通院移送費の不支給決定の違法性が認められた奈良地裁判決は、奈良市が控訴せず4月11日確定しました。
原告H氏は判決確定を見届けたうえ、翌12日未明に亡くなりましたが、「本件個別事案についての認定であり、通院方法に関する奈良市の認定方針に影響するものではない」との奈良市のコメントには疑問が残ります。原告弁護団と原告の声明をご覧ください。
[弁護団声明文]
生活保護の通院移送費制度のあり方が争われた奈良地方裁判所平成27年(行ウ)第31号 保護変更申請却下処分取消等請求、国家賠償請求事件については、原告及び被告のいずれからも控訴はなされず、昨日、奈良地方裁判所の判決が確定しました。
しかし、原告であるH氏は、判決確定を見届けたうえ、昨日未明に亡くなられました。
私たちとしては、国家賠償請求を全く認めなかった判決には不満もありますが、当事者である原告H氏の体調等にも鑑み、早期の解決及び救済のため、あえて控訴をしないこととしていました。しかし、最終的な救済が間に合わなかったことは大変に残念です。
今後、H氏の死去を受けて、奈良市が、判決で命じられた通院移送費の支給決定及びその支払をどのように取り扱うかは未だ不明です。しかし、奈良市においては、4月6日の時点でもはや控訴はしないということを対外的にも表明しており、そうであればその時点で速やかに決定及び保護費支払を行っていればよかったのですから、今更決定をしない、支払をしないということは許されないと考えます。
判決確定を受けての発表を準備していたH氏のコメントをここに掲載します。
判決は確定しますが、問題はこれからです。今回のことだけでなく、奈良市がこれからどのように考えてくれるのかということです。
奈良市の対応はクエスチョンマークがつきます。奈良市には疑問の残る対応をしてほしくありません。
様々な意見があると思いますが、議論の上、受給者や対象となりうる市民に対応する立場にある人たちが、意思を継いで、福祉行政のあるべき姿を目指して取り組みを続けていってほしい、是非とも実行してほしいと考えています。視点を変えれば全てのものごとは分かります。それぞれが主体となって警鐘を鳴らしてほしいと考えています。
ご支援いただいたみなさまには感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
私たちは、本件を受けて、奈良市及びその他の実施機関が、通院移送費制度を生活保護利用者にきちんと周知及び教示することを望みます。この点、奈良市は、奈良地裁判決について、「奈良市の保護費支給の基準ないし方針が誤ったものであるとは認定されておらず、本件はあくまで個別事案についての判断であり、本判決の確定によっても、今後の奈良市の方針変更を要する等保護行政の適正な執行に支障を来すものではなく、かつ過去の別件事案の適法妥当性に影響を与えるものではないことを確認しました」とコメントしていますが、確かに判決の判断はそこまで踏み込んだものでなかったとはいえ、しかし、奈良市のこれまでの通院移送費制度についての態度が法の趣旨に沿ったまっとうなものであったとは、私たちは必ずしも考えておりません。
したがって、私たちは、H氏の遺志に沿って、引き続き、生活保護利用者及びその支援者と連携して、生活保護行政が真に利用者のためにあるように、改善の取り組みを続けていく所存です。
最後になりましたが、本件活動を様々な面で支えていただいた奈良及び全国の支援者のみなさんに対し、ひとまず現時点でお礼を申し上げます。ありがとうございました。
[原告声明文]
一ヶ月約6万円の暮らし。私の悩みや質問、相談について役所はまるでひとごとのように接し、相手を理解しようとしませんでした。
移送費の問題は私だけの問題じゃない、そして移送費だけの問題ではない、受給者・貧困者・対象となりうる市民に対する行政の考え方を改めてほしいと願い多くの支援者に囲まれながら提訴に至りました。奈良市でも見えない小田原ジャンパーを着て職務にあたっていると感じています。
表面上は適当な答えや対応をするが基本的な考え方そのものは、意識しないうちに差別してしまっている、役所という組織が少しでも変われば意義がある、なんとか最後まで頑張りたい。最後を見ることができなくとも最後まで頑張りたい、この後、困っている多くの人たちのためにいい影響力を残すような方向ですすめたいと願っています。今後の生活保護行政のよりよい改善を求めています。
その後、奈良市は変わるのか、継続して役所のあり方を注視・監視していただきたいと思っています。
判決は確定しますが、問題はこれからです。今回のことだけでなく、奈良市がこれからどのように考えてくれるのるかということです。
奈良市の対応はクエスチョンマークがつきます。奈良市には疑問の残る対応をしてほしくありません。
様々な意見があると思いますが、議論の上、受給者や対象となりうる市民に対応する立場にある人たちが、意思を継いで、福祉行政のあるべき姿を目指して取り組みを続けていってほしい、是非とも実行してほしいと考えています。視点を変えれば全てのものごとは分かります。それぞれが主体となって警鐘を慣らしてほしいと考えています。
ご支援いただいたみなさまには感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
