本論稿は、賃金と社会保障編集部および執筆者より許可を得て、当会ブログに転載したものです。
転載にあたり、漢数字をアラビア数字にするなど一定の変改をしております。
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賃金と社会保障 №1573(2012年11月上旬号)
特集2 生活保護改革への意見



消費者物価指数と生活保護基準
        デフレを理由に生活保護基準を引き下げてよいのか
         

 筑紫女学園大学人間科学部教授     池田 和彦 氏(当会会員)



目 次
 はじめに jump
 1 生活保護制度見直し論と生活保護基準 jump
 2 消費者物価指数と生活保護基準 jump
 3 生活保護基準引き下げの狙いと影響 jump
 おわりに jump


はじめに
 2008年のリーマンショック以降、生活保護受給者はいっそう増加し、2012年6月現在、被保護者は211万5477人、被保護世帯も154万2784世帯を数えるに至った。また、世帯類型上「その他の世帯(1)」が急増していることも指摘されており、それがそのまま稼働能力を有する世帯の急増に等値されることによって、働けるのに働こうとせず生活保護に依存して暮らす稼働年齢層が多いとの誤ったイメージ(2)も拡散されている。さらには、本年4月、芸能人の母親が生活保護を受給していたと週刊誌が報道したことに端を発する常軌を逸した生活保護バッシング(3)とも重なり合いながら、不正受給が後を絶たないといったイメージもマスコミ報道等を通じて広められている(4)
 そして、マスコミを総動員しての生活保護バッシングを最大限に利用しつつ、生活保護制度の見直しに向けた各種の論点が提示され、具体的な提言がなされていることも周知の通りである。
 本稿では、それら論点のうち生活保護基準引き下げを要請する議論、とりわけデフレによる物価下落をその根拠としているものを取り上げ、批判的検討を加えることに課題を限定しておきたい(5)


1 生活保護制度見直し論と生活保護基準
 生活保護基準引き下げについては、2007年にも政策課題として取り上げられ、厚生労働省社会・援護局長の下に「生活扶助基準に関する検討会」が設置された。異例のスピードで立て続けに5回開催された会議の結論は、「全国消費実態調査」をもとに、低所得世帯の生活扶助相当支出額と生活扶助基準を比較し、後者が高い場合があることを「専門的、かつ、客観的に評価・検証」したというものであった。これにより、翌年度からの生活保護基準引き下げが懸念されたが、反対運動の抵抗を受けた厚生労働省は基準改定を先送りせざるを得なかった(6)
 そして今般、2011年2月10日、社会保障審議会に生活保護基準部会が設置され、4月19日には第1回会合が開催される運びとなったのである。同部会は、本年10月5日、5月8日以来となる第10回会合を開催し、この年末を目途に結論をまとめることが予定されている。
 本稿においては、この部会での議論を検討する紙幅はないため、こうした状況のなか提起されている典型的な生活保護基準削減論を取り上げ、検討を行うこととしたい。
 本年4月9日、自由民主党(以下「自民党」)は生活保護制度に関する政策を発表した(7)The jimin NEWS No160 へリンク
 その冒頭に置かれた項目は「生活保護給付水準の10%引き下げ」であり、そこには、「東京都の生活保護費は、標準3人世帯で約24万円(月額)となってい」る1方「最低賃金で働いた場合の月収は約13万円ほどであり、国民年金は満額で6万5541円というのが実情」である、「こうした勤労者の賃金水準や年金とのバランスに配慮して、生活保護給付水準を10%引き下げ」ると宣言されている。
 また、この政策の前提をなす「自民党は、自助・自立を基本に生活保護を見直し、制度の信頼を取り戻」すとの政治的立場から民主党の政策を批判して、「国民を自立させるのではなく、『公助』を前面に出して『誰でも助ける』という」「社会保障の考え方」を採った「民主党政権になって、生活保護制度に対する国民の不公平感・不信感が高まって」おり、財政面でも、「生活保護世帯が増加し、生活保護費は、既に3・7兆円に急増。この3年間で8000億円も膨らん」だのだと指摘している。
 そして、「自民党の社会保障政策は、まず自助・自立が基本で」あり、「個々人が国に支えてもらうのではなく、額に汗して働く人が報われる社会を目指してい」る、そのため「生活保護政策についても、自助・自立を基本に共助・公助を付加するという視点から、生活保護の見直しを実現」し、「生活保護を最後の安全網として真に必要な人に行きわたる制度として機能させ、国民の信頼を取り戻」すと主張されているのである。
 「額に汗して働く人が報われる社会」、「真に必要な人に行きわたる制度」など、おなじみの文言が並んでいるが、これらは次のように翻訳して理解する必要がある。すなわち、「不安定雇用労働者が『額に汗して』低賃金・長時間過密労働に従事しているのだから、生活保護制度から『真に必要な人』以外を徹底的に排除することをもって不安定雇用労働者層に組み込みつつ、『真に必要な人』に給付する生活保護費についても10%カットして、低賃金で働く労働者の不満を逸らすことが政治的に得策である」と。
 これでいったい誰が「報われる社会」が実現されるというのであろうか。


