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「更なる生活扶助基準の引き下げをもたらす「級地」の見直しに反対する緊急声明」を発表しました。

【参考】

2021年6月25日第39回生活保護基準部会資料
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19387.html

2021年6月25日第39回生活保護基準部会議事録
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_19662.html





2021年8月19日


更なる生活扶助基準の引き下げをもたらす
「級地」の見直しに反対する緊急声明


生活保護問題対策全国会議
代表幹事 尾 藤 廣 喜


 2021年6月25日の第39回厚生労働省社会保障審議会生活保護基準部会(以下、「第39回基準部会」という。)において、厚生労働省から、生活扶助の級地について、現行6区分を3区分に見直す方向性が示された。しかし、委員から級地の見直しによる生活扶助基準の引下げを懸念する強い異論が出された結果、結論を見いだせずに部会は終了した。
 以下詳述するとおり、当会議は、厚生労働省主導の級地見直しの動きに対して、強く反対するとともに、生活保護基準部会において専門的で透明性のある検証を行うことを強く求めるものである。


第1 本緊急声明の趣旨
 当会議は、今回の級地の見直しが生活扶助基準の引下げに直結するおそれがあること、専門家らによる科学的検証を目的とする生活保護基準部会の形骸化を招くなどことから、次の理由により反対する。
 第1に、2013年(生活扶助)、2015年(住宅扶助)、2018年(生活扶助、母子加算等)と、生活保護基準が連続して引き下げられている下で、今回の級地の見直しは、都市部の生活保護世帯を中心に、更なる保護基準引き下げとなるおそれがある。
 第2に、本級地の見直しは、厚生労働省の強引なスケジュール設定のもと、生活保護基準部会での正規の議論を十分に深められずに進められている。また、前年度に同省が実施した非公開委託研究における誘導的な調査結果が検証のベースにあり、その上、委託研究でも検証していない「枝番の廃止」が同省による一方的な提案のもとで進められようとしている。
 第3に、上記のような厚生労働省の強引な見直しは、背景に自民党における圧力(提案)があると推察される。これらによる引き下げの影響は、要保護世帯のみならず、地方税の非課税限度額など低所得者施策全般に大きな影響を与える。


第2 級地の見直しに反対する理由
1 各地域における生活保護基準の更なる引き下げを引き起こす
 生活保護基準については、2013年(生活扶助、平均6.5%、最大10%引下げ)、2015年(住宅扶助、冬季加算の引下げ)、2018年(生活扶助、平均1.8%、最大5%引下げ)と、生活保護基準が連続して引き下げられている。この結果、生活扶助費だけでも、夫婦子2人世帯(40代夫婦、小、中各1人)で24,040円減額、母子世帯子2人世帯(40代母、小、中各1人)で20,130円減額、高齢単身世帯(75歳)で4,870円減額となっている。
 今回の級地の見直しは、各地域における実質的な生活保護基準をさらに引き下げる可能性のあるものであり、具体的には、次の(1)、(2)の方法が検討されている。

(1)級地区分の統合(枝番の廃止)による実質的引き下げ
 現行の級地区分は6区分制であり、1〜3級地にそれぞれ枝番号1と2を割り振ることで、生活保護基準が最も高い1級地1から最も低い3級地2まで設定している。
 厚生労働省は、第39回基準部会において、この枝番を廃止して、3区分制に統合することを提案している(下図)。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料1:21頁


 ここで懸念されるのが、枝番廃止(統合)による実質的引き下げである。基準が高い1級地1と基準が低い1級地2をくっつけることで、1級地1の基準を引き下げる。この形では基準が低い地域(枝番2の地域)は基準引き上げとなるが、現在、いずれの級地においても、人口・被保護世帯数ともに枝番1の地域が枝番2よりも圧倒的に大きい(下表)。

1級地11級地22級地12級地23級地13級地2
市町村数584912179557849
2015年人口3515万人1751万人2555万人724万人2854万人1310万人
2018年
被保護世帯数
65万世帯27万世帯32万世帯7万世帯21万世帯10万世帯
枝番統合による
引き上げ/
引き下げ
のおそれ
引き下げ引き上げ引き下げ引き上げ引き下げ引き上げ

出所:『生活保護基準における級地制度に係る調査研究等一式報告書』図表1(9頁)、第38回社会保障審議会生活保護基準部会参考資料より作成(元データは2015年国勢調査、2018年被保護者調査)


