食費や宿泊費がかからない施設を勧めていた。
 →それでも本人は拒否したので、ネットカフェで待機しながらの申請となった。

10月7日
・福祉事務所は「ネットカフェ使用の代金はその分を加算して出されます」と認めた。

10月8日 目黒区福祉事務所への同行
・本人の所持金が1000円ほどになり、福祉事務所で生活保護の早急な決定と11日の決定までの生活費を支給してほしいと頼んだ。
・しかし福祉事務所では、「金は出せない」「施設に入ればいい」という対応をされた。

(4)福祉事務所の対応に見られる問題点
・生活保護法25条においては、要保護者が急迫状況にある場合には職権によってすみやかに保護を開始しなければならないとされている。今回のように、ホームレス状態にあり、所持金もほとんど持たない相談者に対してはすみやかに保護を開始(急迫保護)すべきだったと考えられる。

・目黒区は施設入所によって急迫保護を実施すると主張しているが、法30条において、被保護者の意に反して施設入所を強制することはできない。よって、施設入所を拒否した相談者に対しては居宅保護によって急迫保護を実施すべきである。

・ただし、現実の運用において急迫保護が行われることは稀であり、多くの自治体では社会福祉協議会の臨時特例つなぎ資金貸付を保護決定までの待機期間の生活費として支給している。このような運用を前提にしたとしても、臨時特例つなぎ資金貸付は上限10万円となっており、7000円という少額に限定する根拠はない。本件では、本来は、申請後開始決定までのネットカフェ利用料や食費等の必要な金額を臨時特例つなぎ資金で貸し付け、開始決定時には平成21年10月30日付保護課長通知に基づいて一時的宿泊費としてネットカフェ利用料を上乗せして支給するべきであった(支給された保護費で貸付金は回収)。しかし、こうしたあるべき対応をとらないことによって、事実上、施設入所を強制していると言わざるを得ない。



3.録音データの反訳文

①9月30日(一部抜粋)
(中略)
相談者/先ほどの確認なんですが、友人でも家族でもお金を借りることはできないと法律で定められています?
面接担当/法律で定められているというよりも、借金は生活保護になるとできないんですよ。
相談者/生活保護の申し込み以前も、以降も?
面接担当/法律でそれを書いてあるかどうかは分からないですけれども、借金返せないので、そのお金が誰のお金かはっきりしないわけですよね。それで、今日申請されるのは構わないんですけども、目黒としては、ネットカフェ等に泊まること自体は窮迫でない限り認めていないんですよ。なので、うちの方には施設には空きが今日あるんですね。取りあえずそこに入ってもらって、後は地区担当員と相談しながらアパートを借りてもらう、という方向になると思います。
相談者/それは先ほども言いましたように・・・あの・・・施設には入れません。
面接担当/なんで入れないんです?
相談者/それは入りたくないからです。それは選択の自由で
面接担当/選択の自由って言っても・・
相談者/いえいえ、ありますから、選択の自由が。こっちも・・その・・馬鹿じゃありませんから、下調べしてきてるんです。
面接担当/聞いてきたのはいいんですけど、あなたの言っていることが間違いではないかもしれないけれども
相談者/施設には入りません、私は。
面接担当/だから、施設に入れないのに、53700円使わないといけないんですよ。今日から1ヶ月間。
相談者/施設に入ることは法律で決められていないですから、施設に入ることは強制できないはずですよ。あの、お名前はなんでしたっけ?
面接担当/●●です。
相談者/あ、●●さん。・・・・・なので、申請はしますし
面接担当/申請は受けますよ
相談者/それで、先ほどもおっしゃってた費用とか出していただけるということで
面接担当/それは、だから一時金だけだということで・・
相談者/一時金・・・え?
面接担当/これは生活保護費の中から一時金を出すだけであって・・・
相談者/それはどれくらいの金額を出していただけるんでしょうか?
面接担当/支払えるのはですね、7000円・・・
相談者/で、それがなくなったらどうすればいいんでしょうか
面接担当/ですから、その代わりに、14日間のうちに生活保護が決定するかどうかを決めるわけですよ。
相談者/7000円で14日間を過ごせということですか?
面接担当/そういうことになりますね。うーん、だからもっと早くするかどうかは担当員次第なんですけれども・・・これはもう皆さんにやっていただいてる。
相談者/これもう国が定めていることですよね?
面接担当/違います。区ですね。
相談者/区が定めている?
面接担当/うちでやっていることです。
相談者/目黒区が?
面接担当/はい。
相談者/7000円・・・一回だけ?
面接担当/うーん、申請されて、お金を全く持っていない人にたいして7000円。
相談者/で、その申請の間、お金がなくても知らないと。
面接担当/7000円ありますから、その代わりに、何とかうちの方でも早く、・・・
相談者/2週間を7000円で過ごせということですか?
面接担当/まあ2週間・・・そうですね、まあ2週間。だけどまあ、なるべく早く、という風には考えています。
相談者/わかりました。じゃそれでお願いします。
面接担当/で、あれはどうするんです?それは絶対に嫌なんですね?
相談者/はい。施設は・・・いろいろ調べもしましたし。
面接担当/まあ、そうですけどねえ・・・
相談者/評判がよくない施設ですよね。
面接担当/でも、そう長いこといるわけでもないですからねぇ。
相談者/とにかく、何とか・・・100円でマックとか、コーヒーを頼んで一晩過ごせたりというところもあるんで・・・そういうところも・・・