原告H氏は判決確定を見届けたうえ、翌12日未明に亡くなりましたが、「本件個別事案についての認定であり、通院方法に関する奈良市の認定方針に影響するものではない」との奈良市のコメントには疑問が残ります。原告弁護団と原告の声明をご覧ください。
[弁護団声明文]
生活保護「改正」法案の一部削除等を求める意見書
2018(平成30)年4月12日
声明文
原告H氏代理人弁護士 古川雅朗
同 西村香苗
同 佐々木育子
同 幸田直樹
記
生活保護の通院移送費制度のあり方が争われた奈良地方裁判所平成27年(行ウ)第31号 保護変更申請却下処分取消等請求、国家賠償請求事件については、原告及び被告のいずれからも控訴はなされず、昨日、奈良地方裁判所の判決が確定しました。
しかし、原告であるH氏は、判決確定を見届けたうえ、昨日未明に亡くなられました。
私たちとしては、国家賠償請求を全く認めなかった判決には不満もありますが、当事者である原告H氏の体調等にも鑑み、早期の解決及び救済のため、あえて控訴をしないこととしていました。しかし、最終的な救済が間に合わなかったことは大変に残念です。
今後、H氏の死去を受けて、奈良市が、判決で命じられた通院移送費の支給決定及びその支払をどのように取り扱うかは未だ不明です。しかし、奈良市においては、4月6日の時点でもはや控訴はしないということを対外的にも表明しており、そうであればその時点で速やかに決定及び保護費支払を行っていればよかったのですから、今更決定をしない、支払をしないということは許されないと考えます。
判決確定を受けての発表を準備していたH氏のコメントをここに掲載します。
判決は確定しますが、問題はこれからです。今回のことだけでなく、奈良市がこれからどのように考えてくれるのかということです。
奈良市の対応はクエスチョンマークがつきます。奈良市には疑問の残る対応をしてほしくありません。
様々な意見があると思いますが、議論の上、受給者や対象となりうる市民に対応する立場にある人たちが、意思を継いで、福祉行政のあるべき姿を目指して取り組みを続けていってほしい、是非とも実行してほしいと考えています。視点を変えれば全てのものごとは分かります。それぞれが主体となって警鐘を鳴らしてほしいと考えています。
ご支援いただいたみなさまには感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。
私たちは、本件を受けて、奈良市及びその他の実施機関が、通院移送費制度を生活保護利用者にきちんと周知及び教示することを望みます。この点、奈良市は、奈良地裁判決について、「奈良市の保護費支給の基準ないし方針が誤ったものであるとは認定されておらず、本件はあくまで個別事案についての判断であり、本判決の確定によっても、今後の奈良市の方針変更を要する等保護行政の適正な執行に支障を来すものではなく、かつ過去の別件事案の適法妥当性に影響を与えるものではないことを確認しました」とコメントしていますが、確かに判決の判断はそこまで踏み込んだものでなかったとはいえ、しかし、奈良市のこれまでの通院移送費制度についての態度が法の趣旨に沿ったまっとうなものであったとは、私たちは必ずしも考えておりません。
したがって、私たちは、H氏の遺志に沿って、引き続き、生活保護利用者及びその支援者と連携して、生活保護行政が真に利用者のためにあるように、改善の取り組みを続けていく所存です。
最後になりましたが、本件活動を様々な面で支えていただいた奈良及び全国の支援者のみなさんに対し、ひとまず現時点でお礼を申し上げます。ありがとうございました。
以上
[原告声明文]
奈良市通院移送費裁判判決確定にあたって
2018年4月7日
原告H
一ヶ月約6万円の暮らし。私の悩みや質問、相談について役所はまるでひとごとのように接し、相手を理解しようとしませんでした。
移送費の問題は私だけの問題じゃない、そして移送費だけの問題ではない、受給者・貧困者・対象となりうる市民に対する行政の考え方を改めてほしいと願い多くの支援者に囲まれながら提訴に至りました。奈良市でも見えない小田原ジャンパーを着て職務にあたっていると感じています。
表面上は適当な答えや対応をするが基本的な考え方そのものは、意識しないうちに差別してしまっている、役所という組織が少しでも変われば意義がある、なんとか最後まで頑張りたい。最後を見ることができなくとも最後まで頑張りたい、この後、困っている多くの人たちのためにいい影響力を残すような方向ですすめたいと願っています。今後の生活保護行政のよりよい改善を求めています。
その後、奈良市は変わるのか、継続して役所のあり方を注視・監視していただきたいと思っています。
判決は確定しますが、問題はこれからです。今回のことだけでなく、奈良市がこれからどのように考えてくれるのるかということです。
奈良市の対応はクエスチョンマークがつきます。奈良市には疑問の残る対応をしてほしくありません。
様々な意見があると思いますが、議論の上、受給者や対象となりうる市民に対応する立場にある人たちが、意思を継いで、福祉行政のあるべき姿を目指して取り組みを続けていってほしい、是非とも実行してほしいと考えています。視点を変えれば全てのものごとは分かります。それぞれが主体となって警鐘を慣らしてほしいと考えています。
ご支援いただいたみなさまには感謝申し上げます。ほんとうにありがとうございました。