 1級地〜3級地までの枝番1の地域を総合すると2015年人口で8924万人(全人口の70%)、2018年被保護世帯数で117万世帯(全保護世帯の73%)、枝番2の地域は3785万人(全人口の30%)、44万世帯(全保護世帯の27%)と枝番1の地域の人口の4割程度にすぎない。枝番統合により保護基準が実質的に引き下げとなる被保護世帯が圧倒的多数(7割の世帯が引き下げの可能性)であることがわかる。
 この点については、基準部会委員である山田篤裕氏(慶應義塾大学経済学部教授)も第39回基準部会のなかで次のように指摘している。

■山田委員 基準が高いところと低いところの地域をくっつけたら、高いところのほうは引下げということに当然なるわけですね。Aが高くて、Bが低い。A、Bの平均を取りましょうといった場合に、高いAよりも低くなるというのは明らかなことであり、それが変わらないとか、そこら辺がよく分からなかった。

出所:第39回基準部会議事録より抜粋


(2)自治体の級地区分入れ替え(指定替え)による実質的引き下げ
 今回の級地見直しにおいて、各自治体の級地指定を入れ替える(指定替えする)ことによって、全体として引き下げとなるおそれがある。厚生労働省は、2020年度にみずほ情報総研株式会社に委託調査(生活保護基準における級地制度に係る調査研究等)を実施し、回帰分析・クラスター分析などの統計手法を用いて級地区分の理論値を検証している。
 このなかで3区分制を実施した際に、各級地区分における市町村数の理論値を導出しているが、この理論値は、枝番統合による市町村数と大きく異なる(下表)。

○ 枝番統合による現行級地の市町村・人口
>>>>
1級地2級地3級地
市町村数1072001418
2015年人口5266万人3279万人4165万人


○ 委託調査の理論値による3区分制による市町村・人口
>>>>
1級地(第1位階層)2級地(第2位階層)3級地(第3位階層)
市町村数793871246
2015年人口3671万人5192万人3847万人

出所:『生活保護基準における級地制度に係る調査研究等一式報告書』図表23(41頁)より作成


 たとえば、1級地では、現行級地(1級地1及び1級地2)の場合、107市町村(2015年人口5266万人)が対象であるが、これが理論値では79市町村(2015年人口3671万人)にまで減少する*。もっとも基準の高い1級地の対象地域を大幅に減らすことは、実質的な生活保護基準の引き下げにつながる。

* 調査報告書では、「現行級地が1級地の市町村のうち42市町村が第2位階層または第3位階層となり、2級地の市町村のうち69市町村が第3位階層となる。また、2級地の市町村のうち13市町村が第1位階層となり、 3級地の市町村のうち 229 市町村が第1位階層または第2位階層となる」とされている(調査報告書:41頁)。

 この枝番統合後の級地と理論値の級地が異なる市町村の見直しは、厚生労働省主導で自治体の意見を聴取しながら調整・実施するとしている。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料1:21頁


(3)まとめ
 以上からわかるとおり、今回の級地の見直しは、①枝番の廃止(統合)により、対象人口が多く、保護基準が高い枝番1の基準を相対的に押し下げ、②市町村の級地指定を大幅に入れ替え、特に保護基準が高い都市部の市町村数を大きく削減するものとなるおそれが極めて高い。都市部を中心に人口・被保護世帯数が多い地域の被保護世帯・要保護世帯・低所得世帯が更なる生活苦・困窮状態に至る可能性がある(参考として、引き下げとなるおそれの特に高い「1級地(1級地1・2)」の市町村を挙げる)。




2 本検証における手続き面の瑕疵(生活保護基準部会の形骸化)
 今回の生活保護基準部会は、2021年4月27日に初回開催され、1年半の議論を経て、2022年12月をめどに最終報告書が取りまとめられる予定である(6月25日は今期2回目の開催)。通常これまでの生活保護基準部会のスケジュールでは、専門家からなる検証・議論を行い、それらを最終報告書としてまとめ、その後に報告書をもとに厚生労働省内で検討するという形が一般的である。
 しかしながら、今回は、厚生労働省が提示したスケジュール(下図)のとおり、級地の検証をたった1回で終了させ、最終報告書を待たずに検討に入るとしている(下図のスケジュール(案)のとおり、最終報告書を待たずに「級地見直し」を外出しする形にしている)。