(POSSEも同行)
(中略)
POSSE/はい、録音してます。施設に入らなければいけないということを言われたということで、 ただ本人はそれは望んでいないということでしたので、まあその点、施設に入らずに申請するということでできたらベストですねっていうことですね。
役所側/そうですね、ご本人が望まない形ではなかなかうまくいかないとは思うけど、経済的な流れをもう説明してるとは思いますけど、今お金がいくらでしたっけ?
相談者/数百円です。
役所側/数百円の中でうちが今日緊急でお出しできるお金がマックス7000円までなんですけど、そこでそれは食べるお金がメインじゃないですか。そうするとね、ネットカフェに入って生活保護の申請を出されたら、今度決定をするための調査を今日の明日というわけにはいかないので、担当の時間とかねそういうの決めて調査をして決定をするのは、書類を書いたりするのにけっこう日にちがかかりますよね。
POSSE/まあ、14日以内ですね。
役所側/その中でその7000円でどこまでやれるかということで。で、ご本人の7000円でネットカフェ代をどんどん消費してしまったら、食べるお金すらも無くなっちゃうじゃないですか。で、そのお金っていうのは一回出したら追加は出せないんですよ。保護を決定して緊急払いで保護費を出してもらうまではね。食べていくことができなくなるのでその間を家賃のかからない施設、うちの契約してるところがあるんですけれども、そういったところに入って7000円はご自分の交通費とか、求職活動したいんだとおっしゃってますから求職活動の交通費とかもちろん食べるお金そっちに優先させたらいいんじゃないのってこういった形で来られた方皆様にご説明してるんですよ。だけど嫌だと主張ずっと主張なさっててね。でもそうすると続かないんじゃないかと思ってそれからどこに根拠があるんだということでこれをご説明して施設又は居住地、住まいですよね。そこで保護それに基づいて(聞き取り不可)で、こちらの方はアパート暮らししていた居宅の方だからね。アパート暮らしができるかどうかとかそういう家賃の管理ができるかどうか、通常のホームレスの方とかっていう対応では必要ないと思うんですよね。むしろ早くアパートを探して、契約金を出してもらって、そして居宅生活に入る。そのためにも早くね、アパート探すのにも交通費がかかるでしょうし、通信費もかかるでしょうし、そういうお金を7000円の中でやりくりしながらやるとしたら、ネットカフェではあっという間になくなってしまいますよね。そのことを聞いているんだけどそれは関係ないと、というお話なんだけど。うちはこの方を保護した以上は路上、路頭に迷わないようにという意味で、どうするんですか?7000円でやっていけるんですか?と言ったら、それはこっちの問題だから、と。でも、こっちの問題といっても、お金がないよって言ってまた来られても出せないわけだから、そこらへんの計画的なお金の使い方も考えて相談してほしいんだけれども、早く決めろという話なんですけれども、それと合わせて施設だったら費用が掛からないですからね。保護費が出るまでの間そういうことでお話を進めたいんだけれども、果たして仮に7000円でネットカフェとか、最終的にはマックでということですが、そうしたらやれるというと思われますか?
POSSE/やれるというと?
役所側/つなげると思います?食べていけると?
POSSE/あのちょっといいですかね。7000円しか出ないということなんですけど、まず施設については施設っていうのはとりあえず保護法でいうと強制はできないですよね。
役所側/そうですね。
POSSE/そうすると施設に入りたくないという方に対する対応というのを当然考えておかなければいけないことだと思うんですけど
役所側/(聞き取り不可)社会支援の中ではないですね。じゃあ路上に戻ってくださいというわけにはいきませんよね。
POSSE/路上ではなくてとりあえず本人はネットカフェと主張してるというわけですよね。
役所側/ネットカフェではだめですよ。ネットカフェだと7000円でやりくりできないですよ、とお話してるわけですよ。 
POSSE/なぜ7000円しか出ないんですか?
役所側/それはもううちの方の決まりで。ネットカフェはどうしても施設が嫌だからネットカフェだからその分足りないから余分に出しましょうということはできないんです。 
POSSE/そうすると施設を断った人っていうのは、というか施設以外の選択肢がないということに結局なるんじゃないかと思うんですけど。 
