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6月6日の電話相談会を受けて、実行委員会では、6月17日以下のとおりの要望書を提出しました。

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内閣総理大臣 安倍晋三 殿
厚生労働大臣 加藤勝信 殿
総務大臣 高市早苗 殿
内閣府特命担当大臣(経済財政) 西村康稔 殿
財務大臣兼内閣府特命担当大臣(金融) 麻生太郎 殿

要 望 書
~“不安”や“苛立ち”が、“諦め”と“絶望”に変わる前に


2020(令和2)年6月17日

コロナ災害を乗り越える
いのちとくらしを守る なんでも電話相談会 実行委員会


第1 はじめに
 私たちは、全国69の諸団体、弁護士、司法書士、社会福祉士等のソーシャルワーカー、労働組合・支援団体関係者で臨時に結成した実行委員会です。
 本年4月18日(土)・19日(日)に実施した電話相談会に5009件もの相談が殺到(総アクセス数42万件)したことから、私たちは、継続的に相談会を実施することとし、体制を拡充して6月6日(土)午前10時~午後10時に電話相談会を実施しました。
 前回は、緊急事態宣言が出された直後で、何の支援策も具体化していなかったのに対し、今回は、緊急事態宣言が解除された後で、不十分ながら幾つかの支援策が動き始めていたことや報道量の差もあったからか、前回に比べると相談数は減りました。しかし、それでもなお1217件という非常に多くの相談が寄せられ、相談の内容は一層深刻さを増していました。
 前回の相談者の方々の声が、「先が全く見えない、強い不安に押しつぶされそうな呻き声」だとすれば、今回のそれは、「生活が一層追い詰められているのに必要な支援が一向に届かない、という苛立ち」でした。
 仮に、今後とも、国が必要な支援策を迅速に講じない事態が続くようであれば、「不安」や「苛立ち」は、国への信頼や人間らしく生きる希望を失わせ、「諦め」や「絶望」に変化していくことが強く危惧されます。

第2 要望事項
 前回の相談会を踏まえ、私たちは、①とにかく一刻も早く、②直接当事者に対し、③自宅や店舗を維持確保し、生活を支えるための現金給付を、④単発ではなく継続的に行うこと、⑤当面の生活を圧迫する納税や債務の弁済につき一時的にその支払いから解放することが必要であるとして、横断的な施策の早期実現を求めました。
その一部は実現又は実現見込みではあるものの、ほとんどは実現未了です。
そこで、私たちは、日本国内に「諦め」と「絶望」が蔓延し、取り返しのつかない悲劇がもたらされる前に、一刻も早く以下の諸施策を実現するよう、改めて強く求めるものです。(なお、施策の進捗が分かるよう前回提言後、実現又は実現見込みの事項は見え消ししています。

1 広報・相談体制の拡充と手続の簡略化による迅速な救済を
① 政府広報やマスコミ等を通じての情報提供を徹底し、外国人にも情報が行きわたるよう多言語での情報発信を行うこと
各種相談窓口(雇用、生活保護、生活困窮、社会福祉協議会等)において専門性があり待遇を保障された正規公務員・職員を大幅に増員し、「相談崩壊」を防止すること
介護・福祉事業従事者に支給予定の慰労金(二次補正)は、生活困窮者相談支援員、社協職員、保育士等に対しても支給すること
③ 迅速な決定と感染拡大防止のため、オンライン申請の導入、調査事項・提出書類の簡素化等によって、各種の手続(生活保護、雇用保険求職者給付、各種貸付、臨時の給付金等)をできる限り簡略化すること

2 自営業者・フリーランス等の業務と生活基盤の確保を
① 自営業者・フリーランス等に対する安易な契約解除・打ち切りを規制すること
② 少なくとも店舗の家賃、光熱費基本料金等業務基盤の維持に不可欠な経費を継続的に給付すること(仮称「店舗等確保給付金」の創設)【二次補正「家賃支援給付金」】
③ 自営業者・フリーランス等についても、3で述べるのと同等の雇用保険の求職者給付(いわゆる失業手当)を受給できる特例措置を講じること【二次補正で持続化給付金の支給要件緩和?】

