資料作成:NPO法人POSSE

1.本事案について
 武蔵野市福祉事務所で生活保護を申請しようとした男性が、「別の制度を利用してください」、「診断書がないと申請できない」などの理由をつけられ、申請権を侵害された事案。

2.事案の概要
(1)本人

・40代前半
・IT業界で働いていた時の事業所は、換気が不十分で二酸化炭素濃度が高かった。そのような劣悪な労働環境により、中枢神経に影響が及んだ恐れがあり、他人との意思疎通が困難に。病院では「うつ状態」「強迫性障害」との診断が下された。
・事件当時は武蔵野市のアパートに住んでいた。

(※西垣裁判…同じIT業界で、過労死ラインを超えた長時間労働や、二酸化炭素濃度が高く換気の悪い事業所で働き続けたことにより、うつ病を発症。その後、休職と復職を繰り返すようになり、治療薬を過量服用して2006年1月、27歳で亡くなる(急性薬物中毒)。川崎北労基署に労災の申請をするが、2007年12月に不支給処分となり、その後も行政不服審査を請求したが認められなかった。そして2009年2月、東京地裁に提訴し、労災認定が認められ勝訴した。)

(2)経緯
・大学卒業後、建設業界で正社員就職。
・1年後退職し、その後IT業界に正社員就職。
・仕事中に体調を崩し、退職。その後、別のIT業界に正社員就職。偽装請負で働く。     
  過労死ラインを超える長時間労働や、二酸化炭素濃度が高く換気の悪い環境の下で働く。
・他人との意思疎通が困難となり、病院へ何度も行き、「強迫性障害」「うつ状態」の診断が下りた。その当時は劣悪な労働環境の影響で冷静な判断ができず、明確な主張が困難だった。そのため、会社の責任が曖昧になり、私傷病扱いとなった。
・2005年に休職。私傷病扱いのため、傷病手当金で生活することに。
 いったん復職するも、仕事が続かず、2009年の年末に自己都合で退職する。
・その後、雇用保険を8か月分受給。
・所持金が尽きてきた頃、生活保護申請を決意。

(3)生活保護申請
2010年11月  生活保護の相談に行ったが、ケースワーカー(以下、CW)に「まずは他の制度を利用してください。」と言われ、窓口でいきなり紙を渡される。そして社協(社会福祉協議会)を紹介された。
(※ 生活保護の申請自体には要件は無く必ず可能であり、他の制度の活用は申請時には必要とされない。よってこの対応は、申請権の侵害に当たり違法となる。)
  →その後社協に相談する。しかし、裁判を継続するために生活費が必要、との趣旨の内容を書いたところ、就職活動をするという内容を明記していないという理由で、支給は認められなかった。

2011年7月頃 社協からの生活福祉資金(18万4000円/月)を9か月間利用し、借金をすることになった。額は約164万円。

2012年6月 社協の貸付が終了するので、福祉事務所に何度か電話で相談する。
 福祉事務所の窓口で、CWに「診断書がないと申請はできない。」という理由で申請権を侵害される。
 その後、同年7月から12月までは、求職者支援制度により、職業訓練校に通い、訓練手当を受給することに。その際に、労金(全国労働金庫協会)の貸付けも利用したため、合計194万円ほどの借金をすることになった。

その後は、父親からの仕送りで生活する。

2013年12月19日 父親からの仕送りが限界に達したため、再度申請。同月26日に決定済み。27日より受給開始。

退職後は、裁判に集中するために生活を安定させる必要があったが、生活が困窮したため、どっちつかずの状態だった。

(4)まとめ
・過労死ラインを超える長時間労働に加え、二酸化炭素の濃度が高い事業所内での労働というブラックな働き方により、健康を害し、生活保護受給に至ってしまった。
・さらに、生活保護の申請権を幾度となく侵害され、生活保護を受給できなかったために、多額の借金をすることになった。


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