出所:第39回社会保障審議会生活保護基準部会 資料3


 基準部会委員からも指摘があったとおり、生活保護基準部会は、前回の基準見直しの影響分析を通常先に行うものであるが(スケジュール案では2021年7〜9月に実施予定)、級地検証をわざわざ先(6月)に持ってきている。
 また、2022年度に生活扶助基準の検証を行うとしているが、本来「生活扶助基準の検証と級地(対象地域)は、一体であり、分けて論じることができない」(基準見直しの影響、消費実態の検証、生活扶助自体の検証のためにも級地(対象地域)は重要な要素)。この点は、基準部会委員山田篤裕氏(慶應義塾大学経済学部教授)も次のように指摘している。


■山田委員 基準を決めるためには級地を先に決定する必要があるという御説明だったのですけれども、基準を決めるのはかなり先なわけです。もう一度教えていただきたいのですが、なぜこの1回で。1年以上先に決めるにもかかわらず級地をセットしてしまうのか。そしてまた後の議論でこれも議論させていただきたいのですけれども、実は級地を決めるというのと基準を決めるというのは分かちがたい部分があるのです。これは後で御説明を差し上げますけれども。
 ですから、今、級地をかちっと決めてしまうと、また後のほうで出てきますが、級地の枝番を取るというようなことをすると、実は基準額のほうの議論が縛られるというのがありまして。

出所:第39回基準部会議事録より抜粋


 このように強引なスケジュールについて、厚生労働省は「自治体との調整等に時間を要する」(森口社会・援護局保護課長補佐)と主張しているが、これは厚生労働省側の思惑なだけであって、基準部会で検証と議論が尽くされ、最終報告書として提出されたのちに自治体等との調整を行えばよいだけの話である。
 また、「1」で述べた通り、今回の級地検証は、昨年度に厚生労働省が委託した「生活保護基準における級地制度に係る調査研究報告」(みずほ総研)を元にしている。この委託調査には、基準部会委員8名中、部会長を含む5名が有識者として参加しているが、外部委託調査であるという性質上、議論の経過などは完全に非公開となっている。これまでの生活保護基準部会では、部会の下に専門家チームなどを作って検証していたが、外部委託化することによって国民の目が届かないところで厚生労働省の意向に従った調査が密室で進行することなる。実際は、厚生労働省による「委託」調査であり、検証内容などに誘導的な調査結果入る可能性は否めない(しかも、今回の「枝番の廃止」は、委託研究でも検証されていない内容である)。
 このような調査研究は、本来、基準部会から調査研究のテーマ、調査範囲等を委嘱の上、適宜基準部会へも報告の上で実施されるべきである。また、その場合も、検証内容についてはあらためて基準部会のなかで十分な議論が尽くされるものである。
 厚生労働省による、基準部会の役割を軽視したスケジュール、外部委託調査による国民の目が届かないところでの誘導的施策形成など、本検証には問題が多く見られ、専門家らによる科学的検証と議論を行う専門部会の役割を軽視し、形骸化させる。

3 厚生労働省の強引な見直しは、背景に自民党における圧力(提案)が推察される
 このように厚生労働省が、生活保護基準部会を軽視して、強引なスケジュールで級地の見直しを進めようとする背景として、政権与党である自民党の圧力が推察される。
 自民党・行政改革推進本部は、2019年12月12日に「生活保護基準の級地が、大都市に有利になっているとして、各自治体の基準の在り方を速やかに検討するべき」*という内容の提言を、当時の菅官房長官に提出している。

* 出所:「自民・行政改革推進本部 生活保護の基準見直し提言」(テレ朝news:2019年12月13日 06:17)。URLは下記。
https://news.tv-asahi.co.jp/news_politics/articles/amp/000171541.html?__twitter_impression=true
提言は、自民党行政改革推進本部『行政事業レビューチーム提言』(2019年12月12日)