3 正社員・契約社員・パート等の職場と生活基盤の確保を
安易な解雇・雇止めを規制すること
② 外国人労働者を含め、6カ月の被保険者期間がなくても雇用保険の求職者給付を受給できる特例措置を講じること
「激甚災害に対処するための特別の財政援助等に関する法律」25条の「雇用保険法による求職者給付の支給に関する特例」を活用又は準用して、事業者が休業した場合に、雇用者が実際には離職していなくても失業しているものとみなすことにより、雇用者が求職者給付を受給できるようにすること【二次補正】
「自己都合退職」について、3カ月の受給制限期間なく求職者給付を受給できるようにすること
⑤ もともと低賃金であったため通常の求職者給付の金額で生活できない者に対しては、平均賃金の最大10割の給付を受けられるようにすること
求職者給付の給付日数を大幅に増やすこと

4 債務・税金等の支払い負担からの一時的解放を
① 銀行等の金融機関に対する住宅ローン・事業者ローン・カードローン等の各種借入れ債務の支払いを猶予し、利息・遅延損害金の発生を止めること
② 個人再生手続における再生計画に基づく返済期間の進行を停止すること
③ 国税、地方税、社会保険料を問わず、法定期限の到来の前後を問わず、延滞税を免除した上で納税を猶予する制度を創設すること
④ 明らかに資産の余裕がある案件を除いては、滞納処分に基づく差押を差し控えること
⑤ 納税者からの各種申出に対し、これまで以上に生活・事業の維持により一層配慮した丁寧な聞き取りをすること

5 生活の基盤である住まいの確保を
① 住居確保給付金の「求職の申込み・求職活動」要件を完全に撤廃
し、失業に至っていない者、自営業者・フリーランス等も利用できることを明確にすること
住居確保給付金の支給額の上限を撤廃し家賃の実額を支給すること
③ 家賃滞納を理由とする賃貸借契約の解除及び立退き要請を規制すること
④ 住居喪失者に対し、災害救助法における「みなし仮設住宅」制度を参考に、公的住宅(公営・UR・公社)の空き室、行政が借り上げた民間住宅の空き家・空き室を無償提供すること

6 生活保護の適用要件の緩和による生活の保障を
生活保護に対する誤解や偏見を払拭するための広報を行うこと
オンラインや郵送での申請を認めること
③ 緊急性のある案件では即日で保護開始決定をすること
④ 預貯金等の資産は最低生活費の3カ月分まで保有を認めること(現在は1カ月分)
自動車の保有を認めること
⑥ 開始時の資産調査は自己申告を前提とし簡略化すること
⑦ 原則として扶養義務者に対する扶養照会を行わないこと
住宅扶助の上限を撤廃し、家賃の実額を支給すること
大学生等への「世帯分離」を止め、保護の適用を認めること
⑩ 生活保護の準用を認める外国人の在留資格について、オーバーステイ等も対象とする要件緩和を行うこと

7 すべての人に対し速やかに10万円の「特別定額給付金(仮称)」の支給を
① 定額給付金に準じて生活保護の収入認定除外をする処理基準を設定すること
② 住民票所在地に居住していないDV被害者・長期入院患者・ホームレス生活者・受刑者等にも支給できる体制を構築すること。特に、ホームレス生活者について支給を受けられる方途を構築すること
③ 求職者給付等の他の所得補償制度が整備されるまでは、随時、追加支給すること

