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 奈良県香芝市では、生活保護申請時の議員の同席を巡る発言に対して2022年12月に議会への出席停止処分が強行されるとともに、その後もこの問題での議会での議員の質問が禁止されるなど異常な事態となっています。
 そこで、香芝市生活保護問題調査団を結成し、香芝市の生活保護に関する調査を行ったところ、奈良県内15福祉事務所中同席を認めていないのは香芝市だけであること(資料1)、香芝市の生活保護率〔生活保護利用者の人口比〕が人口1000人に対して4.65人というこれも奈良県内15福祉事務所中最低であること(資料2)が判明しました。

 こうした調査結果もふまえて、調査団は、去る2月14日、香芝市長に対し、「市会議員の同席についての貴市の対応、及び生活保護行政についての申し入れ」を行うとともに、香芝市議会議長に対し、「生活保護相談申請時における市会議員の同席に関する質問を禁止する貴市議会の対応についての申し入れ」を行いました。
 香芝市長に対する申し入れでは、生活保護相談申請時の議員の同席に関しては、同席を認めない事実の存否、また同席を認めないように議会に働きかけた事実の存否について、「いずれも答えられない」と事実上の回答拒否という対応でした。また生活保護行政に係る問題では、「事実であれば申し訳ない」という対応でした。いずれについても、3月25日までには調査の上文書で回答することを確認しました。
 香芝市議会議長への申し入れについては、事前の面談申入れに対して応答なく、申し入れ文を議会事務局に渡しました。
 調査団としては、香芝市の生活保護行政についての分析を進め、生活保護を当たり前の権利とするための取り組みを引き続き強化していく所存です。




2023年2月14日

香芝市長
福岡憲宏 様
香芝市生活保護問題調査団
団長 吉永 純(花園大学教授)
事務局連絡先
奈良県橿原市八木町1-8-15ヤマトー八木店4階
奈良民主医療機関連合会気付
奈良社会保障推進協議会
Tel:0744-21-3101/Fax:0744-21-3102
担当 中嶋、飯尾


生活保護相談申請時の市会議員の同席についての貴市の対応、及び生活保護行政についての申し入れ


 貴市は、生活保護の相談、申請時に、市議会議員の同席について、また、貴市の生活保護行政運用に関する申し入れを行いますので貴市の見解をお示しください。

1 生活保護相談申請時の、市議会議員の同席について
⑴ 貴市が、生活保護の相談、申請時に、市議会議員の同席を認めていないというのは事実ですか。

⑵ 貴市が、これまで、香芝市議会に対して、生活保護相談申請時に市議会議員の同席を認めないように市議会に働きかけをしたことはありますか。

2 貴市の生活保護行政について
⑴ 貴市の生活保護率は、奈良県下15福祉事務所中最下位です(4.65‰〔パーミル〕、2020年、別紙の通り)。その理由についての貴市の考えをお示し下さい。

⑵ 貴市の生活保護の運用について、下記のような意見が寄せられました。下記のような対応は生活保護行政の実施上、不適切と考えられます。貴市の見解をお示し下さい。

ア 生活保護の新規調査時に、財布の中身1円まで出すように言われた。

イ ある程度安定した就労収入であるにもかかわらず、毎月、給与明細の提出を求められる。

ウ 一人で生活保護の相談に行ったら、「無理です」「働きたくなくても簡単にもらえるものではない」「もっと頑張って」「世の中の人もっと頑張っている。頑張りが足らない」などと言われ、保護申請を受け付けてくれない。
以 上


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2023年2月14日

香芝市議会議長 
川田 裕 様
香芝市議会教育福祉委員会委員長 
中谷 一輝 様
香芝市生活保護問題調査団
団長 吉永 純(花園大学教授)
事務局連絡先
奈良県橿原市八木町1-8-15ヤマトー八木店4階
奈良民主医療機関連合会気付
奈良社会保障推進協議会
Tel:0744-21-3101/Fax:0744-21-3102
担当 中嶋、飯尾


生活保護相談申請時における市会議員の同席に関する質問を禁止する貴市議会の対応についての申し入れ


 貴市議会は、2022年12月13日の福祉教育委員会に於いて、委員長は「議員の質問は、係争中の裁判に係りますので、質疑を禁止いたします。」として議員の質問を禁止しました。しかしこの質問禁止は以下の理由により根拠がありませんので、禁止について反省し、議員を質問権を保障してください。

○申し入れの趣旨(質問禁止に根拠がない理由)
1 市議会における議員の質問は、市民の要望や要求を実現するための基本的かつ根幹的活動です。そのため議員の質問に対しては市長並びに職員には説明義務が課されており(香芝市議会基本条例第20条4項)、質問に対する市当局の見解をただすきわめて重要なものです。
 このような質問の重要性に鑑み、市議会委員長は「秩序を乱し、又は会議を妨害する」場合に注意喚起ができるだけです(同条5項)。また、市議会委員会条例20条においても、「委員会の秩序を乱す委員があるときは、委員長は、これを制止し、又は発言を取り消させることができる。」だけです。
 したがって、議員は質問に関してはこれらの規定に反しない限り、自由に質問を行うことができるものです。

2 「係争中の裁判にかかること」について質問することが委員会の秩序を乱すとは考えられません。また、そもそも、裁判で問題とされているのは議員に対する懲罰の合法性であり、議員の窓口同行が違法であるかは直接の争点ではありません。

以上のように、市議会が、窓口同席に関する質問を禁止する根拠はまったくありません。

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2023/2/21




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