枚方市の控訴断念を踏まえた弁護団声明
1 本日、枚方市は、両股関節全廃の障害を持つ原告が自動車を保有していることを理由に生活保護を廃止され、再度の保護開始申請も却下された事案について、大阪地方裁判所第2民事部(山田明裁判長)が本年4月19日に言い渡した原告完全勝訴の判決(廃止処分及び却下処分の違法性を認め、却下処分を取消すとともに、国家賠償法上も違法であるとして、被告枚方市に対して約172万円の損害賠償の支払いを命令)を受け入れ、控訴しないことを表明した。
2 弁護団が上記課長通知は違法であると主張したのに対し、本判決は、同通知に「一応の合理性」を認めたものの、その前提として、一般的な行政解釈とは異なり、「通院等」の保有目的はあくまでも「第一次的な基準」であって、医療や教育を目的としない施設への定期的な訪問も「通所」に該当する場合もあり、目的等の要件が欠ける場合でも「特段の事情」があれば保有を容認する余地があるなど、保有目的や保有の必要性を柔軟に解釈運用すべきことを明らかにした。
さらに、保有要件を満たした場合の自動車の利用目的を通院等に限定する実務運用についても、直接の争点ではなかったにもかかわらず「なお」書きでわざわざ言及し、「生活保護を利用する身体障害者がその保有する自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められる」として、本件のみならず全国的に蔓延している実務運用を厳しく批判した。
このように、裁判所が、上記課長通知のあるべき解釈について踏み込み、行政庁の処分につき明確に違法であるとの判断を示したのは初めてのことであり、障害者の完全参加と平等の意義を実質化する画期的な判断であった。
3 このたび、枚方市が、厚生労働省とも協議のうえ、控訴を断念したことは、遅きに失したとはいえ、これ以上の負担から原告を解放する判断として歓迎する。
枚方市は、これまで長きにわたって無用の争訟に原告を巻き込み、苦しめたことを真摯に反省するとともに、本判決の趣旨を十分に踏まえ、自動車の保有を不当に制限する生活保護行政の運用を直ちに改善するべきである。
また、上記課長通知の存在ゆえに、原告同様に自動車保有そのものを不当に制限されたり、保有を認められても使用目的を不当に制限されている例が全国的に蔓延している現状も速やかに改められなければならない。原告と同じ境遇にある人々を救済するため、厚生労働省は、上記課長通知の柔軟な解釈適用を求めた本判決の趣旨を踏まえ、同通知そのものを改正するか、少なくとも解釈指針を示す新たな通知を速やかに発出するべきである。
2013年5月2日
枚方生活保護自動車保有訴訟弁護団一同
佐藤キヨ子さんを支援する会一同
「私と同じような境遇の人の救済につながれば」という原告の思いに答えるためにも、厚生労働省は、上記課長通知そのものを改正するか、少なくとも、解釈指針を示す新たな通知をすみやかに発出すべきです。
皆さまにお願いです。
厚生労働省に対して、保護課長通知を改正するよう求める声を、ぜひ、たくさん寄せて下さい。
→→厚生労働省「国民の皆さまの声」へはこちらから!
1 本日、枚方市は、両股関節全廃の障害を持つ原告が自動車を保有していることを理由に生活保護を廃止され、再度の保護開始申請も却下された事案について、大阪地方裁判所第2民事部(山田明裁判長)が本年4月19日に言い渡した原告完全勝訴の判決(廃止処分及び却下処分の違法性を認め、却下処分を取消すとともに、国家賠償法上も違法であるとして、被告枚方市に対して約172万円の損害賠償の支払いを命令)を受け入れ、控訴しないことを表明した。
2 弁護団が上記課長通知は違法であると主張したのに対し、本判決は、同通知に「一応の合理性」を認めたものの、その前提として、一般的な行政解釈とは異なり、「通院等」の保有目的はあくまでも「第一次的な基準」であって、医療や教育を目的としない施設への定期的な訪問も「通所」に該当する場合もあり、目的等の要件が欠ける場合でも「特段の事情」があれば保有を容認する余地があるなど、保有目的や保有の必要性を柔軟に解釈運用すべきことを明らかにした。
さらに、保有要件を満たした場合の自動車の利用目的を通院等に限定する実務運用についても、直接の争点ではなかったにもかかわらず「なお」書きでわざわざ言及し、「生活保護を利用する身体障害者がその保有する自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められる」として、本件のみならず全国的に蔓延している実務運用を厳しく批判した。
このように、裁判所が、上記課長通知のあるべき解釈について踏み込み、行政庁の処分につき明確に違法であるとの判断を示したのは初めてのことであり、障害者の完全参加と平等の意義を実質化する画期的な判断であった。
3 このたび、枚方市が、厚生労働省とも協議のうえ、控訴を断念したことは、遅きに失したとはいえ、これ以上の負担から原告を解放する判断として歓迎する。
枚方市は、これまで長きにわたって無用の争訟に原告を巻き込み、苦しめたことを真摯に反省するとともに、本判決の趣旨を十分に踏まえ、自動車の保有を不当に制限する生活保護行政の運用を直ちに改善するべきである。
また、上記課長通知の存在ゆえに、原告同様に自動車保有そのものを不当に制限されたり、保有を認められても使用目的を不当に制限されている例が全国的に蔓延している現状も速やかに改められなければならない。原告と同じ境遇にある人々を救済するため、厚生労働省は、上記課長通知の柔軟な解釈適用を求めた本判決の趣旨を踏まえ、同通知そのものを改正するか、少なくとも解釈指針を示す新たな通知を速やかに発出するべきである。
2013年5月2日
枚方生活保護自動車保有訴訟弁護団一同
佐藤キヨ子さんを支援する会一同
「私と同じような境遇の人の救済につながれば」という原告の思いに答えるためにも、厚生労働省は、上記課長通知そのものを改正するか、少なくとも、解釈指針を示す新たな通知をすみやかに発出すべきです。
皆さまにお願いです。
厚生労働省に対して、保護課長通知を改正するよう求める声を、ぜひ、たくさん寄せて下さい。
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