第3 今、特に求められる視点や施策
本要望書では、前回と今回の相談傾向の変化等をふまえて、今、特に求められる視点や施策について、以下のとおり指摘します。

1 非正規を中心とする労働相談の増加
(1) 相談傾向

20200606要望書~労働相談の傾向

 今回の相談では、前回と比べて労働相談が大幅に増えたのが特徴です。パート・アルバイトからの相談が10.0%から22.9%へと2倍以上増えたのを筆頭に、契約社員や派遣からの相談も増え、これらの非正規労働者からの相談割合は16.4%も増えました。また、正規労働者からの相談も6.8%から13.3%へとほぼ倍増しています。
  このことは、相談分野別で、労働問題の相談が14.2%から26%へと倍近く増加していることにも表れています。
  相談内容としては、正社員・非正規社員を問わず、解雇・雇い止めされたという相談や、休業手当を支払ってもらえないという相談が多数見られました。
(2) 求められる施策
  そこで、第2の3にあるように「安易な解雇・雇い止めの規制」をより一層強化することが必要です。具体的には、労働基準監督署による指導を強化することや、国や自治体が労働組合や労働者支援のNPO等の役割・存在を広報・支援することが求められています。
  また、もともと給付要件の厳しさや給付期間の短さから失業者の2割程度しか求職者給付を受給できていないという現状を改め、第2の3のとおり求職者給付の受給要件と受給期間等の大胆に緩和することが必要不可欠です。

2 高齢労働者からの相談の増加
(1) 相談傾向

20200606要望書~高齢者相談の傾向

 今回の相談では、70代以上の高齢者からの相談が、前回の20.3%から25.7%に5.3%も増えたことが特徴的でした。
 典型的な相談は、無年金・低年金のためパート・アルバイト等で働いていた高齢者が、コロナ危機の影響で失業した若い人たちとの競争に負けて失業又は休業に追い込まれ生活していけない、というものです。
 こうした方々は、本来、生活保護を利用すれば良いのですが、2012年からの激しい“生活保護バッシング”の影響のためか、「生活保護は使いたくない」という忌避感を示す方々が少なくありませんでした。
(2) 求められる施策
 ア 使いやすい生活保護制度へ
 生活保護に対する忌避感には、世代を問わず大きなものがあります。今こそ、先進国に例をみない「生活保護」という恩恵的な名称を「生活保障法」等に変え、「生活に行き詰まったら迷わず堂々と生活保護の利用を!」と第2の6のとおり、政府広報等を行うことや、資産要件や審査を緩和し、扶養調査を原則廃止するなどして、制度のスティグマ(恥の意識)を払拭することが必要です。
また、感染拡大防止が言われる中、未だに申請書の窓口常置さえせず面談申請を墨守する運用を改め、他の諸手続と同様にオンライン申請を導入し、迅速な保護開始を可能とすべきです。
 イ 年金・住宅手当制度による基礎生活保障へ
 高齢になっても働き続けなければならないのは、年金と住宅手当(家賃補助)制度が不備だからであり、先進諸外国と同様に高齢者や障害者については、年金と住宅手当で基礎的な生活保障が行われる必要があります。
 そこで、第2の4のとおり、直ちに住居確保給付金の支給要件と支給額を緩和して先進国並みの住宅手当(家賃補助)制度に脱皮させるとともに、中期的には基礎年金額を生活できる金額に引き上げることが必要です。

3 「とにかく遅い。早くして欲しい」という不満と要望
(1) 相談傾向

20200606要望書~早く!!

 国の施策への評価については、前回に比べ評価する声が21%減り、評価しない声が5.8%増えました。
前回、今回通じて、制度の構築や支援金の支給がとにかく遅いから早くしてほしいという、不満や要望が多数寄せられています。
 その中には、制度構築が遅い、使いにくいという政府や省庁に対する不満もあれば、窓口が混雑していてつながらない、窓口の職員が不親切であるといった自治体等の窓口運用に対する不満もありました。
 その背景には、この間の「官から民へ」の流れの中で、公務員の数が減らされ、非正規化され、外部委託化されてきたため、福祉行政を最前線で担う、生活困窮者相談窓口、社会福祉協議会、生活保護ケースワーカー等が少ない人員と劣悪な待遇で多くの相談に対応するため、適切にさばき切れなくなっているという状況があります
(2)求められる施策
 福祉行政・労働行政等を最前線で担う職員は、医療従事者同様のエッセンシャルワーカーといえます。「相談崩壊」を防ぎ、相談需要に迅速かつ適切に対応するためには、「官から民へ」の流れを逆回転させる必要があります。
すなわち、福祉行政の最前線において、専門性があり待遇を保障された正規公務員を大幅に増加させ、社会福祉協議会等の福祉職の待遇を改善することが必要です。

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