医療扶助・人権ネットワーク(代表 山川幸生氏)は、合理的理由なく、複数の県をまたいだ短期頻回転院(ぐるぐる病院)を許可した流山市に対し、監査し,指導することを求める以下の要望書を提出したとのことです。
許可いただき、掲載してご紹介します(なお、一部イニシャル表記にしています。)
2014年9月3日
厚生労働大臣 田村憲久 殿
千葉県知事 森田健作 殿
第1 要望の趣旨
生活保護法第23条第1項及び同2項に基づき、流山市に対し、以下のとおり、監査及び指示を行うよう求める。
(1)流山市に対し、申立人に関する短期頻回転院の実態に関する報告を求め、不必要な転院の即時中止を指示すること。
(2)申立人を退院させ、生活保護法第30条第1項本文に基づき、居宅保護を実施するよう指示すること。
第2 要望の理由
1 短期頻回転院の経緯
申立人より聴取した短期頻回転院の経緯は、以下のとおりである。
申立人は、平成19年当時勤務していた株式会社Aの社宅に居住していたところ、平成19年10月23日、突如、ギラン・バレー症候群を発症し、東京大学医学部付属病院(東京都文京区本郷)に緊急入院した。
入院当初の病状は深刻で、自力で身体を動かせないだけでなく、自発的な呼吸も困難な状態であった。平成20年7月29日、身体障害1級の認定を受けた。
東大病院に1年以上入院し、次第に病状は次第に回復していった。平成21年1月頃、申立人は、流山市のB病院に転院した。このとき、同病院の医療ソーシャルワーカーの勧めにより、流山市に住民票を移し、流山市において生活保護を申請し、生活保護を受給するようになった。
その後、別紙のとおり(注:掲載省略)、7年間の間に、1~3か月間の間隔で、合計20箇所以上の病院を転院した。
現在の申立人の病状は、歩行は困難であるものの、車イスを使用すれば移動に支障はなく、病院から外出して、付添なく散歩を行うことが可能である。例えば、平成26年7月にC病院(埼玉県)に入院していたときには、病院から最寄り駅のD駅(病院から約1.3㎞)まで車イスで散歩をしていた。
また、手指については、トイレットペーパーを扱うなど細かな動作を行うことは難しいものの、病院内でエレベータに一人で乗ることや自動販売機で飲み物を買うことは可能であり、介護サービス等の利用ができれば、自宅で一人で生活を送ることが可能である。
申立人は、これまで流山市の生活保護担当者や障害者担当に連絡し、退院して居宅で生活する旨の希望を何度も伝えたが、「前例がない。」、「(自分で)居宅を探せば支援する。」などの不合理な理由により退院させてもらえず、現在まで長期間にわたり入院の継続を余儀なくされている。なお、流山市の担当者は、平成24年11月以降、申立人との面談を実施しておらず、申立人の健康状態の確認も行っていない。
2 要望事項
「生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について」(昭和48年5月1日付け社保第87号厚生省社会局保護課長通知)によれば、①福祉事務所が現に入院中の指定医療機関から転院を必要とする理由を徴し、必要止むを得ない理由がある場合には転院を認める、②転院先医療機関から医療要否意見書等の提出を求め、改めて入院承認期間を設定する、③医療扶助の変更決定を行うこととされている。
しかしながら、申立人が健康状態を回復させて退院するためには、投薬治療だけではなく、効果的なリハビリ治療が不可欠なところ、短期間で転院が繰り返すためリハビリ治療の効果が上がらず回復が遅れた上、リハビリ施設のない不適切な医療機関が数多く選択されるなど、転院について必要やむを得ない理由があったとは評価できず、上記通知が全く順守されていない。
そして、申立人のような、生活保護受給者が短期間で繁雑に入退院または転院を繰り返す短期頻回転院の存在は多数報告されており、会計検査院による平成26年3月19日の会計検査院第30条の2に基づく報告、及び総務省による平成26年8月1日の「生活保護に関する実態調査結果に基づく勧告においても、短期頻回転院の問題が指摘され、改善が求められている。また、短期頻回転院の問題は、「次々転院」や「ぐるぐる病院」などと呼ばれて報道されるなど(朝日新聞平成26年8月2日付け朝刊など)、社会的関心も高い。
したがって、上述の短期頻回転院の経緯及び総務省による勧告等を踏まえ、生活保護法第23条1項及び同2項に基づき監査を実行し、流山市に対し、申立人に関する短期頻回転院の実態に関する報告を求め、不必要な転院の即時中止を指示すべきである。
また、申立人の健康状態に鑑みれば居宅保護が可能であるから、流山市に対し、生活保護法第30条第1項に基づき、住宅を確保し、必要な介護サービス等を受けられるよう手配した上で、居宅保護を実施するよう指示すべきである。