2 消費者物価指数と生活保護基準
 それでも昨今、一部の研究者からも、物価が下落しているのだから生活保護基準は引き下げるべきであるとの提言がなされることがある。
 鈴木亘は、自民党政策調査会・生活保護に関するプロジェクトチーム勉強会(2012年3月15日、自民党本部で開催)において、「生活保護の現状・問題点と今後の在り方について」と題する講演を行い、「デフレ下、賃金が減少する中で、10年以上もまったく保護費が減らないために、相対的に不公平感・労働意欲減」といった問題が起こっており、「保護費は、まずある程度のカットの必要あり。少なくとも10年間のデフレ分はすぐにカット」すべきであると述べている。
 その理由については、同勉強会で講演したことを報告する鈴木本人のブログ(8)において、次のように説明されている。長くなるが引いておきたい

 「生活保護予算のカットというと如何にも非道なことをするような印象を持たれてしまうが、デフレがずっと続く中で、生活保護費の名目金額が10年以上変わらない状況が続いている。物の値段が下がる中で、生活保護費が変わらないということは、買える物の量が増えるということである。これは不公平である。もし、10年前の生活保護費が正しい最低生活費であったならば、現在の金額は明らかに最低生活費の定義とは矛盾していることになる。」

 「もちろん、水準均衡という考え方からは、一般労働者の賃金は減少を続けているのだから、それに合わせてデフレよりももっと生活保護費を下げるべきという理屈もあるが、これは議論の余地のあることである。」

 「年金の特例水準も3年かけて引き下げてデフレに対応することになったのだから、私は生活保護費も少なくともデフレ分はカットする余地があると思う。もちろん、激変緩和で3年ぐらい時間をかけてやるのがよいと思うし、老齢加算がなくなった分だけ、高齢者の保護費引き下げは今回は緩和すべきと思う。一方で、母子加算は復活したのだから、母子家庭にはその分の対応があってよいだろう。」

 「いずれにせよ、民主党野田政権は、自民党が生活保護費のカットというこれまでの『不人気政策』に乗り出したことの意味をよく考えるべきだ。デフレが続き、賃金減少・失業が続く中で、国民の少なくない割合が現在の生活保護制度に強い不公平、不満を感じていることの反映なのである。勉強会には、大物も含めて議員やその秘書が100人ぐらい集まっていたが、選挙区でそのような声が上がっているからこその人数なのだと思われる。」

 あくまでもブログに記載された文章であって、学術論文からの引用ではない。その意味では、鈴木にとってあるいは不服であるかもしれないが、しかし、考えてもいないことを記載したわけでは無論あるまい。鈴木は10%という数字は出していないし、そこまで大きな下げ幅を想定してはいないのかもしれない。だが、デフレによる物価の下落状況における賃金減少・失業とのバランスを図るために、割合はともかく生活保護基準をカットすべきであると主張していることは間違いないであろう。
 論ずるべき点は多いが、以下、デフレによる物価の下落を根拠に生活保護基準を引き下げることの妥当性について検討することとしたい(9)
 物価が下落しているという一般的なイメージがあるとしても(鈴木とは異なり、筆者には10年前と比べて同額で多くの商品を購入できるようになったという実感もないが)、生活必需品から嗜好品等まであらゆる商品価格が一律に下落しているわけではない。厚生労働省の解釈によれば現状では最低生活を保障するものではないとされる年金はひとまず置くとしても(10)、最低生活を最終的に保障する生活保護基準引き下げの根拠を、はたしてそこに求め得るだろうか
 総務省が公表している「消費者物価指数(11)」によると(以下、下の表「消費者物価指数 年平均の推移」参照)、