 この提言の半年後には、厚生労働省の調査研究事業がみずほ総研に委託され、今回の検証に繋がっている。上記の引用箇所からわかるとおり、これまで一連の生活保護基準引き下げを主導してきた自民党による大都市地域をターゲットとした新たな生活保護基準の引き下げが念頭にあるのではないかと疑わざるをえない。
 現在、長引くコロナ禍の下で、格差と貧困は拡大している。生活保護申請数は、2020年9月から2021年3月まで連続7カ月増加し、2020年度の保護申請数は、リーマン時の2009年から11年ぶりに増加しており、生活保護の必要度は高まっている。しかし、級地の変更によって保護基準を引き下げれば、生活保護を利用しにくくなるおそれがある。
 当然、生活保護における級地区分の見直しは、当該市町村における住民税の非課税限度額にも影響を及ぼすこととなるため、生活保護を利用していない市民生活にも影響する(地方税法施行令第47条の 3 第 1 項、地方税法施行規則第 9 条の 3 第 2 項)。このように多くの人びとの生活に係る重要な決定を、1、2回のみの形だけの議論で行ってよいはずがない。

4 最後に
 生活保護における級地区分自体は、1987年から30年以上抜本的な見直しがなされておらず、級地区分・地域の級地指定について、地域の実情や消費実態等を勘案しながら適宜見直すこと自体は必要なことである。
 しかしながら、今回の見直しは、以上に述べたとおり、専門家らの専門部会による審議・検証がなされないまま、閉鎖的で誘導的な恐れのある委託調査をベースに組み立てられた施策が、厚生労働省主導の強引なスケジュールのもとに強行されようとしている。これらの背景に推察される自民党の意向に照らしても、生活保護基準の引き下げありきの「見直し」となるおそれが極めて高く、到底容認できない。
 2013年からの史上最大の生活扶助基準引き下げにおいて、生活保護基準部会の検証を経ずに厚生労働省の独断で実行された「デフレ調整」については、「専門的知見との整合性」を欠き違法であるとの司法判断もなされたところであるが(2021年2月22日大阪地方裁判所判決)、同様の事態とならないよう、級地のあり方についても、生活保護基準そのものと直結するものである以上、生活保護基準部会において、透明性のある専門的な検証がなされることが強く求められている。

以 上



資 料
【第39回基準部会 議事録(抄)】(下線、引用者)
1 スケジュールについて(なぜ、級地の検討を急ぐのか)
○山田 ・基準についての報告書は2020年暮れとなっている。なぜ級地だけ先行して急ぐのか?(厚労省のスケジュール表では、級地区分の検証は、2021年6月となっている)    

○保護課 ・来年の12月を待たずに、級地の見直し、今後の級地区分がどうあるかとい
うことを厚生労働省のほうで検討
していく。級地に関する議論がずっと来
年の暮れまで続いていくかというと、そういうことは想定していない。

○山田 ・私、基準部会に10年間参加させていただいて、これは委託事業だと思うのですが、その結果を部会資料として踏まえて、そして報告書が出る前に何か、要するに、来年12月を待たずに級地の在り方について厚生労働省で検討ということだったのですけれども、そのような順番で検討するというのは初めてだと思うのです。
・例えば基準部会の下に専門チームを設けて、何度も親部会であるこの基準部会で議論し、そして報告書を取りまとめ、その後に具体的に厚生労働省内で検討するということが一般的だったと思うのですが、今回、来年の12月の報告書を待たずに、これを踏まえて検討を始めると。異なる決め方、もしくは非常に急いでいるように見えますが、その理由を事務局から御説明いただければと思います。

○保護課 ・今日の基準部会で統計的な検討をしていただいて、それを踏まえて厚生労働省で個別に自治体の状況を聞かせていただくのにかなり時間を要すると考えておりまして、そのスケジュールも踏まえて今回統計的な検証についてはお諮りさせていただいている。

○山田 ・40年近くぶりに級地見直しをされるということにもかかわらず、1回ほどしか議論しないということになるかと思うのですけれども、そこまで急ぐ理由というのがまだ分かりかねております。

○保護課 ・今回級地については長年の課題だというのはあるのですけれども、調査研究を何回かさせていただいていて、前年度もさせていただいた。(p8)

○山田 ・なぜこの1回で。1年以上先に決めるにもかかわらず級地をセットしてしまうのか。実は級地を決めるというのと基準を決めるというのは分かちがたい部分がある。級地の枝番を取るというようなことをすると、実は基準額のほうの議論が縛られる。

○渡辺 ・級地に関する議論が1回の部会だけでは不十分ということになれば、スケジュールの変更はあり得べしと理解しておりますし、客観的な検証を担保できる回数で級地の見直しの議論をしていくのだと理解している。

