住宅扶助・冬季加算引き下げ対抗チラシ
Q&Aのパンフレット版を作成しました!詳しくはこちらをご覧下さい。
http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/blog-entry-246.html


国は、今年度から生活保護の住宅扶助基準(7月~)と冬季加算(10月~)を多くの地域で大幅に削減する方針を決めました。削減が形式的に徹底されると44万人の利用者が住宅難民化するという深刻な影響が予想されています。

しかし、一方で厚生労働省は、これらについて、経過措置・例外措置を認める通知を出しています。

その内容を、以下のQ&Aにまとめましたので、これを拡散して下さい。
「あきらめないで!闘うすべはある。」を合い言葉に、対抗していきましょう!



住宅扶助基準・冬季加算引き下げ問題Q&A
あきらめないで!闘うすべはある。


住宅扶助編

【住宅扶助基準引き下げの内容】
Q1 2015(平成27)年7月から生活保護の住宅扶助基準が下がると聞きましたが本当ですか。

A 本当です。厚生労働省は、今年7月から生活保護の住宅扶助基準の改定を行います。一部基準が上がる地域もありますが、多くの地域で下がり、年間190億円の削減効果が見込まれています。厚生労働省は、削減の影響を受ける世帯が44万世帯(生活保護世帯の約3割)に及ぶことを明らかにしています(2015年4月8日参議院厚生労働委員会辰巳孝太郎議員の質問に対する答弁)。
例えば、埼玉県2級地では、単身者は4万8000円から4万3000円に5000円ダウン、2人世帯は6万2000円から5万2000円に1万円ダウン、大阪府1級地では、単身者は4万2000円から3万9000円に3000円ダウン、2人世帯は5万5000円から4万7000円に8000円ダウンと、大変な削減額となっています。
 これが杓子定規に適用されると、多くの生活保護利用者が住宅難民化し、ある面、生活扶助基準の引き下げ以上に深刻な事態が生じるのではないかという不安の声が高まっています。
しかし、以下のQ&Aで紹介するように、経過措置や例外措置も定められていますので、これを柔軟に適用させることができれば、かなりの人が救われます。あきらめないでください。

※各地域の新基準額→「H27.4.14社援発0414第9号厚労省社会・援護局長通知別記」 click!

【引き下げの時期】
Q2 改定された新基準はいつから適用されるのですか?


A 2015年7月以降に新たに生活保護を申請する人には新基準が適用されます。しかし、2015年7月以前から生活保護を利用している人に対しては、次の契約の更新時期が来るまで、新基準の適用は猶予されます。契約に更新時期の定めがない人は2016(平成28)年6月まで猶予されます。


【例外措置の内容】
Q3 私には身体障害があり、車いすを利用しているため、部屋の広さやマンションの設備(エレベーター等)が必要で、新基準の家賃で借りられる良い物件は見つかりません。また、高齢で病気もあるため、住み慣れた町を離れたくありませんし、引っ越すと通院に支障が生じると思います。これまでどおりの住宅扶助費を支給してもらって、今の住居に住み続けることはできないのでしょうか?


A あなたのような方は、これまでどおりの住宅扶助費を支給してもらって、今の住居に住み続けることができます。
厚生労働省は、通知(平成27 年4 月14 日社援発0414 第9 号厚生労働省社会・援護局長通知「生活保護法による保護の基準に基づき厚生労働大臣が別に定める住宅扶助(家賃・間代等)の限度額の設定について」)を発出し、新基準を適用しなくてよい、幾つかの例外取扱いを示しています。

1 特別基準の設定
「世帯員数、世帯員の状況、当該地域の住宅事情によりやむを得ない」場合には一般基準の1.3倍~1.8倍の特別基準を設定してもらうことができます(「保護の実施要領について」局長通知第7の4(1)オ)。

