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今年4月19日の枚方市自動車保有訴訟判決を受けて、弁護団等から①要望書への連名、②問題事例の収集への協力の呼びかけがされています。

 厚労省保護課長通知(問3の12)は、生活保護を利用する障害者の自動車保有を認める内容の通知です。
 しかし、この通知は、自動車保有を厳しく制限しているかのようにも読み取ることができ、これにより、障害者は生活保護を利用するや否や、生活に不可欠な足がわりの自動車について、処分か生活保護の打ち切りかを迫られ、仮に保有を認められても通院以外の利用を禁じられるなど不当な扱いが全国で蔓延しています。

 本年4月19日、大阪地裁は、この課長通知をかなり柔軟に解釈すべきことを前提として原告完全勝訴の画期的な判決を言い渡し、判決は確定しました。
 本来であれば、誤解を生みがちなこの課長通知は判決の趣旨に沿って改正すべきですが、その様子はまったく見られません。

 そこで、弁護団・支援する会では、厚労省に対し、原告の佐藤さんと一緒に下記のような要望する予定です。要望に連名していただける団体を募集します。
 また、全国で同様の問題事例は枚挙に暇がないと思われますので、要望にあたって、事例を収集・把握したいと思います。
 この保護課長通知があるがゆえに、障害者の自動車保有が不当に制限されていると思われる事例を把握している方は、是非とも、下記の項目に関する情報を提供していただきたく、よろしくお願いいたします。

賛同・回答の期限は、一応11月5日(火)とさせていただきます。


ご賛同・事例を報告いただける方は、
 下記連絡フォームあるいは、メール 、FAX(06-6363-3320)でご連絡ください。



<募集事例>
 1 地域

 2 当事者の属性
 (1)年齢・性別
 (2)障害・傷病の内容・程度

 3 保有自動車の属性(車名、排気量、初年度登録、走行距離等)

 4 事案の概要

 5 事案公表の可否


<要望書案>

2013年11月●日

障がい者の自動車保有を不当に制限する
厚生労働省保護課長通知問第3の12の改正を求める要望書


厚生労働大臣 田村 憲久 殿

佐藤キヨ子
佐藤キヨ子さんを支援する会
枚方生活保護自動車保有訴訟弁護団

第1 要望の趣旨
 大阪地方裁判所2013年4月19日判決の趣旨を踏まえ、厚生労働省保護課長通知問第3の12(以下、「本件課長通知といいます。)について、以下の点を直ちに改訂してください。

1 自動車の必要性の判断について
 ① 自動車の保有目的は、通院等に限定されておらず、「障害者の生活維持及び自立助長のため必要不可欠な施設への定期的な訪問」のために必要な場合に保有が認められることが明確になるよう改正してください。
 ② 少なくとも「障害者の生活維持及び自立助長のため必要不可欠な施設への定期的な訪問」のために必要な場合も本件課長通知の要件を満たしている旨の解釈を明らかにする新たな通知を発出してください。

2 保有要件を満たした場合の自動車の利用について
 ① 本件課長通知は、自動車の保有要件であり利用のための要件ではないことを明記してください。
 ② 保有が認められた場合、自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することが可能であることを明記してください。


第2 要望の理由
1 はじめに

 2013年4月19日、大阪地方裁判所第2民事部は、両股関節全廃の障がいを持ち、歩行が困難な原告が、日常生活に不可欠で、かつ、資産価値もない自動車の保有を理由に生活保護を廃止され、再度の保護開始申請も却下された事案について、廃止処分及び却下処分の違法性を認め、却下処分を取り消すとともに、国家賠償法上も違法であるとして、被告枚方市に対して約172万円の支払いを命じる、原告完全勝訴の判決を言い渡しました。
 そして、枚方市は、これまでの違法な生活保護行政を厳しく指摘した本判決を受け入れ、控訴断念を表明して、5月8日、本判決は確定しました。
本件課長通知は、枚方市においてもそうであったように、一般的には、生活保護を利用する障がい者の自動車保有を厳しく制限しているものと理解され、運用されています。そのため、全国各地において、原告と同様に日常生活上の移動のために自動車の利用を不可欠とする障がい者が生活保護を利用しようとした場合、自動車を処分するよう指導されたり、保有を認められた場合にも通院以外の使用を禁じられるという不当な事態が蔓延しています。
 そこで、私たちは、御庁に対して、本件課長通知の柔軟な解釈適用を求めた本判決の趣旨を踏まえ、同通知そのものを改正するか、少なくとも解釈指針を示す新たな通知を速やかに発出するよう、強く求めます。

2 要望の趣旨1について
 本判決は、課長通知に「一応の合理性」を認めたものの、その前提として、各福祉事務所による厳格な行政解釈とは異なり、「身体障害者にとって自動車が必要となる場合は通院等以外にも様々なものが想定され」、通院等の保有目的はあくまでも「第一次的な基準」であり、医療や教育を目的とする施設ではなくても「障害者の生活維持及び自立助長のため必要不可欠な施設等への定期的な訪問」も「通所」に該当する場合もあり、目的等の要件が欠ける場合でも「特段の事情」があれば保有を容認する余地があるなど、保有目的や保有の必要性を柔軟に解釈運用すべきと判示しました。
 その趣旨を踏まえ、要望の趣旨1のとおり改訂することを求めます。
 
3 要望の趣旨2について
 保有要件を満たした場合であっても、自動車の利用目的を通院等に限定する運用が現在、実務上散見されます。
 この点について、本判決は、保有要件は、「利用のための要件ではな」いことを明確に述べた上で、「生活保護を利用する身体障害者がその保有する自動車を通院等以外の日常生活上の目的のために利用することは、被保護者の自立助長及びその保有する資産の活用という観点から、むしろ当然に認められる」として、全国的に蔓延している実務運用を厳しく批判しました。
 その趣旨を踏まえ、要望の趣旨2のとおり改訂することを求めます。





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