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2012(平成24)年6月25日

社会保障費削減を企図する「社会保障制度改革推進法案」の撤回を求める緊急声明               
                              生活保護問題対策全国会議
                              代表幹事 弁護士 尾藤廣喜


1 「社会保障制度改革推進法案」の撤回を!
 民主党,自民党及び公明党の3党は,本年6月15日,社会保障・税一体改革について合意した。そのうち,社会保障部分の確認書では,「社会保障制度改革推進法案を速やかにとりまとめて提出し,社会保障・税改革関連法案とともに今国会での成立を図る」とされている。
 しかしながら,ここに来て突然提示された「社会保障制度改革推進法案(以下,「本法案」という。)」なるものは,その内容面においても手続き面においても,極めて問題が大きい。私たちは,本法案の「すみやかなとりまとめ」と「今国会での成立」に断固として反対する。

2 「社会保障制度改革推進法案」=「社会保障費抑制推進法案」
 本法案の内実は,「社会保障費抑制推進法案」と言うべきものである。
「社会保障の充実のために増税が必要である」という「社会保障・税一体改革」の当初の目的はかなぐり捨てられ,「消費増税の合意を得るためには,社会保障はどうなってもよい」とばかりに,自民党の主張にすり寄る内容となっている。
 すなわち,
①本法案は,「目的」において,社会保険料に係る国民負担の増大と国及び地方公共団体の財政状況の悪化に鑑みて,「持続可能な社会保障制度の確立を図る」としている。
②「基本的な考え方」1では,「自助・共助・公助の最適バランスに留意し,自立を家族相互,国民相互の助け合いの仕組みを支援していく」として,「自助(自己責任)」をことさらに強調し,「公助(国や自治体の責任)」は全く軽視する内容となっている。
また,
③同2でも,「(社会保障)給付の重点化,制度運営の効率化」によって「負担の増大を抑制しつつ,持続可能な制度を実現する」として,社会保障費抑制の基本方針が示されている。
さらに,
④同4において,社会保障の公費負担は「消費税収を主要な財源とする」とされている。社会保障費の財源を消費税収に限定するということは,国民に「消費増税か社会保障費抑制か」という「究極の選択」を迫ることによって,社会保障費の上昇にキャップをはめる効果を持つ。消費増税負担に耐えられない国民をして,社会保障費抑制を選ばざるを得ない状況に追い込む点において,極めて姑息な政策と言わざるを得ない。
⑤各分野において給付抑制策が掲げられているが,私たちの取り組み分野である生活保護制度についても,不正受給への厳格な対処,給付水準の適正化(=切り下げ),就労が困難でない者に対する厳格な対処など,生活保護制度を利用せざるを得ない社会構造については目を向けないまま,制度利用者に対する厳格な対応のみが目立つ内容となっている。

3 事の重大性を理解しない拙速極まりない手続
 「聖域なき構造改革」路線が掲げられた自民党政権の末期の小泉政権下では,「骨太の方針(経済財政運営と構造改革に関する基本方針)」によって,社会保障費の削減策がとられた。
 その結果,「厚生労働省の直轄地」「生活保護行政の優等生」と言われた北九州市において,2005年から2007年にかけて3年連続で生活保護をめぐる餓死事件が起こるなどし,社会保障費抑制策に対する国民の厳しい批判が沸き起こって,歴史的な政権交代につながったことは記憶に新しいところである。
 しかし,「骨太の方針」は「閣議決定」によるものであったが,本法案は,「法律」の形式に格上げされている点において,より問題が大きい。
 本法案は2で述べたような重大な問題を含んでいるにもかかわらず,国民にその内容が知らされることのないまま,3党の密室協議のみで今国会での成立を得ようとするのは,手続的にもあまりにも拙速であり乱暴極まりない。しかも,それを「社会保障のための一体改革」であると強弁して,成立を強行しようとするのは,「国民の生活が第一」をスローガンに政権交代を果たした政権党として,国民に対する背信行為以外の何ものでもない。

4 各種団体・市民各層の連帯した取り組みを!
 以上の次第で,私たちは,本法案の国会提出に断固として反対するとともに撤回を強く求めるものである。
繰り返すが,本法案は,社会保障費を抑制すべく法律でキャップをはめようとする内容となっており,今後の我が国における国民生活に深刻かつ重大な影響を及ぼす内容となっている。私たちとしては,社会保障に関連する各種当事者団体,市民団体,個人にも連帯しての取り組みを求め,連携していく所存である。

                               以 上


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