役所側/でも、路上身は戻したくないから、そこ選んでもらって最終的にはそこに入ってもらってます。 
POSSE/もちろん路上がいいとは思いませんよ。
役所側/そこの施設から出る算段、手段を講じていただくと。そこからさきはケースワーカーと一緒に相談を進めてもらってます。
POSSE/もちろん路上がいいとは思いませんけど、ただ施設がいいのかっていう話があって
役所側/もう、寒くなってきましたよね、朝晩ね
POSSE/だから、施設がいいのかって話があって
役所側/じゃあ、他になにがあるのかって 
POSSE/むしろそれは行政の方で用意すべきことだと僕は思いますが 
役所側/それでうちが用意できる、計画してる施設が今日は空いてますからね。たとえば、今日もう全部いっぱいで空きがない。で、今日泊まれるところがないという場合は苦肉の策で一泊だけネットカフェに泊まっても仕方ないですねっていうお話になると思うんですけど。空いているわけだからそこをおすすめするわけです。ほかに本人が嫌だといっても、(他に選択が)ないじゃないですか。
POSSE/その施設っていうのは個室が確保されてますか?
役所側/個室はどこもないです。はっきりいって。今皆さんは個室じゃないと大変そうですし、プライバシー(聞き取り不可)と仰られるんだけれども、カーテンで仕切られてます。 
POSSE/カーテン一枚ですか。
役所側/カーテン一枚です。二段ベッドだったりもしますね。あるいは空いてれば二人部屋を使うことができます、別の施設ですが。うちが契約してるのは二段ベッドでカーテンで仕切ってます。二段ベッドとカーテンじゃ嫌だよ、と言うのであれば二人部屋か四人部屋のアパート形式のお部屋を空いてればですけど。それはこれから空いてるかどうか聞かないとわかりませんけど。 
POSSE/じゃあ、基本的には個室がないということですけど。
役所側/個室を希望する方はたくさんいますよね。私たちも個室の必要性を感じていますけど、なかなか今個室を完備した施設はない。
POSSE/もう一度確認なんですけど個室じゃないところに入るっていうのは、そういう施設っていうのは嫌なわけですよね。僕が言ってる話ではないんですが、そこは誤解なく。とりあえず強制できないということは本人が嫌だと言ったら、とりあえず入れずに保護の申請を受け付けて開始しなければいけないと思うわけですよ。
役所側/でもうちは7000円の範囲内で生活保護を開始してお金を緊急払いで出すまでに本当にすぐってわけにはいかないので、その範囲内でやれるかどうかっていうのがとっても心配なんです。それでないから早く出してくれって言われても、さっきも税金だろとおっしゃいましたけど税金を出すためには起案を立てて(けっさい?)を通さなきゃいけないので、あと会計の方を通さなきゃいけないという流れがあるから、そうすぐになくなったから今日の明日出してくれとか今日の今日出してくれっていうわけにはいかないし。
相談者/生活保護に対して(聞き取り不可)。あなたの横柄な態度に対してあなたは税金で食べてるでしょって言っただけです。 
役所側/(聞き取り不可)
POSSE/とりあえずそれはよしとして 
役所側/もうどうしても嫌だということであれば強制的に入れることはできないです。入れてもすぐ出ちゃうでしょうから。とりあえず今日は申請を受理します。緊急援護金マックス7000円までお出しますが、これから地区担当が調査をするときとか住居の状況とか要するにどこにおられるか、とかそういったところが非常に困ると思うんですよ。それは担当の係長と相談して引き続き明日も明後日もお金はどんどん無くなっていくわけですから、施設はお勧めしていくと思います。これでネットカフェでいいですよ、と私たちは申し上げられませんし、相談している中で極力屋根の下、お金のかからないところに。で、保護を早めに決定して、そして保護を決定するにはまた細かい話を担当からいろいろ伺うことになりますからね。それでこの方は保護をする必要性があるという判断をして書類を作っていくわけだから、その中でお金がいつ出るかっていうのは今度は担当との相談になってくるわけですね。で、そういう相談がネットカフェでどこにおられるかわからないというなかでどうするのかなと思うんですけど。
POSSE/それは連絡とってどこのネットカフェに行ってここにいますよって言えばいいじゃないですか。 
役所側/ただ、そこから先は保護係と相談をしてみないと。保護係がどう判断するかですよね、決定をするにあたってもね。 
POSSE/もちろん決定については却下の可能性もありますからね。

