印刷版(PDF)のダウンロードはこちらから
本日、「菅新政権に対し,「自助」の強調ではなく,生活扶助基準のさらなる引下げの凍結や,生活保護制度に対する偏見を払拭するための広報を行うことを求める声明」を発送しました。
菅新政権に対し,「自助」の強調ではなく,生活扶助基準のさらなる引下げの凍結や,生活保護制度に対する偏見を払拭するための広報を行うことを求める声明
本年9月16日,第99代総理大臣に就任した菅義偉首相は,目指す社会増は「自助,共助,公助」であるとし,「まず自分でできることは自分でやってみる」と「自助」の重要性を繰り返し強調している。また,自民党総裁選のさなかには,テレビ番組で,アベノミクスの成果として「生活保護世帯が減った」と誇った。
確かに,生活保護利用人員は,2013年4月の215万1843人から本年6月の205万5531人へと10万人弱減っているが,生活保護利用世帯数は,同じ期間で157万2966世帯から163万6596世帯へと,6万3600世帯も増えている。
しかも,利用人員の減少は,安倍政権下で,相次ぐ生活保護基準の引下げが行われ,特に多人数世帯の基準が大幅に下がったことに起因している。すなわち,国は,2013年8月から3回に分けて生活扶助基準を平均6.5%,最大10%引下げ,2015年度からは住宅扶助基準と冬季加算を引下げ,2018年4月から3回に分けて生活扶助基準を平均1.8%,最大5%引下げ,母子加算等も引下げつつある。自ら利用のハードルを上げておいて,利用者数の減少を誇るというのは,牽強付会と言わざるを得ない。
また,利用のハードルを上げたにもかかわらず,利用世帯数が増えているのは,単身高齢者を中心とする多くの庶民がアベノミクスの恩恵に与ることなく,より一層貧困化していることを意味している。
にもかかわらず,本年10月1日からは,2018年からの引下げの3回目が実行されようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で生活に困窮する人々が激増し,生活保護制度が果たす役割がより一層重要となっている中,さらに生活保護の利用のハードルを上げるのは到底許されることではない。国は,さらなる生活保護基準の引下げを凍結するとともに,2013年からの引下げの前の水準に戻すべきである。
ところで,上記の一連の生活保護基準引下げは,2012年春,人気タレントの親族が生活保護を利用していたという報道を契機とした“生活保護バッシング”に端を発している。このバッシングは,同年4月,「自助・自立を基本」に「生活保護給付水準の10%引き下げ」や「医療扶助の大幅な抑制」などの「生活保護制度見直し」政策を打ち出した,自民党の生活保護プロジェクトチームの中心メンバーである世耕弘成議員や片山さつき議員らが主導したものである。そして,同年12月,同様の政策を政権公約に掲げた自民党が政権を奪取し,安倍政権のもとで上記の一連の保護基準引下げを実行してきたという経緯がある。
この“生活保護バッシング”の影響で,一般市民の中に生活保護に対する誤解や偏見が広く深く浸透してしまった。コロナ禍の状況下で本来は生活保護制度を利用した方が良いのに,これを強く忌避する人も多く,このままでは健康や生命の危機にさらされる人々が激増し,深刻な事態が生じかねない。
こうした状況の中,上記の政権公約を掲げた安倍前首相自身が,本年6月15日,参議院決算委員会において,「文化的な生活をおくる権利があるので,ためらわずに(生活保護を)申請してほしい」と述べ,国民への働きかけを約束するに至った。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中,時間の経過とともに生活保護の利用を必要とする人が増大していくことは必至である。こうした人々が,躊躇することなく,権利として生活保護を利用し得る環境を整えることは,国が市民の命とくらしを守り,生存権保障を実質化するためにも急務といえる。
安倍政権の取組みの継承を謳う菅新政権は,いたずらに「自助・共助」を強調するのではなく,安倍前首相の上記答弁も継承し,生活保護制度の誤解や偏見を払拭し,その積極的な利用を促す広報をするべきである。
印刷版(PDF)のダウンロードはこちらから