消費者物価指数年平均推移 ※クリックするとPDFファイルがダウンロードできます。

2010年を100とした場合、2011年の総合指数は99・7と、0・3%の下落がみられた(そのため2012年度の年金額は0・3%カットされた)。「10年間のデフレ分はすぐにカット」という鈴木に倣って2002年の101・0と比較しても、少なくとも自民党が主張する10%生活保護基準引き下げの根拠になるほど物価が大幅に下落しているとは言えない(変化率1・3ポイント下落)(12)
 しかも、あらゆる商品等の物価が均一に変動するわけではない。たとえば、教養娯楽用耐久財の下落幅はかなり大きく、2010年と2011年の1年間でも、テレビ30・9%、ビデオレコーダー40・0%、パソコンはデスクトップ型が39・9%、ノート型で24・0%、カメラ28・0%の下落となっている。その反面、衣食住に要する費用は、同じ1年間で、食料が0・4%、住居が0・2%、被服及び履物は0・3%とその下落幅はきわめて小さく、そればかりか衣食住に並んで日常生活に欠かせない光熱・水道は3・3%、交通・通信では1・2%物価が上昇してさえいるのである。
 2011年と2002年との比較では、食料97・0→99・6(変化率2・7ポイント上昇)、住居101・0→99・8(同1・2ポイント下落)、被服及び履物101・6→99・7(同1・9ポイント下落)、光熱・水道94・1→103・3(同9・8ポイント上昇)、交通・通信101・4→101・2(同0・2ポイント下落)と、食料や光熱・水道費のように上昇している品目もあり、下落しているものもその下げ幅は小さい。さらに表にみられる通り、これらの品目では毎年一貫して下落もしくは上昇しているのではなく、前年比はプラスになったりマイナスになったりしており、少なくとも最低限度の生活を保障するという性格を有する生活保護基準改定の根拠として使用できる数字であるとは、筆者には思われない(13)
 そしてこのように、いかなる品目に着目するかによって物価変動についての評価が異なってくることにも留意しておかなければならない。一定の余裕があり、頻繁にパソコンやテレビ等を買い替えることができる層にとっては物価が下落していると感じられる状況であっても、後にみるように、日々の食費や光熱水費を節約しながら生活を維持している生活保護受給者など貧困層の生活実態からみれば事情はまったく異なるのである。物価の下落を根拠に生活保護基準引き下げを主張する議論は、意識的にか無意識的にか、こうした実態を無視したものだと言わざるを得ない(14)
 また、先述した2007年、生活保護基準改定を断念した際の厚生労働省による理由説明は「現下の原油価格の高騰が消費に与える影響等を見極めるため(15)」ということであった。現在、電気代、ガス代など光熱・水道の物価指数は上昇し続けている(16)。この10年間、光熱・水道の物価上昇が大きかったことは前述の通りだが、その傾向がいっそう強まっているのである(2010年を100とした場合の2012年8月の指数は、電気代が110・0、ガス代107・8、光熱・水道全体で107・6となっている)。これらの動向が「消費に与える影響等を見極める」必要性だけからみても、近い将来に生活保護基準を引き下げることなど、到底不可能なはずである。
 さらに言えば、この物価指数は政策的に変動させることも可能である。一例をあげれば、2010年の総合指数は前年比0・7%下落と、今回よりも下落幅が大きかったが、ガソリンや灯油などの高騰にも関わらずこの数字となったのは、同年4月からの公立高校授業料無償化制度導入によるところが大きい(17)。この例のように、一見すると多額の国家予算を投入することによって財政を圧迫するかに思われる政策であっても、それが国民の支持を集めることにつながると同時に物価を下落させ、それを根拠に年金など法定されたもの以外にも生活保護基準などまで削減できるとするなら、政治的にはもちろん、経済的にも「元は取れる」ということになるであろうか。