②10月8日(一部抜粋)

(中略)
POSSE/それで、今、所持金は1000円くらいで、ネットカフェで寝泊まりされているという状況だと、ネットカフェは一泊で1000円はかかります。今は8日なので、決定まで3泊くらいしないといけなくなりますよね。そうすると生活することができなくなってしまいます。
役所側/結局、いわゆる家がない場合に、施設をご案内しているのは、我々も決定までに時間がかかりお金が出ないんですよ
POSSE/それは、なぜですか。
役所側/保護の決定がされないならにどこからお金を出すのです?
POSSE/あの、まず施設は強制できないはずですよね。
役所側/できませんよ。現に強制していないからネットカフェにいらっしゃるわけでしょ。
POSSE/法律ではそうなっていると。それで、強制できないならば、他の場所で待機しなければならないですよね。
役所側/そうですね。
POSSE/そのときに今回は7000円でしたけど、30日から11日間・・・
役所側/7000円っていうのはどこもやっていることではないんですよ。それは、本来は生活保護の枠組みの中では出来ないんですよ、7000円って。
POSSE/でも、急迫性がある場合は…
役所側/保護の決定がされていないのに7000円は出せないですよね。あの7000円っていうのは保護費の中ではなく、社協からのつなぎ資金なんですよ。だから、生活保護の決定までには時間がかかるので、それまでは生活保護費は出ないんですよ。
POSSE/いや、施設を入らないという選択をして、他の場所で待機する場合、お金を出してもらえないと生活できなくなるわけじゃないですか。
役所側/それは、強制じゃなくて、そこまで生活できなくなる状態が問題だから、急場のための施設を用意しているんですよ。
POSSE/だから、その施設がよければいいんですが、個室でもないわけですよね。
役所側/急場の施設の居住環境のことを言っているんですよね。それは限界がありますよね。だって、民間事業者のところがやっているわけだから。
POSSE/いや、民間事業者のせいにしていますけど、そのような事業者に投げているわけじゃないですか。
役所側/それは、公営の自立支援寮とかもありますよ。ご存知ですよね。あと、その他に民間の事業者のところを利用したりはしてるんですけど、そこの居住環境までは分からないですね。
POSSE/それはおかしくないですか。
役所側/でも、施設が作れないというのは、我々現場の方ではどうにもできないんですよ。例えば、急迫性のある方がいたとして、待機期間中に普通に安心して生活ができるような、個室がある施設があったほうがいいと、もちろん思いますよ。現場にとっては沢山あったほうがいいですよ、それは。だけど、現実にないんですよ。公的に施設を作ってくださいとは言いたいんだけど、区長や議会に対して言う立場に我々はいないんですよね。
POSSE/でも、ご本人の所持金がほぼない状態なので、施設に入らずに生活しようとすると困難だと思うのですよ。
役所側/確かにきついと思います。決定するまでお金は出ないから・・・
