2015(平成27)年10月6日


「就学援助実施状況等調査」結果発表をふまえた緊急声明

生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜


 本日,文部科学省は,就学援助実施状況等に関する調査結果を発表した。
→「平成25年度就学援助実施状況等調査」等結果

 同省の発表によると,次のとおり,平成27年度の準要保護認定基準にかかる生活扶助基準の見直しに伴う影響が生じていない市町村数は1734(98.5%)で対前年度比で2.5ポイント改善しているという。
 しかしながら,実際は,影響が生じていると思われるにもかかわらず,「影響が生じていない市町村数」に分類されている自治体が少なからず存在し,上記の文科省の発表には,生活保護基準の引き下げによる就学援助認定基準への波及効果を小さく見せるための看過しがたい数値操作がなされている。

 まず,「25年度に対象であった世帯等については,25年8月以前の基準を踏まえて認定」するという179の自治体においては,新規ケースは生活保護基準の引き下げに伴って下げられた認定基準によって判断されることになるので,本来は「影響が生じる自治体」に分類されるべきである。「特別な事情のある世帯については,別の生活保護基準に一定の係数を掛けた基準額を用いて認定」するという6の自治体についても,特別の事情のない世帯については影響が生じるので,同様である。そうすると,少なくとも212(179+6+27)の自治体が影響を受けるのであり,その割合は12.0%にのぼる。
 また,就学援助の準要保護認定基準に「生活保護基準額に一定の係数を掛けたもの(生活保護の基準額が変わると自動的に要件が変わるもの)」を採用している865自治体のうち,「係数を維持した」という自治体が188,「その他」と回答した自治体が218もあり,同基準に「生活保護の基準額に一定の係数を掛けたもの(生活保護の基準額を参照して額を定めているもの)」を採用している265の自治体のうち,「認定基準を下げた」という自治体が18,「その他」と答えた自治体が38もある。これらの自治体も,少なくとも潜在的には生活保護基準引き下げの影響を受ける可能性がある。実際,文科省の発表によっても,「直接的な対応を行っていない自治体」の数は,昨年9月時点の17から27に大きく増えている。現在は影響が出ないよう特別対応を行っている自治体も,自治体財政厳しき折柄,時の経過とともに特別対応を止めることが容易に予想される。そうすると,674(188+218+18+38+212)の自治体が影響を受ける可能性があるのであり,その割合は実に38.3%に上る。
 私たちは,生活保護基準の引き下げによって,同基準を参照して認定基準を定めている多くの低所得者施策が影響を受けることになる旨繰り返し指摘してきた。これに対し,国は,「影響が及ばないよう対応するから問題ない」と弁明してきた。しかし,今回の調査結果の発表によっても,国の弁明が単なる建て前に過ぎないことが明らかとなった。そして,生活保護基準が憲法25条の保障する生存権保障水準を示すナショナル・ミニマムである以上,時の経過とともに,生活保護基準引き下げの影響を受ける諸制度の利用者数が激増していくことは火を見るよりも明らかである。
 問題の根本的解決のためには,根幹となる生活保護基準をもとに戻すしかない。私たちは,国が道理なく強行した生活保護基準の引き下げを撤回するよう,改めて強く求めるものである。

以上


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