3 生活保護基準引き下げの狙いと影響
 しかし、そもそも現在の生活保護基準は高きに過ぎるのであろうか(18)
 生活保護基準算定方式の変遷を丹念にたどった岩永理恵は、その研究の「総括」として、「生活保護が抱える問題の根源は、最低生活概念の狭さと不明さにあ」り、「保護基準が最低生活であることの根拠として明らかなのは、『日常生活の起居動作』を保障する栄養充足である」として、「その内実の“貧しさ”は否定しようもない」、加算や特別基準、勤労控除など「他のさまざまな措置は、最低生活概念が貧弱であるがゆえ必要とされる」のだと述べている(19)
 また、マーケットバスケット方式を採用して最低生計費を算出した金澤誠一の研究によれば、それを生活保護基準と比較した場合、「若者単身世帯」、「中年夫婦と子ども世帯」、「高齢者単身世帯」、「高齢夫婦世帯」のすべてのモデルにおいて、生活保護基準が算定された最低生計費に及ばないばかりか、社会保険料や税金などの免除を考慮に入れた生活保護基準の1・4倍額でさえ最低生計費に届かないとの結論が示されている(20)
 次に、京都市の生活保護ケースワーカーのうち19世帯が最低生活費で1ヶ月間、実際に生活してみたという報告にこの点を尋ねてみよう。19世帯のうち、8世帯は赤字となり、11世帯は基準額以下の生活ができたとのことである。「まとめ」として、「最低生活水準では、食べることはできても、教育費、交際費などの支出が困難であ」り、「長期にわたる生活は困難である」と報告されており、前にふれた岩永の研究を裏づける実態であるといえよう。また、「1番削りやすい費目」は「食費」であるとか、「保護基準では毎日の入浴は困難」といった指摘もなされており、生活保護基準では健康を維持することさえ容易ではないことがうかがわれる(21)
 これらの研究や報告からは、少なくとも生活保護基準が高すぎて、なんとか引き下げなければならないような水準にあるとは考えにくい。
 そして、以上の検討に明らかなことは、少なくとも自民党がいう生活保護基準10%削減の根拠になるような数字や理論的根拠、もしくは生活実態はどこにもないということである。しかも、その説明において生活保護基準額は3人世帯額を使用しながら、それと比較する最低賃金額や年金額は1人分の額を使用するなど、あまりにも恣意的に過ぎることも付け加えておかなくてはならない(22)。それではいったい、この10%という具体的な数字はどこから出てきたものと考えればよいであろうか。
 それは、消費税率を10%に引き上げた際に、消費税導入時、5%への消費税率アップ時と同じようにその税率相当分に見合う生活扶助基準アップをせざるを得なくなったとしても、現在の基準に戻るにすぎない状態をつくっておきたいということであろう。少なくとも現状以上に生活保護基準を上げることを避け、あわよくば現状よりも基準を下げる、その数字が10%なのだと考えればわかりやすいのではないだろうか。
 そのような理由で、もし、デフレを根拠に生活保護基準を10%削減するようなことを実行したらどうなるであろうか。吉永純らが繰り返し指摘しているように、生活保護基準引き下げの影響を受けるのは生活保護受給者だけではない。低賃金や低年金にあえぐ不安定雇用労働者や高齢者は、生活保護基準が引き下げられれば、いったんは溜飲が下がるのかもしれない。しかし、気づいた時には自身の生活水準も、引き下げられた生活保護基準によって押し下げられることになる(23)。それはデフレを加速させるとともに生活保護を必要とする貧困層を拡大させることとなり、結果的には保護率をさらに高めることにもなるであろう。

おわりに
 生活保護バッシングが主張するところを信じ込まされている人々の多くは知らないのかもしれないが、生活保護制度に支出されている金額は、社会保障給付費全体の3%に過ぎない(24)。そしてその中で不正受給は0・3%台にとどまる(25)
。 にもかかわらず、生活保護制度がこれほどの攻撃を受けるのはなぜであろうか。財政的には、吉永らが明示した通り、生活保護基準が課税最低限や賃金水準、各種社会保障制度の給付水準を規定しているため、ここに手をつければ自動的に賃金や社会保障の水準を低下させることができるからであろう。
 そしてそのこととも関わって、政策的には生活保護バッシングを梃子として自己責任観を強化・徹底させることが狙われているものと思われる。怠惰や身勝手な生活態度が貧困を生むといった前近代的な思想を強化・徹底し拡散させることを通して、国民年金制度における無年金・低年金や、国民健康保険制度における被保険者資格証明書発行による実質的な被保険者証の剥奪なども、保険料を納めなかった者が悪いのだから国家の責任ではない、安心して医療や介護を受けたいのなら保険料を支払え、さらに医療や社会福祉サービスを利用する際に自己負担が求められるのも当然である、といったムードをこの社会に蔓延させようとしているのである。
 しかしながら、生活保護法第1条に規定されている通り、生活保護基準は、日本という国における健康で文化的な最低限度の生活水準として設定されているものであり、実際にも賃金や社会保障給付水準を規定している。その生活保護基準を引き下げることは、国際社会に向けても、日本という国のレベルが、政治的にも経済的にも、全体として低下したのだと宣言することを意味するのではないだろうか。