 特別基準は、例えば、大阪市の場合(全国も同じ倍率です)、1人:52、000円(40、000円×1.3倍)、2人:56、000円(40、000円×1.4倍)、3人:60、000円(40、000円×1.5倍)、4人:64、000円(40、000円×1.6倍)、5人:68、000円(40、000円×1.7倍)、6人:(5人に同じ)、7人以上:72、000円(40000円×1.8倍)となっています。
多人数世帯の場合、車いす利用等でもともと特別基準を設定されていた場合、都市部等で新基準の家賃で借りられる適切な物件が近隣にない場合などには、この特別基準の設定を求めて福祉事務所と交渉してみましょう。

2 旧基準の適用
次の3つの場合には、引き下げ前の旧基準を適用できます。

(ア)「通院又は通所(以下「通院等」という)をしており、引き続き当該医療機関や施設等へ通院等が必要であると認められる場合であって、転居によって通院等に支障を来すおそれがある場合」
 高齢であったり、障害や病気があって、通院したり施設に通所している方で、主治医や施設職員との信頼関係等から引き続き当該病院等への通院通所が必要な場合で、引っ越すと通院等がしにくくなる場合が、これに当たると考えられます。

(イ)「現に就労や就学しており、転居によって通勤または通学に支障を来すおそれがある場合」
 世帯の誰かが働いていたり、学校に通っていたりしていて、引っ越すと通勤、通学がしにくくなる場合が、これに当たります。

(ウ)「高齢者、身体障害者等であって日常生活において扶養義務者からの援助や地域の支援を受けて生活している場合など、転居によって自立を阻害するおそれがある場合」
 介護が必要な高齢者、身体障害者等で、近隣に住む親族からの援助や、地域の事業所の支援を受けて生活している方で、病気や障害等の特性に対する理解や信頼関係等から、引き続き当該親族や事業所からの支援が必要な場合が典型的な場合です。
 しかし、この規定は、「・・場合など」としていますので、このような典型的な場合でなくても、個別具体的な事情から「転居によって自立を阻害するおそれがある場合」には、幅広く旧基準の適用を認めることができると解すべきです。例えば、介護保険法や総合支援法に基づく住宅改修をすでに行っている住居に居住する者も対象と考えられます。


【転居先の選択権は】
Q4 新基準の家賃で暮らせそうな物件を近隣で探しましたが見つかりませんでした。ケースワーカーにそう報告すると、「A市やB市なら安い物件があるから探す範囲を広げるように。府営住宅にも応募するように」と言われました。私は、今住んでいる町が気に入っているので離れたくありません。
 また、「物件を選ばなければ近隣でもあるはず」と言われるのですが、新基準で借りられる物件だと、今住んでいるアパートよりも広さも設備もかなり悪くなるので住みたいと思えません。
 私はケースワーカーの指示に従わなければならないのでしょうか?


A 従う必要はありません。
1 居住・移転の自由(憲法22条)があります
自己の選択するところに従い様々な自然や人に接し、コミュニケートすることは、個人の人格形成・精神的活動にとって決定的な重要性を持つことから、憲法22条1項は、自己の好むところに居住し、または移転するにつき、公権力によって妨害されないという、居住・移転の自由を保障しています(佐藤幸治「憲法・新版」485頁)。どこに住むかは個人の自由であって、遠い田舎や不便な場所への転居を強いられるいわれはありません。
 したがって、本人の意に反して、住む場所や地域を指定するようなケースワーカーの指導指示は、「保護の目的達成に必要」(生活保護法27条1項)でもなく、「必要の最少限度」
(同法27条2項)とも言えないので、違法無効であって従う必要はありません。

