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 小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」等の不適切な表記のあるジャンパーを作成着用していた問題に関し,同市が設置した「生活保護行政のあり方検討会」が,本日,報告書をとりまとめたことをふまえ、当会は、本日以下の声明を発表しました。




2017年4月6日


小田原市の生活保護行政のあり方検討会報告書の
とりまとめにあたっての声明


生活保護問題対策全国会議


 小田原市の生活保護担当職員が「保護なめんな」等の不適切な表記のあるジャンパーを作成着用していた問題に関し,同市が設置した「生活保護行政のあり方検討会」が,本日,報告書をとりまとめ,同市長に提出した。

 既に,本年2月9日付緊急声明で述べたとおり,同検討会の委員として,学識経験者等のみならず,生活保護利用者の権利擁護に取り組んできた森川清弁護士と元生活保護利用者の和久井みちる氏を招聘したこと,特に元であれ生活保護利用当事者を委員として招聘したことは,それ自体が画期的なことである。当事者の声を直接制度の改善に反映させようとした小田原市の英断は,改めて高く評価されるべきである。

 また,同市は,検討会の運営にあたっても,要望を取り入れて希望者全員が傍聴できるよう最善の配慮を払い,検討会開催後速やかに配布資料をホームページにアップし,議事録についても比較的速やかに全面公開した。このような検討会の運営方法の透明性の高さも,評価されるべきである。

 検討会は,本年2月28日の第1回から3月25日の第4回のわずか1か月間というハイスピードで報告書を取りまとめた。拙速に過ぎるという懸念もあったが,蓋を開けてみれば,どの委員も真摯に忌憚のない意見を述べ,充実した議論が行われた。
同市に寄せられた声の中には担当職員らの行為を支持するものも相当数あったが,検討会は,経過を詳細に分析し,問題点を深く掘り下げる中で,職員らの行為を「愚かな行為」と位置づけ,検討会の第一の目的を「生活保護受給者の権利を守ること」と明確にしたうえで議論を重ねた。これは,当然のこととはいえ,昨今の「弱者バッシング」が蔓延する風潮の中で特に貴重な意味をもつものである。

 取りまとめられた報告書の内容を見ても,問題点として,①ジャンパー作成のきっかけとなった10年前の傷害事件について市側の対応に問題があったこと,②援助を受ける側の視点を欠く等ケースワーカーの専門性の欠如,③女性職員の少なさ,④申請から決定までの期間の長さ(法定期限の不遵守),⑤母子世帯率の低さ,⑥辞退廃止数の多さ,⑦扶養義務者調査の厳しさといった点が指摘され,改善策として,①当事者の声を聴くための無記名アンケート等,②外部の専門家を招いた研修等の強化,③標準数を充足する職員配置と社会福祉士,精神保健福祉士等の有資格者の採用,④保護のしおりや各種実務マニュアル等の見直し,⑤弁護士会等の法律専門家との連携といった提言もなされており,触れるべきと考えられる点がほぼ網羅的に言及されている。

 以上のとおり,今般の検討作業は,あらゆる面において,良い意味で異例であり,短期間で充実した報告書を取りまとめた検討会委員諸氏と,これを事務的に支えた小田原市職員諸氏に,心から敬意を表したい。

 しかし一方,今般の検討作業によって,小田原市の保護行政に大きな問題が厳然としてあることがより一層明確になった。問題はまだ何も解消されておらず,これまでの保護行政を抜本的に変えること,市民が安心して相談できるように改善することは,すべてこれからの課題である。
 私たちは,今後,報告書が指摘した問題点等が着実に改善されることによって,生活保護利用当事者と職員の関係性が相互の「信頼と尊敬」に変化することを望む。そして,ケースワーカーが市民に寄り添う姿勢に立ち,仕事に誇りとやりがいを感じるようになること,そのことが生活保護利用当事者や市民に実感として受け止められるようになることを強く求める。
 私たちは,引き続き同市の取り組みを注視するとともに,変革のために必要な支援・協力をしていく用意があることを改めて表明するものである。

 また,私たちは,今回の問題が,小田原市だけの問題ではないことを,数々の相談事例や取り組みの中で,痛感している。「見えないジャンパー」を着て生活保護利用当事者に接しているケースワーカーは,全国の福祉事務所に多数存在する。
 今回の報告書で指摘された問題点と改善策が,全国の生活保護の現場でも「他山の石」として是非とも生かされることとなるよう,私たちは,そのための活動を今後さらに強めて行く決意である。

以 上



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