議論の透明性確保を求める緊急要望書
厚生労働大臣 加藤勝信 殿
2013年からの史上最大の生活保護基準引下げについて、本年10月19日に言い渡された横浜地方裁判所判決を含め、既に4つの地方裁判所が、主として「デフレ調整」(物価下落の考慮)の違法性を断罪しているところ、未曾有の物価高で生活保護利用者の生活は厳しさを増しています。
そんな中、社会保障審議会・生活保護基準部会(以下、「基準部会」といいます。)では、来年度からの生活保護基準見直しに向けて年内に報告書を取りまとめるべく審議が大詰めを迎えようとしています。
これまでの審議の動向を見る限り、またぞろ第1・十分位という最底辺の所得層との比較や、地域区分である「級地」の枝番統合で、主に都市部の保護基準が下げられるのではないかが強く危惧されます。
ところが、基準部会の審議は、コロナウイルス感染症の感染拡大を理由に2021年4月27日の部会から一般傍聴が認められておらず、閉鎖的な環境で議論が進められています。事後的に議事録は公表されるものの、これでは正しく議事録が作成されているかも確認することができません。
(第49回生活保護基準部会(2022年11月2日)開催案内)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_28763.html
同じ社会保障審議会の生活困窮者自立支援及び生活保護部会は、今年6月3日の部会から既に9回にわたり、オンライン配信の方法で一般傍聴が認められているのとはかけ離れた閉鎖的な対応であり、一般傍聴されると都合が悪いのではないかとの疑念を抱かれてもやむを得ないでしょう。
(第14回生活困窮者自立支援及び生活保護部会(2022年6月3日)開催案内)
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_25560.html
生活保護基準は、「ナショナル・ミニマム」(国民最低限)であり、この国で暮らす全ての人に保障されるべき最低限度の生活水準を画する極めて重要な「ものさし」です。
基準部会の議論の過程は十分な透明性が確保されるべきであり、私たちは、少なくともオンライン配信の方法で直ちに基準部会の一般傍聴を認めることを強く求めます。
また、私たちは、基準部会委員の方々からも同様の声があがることを期待するとともに、この問題に関心をもつ方々が、同様の声を厚生労働省に届けることを呼びかけます。
(厚生労働省HP 「国民の皆さまの声」募集 送信フォーム)
https://www.mhlw.go.jp/form/pub/mhlw01/getmail