2 劣悪物件への転居は許されません
国は、住生活基本法に基づく住生活基本計画(平成23年3月15日閣議決定)において「最低居住面積水準」(健康で文化的な住生活を営む基礎として必要不可欠な住宅の面積に関する水準)」未達成率を早期に解消することを目標として掲げています。
最低居住面積水準は、単身者で25㎡、2人以上の世帯では10㎡×世帯人数+10㎡です(住生活基本計画別紙4)。また、設備基準(同別紙1)として、「専用の台所その他の家事スペース、便所(原則として水洗便所)、洗面所及び浴室を確保する。ただし、適切な規模の共用の台所及び浴室を備えた場合は、各個室には専用のミニキッチン、水洗便所及び洗面所を確保すれば足りる。」「中高層住宅については、原則としてエレベーターを設置する。」等の基準も定められています。
そして、社会保障審議会生活保護基準部会の平成27年1月9日付報告書(2頁)では、生活保護利用世帯の最低居住面積水準の達成率が一般世帯を大きく下回っていることから、「生活保護利用世帯において、より適切な住環境を確保するための方策を検討することが必要」と指摘されています。また、平成27年5月13日社援保発0513第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知「住宅扶助の認定にかかる留意事項について」の3項も、「福祉事務所は、生活保護受給世帯が(略)受給中に転居する必要がある場合には、最低居住面積水準を満たす等、適切な住宅の確保を図るため、(略)その仕組みづくりに努めること」を特に要請しています。
こうしたことからすると、現住居よりも居住水準が劣悪な物件(特に上記の最低居住面積水準(設備基準を含む)を満たさない物件)への転居は差し控えられるべきです。このような場合は、Q3で述べた「転居によって自立を阻害するおそれがある場合」にあたるものとして旧基準を適用すべきものと考えられます。


【転居指導への対応】
Q5 私たち夫婦は、家賃6万2000円の物件に住んでいます。これまで同額の住宅扶助費が支給されていましたが、基準改定によって5万2000円しか支給されなくなりました。私たちは、住み慣れた今の住居に住み続けたいので、差額の1万円は生活扶助費をやり繰りして支払っています。ところが、担当ケースワーカーからは基準内の物件に転居するよう繰り返し指導され、ついには、「○月○日までに転居しない場合は、指導指示違反で保護の停廃止等があり得る」という指導指示書が届きました。
転居しないと私たちの生活保護は打ち切られてしまうのでしょうか?


A このような指導指示は違法であり、仮に停廃止等がなされれば、それもまた違法であって許されません。設問のような事例では転居をする必要はありません。 
 福岡高等裁判所平成10年10月19日判決(中嶋訴訟)は、「生活保護制度は、被保護者に人間の尊厳にふさわしい生活を保障することを目的としているものであるところ、人間の尊厳にふさわしい生活の根本は、人が自らの生き方ないし生活を自ら決するところにあるのであるから、被保護者は収入認定された収入はもとより、支給された保護費についても、最低限度の生活保障及び自立助長といった生活保護法の目的から逸脱しない限り、これを自由に使用することができるものというべきである。」と判示しています。したがって、生活扶助費をやり繰りして超過家賃分を支払うことは、例えばそのために家賃滞納を繰り返していて生計が破綻している等の事情がない限り、当然許されます。
 このような観点から、生活保護手帳別冊問答集問7-97(単身者が転居指導に応じない場合の取扱い)も、生活保護法第27条に基づく転居指導を行い得るのは「限度額を相当に上回る家賃のアパートに入居しており明らかに最低生活の維持に支障があると認められる場合」に限られるとしています。東京都の運用事例集(2006年)問6-57は、さらに具体的に、「実家賃が少額の基準超過に過ぎない場合については、転居指導を行うその他の合理的な理由を必要とする。すなわち転居費用の扶助額と比較した場合に著しく均衡を欠くような効果しか得られない場合には、転居指導そのものを当面の間留保することも考えられる。合理的な理由に基づく転居指導に従わないことをもって、保護を停廃止する場合には、①当該住宅が地域との均衡を著しく失していることによって、適正な水準の保護が実施できない客観的な根拠の明示を必要とし、さらに、②事前に適切な指導指示を十分に行っていること、③弁明の機会の提供等、適正な手続が行われていることが前提となる。」としています。
 設問のように、生活扶助費のやり繰りで超過家賃分を支払い、何とか生計を維持できている場合には、そもそも27条による指導指示を行うこと自体が許されません。仮に、指導指示書を出したとすれば、当該指導指示は無権限による無効であり、指導指示違反による保護の停廃止も当然違法ということになります。


【転居する場合】
Q6 私は、やむを得ず転居しようと思うのですが、その場合、転居費用はどうなるのでしょうか?