POSSE/急迫保護という形でできるんじゃないですか。
役所側/急迫保護のために施設を用意しているのに、それは嫌なんでしょ。
POSSE/急迫保護の場合は施設じゃないとだめなのですか。
役所側/できないですね、今のところは。
POSSE/それは制度として定まっていることなのですか。
役所側/14日以内に調査することになってるから不可能ですよ。
POSSE/だから、急迫保護の場合は、調査は後回しにすることになりますよね。
役所側/急迫保護であろうが何だろうが、要保護状態は確認しますよ。
POSSE/それはそうなんですけど、最初の時点で所持金をほとんど持っていらっしゃらない方には急迫保護を行うという・・・
役所側/でも、こちらが用意した選択肢を受け入れられないのに、何とかしてくださいというのは、難しいですよ。
POSSE/こちらが言っているのは、別に困難な選択肢ではなくて、法律の枠内での選択肢ですよね。
役所側/私はホームレスの担当をやっていたんだが、当時はほとんど施設がなかったんですね。でもその後、増えてきたんですけど、まだ不十分なところはありますよ。でも、空きがあるのにそこに入らないといわれたときに、代わりのものを用意することはできないと思いますね。
POSSE/でも、とにかく、待機期間中に生活がすることができないので、生活費を支給してもらわないと厳しいですよね。
役所側/出すといっても、財布がないんですよ。どこから出すんですか。
POSSE/それは生活保護費からじゃないんですか。
役所側/だから、決定が11日だから、その日に決定したら出すということなんですよ。
POSSE/それはそうなんですけど、そこまでの期間はどうやって生活するんですか。
役所側/だからそれだったら、施設使ってくださいよ。強制じゃなくて。
POSSE/いや、そこしか使えないんだったら、強制できないっていうのが無意味になるじゃないですか。
役所側/施設が無理なんだったら、ほかに提供のしようがないんですよ。
POSSE/出す仕組みを作ってほしいですけどね。
役所側/それは分かりますよ。われわれは調査の義務を課せられているので、調査をせずに決定する仕組みがあればいいと思いますよ。仕組みがなっていないから、現場の方もそう対応せざるを得ないんですよ。
POSSE/7000円しか出せないのであれば、もっと決定を早く出して頂くとか、それかもしくは、ネットカフェの代金を先に払ってもらうか。
役所側/財布がないと役所ってお金が出せないんですよ。
POSSE/それは実務上はそうですけど、本人の生活はどうするのですか。
役所側/でもやりようがないんですよ。金庫が開かないから。
POSSE/実務上はそうですけど、じゃあ本人の生活どうするの?って話になるわけですよ
役所側/じゃあ例えば今ここで出しましょうって僕が言ったってどこからも出ないんですよ。言いようがないですよね、だったら。ここで空手形をうって、わかりましたって言ったとしますよね。でも出ないんですよ。財布が開かないから。金庫が開かないから