2 3区分化について
○保護課 ・仮に3区分という結論を取った場合に、現実的に制度的に実際にそこに生活する人たちに最も影響が少ないような方法で統合する場合には、これが現実的ですということで、我々どものほうで考えて、ここで検証の前提として挙げさせていただいている。

○山田 ・枝番をなくして3区分というのは厚生労働省の考え方で、委託事業の考え方ではないということを明確にさせていただいた上で、前提としては3程度ということで、必ず3つにしなくてはいけないと委託事業では述べられているわけではない
・13ページの人口重みづけのあるクラスタリング分析では、現行の1級地1のうち、市町村数で見て、58市町村あるのですけれども、たった7市町村しか第1位階層、新1級地1に分類されない(p11。ppt資料⑦)。
・人口比で見ても第1位階層に分類される1級地1、現在の1級地1の人口は約8割以上です。つまり、現在の1級地1のほとんどが第1位階層に重なることになります。
・実際のデータ分析からは、1級地1と1級地2は異なるということは言えそうだと解釈されますが、そうすると、枝番で1級地1と1級地2を統合するというのは、必ずしもミシン目の入れ方として正しいのか。これは慎重に考えたほうがいい。
・ここははっきり委託事業で分かったことと、厚生労働省が枝番をまとめたいということについては、データではそれは示せていないということを強調したい。

○保護課 ・直接的に枝番を取ることが妥当であるかということを検証しているというものではないという点が一つあると思います。検証結果を受けたときに、実際制度に現実的に反映させていくかという観点で申し上げると、先ほども御説明申し上げましたように、枝番を取るという方法は一つあり得ると考えている。

○阿部 ・グルーピングというのはあくまでも理論値で、しかも今のグルーピングとは違うグルーピングを使っているわけですから、そこでの結果というのが今の6区分の例えば1級地1と1級地2を合体するべきだというところにはつながらないのではないかなと感じております。

○山田 ・実際には市町村別の物価指数というのは存在していないわけです。ですから、ここで何を入れているのかというと、県庁所在地と政令市については物価指数がありますが、県庁所在地と政令市以外については、都道府県で同じ値を入れているわけです。つまり、本当に市町村ごとの物価をきちっと測って、それで推計しているわけではない。都道府県単位で丸め込まれている部分がある。

○小塩 ・おおむね3区分にまとめるという方向はいかがですか。それも駄目でしょうか。

○山田 ・4区分。

○山田 ・枝番をまとめるという厚生労働省のご提案で、我々のこの基準部会としてこれに賛成するとか賛成しないというのでなくて、少なくともこれまで見てきたデータに関しては1級地1と1級地2を分けよということなので、ここの部分を議論するということは、枝番をまとめるということを我々が認めるということなので、そこの議論の切り分けをどうするのかというのでちょっと難しい。
・枝番をまとめるという事務局提案だと何が起こるか。これは後の基準に影響すると冒頭で申し上げたのですけれども、要するに、地域的なメッシュを粗くせよというのが事務局のご提案なわけですね。単純におのおのの地域の平均値を取るのであれば、例えば人口規模の大きい、日本人口の4分の1を占める1級地1を1級地2と統合すべきでは「ない」というのが実証分析の結果だと思いますが、枝番をまとめると実は1級地1の基準額を引き下げることになる。2級地1と2を統合せよということになれば、2級地1の基準を引き下げることになる。3級地1と2も同様です。
 しかも、枝番の1と2と言った場合に、どの級地でも枝番の1のほうが圧倒的に人口規模が大きいわけです。多いわけです。ですから、もし単純に平均すると、これはものすごい大きい影響が出るということなので、今後の基準の話と、ここで我々が何か決めてしまうということ、我々が賛成したということであれば、その基準の話を縛ってしまうということに注意する必要があるということではないか。基準の話と切り分けが非常に難しいと申し上げたのはその点であります。

○保護課 ・議論していただきたいのは、枝番を取ることが統計的に合理的な方法ですということを裏づけていただきたいのではなくて基本的に現実可能な範囲でやろうとすると、我々からはこういう案が出ますと、そうしたときに、一方で、今回委託研究の中で出していただいた分析の結果がありますと、これと照らして、明らかにそれでも変えた方がいいというところは、示唆していただきたい。

○渡辺 ・枝番を取るかどうかについてここで検定していないと思うのです。つまりこの検定結果から、3級地にするという結論は導けない。現行の級地区分の指定を変えるかどうかという話とは別ではないか。

以上





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