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厚労省が、“満点”ではないものの、大きく前進する新通知を出しました(本年4月1日施行)。
扶養照会を拒否する者の意向尊重の方向性を示すとともに、扶養照会を行うのは「扶養が期待できる場合」のみに限ることが、実務で常時参照されている「生活保護手帳別冊問答集」に明記されます。この運用を周知徹底することで、「不要」な「扶養照会」を相当減らせると考えられるため、緊急に見解を発表します。



2021年4月7日


一般社団法人つくろい東京ファンド
生活保護問題対策全国会議


生活保護の扶養照会に関する
3月30日付厚生労働省通知に関する見解


 私たちは、厚生労働大臣に対し、本年2月8日には「生活保護の扶養照会に関する要望書」と「扶養照会に関する実施要領等の改正案」を提出し、本年2月28日には「生活保護の扶養照会に関する厚生労働省通知に関する緊急声明」を提出して、改善を求めてきました。
 今般、厚生労働省は、本年3月30日付で「『生活保護問答集について』の一部改正について」と題する事務連絡(以下「新問答」といいます。)を発出しました(本年4月1日施行)。新問答は、私たちの要求からすると“満点”とは言えませんが、以下のとおり、実務運用を大きく改善し得るものとして評価できる点があります。 
私たちは、引き続き局長通知の抜本改正等を求めていきますが、新問答の内容が各自治体、生活保護を利用しようとする市民やその支援者らに広く知られ、「不要」で「有害」な「扶養照会」が根絶されることを期待して、本見解を発表します。

1 扶養照会を拒む要保護者の意向の尊重を要請
 新問答は、私たちが要求している「申請者の事前の承諾」までは認めませんでしたが、「要保護者が扶養照会を拒んでいる場合等においては、その理由について特に丁寧に聞き取りを行い、照会の対象となる扶養義務者が『扶養義務履行が期待できない者』に該当するか否かという観点から検討を行うべきである」としました。
 これは、要保護者の意向を尊重する方向性を明らかにし、要保護者が扶養照会を拒む場合には、「扶養義務履行が期待できない場合」に当たる事情がないかを特に丁寧に聞き取る運用を求めるものです。
これまで、扶養照会を行うにあたって要保護者の意向は無視されてきましたが、「扶養照会をしてほしくない」という要保護者の意向を尊重すべき旨の規定が追加されたのは大きな変化です。

2 整理された調査の手順を別冊問答集に明記
 私たちは、2月26日付事務連絡で扶養照会の考え方や調査の手順が整理された点は評価しつつも、局長通知そのものの改正によって、実務で常時参照される「生活保護手帳」に反映することを求めていました。新問答は、局長通知や生活保護手帳の改正には踏み込みませんでしたが、生活保護手帳とともに実務で常時参照される「生活保護手帳別冊問答集」を改正する点で、実務運用の改善に資することが期待できます。
 特に、新問答は、扶養義務者に対する直接照会(扶養照会)は、「扶養義務の履行が期待できる」と判断される者に対してのみ行うものであることを明記しており、窓口での運用や監査などのあらゆる機会を通じて、この点を徹底し、不要な扶養照会を根絶することが求められています。

以 上

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令和3年3月30日付厚生労働省保護課長事務連絡「『生活保護問答集について』の一部改正について」 
令和3年3月30日付厚生労働省保護課長通知「『生活保護法による保護の実施要領の取扱いについて』の一部改正について」 


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