(1) 2010年度における世帯類型別被保護世帯の構成比は、高齢者世帯42・9%、母子世帯7・7%、傷病者世帯21・9%、障害者世帯11・2%、その他の世帯16・2%となっている(国立社会保障・人口問題研究所ホームページ参照)。 戻る
(2) 生活保護制度上の世帯類型分類方法との関連もあり、こうした意図的な喧伝と「その他の世帯」の実態との間には大きな隔たりがある。その年齢構成においても、世帯主で60歳以上が40・3%、実際には就職困難な場合が多い50歳以上では74・1%、世帯員も60歳以上が30・5%、50歳以上に19歳以下を加えると72・6%(平成21年度 被保護者全国一斉調査による)と、稼働年齢層とは言い難い。また、世帯主が働けないほどの重度障害、重病でないと障害者世帯、傷病者世帯には分類されないため、「その他の世帯」にも中軽度の障害や傷病をかかえる世帯主や、重度障害、重病をもつ世帯員が含まれている。 戻る
(3) この間、各方面から指摘されたように、このケースは少なくとも不正受給ではない。また、扶養義務を求められる範囲が日本では異常に広く法定されていることを割り引いても、これらの実名をあげた報道は明らかな人権侵害であり、これがヨーロッパ諸国など普通の人権感覚が定着した社会であれば、その点こそがバッシングの対象となったはずである。 戻る
(4) これも指摘されている通り、不正受給は、件数で2%に満たず、金額ベースでは0・4%にも届かない。さらにその中には、高校生のアルバイト代未申告など悪意が認められないものも少なからず含まれている(注(25)も参照)。 戻る
(5) 生活保護基準の問題を含め、この間の生活保護制度の見直しに向けた各種の論点については、日本弁護士連合会や生活保護問題対策全国会議、全国生活保護裁判連絡会、反貧困ネットワーク等の諸団体が意見書や声明を発表し、その問題点を明確にしている。
http://www.nichibenren.or.jp/(日本弁護士連合会ホームページ)、http://seikatuhogotaisaku.blog.fc2.com/(生活保護問題対策全国会議ブログ)などを参照 戻る
(6) この問題を含む生活保護制度改革の動向とその政策的位置づけについて、池田和彦・砂脇恵『公的扶助の基礎理論』(ミネルヴァ書房、2009年)の第7章および第8章を参照されたい。 戻る
(7) 以下、その内容は「The Jimin NEWS No.160」(2012年4月16日)による。http://www.jimin.jp/policy/policy_topics/recapture/pdf/062.pdf参照。 戻る
(8) http://blogs.yahoo.co.jp/kqsmr859/36165078.html参照。前半の引用箇所は、同ブログからリンクしている講演会当日のパワーポイントのスライド記載による。 戻る
(9) 失業・低賃金などと生活保護基準の関係については、注(5)でふれた諸団体の意見書等を参照されたい。鈴木の議論は、生活保護受給者を最低賃金法の適用除外とする旨の提案をするなど、生活保護制度における稼働能力活用要件と「就労支援」のあり方をめぐっても批判的検討の俎上にのせるべき論点は多いが、それらについては他日を期したい。また、これらの点に関する筆者の基本的認識については、池田・砂脇、前掲書の第3章および第10章を参照されたい。 戻る
(10) 厚生労働省が「生活保護と公的年金の役割が異なることから、生活保護の基準と公的年金の給付額は単純に比較できるものではないことに留意」(第1回生活保護基準部会資料)との認識を示していることを確認しておきたい。 戻る
(11) http://www.stat.go.jp/data/cpi/参照。掲載した表もここに提供されている数字から作成した。なお、時系列データは、年平均と年度平均の両方が公表されているが、公表時期との関連で公的年金額改定には年平均の数値が使用されている。生活保護基準に関する議論においても、注(10)に示した厚生労働省の見解にも関わらず、年金との「比較」がなされることも多く、また、生活保護基準改定に直接使用されることがあれば、その際にも比較対象とされることになる年平均値を本稿でも採用する。 戻る
(12) 変化率の計算方法については、注(11)に示したURLからリンクしている「消費者物価指数のしくみと見方」などを参照 戻る
