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11月1日2日に広島にて開催された第34回クレサラ・生活再建問題被害者交流集会(主催:全国クレサラ・生活再建問題対策協議会)にて、当会が提案した以下の決議が採択されました(当会は、第5分科会の生活保護問題分科会を担当)。
住宅扶助基準・冬季加算の引き下げの問題について、簡潔にまとめられたものでもありますので、ぜひご一読下さい。
住宅扶助基準と冬季加算の引下げを許さず、
生活扶助基準の引き上げを求める決議
生活扶助基準の引き上げを求める決議
政府は、2013年、史上最大(最大10%)の生活扶助基準の引下げを決め、これを段階的に実施しているが、来年4月には最後の引下げが予定されている。この引下げは、デフレで物価が下がったことを主な根拠としているが、この間、物価は上がり続けており、特に生鮮食品等の食料や高熱水道費等の生活必需品の高騰が著しい。現在、このように物価の上昇局面にあることからすれば、来年4月に予定されている生活扶助基準の引下げを行う根拠は失われており、むしろ、引き上げがなされなければならない。
ところが、政府は、本年6月の骨太の方針2014において、住宅扶助や冬季加算等について「必要な適正化措置を平成27 年度に講じる」と明記しており、年末の来年度予算編成において、これらのさらなる引下げが決定されることが強く懸念されている。
しかし、社会保障審議会・生活保護基準部会で示された調査結果によれば、国が定めた「健康で文化的な住生活を営む基礎としての住宅の面積水準」である「最低居住面積(設備条件含む)」を満たしている住居に居住している単身被保護世帯は31%に過ぎないこと、「腐朽破損」がある世帯が14%もあること、建築基準法上「既存不適格」とされる危険な住居に住んでいる世帯が43%もあること、エレベータ無し住居が88%を占めていることなど、生活保護利用者の住居の質は極めて劣悪であることが明らかとなった。財務省は「低所得層の家賃に比べて住宅扶助基準が2割高い」とするが、実は、生活保護利用者の家賃実態は低所得層の家賃に比べても低いし、住宅扶助基準を下げても、貧困ビジネスはその不利益を生活保護利用者に転嫁するだけであり、貧困ビジネス規制は別途行わなければ意味がないことからしても、住宅扶助基準を引き下げるべき根拠はない。
また、財務省は、北海道等の寒冷地に支給されている冬季加算は、暖房費の冬季(11月から3月)増加額より高いと指摘し、減額に誘導しようとしている。しかし、通常10月から6月まで暖房を要する寒冷地において、11月から3月とそれ以外の期間を比較すれば差が小さくなるのは当然である。地域別の年間光熱費を比較すると、札幌の暖房消費量は他都市の約5倍であるなど冬季加算の基準が実態と乖離して高額であるとは到底いえない。
生活必需品の高騰の中、生活扶助基準の引下げに加え、住宅扶助や冬季加算まで削減されることとなれば、生活保護利用者の生活にとってまさにトリプルパンチそのものであって、健康を害する人、場合によっては命を落とす人も続出しかねない。
したがって、私たちは、国に対し、住宅扶助や冬季加算の引下げを行わないこと、来年4月の生活扶助基準の引き下げは見送り、むしろ基準を引き上げるべきことを強く求めるものである。
2014年11月2日
第34回全国クレサラ・生活再建問題被害者交流集会in広島 参加者一同