東北生活保護利用支援ネットワークが自治体HPの調査を実施しました。
東北生活保護利用支援ネットワーク
東北生活保護利用支援ネットワークでは、今年度、東北地方の各自治体(県を含む。)のホームページに生活保護制度の説明が掲載されているかを調べた。そのきっかけとなったのは、「『生活保護なめんな』ジャンパー問題」で話題になった小田原市のホームページに、生活保護制度の説明に関して問題のある記載が見られたことである。同様の記載が無いか、東北地方の自治体のホームページを見ていったところ、そもそもホームページが無い自治体が散見されたため、まずはホームページの有無について調査を行うこととした。
独自調査の結果、生活保護制度の情報が掲載されていないことを確認した自治体には、今後そのようなページを作成する予定があるか否かを尋ねるアンケート調査を実施した。
1 生活保護制度を説明したページのある自治体の数
青森県 41自治体中22自治体(53.7%)
岩手県 34自治体中21自治体(61.7%)
秋田県 26自治体中18自治体(69.2%)
宮城県 36自治体中23自治体(63.9%)
山形県 36自治体中16自治体(44.4%)
福島県 60自治体中17自治体(28.3%)
全体 233自治体中117自治体(50.2%)
2 講評
(1)生活保護制度を説明するページの有無
◯県によって大きなバラツキがあった。秋田県で多いのは、生活保護についての運動団体が強いことも影響していると思われる。
◯福島市は、県庁所在地では唯一、生活保護制度の説明ページを持っていなかった(同市は、給付型奨学金を収入認定するという誤った運用を行い、厚労省から処分取消裁決を受けた自治体でもある)。
◯町村ではホームページを持っていない自治体が多かった。ただ、その理由として、生活保護を実施する責任が県にあるためとの回答が複数見られた。しかし、生活保護制度の相談は、町村が第1次的には受けることになっている。町村のホームページに記載が無いとすれば、どこに相談に行って良いかの情報を、住民が得られないことになる。
◯今回は掲載内容を問う調査ではないが、極めて簡素な説明に留まるページも多く、また、内容的にも問題のあるもの(扶養義務を強調するもの等)もあり、今後は内容面の調査も必要と思われる。
(2)生活保護制度を説明するページを作成する予定の有無
◯「有り」や「検討中」という回答が多かったが、「無し」という回答も少なくなかった。しかし、生活保護という重要な制度の情報を、ホームページに載せないことは望ましくない。
◯今回の調査を受けて、ホームページに生活保護制度の説明をするページを作ったとの回答も複数あり、その重要性を受け止めてもらえたことは良かったと考える。
[調査結果]
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