資料作成:NPO法人POSSE

1.本事案について
 50代男性が大田区大森福祉事務所で生活保護の申請を受け付けてもらえず、またその当時の面接記録票を情報公開制度によって開示しようとしたところ、一部非開示となった事案。

2.事案の概要
(1)本人
・50代男性。
・胃がんを患っており、就労困難で生活保護受給中。

(2)経緯
・約10年前から胃がんを患い、就労困難であるため母親の年金などで生活。
・2012年に母親と死別し、更に生活困窮に陥る。

(3)生活保護申請(資料参照)
2011年1月11日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2011年1月27日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2011年2月 1日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2011年2月 2日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2011年2月28日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2012年2月 7日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
2013年2月28日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の相談。
 →面接記録票には「手持金はゼロ。家に米が2K程残っている」「光熱水費は1月は支払ったが、滞納している」などと明らかな生活困窮に陥っている様子が記されているが、生活保護申請には至っていない。
2013年3月 8日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の申請。
2013年3月12日 大田区大森福祉事務所で扶養照会を止めてほしい旨を話す。
 →父親の財産分与で係争中のため対立関係にある兄に扶養照会が送られそうになった。
 →兄とは何十年も会っておらず、住宅が兄名義のため、何かあった場合に追い出される不安。

2013年3月19日 大田区大森福祉事務所に生活保護申請取下げ書を提出。同日保護廃止。
2013年5月 某日 大田区福祉オンブズマンに相談。
2013年7月 1日 大田区大森福祉事務所にて生活保護の申請。
2013年7月11日 生活保護受給決定。

(4)福祉事務所の対応に見られる問題点
・相談者は生活困窮に陥って福祉事務所を訪れているにもかかわらず、7回にわたって相談扱いになっているのは生活保護の申請権侵害にあたるのではないか。

・特に、2013年2月28日の面接記録票の記述によっても、明らかに相談者は生活困窮状態にあったことと考えられる。生活保護法25条においては、要保護者が急迫状況にある場合には職権によってすみやかに保護を開始(急迫保護)しなければならないとされている。この場合も急迫保護の対象になるのではないか。

・厚生労働省社会・援護局長通知第5の2(2)で「重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合」には扶養義務者本人に対する直接照会は差し控えることとなっており、同省保護課長通知第5の2で「要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養できない者」はこれにあたるとしてよいとなっている。係争中の兄は「特別な事情があり明らかに扶養できない者」とならないか。


3.情報公開請求について
・2013年8月14日に本人に関わる面接記録票の開示請求を行った。
 →福祉事務所側の所見欄を中心に一部非開示となる。
 →所見欄非開示の根拠は大田区個人情報保護条例第18条の2第2項第2号(「個人の評価等に関するもので、開示することにより本人の利益を損ない、又は当該評価等に係る実施機関の適正な事務の執行に著しい支障を生じる恐れがあるものと認められるもの」)。

・大田区については、生活保護ケースワーク記録の非開示処分に対し全面開示を請求し、ほぼ全面的に認容された事案が存在する(東京地裁平成19年7月4日判決(平成18年(行ウ)第623号、確定))。
 この判例において、「そもそも生活保護ケースワーク記録は、保護決定の根拠と適用のプロセスを客観的に記録するものであり、同時に、被保護者の生活実態を継続的に把握し記録することによって、被保護者の置かれている状況に応じた保護の要否や程度、さらには、処遇方針や個別援護活動の適否などを検証するための資料として作成されるものであると認められるから、その記載内容は、原告の生活実態等に関する客観的具体的事実が中心となると考えられ、仮に、担当ケースワーカーが抱いた印象や評価を記載する場合でも、客観的具体的事実を前提として、担当者の専門的な知見に基づく印象や評価が記載されるものであると考えられるから、そのような印象や評価が的確な表現で記載されている部分が開示されたからといって、特別の事情がない限り、直ちに担当者と被保護者との間の信頼関係が損なわれるとは通常考えがたく、本件において、そのような特別な事情を窺わせる証拠は何ら存しない。」
 「印象や評価の中に、担当ケースワーカーの主観的・感覚的な印象や評価が記載されることもあるとしても、そもそも生活保護記録が上記のような趣旨で作成されるものである以上、何ら客観的具体的事実に基づかない主観的・感覚的な印象や評価の記載が、およそ適正な保護業務の遂行等のために必要であるのかどうかは多大な疑問があり、将来、そのような担当ケースワーカーの主観的・感覚的な印象や評価が十分に記載されなくなったとしても、そのことによって、生活保護ケースワーク記録が形骸化し、生活保護に係る事務に具体的な支障を生じさせるおそれがあるとは考え難い。」と認定されていることから、当該箇所は開示されるべきであると考えられる。