本日、「菅新政権に対し,「自助」の強調ではなく,生活扶助基準のさらなる引下げの凍結や,生活保護制度に対する偏見を払拭するための広報を行うことを求める声明」を発送しました。
2020年9月28日
菅新政権に対し,「自助」の強調ではなく,生活扶助基準のさらなる引下げの凍結や,生活保護制度に対する偏見を払拭するための広報を行うことを求める声明
生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾藤 廣喜
代表幹事 尾藤 廣喜
本年9月16日,第99代総理大臣に就任した菅義偉首相は,目指す社会増は「自助,共助,公助」であるとし,「まず自分でできることは自分でやってみる」と「自助」の重要性を繰り返し強調している。また,自民党総裁選のさなかには,テレビ番組で,アベノミクスの成果として「生活保護世帯が減った」と誇った。
確かに,生活保護利用人員は,2013年4月の215万1843人から本年6月の205万5531人へと10万人弱減っているが,生活保護利用世帯数は,同じ期間で157万2966世帯から163万6596世帯へと,6万3600世帯も増えている。
しかも,利用人員の減少は,安倍政権下で,相次ぐ生活保護基準の引下げが行われ,特に多人数世帯の基準が大幅に下がったことに起因している。すなわち,国は,2013年8月から3回に分けて生活扶助基準を平均6.5%,最大10%引下げ,2015年度からは住宅扶助基準と冬季加算を引下げ,2018年4月から3回に分けて生活扶助基準を平均1.8%,最大5%引下げ,母子加算等も引下げつつある。自ら利用のハードルを上げておいて,利用者数の減少を誇るというのは,牽強付会と言わざるを得ない。
また,利用のハードルを上げたにもかかわらず,利用世帯数が増えているのは,単身高齢者を中心とする多くの庶民がアベノミクスの恩恵に与ることなく,より一層貧困化していることを意味している。
にもかかわらず,本年10月1日からは,2018年からの引下げの3回目が実行されようとしている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響で生活に困窮する人々が激増し,生活保護制度が果たす役割がより一層重要となっている中,さらに生活保護の利用のハードルを上げるのは到底許されることではない。国は,さらなる生活保護基準の引下げを凍結するとともに,2013年からの引下げの前の水準に戻すべきである。
ところで,上記の一連の生活保護基準引下げは,2012年春,人気タレントの親族が生活保護を利用していたという報道を契機とした“生活保護バッシング”に端を発している。このバッシングは,同年4月,「自助・自立を基本」に「生活保護給付水準の10%引き下げ」や「医療扶助の大幅な抑制」などの「生活保護制度見直し」政策を打ち出した,自民党の生活保護プロジェクトチームの中心メンバーである世耕弘成議員や片山さつき議員らが主導したものである。そして,同年12月,同様の政策を政権公約に掲げた自民党が政権を奪取し,安倍政権のもとで上記の一連の保護基準引下げを実行してきたという経緯がある。
この“生活保護バッシング”の影響で,一般市民の中に生活保護に対する誤解や偏見が広く深く浸透してしまった。コロナ禍の状況下で本来は生活保護制度を利用した方が良いのに,これを強く忌避する人も多く,このままでは健康や生命の危機にさらされる人々が激増し,深刻な事態が生じかねない。
こうした状況の中,上記の政権公約を掲げた安倍前首相自身が,本年6月15日,参議院決算委員会において,「文化的な生活をおくる権利があるので,ためらわずに(生活保護を)申請してほしい」と述べ,国民への働きかけを約束するに至った。新型コロナウイルスの感染拡大が続く中,時間の経過とともに生活保護の利用を必要とする人が増大していくことは必至である。こうした人々が,躊躇することなく,権利として生活保護を利用し得る環境を整えることは,国が市民の命とくらしを守り,生存権保障を実質化するためにも急務といえる。
安倍政権の取組みの継承を謳う菅新政権は,いたずらに「自助・共助」を強調するのではなく,安倍前首相の上記答弁も継承し,生活保護制度の誤解や偏見を払拭し,その積極的な利用を促す広報をするべきである。
以 上
印刷版(PDF)のダウンロードはこちらから