許可いただき、掲載してご紹介します(なお、一部イニシャル表記にしています。)
要 望 書
2014年9月3日
厚生労働大臣 田村憲久 殿
千葉県知事 森田健作 殿
●代理人弁護士 山 川 幸 生
同司法書士 後 閑 一 博
同弁護士 中 川 素 充
同弁護士 森 川 清
同弁護士 内 田 明
同司法書士 後 閑 一 博
同弁護士 中 川 素 充
同弁護士 森 川 清
同弁護士 内 田 明
第1 要望の趣旨
生活保護法第23条第1項及び同2項に基づき、流山市に対し、以下のとおり、監査及び指示を行うよう求める。
(1)流山市に対し、申立人に関する短期頻回転院の実態に関する報告を求め、不必要な転院の即時中止を指示すること。
(2)申立人を退院させ、生活保護法第30条第1項本文に基づき、居宅保護を実施するよう指示すること。
第2 要望の理由
1 短期頻回転院の経緯
申立人より聴取した短期頻回転院の経緯は、以下のとおりである。
申立人は、平成19年当時勤務していた株式会社Aの社宅に居住していたところ、平成19年10月23日、突如、ギラン・バレー症候群を発症し、東京大学医学部付属病院(東京都文京区本郷)に緊急入院した。
入院当初の病状は深刻で、自力で身体を動かせないだけでなく、自発的な呼吸も困難な状態であった。平成20年7月29日、身体障害1級の認定を受けた。
東大病院に1年以上入院し、次第に病状は次第に回復していった。平成21年1月頃、申立人は、流山市のB病院に転院した。このとき、同病院の医療ソーシャルワーカーの勧めにより、流山市に住民票を移し、流山市において生活保護を申請し、生活保護を受給するようになった。
その後、別紙のとおり(注:掲載省略)、7年間の間に、1~3か月間の間隔で、合計20箇所以上の病院を転院した。
現在の申立人の病状は、歩行は困難であるものの、車イスを使用すれば移動に支障はなく、病院から外出して、付添なく散歩を行うことが可能である。例えば、平成26年7月にC病院(埼玉県)に入院していたときには、病院から最寄り駅のD駅(病院から約1.3㎞)まで車イスで散歩をしていた。
また、手指については、トイレットペーパーを扱うなど細かな動作を行うことは難しいものの、病院内でエレベータに一人で乗ることや自動販売機で飲み物を買うことは可能であり、介護サービス等の利用ができれば、自宅で一人で生活を送ることが可能である。
申立人は、これまで流山市の生活保護担当者や障害者担当に連絡し、退院して居宅で生活する旨の希望を何度も伝えたが、「前例がない。」、「(自分で)居宅を探せば支援する。」などの不合理な理由により退院させてもらえず、現在まで長期間にわたり入院の継続を余儀なくされている。なお、流山市の担当者は、平成24年11月以降、申立人との面談を実施しておらず、申立人の健康状態の確認も行っていない。
2 要望事項
「生活保護法による医療扶助運営要領に関する疑義について」(昭和48年5月1日付け社保第87号厚生省社会局保護課長通知)によれば、①福祉事務所が現に入院中の指定医療機関から転院を必要とする理由を徴し、必要止むを得ない理由がある場合には転院を認める、②転院先医療機関から医療要否意見書等の提出を求め、改めて入院承認期間を設定する、③医療扶助の変更決定を行うこととされている。
しかしながら、申立人が健康状態を回復させて退院するためには、投薬治療だけではなく、効果的なリハビリ治療が不可欠なところ、短期間で転院が繰り返すためリハビリ治療の効果が上がらず回復が遅れた上、リハビリ施設のない不適切な医療機関が数多く選択されるなど、転院について必要やむを得ない理由があったとは評価できず、上記通知が全く順守されていない。
そして、申立人のような、生活保護受給者が短期間で繁雑に入退院または転院を繰り返す短期頻回転院の存在は多数報告されており、会計検査院による平成26年3月19日の会計検査院第30条の2に基づく報告、及び総務省による平成26年8月1日の「生活保護に関する実態調査結果に基づく勧告においても、短期頻回転院の問題が指摘され、改善が求められている。また、短期頻回転院の問題は、「次々転院」や「ぐるぐる病院」などと呼ばれて報道されるなど(朝日新聞平成26年8月2日付け朝刊など)、社会的関心も高い。
したがって、上述の短期頻回転院の経緯及び総務省による勧告等を踏まえ、生活保護法第23条1項及び同2項に基づき監査を実行し、流山市に対し、申立人に関する短期頻回転院の実態に関する報告を求め、不必要な転院の即時中止を指示すべきである。
また、申立人の健康状態に鑑みれば居宅保護が可能であるから、流山市に対し、生活保護法第30条第1項に基づき、住宅を確保し、必要な介護サービス等を受けられるよう手配した上で、居宅保護を実施するよう指示すべきである。
以上