当会は、1月24日(金)に、NPO法人POSSEと共同で、厚生労働省と東京都に対して、水際作戦など各福祉事務所による生活困窮者の生存権侵害に対する指導等を求める要望書を提出しました。
 また、併せて厚生労働記者会にて記者会見を開催し、NPO法人POSSEが相談・支援をおこなった、福祉事務所による水際作戦の事例について報告しました。

報告された水際作戦の事例
 ①東京都大田区大森:度重なる追い返し click!
 ②東京都目黒区:施設への入居を強要 click!
 ③東京都武蔵野市:追い返され、多額の借金 click!
 ④京都市下京区:住民票のある自治体で申請せよ click!


印刷用(PDF)は、こちら。
 厚生労働省宛要望書 click!
 
東京都宛要望書 click!


要 望 書


生活保護問題対策全国会議/NPO法人POSSE

(1)要望趣旨
 私たち生活困窮者支援団体は、日常的に生活困窮者からの相談を受けており、その多くは各福祉事務所における違法・不適切な窓口対応に関するものである。しかも、相談件数は年々増加しており、ますます多くの生活困窮者がそのような福祉事務所の対応によって生存権が侵害されている状況となっていると思われる。
 更に、昨年12月に改正された生活保護法では、いくつかの附帯決議が付されたものの、申請書や添付資料を提出することが原則とされ、扶養義務者への調査強化、不正受給対策を名目とした締め付け強化などが条文化され、生活保護受給者または申請者に対する権利侵害が強まることが危惧される。
 本要望書は、各福祉事務所による生活困窮者の生存権を侵害する対応への、国による徹底した指導監督を実施することを求めるものである。

(2)要望事項

1.生活保護申請の意思がある者を窓口で追い返したり、明らかな困窮状態にある者に対して生活保護を適用する、もしくは申請を助言するなど適切な対応がとられないなど、福祉事務所では違法・不適切な対応が未だに横行している。厚生労働省はこのような運用について調査監督を実施しているが、その中で明らかになった実態を公表するとともに、徹底した指導をすべきである。
 このような対応が行われないよう、各自治体に対し窓口の誰もが手に取れるところに生活保護の申請書を常置するよう指導すべきである。仮に、直ちに指導を行うことが困難なのであれば、申請書を常置している自治体が全国でどれだけあるか、常置している自治体においてそのことによる不都合が生じているか否かを調査し、公表すべきである。

2.「改正」生活保護法によって扶養義務者に対する調査権限が強化され、そのことによって保護を必要とする者が排斥されるのではないかとの懸念が指摘されている。この点について、厚生労働省は、2013年12月10日付自治体向け説明会において、「当該扶養義務者に対し扶養を求めることにより明らかに要保護者の自立を阻害する等の場合には、当該扶養義務者に対し直接照会しない取扱いとしているところであるが、そのような場合であっても直接照会がなされているとの指摘もあった。このような誤った取扱いは、支援の必要な者が保護を受けられなくなるおそれがあるとともに、生活保護を受給した場合であっても、かえって本人の自立を阻害することになりかねない場合もあることから厳に慎むべきである。」としている。しかし、その後も、遺産分割に関して係争中の兄に対する直接照会をしようとしたため申請取り下げに至るという問題事案が発生している。厚生労働省社会・援護局長通知第5の2(2)で「重点的扶養能力調査対象者に対して直接照会することが真に適当でないと認められる場合」には扶養義務者本人に対する直接照会は差し控えることとなっており、同省保護課長通知第5の2で「要保護者の生活歴等から特別な事情があり明らかに扶養できない者」はこれにあたるとしてよいとされていることを、改めて全国の福祉事務所に対して周知徹底されたい。

3.自己に関して行政が保有する情報を市民が知る権利は、十分に保障されてしかるべきである。面接記録票やケース記録の開示請求などについて、福祉事務所が十分に知る権利を保障するべく対応するよう、徹底した指導をされたい。