A 転居先住居の敷金・日割り家賃や引っ越し代については生活保護費から支給されます。


冬季加算編

【冬季加算削減の内容】
Q7 生活保護基準の改定によって、冬季加算額が大幅に減額されると聞きましたが、本当でしょうか?


A 本当です。冬季加算については、下記のとおり、一部地域では支給月数が増やされる一方、各月の支給金額は大幅に減らされ、単年度で30億円の削減効果が見込まれています。このため、特に寒冷地では暖房費を削らざるを得ず、高齢者や傷病者等の健康に悪影響が出ることが懸念されています。
(地区) (支給月) (見直し幅)
 Ⅰ区 10~4月  △19%
 Ⅱ区 10~4月  △20%
 Ⅲ区 11~4月  △17%
 Ⅳ区 11~4月  △1%
 Ⅴ区 11~3月  △17%
 Ⅵ区 11~3月  △6%



【例外措置(1.3倍)の内容】
Q8 私の世帯では、母が寝たきりで1日中家の中にいるため光熱費が大変かさみます。基準改定で冬季加算が大幅減額されると暖房費が支払えなくなり家計が破綻してしまうのではないかと大変心配です。何とかならないのでしょうか?


A 厚生労働省社会・援護局保護課長は、平成27年5月14日付けで「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」という通知を出して、実施要領第7の問29と問29の2を改正・新設し、設例のようなケースを含め、以下のような場合に地区別冬季加算額の1.3倍の額を認定してよい、とする例外措置を認めています。
 ぜひ、この例外にあたることを福祉事務所に積極的に訴えていきましょう。

① 重度障害者加算を算定している者又は要介護度が3、4若しくは5である者であって、日常生活において常時の介護を必要とするため、外出が著しく困難であり、常時在宅している生活実態にある者(介護人の支援を受けて、通院等のために外出することがある者を含む)(問29)
② 医師の診断書等により、傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない状態にある者(問29)
③ 傷病、障害等による療養のため外出が著しく困難であり、常時在宅せざるを得ない者又は乳児が世帯員にいる場合(問29の2)



対応策編

【どう闘うか】
Q9 さまざまな例外措置があることは分かりました。私も、「この例外措置にあたるのではないか」と思う点がいくつかありますので、ケースワーカーに言ってみましたが聞き入れてくれません。どのようにすれば良いでしょうか?
 結果的に例外扱いが認められずに原則どおり引き下げられてしまった場合や、転居指導に違反したとして保護を停廃止されてしまった場合、争う方法はありますか?
 

A 「この例外措置にあたるのではないか」と思う点があるのであれば、「かくかくしかじかの具体的な事情から、○○という例外措置にあたると思うので認めてほしい」ということを書面に書いて「申入書」などの形で福祉事務所に提出しましょう。その具体的事情があなたの抱えている傷病や障害に関係することであれば、主治医に診断書や意見書を書いてもらったり、介護サービスに関係することであれば、サービス事業所やケアマネージャー等に意見書を書いてもらって添付できるとより良いでしょう。
 原則どおりに引き下げられてしまった場合には、引き下げられた金額による保護変更決定通知書を受け取った日の翌日から60日以内に都道府県知事に対して審査請求をすることができます。また、転居指導違反で保護を停廃止された場合にも、同様に審査請求をすることができます。審査請求をしておけば、あとで決定の取消しを求める裁判を提起することもできます。非人道的な取り扱いに対して抗議の意思を示し、是正させるためにも積極的に審査請求をしていきましょう!



申入書書式
福祉事務所への申入書
印刷用(PDF)をダウンロードする


関連する通知
H27.4.14社援発0414 第9 号厚生労働省社会・援護局長通知「生活保護法による保護の基準に基づき厚生労働大臣が別に定める住宅扶助(家賃・間代等)の限度額の設定について」
「H27.4.14社援発0414第9号厚労省社会・援護局長通知別記」
H27.5.13社援保発05133第1号厚生労働省社会・援護局保護課長通知「住宅扶助の認定にかかる留意事項について」
H27.5.14付け「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」(局長通知・課長通知)

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