(13) それでも基準改定の根拠として使用できるのだと強弁するのなら、例えば2011年平均において、灯油は前年比18・4%という上昇幅であったが、これをもって冬季加算の増額が検討の俎上にのぼるであろうか。また、物価一般を分析するのであれば、他の品目、例えば保健医療や教育、家具・家事用品などにしても考慮に入れる必要はあろう。しかしここでは、生活保護制度において医療と教育には生活扶助が対応しているわけではないため除外した。また、家具・家事用品については、直近1年間の下落幅が5・6%と相対的に大きく見えるが、その内訳をみると、一般家具の下落幅は2・2%に過ぎず、頻繁に購入する必要性が低い家事用耐久材19・6%や冷暖房用器具10・1%といったところの下落幅が大きい。 戻る
(14) 収入による消費傾向の相違と物価変動が与える影響につき、http://www.e‐stat.go.jp/SG1/estat/GL08020103.do?_toGL08020103_&listID=000001087650&disp=Other&requestSender=searchから「16‐1 勤労者世帯年間収入5分位階級別中分類指数(全国)―年平均指数」を参照されたい。収入が低い世帯ほど「食料」や「光熱・水道」の費用が家計全体に占める「ウエイト」が重く、「被服及び履物」や「教養娯楽」の費用はその逆であることなどが読み取れるであろう。 戻る
(15)『生活と福祉』第626号(全国社会福祉協議会、2008年5月)3頁 戻る
(16) http://www.e‐stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001100832から「1 中分類指数(全国)」、「10 勤労者世帯年間収入5分位階級別中分類指数」を参照されたい。 戻る
(17) 注(11)に示したURLからリンクしている「年報(平成23年度報告書)」には、「平成22年は、ガソリン、灯油、たばこ、傷害保険料などが上昇したものの、4月から公立高校授業料及び私立高校授業料が大幅に下落したこと、耐久消費財が引き続き下落したことなどにより、総合指数は0・7%の下落となった」とある。 戻る
(18) 以下、この点に関する代表的な研究を取り上げるが、紙幅の都合上、ごく簡単にふれることしかできない。各研究の詳細は、それぞれ注に示す文献を参照されたい。 戻る
(19) 岩永理恵『生活保護は最低生活をどう構想したか』(ミネルヴァ書房、2011年)291~292頁 戻る
(20) 金澤誠一「『構造改革』の下での『生活崩壊』と最低生計費」(本誌第1421号、2006年7月)参照 戻る
(21) 以元榮一・吉永純「生活保護基準って何?」(尾藤廣喜・松崎喜良・吉永純編著『これが生活保護だ[改訂新版]』高菅出版、2006年12月)参照 戻る
(22) 反貧困ネットワークと生活保護問題対策全国会議が2012年6月18日、自由民主党・生活保護に関するプロジェクトチーム宛てに出した「貴党の生活保護制度の見直し案に関する公開質問状」は、7月9日までの回答を求めていた。しかし、期限後、回答意思の有無を問う連絡まで行ったにも関わらず、10月6日現在、同党からの回答はない(生活保護問題対策全国会議事務局長・小久保哲郎弁護士に確認)。提示された質問に回答することさえできない政策提言だったことを自ら暴露する不誠実さであると言わざるを得ない。 戻る
(23) 詳細は、吉永純『生活保護の争点』(高菅出版、2011年)、同「ナショナルミニマムとしての生活保護基準」(本誌第1459号、2008年2月)、森川清『権利としての生活保護法[増補改訂版]』(あけび書房、2011年)、三塚武男『部落解放のまちづくり』(部落問題研究所、1988年)などを参照されたい。 戻る 戻る
(24) 国立社会保障・人口問題研究所『平成21年度 社会保障給付費』(平成23年10月)参照。その後、生活保護費の額は上がっているが、社会保障給付費全体も上がっているので、社会保障給付費に占める生活保護費の割合がさほど大きく変化しているとは思われない。 戻る
(25) 2012年3月1日、厚生労働省社会・援護局関係主管課長会議資料(保護課)、70頁参照 戻る


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