4.生活保護法第30条1項において居宅保護の原則が掲げられ、2項において施設入所の強制はできないことが述べられている。しかしながら、福祉事務所においては、いわゆるホームレス状態の生活保護申請者に対し実質的な施設入所の強制が行われている。原則に立ち返って居宅保護を適用すべきであり、申請後開始決定までの待機期間においてカプセルホテルやネットカフェ等の一時的宿泊費を住宅扶助費として上乗せ支給することができるという平成21年10月30日付保護課長通知の存在と内容を要保護者に周知すべきであることを、各福祉事務所に対して徹底して指導をされたい。

5.先述の通り、福祉事務所を訪れる市民は相当な困窮状態にあり、ほとんど所持金がないという場合も多い。生活保護の申請から決定までの期間は原則14日以内とされているが、その間の待機が困難な場合、各福祉事務所では臨時特例つなぎ資金貸付などの法外貸付を活用していると思われる。臨時特例つなぎ資金の貸付額の上限は10万円であるのに、保護決定までの期間の生活費をまかなうことが不可能な少額の貸付上限額を独自に設定している自治体がある。その結果、いわゆるホームレス状態の要保護者が施設入所を断ると待機期間の生活を維持できないために、結局施設入所を受け入れざるを得ないという事態が起こっている。
 そもそも法25条においては、要保護者が急迫状況にある場合にはすみやかに保護を開始しなければならないとされている。所持金が無いまたは僅少である場合、ホームレス状態にある場合などを「急迫状況」と認定し、そのような状況に陥った場合にはすみやかに保護を開始するよう、福祉事務所に対して徹底した指導をされたい。また、急迫保護の適用を行わないのであれば、待機期間の生活を維持し得るだけのつなぎ資金を貸し付けるよう、各自治体及び社会福祉協議会に対して徹底した指導をされたい。

6.昨年5月に出された通知「就労可能な被保護者の就労・自立支援の基本方針について」において、6ヶ月を活動期間として集中的な就労支援を行い、十分な求職活動を行わない被保護者に対しては必要な指導・指示を行うことができるとされている。そこでは就労先が見つからないことを理由として指導・指示を行わないように注意が喚起されているが、現実にはそのような運用が行われている。かかる不適切な就労支援について、厚生労働省は調査監督を実施しているが、その中で明らかになった実態を公表するとともに、徹底した指導をすべきである。

以上



RECENT ENTRYS

RECENT COMMENTS

RECENT TRACKBACKS

来場者数 (2012.6.19~)

コンテンツ

書籍のご案内

生活保護に関する書籍を監修・編著・発行しています。
書籍のご案内は、こちらをご覧下さい
①ネットのでのお申込は
 → 注文フォーム
②FAXでのお申込は、
 → 注文用紙をダウンロード

入会案内・寄付お願い

当会の活動・趣旨に賛同いただける方の入会・寄付を、随時受け付けています。
 →当会の設立趣旨と活動
会員には年1~2回の会報をお送りするほか、メーリングリストで生活保護問題についての情報交換をしています。
入会は、こちらから入会申込書をダウンロード(クリックしてください) の上、事務局までFAXをお願いします。

年会費
○弁護士・司法書士 5,000円
○団体      5,000円
○一般      2,000円
(生活保護利用者、それに準じる所得の方は1,000円)

会費・寄付のお振り込みは以下の口座までご送金下さい。
 りそな銀行 柏原支店
 普通 0096268
 生活保護問題対策全国会議

問い合わせ先


【お願い】個別事例に対する相談はお受けしておりません。各地の生保ネット clickにご相談下さい。

(事務局)
〒530-0047
大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所
  弁護士 小久保 哲郎
 電話 06-6363-3310
 FAX 06-6363-3320

(ブログ作成担当)
〒582-0006
大阪府柏原市清州1-2-3-4
とくたけ司法書士事務所
司法書士 徳武聡子
電話 072-970-2232
FAX 072-970-2233

 seihokaigi@hotmail.co.jp

過去の記事を探す

リンク